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JP6992358B2 - 低臭気積層体と該積層体からなる包装材料、及び該積層体の製造方法 - Google Patents

低臭気積層体と該積層体からなる包装材料、及び該積層体の製造方法 Download PDF

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JP6992358B2 JP2017182006A JP2017182006A JP6992358B2 JP 6992358 B2 JP6992358 B2 JP 6992358B2 JP 2017182006 A JP2017182006 A JP 2017182006A JP 2017182006 A JP2017182006 A JP 2017182006A JP 6992358 B2 JP6992358 B2 JP 6992358B2
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Description

本発明は、低臭気性に優れた積層体及び該積層体の製造方法に関する。
本発明による積層体は、積層体自体から放出される臭気が低減された積層体であり、該臭気は、主に、シーラント層構成部材であるヒートシール性樹脂の、積層体作製時における熱劣化等によって発生して、積層体に残留していた臭気に由来するものである。
本発明の低臭気積層体は、低臭気性を要求される様々な分野の製品に適用することができる。例えば、包装製品や、太陽電池、有機発光ダイオード、波長変換シート、および表示装置等の電気・電子製品に用いることができ、特に、医薬品、化粧品、化学品、飲食品等の用途の包装材料として特に好適に用いることができる。
樹脂フィルム積層体において低臭気性を得るための、特定の密度や低揮発成分量の樹脂を用いた樹脂フィルムが知られているが、特殊な原材料を必須とするものであり、更には樹脂組成物を減圧下で加熱して揮発成分を除去する等の特殊な加工設備を必要とするため、装置導入によるコスト等の課題がある。(特許文献1)
特許4752219号公報
本発明は、押出ラミネートまたは共押出ラミネートされた層を含む積層体において、特に、積層体が基材層とシーラント層を含み、該シーラント層が押出ラミネートまたは共押出ラミネートされた層を含む積層体において、積層体自体から放出される臭気が低減され、ラミネート性とヒートシール性に優れた、低臭気積層体、及び該低臭気積層体からなる包装材料、更には、該低臭気積層体の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、本発明の、押出ラミネートまたは共押出ラミネートされたシーラント層を有する低臭気積層体が、該シーラント層に、疎水性ゼオライト粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層とヒートシール性樹脂含有フィルムとを含むことにより、低臭気積層体が得られることを見出した。
本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材層と、シーラント層とを有する、低臭気積層体であって、
前記シーラント層は、押出ラミネートまたは共押出ラミネートで積層された1層または2層以上のヒートシール性樹脂含有層を含み、且つ、少なくとも1層は粉体消臭剤を含有する消臭剤含有シーラント層であり、
前記粉体消臭剤は、疎水性ゼオライトであり、
前記低臭気積層体の臭気は、前記インフレーション製膜の際に、前記ヒートシール性樹脂から生じた臭気である、
低臭気積層体。
2.前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、上記1に記載の低臭気積層体。
3.前記ポリオレフィン系樹脂が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピ
レンなる群から選ばれる、1種または2種以上である、上記2に記載の低臭気積層体。
4.前記臭気が、ポリエチレン臭、またはポリプロピレン臭である、上記3に記載の低臭気積層体。
5.前記疎水性ゼオライトの平均粒径が、1~10μmである、上記1~4の何れかに記載の低臭気積層体。
6.前記疎水性ゼオライトが、シリカ/アルミナ質量比が5~2000のハイシリカゼオライトである、上記1~5の何れかに記載の低臭気積層体。
7.前記消臭剤含有層は、消臭剤マスターバッチを含有するものであり、
該消臭剤マスターバッチは、前記粉体消臭剤と熱可塑性樹脂とを含有するものである、上記1~6の何れかに記載の低臭気積層体。
8.前記消臭剤マスターバッチ中の、前記粉体消臭剤の含有率は、10~60質量%である、上記7に記載の低臭気積層体。
9.前記消臭剤含有層中の、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1~20質量%である、上記1~8の何れかに記載の低臭気積層体。
