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JP7050022B2 - フリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

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JP7050022B2 JP2019048476A JP2019048476A JP7050022B2 JP 7050022 B2 JP7050022 B2 JP 7050022B2 JP 2019048476 A JP2019048476 A JP 2019048476A JP 2019048476 A JP2019048476 A JP 2019048476A JP 7050022 B2 JP7050022 B2 JP 7050022B2
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Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の中で双方向クラッチと呼ばれるものは、入力軸(駆動側)から出力軸(従動側)への動力伝達では、入力軸の正方向回転及び逆方向回転をともに出力軸に伝達し、反対向きの、出力軸から入力軸への動力伝達は遮断する機能を備えている。双方向クラッチには、出力軸からの動力伝達を遮断するときに出力軸を空転させるクラッチがあり、フリータイプ双方向クラッチと呼ばれている。
フリータイプ双方向クラッチは、一例として、巻き上げ式の電動カーテン等を手動でも操作できるようにした開閉駆動装置に適用することができる。この場合、フリータイプ双方向クラッチは、駆動モーターとカーテンの巻き上げ機構との間に介在され、入力軸に駆動モーターが、出力軸に巻き上げ機構が連結される。駆動モーターを正・逆回転させるとカーテンの昇降が可能であるとともに、駆動モーターの停止位置においては、手動による巻き上げ機構の操作が可能であって、このときには、出力軸が空転するので駆動モーターに悪影響を及ぼすことがない。こうした機能は、駆動モーターと巻き上げ機構との間に電磁クラッチを設置し、これを断・接しても達成できるが、電磁クラッチを作動させるには電力を必要とし、電力制御のための複雑な制御装置等も必要となる。
フリータイプ双方向クラッチとしては、例えば、本出願人の創案に係る特許第5926846号に記載された双方向クラッチが知られており、これについて、図11を参照して説明する。
図11に示すとおり、このフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジングH内に、共通の中心軸の回りに回転可能な入力軸I及び出力軸Oが設置されている。入力軸I及び出力軸Oには、入力円板部材IM及び出力歯車(太陽歯車)OGが夫々固着されている。ハウジングH内には更に、出力歯車OGと噛み合う遊星歯車PG有する6個の遊星歯車体PBが配置され、夫々の遊星歯車体PBはキャリアCによって回転可能に軸支されている。遊星歯車体PBには、断面の外周が正9角形である筒状のカム体CBが遊星歯車PGと同心に固着されている。入力円板部材IMには、カム体CBが挿入される空間部Sが設けられている。空間部Sの断面形状は周方向に対称であって且つ挿入されたカム体CBが空転することができる程度に大きく、空間部Sの周方向両側には平面である当接面Saが設けられている。
入力軸Iが回転すると、入力円板部材IMが周方向に移動し、当接面Saがカム体CBと当接する。このとき、図12(a)に示すとおり、当接面Saとカム体CBの外周面とは共に平面であることから両者は面接触し、空間部Sにおいてカム体CBの姿勢が保持されて遊星歯車体PBの自転が阻止される。これによって、遊星歯車PGと出力歯車OGとが噛み合った状態のまま、入力円板部材IMの回転によって、遊星歯車体PB、キャリア体CB、及び出力軸Oは入力軸Iと一体となって同一方向に回転する。
これに対し、出力軸Oが回転した場合には、出力歯車OGと噛み合う遊星歯車PGが空転し(従って空間部Sにおいてカム体CBも空転し)、入力軸Iへの回転の伝達は遮断される。
ここで、入力軸Iの回転が停止し、空間部Sにおいて入力円板部IMの当接面Saとカム体CBの外周面とが面接触している状態で、出力軸Oが回転しようとする場合には、図12(b)上図に示すとおり、カム体CBの二点鎖線で示す外接円の半径r1がカム体CBの自転中心から当接壁部Saまでの距離r2よりも長く(r1>r2)、この状態では空間部Sにおいてカム体CBは自転することはできない(つまり遊星歯車体PBは自転することができない)。しかしながら、入力軸Iは回転不能であり従って入力円板部材IMは動かないことから、上記状態でカム体CBが自転しようとすると、当接壁部Saと接触するカム体CBの外周面の片端縁Pが当接壁部Saを周方向に押したことによる反力(さらに詳しくは、共通の中心軸周りの周方向分力)によって、図12(b)下図に示すとおり、カム体CBはこれを軸支するキャリア体CBと共に当接壁部Saから離隔する方向に移動してr2がr1以上となり(r1≦r2)、空間部Sにおいてカム体CBは自転可能となる。従って、入力円板部IMの当接面Saとカム体CBの外周面とが面接触し、カム体CBの姿勢が保持されていた状態であっても、カム体CBと共にキャリア体CBが移動することでカム体CBの空転が可能となり、入力軸Iに回転を伝達することなく、出力軸Oは回転可能となる。
