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JP7059702B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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JP7059702B2 JP2018042642A JP2018042642A JP7059702B2 JP 7059702 B2 JP7059702 B2 JP 7059702B2 JP 2018042642 A JP2018042642 A JP 2018042642A JP 2018042642 A JP2018042642 A JP 2018042642A JP 7059702 B2 JP7059702 B2 JP 7059702B2
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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
近年、車両走行時の安全性の面から、ウェットグリップ性能(ウェット路面での制動性能)の向上が求められている。これに対し、タイヤのトレッド部を構成するゴム成分に、シリカを配合して、ウェットグリップ性能を向上させる方法が知られている。
しかし、シリカはゴム成分との親和性が低く、また、シリカ同士の凝集性が高いため、ゴム成分に単にシリカを配合してもシリカが分散せず、ウェットグリップ性能を向上させる効果が十分に得られないという問題があった。
このようななか、特許文献1の請求項1には、ジエン系ゴムと、シリカと、α-メチルスチレン単位を有する樹脂とを含有するタイヤ用ゴム組成物が開示されている。そして、特許文献1には、上記ゴム組成物においてシリカは高いレベルで分散し、優れたウェットグリップ性能を示す旨が記載されている。
特開2016-89118号公報
一方、近年、安全性等の向上のために、タイヤのウェットグリップ性能のさらなる向上が望まれている。特に、競技ウェットタイヤには、極めて高いレベルのウェットグリップ性能が求められている。併せて、作動時になるべく早く上述したウェットグリップ性能が発揮されること(作動性に優れること)も求められている。また、タイヤ(特に競技ウェットタイヤ)には上記ウェットグリップ性能に加えて、高い破断伸び及び高い破断強度も要求される。さらには、通常、タイヤ用ゴム組成物は2本のロールを用いてシート状にするところ、切り返し等の作業をスムーズに行うことができること(シート性に優れること)も求められる。
本発明者が特許文献1に記載のタイヤ用ゴム組成物について検討したところ、ウェットグリップ性能、作動性、シート性、破断伸び及び破断強度の全てを高いレベルで満足する組成物が必ずしも得られないことが明らかになった。特に、シート性のレベルが低く、この点が極めて問題であることが明らかになった。
そこで、本発明は、ウェットグリップ性能、作動性及びシート性に優れ、且つ、破断伸び及び破断強度の高いタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定の構造を有する有機ケイ素化合物等を特定の割合で配合することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムを少なくとも含むジエン系ゴムと、シリカと、軟化点が80~160℃の樹脂と、シランカップリング剤と、後述する式(I)で表される有機ケイ素化合物とを含有し、
上記シリカの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、120質量部以上であり、
上記樹脂の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、10~60質量部であり、
上記有機ケイ素化合物の含有量が、上記シリカの含有量に対して、1~20質量%である、タイヤ用ゴム組成物。
(2) 上記樹脂が、α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位を有する、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記シランカップリング剤が、後述する式(1)の平均組成式で表されるポリシロキサンであり、
上記シランカップリング剤の含有量が、上記シリカの含有量に対して、2~20質量%である、上記(1)又は(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
以下に示すように、本発明によれば、ウェットグリップ性能、作動性及びシート性に優れ、且つ、破断伸び及び破断強度の高いタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例の部分断面概略図である。
以下に、本発明のタイヤ用ゴム組成物及び上記タイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物に含有される各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
[1]タイヤ用ゴム組成物
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムを少なくとも含むジエン系ゴムとシリカと軟化点が80~160℃の樹脂とシランカップリング剤と後述する式(I)で表される有機ケイ素化合物とを含有する。
ここで、上記シリカの含有量は上記ジエン系ゴム100質量部に対して120質量部以上であり、上記樹脂の含有量は上記ジエン系ゴム100質量部に対して10~60質量部であり、上記有機ケイ素化合物の含有量は上記シリカの含有量に対して1~20質量%である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明者の検討から、ゴム組成物の粘度、強度、タック(ネバツキ)等様々な物性がシート性に影響を与えることが分かっている。そして、これらの物性のバランスをとることによって、優れたシート性が実現されることが分かっている。例えば、単に粘度を下げた場合、強度も下がりタックに負けて両方のロールにゴム組成物が貼り付いてしまうという問題がある。
一方、本発明の組成物は、特定の樹脂及び特定の構造を有する有機ケイ素化合物等を所定の割合で含有するため、上述した物性のバランスが達成され、結果として、優れたシート性を示すものと推測される。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
[ジエン系ゴム]
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムを少なくとも含む。
上記ジエン系ゴム中の芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されず100質量%である。
上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)であることが好ましい。