10.前記低臭気積層体の単位面積当たりの、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1~10g/m2である、上記1~8の何れかに記載の低臭気積層体。
11.前記シーラント層が、接着層を介して、前記低臭気積層体に積層されたものであり、
該接着層は、塗布乾燥、溶融押出し、前記シーラント層と共に共押出しの何れか1種によって形成されたものである、上記1~10の何れかに記載の低臭気積層体。
12.上記1~11の何れかに記載の低臭気積層体からなる、低臭気包装材料。
13.上記1~11の何れかに記載の低臭気積層体の製造方法であって、少なくとも、下記a)~c)の工程を含む、前記製造方法。
a)前記粉体消臭剤と前記熱可塑性樹脂とをメルトブレンドして、前記消臭剤マスターバッチを調製する工程。
b)前記消臭剤マスターバッチと前記ヒートシール性樹脂とをドライブレンドして、消臭剤層組成物を調整する工程。
c)前記消臭剤層組成物を、塗布乾燥、溶融押出し、前記消臭剤層組成物と共に共押出しの何れか1種によって形成された接着層を介して、積層体に積層する工程。
本発明によれば、特殊な樹脂原料や装置を用いずに、シーラント層に通常のヒートシール性樹脂を用いながら、粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層を該シーラント層に含むことによって、押出ラミネートまたは共押出ラミネート時に前記ヒートシール性樹脂から発生して積層体に残留している臭気の放出が低減された低臭気積層体を提供できる。
本発明の低臭気積層体は、様々な分野の製品に適用することができる。例えば、包装製品や、太陽電池、有機発光ダイオード、波長変換シート、および表示装置等の電気・電子製品に用いることができ、特に、医薬品、化粧品、化学品、飲食品等の、低臭気性が厳しく要求される包装材料としての用途に好適に用いることができる。
本発明に係る低臭気積層体の層構成の一態様を示す概略的断面図である。 本発明に係る低臭気積層体の層構成の一態様を示す概略的断面図である。 本発明に係る低臭気積層体の層構成の一態様を示す概略的断面図である。
本発明について、以下に図面等を用いてさらに詳しく説明する。以下、本明細書において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。また、本発明は、記載された具体例に限定されるものでもない。また、フィルムとシートは総称としてフィル
ムと記載し、押出ラミネートと共押出ラミネートは総称として押出ラミネートと記載する。
<本発明の低臭気積層体の層構成>
図1は、本発明の低臭気積層体の層構成について、その態様を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明の低臭気積層体は、少なくとも、1の基材層と、2の粉体消臭剤を含有するシーラント層とが、積層されている。場合により接着層を介して積層してなるものであってよい。
本発明の低臭気積層体は、シーラント層が、押出ラミネートされたヒートシール性樹脂含有層と、粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層とを含む積層体であるが、押出ラミネートされたヒートシール性樹脂含有層が、消臭剤含有層であってもよい。
図2は、本発明の低臭気積層体の層構成について、その態様を示す概略的断面図である。図2に示されるように、本発明の低臭気積層体は、1の基材層と、2aの粉体消臭剤を含有しないシーラント層aと、2bの粉体消臭剤を含有するシーラント層bとが積層されたものである。各層は、場合により接着層を介して積層してなるものであってよい。
図3は、本発明の低臭気積層体の層構成について、その態様を示す概略的断面図である。
図3に示されるように、本発明の低臭気積層体は、1の基材層と、2の粉体消臭剤を含有するシーラント層との間に、機能材層とが積層されている。
本発明の低臭気積層体の各層間は、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、サンドラミネーション等により、接着層を介して他層と積層されていてもよく、他層と共に溶融押出しラミネートにより積層されていてもよく、中でも、ドライラミネーションまたは溶融押出ラミネーションで積層されることが好適である。
特にシーラント層は、塗布乾燥された接着層を介したラミネーション、または溶融押出しされた接着層を介したラミネーション、またはシーラント層と共に共押出しされた接着層を介したラミネーションによって、低臭気積層体に積層されることが好適である。
(臭気)
本発明において、臭気は、積層体から発せられるものであり、主に、シーラント層に含有されるヒートシール性樹脂が、積層体作製時、特にシーラント層の押出ラミネート時に、加熱によって熱劣化等を生じて発生し、積層体に残留していたものである。
