JP7050022B2 - フリータイプ双方向クラッチ - Google Patents
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Description
図11に示すとおり、このフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジングH内に、共通の中心軸の回りに回転可能な入力軸I及び出力軸Oが設置されている。入力軸I及び出力軸Oには、入力円板部材IM及び出力歯車(太陽歯車)OGが夫々固着されている。ハウジングH内には更に、出力歯車OGと噛み合う遊星歯車PG有する6個の遊星歯車体PBが配置され、夫々の遊星歯車体PBはキャリアCによって回転可能に軸支されている。遊星歯車体PBには、断面の外周が正9角形である筒状のカム体CBが遊星歯車PGと同心に固着されている。入力円板部材IMには、カム体CBが挿入される空間部Sが設けられている。空間部Sの断面形状は周方向に対称であって且つ挿入されたカム体CBが空転することができる程度に大きく、空間部Sの周方向両側には平面である当接面Saが設けられている。
ここで、入力軸Iの回転が停止し、空間部Sにおいて入力円板部IMの当接面Saとカム体CBの外周面とが面接触している状態で、出力軸Oが回転しようとする場合には、図12(b)上図に示すとおり、カム体CBの二点鎖線で示す外接円の半径r1がカム体CBの自転中心から当接壁部Saまでの距離r2よりも長く(r1>r2)、この状態では空間部Sにおいてカム体CBは自転することはできない(つまり遊星歯車体PBは自転することができない)。しかしながら、入力軸Iは回転不能であり従って入力円板部材IMは動かないことから、上記状態でカム体CBが自転しようとすると、当接壁部Saと接触するカム体CBの外周面の片端縁Pが当接壁部Saを周方向に押したことによる反力(さらに詳しくは、共通の中心軸周りの周方向分力)によって、図12(b)下図に示すとおり、カム体CBはこれを軸支するキャリア体CBと共に当接壁部Saから離隔する方向に移動してr2がr1以上となり(r1≦r2)、空間部Sにおいてカム体CBは自転可能となる。従って、入力円板部IMの当接面Saとカム体CBの外周面とが面接触し、カム体CBの姿勢が保持されていた状態であっても、カム体CBと共にキャリア体CBが移動することでカム体CBの空転が可能となり、入力軸Iに回転を伝達することなく、出力軸Oは回転可能となる。
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状のカム体が固着されるとともに、前記入力軸には前記カム体が挿入される円形断面の空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点が、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチである。
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円形の断面の空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチである。
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の円弧状周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
図2における各矢印に示すように、入力軸2が、駆動源のモーターにより反時計方向(中央縦断面図の右方から見て)に回転すると、入力軸2の入力円板部22に形成された空間部23も反時計方向に移動し、空間部23の周壁がカム体43に当接する。このとき、遊星歯車41の中心o1との距離が最大となるカム体43の外周点Paが、空間部23の周壁と接触すると、カム体43の姿勢が保持される。これは、カム体43が外周点Paにおいて空間部23の周壁と当接した場合には、図2の右図に示すとおり、入力円板部22の回転によって上記周壁からカム体43に加えられる力の作用ベクトル(つまり、外周点Paにおける法線ベクトル)上に遊星歯車体4の自転中心o1が位置することとなるため、上記力がカム体43に加えられた場合でも、カム体43には遊星歯車41の中心o1周りに回転モーメントが作用しないためである。カム体43が外周点Pa以外の点で空間部23の周壁と当接する場合には、上記周壁とカム体43の外周点との当接部位における相互摩擦力によってカム体43は遊星歯車41の中心o1の周りで偏心しながら自転すると共に共通の中心軸oの周りを公転する。
入力軸2が時計方向に回転した場合は、入力軸2が反時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
図3に示す状態から、出力軸3が時計方向(中央縦断面図の左方から見て)に回転した場合は、出力軸3が反時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
図7に示すフリータイプ双方向クラッチは、遊星歯車体(殊にカム体の外周形状)及びこれが配置された数を除いて図6に示す本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの第二の変形例と同様の構成である。従って、以下では本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチとの相違点である遊星歯車体についてのみ説明し、その他の構成については第一のフリータイプ双方向クラッチと同様の付番に「´(ダッシュ)」を付して説明を省略する。
これらの図に示す第三発明のフリータイプ双方向クラッチは、遊星歯車体のカム体として第二発明と同様な外周が複数の円弧の集合からなるカム体を用い、カム体が挿入される入力軸の空間部を、カム体の外周の円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた形状とするものである。ここで、図9及び図10では、第一発明のフリータイプ双方向クラッチに相当する部品等については、図1等の符号と同一のものに「´´(二重ダッシュ)」を付して表している。
カム体43´´は、入力軸2´´の入力円板部22´´に設けられた空間部23´´に挿入される。空間部23´´は、周方向の両側に円弧状周壁W1、W2を備え、円弧状周壁W1、W2は、空間部23´´の径方向に延びる中心線に対して対称となるよう形成され、その曲率は、カム体43´´の外周の円弧の曲率よりも小さく設定されている。
これに対し、出力軸3´´が回転したときは、出力歯車32´´の回転によって遊星歯車41´´が自転し、カム体43´´も同一方向に自転する。このとき、上述した本願発明の第一発明と同様に、カム体43´´が自転すると上記距離は低減するため、空間部23´´の円弧状周壁とカム体43´´の外周との接触が解消され、カム体43´´が空間部23´´内で自由に空転し、出力軸3´´からの回転伝達は遮断される。
2:入力軸
22:入力円板部
23:空間部
24:嵌合突起
3:出力軸
32:出力歯車
33:円筒壁
34:ガイド面
4:遊星歯車体
41:遊星歯車
42:ガイド部
43:カム体
5:キャリア体
56:キャリア体補助
6:波ばね
Claims (8)
- 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状のカム体が固着されるとともに、前記入力軸には前記カム体が挿入される円形断面の空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点が、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。 - 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円形の断面の空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。 - 前記カム体の外周が、前記遊星歯車の歯数と同数の等角度の円弧の集合からなる請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の円弧状周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。 - 前記遊星歯車体における前記遊星歯車と前記カム体との間には、前記遊星歯車と同軸の円板形状のガイド部が形成されているとともに、前記出力軸には前記ガイド部が転がり接触するガイド面が形成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記入力軸及び前記出力軸の先端部には、相互に嵌り合う嵌合穴と嵌合突起が前記共通の回転軸と同軸に形成されている、請求項1乃至5のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記ハウジングの内部には、前記キャリア体と組み合わされるキャリア体補助が配置されており、前記遊星歯車体を軸支する前記キャリア体のキャリア軸は前記キャリア体補助によって支持される、請求項1乃至6のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記キャリア体には、波ばねによって所定の拘束力が付与されている、請求項1乃至7のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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