JP6958030B2 - 低臭気積層体と該積層体からなる包装材料、及び該積層体の製造方法 - Google Patents
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1.基材層と、シーラント層とを有する、低臭気積層体であって、
前記シーラント層は、インフレーション製膜された1層または2層以上のヒートシール性樹脂含有フィルムを含み、且つ、少なくとも1層は粉体消臭剤を含有する消臭剤含有シーラント層であり、
前記粉体消臭剤は、疎水性ゼオライトであり、
前記低臭気積層体の臭気は、前記インフレーション製膜の際に、前記ヒートシール性樹脂から生じた臭気である、
低臭気積層体。
2.前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、上記1に記載の低臭気積層体。
3.前記ポリオレフィン系樹脂が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなる群から選ばれる、1種または2種以上である、上記2に記載の低臭気積層体。
4.前記臭気が、ポリエチレン臭、またはポリプロピレン臭である、上記3に記載の低臭気積層体。
5.前記疎水性ゼオライトの平均粒径が、1〜10μmである、上記1〜4の何れかに記載の低臭気積層体。
6.前記疎水性ゼオライトが、シリカ/アルミナ質量比が5〜2000のハイシリカゼオライトである、上記1〜5の何れかに記載の低臭気積層体。
7.前記消臭剤含有層は、消臭剤マスターバッチを含有するものであり、
該消臭剤マスターバッチは、前記粉体消臭剤と熱可塑性樹脂とを含有するものである、上記1〜6の何れかに記載の低臭気積層体。
8.前記消臭剤マスターバッチ中の、前記粉体消臭剤の含有率は、10〜60質量%である、上記7に記載の低臭気積層体。
9.前記消臭剤含有層中の、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1〜20質量%である、上記1〜8の何れかに記載の低臭気積層体。
10.前記低臭気積層体の単位面積当たりの、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1〜10g/m2である、上記1〜8の何れかに記載の低臭気積層体。
11.前記シーラント層が、ドライラミネーション、または溶融押出しされた接着層を介したラミネーションによって、前記低臭気積層体に積層されたものである、上記1〜10の何れかに記載の低臭気積層体。
12.上記1〜11の何れかに記載の低臭気積層体からなる、低臭気包装材料。
13.上記1〜11の何れかに記載の低臭気積層体の製造方法であって、少なくとも、下記a)〜d)の工程を含む、前記製造方法。
a)前記粉体消臭剤と前記熱可塑性樹脂とをメルトブレンドして、前記消臭剤マスターバッチを調製する工程。
b)前記消臭剤マスターバッチと前記ヒートシール性樹脂とをドライブレンドして、消臭剤層組成物を調整する工程。
c)前記消臭剤組成物をインフレーション製膜して、シーラント層用フィルムを作製する工程。
d)前記シーラント層用フィルムを、ドライラミネーションによって、または、溶融押出しされた接着層を介したラミネーションによって、積層体に積層する工程。
図1は、本発明の低臭気積層体の層構成について、その態様を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明の低臭気積層体は、少なくとも、1の基材層と、2の粉体消臭剤を含有するシーラント層とが、積層されている。場合により接着層を介して積層してなるものであってよい。
本発明において、臭気は、積層体から発せられるものであり、主に、シーラント層に含有されるヒートシール性樹脂が、積層体作製時、特にシーラント層のインフレーション製膜時に、加熱によって熱劣化等を生じて発生し、積層体に残留していたものである。
基材層に用いることが出来るものとしては、一軸または二軸延伸プラスチックフィルムが挙げられる。一軸または二軸延伸プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などの一軸または二軸延伸ポリアミドフィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムOPPなどが挙げられる。
本発明の低臭気積層体において、機能材層とは、特殊な機能を発現する、必要に応じて積層体に含まれる層であり、具体的には、遮光層、ガスバリア層、印刷層等が挙げられる。
本発明の低臭気積層体においては、接着剤層は、必要に応じて積層体に含まれる層であり、例えば、基材層とシーラント層とを接着する層であり、公知、公用のものを用いることができる。具体的には、溶融押出しされた樹脂や、2液硬化型ウレタン接着剤等が挙げられる。
本発明の低臭気積層体におけるシーラント層は、ヒートシール性と消臭性とを備えた層であり、1層または2層以上のインフレーション製膜されたヒートシール性樹脂含有フィルムを含み、且つ、少なくとも1層は、粉体消臭剤を含有する消臭剤含有層を含むものである。
