JP7087574B2 - 包装体、該包装体からなるbib用液体内容物包装体、および該包装体を構成する包装材料 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
ムのそれぞれは、臭気吸着層を備えたシーラント層を含み、前記臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体としての特定の疎水性ゼオライトとを含有し、前記内容物抽出口は、ポリオレフィン系樹脂と前記疎水性ゼオライトを含有する包装体が、上記の目的を達成することを見出した。
1.少なくとも外層フィルムと内層フィルムとからなる二重袋部と、樹脂成形品からなる内容物抽出口とから構成される包装体であって、
前記外層フィルムと前記内層フィルムは、相互に部分的にのみ接着されており、
前記外層フィルムと前記内層フィルムのそれぞれは、シーラント層を含み、
前記シーラント層は、臭気吸着層を含み、
前記臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有し、
前記内容物抽出口は、ポリオレフィン系樹脂と前記臭気吸着体を含有し、
前記臭気吸着体は、疎水性ゼオライトを含むものであり、
前記疎水性ゼオライトは、SiO2/Al2O3モル比が30/1~8000/1であり、
前記シーラント層中の前記疎水性ゼオライトの含有量は、0.1質量%以上、13質量%以下である、
包装体。
2.前記臭気吸着体が、さらに、化学吸着剤担持無機多孔体を含み、
前記シーラント層中の前記化学吸着剤担持無機多孔体の含有量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、上記1に記載の、包装体。
3.前記内容物抽出口中の、前記疎水性ゼオライトの含有量は、0.1質量%以上、13質量%以下である、上記1または2に記載の、包装体。
4.前記臭気吸着体が、さらに、化学吸着剤担持無機多孔体を含み、
前記内容物抽出口中の、前記化学吸着剤担持無機多孔体の含有量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、上記1~3の何れかに記載の、包装体。
5.前記低溶出性ポリエチレンの密度は、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、上記1~4の何れかに記載の、包装体。
6.前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、上記1~5の何れかに記載の、包装体。
7.前記低溶出性ポリエチレンが、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、上記1~6の何れかに記載の、包装体。
9.前記低溶出性ポリエチレンは、前記低溶出性ポリエチレンのみから作製されたフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度が、1.5ppm以上、250ppm以下である、上記1~8の何れかに記載の、包装体。
10.前記疎水性ゼオライトは、予め、熱可塑性樹脂と、疎水性ゼオライト/熱可塑性樹脂の質量比が、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、上記1~9の何れかに記載の、包装体。
11.前記化学吸着剤担持無機多孔体は、予め、熱可塑性樹脂と、化学吸着剤担持無機多孔体/熱可塑性樹脂、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、上記2~10の何れかに記載の、包装体。
12.前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.2~10.0g/10分である、上記1~11の何れかに記載の、包装体。
13.前記化学吸着剤担持無機多孔体を構成する化学吸着剤が、アルデヒド類、ケトン類
、及びカルボン酸類なる群から選択される1種または2種以上との反応性がある官能基を有する、上記2~12の何れかに記載の、包装体。
14.前記化学吸着剤担持無機多孔体を構成する化学吸着剤が、アミノ基を有する、上記2~13の何れかに記載の、包装体。
前記非臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンを含み、前記臭気吸着体を含まない層である、
上記1~14の何れかに記載の、包装体。
16.前記外層フィルムが、更に、基材層を含む、
上記1~15の何れかに記載の、包装体。
17.上記1~16の何れかに記載の包装体からなる、BIB用液体内容物包装体。
18.上記1~17の何れかに記載の包装体を構成する、包装材料。
これらの効果によって、本発明の包装体を用いて液体内容物包装体を作製した場合に、充填された液体内容物中に溶出する有機物の量を低減し、臭味変化を抑制することができる。
したがって、本発明の包装体は、殺菌・滅菌処理に付される、液体の食品や医薬品、医療品の包装袋として好適である。