特許第5926846号公報
上述のとおり、図11のフリータイプ双方向クラッチにおいては、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができる。これにより、出力軸の逆方向の空転を可能とするために、入力軸を停止した位置からわずかに戻すような煩雑な作業は不要であり、使用勝手の優れたものとなっている。しかしながら、図11のフリータイプ双方向クラッチには、以下のような点について改良の余地が残されている。
図11のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸Iの回転が停止し、空間部Sにおいて入力円板部IMの当接壁部Saとカム体CBの外周面とが面接触している状態で、出力軸Oが回転しようとすると、上述したとおり、カム体CBの外周面の片端縁Pが当接壁部Saを周方向に押す。ここで、片端縁Pはカム体CBの断面外周形状における角部でもあることから、上記状態で繰り返し出力軸Oを回転させると、上記角部が削れてカム体CBの断面外周形状における直線部分が低減してしまうおそれがある。カム体CBの断面外周形状における直線部分が低減すると、入力軸Iが回転した際に、入力平板部材IMの当接面Saとカム体CBの外周面との間で面接触する面積が低減し、入力円板部材IMがカム体CBの自転を充分に阻止することができず、入力軸Iから出力軸Oへの伝達効率が低下する可能性がある。また、出力軸を回転させる際の初期段階においては、カム体の角部である片端縁Pがカム体CBの平坦な外周面を押すことから、好ましくない引っ掛かりを生じうる。
上記の課題を解決するため、本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチでは、遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状のカム体を固着すると共に上記カム体が挿入される円形断面の空間部を入力軸に設け、入力軸が回転し、空間部においてカム体が所定の姿勢で入力軸と当接すると遊星歯車体の自転が阻止され、これによって遊星歯車が出力歯車と一体となって共通の回転軸の周りを回転することで入力軸から出力軸へ回転が伝達されるのに対し、出力軸が回転したときは、カム体が空間部で空転することで、遊星歯車体を自転させ、出力軸から入力軸への回転の伝達を遮断するものである。すなわち、本願の第一発明は、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状のカム体が固着されるとともに、前記入力軸には前記カム体が挿入される円形断面の空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点が、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチである。
また、上記の課題を解決するため、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチでは、遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体を固着すると共に上記カム体が挿入される、上記円弧よりも曲率の小さな円形の断面の空間部を入力軸に設け、入力軸が回転し、空間部においてカム体が所定の姿勢で入力軸と当接すると遊星歯車体の自転が阻止され、これによって遊星歯車が出力歯車と一体となって共通の回転軸の周りを回転することで入力軸から出力軸へ回転が伝達されるのに対し、出力軸が回転したときは、カム体が空間部で空転することで、遊星歯車体を自転させ、出力軸から入力軸への回転の伝達を遮断するものである。すなわち、本願の第二発明は、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円形の断面の空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチである。
前記カム体の外周が、前記遊星歯車の歯数と同数の等角度の円弧の集合からなるのがよい。
そして、本願の第三発明のフリータイプ双方向クラッチは、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた空間部が設けられており、
前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の円弧状周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
本願の第一発明乃至第三発明のフリータイプ双方向クラッチのいずれにおいても、前記遊星歯車体における前記遊星歯車と前記カム体との間には、前記遊星歯車と同軸の円板形状のガイド部が形成されているとともに、前記出力軸には前記ガイド部が転がり接触するガイド面が形成されているのがよい。好適には、前記入力軸及び前記出力軸の先端部には、相互に嵌り合う嵌合穴と嵌合突起が前記共通の回転軸と同軸に形成されている。好ましくは、前記ハウジングの内部には、前記キャリア体と組み合わされるキャリア体補助が配置されており、前記遊星歯車体を軸支する前記キャリア体のキャリア軸は前記キャリア体補助によって支持される。前記キャリア体には、波ばねによって所定の拘束力が付与されているのが好適である。