該臭気は、一般的には、例えば、シーラント層にポリエチレンまたはポリプロピレンを用いている場合には、ポリエチレン臭またはポリプロピレン臭と呼ばれるものであり、人間には異臭として感じられ、包装材料や包装体から放出されたり、包装体内容物に臭気が移行することで、包装材料や包装体の商品価値に悪影響を与えるものである。
本発明においては、臭気発生源であるシーラント層に消臭剤含有層を備えることによって、効率の高い消臭効果を奏することが可能である。
[基材層]
基材層に用いることが出来るものとしては、一軸または二軸延伸プラスチックフィルムが挙げられる。一軸または二軸延伸プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などの一軸または二軸延伸ポリアミドフィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムOPPなどが挙げられる。
また、上記のフィルムに無機化合物や無機酸化物を蒸着させて用いることも可能であり、具体的には、シリカ蒸着、アルミナ蒸着などの透明蒸着が挙げられる。
基材層の厚さは、任意に選択し得るが、成形性や透明性の観点から、1~300μmの範囲から選択して使用することが好ましく、1~100μmの範囲が更に好ましい。これより薄いと、強度が不足し易くなり、またこれより厚いと、剛性が高くなりすぎて、加工が困難になり易くなる。
また、基材層は、密着性を向上させるために、ラミネートあるいは蒸着前に基材層表面に、必要に応じて、前もって、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理や、接着層、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を形成する処理、及びその他処理を施してもよい。基材層を作製する際の、基材層内の層間の接着についても同様である。
基材層フィルムは、例えば、前記の樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等従来から使用されている製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化法により、製造することができる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して、1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
基材層フィルムには、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
[機能材層]
本発明の低臭気積層体において、機能材層とは、特殊な機能を発現する、必要に応じて積層体に含まれる層であり、具体的には、遮光層、ガスバリア層、印刷層等が挙げられる。
無機化合物や無機酸化物を蒸着させた樹脂フィルム、金属箔、特殊な機能を有する樹脂の塗布膜、絵柄が印刷された樹脂フィルム等を機能材層に用いることが出来る。
ここで、用いられる樹脂フィルムとしては、基材層に用いられた樹脂フィルムと同様な樹脂フィルムを用いることが可能であり、更には、同様なプラスチック配合剤や添加剤等を、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意の量で添加することもできる。
樹脂フィルムは、例えば、基材層の樹脂フィルム用の樹脂と同様な樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等従来から使用されている製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化法により、製造することができる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して、1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
また、機能材層は、密着性を向上させるために、ラミネートあるいは蒸着前に機能材層表面に、必要に応じて、基材層の場合と同様な、物理的または化学的な処理や、接着層、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を形成する処理、及びその他処理を施してもよい。機能材層を作製する際の、機能材層内の層間の接着についても同様である。
[接着層]
本発明の低臭気積層体においては、接着層は、必要に応じて積層体に含まれる層であり、例えば、基材層とシーラント層とを接着する層であり、公知、公用のものを用いることができる。具体的には、溶融押出しされた樹脂や、2液硬化型ウレタン接着剤等が挙げられる。
[シーラント層]
本発明の低臭気積層体におけるシーラント層は、ヒートシール性と消臭性とを備えた層であり、1層または2層以上の押出ラミネートされたヒートシール性樹脂含有層を含み、且つ、少なくとも1層は、粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層を含むものである。