ヒートシール性樹脂の好ましい具体例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
該消臭剤含有層に含有される粉体消臭剤は、粉体消臭剤をメルトブレンドした消臭剤マスターバッチを経て含有されることが好ましい。具体的には、粉体消臭剤を熱可塑性樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドして消臭剤マスターバッチを調整し、次いで、所望の消臭剤濃度になるように、消臭剤マスターバッチと上記のヒートシール性樹脂とをドライブレンドして用いる。
HSZ−960HOA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比100、平均粒径4μm。)、HSZ−980HOA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比500、平均粒径2.5μm。)、HSZ−385HUA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比100、平均粒径2.5μm。)、HSZ−390HUA(東ソー(株)社製、シリカ/アルミナ質量比500、平均粒径6μm。)等がある。
PET1:東洋紡(株)社製2軸延伸PETフィルム、E5100。12μm厚、片面コロナ処理済み。
ACコート剤:三井化学(株)社製、A3210/A3075、2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤。
LDPE1:日本ポリエチレン(株)社製低密度ポリエチレン、LC600A。MFR7.0g/10分。
LDPE2:日本ポリエチレン(株)社製低密度ポリエチレン、ノバテックLC522。MFR4.0g/10分。
LLDPE3:(株)プライムポリマー社製直線状低密度ポリエチレン、SP2020。MFR2.3g/10分。
LLDPE4:(株)プライムポリマー社製直線状低密度ポリエチレン、SP1070C。MFR10g/10分。
アルミニウム箔1:東洋アルミニウム(株)社製アルミニウム箔、8079箔、7μm厚。
消臭剤マスターバッチ1:東洋インキ(株)社製粉体消臭剤、PEX−CLT−73 AL。粉体消臭剤含有量30質量%。粉体消臭剤は、シリカ/アルミナ質量比300、平均粒径5μm、孔径4Å。含有樹脂種LDPE(MFR7g/10分)。
粉体消臭剤2:東ソー(株)社製HSZ−385HUA。シリカ/アルミナ質量比約100、平均粒径2.5μm、孔径9Å。
粉体消臭剤3:東ソー(株)社製HSZ−960HOA。シリカ/アルミナ質量比約100、平均粒径4μm、孔径6.5Å。
粉体消臭剤4:東ソー(株)社製HSZ−980HOA。シリカ/アルミナ質量比約500、平均粒径2.5μm、孔径6.5Å。
粉体消臭剤5:東ソー(株)社製HSZ−390HUA。シリカ/アルミナ質量比約500、平均粒径6μm、孔径9Å。
下記原料をドライブレンドし、LLDPE混合物1を得た。
消臭剤マスターバッチ1 5質量部
LLDPE3 95質量部
PET1(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/アルミニウム箔1(7μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/インフレーションフィルム1(40μm)
LLDPE混合物1の層の厚みを10μm、前記多層合計厚みが30μmに変更した以外は実施例1と同様に操作して、インフレーションフィルム2、積層体を得て、同様に評価した。
下記をドライブレンドし、LLDPE混合物2を得た。
消臭剤マスターバッチ1 10質量部
LLDPE4 90質量部
PET2(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE2(15μm)/アルミニウム箔2(7μm)/AC(3g/m2)/LLDPE混合物2(30μm)
下記をドライブレンドし、LLDPE混合物3を得た。
消臭剤マスターバッチ1 20質量部
LLDPE4 80質量部
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ2を得た。
粉体消臭剤2 20質量部
LDPE1 80質量部
消臭剤マスターバッチ2 20質量部
LLDPE4 80質量部
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ3を得た。
粉体消臭剤3 50質量部
LDPE1 50質量部
消臭剤マスターバッチ3 25質量部
LLDPE4 75質量部
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ4を得た。
粉体消臭剤4 30質量部
LDPE1 70質量部
消臭剤マスターバッチ4 10質量部