更に、本発明の包装体の二重袋部は、相互に部分的にのみ接着された、外層フィルムと内層フィルムとからなる為、輸送時等の擦れによるピンホール発生が抑制され、液漏れ等を抑制できる。
本発明の包装体は、例えば図1に示すように、少なくとも、二重袋部と、樹脂成形品からなる内容物抽出口とから構成されている。
二重袋部は、図2に示されたように上側フィルムと下側フィルムから構成され、内容物抽出口は上側フィルムに取り付けられている。
上側フィルムと下側フィルムのそれぞれは、図3、4に示されたように、少なくとも、外層フィルムと内層フィルムとからなり、外層フィルムと内層フィルムは、相互に部分的にのみ接着されている。
本発明の包装体は、例えば図2に示したように、内容物抽出口を取り付けた上側フィルムのシーラント層と、下側フィルムのシーラント層とを対向するように、包装材料を折り曲げるかまたは2枚を重ね合せ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
内容物抽出口は、内容物の充填及び/または取り出しを行う為の入出口であり、1個の内容物抽出口で内容物の充填と取り出しを行ってもよく、2個以上を設けて、内容物の充填と取り出しを別々の内容物抽出口で行ってもよい。
内容物抽出口は、ポリオレフィン系樹脂と疎水性ゼオライトを含有する。さらには、化学吸着剤担持無機多孔体を含有することもできる。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートは、5g/分以上、100g/分以下であることが、成形性の観点で好ましい。
内容物抽出口は、上記の各種原料を公知の方法で混合、混錬して樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物を公知の方法で成形して得ることができる。
疎水性ゼオライトや化学吸着剤担持無機多孔体を直接、ポリオレフィン系樹脂と混合して混練することも可能であり、或いは、疎水性ゼオライトや化学吸着剤担持無機多孔体を高濃度で熱可塑性樹脂と混合した後に溶融混練してマスターバッチを作製し、これを、目標含有率に応じた比率でポリオレフィン系樹脂と混合、溶融混練する、いわゆるマスターバッチ方式によっても可能である。
全内容物抽出口中の化学吸着剤担持無機多孔体の含有量は、0.1質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。
上記範囲よりも少ないと、充分な臭気吸着効果が発揮され難く、上記範囲よりも多いと、内容物抽出口の成形性が悪化し易い。
マスターバッチ中の、化学吸着剤担持無機多孔体の含有率は、0.5質量%以上、40質量%以下が好ましく、1質量%以上、20質量%以下がより好ましい。
マスターバッチ方式の場合には、凝集が発生し易い疎水性ゼオライトや化学吸着剤担持無機多孔体とポリオレフィン系樹脂の組み合わせであっても、ポリオレフィン系樹脂中に疎水性ゼオライトや化学吸着剤担持無機多孔体を均質に分散させることができる。
具体的な熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられるが、これらには限定されない。
上記の樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂や、ガス透過性の低いポリエステル形樹脂を含むことが好ましい。
、酸変性ポリオレフィン系樹脂等が挙げられるが、これらには限定されない。
マスターバッチで用いられる熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、5g/分以上、100g/分以下であることが、成形性の観点で好ましい。
本発明のBIB用液体内容物包装体の二重袋部を構成する上側フィルムと下側フィルムのそれぞれは、図3、4に示されたように、少なくとも、外層フィルムと内層フィルムとからなり、外層フィルムと内層フィルムは、相互に部分的にのみ接着されている。
そして、外層フィルムと内層フィルムのそれぞれは、少なくとも、臭気吸着層を含むシーラント層を有するフィルムである。
[臭気吸着層]
本発明における臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンと、臭気吸着体とを含む樹脂組成物を含む。
更には、汎用のポリエチレンや、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの熱可塑性樹脂の混合物等を、シーラントフィルムの低溶出性やヒートシール性を阻害しない範囲内で含むことが可能であるが、これらの樹脂に限定されない。
例えば、包装体形成時の内側表面から外側表面に向かって、増加傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、ヒートシール性が向上する。これとは逆に、包装体形成時の内側表面から外側表面に向かって、減少傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、層間接着強度が向上する。