ここで、前記の押出ラミネートされたヒートシール性樹脂含有層が、粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層であってもよく、また、シーラント層が、消臭剤含有層以外の、消臭剤を含有しないヒートシール性樹脂層をも備えた多層構造であってもよい。さらにまた、消臭剤含有層または消臭剤を含有しないヒートシール性樹脂層は、それぞれ、同一または異なる組成の多層構成であってもよく、積層順も任意でよいが、消臭剤含有層が最表面であることが好ましい。
押出ラミネートされたヒートシール性樹脂含有シーラント層は、塗布乾燥された接着層を介して積層体に積層されること、または、溶融押出しされた接着層を介して積層体に積層されること、該シーラント層と共に共押出ラミネートされた接着層を介して積層されることが好ましい。また、シーラント層が多層構造の場合は、シーラント層内の該多層を共押出ラミネートすることもできる。
シーラント層の厚みは、5~100μmが好ましく、10~70μmが更に好ましく、20~40μmが最も好ましい。上記範囲より薄いとヒートシールしても充分なラミネート強度が得られ難い傾向になり、また、上記範囲より厚いと、コスト上昇を招くと共に積層体が硬くなり作業性が悪くなる傾向になる。
消臭剤含有層の厚みは、シーラント層全体が消臭剤含有層である場合も含めて、5~100μmが好ましく、10~70μmが更に好ましく、20~40μmが最も好ましい。上記範囲より薄いと十分な消臭効果が得られ難くなり、また、上記範囲より厚いと、コスト上昇を招くと共に積層体が硬くなり作業性が悪くなる。
消臭剤含有層に含有されるヒートシール性樹脂と、消臭剤を含有しないヒートシール性樹脂層に含有されるヒートシール性樹脂とは、同一の樹脂であっても、異なる樹脂であってもよく、押出ラミネート法に適用され得るMFRを有しているものであればよい。
(ヒートシール性樹脂)
ヒートシール性樹脂の好ましい具体例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ホモポリプロピレン等のポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を選んで混合して用いても良い。中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が好ましく用いられる。
ヒートシール性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.1~40g/10分が好ましく、0.2~35g/10分がさらに好ましく、0.3~30g/10分が特に好ましい。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
MFRが上記範囲以外の場合は、加工適正の面で劣る傾向にある。MFRが上記範囲よりも小さいと、十分な圧力でヒートシールすることが難しいためにヒートシール強度が不
安定になり易く、上記範囲よりも大きいと、押出ラミネート法による製膜が困難である。
(粉体消臭剤)
該消臭剤含有層に含有される粉体消臭剤は、粉体消臭剤をメルトブレンドした消臭剤マスターバッチを経て含有されることが好ましい。具体的には、粉体消臭剤を熱可塑性樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドして消臭剤マスターバッチを調整し、次いで、所望の消臭剤濃度になるように、消臭剤マスターバッチと上記のヒートシール性樹脂とをドライブレンドして用いる。
消臭剤マスターバッチにメルトブレンドされる熱可塑性樹脂は、上記のヒートシール性樹脂と同一であってもよく、同一でなくてもよく、ヒートシール性を持たない樹脂であってもよい。
前記のメルトブレンドされる好ましい熱可塑性樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられ、これらを1種で用いても、2種以上を併用してもよい。
粉体消臭剤としては、疎水性ゼオライトが好ましく、疎水性ゼオライトの中でもハイシリカゼオライトが更に好ましく、ハイシリカゼオライトの中でも、シリカ/アルミナ質量比が、5~2000のものがより好ましく、20~1000のものが更により好ましく、50~500のものが特に好ましい。疎水性ゼオライトの具体例としては、ゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5A、ゼオライト13X等が挙げられる。
粉体消臭剤の平均粒径は、1~10μmが好ましく、2~6μmが更に好ましい。前記範囲よりも小さいと、溶融時のチキソ性が高くなり過ぎて、インフレーション製膜性とヒートシール製が低下し易くなる。前記範囲よりも大きいと、粉体消臭剤の有効比表面積が小さくなり過ぎて消臭効果が低下し易くなり、また、フィルム表面平滑性が低下する傾向になる。
