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JP2005037480A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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JP2005037480A
JP2005037480A JP2003197768A JP2003197768A JP2005037480A JP 2005037480 A JP2005037480 A JP 2005037480A JP 2003197768 A JP2003197768 A JP 2003197768A JP 2003197768 A JP2003197768 A JP 2003197768A JP 2005037480 A JP2005037480 A JP 2005037480A
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和久 志田
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明彦 伊丹
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Tomoo Sakimura
Masanari Asano
真生 浅野
Hiroshi Yamazaki
弘 山崎
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Abstract

【課題】本発明は、オゾンや窒素酸化物の発生量が少なく、低電力である帯電方法を用いて、さらに長期的に安定した画像形成を行うことが出来る電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【解決手段】電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関し、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
【0003】
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、電子写真感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、これを定着して最終画像が形成される。
【0004】
上記帯電手段の部材として従来代表的に用いられている帯電部材はコロナ放電器が最もよく知られている。コロナ放電器は安定した帯電を行えるという利点を有する。しかし、コロナ放電器は高電圧を印加しなければならないため、イオン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素化合物等の発生量が多いため、有機感光体(以後感光体とも云う)の劣化を招いたり、人体に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。
【0005】
そこで、近年、コロナ放電器を利用しない接触帯電方式を利用することが検討されている。具体的には帯電部材である磁気ブラシや導電性ローラに電圧を印加して、被帯電体である感光体に接触させ、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電方式を用いればコロナ放電器を用いた非接触帯電方式と比較して低電圧化がはかれ、オゾン発生量も減少する。
【0006】
接触帯電方法は、感光体に10〜1010Ω・cm程度の抵抗を持つ帯電部材に、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加し、感光体に加圧当接させ、電荷を付与する方法である。この帯電方法は、パッシェンの法則に従い、帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、あるしきい値以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。この接触帯電方法は、コロナ帯電方法と比較すると、帯電部材への印加電圧は、低くなるが、放電が伴うために、少量のオゾン及び窒素酸化物が発生する。
【0007】
このために、新たなる帯電方式として、感光体への電荷の直接注入による帯電方式が開示されている(特許文献1)。この帯電方式は、電荷注入層を感光体表面に設け、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電磁気ブラシ等の接触導電部材に電圧を印加し、電荷を接触により、注入帯電を行なう方法である。この帯電方式では、ほとんど放電現象を伴わずに、印加電圧に対して、ほぼ1対1の帯電が可能なため、従来の接触帯電方式と比べると、オゾン、NOx発生量が、非常に少なく、低電力の優れた帯電方式である。
【0008】
該注入帯電方式は、注入帯電を行なうために、電子写真感光体の表面層(多くは電荷輸送層の上に)に電荷注入層を設けた構成の電子写真感光体が公知である。即ち、バインダー樹脂と導電性微粒子或いは電荷輸送物質を含有させた電荷注入層を表面層とした電子写真感光体がが提案されている(特許文献2)。しかしながら、帯電ローラ等との直接接触により、電荷注入層を介して電子写真感光体表面に繰り返し帯電を行なうと、電荷注入層に発生した亀裂や汚染等が発生し、その結果、該亀裂や汚染等の部分に電荷が集中し、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を引き起こしやすく、画像ボケも発生しやすい。特に高温高湿、低温低湿等の厳しい条件下でこれらの問題が発生しやすい。
【0009】
前記した絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止する為に、導電性支持体のアルミ基体表面をアルマイト加工処理し、電子写真感光体の電荷リークに対する抵抗力を強め、例え電荷注入層に発生した亀裂や汚染等が発生しても、導電性支持体からの電荷リークを防止することが提案されている(特許文献3)。
【0010】
しかしながらアルマイト加工処理のアルミ基体を用いた電荷注入層を有する電子写真感光体はアルマイト加工処理とその後の経時条件のわずかな変動でアルマイト層が変質し、前記した電荷リークの防止効果が安定して得られにくいと云う問題の他に、アルマイト層と感光層との間が電荷トラップサイトとなりやすく、長期的な使用により、徐々に残留電位が蓄積する傾向が認められる。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−3921号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2002−31911号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平5−80567号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、オゾンや窒素酸化物の発生量が少なく、低電力である帯電方法を用いて、更に、温湿度環境依存性が小さく、長期的に安定した画像形成を行うことが出来る電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【0015】
又、本発明の目的は、接触帯電方式の画像形成方法に用いられる電子写真感光体において、繰り返し使用中に発生しやすい電子写真特性(感度や残留電位等)の劣化を防止し、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、鮮鋭性が良好な長期的に安定した画像形成を行うことが出来る電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、本発明の上記課題を解決するためには、接触帯電方式に用いられる電子写真感光体の導電性支持体、中間層、感光層及び電荷注入層について、詳細な検討を加えた結果、導電性支持体上に電荷リークを防止でき且つ繰り返し使用に対し電位特性が安定した中間層を設置することにより、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生及び画像ボケの発生を防止し、繰り返し使用中に発生しやすい電子写真特性(感度や残留電位等)の劣化を防止して、長期的に安定した性能を有する電子写真感光体を提供することができ、該電子写真感光体を用いて、高濃度、高解像力の鮮明な電子写真画像が安定して得られることを見出し、本発明を完成した。
【0017】
本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成される。
1.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、該電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0018】
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
2.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0019】
3.前記X成分が表面に反応性基を有する無機酸化物粒子であることを特徴とする前記1又は2に記載の電子写真感光体。
【0020】
4.前記無機酸化物粒子がTiO、ZrO、ZnO、Alのいずれか1つの粒子であることを特徴とする前記3に記載の電子写真感光体。
【0021】
5.前記TiO粒子がアナターゼ型酸化チタンであることを特徴とする前記4に記載の電子写真感光体。
【0022】
6.前記無機酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする前記3〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0023】
7.前記Y成分がカップリング剤であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0024】
8.前記カップリング剤がチタンカップリング剤又はシランカップリング剤であることを特徴とする前記7に記載の電子写真感光体。
【0025】
9.前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0026】
10.前記Z成分が反応性セグメントであることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0027】
11.前記反応性セグメントが低重合度のビニル系樹脂であることを特徴とする前記10に記載の電子写真感光体。
【0028】
12.前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物及び反応性セグメントの併用であることを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0029】
13.前記中間層の膜厚が4〜20μmであることを特徴とする前記1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0030】
14.前記電荷注入層が導電性粒子を含有することを特徴とする前記1〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0031】
15.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有する電子写真感光体と該電子写真感光体上を一様に帯電する帯電手段、該電子写真感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該電子写真感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0032】
16.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置。
【0033】
17.電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成方法において、前記16の画像形成装置を用い、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0034】
以下、本発明について詳細に説明する。
電子写真感光体の構成
本発明の電子写真感光体は導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする。
【0035】
X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
又、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする。
【0036】
本発明の電子写真感光体は、上記構成を有することにより、電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置で発生しやすい、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、電子写真特性(感度や残留電位等)の劣化を防止して、長期的に安定した画像形成を行うことができる。
【0037】
本発明のX成分、Y成分、Z成分に共通のネットワーク形成化合物とは、X成分、Y成分、Z成分のそれぞれの化合物が相互に化学反応をして、三次元の結合形態を有する化合物(中間層又は保護層の樹脂構造)を形成できる化合物を意味する。
【0038】
本発明のX成分、即ち、無機酸化物ネットワーク形成化合物としては、表面に前記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物やZ成分のバインダーネットワーク形成化合物と化学反応を可能とする水酸基やアミノ基を有する無機酸化物粒子が好ましい。このような無機酸化物としては、例えば、表面処理をしていない酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)が好ましく、特に酸化チタンが特に好ましく用いられる。
【0039】
無機酸化物粒子は数平均一次粒子径が5〜400nmの範囲の微粒子が好ましい。特に、10nm〜200nmが好ましい。数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0040】