本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジング内に、共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を設置し、出力軸には出力歯車を設ける。ハウジングの内部には更に、出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、この遊星歯車体を回転可能に軸支すると共に自身も上記共通の回転軸を中心として回転可能なキャリア体を配置する。そして、遊星歯車体には、遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状のカム体が固着されると共に、入力軸には、突出部が挿入される円形断面の空間部を設ける。
入力軸が回転すると、カム体に対して空間部が移動し、空間部の周壁がカム体と接触する。このとき、遊星歯車の中心との距離が最大となるカム体の外周点が空間部の周壁と接触すると、カム体の姿勢が保持されて遊星歯車体の自転が阻止される。これは、カム体が上記外周点において空間部の周壁と接触した場合には、入力軸の回転によってカム体に加えられる力のベクトル(上記接触点における法線ベクトル)上に遊星歯車の自転中心が位置することとなるため、上記力がカム体に加えられた場合でも、カム体には遊星歯車の中心回りに回転モーメントが作用しないためである。カム体の姿勢が保持、つまり遊星歯車体の自転が阻止された状態で入力軸が回転すると、遊星歯車体及びこれを軸支するキャリア体、更に遊星歯車と噛み合う出力歯車を有する出力軸は入力軸と一体的に回転する。従って、入力軸の回転は出力軸へ伝達されることとなる。
出力軸が回転すると、出力歯車と遊星歯車との噛み合いによって遊星歯車体を自転させ、これを空転させることで出力軸から入力軸への回転の伝達を遮断する。このとき、後に図3を参照して詳述するとおり、入力軸が停止した位置を保持したまま出力軸を回転させようとすると、カム体は自身の自転中心から入力円板部までの距離が最長となる位置で入力円板部と接触していることから、上記距離は漸次低減する。このことから、出力軸が回転したときに遊星歯車体が空転し、出力軸の回転が入力軸へ伝達されることはない。
このような点において、本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチは上述した従来のフリータイプ双方向クラッチと同様の機構を有するが、本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては、カム体は遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状であると共に空間部は円形断面であって、入力軸が回転したときにカム体の自転が阻止されるのは、入力軸の回転によってカム体に加えられる力のベクトル上に遊星歯車の自転中心が位置することでカム体に遊星歯車を中心とした回転モーメントが作用しないようにした点に特徴がある。本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチでは、この特徴点を備えている故に、入力軸が停止した位置を保持したまま出力軸を回転させようとする作動を繰り返し行ってカム体の外周面が削れたとしても、入力軸を回転させた際には確実にカム体の自転を阻止して、入力軸から出力軸へ回転を伝達することができる。また、出力軸を回転させた際には、カム体は空間部において遊星歯車の中心に対して偏心して回転すると共に、カム体は、遊星歯車の中心との距離が最大となる外周点、つまりカム体の公転中心からの距離が最大となる位置、で空間部の周壁と接触していることから、カム体が空間部内において回転を開始しても、空間部の周壁との間で引っ掛かりを生じることはない。
本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチはカム体の外周形状を除いて本願の第一発明のものと同じ構成であり、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチは上述した本願の第一発明のものと同様の作用効果が得られる。本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては更に、カム体の外周が遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなるため、カム体には遊星歯車の中心との距離が最大となる外周点が複数存在することとなり、入力軸が回転した際には、カム体はより小さな自転角度で遊星歯車の中心との距離が最小となる姿勢に到達できるようになる。従って、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチでは本願の第一発明のものと比べて、入力軸が回転した際にカム体の姿勢が保持されるまでの時間遅れを短くすることが可能となる。