臭気吸着層全体の層厚は、5μm以上あれば製膜は可能であるが、良好な製膜性とヒートシール性、層間接着強度及び臭気吸着性を得るためには、10μm~200μmが好ましい。
臭気吸着体は、疎水性ゼオライトを含むものであり、さらには化学吸着剤担持無機多孔体を含むことができる。
本発明において、疎水性ゼオライトの添加量は、全シーラント層中に0.05質量%以上含有されていれば十分な臭気吸着効果を発揮することが可能であるが、包装体として良好な臭気吸着効果を得るためには、0.1質量%以上であることが好ましく、0.25質量%以上であることがより好ましい。一方、積層体作製時に良好な製膜性を得るため、加えて、良好なヒートシール性を達成するためには、疎水性ゼオライトの含有量は13質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、シーラント層は、ヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少ない、低溶出性ポリエチレンを含有する。
有機物の溶出量が少ないことによって、本発明のBIB用液体内容物包装体に充填された液体内容物中に溶出する有機物の濃度を低減して、臭味変化を抑制することができる。
TOCは、水中の酸化され得る有機物(有機炭素体)全量の濃度を炭素量の濃度で示したものであり、代表的な水質指標の一つとして用いられているものであって、JIS K0805(有機体炭素(TOC)自動計測器)等で規格化されている。
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である。
有することによって、該シーラント層を含む包装材料は、優れたヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少なく、包装体内の液体内容物のTOCの濃度増加を低くすることができる。
これらの低溶出性ポリエチレンの中でも、タイプとしては、LLDPEが好ましく、また更には、C4、C6、C8の側鎖を有するLLDPEは、有機物の溶出量を低くし得る傾向にある為、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPE等が更に好ましい。
あるいは、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である低溶出性ポリエチレンが好ましく、0.905g/cm3以上、0.933g/cm3以下である低溶出性ポリエチレンがより好ましい。密度がこの範囲である低溶出性ポリエチレンは、有機物の溶出量を低くし得る傾向にある。
また更に、本発明における低溶出性ポリエチレンは、単体でフィルムにした際に、屈曲に起因する耐ピンホール性に優れていることが好ましい。
シーラント層のピンホール発生個数が上記範囲であれば、ピンホール耐性が必要な用途の場合に、実用に耐え得る包装材料を作製することができる。
本発明において、臭気吸着体は、特定の疎水性ゼオライトを含むものであり、更には、化学吸着剤担持無機多孔体を含むことができる。
ゼオライトは、一般的にSiO2/Al2O3のモル比が高い程、疎水性が高くなり、本発明において臭気吸着層に含有される疎水性ゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比が、30/1~8000/1であることが好ましい。
疎水性ゼオライトは、包装体または包装材料が230℃以上に晒された場合であっても、臭気吸着能を喪失することは無く、臭気成分の吸着による消臭効果を発揮することができる。
疎水性ゼオライトは、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、臭気吸着層の製膜性や、ポリエチレンへの均一な分散や混練特性等の観点から、粉体状が好ましい。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には疎水性ゼオライトの凝集が生じ易く、
低溶出性ポリエチレン中での分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には臭気吸着層の製膜性が劣る傾向になる為に、疎水性ゼオライトを多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
本発明において、化学吸着剤担持無機多孔体とは、無機多孔体に化学吸着剤を担持させたものであり、溶出性の有機物や、UV照射、γ線照射、EB照射や、ホットパック、ボイル等の殺菌・滅菌処理時に包装体から発生する臭気物質を吸着する機能を有するものである。
含有量を減らせることにより、高いシール強度が得られ、シーラント層として求められる優れたヒートシール性及び製膜性を保持することができる。