前記酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型及びアモルファス型等があるが、中でもアナターゼ形酸化チタン顔料が本発明の無機酸化物粒子として最も好ましい。
【0041】
本発明のY成分、即ち、金属原子含有有機ネットワーク形成化合物としては前記無機酸化物粒子の表面に存在する水酸基等の反応基又はZ成分のバインダーネットワーク形成化合物と反応するカップリング剤が好ましい。中でも、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、或いはアルミニウムカップリング剤等が好ましい。
【0042】
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリアシルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が用いられる。
【0043】
アルミニウムカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が用いられる。
【0044】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が用いられる。
【0045】
X成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物はあらかじめ上記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物で処理をし、該表面処理されたX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物を用いて、後述するZ成分と反応させてもよい。この場合X成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物の表面処理は以下の様な湿式法で行うことできる。
【0046】
即ち、有機溶剤や水に対して前記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物を溶解または懸濁させた液にX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物を添加し、この混合液を数分から1昼夜程度メディア分散し、必要により混合液に加熱処理を施して、表面をY成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物で被覆したX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物分散液を得ることもできる。なお、有機溶剤や水に対してX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物を分散させた懸濁液に前記Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物を添加しても構わない。
【0047】
尚、前記表面処理に用いられるY成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にてX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物100質量部に対し、Y成分の金属原子含有有機ネットワーク形成化合物を0.1〜50質量部、更に好ましくは0.1〜40質量部用いることが好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内におけるX成分の無機酸化物ネットワーク形成化合物の整流作用や分散性等が悪くなる。また、表面処理量が上記範囲を超えてしまうと、電子写真特性を劣化させ、その結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
【0048】
本発明のZ成分、即ち、バインダーネットワーク形成化合物としては、X成分の無機酸化物粒子やY成分のカップリング剤と反応できる反応基を有し、且つバインダー成分として機能できる樹脂化が可能な化合物、オリゴマー、セグメント成分等が用いられる。
【0049】
本発明のZ成分:バインダーネットワーク形成化合物としてはシロキサン縮合体(シロキサン結合が複数個、三次元的に連なった構造を有する縮合体)を形成できる下記一般式(1)で示され反応性有機ケイ素化合物が好ましい。
【0050】
一般式(1) RSi(Z)4−n
(式中、Rは式中のケイ素に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Zは水酸基又は加水分解性基を表す。nは0〜3の整数)
上記一般式(1)中のZは加水分解性基であり、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。Rに示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基等を挙げることができる。Rのnが2又は3の時はこれら同一ケイ素原子に結合する複数の有機基は互いに同一でも良く、異なっていても良い。
【0051】
又、本発明のシロキサン縮合体成分を製造するに際し、前記一般式(1)で示される反応性有機ケイ素化合物を2種以上用いる場合はそれぞれの反応性有機ケイ素化合物のRは同一でも良く、異なっていてもよい。
【0052】
一般式(1)で示される反応性有機ケイ素化合物の具体例としては以下のような化合物が挙げられる。
【0053】
即ち、nが0の化合物例としては、テトラクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラメトキシシラン、フェノキシトリクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0054】
nが1の化合物例としては、トリクロロシラン、クロロメチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、1,2−ジブロモエチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、トリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、4−クロロフェニルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、トリエトキシクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、6−トリクロロシリル−2−ノルボルネン、2−トリクロロシリルノルボルネン、メチルトリアセトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−アミノエトキシ)シラン、β−フェネチルトリクロロシラン、トリアセトキシビニルシラン、2−(4−シクロヘキシルエチル)トリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、トリエトキシビニルシラン、エチルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルフェニルエチルトリクロロシラン、2−フェニルプロピルトリクロロシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アリルチオプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、デシルトリクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メトキシメチルシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、ジイソプロポキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、3−ピペリジノプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)−2−メトキシエトキシメチルシラン、3−(2−メチルピペリジノプロピル)トリメトキシシラン、3−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、O,O′−ジエチル−S−(2−トリエトキシシリルエチル)ジチオフォスフェート、ベンジルトリエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)ブトキシメチルシラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、テトラデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドコシルトリクロロシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシルシリルプロピルアンモニウムクロライド、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン等が挙げられる。
【0055】
nが2の化合物例としては、クロロメチルメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、ジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、ブチルメチルジクロロシラン、ビス(2−クロロエトキシ)メチルシラン、ジエトキシメチルシラン、フェニルジクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、メチルペンチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、フェニルビニルジクロロシラン、6−メチルジクロロシリル−2−ノルボルネン、2−メチルジクロロシリルノルボルネン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、ジエトキシジビニルシラン、ヘプチルメチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジプロポキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、アリルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、メチル−β−フェネチルジクロロシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、2−(4−シクロヘキセニルエチル)メチルジクロロシラン、メチルオクチルジクロロシラン、ジエトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、O,O′−ジエチル−S−(2−トリメチルシリルエチル)ジチオフォスフェート、O,O′−ジエチル−S−(2−トリメトキシシリルエチル)ジチオフォスフェート、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジメトキシ−3−(2−エトキシエチルチオプロピル)メチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエチル−2−トリメチルシリルメチルチオエチルフォスファイト、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−(3−アセトキシプロピルチオ)プロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジプロポキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、ジフェニルシランジオール、ジヘキシルジクロロシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルプロポキシシラン、ジメトキシメチル−3−(4−メチルピペリジノプロピル)シラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシフェニル−2−ピペリジノエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシドデシルメチルシラン、メチルオクタデシルジクロロシラン、ジフェニルメトキシ−2−ピペリジノエトキシシラン、ドコシルメチルジクロロシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン等が挙げられる。
【0056】
三次元構造の架橋構造を有するシロキサン縮合体成分の原料として用いられる前記反応性有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数(4−n)のnが3のとき、反応性有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制される。nが0、1又は2のときは高分子化反応が起こりやすく、特に1或いは0では高度に架橋反応を進めることが可能である。従って、これらをコントロールすることにより得られる塗布層液の保存性や塗布膜の硬度等を制御することが出来る。
【0057】
又、本発明のZ成分:バインダーネットワーク形成化合物の他の例としては、前記X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物と反応でき、且つ樹脂構造を形成できる反応性セグメントが挙げられる。ここで、セグメントとは本発明の中間層の最終的な樹脂構造を形成する為に用いられる低重合度の重合体を云う。
【0058】
該反応性セグメントとしては、例えば、連鎖重合性単量体中に該連鎖重合性単量体と重合反応を行う重合性シラン化合物を共存させ、前記X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物と反応でき、且つ樹脂構造を形成できるシリル基を有するビニル系樹脂セグメントが挙げられる。
【0059】