粉体消臭剤の消臭剤マスターバッチ中の含有量は、10~60質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。上記の範囲であれば、消臭剤層中に必要かつ十分な量の消臭剤を分散した状態で含有させることが容易である。
市販品のハイシリカで上記のシリカ/アルミナ質量比、平均粒径を満たすものとしては、HSZ-960HOA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比100、平均粒径4μm。)、HSZ-980HOA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比500、平均粒径2.5μm。)、HSZ-385HUA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比100、平均粒径2.5μm。)、HSZ-390HUA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比500、平均粒径6μm。)等がある。
シーラント層中の、消臭剤マスターバッチの含有率は、0.5~30質量%が好ましく、1~20質量%が更に好ましく、2~15質量%が特に好ましい。
消臭剤含有層中の、消臭剤マスターバッチの含有率は、1~30質量%が好ましく、2~25質量%が更に好ましく、3~15質量%が特に好ましい。
消臭剤含有層中の、粉体消臭剤の含有率は、0.1~20質量%が好ましく、1~15質量%が更に好ましい。前記範囲よりも少ないと、十分な消臭効果を発現し得る粉体消臭剤を積層体に含有することが困難な傾向になり、前記範囲よりも多いと、溶融時のチキソ性が高くなり過ぎて、押出ラミネート性とヒートシール製が低下し易くなり、消臭剤層の表面平滑性が低下する傾向になる。
積層体単位面積当たりの粉体消臭剤の含有率は、0.1~10g/m2が好ましく、0.15~7g/m2が更に好ましい。前記範囲よりも少ないと、十分な消臭効果を発現す
ることが困難な傾向になり、前記範囲よりも多いと、消臭剤含有層及びシーラント層が厚くなり過ぎたり、消臭剤含有層中の粉体消臭剤の含有率が高くなり過ぎ易く、積層体としての緒性能のバランスが悪くなり易い。
本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
<各種原料の詳細>
PET1:東洋紡(株)社製2軸延伸PETフィルム、E5100。12μm厚、片面コロナ処理済み。
ACコート剤:三井化学(株)社製、A3210/A3075、2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤。
LDPE1:日本ポリエチレン(株)社製低密度ポリエチレン、LC600A。MFR7.0g/10分。
LDPE2:日本ポリエチレン(株)社製低密度ポリエチレン、ノバテックLC522。MFR4.0g/10分
LLDPE3:(株)プライムポリマー社製直線状低密度ポリエチレン、ネオゼックス2540R。MFR3.4g/10分。
LLDPE4:(株)プライムポリマー社製直線状低密度ポリエチレン、ウルトゼックス15100C。MFR11g/10分。
アルミニウム箔1:東洋アルミニウム(株)社製アルミニウム箔、8079箔、7μm厚。
消臭剤マスターバッチ1:東洋インキ(株)社製粉体消臭剤、PEX-CLT-73 AL。粉体消臭剤含有量30質量%。粉体消臭剤は、シリカ/アルミナ質量比300、平均粒径5μm、孔径4Å。含有樹脂種LDPE(MFR7g/10分)。
粉体消臭剤2:東ソー(株)社製HSZ-385HUA。シリカ/アルミナ質量比約100、平均粒径2.5μm、孔径9Å。
粉体消臭剤3:東ソー(株)社製HSZ-960HOA。シリカ/アルミナ質量比約100、平均粒径4μm、孔径6.5Å。
粉体消臭剤4:東ソー(株)社製HSZ-980HOA。シリカ/アルミナ質量比約500、平均粒径2.5μm、孔径6.5Å。
粉体消臭剤5:東ソー(株)社製HSZ-390HUA。シリカ/アルミナ質量比約500、平均粒径6μm、孔径9Å。
[実施例1]
下記原料をドライブレンドし、LLDPE混合物1を得た。
消臭剤マスターバッチ1 5質量部
LLDPE3 95質量部
次いで、溶融押出ラミネート機を用いて、下記のラミネートを実施した。
PET1のコロナ面にACコート剤をコートし、330℃で溶融押出したLDPE1を介してアルミニウム箔1とをラミネートした。
次いで、ラミネートされているアルミニウム箔1の非ラミネート面にACコート剤をコーティングした。
そして、上記ACコート剤面に、接着層としてのLDPE1と、シーラント層としてのLDPE2とLLDPE混合物1(20μm)とを、シーラント層多層合計厚み40μmになるように330℃で共押出ラミネートし、積層体を得た。表1に評価結果を記す。
得られた積層体の層構成は、下記の通りである。
