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JP6928448B2 - 導電性炭素膜の形成方法、導電性炭素膜被覆部材の製造方法および燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

導電性炭素膜の形成方法、導電性炭素膜被覆部材の製造方法および燃料電池用セパレータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性を有する炭素膜の形成方法、導電性炭素膜被覆部材の製造方法および燃料電池用セパレータの製造方法に関する。
近年、内燃機関を備えた自動車に代わる次世代自動車の1つとして、燃料電池自動車への注目度が高まっている。従前より燃料電池に関する技術開発は活発に行われており、要求される特性を満たすことができるよう様々な技術が開発されている。例えば燃料電池の構成部品であるセパレータには導電性や耐食性、強度等が求められるが、これらの要求特性に応える技術として、ワーク(基材)の表面に導電性を有する炭素膜(以下、“導電性炭素膜”)を形成することが知られている。
特許文献1には、炭素膜に導電性を付与するために膜中にホウ素等の元素を添加する方法が開示されている。特許文献2には、高周波電源を用いたプラズマ化学蒸着法(以下、“高周波プラズマCVD法”)で、導電性炭素膜を形成する方法が開示されている。特許文献3には、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレンのような炭素環式化合物ガスや、ピリジン、ピラジンおよびピロールのような複素環式化合物ガスを用い、直流電源を用いたプラズマ化学蒸着法(以下、“直流プラズマCVD法”)で、導電性炭素膜を形成する方法が開示されている。
特開2012−188688号公報 特開2012−146616号公報 特開2008−4540号公報
特許文献1のように添加元素を用いて導電性炭素膜を形成すると、成膜過程で複数の原料の使用や後処理が必要となり、炭素膜の製造工程が複雑になる。また、炭素膜中に元素を添加することで、炭素膜の諸特性(主に耐食性)が変化してしまうおそれがある。
特許文献2のようにプラズマ処理装置に高周波電源を用いると、装置構造の複雑化が避けられず、装置を安価に製造することが困難となる。また、高周波プラズマCVD法は、大量数のワークの成膜処理には不向きであり、燃料電池セパレータ等の導電性炭素膜被覆部材の量産には適さない。
一方、特許文献3のようにプラズマ処理装置に直流電源を用いれば、高周波電源を用いたプラズマ処理装置よりも装置構造が簡易となり、大量数のワークの成膜処理を行うことが可能となる。しかしながら、直流プラズマCVD法で生成されるプラズマの密度は、高周波プラズマCVD法で生成されるプラズマの密度よりも小さくなる。このため、特許文献3では、原料ガスの供給時において、分解しやすいベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレン等の炭素環式化合物のガスや、ピリジン、ピラジンおよびピロール等の複素環式化合物のガスを用いている。これらの環式化合物は液体原料であることから、原料ガスとしてこれらの環式化合物を用いる場合には、原料をガス化するために、ガス供給ラインにヒーター等の加熱機構を設けることが必須となる。これにより、プラズマ処理装置の構造が複雑化し、装置が高価なものとなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造のプラズマ処理装置であっても耐食性に優れた導電性炭素膜を形成できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、直流プラズマCVD法により、ワークに導電性炭素膜を形成する導電性炭素膜の形成方法であって、導電性炭素膜の成膜工程において、アセチレンガスと水素ガスを供給し、前記アセチレンガスと前記水素ガスの流量比が1〜5となる状態を維持し、成膜温度を520℃以上、750℃以下として前記アセチレンガスをプラズマ化することを特徴としている。
別の観点による本発明は、導電性炭素膜被覆部材の製造方法であって、上記の導電性炭素膜の形成方法を用い、ワークに導電性炭素膜を形成して導電性炭素膜が被覆された部材を製造することを特徴としている。
更に別の観点による本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法であって、上記の導電性炭素膜の形成方法を用い、燃料電池用セパレータ部材の表面に導電性炭素膜を形成することを特徴としている。