即ち、連鎖重合性単量体と共に、下記一般式(2)の重合性シラン化合物を共存させ重合を進行させることにより、連鎖重合成分中にシリル基を導入したシリル基含有ビニル系樹脂を形成でき、このビニル系樹脂に導入されたシリル基により、前記X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物と化学反応が可能となる。特に、該シリル基含有ビニル系樹脂を前記したシロキサン縮合体を形成できる前記一般式(1)で示され反応性有機ケイ素化合物と共に用いると、この2つのZ成分から形成されるバインダー成分はビニル樹脂の有機セグメント(連鎖構造中に炭素原子を含むセグメント)とシロキサン縮合体成分の無機セグメント(ケイ素と酸素の連鎖構造を有する)が共存する樹脂構造を形成し、基体との接着性及び前記した無機酸化物粒子の分散性に優れ、繰り返し特性及び黒ポチ防止特性に優れた中間層バインダー樹脂を形成することができる。又、この2つのZ成分から形成されるバインダー樹脂を有する中間層の感光体は中間層の膜厚を厚くしても、残留電位や帯電電位が安定しており、導電性支持体の表面粗さが数μmの範囲であったとしても、導電性支持体表面を十分に被覆でき、絶縁破壊や黒ポチ等を十分に防止できる。
【0060】
【化1】
Figure 2005037480
【0061】
一般式(2)において、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは重合性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。
【0062】
上記一般式(2)の重合性シラン化合物としては、シリル基、特に加水分解性を有するシリル基を有し、後述の各種連鎖重合性単量体と重合可能な化合物であれば特に制限されず、例えば、CH=CHSi(CH)(OCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHSi(CH)Cl、CH=CHSiCl、CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCOO(CHSiCl、CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCOO(CHSiCl、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl、CH=C(CH)COO(CHSiCl、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl2、CH=C(CH)COO(CHSiCl
【0063】
【化2】
Figure 2005037480
【0064】
等が挙げられる。これらの重合性シラン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0065】
上記一般式(2)の重合性シラン化合物と共にビニル系樹脂セグメントを形成する連鎖重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどからなるグループから選ばれる1またはそれ以上のビニル系連鎖重合性単量体を用いることが好ましい。又、水酸基を含むビニル系連鎖重合性単量体(モノマー)、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなども用いることができる。
【0066】
又、本発明のZ成分:バインダーネットワーク形成化合物としては、前記ビニル系樹脂セグメントを構成できるビニル系連鎖重合性単量体として、酸化防止サブユニット形成化合物を用いてもよい。
【0067】
ここで、酸化防止サブユニットとはオゾン、NO等の活性ガス、或いは紫外線等の光照射により引き起こされる酸化又は還元耐性を有する基を意味する。
【0068】
バインダー樹脂に酸化防止機能を付与するには、樹脂構造の一部に、サブユニット(部分構造)としてヒンダードアミン、或いはヒンダードフェノール等の酸化防止サブユニットを取り込むことで達成される。
【0069】
即ち、ビニル系樹脂セグメントを構成する前記一般式(2)の重合性シラン化合物、
ビニル系連鎖重合性単量体と共に、酸化防止サブユニット形成化合物を用いて重合反応を行ない、酸化防止サブユニットを有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントを形成し、その後該ビニル系樹脂セグメントのシリル基を介して、X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物やY成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物、或いは前記したシロキサン縮合体と化学結合をすることが出来る。
【0070】
ここで、ヒンダードアミン基とはアミン化合物のアミノ基のN原子近傍に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。立体障害性の基としては分岐状アルキル基、炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0071】
又、ヒンダードフェノール基とはフェノールの水酸基に対しオルト位置に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い)。立体障害性の基としては分岐アルキル基、或いは炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0072】
ビニル系樹脂セグメントにヒンダードアミン基、或いはヒンダードフェノール基をサブユニット(部分構造)として導入するには、前記一般式(2)の重合性シラン化合物、ビニル系連鎖重合性単量体と共に、酸化防止サブユニット形成化合物として、炭素−炭素不飽和結合の重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物(単量体)或いはヒンダードフェノール化合物(単量体)を共存させ、これらの共存組成物の重合を行うことにより、ビニル系樹脂セグメント中にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を導入することができる。
【0073】
このような重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物としては、重合性不飽和基を含有する立体障害アミン化合物が好ましく、なかでも重合性不飽和基を含有する立体障害ピペリジン化合物(以下、「ピペリジン系モノマー」ともいう。)が特に好ましい。ピペリジン系化合物の代表的なものとしては、例えば下記一般式(A)で表される化合物を挙げることができる。
【0074】
【化3】
Figure 2005037480
【0075】
一般式(A)において、Rは水素原子またはシアノ基を示し、RおよびRは相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、Xは酸素原子またはイミノ基を示し、Yは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または下記一般式(B)で表される重合性不飽和基を示す。
【0076】
【化4】
Figure 2005037480
【0077】
一般式(B)において、RおよびRは相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示す。
【0078】
一般式(A)におけるXのイミノ基中の水素原子は、置換されても置換されていなくてもよい。また、一般式(A)におけるYのうち、炭素数1〜18のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。
【0079】
上記、一般式(A)のピペリジン系化合物のうち、好ましい化合物は、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等であり、なかでも4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンが特に好ましい。
【0080】
又、重合性不飽和基を有するヒンダードフェノール化合物としては、重合性不飽和基を含有するヒンダードフェノール化合物が好ましく、例えば下記のような化合物を挙げることができる。即ち、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル等が挙げられる。
【0081】
又、前記ヒンダードアミン系或いはヒンダードフェノール系の酸化防止サブユニット形成化合物(重合性不飽和基を有する化合物)以外の化合物の例としては、フェニルサリチル酸(メタ)アクリレート、t−ブチルフェニルサリチル酸(メタ)アクリレート等のサリチル酸化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−t−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。本発明において、前記酸化防止サブユニット形成化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。又、「ヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し」とはヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基の少なくとも一方を有することを意味し、両方の基を有していても良い。
【0082】
ここで、ヒンダードアミン基又はヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性された(シリル基を有する)ビニル系樹脂セグメントの合成例を記載する。
【0083】
(ビニル系樹脂セグメントA溶液の合成例:ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントA溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、4−メタクロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン1部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート29部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードアミン基を有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントA溶液を得た。
【0084】
(ビニル系樹脂セグメントB溶液の合成例:ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントB溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート2部、メタクリル酸メチル70部、n−ブチルアクリレート40部、アクリル酸5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13部、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド1部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントB溶液を得た。
【0085】
(ビニル系樹脂セグメントC溶液の合成例:シリル変性されたビニル系樹脂セグメントC溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート30部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%のシリル基を有するビニル系樹脂セグメントC溶液を得た。
【0086】
上記合成例A、Bに示したように重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、重合性シラン化合物及びビニル系連鎖重合性単量体を共存させ重合することにより、側鎖にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系樹脂セグメントを合成する事が出来る。
【0087】
上記シリル基を有するビニル系樹脂セグメントの重合度は特に制限されないが、10〜500であることが望ましい。
【0088】
次に、上記シリル基を有するビニル系樹脂セグメントA、B、Cにシロキサン縮合体成分を形成することにより、本発明の樹脂構造を有する中間層を形成できる。即ち、上記シリル基を有するビニル系樹脂セグメントと前記したような反応性有機ケイ素化合物を用いて、シリル基を有するビニル系樹脂セグメントのシリル基にシロキサン縮合体成分を形成する。このシロキサン縮合体成分の形成は中間層形成と同時に行ってもよいが、予め中間層溶液でシリル基末端にシロキサン縮合体成分を形成して、中間層形成を行ってもよい。
【0089】
本発明の中間層はX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有するが、該化合物は中間層中で、各X成分、Y成分、及びZ成分が相互に化学結合により結合して形成されている。
【0090】
前記化合物を構成するX成分、Y成分、及びZ成分の質量比はX成分1に対し、Y成分0.001〜0.5、Z成分0.25〜4の質量比で構成されていることが好ましい。X成分の質量比が少ないと、繰り返しの画像形成で、残留電位が増大しやすく、反転現像で画像濃度が低下しやすい。X成分が多すぎると、中間層の上に設置される電荷発生層の塗布性が劣化し、均一な膜形成ができない。又、Z成分の質量比が多くても、少なくても繰り返し使用時の電子写真特性(帯電、感度、残留電位特性等)が劣化しやすい。
【0091】
本発明の中間層の膜厚は、0.2〜22μmが好ましい。更に、4〜20μmがより好ましい。このような膜厚を持つことにより、絶縁破壊や黒ポチを防止でき且つ繰り返し使用時の良好な電子写真特性(帯電、感度、残留電位特性等)を得ることができる。
【0092】
次に、本発明の中間層の製造方法について記載する。
本発明において中間層は上記のような中間層が形成されればいかなる方法によって形成されてよい。以下に、代表的な本発明の中間層の製造方法について記載する。
【0093】
本発明の中間層はX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物を塗布液とし、該塗布液を導電性支持体上に塗布した後、硬化することにより形成することができる。
【0094】
当該硬化によって、X成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物は各X成分、Y成分、及びZ成分のそれぞれの反応性基を介して、化学的に結合し、これによって導電性支持体からの電荷注入を良好に防止する整流性が良好な中間層を形成することができる。