上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体の芳香族ビニル含有量(芳香族ビニル(例えば、スチレン)に由来する繰り返し単位の割合)は、本発明の効果がより優れる理由から、10~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。
また、上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体の共役ジエン中のビニル結合量は、本発明の効果がより優れる理由から、30~80%であることが好ましく、50~70%であることがより好ましい。ここで、ビニル結合量とは、共役ジエンの結合様式であるシス-1,4-結合、トランス-1,4-結合および1,2-ビニル結合のうち、1,2-ビニル結合の割合をいう。
上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムは、その製造方法について特に限定されず、従来公知の方法で製造することができる。
また、上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムを製造する際に使用される単量体としての、芳香族ビニル、共役ジエンは特に限定されない。
ここで、上記共役ジエン単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどが挙げられる。
一方、上記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴム以外のジエン系ゴムをさらに含んでいてもよい。
そのようなジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果がより優れる理由から、100,000~10,000,000であることが好ましく、300,000~3,000,000であることがより好ましい。
また、本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は、50,000以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5,000,000以下であることが好ましく、150,000~1,500,000であることがより好ましい。
なお、ジエン系ゴムに含まれる少なくとも1種のジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることが好ましく、ジエン系ゴムに含まれるすべてのジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることがより好ましい。
本明細書において、Mw及びMnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
[シリカ]
本発明の組成物に含有されるシリカは特に制限されず、従来公知の任意のシリカを用いることができる。上記シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積(以下、「CTAB吸着比表面積」を単に「CTAB」とも言う)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100~300m/gであることが好ましく、150~200m/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカの含有量は、上述したゴム成分100質量部に対して、120質量部以上である。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、200質量以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましい。
[特定樹脂]
上述のとおり、本発明の組成物は、軟化点が80~160℃の樹脂(以下、「特定樹脂」とも言う)を含有する。特定樹脂の軟化点は、本発明の効果がより優れる理由から、100~150℃であることが好ましい。
なお、上記軟化点は、JIS K6220-1に準拠して測定したものとする。
特定樹脂は、本発明の効果がより優れる理由から、α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位を有する樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、水添テルパン樹脂、又は、水添芳香族変性テルペン樹脂であることが好ましく、α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位を有する樹脂であることがより好ましい。
上記α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位を有する樹脂は、α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。そのような繰り返し単位としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、o-エチルスチレン等の芳香族炭化水素系単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
上記α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位を有する樹脂は、本発明の効果がより優れる理由から、α-メチルスチレン単独重合体又はα-メチルスチレン-スチレン共重合体であることが好ましい。
特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値として、1000~10000であることが好ましく、1500~8000であることがより好ましい。
特定樹脂は、スチレン-(α-メチルスチレン)-脂肪族炭化水素系共重合体としてのFTR-7100(軟化点100℃、三井化学社製)、α-メチルスチレン系重合体としてのFTR-0100(軟化点100℃、三井化学社製)、スチレン-(α-メチルスチレン)系共重合体としてのFTR-2120(軟化点120℃、三井化学社製)、FTR-2140(軟化点145℃、三井化学社製)、クリスタレックス3100(軟化点100℃、イーストマンケミカル社製)、クリスタレックス3085(軟化点85℃、イーストマンケミカル社製)、クリスタレックス5140(軟化点140℃、イーストマンケミカル社製)、クリスタレックス1120(軟化点120℃、イーストマンケミカル社製)、クリスタレックスF85(軟化点85℃、イーストマンケミカル社製)、クリスタレックスF100(軟化点100℃、イーストマンケミカル社製)およびクリスタレックスF115(軟化点115℃、イーストマンケミカル社製)等の市販品を用いることができる。
本発明の組成物において、特定樹脂の含有量は、上述したゴム成分100質量部に対して、10~60質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、20~50質量部であることが好ましい。
[シランカップリング剤]
