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JP7005133B2 - 画像投射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像表示素子からの光を投射する画像投射装置に関する。
従来から、蛍光体を備えた画像投射装置が知られている。このような画像投射装置において、蛍光体は、光源から射出された光の一部を、この光の波長よりも長い光に変換する波長変換素子として機能する。ところが、蛍光体の特性や劣化により色味が変化してしまうため、蛍光体の特性や劣化に応じた色補正を行う必要がある。
特許文献1には、色バランスを調整するため、光量モニターからの第1光量と第2光量に基づいて、第2光量を一定に制御するとともに、光変調装置による第1光量の変調量を制御する制御部を備えたプロジェクタが開示されている。特許文献2には、蛍光体の劣化による色変化の発生を防止するため、蛍光体からの光の一部を反射する反射光学系で反射された光を検出する検出装置の検出結果から蛍光体の劣化状態を判断する制御装置を備えたプロジェクタが開示されている。
特許第5593703号 特許第5703631号
しかしながら、特許文献1のプロジェクタにおいて、色バランスを調整するたびに光変調装置の階調が異なる場合、光量モニターに戻ってくる光の色味や輝度が変化し、制御誤差が生じる。特許文献2のプロジェクタでは、蛍光体の劣化状態を判断するたびに光変調装置の階調が異なる場合、検出装置に戻ってくる色味や輝度が変化し、検出誤差が生じる。
そこで本発明は、従来よりも高精度な色補正を行うことが可能な画像投射装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての画像投射装置は、光源部と、前記光源部からの光を変調する光変調素子と、前記光源部から前記光変調素子までの光路における光強度を取得する光センサと、前記光強度と投射光の色情報との関係を示すデータが記憶された記憶部と、特定の階調の画像データに基づいて前記光変調素子を制御した状態で前記光センサが取得した光強度と、前記データとに基づいて、前記光変調素子に関する色補正を制御する制御部とを有する。

本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、従来よりも高精度な色補正を行うことが可能な画像投射装置を提供することができる。
実施例1における画像投射装置の構成図である。 実施例1において、レーザ光源の電流値と光センサにより取得された明るさとの関係図である。 実施例1において、レーザ光源の電流値と照度計から取得された明るさとの関係図である。 実施例1において、レーザ光源の電流値と明るさ比率との関係図である。 実施例1において、反射型液晶表示素子のゲインと明るさ比率との関係図である。 実施例1において、階調が黒表示および白表示のそれぞれの場合におけるレーザ光源の電流値と光センサにより取得された明るさとの関係図である。 実施例2における画像投射装置の構成図である。 実施例2において、階調が黒表示および白表示のそれぞれの場合におけるレーザ光源の電流値と光センサにより取得された明るさとの関係図である。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施例1における画像投射装置(プロジェクタ)の構成について説明する。図1は、画像投射装置100の構成図である。
画像投射装置100は、光源部50(光源装置)を有する。光源部50は、光源を収納することが可能なユニットであり、本実施例ではレーザ光源1、コリメータレンズ2、ダイクロイックミラー(またはハーフミラー)3、コンデンサレンズ4、5、および、蛍光体6を有する。
レーザ光源1(励起光源などの光源)は、第1波長帯域の励起光(青帯域光または紫外帯域光)を射出するレーザダイオードである。レーザ光源1から射出された光束(励起光)は、発散光束であり、レーザ光源1の直後に配置されたコリメータレンズ2により、平行光束に変換される。コリメータレンズ2から射出したレーザ光束は、ダイクロイックミラー3により反射され、コンデンサレンズ4、5に向かう。ダイクロイックミラー3は、コリメータレンズ2からの光束を反射する必要最小限の大きさになっている。ダイクロイックミラー3の表面には、レーザ光源1から射出した波長光(レーザ光源1の波長を有する光)は反射するが、蛍光光(変換光)波長は透過する特性を有する誘電体多層膜がコーティングされている。