化学吸着剤担持無機多孔体は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、本発明においては特に、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましく、0.1μm~8μmのものがより好ましく、1μm~7μmのものが更に好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には臭気吸着層の製膜性が劣るために、化学吸着剤担持無機多孔体を多くは含有し難い傾向となり、十分な吸着効果が得られない可能性が生じる。
本発明において、無機多孔体としては、その表面に多数の細孔を有する任意の無機化合物を用いることができ、例えば、ゼオライト、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、活性炭、チタニア、燐酸カルシウム等の無機燐酸塩、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
態を有することや安全面の観点から、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ケイ酸塩を適用することが好ましい。
また、これらは、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、化学吸着剤を担持して臭気吸着体とした後で、臭気吸着層の製膜性や、熱可塑性樹脂への均一な分散や混練特性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、化学吸着剤とは、溶出性の有機物や、殺菌・滅菌処理時に樹脂の分解等により発生する臭気物質と化学反応を起こして結合する反応性官能基を有し、且つ、上記の無機多孔体上に担持され得る化合物である。
より具体的には、UV照射、γ線照射、EB照射や、ホットパック、ボイル等の殺菌・滅菌処理時に生じる種々のアルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類等と結合する反応性を有する官能基を有する化合物である。
金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えば、2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
化学吸着剤の、溶出する有機物や臭気物質等の吸着対象物質に対する吸着機構を、図10(a)~(b)の具体例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
この際、化学吸着であることにより、一旦吸着された吸着対象物質(臭気物質)は脱離することがなく、効率的に臭気吸着を行うことができる。
さらに、吸着対象物質(臭気物質)と水蒸気とが同一の吸着部位に吸着される物理吸着剤とは異なり、本発明における化学吸着剤は、吸着対象物質を化学吸着剤の特定の官能基に結合させるため、臭気吸着能を低下させる種々の物質、例えば水蒸気等の影響を受けにくい。
本発明における非臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンを含有し、臭気吸着体を含有しない層である。
更には、高溶出性のポリエチレンや、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの熱可塑性樹脂の混合物等を、シーラントフィルムの低溶出性やヒートシール性を阻害しない範囲内で含むことが可能であるが、これらの樹脂に限定されない。
(臭気吸着体の分散方法)
臭気吸着体と低溶出性ポリエチレンとを混練する方法としては、公知または慣用の混練方法を適用することができる。
臭気吸着体を直接、低溶出性ポリエチレンと混合して混練することも可能であり、或いは、臭気吸着体を高濃度で熱可塑性樹脂と混合した後に溶融混練してマスターバッチを作製し、これを、目標含有率に応じた比率で低溶出性ポリエチレンと混合、溶融混練する、いわゆるマスターバッチ方式によっても可能である。
マスターバッチ中の、化学吸着剤担持無機多孔体の含有率は、0.5質量%以上、40質量%以下が好ましく、1質量%以上、20質量%以下がより好ましい。
マスターバッチ方式の場合には、凝集が発生し易い臭気吸着体と低溶出性ポリエチレンの組み合わせであっても、低溶出性ポリエチレン中に臭気吸着体を均質に分散させることができる。
例えば、予め臭気吸着体と低溶出性ポリエチレンを溶融混合しておけば、再度、低溶出性ポリエチレンと混合または溶融混練した際に、均質で、良好な製膜性、ヒートシール性、層間接着強度及び臭気吸着性を得ることが可能である。
本発明において、外層フィルムまたは内層フィルムの各層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
臭気吸着層や非臭気吸着層を、場合により接着層を介して、他の層上にエクストルージョンコーティングすることにより積層することや、例えば、複数の、臭気吸着層と非臭気吸着層とを、インフレーション法やキャスト法により共押出しにより形成することもできる。