更に別の観点による本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法であって、直流プラズマCVD法により、燃料電池用セパレータ部材の表面に導電性炭素膜を成膜する工程において、原料ガスとして炭素数4以下の鎖式炭化水素ガスのみ、または前記鎖式炭化水素ガスと水素ガスからなる混合ガスのみを使用し、成膜温度を520℃以上、750℃以下として前記鎖式炭化水素ガスをプラズマ化することを特徴としている。
本発明によれば、簡易な構造のプラズマ処理装置であっても耐食性に優れた導電性炭素膜を形成することができる。
本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る導電性炭素膜の成膜フローを示す図である。 接触抵抗測定装置の概略構成を示す図である。 腐食試験装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態では、図1に示すようなプラズマ処理装置1を用い、直流プラズマCVD法でワークW(基材)の表面に導電性炭素膜を形成する。プラズマ処理装置1は、収容されたワークWのプラズマ処理が行われるチャンバー2と、ワークWが載せられる台3と、台3に接続される直流パルス電源4を備えている。台3の上方には導電性炭素膜の原料ガスを供給するガスインレット5が設けられ、ガスインレット5はチャンバー外部のガス供給源6に接続されている。チャンバー2の側壁部には、チャンバー内の雰囲気ガスを排気するガス排気管7が設けられ、ガス排気管7は真空ポンプ8に接続されている。チャンバー内にはワークWの周囲を覆うようにヒーター9が設けられ、ワークWはヒーター9により加熱される。ワークWの温度は、チャンバー2のガラス窓部から、赤外線放射温度計(不図示)を用いて測定される。なお、ワークWの素材は、従前より導電性炭素膜が被覆されるような部材(燃料電池セパレータ等)に用いられる材料であれば特に限定されないが、例えば純チタン、チタン合金等の金属材料が採用される。
なお、プラズマ処理装置1の構成は本実施形態で説明したものに限定されない。直流プラズマCVD法により炭素膜を形成することが可能な装置であれば、他の装置構成であっても良い。例えば本実施形態では、プラズマ発生用の電源として直流パルス電源4を用いているが、パルス電源でなくても良い。ただし、直流パルス電源4でプラズマを生成すれば、プラズマ密度が高まり、ワークWに高エネルギーのイオンを供給して膜の緻密化を行うことが可能となる。また、アーキングの発生を抑えることも可能となる。このため、プラズマ生成用の電源としては直流パルス電源4を用いることが好ましい。
次に、導電性炭素膜の形成方法について説明する。本実施形態では、図2に示す工程に沿ってワークWに導電性炭素膜を形成し、導電性炭素膜が被覆された部材を製造する。
<ワークWセット、真空引き>
まず、チャンバー2にワークWを搬入して所定位置にワークWをセットする。その後、チャンバー内の圧力を例えば10Pa以下となるように真空引きする。
<加熱工程>
次に、チャンバー内に少量の水素ガスを供給し、ヒーター9を作動させる。この加熱工程では、ワークWの温度を例えば500℃程度のプラズマ処理温度の近傍まで加熱する。ここではチャンバー内の圧力が例えば200Pa程度に維持されるように排気を行う。
<H+Arクリーニング工程>
次に、ヒーター9の設定温度を例えば520℃以上としてワークWを更に加熱する。また、水素ガスに加えて更にアルゴンガスを供給する。ここではチャンバー内の圧力が例えば200Pa程度に維持されるように排気を行う。そして、直流パルス電源4を作動させて、H+Arボンバード処理により、ワーク表面のクリーニングを行う。なお、直流パルス電源4はチャンバー内に供給されるガスがプラズマ化するよう電圧や周波数,Duty比等が適宜設定されている。
<成膜工程>
次に、ヒーター9の設定温度を調節し、ワークWの温度を520℃以上とする。また、水素ガスおよびアルゴンガスの供給を停止し、原料ガスとして炭素数4以下の鎖式炭化水素ガスの供給を開始する。この状態で直流パルス電源4を作動させ、鎖式炭化水素ガスをプラズマ化する。これにより、ワークWの表面に導電性炭素膜が形成されていく。
炭素数4以下の鎖式炭化水素ガスとしては例えばメタンガス、アセチレンガス、プロパンガスおよびブタンガス等があるが、この中でもアセチレンガスを用いることが好ましい。アセチレンガスは工業的に安価であり、入手が容易である。また、アセチレンガスは、メタンガスやプロパンガス、ブタンガス等と比較して、プラズマ放電電圧が低く、電源コストを抑えることができる。さらに、アセチレンガスを用いれば、メタンガスと比較して成膜レートを高くすることができる。