ダイクロイックミラー3により反射した光束は、コンデンサレンズ4、5に入射する。図1において、コンデンサレンズユニットとして、正のパワーを有する2枚のレンズ(コンデンサレンズ4、5)により構成されているが、これに限定されるものではない。コンデンサレンズユニットは、1枚のレンズまたは3枚以上のレンズにより構成されていてもよい。コンデンサレンズ4、5は、分割光束を集光および重畳して蛍光体(蛍光体ユニット)6上に均一にレーザ光スポットを形成する。
蛍光体6は、レーザ光源1から射出した青帯域光(または紫外帯域光)を緑帯域光および赤帯域光に変換する(蛍光変換を行う)とともに、変換光(緑帯域光および赤帯域光)を戻り光(青帯域光)と重ねて反射することにより白色光を生成する。このように蛍光体6は、励起光を、第1波長帯域よりも長い第2波長帯域の変換光に変換する波長変換素子である。なお本実施例において、レーザ光源1からの光を蛍光体6で波長変換する光源部50を用いているが、これに限定されるものではなく、白色光源を備えた光源部などの他の光源部を用いてもよい。
画像投射装置100は、照明光学系60を有する。照明光学系60は、光源部50からの光束を用いて後述の反射型液晶表示素子28、29、30(光変調素子)を照明する。照明光学系60は、コリメータレンズ7、フライアイレンズ8、9、PS変換素子(偏光変換素子)10、コンデンサレンズ11、ミラー12、光センサ13、および、レンズ14を有する。
光源部50からの光束は、コリメータレンズ7を介して、フライアイレンズ8、9に導かれ、PS変換素子10に入射する。PS変換素子10は、入射した光束の偏光方向を所定の方向に揃える(P偏光に整える)ように構成されている。PS変換素子10からの光束は、コンデンサレンズ11を介して、ミラー12で反射する。光センサ13は、ミラー12の近傍(光変調素子の入射側)に配置されており、ミラー12における漏れ光を受光することにより、光源部50からの光束に関する光情報(光強度または明るさ)を取得する。ミラー12で反射した光束は、レンズ14を介して、色分離合成部70に導かれる。
色分離合成部70は、ダイクロイックミラー21、偏光ビームスプリッタ22、23、色選択性波長板24、位相板25、26、27、反射型液晶表示素子28、29、30、および、色合成プリズム31を有する。ダイクロイックミラー21は、緑帯域光を透過し、青帯域光および赤帯域光を反射する。ダイクロイックミラー21を透過した緑帯域光は、偏光ビームスプリッタ22に入射し、位相板27を透過して反射型液晶表示素子30(第3光変調素子)に入射する。一方、色選択性波長板24は、ダイクロイックミラー21を反射した青帯域光および赤帯域光のうち、青帯域光の偏光方向を90°変換してS偏光とし、赤帯域光はP偏光のままの状態で、偏光ビームスプリッタ23に入射させる。P偏光である赤帯域光は偏光ビームスプリッタ23を透過し、S偏光である青帯域光は偏光ビームスプリッタ23で反射する。これにより、偏光ビームスプリッタ23に入射した光は、互いに偏光方向が直交する青帯域光と赤帯域光とに分離される。偏光ビームスプリッタ23を反射した青帯域光は、位相板25を透過し、反射型液晶表示素子28(第1光変調素子)に入射する。偏光ビームスプリッタ23を透過した赤帯域光は、位相板26を透過し、反射型液晶表示素子29(第2光変調素子)に入射する。
反射型液晶表示素子28、29、30はそれぞれ、入射光(光源部50からの光)を画像信号(駆動信号)に応じて変調して反射することにより画像光を形成する光変調素子(画像表示素子)である。反射型液晶表示素子30により180°位相差変調されて反射した緑帯域光は、位相板27を透過し、S偏光となって偏光ビームスプリッタ22を反射し、色合成プリズム31に入射する。反射型液晶表示素子29により180°位相差変調されて反射した赤帯域光は、位相板26を透過し、S偏光となって偏光ビームスプリッタ23を反射し、色合成プリズム31に入射する。反射型液晶表示素子28により180°位相差変調されて反射した青帯域光は、位相板25を透過し、P偏光となって偏光ビームスプリッタ23を透過し、色合成プリズム31に入射する。色合成プリズム31は、赤(R)、緑(G)、青(B)の全波長帯域の光を合成し、投射光学系(投射レンズ)80に出射する。投射光学系80は、色合成プリズム31からの合成光(投射光)を不図示のスクリーンなどの被投射面に投射する。なお本実施例において、色分離合成部70のうち反射型液晶表示素子28、29、30を除く部分を色分離合成系という。
制御部40は、特定の画像データに対応する画像を出力するように反射型液晶表示素子28、29、30を制御した状態で、光情報を取得するように光センサ13を制御する。特定の画像データとは、反射型液晶表示素子28、29、30に入力される特定の画像データ(画像信号)である。また、特定の画像データに対応する画像を出力するように反射型液晶表示素子を制御した状態とは、反射型液晶表示素子から光センサ13への戻り光が初期設定時と同じになる所定の状態(階調が同じ状態)であることを意味する。すなわち制御部40は、反射型液晶表示素子28、29、30の階調を特定の階調(例えば、黒階調または低階調)にした状態で光情報を取得するように光センサ13を制御する。記憶部42は、制御部40による制御の際に用いられる各種データを記憶するメモリである。