本発明の組成物に含有されるシランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、1~16であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル-メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル-メタクリレート-モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましく、メルカプト系シランカップリング剤(メルカプト基を有するシランカップリング剤)であることがより好ましく、後述する式(1)の平均組成式で表されるポリシロキサン(特定ポリシロキサン)であることがさらに好ましい。
〔特定ポリシロキサン〕
特定ポリシロキサンは下記式(1)の平均組成式で表されるポリシロキサンである。
(A)(B)(C)(D)(RSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
上記式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。Rは炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。
式(1)は、ポリシロキサンの平均組成を表す。すなわち、ポリシロキサンのSi原子に直接結合する基の種類、及び、各基の平均の数を表す。
式(1)中のSiはポリシロキサンのSi原子を表す。また、式(1)中のOはポリシロキサンのO原子を表す。なお、O原子は2価の基であり、必ず2つのSi原子(ポリシロキサンのSi原子)に結合する。式(1)中の(4-2a-b-c-d-e)/2は、ポリシロキサンのSi原子にポリシロキサンのO原子が結合する平均の数を表す。
式(1)中のA、B、C、D及びRはいずれもポリシロキサンのSi原子に結合する基を表す。なお、Aは2価の基であり、必ず2つのSi原子(ポリシロキサンのSi原子)に結合する。式(1)中のa、b、c、d及びeはそれぞれポリシロキサンのSi原子に結合するA、B、C、D及びRの平均の数を表す。
ポリシロキサンのSi原子に直接結合する各基の合計(a×2+b+c+d+e+((4-2a-b-c-d-e)/2)×2)が4(Si原子の価数)になることから分かるように、ポリシロキサンのSi原子には、A、B、C、D、R及びO以外の基は直接結合しない。なお、上記合計の計算において、a及び(4-2a-b-c-d-e)/2)を2倍にするのは、A及びOが2価の基であるからである。
上記式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基(以下、「スルフィド基含有有機基」とも言う)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
-(CH2n-Sx-(CH2n (2)
上記式(2)中、nは1~10の整数を表し、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、2~4の整数であることが好ましい。
上記式(2)中、xは1~6の整数を表し、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、2以上の整数であることが好ましく、2~4の整数であることがより好ましい。
上記式(2)中、*は、結合位置を示す。
上記式(2)で表される基の具体例としては、例えば、-CH2-S2-CH2-C24-S2-C24-C36-S2-C36-C48-S2-C48-CH2-S4-CH2-C24-S4-C24-C36-S4-C36-C48-S4-C48などが挙げられる。
本発明の効果がより優れる理由から、Aに含有されるスルフィド基はテトラスルフィド基(-S-)であることが好ましい。
上記式(1)中、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基(好ましくは、アルキル基)を表し、その具体例としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
上記式(1)中、Cは加水分解性基を表し、その具体例としては、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
-OR2 (3)
上記式(3)中、R2は炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数6~10のアラルキル基(アリールアルキル基)または炭素数2~10のアルケニル基を表し、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。上記炭素数1~20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。上記炭素数2~10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロぺニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
上記式(3)中、*は、結合位置を示す。
上記式(1)中、Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(4)で表される基であることが好ましい。
-(CH2m-SH (4)
上記式(4)中、mは1~10の整数を表し、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1~5の整数であることが好ましい。
上記式(4)中、*は、結合位置を示す。
上記式(4)で表される基の具体例としては、-CH2SH、-C24SH、-C36SH、-C48SH、-C510SH、-C612SH、-C714SH、-C816SH、-C918SH、-C1020SHが挙げられる。
上記式(1)中、Eは炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。
上記式(1)中、a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。
上記特定ポリシロキサンは、本発明の効果がより優れる理由から、aが0よりも大きい(0<a)ことが好ましい。すなわち、スルフィド基含有有機基を有することが好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、0<a≦0.50であることが好ましい。
上記式(1)中、bは、本発明の効果がより優れる理由から、0.10≦b≦0.89であることが好ましい。
上記式(1)中、cは、本発明の効果がより優れる理由から、1.2≦c≦2.0であることが好ましい。
上記式(1)中、dは、本発明の効果がより優れる理由から、0.1≦d≦0.8であることが好ましい。
上記特定ポリシロキサンは、本発明の効果がより優れる理由から、上記式(1)中、Aが上記式(2)で表される基であり、上記式(1)中のCが上記式(3)で表される基であり、上記式(1)中のDが上記式(4)で表される基であるポリシロキサンであることが好ましい。
上記特定ポリシロキサンの重量平均分子量は、本発明の効果がより優れる理由から、500~2300であるのが好ましく、600~1500であるのがより好ましい。本願における特定ポリシロキサンの分子量は、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で求めたものである。