PET1(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/アルミニウム箔1(7μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/LDPE2(10μm)/LDPE2(10μm)/LLDPE混合物1(20μm)
[実施例2]
LLDPE混合物1の層の厚みを10μm、前記多層合計厚みが30μmに変更した以外は実施例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例3]
下記をドライブレンドし、LLDPE混合物2を得た。
消臭剤マスターバッチ1 10質量部
LLDPE4 90質量部
次いで、溶融押出ラミネート機を用いて、下記のラミネートを実施した
PET2のコロナ処理面にACコート剤をコートし、90℃で乾燥し、コート面とアルミニウム箔2とを330℃で溶融押出したLDPE2を介して、ラミネートした。
そして、ラミネートされているアルミニウム箔2の非ラミネート面にACコート剤をコートした。
次いで、該ACコート剤面に、330℃でLLDPE混合物2を30μm厚になるように押出ラミネートして、積層体を得た。表1に評価結果を記す。
得られた積層体の層構成は、下記の通りである。
PET2(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE2(15μm)/アルミニウム箔2(7μm)/AC(3g/m2)/LLDPE混合物2(30μm)
[実施例4]
下記をドライブレンドし、LLDPE混合物3を得た。
消臭剤マスターバッチ1 20質量部
LLDPE4 80質量部
次いで、LLDPE混合物2の代わりにLLDPE混合物3を用いた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例5]
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ2を得た。
粉体消臭剤2 20質量部
LDPE1 80質量部
次いで、下記をドライブレンドし、LLDPE混合物4を得た。
消臭剤マスターバッチ2 20質量部
LLDPE4 80質量部
そして、LLDPE混合物2の代わりにLLDPE混合物4を用いた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例6]
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ3を得た。
粉体消臭剤3 50質量部
LDPE1 50質量部
次いで、下記をドライブレンドし、LLDPE混合物5を得た。
消臭剤マスターバッチ3 25質量部
LLDPE4 75質量部
そして、LLDPE混合物2の代わりにLLDPE混合物5を用いた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例7]
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ4を得た。
粉体消臭剤4 30質量部
LDPE1 70質量部
次いで、下記をドライブレンドし、LLDPE混合物6を得た。
消臭剤マスターバッチ4 10質量部
LLDPE4 90質量部
そして、LLDPE混合物2の代わりにLLDPE混合物6を用いた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例8]
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ5を得た。
粉体消臭剤5 30質量部
LDPE1 70質量部
次いで、下記をドライブレンドし、LLDPE混合物7を得た。
消臭剤マスターバッチ5 10質量部
LLDPE4 90質量部
そして、LLDPE混合物2の代わりにLLDPE混合物7を用いた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[比較例1]
実施例1において、LLDPE混合物1に代えて、LLDPE3を用いた以外は、実施例1と同様に実施し、積層体を得た。表1に評価結果を記す。
得られた積層体の層構成は、下記の通りである。
PET1(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/アルミニウム箔1(7μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/LLDPE3(30μm)
[比較例2]
実施例2において、LLDPE混合物2に代えて、LLDPE4を用いた以外は、実施例2と同様に実施し、積層体を得た。表1に評価結果を記す。
得られた積層体の層構成は、下記の通りである。
PET2(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE2(15μm)/アルミニウム箔2(7μm)/AC(3g/m2)/LLDPE4(30μm)