次に、画像投射装置100(光源部50)からの出射光に関する色味の変化について説明する。蛍光体6は、一般的に輝度飽和という特性を有する。これは、蛍光体6へ入射する光強度が大きくなるほど変換効率が低下する特性である。例えば、青帯域光(青の励起光)に対して緑帯域光と赤帯域光を蛍光発光する場合において、青の励起光を増加させると、青の光強度に対して緑と赤の変換効率が低下し、より青味が強くなる。レーザ光源1の励起光を故意にディミングして光強度を変更する場合、蛍光体6への光強度が変化して光源部50の色味が変化する。また、励起光は長期間使用すると劣化し、励起光の光強度は低下する。励起光の光強度が低下すると、蛍光体6に照射される光強度は低下するが、蛍光体6は輝度飽和という特性を有し、蛍光体6に照射される光強度に応じて蛍光発光する効率や色味は変化する。従って、長期間の使用により励起光の光強度が低下すると、蛍光体6を含む光源部50の色味は変化する。また、励起光は長時間使用による励起光強度の変化のみならず、励起光を故意にディミングして光強度を変更する場合にも、蛍光体6への光強度が変化して輝度飽和により光源部50の色味は変化する。また蛍光体6は、温度変化に伴う温度消光という特性を有する。このような特性によっても、光源部50の色味は変化する。以上のような種々の要因により蛍光体6による色味の変化が生じるため、本実施例では、光センサ13を用いて、光源部50の色味を補正する(色補正を行う)。
次に、図2乃至図6を参照して、本実施例における色味の補正(色補正)について説明する。図2は、レーザ光源1の電流値と光センサ13により取得された光量、すなわち明るさ(光情報)との関係図であり、横軸はレーザ光源1の電流値、縦軸は光センサ13により取得された明るさをそれぞれ示している。まず、レーザ光源1の電流値を変更して光センサ13により取得される明るさを変えると、図2に示されるようなグラフが得られる。
続いて、画像投射装置100からの投射光の投射位置(画像投射装置100の外部)に照度計(不図示)を配置する。ここで、青、赤、緑の各光路の反射型液晶表示素子28、29、30を交互に最大階調の表示を行い、レーザ光源1の電流値を変更して段階的に明るさを変えて、照度計を用いて各光路における明るさ(Ev値)を取得する。青光路の反射型液晶表示素子28の最大階調の表示を行う際において、赤と緑の反射型液晶表示素子29、30の表示を黒表示とする。また、照度計から緑の最大階調の表示時の明るさを取得する際には、青と赤の反射型液晶表示素子28、29の表示を黒表示とする。また、照度計から赤の最大階調の表示時の明るさを取得する際には、青と緑の反射型液晶表示素子28、30の表示を黒表示とする。このように、照度計を用いてレーザ光源1の電流値に対する各光路の明るさを取得すると、図3に示されるようなグラフが得られる。図3は、レーザ光源1の電流値と照度計から取得された明るさとの関係図であり、横軸はレーザ光源1の電流値、縦軸は照度計から取得された明るさをそれぞれ示している。
続いて、図4に示されるように、図3の数値を色味の程度が分かるように演算する。図4は、レーザ光源1の電流値と、照度計から取得された赤光路と青光路との明るさ比率(赤/青)、および、照度計から取得された緑光路と青光路との明るさ比率(緑/青)との関係図である。図4において、横軸はレーザ光源1の電流値、縦軸は明るさ比率(赤/青、緑/青)をそれぞれ示している。図4に示されるように、レーザ光源1の電流値が大きくなるほど、明るさ比率(赤/青、緑/青)が低下する。これは、蛍光体6の輝度飽和の特性により、蛍光体6に入射する光強度が強くなるほど、青帯域光を緑帯域光や赤帯域光に変換する比率が低下し、青がかった(青に近い)色味になることを示している。
このような色味の変化を低減するため、制御部40は、光センサ13により取得された光情報に基づいて、反射型液晶表示素子に関する色補正を行う。好ましくは、光センサ13は、光情報として、光源部50からの光に関する光強度(明るさ)を取得し、制御部40は、光強度と投射光の色情報(照度計により取得された色情報)とに基づいて、反射型液晶表示素子に関する色補正を行う。また好ましくは、記憶部42は、光強度と色情報との関係を示すデータを記憶しており、制御部40は、そのデータに基づいて反射型液晶表示素子に関する色補正を行う。