【0095】
上記塗布液中、或いは塗布液生成過程で金属キレート化合物を添加することが好ましい。ここで金属キレート化合物は、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムの群から選ばれる金属のキレート化合物である(以下、金属キレート化合物(III)という)。金属キレート化合物(III)は、前記の有機ケイ素化合物とシリル基を有するビニル系樹脂セグメントとの加水分解および/または部分縮合反応を促進し、3成分の共縮合物の形成を促進する作用をなすものと考えられる。
【0096】
このような金属キレート化合物(III)の例としては、一般式(3)、(4)、(5)で表される化合物、あるいはこれらの化合物の部分加水分解物が挙げられる。
【0097】
一般式(3) Zr(OR(RCOCHCOR4−p
一般式(4) Ti(OR(RCOCHCOR4−q
一般式(5) Al(OR(RCOCHCOR3−r
一般式(3)、(4)、(5)におけるRおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基、具体的には、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等を示し、Rは、RおよびRと同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、炭素数1〜16のアルコキシ基、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基等を示す。また、pおよびqは0〜3の整数、rは0〜2の整数である。
【0098】
このような金属キレート化合物(III)の具体例としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム等のチタンキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられる。これらの化合物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。これらの金属キレート化合物(III)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0099】
金属キレート化合物(III)の添加量は、X成分、Y成分、及びZ成分を含有する塗布液固形分(塗布液固形分とは塗布液を乾燥した後、残留する成分)の全質量に対する配合量が0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜20質量%となるような量である。金属キレート化合物(III)の量が少なすぎると樹脂の3次元化が達成されないおそれがあり、一方、多すぎると塗液のポットライフが悪化する。
【0100】
中間層の塗布液を塗布した後の硬化条件は、使用されるX成分、Y成分、及びZ成分の反応性に依存するが、60〜150℃にて30分〜6時間の乾燥を行わせるのが好ましい。
【0101】
これらの硬化反応を促進するためには有機溶媒が存在することが好ましい。ここで使用可能な有機溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。有機溶媒の使用量は有機ケイ素化合物に対して限定されるものではなく、使用目的に応じて調製される。
【0102】
硬化反応促進させる溶媒としては有機ケイ素化合物、シリル基を有するビニル系樹脂セグメントを均一に溶解させる溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒としてはアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが用いられるが、特に下記に例示ような溶媒が好ましい。
【0103】
アルコール系溶媒としては炭素数1〜4のアルコール、即ちメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールが好ましく用いられる。
【0104】
非アルコール系溶媒としてはエチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系の溶媒が好ましく用いられる。
【0105】
上記中間層塗布液中には、更に、硬化促進剤必要により添加することができる。
【0106】
硬化促進剤としては、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系化合物、(CSn(OCOC1123、(CSn(OCOCH=CHCOOCH、(CSn(OCOCH=CHCOOC、(C17Sn(OCOC1123、(C17Sn(OCOCH=CHCOOCH、(C17Sn(OCOCH=CHCOOC、(C17Sn(OCOCH=CHCOOC17、Sn(OCOCC17、などのカルボン酸型有機スズ化合物;(CSn(SCHCOO)、(CSn(SCHCOOC17、(C17Sn(SCHCOO)、(C17Sn(SCHCHCOO)、(C17Sn(SCHCOOCHCHOCOCHS)、(C17Sn(SCHCOOCHCHCHCHOCOCHS)、(C17Sn(SCHCOOC17、(C17Sn(SCHCOOC1225、(CSnO、(C17SnO、(CSnO、(C17SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、エチルシリケート40、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが使用される。
【0107】
上記塗布液中の硬化促進剤の添加量は、塗布液固形分(固形分とは塗布液成分中の乾燥後に残留する成分を意味する)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜100質量部である。これらの量が少なすぎると膜の強度が低下するおそれがあり、一方、多すぎると塗液のポットライフが悪化する。
【0108】
本発明においては、中間層塗布液の全固形分濃度を調製し、併せて粘度も調製するために、有機溶媒を使用することができる。このような有機溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類等の有機溶剤を使用することが好ましい。前記アルコール類としては、例えば1価または2価のアルコールを挙げることができ、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。これらのうち、炭素数1〜8の1価の飽和脂肪族アルコールが好ましい。また、前記芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができ、前記エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができ、前記エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、炭酸プロピレン等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上を混合して使用することができる。有機溶媒の添加方法は特に限定されるものではなく、本発明の表面保護液を調製する際および/または調製後の適宜の段階で添加することができる。
【0109】
又、本発明の中間層は実質的に絶縁層であることが好ましい。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×10以上である。本発明の中間層の体積抵抗は1×10〜1015Ω・cmが好ましく、1×10〜1014Ω・cmがより好ましく、更に好ましくは、2×10〜1×1013Ω・cmである。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
【0110】
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×10未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得らにくい。
【0111】
尚、本発明のX成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物がX成分、Y成分、Z成分のそれぞれの化合物が相互に化学反応をして、三次元の結合形態を有する化合物(中間層の樹脂構造)を形成できていることの検証は、X成分、Y成分、Z成分を有する組成物の中間層或いは保護層の塗布液溶媒への溶媒溶解性や熱力学的検証、例えばガラス転移点(Tg)の消滅等で行なうことができる。
【0112】
次に、上記のような本発明の化合物を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体、特に有機感光体の層構成について記載する。
【0113】
本発明の有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0114】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0115】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0116】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗10Ωcm以下が好ましい。
【0117】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0118】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、前記バリヤー機能を備えた中間層を設ける。
【0119】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0120】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0121】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる結晶構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0122】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0123】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0124】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0125】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0126】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0127】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。
【0128】
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは電子写真感光体中ないしは電子写真感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。
【0129】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmが好ましく、8〜30μmがより好ましい。電荷輸送層の合計膜厚が5μm未満だと帯電電位が不十分になりやすく、40μmを超えると、高速適応性が低下し、画像濃度が低下したり、鮮鋭性が劣化しやすい。高速適応性が十分で且つ良好な画像品質が得られる最も好ましい電荷輸送層の膜厚は16〜25μmである。
【0130】
電荷注入層
本発明の電子写真感光体は、電荷輸送層上に電荷注入層を設けた構成を有するが、電荷注入層は基本的に導電性微粒子を分散したバインダー樹脂層から構成される。
【0131】
電荷注入層のバインダー樹脂としては、先に説明した電荷輸送層と同じ樹脂を使用する。
【0132】
電荷注入層の導電性微粒子としては、脂肪酸塩類、高級アルコール類、硫酸エステル類、脂肪酸アミン類、第四級アンモニウム塩類、アルキルピリジウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、イミダゾリン誘導体等のアニオン系、カチオン系、又はノニオン系有機電解質;Au、Ag、Cu、Ni、Al等の金属;ZnO、TiO、SnO、In、Sb含有SnO、In含有SnO等の金属酸化物;MgF、CaF、BiF、AlF、SnF、SnF、TiF等の金属フッ化物;テトラインプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテートエチルエステル等の有機チタン化合物;及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0133】
又、本発明の電荷注入層には、電荷輸送物質を含有させることが好ましい。電荷注入層に電荷輸送物質を含有させることにより、繰り返し使用に伴う感度の低下や残留電位の上昇も防止される。又、電荷注入層には前記した酸化防止機能を有する化合物を含有させることが好ましい。
【0134】
電荷注入層の膜厚は、0.3〜10μmが適当であり、好ましくは、1〜5μmが良好である。
【0135】
又、電荷注入層の体積抵抗は1010〜1015Ω・cmの範囲になるように設定するのが好ましく、特には1010〜1014Ω・cmが好ましい。膜強度的には、導電性粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、導電性粒子の量は、電荷注入層の抵抗及び残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。
【0136】
又、電荷注入層には、フッ素系樹脂粒子を含有させ、感光体表面の水に対する接触角を90°以上にすることが好ましく、更に、95°以上がより好ましい。即ち、接触角を大きくして、感光体の表面エネルギーを小さくすることにより、絶縁破壊や画像欠陥の原因となる感光体表面へのトナーや紙粉によるフィルミングの発生を防止することができる。該フッ素系樹脂粒子とはフッ素原子を含有した樹脂粒子を意味し、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体のなかから1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。フッ素系樹脂粒子の分子量や粒子の粒径は、適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、体積平均粒径が0.05〜5μmのものが好ましい。