なお、本実施形態では、原料ガスの供給時に単一種類の鎖式炭化水素ガスを供給しているが、複数種類の鎖式炭化水素ガスを混合して供給しても良い。また、水素ガスを鎖式炭化水素ガスと共に供給するようにしても良い。成膜工程においてアセチレンガスと水素ガスを供給する場合、H+Arクリーニング工程から成膜工程にかけて、アセチレンガスおよび水素ガスを徐々に所定の流量に変化させていくことで、アーキングが発生し難くなる。アセチレンガスと水素ガスの流量比(C/H)が1〜5であれば、アーキングの発生を抑えやすくなり、安定した成膜処理を行うことができる。より安定した成膜処理を行うという観点からはアセチレンガスと水素ガスの流量比(C/H)を3〜4とすることが好ましい。
成膜工程におけるチャンバー内の圧力(以下、“成膜圧力”)は、20〜1000Paとすることが好ましい。成膜圧力は150〜500Paとすることが更に好ましい。
成膜工程におけるワークWの温度(以下、“成膜温度”)は、520℃以上とする必要がある。成膜温度が520℃未満であると、ワーク表面に形成される炭素膜中の水素量が多くなり、導電性を有しない炭素膜が形成される。一方、成膜温度が750℃を超えると、耐食性が悪化する場合があると共に、チャンバー2の断熱性を更に高める必要があり、断熱性を確保することのみを目的としてプラズマ処理装置1の大型化が必要になることも懸念される。したがって、成膜温度の上限は750℃であることが好ましい。成膜温度のより好ましい下限は580℃である。また、成膜温度のより好ましい上限は670℃である。
<冷却工程>
導電性炭素膜の成膜後、ヒーター9、原料ガスの供給、直流パルス電源4を停止させて、ワークWの冷却を行う。その後、ワークWをチャンバー2から搬出する。
本実施形態における導電性炭素膜は以上の手順で形成される。この導電性炭素膜は成膜後、長時間経過したとしても、接触抵抗値が依然として低い膜である。そして、本実施形態の導電性炭素膜の形成方法によれば、成膜工程で使用される原料ガスが炭素数4以下の鎖式炭化水素ガスであることから、ガス供給源6からガスインレット5までのガスラインに、原料を気化させるための加熱機構は不要である。即ち、本実施形態の導電性炭素膜の形成方法によれば、より簡易な構造のプラズマ処理装置1で耐食性に優れた導電性炭素膜を形成することが可能となる。
また、ベンゼンやトルエン等の液体原料を使用すると、プラズマ処理装置1の大型化を考慮した場合に原料ガスを供給することが困難になることが想定されるところ、本実施形態では、原料として炭素数4以下の鎖式炭化水素ガスを用いていることから、プラズマ処理装置1を大型化しても原料ガスを供給することができる。即ち、本実施形態の導電性炭素膜の形成方法を用いれば、プラズマ処理装置1を大型化して量産能力を上げることができるため、生産コストを抑えることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
直流プラズマCVD法を用いてワークの表面に炭素膜を形成し、炭素膜の導電性および耐食性について評価した。
炭素膜の成膜処理には図1のような構造のプラズマ処理装置を使用した。プラズマ生成用の電源としては直流パルス電源を使用し、ワークとしてチタン板を用いた。炭素膜の成膜フローは前述の実施形態で説明したものと同様であるが、本実施例では処理条件を変えて複数種の炭素膜を形成している。次の成膜フローの説明では、まず実施例1の処理条件について説明する。下記表1は実施例1の処理条件である。なお、以降の説明における水素ガス、アルゴンガス、アセチレンガスおよびメタンガスの流量は0℃、1atmにおける体積流量である。
Figure 0006928448
<ワークセット、真空引き>
チャンバー内にワークを搬入した後、30分間チャンバー内を真空引きし、チャンバー内の圧力を10Pa以下とする。このとき、ヒーターは作動させない。
<加熱工程>
次に、チャンバー内に40ccm(0℃、1atm)の水素ガスを供給すると共に、排気量を調節してチャンバー内の圧力を220Paとする。そして、ヒーターの設定温度を500℃とし、60分間ワークを加熱する。この加熱工程によりプラズマ処理温度に近い500℃までワークを加熱する。チャンバー内のワーク温度は赤外線放射温度計で測定する。なお、ワークの温度を測定するにあたっては、事前に赤外線放射温度計の放射率の補正を実施しておく。放射率の補正は、熱電対を埋め込んだワークを本加熱工程と同条件で加熱し、その際に熱電対で測定される温度と、赤外線放射温度計で測定される温度とを比較することで行う。本実施例では熱電対による温度測定結果と、赤外線放射温度計による温度測定結果との差が±5℃以内となるように放射率を補正した。