本実施例において、制御部40は、色補正として、反射型液晶表示素子28、29、30の少なくとも一つ(のガンマ特性)に対するゲイン補正を行う。蛍光体6の色味が変化した場合、例えば、赤と緑の反射型液晶表示素子29、30のゲインを変更して色味を整える。すなわち本実施例において、光変調素子は、青帯域光、赤帯域光、および、緑帯域光をそれぞれ変調する反射型液晶表示素子28、29、30(第1光変調素子、第2光変調素子、および、第3光変調素子)を含む。このとき制御部40は、反射型液晶表示素子29、30(第2光変調素子および第3光変調素子)のゲインを低下させることによりゲイン補正を行う。または制御部40は、反射型液晶表示素子28(第1光変調素子)のゲインを増大させることによりゲイン補正を行う。または制御部40は、反射型液晶表示素子29、30のゲインを低下させ、かつ、反射型液晶表示素子28のゲインを増大させることによりゲイン補正を行ってもよい。
図5は、赤と緑の反射型液晶表示素子29、30のゲインと、明るさ比率(赤/青、緑/青)との関係図である。図5において、横軸は赤と緑の反射型液晶表示素子29、30のゲイン、縦軸は明るさ比率をそれぞれ示している。例えば、図4に示されるようにレーザ光源1の電流値をAからBに変更すると、明るさ比率すなわち色味が変わる。ここで、変化した同じ量の明るさ比率(色味)を補正するように、図5に示されるように赤と緑の反射型液晶表示素子29、30のゲインをA’からB’に変更する。これにより、図4に示されるレーザ光源1の電流値Bの色味を電流値Aの色味に戻すことができる。この結果、レーザ光源1の電流値を変更した場合でも、緑と青および赤と青の明るさ比率(緑/青、赤/青)、すなわち色味を略一定に保つことが可能となる。
また、レーザ光源1を長期使用した場合、レーザ光源1の明るさは低下する。例えば、図2のレーザ光源1の電流値Aに相当する明るさが、同じ電流値Aではあるが長期使用による劣化により電流値Bに相当する明るさに低下した場合を考える。このとき、蛍光体6の輝度飽和の特性により、緑と青および赤と青のそれぞれの明るさ比率も、図4のレーザ光源1の電流値Aおよび電流値Bに相当するそれぞれの明るさ比率になる。このとき、光センサ13を用いて取得した明るさ(光量)は、レーザ光源1の明るさが電流値Aから電流値Bに相当する明るさまで低下する。そこで本実施例では、図5の赤と緑の反射型液晶表示素子29、30のゲインを変更した場合における、赤と青の明るさ比率および緑と青の明るさ比率の関係から、劣化により変化した同じ量の色味を補正する(色補正を行う)。すなわち制御部40は、赤と緑の反射型液晶表示素子29、30のそれぞれのゲインをA’からB’に変更して(ゲイン補正を行い)、レーザ光源1の劣化した色味を初期の色味に戻す。これにより、レーザ光源1の明るさが劣化により変化した場合でも色味を一定に保つことができる。
本実施例において、図1の点線の矢印で示されるように、反射型液晶表示素子28、29、30から光センサ13への戻り光が存在する。また、戻り光の強度(光情報)は、反射型液晶表示素子28、29、30の階調に応じて変化する。すなわち、反射型液晶表示素子28、29、30の階調を最小階調(黒表示)から階調を高くする(白表示に近づける)に従って、戻り光は弱くなる。このように、レーザ光源1の電流が同じでも、戻り光の影響により、反射型液晶表示素子28、29、30の階調が黒表示である場合、白表示の場合よりも光センサ13により取得される明るさは明るくなる。この階調に応じた明るさの差が色補正の誤差の要因となる。
ここで、レーザ光源1を長期使用した場合の色補正について説明する。例えば、図2のレーザ光源1の電流値Aに相当する明るさ(初期の明るさ)から、同じ電流値Aではあるが長期使用による劣化により電流値Bに相当する明るさ(長期使用劣化後の明るさ)に低下した場合を考える。このとき、緑と青および赤と青の明るさ比率は、蛍光体6の輝度飽和の特性により、図4のレーザ光源1の電流値Aに相当する明るさ比率(初期の明るさ比率)から、電流値Bに相当する明るさ比率(長期使用劣化後の明るさ比率)になる。このとき、光センサ13を用いて明るさを取得すると、レーザ光源1の明るさが電流値Aに相当する明るさから電流値Bに相当する明るさまで低下したことになる。
図6は、最小階調(黒表示)および最大階調(白表示)のそれぞれの場合における、レーザ光源1の電流値と光センサ13により取得された明るさとの関係図であり、横軸はレーザ光源1の電流値、縦軸は光センサ13により取得された明るさをそれぞれ示している。図6に示されるように、反射型液晶表示素子28、29、30の階調を黒表示と白表示との間で切り替えると、光センサ13への戻り光の影響により、光センサ13により取得される明るさが変化する。このため、高精度な色補正を行うためには、光センサ13を用いて光情報(明るさ)を取得する際において、常に同じ階調(例えば、黒表示または白表示)にすることが好ましい。