上記特定ポリシロキサンの酢酸/ヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウム添加-チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法によるメルカプト当量は、加硫反応性に優れるという観点から、550~700g/molであるのが好ましく、600~650g/molであるのがより好ましい。
上記特定ポリシロキサンは、本発明の効果がより優れる理由から、シロキサン単位(-Si-O-)を2~50個有するものであることが好ましい。
なお、上記特定ポリシロキサンの骨格には、ケイ素原子以外の金属(例えば、Sn、Ti、Al)は存在しない。
上記特定ポリシロキサンを製造する方法は特に限定されないが、第1の好適な態様としては、下記式(6)で表される有機ケイ素化合物と、下記式(7)で表される有機ケイ素化合物とを加水分解縮合する方法が挙げられる。また、第2の好適な態様としては、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物と、下記式(6)で表される有機ケイ素化合物と、下記式(7)で表される有機ケイ素化合物とを加水分解縮合する方法が挙げられる。また、第3の好適な態様としては、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物と、下記式(6)で表される有機ケイ素化合物と、下記式(7)で表される有機ケイ素化合物と、下記式(8)で表される有機ケイ素化合物とを加水分解縮合する方法が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、上記第2の好適な態様であることが好ましい。
Figure 0007059702000001
上記式(5)中、R51は炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基または炭素数2~10のアルケニル基を表し、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。上記炭素数1~20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数2~10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
上記式(5)中、R52は炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を表す。上記炭素数1~10のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアリール基の具体例は上記R51と同じである。
上記式(5)中、nの定義および好適な態様は、上記nと同じである。
上記式(5)中、xの定義および好適な態様は、上記xと同じである。
上記式(5)中、yは1~3の整数を表す。
上記式(5)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどが挙げられる。
Figure 0007059702000002
上記式(6)中、R61の定義、具体例および好適な態様は、上記R51と同じである。
上記式(6)中、R62の定義、具体例および好適な態様は、上記R52と同じである。
上記式(6)中、zの定義は、上記yと同じである。
上記式(6)中、pは5~10の整数を表す。
上記式(6)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルメチルジメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルメチルジメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
Figure 0007059702000003
上記式(7)中、R71の定義、具体例および好適な態様は、上記R51と同じである。
上記式(7)中、R72の定義、具体例および好適な態様は、上記R52と同じである。
上記式(7)中、mの定義および好適な態様は、上記mと同じである。
上記式(7)中、wの定義は、上記yと同じである。
上記式(7)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、α-メルカプトメチルトリメトキシシラン、α-メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、α-メルカプトメチルトリエトキシシラン、α-メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
Figure 0007059702000004
上記式(8)中、R81の定義、具体例および好適な態様は、上記R51と同じである。
上記式(8)中、R82の定義、具体例および好適な態様は、上記R52と同じである。
上記式(8)中、vの定義は、上記yと同じである。
上記式(8)中、qは1~4の整数を表す。
上記式(8)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
上記特定ポリシロキサンを製造する際には必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては特に限定されないが、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
上記特定ポリシロキサンを製造する際には必要に応じて触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、塩酸、酢酸などの酸性触媒、アンモニウムフルオリドなどのルイス酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物などが挙げられる。
上記触媒は、金属としてSn、TiまたはAlを含有する有機金属化合物でないことが好ましい。このような有機金属化合物を使用した場合、ポリシロキサン骨格に金属が導入されて、上記特定ポリシロキサン(骨格には、ケイ素原子以外の金属(例えば、Sn、Ti、Al)は存在しない)が得られないことがある。
上記特定ポリシロキサンを製造する際に使用される有機ケイ素化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤[例えば、式(7)で表される有機ケイ素化合物]及びスルフィド基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤[例えば、式(6)や式(8)で表される有機ケイ素化合物]を併用する際、メルカプト基を有するシランカップリング剤とスルフィド基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤との混合比(モル比)(メルカプト基を有するシランカップリング剤/スルフィド基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤)は、本発明の効果がより優れる理由から、1.1/8.9~6.7/3.3であるのが好ましく、1.4/8.6~5.0/5.0であるのがより好ましい。