【0137】
なお、上記フッ素系樹脂粒子の体積平均粒径はレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−700」(堀場製作所(株)社製)により測定される。又、感光体の表面接触角は、純水に対する接触角を接触角計(CA−DT−A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。
【0138】
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
【0139】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0140】
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
【0141】
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0142】
次に、本発明の接触帯電方式を用いた画像形成装置について説明する。
《帯電手段》
本発明は感光体に帯電部材を接触させて帯電する(以下、接触帯電部材を用いた帯電手段とも云う)。このような帯電部材としては、磁気ブラシ方式、帯電ローラ方式、ブレード方式等各種帯電部材を用いることができるが、これらの中でも帯電部材として帯電ローラ方式、或いは磁気ブラシ方式が最も好ましく本発明に用いられる。即ち、帯電の均一性が得られやすい帯電ローラ、或いは磁気ブラシが良い。以下、帯電ローラ方式、及び磁気ブラシ方式の帯電手段について記載する。
【0143】
本発明においては、導電性弾性部材により構成された帯電ローラを感光体(像担持体)に接触させ、該帯電ローラに電圧を印加して感光体(像担持体)を帯電することが出来る。
【0144】
このような帯電ローラ方式は、直流電圧をローラに印加する直流帯電方式、交流電圧をローラに印加する誘導帯電方式のいずれでもよい。
【0145】
又誘導帯電方式で印加される電圧の周波数fは任意のものが用いられるが、ストロービングすなわち縞模様を防止するために、導電性弾性ローラ及び像担持体部材の相対速度に応じて適当な周波数を選択できる。該相対速度は導電性弾性ローラと像担持体との接触領域の大きさによって決めることができる。
【0146】
導電性弾性ローラは芯金の外周に導電性弾性部材よりなる層(単に導電性弾性層又H、導電性ゴム層ともいう)を被覆したものである。
【0147】
前記導電性ゴム層に用いることのできるゴム組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独でまたは2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0148】
導電性を付与するために、これらのゴム組成物に導電性付与剤を配合して使用する。適当な導電性付与剤としては、公知のカーボンブラック(ファーネス系カーボンブラックまたはケツチエンブラック)、酸化錫等の金属粉が挙げられる。導電性付与剤の使用量はゴム組成物全量に対して約5〜約50質量部である。
【0149】
ゴム組成物には、ゴム基材、発泡剤、導電性付与剤以外に必要に応じて、ゴム用薬品、ゴム添加剤を配合して導電性発泡ゴム組成物とすることもできる。ゴム用薬品、ゴム添加剤としては、硫黄、パーオキサイド等の加硫剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤、スルフェンアミド系、チラウム系、チアゾール系、グラニジン系等の加硫促進剤、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系等の老化防止剤、または酸化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、粘着付与剤等を使用することができ、さらに各種の補強剤、摩擦係数調整剤、シリカ、タルク、クレイ等の無機充填剤も任意に選択し使用し得る。これらの導電性ゴム層は10〜10Ωcmの範囲の直流体積抵抗率を有することが好ましい。
【0150】
更にこれら導電性弾性層の外側には、感光体表面に残留したトナー等の帯電部材への付着を防止する目的で、離型性被覆層を設けてもよい。該被覆層は又弾性層からのオイルの浸みだしの防止をはかると共に弾性層の抵抗ムラをキャンセルし、抵抗の均一化をはかる、帯電ローラの表面を保護する、帯電ローラの硬度を調整する、等の機能を果たしている。被覆層は上記物性を満足するものであれば、いずれのものでも良く、ひとつの層でも、複数の層でも良い。材料としてはヒドリンゴム、ウレタンゴム、ナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂が挙げられる。また、被覆層の厚みは100〜1000μmであることが好ましく、抵抗値は10〜10Ω・cmであることが好ましい。また、表層に近づくにつれ抵抗値は大きくなっていることが好ましい。抵抗を調整する方法としては、被覆層にカーボンブラック、金属及び金属酸化物等の導電性物質を含有させること等が挙げられる。
【0151】
帯電ローラの表面粗さRzを調整するには帯電ローラの表面層(導電性弾性層又は被覆層)に粉体を含有させることが好ましい。本発明に用いられる粒体は、無機物あるいは有機物のいずれでもよいが、無機物の場合、シリカ粉末が特に好ましい。有機物の場合、たとえばウレタン樹脂粒子、ナイロン粒子、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子等が挙げられる。これらの粒子は単独でまたは2種以上混合して用いられる。適当な粒体は表面層の表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に調整できる物質を選べばよいが、粒体の粒子径が1〜20μmの範囲にあると所望の表面粗度範囲が達成されやすい。粒子径が20μmを超すと、表面粗度Rzも10.0μmを超し、所期の目的を果さない。逆に、粒子径が1μm未満であると、表面粗度Rzが0.05μm未満となりやすくこれも所期の目的を果さない。
【0152】
表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に設定する理由は、10.0μmを超すとローラ表面に対するトナーのフィルミングが顕著になるからであり、0.05μm未満であると帯電ローラと感光体ドラムの密着性が高まり、すなわち接触面積が大きくなるので帯電音の抑制ができなくなるからである。
【0153】
粉体の表面層中の配合割合は、樹脂100質量部に対して約5〜約20質量部の割合で配合し、分散することが好ましい。
【0154】
帯電ローラは、たとえば次のようにして製造することができる。すなわち、まず円筒状成形空間を有する成形型内に、金属製の回転軸(芯金)を入れ成形型内に導電性弾性体層形成材料を充填し、加硫を行うことにより回転軸の外周面に導電性弾性体層を形成する。次いで、導電性弾性体層の形成された回転軸を成形型から取出す。一方、ウレタン樹脂等の材と、粒体、導電付与剤その他の添加剤を配合し、この配合物をボールミル等を用いて混合、撹拌し表面層形成材料混合物を調製する。そしてこの混合物をディップ法、ロールコート法、スプレーコーティング法等によって前記導電性弾性体層の形成された回転軸表面に均一な厚みに塗工して乾燥し、加熱硬化することにより2層構造の帯電ローラを製造することができる。このようにして得られる帯電ローラは、その最外層である表面層の表面の粗度Rzが0.05〜10.0μmに形成される。
【0155】
次に本発明の画像形成装置について述べる。
図1は帯電ローラ帯電を用いた画像形成装置の1例を示す図である。この画像形成装置は本発明を実施するためのものであり、静電潜像形成のための帯電手段として、帯電ローラを感光体ドラムに接触させて帯電せしめ(帯電工程)、又トナーを転写紙へ転写するための転写極(転写手段)に転写ローラを用いている(転写工程)。この転写ローラを直接或いは転写紙を挟んで感光体ドラムに接触させることによりオゾンの発生を回避させた態様のものでいわゆる接触帯電方式を採用しており、そして非接触現像により静電潜像を現像するものである。
【0156】
図1(a)において帯電ローラ1によって帯電された感光体ドラム2上にレーザを用いた像露光により静電潜像が形成される(像露光工程)。そして、この静電潜像は、感光体ドラム2に近接して配置された現像装置(現像手段)3の現像剤担持体である現像スリーブ4によってトナー像に現像される(現像工程)。そして、転写前の除電ランプ5によって感光体ドラム2の電荷が除電された後、トナー像は、給紙カセットから搬送ローラ8によって搬送されてきた転写紙Pに、転写ローラ6によりトナーと逆極性の電荷が付与され、この逆極性の電荷の静電気力により転写紙Pにトナーが転写される。トナー転写後の転写紙Pは、感光体ドラム2から分離された後、搬送ベルト7によって定着装置へ送られ、加熱ローラと押圧ローラによってトナー像が転写紙Pに定着される(定着工程)。
【0157】
前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)には電源9(10)からDC及びAC成分から成るバイアス電圧が印加され、オゾン発生量が極めて少い状態で感光体ドラム2への帯電及びトナー像の転写紙Pへの帯電が行なわれる。前記電圧は通常±300〜1000VのDCバイアスとこれに重畳して100Hz〜10KHz、200〜3500V(p−p)のACバイアスを付加することが好ましい。
【0158】
前記帯電ローラ1及び転写ローラ6は感光体ドラム2への圧接下に従動又は強制回転される。
【0159】
前記感光体ドラム2への圧接は10〜100g/cmとされローラの回転は感光体ドラム2の周速の1〜8倍とされる。
【0160】
図1(b)に示すように前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)は芯金20と、その外周に設けられた導電性弾性部材であるクロルプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム層又はそれらのスポンジ層21から成り、好ましくは最外層に0.01〜1μm厚の離型性弗素系樹脂又はシリコーン樹脂層から成る保護層22を設けて構成される。
【0161】
転写後の感光体ドラム2はクリーニング器(クリーニング手段)11のクリーニングブレード12の圧接によりクリーニングされ次の画像形成に供えられる。
【0162】
電子写真方式の画像形成装置としては、感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又像露光手段、現像手段、転写又は分離器、クリーニング手段の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、画像形成装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0163】
尚、前記図1においては、帯電器、及び転写極ともローラ帯電器を用いているが、本発明においては、本発明は帯電器に接触帯電部材(帯電ローラ等)を用いることであり、転写極には転写ローラ以外の転写手段を用いても良い。
【0164】
次に、帯電部材に磁気ブラシを用いる磁気ブラシ帯電装置について説明する。図2は接触式の磁気ブラシ帯電装置の図、図3は図2の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【0165】
一般に帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子の体積平均粒径が大きいと、帯電用磁気粒子搬送体(搬送担体)上に形成される磁気ブラシの穂の状態が粗いために、電界による振動を与えながら帯電しても、磁気ブラシにムラが現れ易く、帯電ムラの問題が起こる。この問題を解消するには、磁気粒子の体積平均粒径を小さくすればよく、実験の結果、体積平均粒径が200μm以下でその効果が現れ始め、特に150μm以下になると、実質的に磁気ブラシの穂の粗に伴う問題が生じなくなる。しかし、粒子が細か過ぎると帯電時に感光体ドラム50面に付着するようになったり、飛散し易くなったりする。これらの現象は、粒子に作用する磁界の強さ、それによる粒子の磁化の強さにも関係するが、一般的には、粒子の体積平均粒径が20μm以下に顕著に現れるようになる。
【0166】
以上から、磁気粒子の粒径は体積平均粒径が200μm以下、20μm以上であり、且つ該磁気粒子の個数平均粒径の1/2倍以下の粒径を有する磁気粒子を30個数%以下とすることが必要である。なお、磁化の強さは30〜100emu/gのものが好ましく用いられる。
【0167】
このような磁気粒子は、磁性体として前述した従来の二成分現像剤の磁性キャリヤ粒子におけると同様の、鉄、クロム、ニッケル、コバルト等の金属、あるいはそれらの化合物や合金、例えば四三酸化鉄、γ−酸化第二鉄、二酸化クロム、酸化マンガン、フェライト、マンガン−銅系合金、と云った強磁性体の粒子、又はそれら磁性体粒子の表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で被覆するか、あるいは、磁性体微粒子を分散して含有した樹脂で作るかして得られた粒子を従来公知の平均粒径選別手段で粒径選別することによって得られる。
【0168】
なお、磁気粒子を球状に形成することは、搬送担体に形成される粒子層が均一となり、また搬送担体に高いバイアス電圧を均一に印加することが可能となると云う効果も与える。即ち、磁気粒子が球形化されていることは、(1)一般に、磁気粒子は長軸方向に磁化吸着され易いが、球形化によってその方向性がなくなり、従って、磁気粒子層が均一に形成され、局所的に抵抗の低い領域や層厚のムラの発生を防止する、(2)磁気粒子の高抵抗化と共に、従来の粒子に見られるようなエッジ部が無くなって、エッジ部への電界の集中が起こらなくなり、その結果、帯電用磁気粒子の搬送担体に高いバイアス電圧を印加しても、感光体ドラム50面に均一に放電して帯電ムラが起こらない、という効果を与える。
【0169】