ここで、図6を参照して、従来の誤差の生じる場合について説明する。画像投射装置の使用初期時に反射型液晶表示素子の階調を黒表示とし、長期劣化後に階調を白表示とする場合を想定する。このとき、図6に示されるように、本来は初期のレーザ光源1の電流値Aに相当する黒表示△の場合の明るさから、劣化後のレーザ光源1の電流値Bに相当する黒表示△の明るさまで劣化したことになる。しかし、劣化後に階調を白表示にすると、劣化後はレーザ光源1の電流値Bに相当する白表示▽の明るさに劣化したと判定される。このため、実際の明るさの劣化(電流値Bに相当する黒表示△)より、明るさの誤差αだけ劣化したと判定され、誤差αが生じる。その結果、生じた誤差αにより、図5に示される反射型液晶表示素子のゲインを余分に変更してしまうことになる。すなわち、本来であれば初期のゲインA’からゲインB’まで補正すればよいが、明るさの誤差αだけゲインB’よりも大きくなるようにゲイン補正を行ってしまうことになる。その結果、色の補正量の誤差が生じて精度が低下する。
そこで本実施例は、初期のレーザ光源1の電流値に対する光センサ13の明るさを取得する際、および、光源部の劣化後に色補正を実施する際に光センサ13の明るさを取得する際のいずれにおいても、反射型液晶表示素子の階調を最小階調(黒表示)とする。これにより、誤差の影響を低減して、高精度の色補正を実現することができる。なお、階調を最小階調にすることは、色補正を行う際に表示画像が黒となってユーザが気にならないというメリットがある。ただし、階調は最小階調にすることに限定されるものではなく、低階調(反射型液晶表示素子の最大の明るさの50%以下)に設定してもよい。また本実施例において、高精度の色補正を行うという観点からすると、光センサ13を用いて光情報を取得する際に同じ階調を表示しさえすれば、階調は白表示や明るい階調(高階調)でもよい。
次に、図7および図8を参照して、本発明の実施例2における画像投射装置について説明する。図7は、画像投射装置100aの構成図である。画像投射装置100aは、光センサ13が色合成プリズム31の近傍(光変調素子の出射側)に配置されている点で、光センサ13がミラー12の近傍(光変調素子の入射側)に配置されている実施例1の画像投射装置100とは異なる。画像投射装置100aの他の構成は、画像投射装置100と同様であるため、それらの説明を省略する。
図7において、実線は反射型液晶表示素子28、29、30で表示される光線を示し、点線は色合成プリズム31からの漏れ光を示している。色合成プリズム31の近傍に配置された光センサ13は、点線で示される漏れ光を取得する。本実施例においても、反射型液晶表示素子28、29、30の階調が変化すると、色合成プリズム31からの漏れ光の光量が変化する。その結果、光センサ13で取得される光量が変化し、色補正の誤差が生じる。
図8は、最小階調(黒表示)および最大階調(白表示)のそれぞれの場合における、レーザ光源1の電流値と光センサ13により取得された明るさとの関係図であり、横軸はレーザ光源1の電流値、縦軸は光センサ13により取得された明るさをそれぞれ示している。図8に示されるように、レーザ光源1の電流量は同じでも、戻り光の影響により、階調が白表示の場合には黒表示の場合よりも光センサ13の明るさが明るくなる。この差により色補正の誤差が生じる。なお、実施例1では反射型液晶表示素子の入射側に光センサ13が配置されているが、本実施例では反射型液晶表示素子の出射側に光センサ13が配置されている。このため本実施例(図8)では、実施例1(図6)と比較して、黒表示と白表示のそれぞれにおける光センサ13への戻り光が逆転し、明るさの関係が逆になっている。ただし、基本的な考え方は実施例1(図6)と同様であるため、その説明を省略する。
本実施例は、初期のレーザ光源1の電流値に対する光センサ13の明るさを取得する際、および、光源部の劣化後に色補正を実施する際に光センサ13の明るさを取得する際のいずれにおいても、反射型液晶表示素子の階調を特定の階調(例えば黒表示)に設定する。これにより、誤差の影響を低減して、高精度の色補正を実現することができる。
なお各実施例の画像投射装置は、レーザ光源などの固体光源を用いて蛍光体に励起光を照射することで蛍光発光して、可視域全域の波長帯域を出力することが可能な光源部を有するが、これに限定されるものではない。各実施例は、白色光源などの他の光源部を有する画像投射装置にも適用可能である。また、光変調素子は、反射型の液晶表示素子に限定されるものではなく、透過型の液晶表示素子や、DMDなどの他の光変調素子であってもよい。