上記特定ポリシロキサンを製造する際に使用される有機ケイ素化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤[例えば、式(7)で表される有機ケイ素化合物]及びスルフィド基を有するシランカップリング剤[例えば、式(5)で表される有機ケイ素化合物]を併用する際、メルカプト基を有するシランカップリング剤とスルフィド基を有するシランカップリング剤との混合比(モル比)(メルカプト基を有するシランカップリング剤/スルフィド基を有するシランカップリング剤)は、本発明の効果がより優れる理由から、2.0/8.0~8.9/1.1であるのが好ましく、2.5/7.5~8.0/2.0であるのがより好ましい。
上記特定ポリシロキサンを製造する際に使用される有機ケイ素化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤[例えば、式(7)で表される有機ケイ素化合物]、スルフィド基を有するシランカップリング剤[例えば、式(5)および/またはで表される有機ケイ素化合物]、及びスルフィド基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤[例えば、式(6)や式(8)で表される有機ケイ素化合物]を併用する際、メルカプト基を有するシランカップリング剤の量は、前3者の合計量(モル)中の10.0~73.0%であるのが好ましい。スルフィド基を有するシランカップリング剤の量は、前3者の合計量中の5.0~67.0%であるのが好ましい。スルフィド基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤の量は、前3者の合計量中の16.0~85.0%であるのが好ましい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量に対して、1~30質量%であることが好ましく、2~20質量%であることがより好ましく、4~10質量%であることがさらに好ましい。
また、本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましく、4~10質量部であることがさらに好ましい。
[特定有機ケイ素化合物]
上述のとおり、本発明の組成物は、下記式(I)で表される有機ケイ素化合物(以下、「特定有機ケイ素化合物」とも言う)を含有する。
Figure 0007059702000005
上記式(I)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基を表し、Rは、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基を表し、fは、0以上の数を表し、e、g及びhは、互いに独立して、0より大きい数を表し、mは、1~3の整数を表す。ただし、各繰り返し単位の順序は任意である。
が複数存在する場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。Rが複数存在する場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。
上記炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
上記炭素数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等が挙げられる。
上記Rは、本発明の効果がより優れる理由から、直鎖状のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、エチル基であることがさらに好ましい。
上述のとおり、式(I)中、eは0より大きい数(好ましくは、0より大きい整数)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、60以下であることがさらに好ましい。
上述のとおり、式(I)中、fは、0以上の数(好ましくは、0以上の整数)を表す。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、1以下であることが特に好ましい。
上述のとおり、式(I)中、gは0より大きい数(好ましくは、0より大きい整数)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
上述のとおり、式(I)中、hは0より大きい数(好ましくは、0より大きい整数)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、40以下であることがさらに好ましい。
式(I)中のe、f、g及びhは、本発明の効果がより優れる理由から、e/(e+f+g+h)が0.10~0.90であることが好ましく、0.20~0.80であることがより好ましく、0.30~0.70であることがさらに好ましく、0.40~0.60であることが特に好ましい。
式(I)中のe、f、g及びhは、本発明の効果がより優れる理由から、f/(e+f+g+h)が0.20以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。下限は特に制限されず、0である。
式(I)中のe、f、g及びhは、本発明の効果がより優れる理由から、g/(e+f+g+h)が0.10~0.50であることが好ましく、0.15~0.40であることがより好ましく、0.20~0.30であることがさらに好ましい。
式(I)中のe、f、g及びhは、本発明の効果がより優れる理由から、h/(e+f+g+h)が0.10~0.50であることが好ましく、0.15~0.40であることがより好ましく、0.20~0.30であることがさらに好ましい。
式(I)中のf及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、g/(f+g)が0.30以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましい。上限は特に制限されず、1である。
式(I)中のe、f及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、(f+g)/(e+f+g)が0.10~0.50であることが好ましく、0.20~0.40であることがより好ましい。
上述のとおり、mは1~3の整数を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
特定有機ケイ素化合物の数平均分子量(Mn)は、50,000未満である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、40,000以下であることが好ましく、20,000以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。