以上のような効果を奏する球形粒子には磁気粒子の抵抗率が10〜1010Ωcmであるように導電性の磁気粒子を形成したものが好ましい。この抵抗率は、粒子を0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値であり、この抵抗率が低いと、搬送担体にバイアス電圧を印加した場合に、磁気粒子に電荷が注入されて、感光体ドラム50面に磁気粒子が付着し易くなったり、あるいはバイアス電圧による感光体ドラム50の絶縁破壊が起こり易くなったりする。また、抵抗率が高いと電荷注入が行われず帯電が行われない。
【0170】
さらに、接触式の磁気ブラシ帯電装置120に用いられる磁気粒子は、それにより構成される磁気ブラシが振動電界により軽快に動き、しかも外部飛散が起きないように、比重が小さく、且つ適度の最大磁化を有するものが望ましい。具体的には真比重が6以下で最大磁化が30〜100emu/gのもの、特に40〜80emu/gを用いると好結果が得られることが判明した。
【0171】
以上を総合して、磁気粒子は、少なくとも長軸と短軸の比が3倍以下であるように球形化されており、針状部やエッジ部等の突起が無く、抵抗率は好ましくは10〜1010Ωcmの範囲にあることが望まれる。そして、このような球状の磁気粒子は、磁性体粒子にできるだけ球形のものを選ぶこと、磁性体微粒子分散系の粒子では、できるだけ磁性体の微粒子を用いて、分散樹脂粒子形成後に球形化処理を施すこと、あるいはスプレードライの方法によって分散樹脂粒子を形成すること等によって製造される。
【0172】
図2又は図3によれば、帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120は回転する感光体ドラム50と対向し、感光体ドラム50との近接部(帯電部T)において同方向(反時計方向)に回転される帯電用磁気粒子搬送体としての、例えばアルミ材やステンレス材を用いた円筒状の帯電スリーブ120aと、該帯電スリーブ120aの内部に設けられるN、S極よりなる磁石体121と、該磁石体121により帯電スリーブ120aの外周面上に形成され感光体ドラム50を帯電する磁気粒子からなる磁気ブラシと、磁石体121のN−N磁極部において該帯電スリーブ120a上の磁気ブラシを掻取るスクレーパ123と、磁気ブラシ帯電装置120内の磁気粒子を撹拌或いは磁気粒子供給時に使用済み磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120の排出口125より溢れさせて排出する撹拌スクリュウ124と、磁気ブラシの穂立ち規制板126とにより構成される。帯電スリーブ120aは磁石体121に対し回動可能になっていて、感光体ドラム50との対向位置で感光体ドラム50の移動方向と同方向(反時計方向)に0.1〜1.0倍の周速度で回転させられるのが好ましい。また帯電スリーブ120aは、帯電バイアス電圧を印加し得る導電性の搬送担体が用いられるが、特に、表面に粒子層が形成される導電性の帯電スリーブ120aの内部に複数の磁極を有する磁石体121が設けられている構造のものが好ましく用いられる。このような搬送担体においては、磁石体121との相対的な回転によって、導電性の帯電スリーブ120aの表面に形成される磁気粒子層が波状に起伏して移動するようになるから、新しい磁気粒子が次々と供給され、帯電スリーブ120a表面の磁気粒子層に多少の層厚の不均一があっても、その影響は上記波状の起伏によって実際上問題とならないように十分カバーされる。帯電スリーブ120aの表面は磁気粒子の安定な均一搬送のために表面の平均粗さを5.0〜30μmとすることが好ましい、平滑であると搬送は十分に行えなく、粗すぎると表面の凸部から過電流が流れ、どちらにしても帯電ムラが生じ易い。上記の表面粗さとするにはサンドブラスト処理が好ましく用いられる。また、帯電スリーブ120aの外径は5.0〜20mmが好ましい。これにより、帯電に必要な接触領域を確保する。接触領域が必要以上に大きいと帯電電流が過大となるし、小さいと帯電ムラが生じ易い。また上記のように小径とした場合、遠心力により磁気粒子が飛散あるいは感光体ドラム50に付着し易いために、帯電スリーブ120aの線速度は感光体ドラム50の移動速度と殆ど同じか、それよりも遅いことが好ましい。
【0173】
また、帯電スリーブ120a上に形成する磁気粒子層の厚さは、規制手段によって十分に掻き落されて均一な層となる厚さであることが好ましい。帯電領域において帯電スリーブ120aの表面上の磁気粒子の存在量が多すぎると磁気粒子の振動が十分に行われず感光体の摩耗や帯電ムラを起こすとともに過電流が流れ易く、帯電スリーブ120aの駆動トルクが大きくなるという欠点がある。反対に磁気粒子の帯電領域における帯電スリーブ120a上の存在量が少な過ぎると感光体ドラム50への接触に不完全な部分を生じ磁気粒子の感光体ドラム50上への付着や帯電ムラを起こすことになる。実験を重ねた結果、帯電領域における磁気粒子の好ましい付着量は100〜400mg/cmであり、特に好ましくは200〜300mg/cmであることが判明している。なお、この付着量は、磁気ブラシの帯電領域における平均値である。
【0174】
帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120には、直流(DC)バイアスE3に必要により交流(AC)バイアスAC3が重畳される帯電バイアス、例えば直流バイアスE3としてトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の−100〜−500Vが、また交流バイアスAC3として周波数1〜5kHz、電圧300〜500VP−Pの帯電バイアスが印加される帯電スリーブ120aにより、感光体ドラム50の周面が接触、摺擦されて感光体ドラム50が帯電される。帯電スリーブ120aと感光体ドラム50との間には前記交流バイアスAC3の電圧印加による振動電界が形成されているので、磁気ブラシを経て感光体層10a上への電荷の注入が円滑に行われて一様に高速な帯電が行われる。
【0175】
感光体ドラム50を帯電した帯電スリーブ120a上の磁気ブラシは、磁石体121に設けられるN−N磁極部において、スクレーパ123により帯電スリーブ120a上より落下され帯電スリーブ120aとの近接部において帯電スリーブ120aと逆方向(反時計方向)に回転する撹拌スクリュウ124により撹拌された後、再度磁気ブラシ形成され帯電部Tに搬送される。
【0176】
図3に示すように、帯電バイアスの交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)と帯電電位との関係は、ピーク・ピーク電圧VP−Pが大きくなるに従い帯電電位が大きくなり、帯電電位はピーク・ピーク電圧が一定のV1で帯電バイアスの直流バイアスE3の値VSとほぼ等しい値で飽和し、それ以上ピーク・ピーク電圧VP−Pを大きくしても帯電電位は殆ど変化しないという特性がある。磁気粒子の電気抵抗は環境条件によっても変化するが、また使用するに従い磁気粒子の表面にトナーが融着するなどして電気抵抗は高くなる。このため、特性曲線は使用初期の新しい磁気粒子の場合は実線で示す(a)のように左側に、長期間使用した磁気粒子の場合は前記特性曲線は点線で示す(b)のように右側に位置することになる。
【0177】
本発明の画像形成装置の接触方式による帯電装置では、装着電源のon時或いはプリント開始前に帯電電位に相当する直流バイアスE3の電圧値を所定値とし、交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)を低い値から次第に大きくした帯電バイアスを印加してその時変化する感光体ドラム50の帯電電位を電位計ESによって検出する。検出される帯電電位はA/D変換器によってディジタル値に変換されたのち制御部(CPU)に入力される。制御部ではこの帯電電位が所定値VSの飽和点に達した時のVP−Pの値を適正バイアス値V1と規定してプリント動作とする。
【0178】
即ち、プリントが行われる時交流バイアスAC3を低い値から次第に大きくして(スイープして)交流バイアスAC3のVP−Pの値V1を求め、制御部からバイアス信号が出力される。この制御信号はD/A変換器によってアナログ値に変換された後交流バイアスAC3に送出され、交流バイアスAC3は決定されたピーク・ピーク電圧V1を出力する。その際のピーク・ピーク電圧V1の値とメモリに格納された磁気粒子の劣化により交換すべき規定値V2を読み出しこれと比較する。磁気粒子はトナーの混入により抵抗が増加するので、プリントの使用に従い適正バイアス値V1が増加する。これに伴い印加するVP−Pが増加し帯電不能な状態が生じることになる。測定した電圧値が帯電不能を示す規定値V2より小さい間は画像形成を続けるが、規定値V2より大きくなると、制御部より画像形成動作停止信号が送出され画像形成動作を停止し、不図示の操作部の表示部に帯電装置異常の表示を行う。この表示に基づき、帯電用の磁気粒子の供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120に落下、供給する。上記において感光体ドラム50の電位の測定に電位計ESを用いたが、バイアス電源に直流電流計を繋いで用いて交流バイアスVP−Pを変化させ、この電流値が飽和点に達した時のVP−Pを適正バイアス値V1と設定し、規定値V2との比較を行いV1を越えた時磁気粒子の供給を行うようにしてもよい。
【0179】
またメンテナンス時或いは例えば5万プリント等の定期時に、帯電用の磁気粒子の交換が行われる。メモリに記憶されたメンテナンスプリント毎や例えば5万プリント毎の定期時に、制御部を通して交換信号が出され、不図示の駆動モータの駆動により予めセットされた帯電用の磁気粒子の供給ボトル220の供給ローラ221が回転され、供給ボトル220内の磁気粒子が磁気ブラシ帯電装置120内に全量が1回で落下される。供給後空の供給ボトル220を外し、新たな供給ボトル220をセットすることにより画像形成装置が作動状態となるように制御することも可能である。また、定期時に制御部より不図示の操作部に例えばランプの点滅等による供給信号を表示し、供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を供給するようにしてもよい。
【0180】
落下された磁気粒子は回転される帯電スリーブ120aにより搬送され、スクレーパ123により帯電スリーブ120a表面より掻落とされて磁気ブラシ帯電装置120の底部に補給される。これに伴い、反時計方向に回転される撹拌スクリュウ124により磁気ブラシ帯電装置120内部に収納されている使用済みの磁気粒子が排出口125より溢れ出され、ダクトDBを通して共通の磁気粒子回収容器300に回収される。この際、供給ボトル220より磁気ブラシ帯電装置120内に供給される1回の磁気粒子供給量は磁気ブラシ帯電装置120内に収納される全磁気粒子に対して、20〜50質量%が好ましい。20質量%未満では新規に供給される磁気粒子量が少な過ぎ交換効果がなく良好な帯電が行われず、50質量%を越えると新規の磁気粒子が溢れ出てしまう。
【0181】
上記により、帯電装置内の磁気粒子が劣化されることなく良好な帯電性能が長期に維持される。
【0182】
図4は磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。図4において50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の構成を有する感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52は磁気ブラシ帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電を与えられる(帯電工程)。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0183】
感光体への一様帯電ののち像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる(像露光工程)。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0184】
その静電潜像は次いで現像器54で現像される(現像工程)。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0185】
転写材(記録紙とも云う)Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0186】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写ローラ(転写器)58が圧接され、給紙された転写材Pを挟着して転写される(転写工程)。
【0187】
次いで転写材Pは転写ローラとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラ601と圧着ローラ602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち(定着工程)排紙ローラ61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラ58及び分離ブラシ59は転写材Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0188】
一方転写材Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のクリーニングブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0189】
尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0190】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0191】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザビームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0192】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0193】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0194】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。但し、下記文中の「部」は「質量部」を示す。