また、本願の第三発明のフリータイプ双方向クラッチは、外周が複数の円弧の集合からなる第二発明と同様なカム体を採用し、カム体が挿入される入力軸の空間部を、カム体外周の円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた形状の空間部とするものである。こうしたときは、空間部の周方向の両側にカム体の外周に接触する曲率の小さな円弧状周壁が形成されて、空間部の全体形状が扇形に近い形状となる。そのため、第二発明のフリータイプ双方向クラッチのような、空間部の断面形状を円形としたものと比較すると、入力軸の空間部の径方向の長さを短縮することが可能であって、径方向の寸法の小さいコンパクトなフリータイプ双方向クラッチが得られる。
本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す構造図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの入力軸回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの出力軸回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの主要構成部品を単体で示す図である。 本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの第一の変形例を示す構造図である。 本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの第二の変形例を示す構造図である。 本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す構造図である。 図7に示すフリータイプ双方向クラッチの遊星歯車体を単体で示す図である。 本願の第三発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す構造図である。 図9に示すフリータイプ双方向クラッチの作動を説明する図である。 従来のフリータイプ双方向クラッチの構造を示す図である。 図9に示す従来のフリータイプ双方向クラッチの作動を説明するための図である。
以下、図面に基づいて本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。図1には、本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例の全体構造を示し、その作動の説明図を図2及び図3に示す。また、図4は本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの主要構成部品を単体の状態で示すものである。
図1に示すフリータイプ双方向クラッチは、固定された断面円形のハウジング1と、このハウジング1内で共通の回転軸(中心軸)oの周りに回転可能な入力軸2及び出力軸3とを備えている。ハウジング1の内部には更に、遊星歯車体4、これを回転可能に軸支するキャリア体5、キャリア体5に所定の拘束力を付与する波ばね6も配置されている(構造を理解しやすくするために、キャリア体5にはハッチングを、遊星歯車体4の中央縦断面図には薄墨を、夫々付して示している)。
ハウジング1は、周壁部と端板部とからなるカップ状部材であって、その中心軸は入力軸2及び出力軸3の回転軸oと同一である。開口端部には内部を閉鎖するシールド体1Sがボルトのような適宜の固定具により取り付けられる。入力軸2はシールド体1Sを貫通してこれによって回転可能に軸支されると共に、出力軸3はハウジング1の端板部を貫通してこれによって回転可能に軸支される。ハウジング1の内側には略円柱形状の収容空間部が設けられている。
図1と共に図4を参照して説明を続けると、入力軸2は、棒状の入力軸部21と、この入力軸部21の先端において入力軸部21と同軸上に固着された入力円板部22とを有している。入力円板部22の径方向における所定位置には、円形形状の空間部23が一つ設けられている。入力円板部22における、入力軸部21が固着された側とは反対側の中心には、円柱形状の嵌合突起24が設けられている。
出力軸3は、棒状の出力軸部31と、この出力軸部31の先端において出力軸部31と同軸上に固着された出力歯車32とを有している。図示の実施例においては、出力歯車32は太陽歯車である。出力歯車32における、出力軸部31が固着された側とは反対側の中心には、軸方向に突出する円筒壁33が形成されており、円筒壁33の外周にはガイド面34が設けられている。出力軸3において、円筒壁33が形成されている側の軸方向端部には、断面円形の嵌合穴35が形成されており、これには入力軸2の嵌合突起24が嵌り込む。
遊星歯車体4には出力歯車32と噛み合う遊星歯車41が設けられている。遊星歯車41の軸方向片側面には円板形状のガイド部42が遊星歯車41と同軸に固着されている。そして、ガイド部42における遊星歯車41とは反対側の軸方向端面には、遊星歯車41の中心o1に対して偏心(偏心量をeとする)した円板形状のカム体43が固着されている(カム体43の中心をo2とする)。遊星歯車体4には更に、遊星歯車41の中心o1において軸方向全体に亘って直線状に延びる断面円形の軸孔44が設けられており、この軸孔44にキャリア体5の後述するキャリア軸が挿通されることで、遊星歯車体4は中心o1を軸として自転可能となる。遊星歯車体4が中心o1を軸として自転すると、カム体43は、その中心o2が中心o1を中心とした半径eの円周上を移動して回転(即ち偏心して自転)する。