<H+Arクリーニング工程>
次に、ヒーターの設定温度を580℃としてワークを580℃まで加熱する。また、水素ガスに加え、40ccm(0℃、1atm)の流量でアルゴンガスを供給する。これと共に排気量を調節してチャンバー内の圧力を220Paに維持する。また、直流パルス電源の電圧を300V、周波数を25kHz、Duty比を80%に設定する。これにより、H+Arボンバード処理が開始され、ワーク表面のクリーニングを行う。
<成膜工程>
次に、ワークの温度を580℃に維持したまま、水素ガスおよびアルゴンガスの供給を停止し、250ccm(0℃、1atm)の流量でアセチレンガスを供給する。排気量の調節により、チャンバー内の圧力(成膜圧力)を220Paに維持する。また、直流パルス電源の電圧を600Vに上げる。これにより、アセチレンガスがプラズマ化し、ワークの表面に炭素が吸着していく。この状態を10分間維持し、ワークの表面に所定の膜厚の炭素膜が形成される。
<冷却工程>
その後、ヒーター、アセチレンガスの供給および直流パルス電源を停止し、ワークの冷却を行う。
このような処理条件で実施例1の炭素膜を形成する。その他の実施例および比較例の成膜工程の処理条件は下記表2に示す。
Figure 0006928448
なお、原料ガスとしてアセチレンガスのみ又はメタンガスのみを供給する場合において、実施例1以外の他の実施例および比較例における成膜工程までの処理条件は、実施例1と同条件である。一方、原料ガスとしてアセチレンガスと水素ガスの混合ガスを使用する実施例20と実施例21においては、成膜工程の処理条件に加え、加熱工程、H+Arクリーニング工程の処理条件も実施例1に対して一部異なっている。下記表3は実施例20の処理条件である。実施例21の処理条件は、実施例20の処理条件に対してアセチレンガスの流量が異なるだけである。
Figure 0006928448
次に、以上の処理条件で形成された炭素膜の導電性および耐食性の評価方法について説明する。導電性の評価は接触抵抗の測定試験結果に基づいて行う。また、耐食性の評価は腐食試験後に、再度接触抵抗値を測定し、腐食試験前後の接触抵抗値の違いに基づいて行う。各試験の試験方法は次の通りである。
(接触抵抗測定試験)
接触抵抗の測定は、図3に示す測定装置20で実施した。具体的には、チタン板21の表面に形成した炭素膜22の上にカーボンペーパー23を載置し、2枚の金属板24によりそれらを挟持する。そして、ロードセルによって2枚の金属板24に、チタン板21あるいはカーボンペーパー23との接触面に対して垂直な方向から1.1MPaの荷重をそれぞれ負荷する。この状態で2枚の金属板24の間に、定電流直流電源25から1Aの直流電流を流す。そして、荷重負荷の開始から60秒後におけるチタン板21と、カーボンペーパー23との電位差を測定して電気抵抗値を算出する。この値を炭素膜22の接触抵抗値とする。本実施例では、このように測定された接触抵抗値が10mΩ・cm以下であれば、炭素膜が十分な導電性を有していると判断する。なお、炭素膜22とカーボンペーパー23とが接触する接触面の面積は13mm×17mmである。
(腐食試験)
腐食試験は、図4に示す試験装置30で実施した。具体的には、HSO溶液を入れた容器31と、KCl溶液を入れた容器32を用意し、容器31のHSO溶液中に対極33(Pt)を、容器32のKCl溶液中に参照極34(Ag/AgCl)を浸漬させるように配置する。また、試料極35として炭素膜が被覆されたチタン板を容器31のHSO溶液中に浸漬させるように配置する。また、HSO溶液とKCl溶液の塩橋としてルギン管36を設ける。このように構成した試験装置30において、ポテンショスタットの設定電圧を0.9V(SHE:標準水素電極 standard hydrogen electrode)とし、65時間放置した。なお、HSO溶液は、水溶液温度が80℃、pHが3、Clイオン濃度が100ppm、Fイオン濃度が50ppmである。
腐食試験前後の接触抵抗値は前記の表2の通りである。
なお、表2では炭素膜の膜厚も表記している。実施例5、実施例11および比較例2の炭素膜については、FIB(集束イオンビーム)加工をした後、SEM断面観察を行うことで膜厚を測定した。その後同じサンプルに対し、EPMAによる半定量分析を行い、CとTiの割合(C/Ti)を算出して(C/Ti)×膜厚を元に検量線の作成を実施した。他のサンプルに関しては、この検量線を用いてEPMAの半定量分析により膜厚を算出した。