インフレーション法を用いる場合においては、臭気吸着層に含まれる低溶出性ポリエチレンや非臭気吸着層に含まれる熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10.0g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2~9.5g/10分である。
MFRが0.2g/10分未満、又は10.0g/10分以上では加工適正の面で劣る傾向にある。
本発明では、シーラント層中の各層間、シーラント層-基材層間等の各層間に、接着層を設けて積層することも可能である。
接着層は、接着剤または任意のアンカーコート剤からなってよい。
接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等であってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
また、接着層は、EC(エクストルージョンコート)層、ドライラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤等からなる層であってよい。
ロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等からなるエラストマー系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
本発明のBIB用液体内容物用包装材料は、本発明のBIB用液体内容物包装体の袋部の上側フィルムと下側フィルムを作製するための包装材料であり、少なくとも外層フィルムと内層フィルムを含み、外層フィルムと内層フィルムは、上記のように、相互に部分的にのみ接着されている。
本発明において、液体内容物とは、飲料水、ジュース類、点滴用輸液、醤油、ソース、等の調味液体、つゆ、はちみつ、タレ、ドレッシング等の液体全般を指すものである。
[内層フィルム・外層フィルム用の低溶出性ポリエチレン及び汎用ポリエチレン]
(化学吸着剤担持無機多孔体)
・ケスモンNS-241:東亞合成(株)社製、アミノ基含有化合物担持無機多孔体。平均粒子径3.5μm。
(疎水性ゼオライト)
・ミズカシーブスEX-122:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL2O3モル比=32/1、平均粒子径2.5~5.5μm。
・シルトンMT400:水澤化学工業(株)社製。SiO2/AL2O3モル比=400/1、平均粒子径5~7μm。
・シルトンMT2000:水澤化学工業(株)社製。SiO2/AL2O3モル比=2000/1、平均粒子径2~4μm。
・シルトンMT-8000:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL2O3モル比=8000/1、平均粒子径0.8μm。
(親水性ゼオライト)
・ミズカシーブスY-420:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL2O3モル比=5/1、平均粒子径5μm。
[その他]
・EMB-21:住友化学(株)製、アンチブロッキング剤。
・PEX ABT-16:日本ポリエチレン(株)、アンチブロッキング剤。
・EMB-10:住友化学(株)、スリップ剤。
外層フィルム、内層フィルム、内容物抽出口樹脂組成物用のMB(マスターバッチ)を、下記のように調整して作製した。
(MB1の調整)
低溶出性ポリエチレンのLLDPEであるウルトゼックス1520Lと、疎水性ゼオライトであるミズカシーブスEX-122とを下記の割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
ノバテックLC600A 90質量部
ミズカシーブスEX-122 10質量部
(MB2~13の調整)
表3、4の配合に従って、MB1と同様に、原料をメルトブレンドし、マスターバッチ2~13(MB2~13)を得た。
(外層フィルムAの作製)
下記原料を下記割合で溶融混錬し、臭気吸着層用の樹脂組成物を作製した。
ウルトゼックス1520L 80質量部
MB2 20質量部
非臭気吸着層1、2用のウルトゼックス1520Lと、上記で得た、臭気吸着層用の樹脂組成物を用いて、160℃でインフレーション製膜により積層し、非臭気吸着層1(10μm)/臭気吸着層(20μm)/非臭気吸着層2(10μm)なる3層構成のシーラ
ント層用のフィルムを得た。
基材層(15μm)/接着層(15μm)/非臭気吸着層1(10μm)/臭気吸着層(20μm)/臭気吸着層2(10μm)なる構成の外層フィルムAを得た。詳細層構成を表5に示した。
表5に示した各外層フィルムの構成に従って、基材層フィルム、接着層、非臭気吸着層の有無に応じて各々を準備し、臭気吸着層用の樹脂組成物を調製し、外層フィルムAと同様に操作して、シーラント層用のフィルムを作製し、外層フィルムB~Iを作製した。
外層フィルムC、E、Fについては臭気吸着層のみのシーラント層用のフィルム、外層フィルムIについては非臭気吸着層のみのシーラント層用のフィルムを、外層フィルムC、E、Fとした。