キャリア体5は、中央に円形の貫通口が形成された円板形状のキャリア板51と、このキャリア板51の外周縁にて軸方向に延出する略円筒形状のキャリア外周壁52とを有している。キャリア板51の径方向における所定位置には、軸方向に延びる中実棒状で断面円形のキャリア軸53が設けられている。キャリア軸53の延出端部には他の部分に比べて幾分小径な軸受部54が形成されている。キャリア外周壁52の延出端部には、矩形形状の切欠き55が周方向に等角度間隔をおいて4個形成されている。切欠き55には中央に円形の貫通口が形成された略円板形状のキャリア体補助56に設けられた突出片57が嵌め合わされ、キャリア体補助56はキャリア体5と一体となって回転する。キャリア体補助56の径方向における所定位置には、キャリア軸53の軸受部54を軸受する断面円形の受け穴58が形成されている。
ハウジング1の内側に画成された収容空間部に各構成部材が収容されると、キャリア板51は出力歯車32を囲み、キャリア軸53が遊星歯車体4を回転可能に軸支する。そして、遊星歯車41は出力歯車32と噛み合い、カム体43が入力円板部22に形成された空間部23に挿入される。このとき、遊星歯車体4はキャリア板51及びキャリア体補助56によって軸方向に支持されると共に、ガイド部42がガイド面34と転がり接触することで、遊星歯車体4の芯ぶれが防止される。更に、入力軸2の嵌合突起24が出力軸3の嵌合穴35に嵌り込むことで、入力軸2及び出力軸3の芯ぶれが防止される。また、キャリア板51とハウジング1の端板部との間には波ばね6が配置され、この波ばね6の弾性力によってキャリア体5には所定の拘束力が付与されることでキャリア体5の回転動作は安定する。
続いて、図1に示すフリータイプ双方向クラッチの作動について、図2及び図3を参照して説明する。
図2における各矢印に示すように、入力軸2が、駆動源のモーターにより反時計方向(中央縦断面図の右方から見て)に回転すると、入力軸2の入力円板部22に形成された空間部23も反時計方向に移動し、空間部23の周壁がカム体43に当接する。このとき、遊星歯車41の中心o1との距離が最大となるカム体43の外周点Paが、空間部23の周壁と接触すると、カム体43の姿勢が保持される。これは、カム体43が外周点Paにおいて空間部23の周壁と当接した場合には、図2の右図に示すとおり、入力円板部22の回転によって上記周壁からカム体43に加えられる力の作用ベクトル(つまり、外周点Paにおける法線ベクトル)上に遊星歯車体4の自転中心o1が位置することとなるため、上記力がカム体43に加えられた場合でも、カム体43には遊星歯車41の中心o1周りに回転モーメントが作用しないためである。カム体43が外周点Pa以外の点で空間部23の周壁と当接する場合には、上記周壁とカム体43の外周点との当接部位における相互摩擦力によってカム体43は遊星歯車41の中心o1の周りで偏心しながら自転すると共に共通の中心軸oの周りを公転する。
入力軸2が時計方向に回転した場合は、入力軸2が反時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
これに対して、出力軸3が回転した場合には、出力歯車32と遊星歯車41との噛み合いによって遊星歯車体4を自転させ、これを空転させることで出力軸3から入力軸2への回転の伝達を遮断する。
ここで、図3に示すように、入力軸2の反時計方向の回転が停止し、カム体43の外周点Paが空間部23の周壁と接触している状態で、出力軸3が例えば矢印のとおり反時計方向(中央縦断面図の左方から見て)に回転した場合には、以下のように作動する。即ち、出力歯車32の回転によって遊星歯車41がB-B断面において時計方向に自転し、これによって遊星歯車41と一体であるカム体43も同一方向(A-A断面においては反時計方向)に自転する。このとき、円板形状であるカム体43の中心o2は遊星歯車体4の自転中心o1からeだけ偏心していることから、カム体43は中心o1の周りを偏心して自転、つまり、カム体43の中心o2は遊星歯車41の中心o1を中心とした半径eの円周上を移動することとなる。ここで、図3に示す状態では、カム体43は外周点Paつまり自身の自転中心o1から入力円板部22までの距離が最長となる位置で入力円板部22と接触していることから、図3に示す状態でカム体43が自転すると、上記距離は漸次低減するため、カム体43と入力円板部22との間で干渉を生じることはない。このことから、出力軸3が回転したときは、遊星歯車体4は図3において二点鎖線で示すとおり空転し、出力軸3の回転が入力軸2へ伝達されることはない。従って、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸2が停止した位置を保持したまま、出力軸3を双方向に空転させることができる。