【0195】
下記のごとくして、感光体を作製した。
感光体1の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、中間層を形成した。
【0196】
X成分:酸化チタン(数平均一次粒子径:35nmのアナターゼ形酸化チタン顔料) 100部
Y成分:イソプロピルトリイソステアロイルチタネート 10部
Z成分−1:ビニル系樹脂セグメントA溶液(ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂樹脂成分A溶液) 100部
Z成分−2:メチルトリメトキシシラン 70部
Z成分−3:ジメチルジメトキシシラン 30部
溶媒1:i−ブチルアルコール 100部
溶媒2:ブチルセロソルブ 75部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 10部
上記X成分、Y成分、溶媒1、50部を混合し、該混合液を一昼夜かけてメディア分散した。該メディア分散液に上記した残りの成分を添加し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部添加、攪拌して、その後濾過してメディアを除去し、中間層塗布液を調製した。この塗布液を前記円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚10μmの本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を形成した。
【0197】
〈電荷発生層(CGL)〉
オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折の最大ピーク角度がブラッグ2θで27.3) 20部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0198】
〈電荷輸送層(CTL)〉
電荷輸送剤(〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕−ジ−p−トリルアミン) 75部
ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)100部
塩化メチレン 750部
上記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0199】
〈電荷注入層〉
電荷輸送物質(〔4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル〕−ジ−p−トリルアミン) 200部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 300部
下記化合物Aで表面処理した(処理量7%)
アンチモンドープ酸化スズ超微粒子 250部
メチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(処理量20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子250部
ヒンダードアミン(サノールLS2626:三共社製) 3部
ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均粒径0.5μm) 150部
1−ブタノール 2000部
を混合し、溶解して表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を前記感光体1の電荷輸送層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃、40分の加熱硬化を行い乾燥膜厚2.0μmの電荷注入層を形成し、感光体2を作製した。該感光体1の表面の水に対する接触角は116°であった。
【0200】
感光体2の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液の酸化チタンの粒径を35nmから15nmのアナターゼ形酸化チタン顔料に代えた他は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体2を作製した。
【0201】
感光体3の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液の酸化チタンの粒径を35nmから180nmのアナターゼ形酸化チタン顔料に代えた他は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体3を作製した。
【0202】
感光体4の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液のビニル系樹脂セグメントA溶液をビニル系樹脂セグメントB溶液(ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系セグメントB溶液)に代えた以外は感光体1と同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を含有する感光体4を作製した。
【0203】
感光体5の作製
感光体1の作製において、中間層を下記の中間層に代え、乾燥膜厚を4μmにした以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体5を作製した。
【0204】
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に塗布し、中間層を形成した。
【0205】
X成分:酸化チタン(数平均一次粒子径:35nmのアナターゼ形酸化チタン顔料) 100部
Y成分:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 10部
Z成分−1:ビニル系樹脂セグメントA溶液(ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントA溶液) 100部
Z成分−2:メチルトリメトキシシラン 100部
溶媒1:i−ブチルアルコール 100部
溶媒2:ブチルセロソルブ 75部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 10部
上記X成分、Y成分、溶媒1、50部を混合し、該混合液を一昼夜かけてメディア分散した。該メディア分散液に上記した残りの成分を添加し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部を添加、攪拌して、その後濾過してメディアを除去し、中間層塗布液を調製した。この塗布液を円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚4μmの本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を形成した。
【0206】
感光体6の作製
感光体1の作製において、中間層を下記の中間層に代え、乾燥膜厚を20μmにした以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体6を作製した。
【0207】
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの円筒状アルミニウム基体上に塗布し、中間層を形成した。
【0208】
X成分:酸化チタン(数平均一次粒子径:35nmのアナターゼ形酸化チタン顔料) 100部
Y成分:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 20部
Z成分−1:ビニル系樹脂セグメントB溶液(ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系樹脂セグメントB溶液) 100部
Z成分−2:メチルトリメトキシシラン 80部
溶媒1:i−ブチルアルコール 100部
溶媒2:ブチルセロソルブ 75部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 10部
上記X成分、Y成分、溶媒1、50部を混合し、該混合液を一昼夜かけてメディア分散した。該メディア分散液に上記した残りの成分を添加し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部を添加、攪拌して、その後濾過してメディアを除去し、中間層塗布液を調製した。この塗布液を円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚20μmのX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を形成した。
【0209】
感光体7の作製
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分の酸化チタンをアナターゼ形酸化チタンからルチル形酸化チタン(数平均一次粒子径:35nm)に代え、Z成分のビニル系樹脂セグメントA溶液をビニル系樹脂セグメントC溶液(シリル変性されたビニル系樹脂セグメントC溶液)に代えた以外は感光体1と同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体7を作製した。
【0210】
感光体8
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分を酸化チタンから酸化亜鉛(数平均一次粒子径:100nm)に変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体8を作製した。
【0211】
感光体9
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分を酸化チタンから酸化ジルコニウム(数平均一次粒子径:350nm)に変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体9を作製した。
【0212】
感光体10
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分を酸化チタンから酸化アルミニウムAl(数平均一次粒子径:35nm)に変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体9を作製した。
【0213】
感光体11
感光体1の作製において、中間層塗布液のZ成分−1を除去し、Z成分−2を70部から140部に、Z成分−3を30部から60部にに変更した以外は同様にして、本発明のX成分、Y成分、及びZ成分を有する組成物(中間層塗布液)から形成される化合物を含有する中間層を有する感光体9を作製した。
【0214】
感光体12〜15
感光体1の作製において、電荷注入層のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子の種類、量及び膜厚を表1のように代え、感光体の接触角を変化させた以外は感光体1と同様にして感光体12〜15を作製した。
【0215】
感光体16(比較用感光体)
感光体1の作製において、中間層を下記の中間層に代えた以外は同様にして、比較用の感光体16を作製した。
【0216】
中間層塗布液の作製
X成分:酸化チタン(数平均一次粒子径:35nmのアナターゼ形酸化チタン顔料) 100部
Y成分:イソプロピルトリイソステアロイルチタネート 10部
Z成分:ポリアミド樹脂(メトキシメチル化ナイロン6(メトキシメチル化度は25%)) 150部
イソプロピルアルコール 500部
ポリアミドをイソプロピルアルコールで加温溶解後、酸化チタンを混合、該混合液を分散部分の構造がセラミックで表面加工されたサンドミル分散機で、分散時間10時間、バッチ式にて分散し中間層塗布液を作製した。該中間層塗布液を円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、乾燥膜厚10μmの中間層を形成した。
【0217】
感光体17(比較用感光体)
感光体1の作製において、中間層塗布液のX成分:酸化チタンを除いた以外は感光体1と同様にして、比較用の感光体17を作製した。
【0218】
感光体18(比較用感光体)
感光体1の作製において、電荷注入層を除いた以外は感光体1と同様にして、比較用の感光体18を作製した。
【0219】
表1中に、感光体1〜18の中間層、電荷注入層の相違点と前記した感光体表面の水に対する接触角の測定結果を示した。
【0220】
【化5】
Figure 2005037480
【0221】
【表1】
Figure 2005037480
【0222】
【表2】
Figure 2005037480
【0223】
G、Hは下記のフッ素系樹脂微粒子を示す。
G:四フッ化エチレン樹脂粒子(ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)
H:三フッ化エチレン樹脂粒子(ダイフロン、ダイキン工業(株)製)
尚、前記感光体1〜18の作製と同時に、各感光体の中間層塗布液を用いて、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレート支持体上に各中間層塗布液を塗布し、前記感光体の乾燥条件と同じ条件で乾燥膜厚10μmの中間層を形成して体積抵抗測定用試料を作製し、各中間層の体積抵抗を測定した。その結果、感光体1〜18の中間層の体積抵抗は全て1×10以上であった。又、同時に各中間層の塗布液溶媒への溶媒溶解性を検証したが、感光体16の中間層を除く全ての中間層が塗布液溶媒へ溶解せず、これらの中間層が三次元構造の架橋構造を有していることが示された。一方、感光体16の中間層は、塗布液溶媒への溶解性を示し、中間層形態が徐々に溶解していった。
【0224】
評価1(帯電ローラを用いた評価)
以上のようにして得た感光体1〜18を下記構成の帯電ローラを組み込んだコニカ(株)製の反転現像方式デジタル複写機「Konica7050」の改造機に各々装着し、高温高湿(30℃80%RH)と低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、それぞれ評価項目を変えて評価した。評価結果を表3に示す。
【0225】
帯電ローラ