上述した芳香族ビニル-共役ジエン共重合体の芳香族ビニル含有量(質量%)(以下、「芳香族ビニル含有量A」とも言う)に対する、上述した特定有機ケイ素化合物の「h/(e+f+g+h)」×100(%)(以下、「芳香族ビニル含有量B」とも言う)の割合(芳香族ビニル含有量B/芳香族ビニル含有量A)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.5~1.5であることが好ましく、0.6~1.0であることがより好ましく、0.7~0.9であることがさらに好ましい。なお、例えば、後述する実施例において、タフデンE680の芳香族ビニル含有量Aは36質量%であり、特定有機ケイ素化合物の芳香族ビニル含有量Bは28.2(=29/(52+0+22+29)×100)%であるため、芳香族ビニル含有量B/芳香族ビニル含有量Aは0.78である。
また、上述した芳香族ビニル-共役ジエン共重合体のビニル結合量(%)(以下、「ビニル結合量A」とも言う)に対する、上述した特定有機ケイ素化合物の「(f+g)/(e+f+g)」×100(%)(以下、「ビニル結合量B」とも言う)の割合(ビニル結合量B/ビニル結合量A)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.1~1.0であることが好ましく、0.2~0.8であることがより好ましく、0.4~0.6であることがさらに好ましい。なお、例えば、後述する実施例において、タフデンE680のビニル結合量Aは65%であり、特定有機ケイ素化合物のビニル結合量Bは29.7(=22/(52+0+22)×100)%であるため、ビニル結合量B/ビニル結合量Aは0.46である。
〔特定有機ケイ素化合物の製造方法〕
特定有機ケイ素化合物の製造方法は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、下記スキームに示されるように、式(II)で表されるブタジエン-スチレンコポリマーと式(III)で表される有機ケイ素化合物とを白金化合物含有触媒の存在下、好ましくは白金化合物含有触媒および助触媒の存在下でヒドロシリル化することで製造する方法が好ましい。
Figure 0007059702000006
上記式(II)及び(III)中のR、R、f、e、g、h及びmの定義、具体例及び好適な態様は、それぞれ上述した式(I)中のR、R、f、e、g、h及びmと同じである。
式(II)で表されるブタジエン-スチレンコポリマーの数平均分子量(Mn)は、本発明の効果がより優れる理由から、25,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。
式(II)で表されるブタジエン-スチレンコポリマーは、ブタジエンとスチレンを原料モノマーとし、乳化重合や溶液重合等の公知の手法で合成することができるが、市販品として入手することもでき、例えば、Ricon100、Ricon181、Ricon184(以上、Cray Vally社製)が上市されている。
一方、式(III)で表される有機ケイ素化合物としては、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、トリエトキシシランが好ましい。
上記ヒドロシリル化反応に用いられる白金化合物含有触媒としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等や、白金-炭素、白金-アルミナ、白金-シリカ等の担持触媒などが挙げられる。
ヒドロシリル化の際の選択性の面から、0価の白金錯体が好ましく、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や、生産性等の点から、式(3)で示される有機ケイ素化合物1molに対し、含有される白金原子が1×10-7~1×10-2molとなる量が好ましく、1×10-7~1×10-3molとなる量がより好ましい。
上記反応における助触媒としては、無機酸のアンモニム塩、酸アミド化合物及びカルボン酸から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
無機酸のアンモニウム塩の具体例としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミド硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジ亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム等が挙げられるが、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、pKaが2以上の無機酸のアンモニウム塩が好ましく、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムがより好ましい。
酸アミド化合物の具体例としては、ホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、アクリルアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、フタルアミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メトキシ酢酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、乳酸、グリコール酸等が挙げられ、これらの中でも、ギ酸、酢酸、乳酸が好ましく、酢酸がより好ましい。
助触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性、選択性、コスト等の観点から式(III)で示される有機ケイ素化合物1molに対して1×10-5~1×10-1molが好ましく、1×10-4~5×10-1molがより好ましい。
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。
使用可能な溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ヒドロシリル化反応における反応温度は特に限定されるものではなく、本発明の効果がより優れる理由から、0~200℃が好ましい。
適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40~110℃がより好ましく、40~90℃がより一層好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1~60時間程度であるが、本発明の効果がより優れる理由から、1~30時間が好ましく、1~20時間がより好ましい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、特定有機ケイ素化合物の含有量は、上述したシリカの含有量に対して、1~20質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、2~10質量%であることがより好ましい。
また、本発明の組成物において、特定有機ケイ素化合物の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、2~10質量部であることがより好ましい。
また、本発明の組成物において、特定有機ケイ素化合物の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述した芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムの含有量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、20質量%以下であることが好ましい。