図3に示す状態から、出力軸3が時計方向(中央縦断面図の左方から見て)に回転した場合は、出力軸3が反時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
以上、添付した図面を参照して本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチについて詳述したが、本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。例えば、上記実施例においては、遊星歯車体4は単一であったが、これに替えて、遊星歯車4を図5に示すとおり周方向に等角度間隔をおいて複数個設けてもよい(図5の実施例においては3個設けられている)。また、上記実施例においては、出力歯車32は太陽歯車であったが、これに替えて、図6に示すとおり、出力歯車32はリング歯車であってもよい。
続いて、図7及び図8を参照して本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。
図7に示すフリータイプ双方向クラッチは、遊星歯車体(殊にカム体の外周形状)及びこれが配置された数を除いて図6に示す本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの第二の変形例と同様の構成である。従って、以下では本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチとの相違点である遊星歯車体についてのみ説明し、その他の構成については第一のフリータイプ双方向クラッチと同様の付番に「´(ダッシュ)」を付して説明を省略する。
図8を参照して説明すると、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチにおける遊星歯車体4´の遊星歯車41´(歯数12)には、遊星歯車41´の中心o1に対して偏心(偏心量をeとする)した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体43´が固着されている。図示の実施例においては、カム体43´の外周は、遊星歯車41´の歯数と同数、即ち12個の等角度の円弧45´の集合から構成されている。夫々の円弧45´の中心は、o1を中心とした半径eの仮想円46´(二点鎖線で示す)上における、夫々の円弧45´の周方向中心位置と中心o1との間に位置し、夫々の円弧45´の半径はα(α>0)である。従って、12個の円弧45´のうちの一つである円弧45a´に関していえば、これは仮想円46´上のoaを中心とした半径αの円45A´(二点鎖線で示す)の一部である。
上記したとおり、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチは遊星歯車体及びこれが配置された数を除いて図6に示す本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチの第二の変形例と同様の構成であるため、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチにおいても本願の第一発明のフリータイプ双方向クラッチと同様の作用効果が得られる。本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては更に、カム体43´の外周が遊星歯車41´の中心o1に対して偏心した中心を有する円弧45´の集合からなるため、カム体43´には遊星歯車41´の中心o1との距離が最大となる外周点が複数存在することとなり、入力軸2´が回転した際には、カム体43´はより小さな自転角度で遊星歯車の中心との距離が最大となる姿勢に到達できるようになる。従って、本願の第二発明のフリータイプ双方向クラッチは本願の第一発明のものと比べて、入力軸が回転した際にカム体の姿勢が保持されるまでの時間遅れを短くすることが可能となる。
さらに、図9及び図10を参照して本願の第三発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。
これらの図に示す第三発明のフリータイプ双方向クラッチは、遊星歯車体のカム体として第二発明と同様な外周が複数の円弧の集合からなるカム体を用い、カム体が挿入される入力軸の空間部を、カム体の外周の円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた形状とするものである。ここで、図9及び図10では、第一発明のフリータイプ双方向クラッチに相当する部品等については、図1等の符号と同一のものに「´´(二重ダッシュ)」を付して表している。
図9に示すとおり、本願の第三発明のフリータイプ双方向クラッチにおける遊星歯車体4´´のカム体43´´は、4個の円弧の集合からなる外周を備えている。夫々の円弧の中心は、第二発明のカム体と同様に、円弧の周方向中心位置と遊星歯車41´´の中心との間にある(図8参照)。図9のカム体43´´では、4個の円弧は夫々90°の等角度範囲に亘り形成されている。
カム体43´´は、入力軸2´´の入力円板部22´´に設けられた空間部23´´に挿入される。空間部23´´は、周方向の両側に円弧状周壁W1、W2を備え、円弧状周壁W1、W2は、空間部23´´の径方向に延びる中心線に対して対称となるよう形成され、その曲率は、カム体43´´の外周の円弧の曲率よりも小さく設定されている。