<各種評価方法>
[ラミネート性]
積層体を、それぞれ幅15mmの短冊状に試験片を切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製RTC-1310A)を用いて、25℃雰囲気下、T字剥離方式(引張速度50mm/分)により、基材層とシーラント層間を剥離した際の最大荷重を測定し、ラミネート強度(N/15mm)とした。更には、剥離界面部位を確認した。表1内の表記は下記の意味である。
ALM/PE:アルミニウム箔とLDPE(接着層)界面で剥離。
[臭気官能試験1]
縦30cm×横30cmに積層体をカットし、内部に空気が充満するように、シーラント層同士が対向するようにテトラパウチを作製し、60℃で72時間保管した後に、内容空気の臭気を官能評価により評価した。官能評価実験の参加者は10人であり、平均値を算出して評価結果とした。
指標:良い1~5悪い
[臭気官能試験2]
A4に積層体をカットし、シーラント層同士が対向するように、長手方向を半折しシールすることで3方パウチを作製した。パウチ内には水100ml充填し、60℃で72時間保管した後に、内容水の臭気を官能評価により評価した。官能評価実験の参加者は10人であり、平均値を算出して評価結果とした。
指標 良い1~5悪い
Figure 0006992358000001
<結果まとめ>
シーラント層に消臭剤含有層を含む実施例1~8は、消臭剤含有層を含まない比較例1、2よりも良好な臭気官能試験結果を示し、かつ、比較例1、2と同等のラミネート強度を示し、剥離界面も同一であり、良好なラミネート性を示した。
1. 基材層
2. シーラント層
2a. 粉体消臭剤非含有シーラント層
2b. 粉体消臭剤含有シーラント層
3. 機能材層

Claims (11)

  1. 基材層と、シーラント層とを有する、低臭気積層体であって、
    前記シーラント層は、押出ラミネートまたは共押出ラミネートで積層された1層または2層以上のヒートシール性樹脂含有層を含み、且つ、少なくとも1層は、押出ラミネートまたは共押出ラミネートの際にヒートシール性樹脂から生じた臭気を消臭するための粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層であり、
    前記粉体消臭剤は、疎水性ゼオライトであり、
    前記消臭剤含有層は最表面の層であり、
    前記消臭剤含有層中の、前記粉体消臭剤の含有率は、6.0~20質量%であり、
    前記低臭気積層体の単位面積当たりの、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1~10g/m 2 である、
    低臭気積層体。
  2. 前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の低臭気積層体。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなる群から選ばれる、1種または2種以上である、請求項2に記載の低臭気積層体。
  4. 前記臭気が、ポリエチレン臭、またはポリプロピレン臭である、請求項3に記載の低臭気積層体。
  5. 前記疎水性ゼオライトの平均粒径が、1~10μmである、請求項1~4の何れか1項に記載の低臭気積層体。
  6. 前記疎水性ゼオライトが、シリカ/アルミナ質量比が5~2000のハイシリカゼオライトである、請求項1~5の何れか1項に記載の低臭気積層体。
  7. 前記消臭剤含有層は、消臭剤マスターバッチを含有するものであり、
    該消臭剤マスターバッチは、前記粉体消臭剤と熱可塑性樹脂とを含有するものである、請求項1~6の何れか1項に記載の低臭気積層体。
  8. 前記消臭剤マスターバッチ中の、前記粉体消臭剤の含有率は、10~60質量%である、請求項7に記載の低臭気積層体。
  9. 前記シーラント層が、接着層を介して、他層と積層されたものであり、
    該接着層は、塗布乾燥、溶融押出し、前記シーラント層と共に共押出しの何れか1種によって形成されたものである、請求項1~の何れか1項に記載の低臭気積層体。
  10. 請求項1~の何れか1項に記載の低臭気積層体からなる、低臭気包装材料。
  11. 請求項1~の何れか1項に記載の低臭気積層体の製造方法であって、少なくとも、下記a)~c)の工程を含む、前記製造方法。
    a)前記粉体消臭剤と前記熱可塑性樹脂とをメルトブレンドして、前記消臭剤マスターバッチを調製する工程。
    b)前記消臭剤マスターバッチと前記ヒートシール性樹脂とをドライブレンドして、消臭剤層組成物を調整する工程。
    c)前記消臭剤層組成物を、塗布乾燥、溶融押出し、前記消臭剤層組成物と共に共押出しの何れか1種によって形成された接着層を介して、他層と積層する工程。
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