表2に示されるように、アセチレンガスを用いて形成した炭素膜のうち、比較例1の炭素膜は腐食試験前の段階で接触抵抗値が10mΩ・cmを超えており、導電性が不十分である。一方、実施例1〜16および比較例2の炭素膜は、腐食試験前の段階で十分な導電性を有している。しかし、実施例1〜16の炭素膜については腐食試験後においても接触抵抗値が10mΩ・cmを下回っており、依然として十分な導電性を有しているが、比較例2の炭素膜は腐食試験後の接触抵抗値が10mΩ・cmを超えており、導電性が不十分である。即ち、実施例1〜16の炭素膜は耐食性に優れた膜であり、比較例2の炭素膜は耐食性に劣る膜である。実施例9と実施例10、あるいは実施例11〜15の結果に鑑みると、成膜圧力の違いは炭素膜の導電性および耐食性に影響を与えないことがわかる。したがって、実施例16の炭素膜と比較例1の炭素膜における導電性および耐食性の違いは、成膜圧力ではなく、成膜温度に起因するものである。本実施例の結果に鑑みれば、成膜温度を520℃以上、好ましくは530℃以上とすることで、耐食性に優れた導電性炭素膜が得られることがわかる。
実施例17〜19では、アセチレンガスに代えてメタンガスを原料ガスとして使用しているが、腐食試験の結果によれば、耐食性に優れた導電性炭素膜が得られることがわかる。したがって、アセチレンガス以外のメタンガスやプロパンガス、ブタンガス等の他の鎖式炭化水素ガスを原料ガスとして用いても、成膜温度を520℃以上とすれば、耐食性に優れた導電性炭素膜を形成することができる。
実施例20、実施例21では、成膜工程における原料ガスとしてアセチレンガスと水素ガスの混合ガスを使用しているが、腐食試験の結果によれば、耐食性に優れた導電性炭素膜が得られることがわかる。また、成膜工程においてアセチレンガスと水素ガスを供給する場合には、アセチレンガスおよび水素ガスを徐々に所定の流量に変化させていくことで、アーキングを発生し難くすることができる。本実施例の結果を考慮すると、成膜工程においてアセチレンガスと水素ガスを供給する際に、アセチレンガスと水素ガスの流量比(C/H)が1〜5となる状態を維持しつつ、各ガスの目標流量に到達するまで各ガスの流量を徐々に増加させていくことにより、アーキングの発生を抑えた状態で導電性炭素膜を形成することができる。
本発明は、燃料電池セパレータ等に用いられる導電性炭素膜の形成に適用することができる。
1 プラズマ処理装置
2 チャンバー
3 台
4 直流パルス電源
5 ガスインレット
6 ガス供給源
7 ガス排気管
8 真空ポンプ
9 ヒーター
20 接触抵抗測定装置
21 チタン板
22 炭素膜
23 カーボンペーパー
24 金属板
25 定電流直流電源
30 腐食試験装置
31 容器
32 容器
33 対極
34 参照極
35 試料極
36 ルギン管
W ワーク

Claims (6)

  1. 直流プラズマCVD法により、ワークに導電性炭素膜を形成する導電性炭素膜の形成方法であって、
    導電性炭素膜の成膜工程において、アセチレンガスと水素ガスを供給し、
    前記アセチレンガスと前記水素ガスの流量比が1〜5となる状態を維持し、
    成膜温度を520℃以上、750℃以下として前記アセチレンガスをプラズマ化する、導電性炭素膜の形成方法。
  2. 記アセチレンガスおよび前記水素ガスを供給する際に、前記アセチレンガスと前記水素ガスの流量比が1〜5となる状態を維持しながら、各ガスの流量が目標流量に到達するまで、各ガスの流量を徐々に変化させる、請求項1に記載された導電性炭素膜の形成方法。
  3. プラズマ生成用の電源として直流パルス電源を用いる、請求項1または2に記載された導電性炭素膜の形成方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載された導電性炭素膜の形成方法を用い、ワークに導電性炭素膜を形成して導電性炭素膜が被覆された部材を製造する、導電性炭素膜被覆部材の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載された導電性炭素膜の形成方法を用い、燃料電池用セパレータ部材の表面に導電性炭素膜を形成する、燃料電池用セパレータの製造方法。
  6. 燃料電池用セパレータの製造方法であって、
    直流プラズマCVD法により、燃料電池用セパレータ部材の表面に導電性炭素膜を成膜する工程において、原料ガスとして炭素数4以下の鎖式炭化水素ガスのみ、または前記鎖式炭化水素ガスと水素ガスからなる混合ガスのみを使用し、
    成膜温度を520℃以上、750℃以下として前記鎖式炭化水素ガスをプラズマ化する、燃料電池用セパレータの製造方法。
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