[特定樹脂の含有量に対する特定有機ケイ素化合物の含有量]
本発明の組成物において、上述した特定樹脂の含有量に対する上述した特定有機ケイ素化合物の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~50質量%であることが好ましく、5~40質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましく、15~20質量%であることがさらに好ましい。
[任意成分]
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(任意成分)を含有することができる。
そのような成分としては、例えば、シリカ以外の充填剤(例えば、カーボンブラック)、上述した特定樹脂以外の樹脂、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
<カーボンブラック>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50~200m/gであることが好ましく、70~150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~10質量部であることがより好ましい。
[タイヤ用ゴム組成物の調製方法]
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100~160℃)で混合し、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
[2]空気入りタイヤ
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造された空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッド(キャップトレッド)に用いた(配置した)空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表す空気入りタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
本発明の空気入りタイヤは、特に競技ウェットタイヤに好適である。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔特定ポリシロキサンの製造〕
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE-846)107.8g(0.2mol)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE-803)190.8g(0.8mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE-3083)442.4g(1.6mol)、エタノール190.0gを納めた後、室温にて0.5N塩酸37.8g(2.1mol)とエタノール75.6gの混合溶液を滴下した。その後、80℃にて2時間攪拌した。その後、濾過、5%KOH/EtOH溶液17.0gを滴下し80℃で2時間攪拌した。その後、減圧濃縮、濾過することで褐色透明液体のポリシロキサン480.1gを得た。GPCにより測定した結果、平均分子量は840であり、平均重合度は4.0(設定重合度4.0)であった。また、酢酸/ヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウム添加-チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法によりメルカプト当量を測定した結果、730g/molであり、設定通りのメルカプト基含有量であることが確認された。以上より、下記平均組成式で示される。
(-C-S-C-)0.071(-C170.571(-OC1.50(-CSH)0.286SiO0.75
得られたポリシロキサンを特定ポリシロキサンとする。
〔特定有機ケイ素化合物の製造〕
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon181(Cray Vally社製、数平均分子量:7,100、上述した式(II)で表されるブタジエン-スチレンコポリマー、式(II)中、e=52、(f+g)=22、h=29)100g、トルエン200g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として3.1×10-3モル)、および酢酸0.2g(1.5×10-3モル)を納めた。この中に、トリエトキシシラン51g(0.31モル)を内温75~85℃で2時間かけて滴下した後、80℃で1時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーで分析したトリエトキシシランの反応率は98%であった。
撹拌終了後、減圧濃縮および濾過し、粘度:8,000mPa・s、数平均分子量:10,500の褐色透明液体を得た。分子量およびH-NMRスペクトルから、得られた液体は、上述した特定有機ケイ素化合物(上述した式(I)中、R=エチル基、e=52、f=0、g=22、h=29、m=3)であることが分かった。
〔タイヤ用ゴム組成物の調製〕
下記表1に示される成分を、同表に示される割合(質量部)で配合した。具体的には、150℃のバンバリーミキサーで2分間混合した。次に、ロールを用いて、硫黄及び加硫促進剤を混合し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
なお、表1中、SBRの質量部は油展オイルを除いたSBRの正味の質量部である。
〔評価〕
得られたタイヤ用ゴム組成物について下記のとおり評価を行った。
<シート性>
2本のロールを用いて、得られたタイヤ用ゴム組成物をシート状にした。そして、下記の基準に基づきシート性を評価した。
結果を表1に示す。実用上、○であることが好ましい。
○:一方のロールにのみゴム組成物が貼り付き、切り返し等の作業をスムーズに行うことができた。
△:一方のロールだけでなく、他方のロールにもゴム組成物が多少貼り付いてしまい、切り返し等の作業がやや困難であった。
×:一方のロールだけでなく、他方のロールにもゴム組成物が大量に貼り付いてしまい、切り返し等の作業が極めて困難であった。
<作動性>
得られたタイヤ用ゴム組成物(未加硫)を金型(15cm×15cm×0.2cm)中で、160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴムシートを作製した。得られた加硫ゴムシートを厚さ2mmのダンベル状(ダンベル状3号形)に切り出して試験片とした。
得られた試験片について、JIS K6251:2010に準じ、300%モジュラス(300%伸長時の応力)[MPa]を測定した。
結果を表1に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が小さい方が作動性に優れる。実用上、100以下であることが好ましい。