(内層フィルムAの作製)
下記原料を下記割合で溶融混錬し、臭気吸着層用の樹脂組成物を調製した。
ウルトゼックス1520L 83.3質量部
MB1 16.7質量部
非臭気吸着層c、d用のウルトゼックス1520Lと、上記で得た臭気吸着層用の樹脂組成物を用いて、160℃でインフレーション製膜により積層し、非臭気吸着層c(16μm)/臭気吸着層(48μm)/非臭気吸着層d(16μm)なる3層構成のシーラント層のみからなる内層フィルムAを得た。詳細を表6に示す。
表6に示した各内層フィルムの構成に従って、臭気吸着層用の樹脂組成物を調製し、非臭気吸着層用の樹脂を選択し、内層フィルムAと同様に操作して、内層フィルムB~Oを作製した。
内層フィルムMについては非臭気吸着層のみ、内層フィルムOについては臭気吸着層のみ、で作製した。
表7に示した割合で各原料をドライブレンドし、内容物抽出口用の樹脂組成物A~Jを調製した。
そして、上記で得た樹脂組成物のそれぞれを200℃で射出成形して、内容物抽出口A~Jを作製した。
上記で得た外層フィルムAと内層フィルムAと内容物抽出口Aを用いて、図1に示された包装体(二重袋部のサイズは450mm×450mm、内容物抽出口Aの直径は31m
m)を作製し、ヒートシール性、破袋特性、耐ピンホール性(内層フィルム)、充填水TOC増加濃度を評価した。
積層体の詳細構成及び評価結果を表8に示す。
表3の記載の配合に従って、実施例1と同様に、臭気吸着層用の混合物を得て、シーラントフィルムを作成し、評価した。
積層体の詳細構成及び評価結果を表8~10に示す。
高溶出性ポリエチレンであるLLDPEのエボリューSP2020を用いて、160℃でインフレーション製膜し、内層用シーラントフィルム(80μm)を得た。
またノバテックUF370を使用して200℃で射出成形によって成形品を作製した。
次いで、実施例1と同様に評価した。積層体の構成及び評価結果を表5に示す。
[製膜性]
の外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:フィルムに皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:フィルムに皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
実施例及び比較例で作製した包装体の内部に10Lの水を充填し、水充填後の包装体を1mの高さから落下させる操作を合計3回繰り返し、破袋の有無を評価した。
合否判定
◎:3回の落下評価で破袋無し。合格
○:3回の落下評価で1袋が破袋。合格
×:3回の落下評価で全てが破袋。不合格
作製した内層フィルムをA4サイズ(30cm×21cm)に断裁し、ゲルボフレックステスター(テスター産業(株)社製、BE-1005)で、屈曲後、各サンプルの30cm×21cmの面内に発生したピンホールの数をカウントした。160個以下を合格とした。
温度:23℃
ゲルボ屈曲回数:5000回
作製した包装体を、BIB用液体内容物包装体として輸送用に梱包した状態で実際の輸送経路で搬送して、袋部の内層フィルムに発生したピンホールの数をカウントした。160個以下を合格とした。
実施例及び比較例で包装体を作製する前に、包装体を構成する包装材料の内面フィルム側には予めUV照射殺菌処理を施した。
実施例及び比較例で得られた包装体に、65℃の水(高速液体クロマトグラフィー用蒸留水、純正化学)1000gをホットパック充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC-L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定した。
次いで、充填前の水についても同様にTOC濃度を測定した。
各包装体におけるTOC増加濃度を下記式から求めた。
TOC増加濃度=保管後の充填水TOC濃度-充填前の水のTOC濃度
充填前の水のTOC濃度:0.02ppm
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
全実施例の包装体は良好な製膜性、耐破袋特性、ヒートシール性、耐ピンホール性を示し、TOC増加濃度も小さかった。
低溶出性ポリエチレンも疎水性ゼオライトも化学吸着剤担持無機多孔体も含まない比較例1と、低溶出性ポリエチレンを含まず、疎水性ゼオライトの代わりに親水性ゼオライトを含む比較例2はTOC増加濃度が高い傾向を示した。また、疎水性ゼオライトを多く含み過ぎる比較例3、4、5では、TOC濃度の軽減は大きいが、外層フィルムと内層フィルムの製膜性が劣り、ヒートシール性と耐破袋特性が劣る結果を示した。
2 二重袋部
3 内容物抽出口
4 二重袋部のヒートシール部
A、B 断面線
5 上側フィルム
6 下側フィルム
7 外層フィルムと内層フィルムの接着部
8 外層フィルム
9 内層フィルム
10 シーラント層
11 臭気吸着層
11a 臭気吸着層(濃度a)