各実施例によれば、従来よりも高精度な色補正を行うことが可能な画像投射装置を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
13 光センサ
28、29、30 反射型液晶表示素子(光変調素子)
40 制御部
50 光源部
100、100a 画像投射装置

Claims (15)

  1. 光源部と、
    前記光源部からの光を変調する光変調素子と、
    前記光源部から前記光変調素子までの光路における光強度を取得する光センサと、
    記光強度と投射光の色情報との関係を示すデータが記憶された記憶部と、
    定の階調の画像データに基づいて前記光変調素子を制御した状態で前記光センサが取得した光強度と、前記データとに基づいて、前記光変調素子に関する色補正を制御する制御部とを有することを特徴とする画像投射装置。
  2. 前記制御部は、前記光変調素子の階調を特定の階調にした状態で前記光強度を取得するように前記光センサを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
  3. 前記制御部は、前記光センサを用いて前記光強度を取得する場合、前記光変調素子の前記階調を常に前記特定の階調に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像投射装置。
  4. 前記制御部は、前記色補正として、前記光変調素子に対するゲイン補正を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  5. 前記光源部は、
    励起光を射出する光源と、
    前記励起光を該励起光の波長よりも長い変換光に変換する波長変換素子と、を含み、
    前記光変調素子は、
    青帯域光を変調する第1光変調素子と、
    赤帯域光を変調する第2光変調素子と、
    緑帯域光を変調する第3光変調素子と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像投射装置。
  6. 前記制御部は、前記第2光変調素子および前記第3光変調素子のゲインを低下させることにより前記ゲイン補正を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像投射装置。
  7. 前記制御部は、前記第1光変調素子のゲインを増大させることにより前記ゲイン補正を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の画像投射装置。
  8. 前記制御部は、前記光変調素子の前記特定の階調として、該光変調素子の最大の明るさの50%以下となる低階調を設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  9. 前記制御部は、前記光変調素子の前記特定の階調として、黒階調を設定することを特徴とする請求項8に記載の画像投射装置。
  10. 前記光変調素子は、反射型の光変調素子であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  11. 前記光変調素子は、透過型の光変調素子であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  12. 前記光センサは、前記光変調素子の入射側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  13. 前記光センサは、前記光変調素子の出射側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  14. 前記光センサにより取得される前記光強度は、前記光変調素子の階調に応じて変化することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像投射装置。
  15. 光源部と、該光源部からの光を変調する光変調素子と、前記光源部から前記光変調素子までの光路における光強度を取得する光センサとを有する画像投射装置において、前記光変調素子に関する色補正を制御する制御方法であって、
    特定の階調の画像データに基づいて前記光変調素子を制御した状態で、前記光強度と投射光の色情報との関係を示すデータを取得する工程と、
    前記特定の階調の画像データに基づいて前記光変調素子を制御した状態で前記光センサが取得した光強度と、前記データとに基づいて、前記光変調素子に関する色補正を行う工程とを有することを特徴とする制御方法。
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