導電性弾性体層の材料として、ポリノルボルネンゴム/カーボンブラック/ナフテン系オイル及び必要に応じて加硫剤、加硫促進剤、添加剤等を混合、調製し、金型充填し、導電性弾性体層を形成した。この層の上に、被覆層形成材料としてポリエステルウレタン、粒径約0.5μmの樹脂粉体、カーボンブラック、溶剤(MEK/ジメチルホルムアミド)から成る組成物液中に浸漬し、コーティング、乾燥、加熱処理し、ウレタン層からなる被覆層を形成し、帯電ローラNo.1を得た。導電性弾性層の抵抗は3.2×10Ωcm、被覆層の抵抗は5.2×10Ωcmであり、帯電ローラの表面粗さは十点平均粗さRzが0.1であった。
【0226】
感光体の線速:280mm/sec
露光条件
露光部電位目標:−50V未満にする露光量に設定。
【0227】
露光ビーム:ドット密度800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザビームスポット面積:0.8×10−9、レーザは780nmの半導体レーザを使用
転写条件:コロトロン電極を用いた静電転写
分離条件:交流バイアスを印加した分離電極の分離手段を用いた
クリーニング:ゴム弾性ブレードを用い、感光体への当接角度:20°、当接荷重:20(g/cm)になるように調整した。
【0228】
評価項目及び評価方法
評価項目及び評価基準
残留電位の評価(べた黒画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の複写を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた黒画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し残留電位の上昇が小さい。
【0229】
◎;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V以上、150V以下(実用上問題なし)
×;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
帯電電位の評価(べた白画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の複写を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた白画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し帯電電位の変化が小さい。
【0230】
◎;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V以上、150V以下(実用上問題なし)
×;べた白画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
画像濃度;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。多数枚のコピーで残留電位が増加すると、画像濃度が低下する。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
【0231】
◎:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.2より高い(良好)
○:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.0以上、1.2以下(実用上問題なし)
×:低温低湿、高温高湿の何れかで黒ベタ画像が1.0未満(実用上問題あり)
カブリ;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
カブリ濃度はべた白画像をマクベス社製RD−918を使用し反射濃度で測定した。該反射濃度は相対濃度(複写していないA4紙の濃度を0.000とする)で評価した。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
【0232】
◎;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010未満(良好)
○;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010以上、0.020以下(実用上問題ないレベル)
×;低温低湿、高温高湿の何れかで濃度が0.020より高い(実用上問題となるレベル)
絶縁破壊;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)で評価
○;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生なし。
【0233】
×;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生した。
周期性の画像欠陥(高温高湿(30℃80%RH))
周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチ、黒筋状の画像欠陥が、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0234】
◎;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:全ての複写画像が5個/A4以下(良好)
○;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:6個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
鮮鋭性
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0235】
◎;画像ボケの発生がなく、3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○;画像ボケの発生が軽微であり、3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×;画像ボケが発生し、3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
【0236】
【表3】
Figure 2005037480
【0237】
表3より、本発明のX成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有する中間層、該中間層上に感光層、電荷注入層を有する感光体1〜15は高温高湿、低温低湿での残留電位、帯電電位の安定性に優れており、このことから画像濃度が十分で且つカブリ濃度が小さい。しかも絶縁破壊も発生せず、黒ポチ等の改良効果が顕著であり、その結果鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ている。特に、X成分にアナターゼ形酸化チタンを用い、Z成分にビニル系樹脂セグメント(Z成分−1)と反応性有機ケイ素化合物(Z成分−2、Z成分−3)を用い、且つ電荷注入層の接触角が95°以上の感光体1〜6、12、13は各評価項目の改良効果が他の感光体7〜11、14、15に比し顕著である。一方、中間層のバインダー樹脂にポリアミド樹脂を用いZ成分を用いていない本発明外の感光体16は残留電位上昇が大きく、画像濃度が低下し、絶縁破壊も発生し、鮮鋭性も低下している。又、中間層にX成分を用いていない本発明外の感光体17は残留電位上昇、帯電電位の変動が大きく、画像濃度の低下、カブリの発生、絶縁破壊やモアレも発生し、その結果鮮鋭性も低下している。又、電荷注入層を持たない感光体18は帯電電位の変動が大きく、カブリが発生し、その結果鮮鋭性も低下している。又、絶縁破壊、黒ポチも発生している。
【0238】
評価2(磁気ブラシを用いた評価)
〈評価条件〉
評価1で用いた帯電ローラを磁気ブラシ帯電器に変更し、更に、感光体の線速:140mm/secに改造した以外は評価1と同様にして、感光体1〜15を評価した。
【0239】
(磁気ブラシ帯電器)
図2の構造を有す。
【0240】
磁気粒子の作製
帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子を下記のように作製した。
【0241】
Fe:50モル%
CuO:24モル%
ZnO:24モル%
以上を粉砕、混合し分散剤およびバインダーと水を加えスラリーとした後、スプレードライヤーで造粒操作を行い、分級した後1125℃にて焼成を行った。得られた磁気粒子を解砕処理の後、分級を行い、体積平均粒径が27μmである磁気粒子1を得た。磁気粒子の抵抗率は2×10Ωcm、磁化の強さは65emu/gであった。
【0242】
磁気粒子の体積平均粒径の測定方法
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0243】
抵抗率(Ωcm)の測定法
磁気粒子を0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値。
【0244】
帯電条件
帯電スリーブ;10mmφのステンレス鋼
帯電スリーブに印加される電圧;直流電圧450Vに交流電圧を重畳
帯電領域の磁性粒子量;250mg/cm
帯電スリーブ/感光体の線速比;0.8
〈評価〉
磁気ブラシを用いた接触帯電方式の画像形成方法においても、本発明の感光体1〜15は帯電ローラによる接触帯電の場合とほぼ同等の効果が得られている。
【0245】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を用いることにより、接触帯電方式で発生しやすい低温低湿、高温高湿での残留電位の上昇や帯電電位の変動を防止し、又絶縁破壊や画像欠陥を防止し、画像濃度、カブリ、モアレ、鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯電ローラ帯電を用いた画像形成装置の1例を示す図である。
【図2】接触式の磁気ブラシ帯電装置の図である。
【図3】図2の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【図4】磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
2 感光体ドラム
3 現像装置
4 現像スリーブ
5 除電ランプ
6 転写ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ローラ
20 芯金
50 感光体ドラム
51 露光部
52 磁気ブラシ帯電器
53 像露光器
54 現像器
120 磁気ブラシ帯電装置
120a 帯電スリーブ
220 供給ボトル
300 磁気粒子回収容器

Claims (17)

  1. 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、該電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、下記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    X成分:無機酸化物ネットワーク形成化合物
    Y成分:金属原子含有有機ネットワーク形成化合物
    Z成分:バインダーネットワーク形成化合物
  2. 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  3. 前記X成分が表面に反応性基を有する無機酸化物粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記無機酸化物粒子がTiO、ZrO、ZnO、Alのいずれか1つの粒子であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記TiO粒子がアナターゼ型酸化チタンであることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記無機酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記Y成分がカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記カップリング剤がチタンカップリング剤又はシランカップリング剤であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記Z成分が反応性セグメントであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記反応性セグメントが低重合度のビニル系樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記Z成分が反応性有機ケイ素化合物及び反応性セグメントの併用であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  13. 前記中間層の膜厚が4〜20μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  14. 前記電荷注入層が導電性粒子を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  15. 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有する電子写真感光体と該電子写真感光体上を一様に帯電する帯電手段、該電子写真感光体上の静電潜像を顕像化する現像手段、該電子写真感光体上に顕像化されたトナー像を転写材上に転写する転写手段の少なくとも1つとが一体的に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に装着されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  16. 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも中間層、感光層及び電荷注入層を有し、該中間層が、前記X成分、Y成分、Z成分を有する組成物から形成される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置。
  17. 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段を有する画像形成方法において、請求項16の画像形成装置を用い、電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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