11b 臭気吸着層(濃度b)
12 非臭気吸着層
13 基材層
14 接着層
20 化学吸着剤担持無機多孔体
Claims (17)
- 少なくとも外層フィルムと内層フィルムとからなる二重袋部と、樹脂成形品からなる内容物抽出口とから構成される包装体であって、
前記外層フィルムと前記内層フィルムは、相互に部分的にのみ接着されており、
前記外層フィルムと前記内層フィルムのそれぞれは、シーラント層を含み、
前記シーラント層は、臭気吸着層を含み、
前記臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有し、
前記低溶出性ポリエチレンは、前記低溶出性ポリエチレンのみから作製されたフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度が、1.5ppm以上、250ppm以下であり、
前記内容物抽出口は、ポリオレフィン系樹脂と前記臭気吸着体を含有し、
前記臭気吸着体は、疎水性ゼオライトを含むものであり、
前記疎水性ゼオライトは、SiO2/Al2O3モル比が30/1~8000/1であり、
前記シーラント層中の前記疎水性ゼオライトの含有量は、0.1質量%以上、13質量%以下である、
包装体。 - 前記臭気吸着体が、さらに、化学吸着剤担持無機多孔体を含み、
前記シーラント層中の前記化学吸着剤担持無機多孔体の含有量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、請求項1に記載の、包装体。 - 前記内容物抽出口中の、前記疎水性ゼオライトの含有量は、0.1質量%以上、13質量%以下である、請求項1または2に記載の、包装体。
- 前記臭気吸着体が、さらに、化学吸着剤担持無機多孔体を含み、
前記内容物抽出口中の、前記化学吸着剤担持無機多孔体の含有量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の、包装体。 - 前記低溶出性ポリエチレンの密度は、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、請求項1~5の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記低溶出性ポリエチレンが、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1~6の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記低溶出性ポリエチレンは、前記低溶出性ポリエチレンのみから作製された50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または、1個以上、160個以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記疎水性ゼオライトは、予め、熱可塑性樹脂と、疎水性ゼオライト/熱可塑性樹脂の質量比が、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、請求項1~8の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記化学吸着剤担持無機多孔体は、予め、熱可塑性樹脂と、化学吸着剤担持無機多孔体/熱可塑性樹脂、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、請求項2~9の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.2~10.0g/10分である、請求項1~10の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記化学吸着剤担持無機多孔体を構成する化学吸着剤が、アルデヒド類、ケトン類、及びカルボン酸類なる群から選択される1種または2種以上との反応性がある官能基を有する、請求項2~11の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記化学吸着剤担持無機多孔体を構成する化学吸着剤が、アミノ基を有する、請求項2~12の何れか1項に記載の、包装体。
- 前記外層フィルムおよび/または前記内層フィルムは、前記臭気吸着層の、片面または両面に、非臭気吸着層を含み、
前記非臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンを含み、前記臭気吸着体を含まない層である、
請求項1~13の何れか1項に記載の、包装体。 - 前記外層フィルムが、更に、基材層を含む、
請求項1~14の何れか1項に記載の、包装体。 - 請求項1~15の何れか1項に記載の包装体からなる、BIB用液体内容物包装体。
- 請求項1~16の何れか1項に記載の包装体を構成する、包装材料。
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