入力軸2´´が反時計方向に回転すると、入力円板部22´´に形成された空間部23´´も反時計方向に移動して、空間部23´´の円弧状周壁W1がカム体43´´に当接する。そして、図10に示すように、遊星歯車41´´の中心との距離が最大となるカム体43´´の外周点が空間部23´´の円弧状周壁W1と接触すると、カム体43´´の姿勢が保持されて遊星歯車体4´´の自転が阻止され、入力軸2´´の回転が出力軸3´´に伝達される。入力軸2´´が時計方向に回転したときは、対称的に形成された円弧状周壁W2がカム体43´´に当接して、同様に回転伝達が行われる。
これに対し、出力軸3´´が回転したときは、出力歯車32´´の回転によって遊星歯車41´´が自転し、カム体43´´も同一方向に自転する。このとき、上述した本願発明の第一発明と同様に、カム体43´´が自転すると上記距離は低減するため、空間部23´´の円弧状周壁とカム体43´´の外周との接触が解消され、カム体43´´が空間部23´´内で自由に空転し、出力軸3´´からの回転伝達は遮断される。
第三発明のフリータイプ双方向クラッチでは、カム体43´´が挿入される空間部23´´は、断面が円形のものではなく、周方向の両側に円弧状周壁W1、W2が対称的に形成された、全体形状が扇形に近い形状の空間部となっている。この空間部23´´は、カム体43´´の自由な空転を許容するだけの隙間が存在すればよいので、断面が円形の空間部と比較すると、径方向の寸法を短縮することができる。従って、第三発明のフリータイプ双方向クラッチは、径方向の寸法の小さいコンパクトなものとなる。
1:ハウジング
2:入力軸
22:入力円板部
23:空間部
24:嵌合突起
3:出力軸
32:出力歯車
33:円筒壁
34:ガイド面
4:遊星歯車体
41:遊星歯車
42:ガイド部
43:カム体
5:キャリア体
56:キャリア体補助
6:波ばね

Claims (8)

  1. 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
    前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した円板形状のカム体が固着されるとともに、前記入力軸には前記カム体が挿入される円形断面の空間部が設けられており、
    前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点が、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
    前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円形の断面の空間部が設けられており、
    前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記カム体の外周が、前記遊星歯車の歯数と同数の等角度の円弧の集合からなる請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  4. 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
    前記遊星歯車体には、前記遊星歯車の中心に対して偏心した中心を有する円弧の集合からなる外周を備えたカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、前記円弧よりも曲率の小さな円弧状周壁を周方向に対称的に備えた空間部が設けられており、
    前記入力軸が回転したときは、前記遊星歯車の中心との距離が最大となる前記カム体の外周点の一つが、前記空間部の円弧状周壁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  5. 前記遊星歯車体における前記遊星歯車と前記カム体との間には、前記遊星歯車と同軸の円板形状のガイド部が形成されているとともに、前記出力軸には前記ガイド部が転がり接触するガイド面が形成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  6. 前記入力軸及び前記出力軸の先端部には、相互に嵌り合う嵌合穴と嵌合突起が前記共通の回転軸と同軸に形成されている、請求項1乃至5のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  7. 前記ハウジングの内部には、前記キャリア体と組み合わされるキャリア体補助が配置されており、前記遊星歯車体を軸支する前記キャリア体のキャリア軸は前記キャリア体補助によって支持される、請求項1乃至6のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  8. 前記キャリア体には、波ばねによって所定の拘束力が付与されている、請求項1乃至7のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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