<ウェットグリップ性能>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。
得られた加硫ゴムシートについて、JISK6394:2007に準じ、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件でtanδ(0℃)を測定した。
結果を表1に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が大きい方がウェットグリップ性能に優れる。実用上、103以上であることが好ましい。
<破断伸び及び破断強度>
上述のとおり加硫ゴムシートを作製した。得られた加硫ゴムシートを厚さ2mmのダンベル状(ダンベル状3号形)に切り出して試験片とした。
得られた試験片について、JIS K6251:2010に準じ、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で破断伸び(=破断時の伸び率)及び破断強度(=破断時の強度)を測定した。
結果を表1に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が大きい方が好ましく、実用上、105以上であることが好ましい。
Figure 0007059702000007
上記表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
なお、特定有機ケイ素化合物は、上述した式(I)で表される有機ケイ素化合物であるため、上述した特定有機ケイ素化合物に該当する。また、特定樹脂は、軟化点が80~160℃の樹脂であるため、上述した特定樹脂に該当する。また、SBRのMnは、50,000以上である。
・SBR:タフデンE680(スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(溶液重合スチレンブタジエンゴム)、芳香族ビニル含有量:36質量%、ビニル結合量:65%、Tg:-13℃、重量平均分子量:160万、油展品(SBR100質量部に対して油展オイル37.5質量部を含む。SBR中のSBRの正味は72.7質量%、旭化成ケミカルズ社製)
・シリカ:Zeosil 1165MP(CTAB=159m/g、ローディア社製)
・カーボンブラック:シースト9(NSA=142m/g、東海カーボン社製)
・シランカップリング剤1:Si69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグサ社製)
・シランカップリング剤2:上述のとおり製造した特定ポリシロキサン
・特定有機ケイ素化合物:上述のとおり製造した特定有機ケイ素化合物
・特定樹脂:FTR2140(α-メチルスチレン-スチレン共重合体、軟化点:140℃、三井化学社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸YR(日油社製)
・老化防止剤:Santoflex 6PPD(Solutia Europe社製)
・オイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤1:加硫促進剤DPG(ノクセラーD、大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤2:加硫促進剤CBS(ノクセラーCZ-G、大内新興化学工業社製)
表1から分かるように、特定樹脂及び特定有機ケイ素化合物等を特定の割合で含有する実施例1~3は、優れたシート性、作動性及びウェットグリップ性、並びに、高い破断伸び及び破断強度を示した。なかでも、シランカップリング剤が特定ポリシロキサンである実施例2及び3は、より優れた作動性並びにより高い破断伸び及び破断強度を示した。そのなかでも、特定有機ケイ素化合物の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上である実施例3は、さらに優れた作動性及びウェットグリップ性能並びに、さらに高い破断伸び及び破断強度を示した。
一方、特定有機ケイ素化合物を含有しない比較例1及び6、特定樹脂及び特定有機化合物を含有するが特定樹脂の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部に満たない比較例2、特定樹脂及び特定有機化合物を含有するが特定樹脂の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して60質量部を超える比較例3、特定樹脂及び特定有機化合物を含有するがシリカの含有量がジエン系ゴムに対して120質量部に満たない比較例4、並びに、特定樹脂及び特定有機化合物を含有するが特定有機ケイ素化合物の含有量がシリカの含有量に対して20質量%を超える比較例5は、シート性、作動性、ウェットグリップ性、破断伸び及び破断強度の少なくともいずれかが不十分であった。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (3)

  1. 芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムを少なくとも含むジエン系ゴムと、シリカと、軟化点が80~160℃の樹脂と、シランカップリング剤と、下記式(I)で表される有機ケイ素化合物とを含有し、
    前記シランカップリング剤が、下記式(1)の平均組成式で表されるポリシロキサンであり、
    前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、120質量部以上であり、
    前記樹脂の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、10~60質量部であり、
    前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカの含有量に対して、2~20質量%であり、
    前記有機ケイ素化合物の含有量が、前記シリカの含有量に対して、1~20質量%である、タイヤ用ゴム組成物。
    (A) (B) (C) (D) (R SiO (4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
    式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。
    Figure 0007059702000008
    式(I)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基を表し、Rは、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基を表し、fは、0以上の数を表し、e、g及びhは、互いに独立して、0より大きい数を表し、mは、1~3の整数を表す。ただし、各繰り返し単位の順序は任意である。
  2. 前記樹脂が、α-メチルスチレンに由来する繰り返し単位を有する、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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