LLDPE4 90質量部
下記原料をメルトブレンドし、消臭剤マスターバッチ5を得た。
粉体消臭剤5 30質量部
LDPE1 70質量部
消臭剤マスターバッチ5 10質量部
LLDPE4 90質量部
実施例1において、LLDPE混合物1に代えて、LLDPE3を用いた以外は、実施例1と同様に実施し、積層体を得た。表1に評価結果を記す。
PET1(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/アルミニウム箔1(7μm)/AC(3g/m2)/LDPE1(15μm)/LLDPE3(30μm)
実施例2において、LLDPE混合物2に代えて、LLDPE4を用いた以外は、実施例2と同様に実施し、積層体を得た。表1に評価結果を記す。
PET2(12μm)/AC(3g/m2)/LDPE2(15μm)/アルミニウム箔2(7μm)/AC(3g/m2)/LLDPE4(30μm)
[ラミネート性]
積層体を、それぞれ幅15mmの短冊状に試験片を切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製RTC−1310A)を用いて、25℃雰囲気下、T字剥離方式(引張速度50mm/分)により、基材層とシーラント層間を剥離した際の最大荷重を測定し、ラミネート強度(N/15mm)とした。更には、剥離界面部位を確認した。表1内の表記は下記の意味である。
ALM/PE:アルミニウム箔とLDPE(接着層)界面で剥離。
縦30cm×横30cmに積層体をカットし、内部に空気が充満するように、シーラント層同士が対向するようにテトラパウチを作製し、60℃で72時間保管した後に、内容空気の臭気を官能評価により評価した。官能評価実験の参加者は10人であり、平均値を算出して評価結果とした。
指標:良い1〜5悪い
A4に積層体をカットし、シーラント層同士が対向するように、長手方向を半折しシールすることで3方パウチを作製した。パウチ内には水100ml充填し、60℃で72時間保管した後に、内容水の臭気を官能評価により評価した。官能評価実験の参加者は10人であり、平均値を算出して評価結果とした。
指標 良い1〜5悪い
シーラント層に消臭剤含有層を含む実施例1〜8は、消臭剤含有層を含まない比較例1、2よりも良好な臭気官能試験結果を示し、かつ、比較例1、2と同等のラミネート強度を示し、剥離界面も同一であり、良好なラミネート性を示した。
2. シーラント層
2a. 粉体消臭剤非含有シーラント層
2b. 粉体消臭剤含有シーラント層
3. 機能材層
Claims (13)
- 基材層と、シーラント層とを有する、低臭気積層体であって、
前記シーラント層は、インフレーション製膜された1層または2層以上のヒートシール性樹脂含有フィルムを含み、且つ、少なくとも1層は粉体消臭剤を含有する消臭剤含有シーラント層であり、
ヒートシール性樹脂のメルトフローレートは、0.1〜5.0g/10分であり、
前記粉体消臭剤は、疎水性ゼオライトであり、
前記低臭気積層体の臭気は、前記インフレーション製膜の際に、前記ヒートシール性樹脂から生じた臭気である、
低臭気積層体。 - 前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の低臭気積層体。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなる群から選ばれる、1種または2種以上である、請求項2に記載の低臭気積層体。
- 前記臭気が、ポリエチレン臭、またはポリプロピレン臭である、請求項3に記載の低臭気積層体。
- 前記疎水性ゼオライトの平均粒径が、1〜10μmである、請求項1〜4の何れか1項に記載の低臭気積層体。
- 前記疎水性ゼオライトが、シリカ/アルミナ質量比が5〜2000のハイシリカゼオライトである、請求項1〜5の何れか1項に記載の低臭気積層体。
- 前記粉体消臭剤を含有する消臭剤含有シーラント層は、消臭剤マスターバッチを含有するものであり、
該消臭剤マスターバッチは、前記粉体消臭剤と熱可塑性樹脂とを含有するものである、
請求項1〜6の何れか1項に記載の低臭気積層体。 - 前記消臭剤マスターバッチ中の、前記粉体消臭剤の含有率は、10〜60質量%である、請求項7に記載の低臭気積層体。
- 前記粉体消臭剤を含有する消臭剤含有シーラント層中の、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1〜20質量%である、請求項1〜8の何れか1項に記載の低臭気積層体。
- 前記低臭気積層体の単位面積当たりの、前記粉体消臭剤の含有率は、0.1〜10g/m2である、請求項1〜8の何れか1項に記載の低臭気積層体。
- 前記シーラント層が、ドライラミネーション、または溶融押出しされた接着層を介したラミネーションによって、前記低臭気積層体に積層されたものである、請求項1〜10の何れか1項に記載の低臭気積層体。
- 請求項1〜11の何れか1項に記載の低臭気積層体からなる、低臭気包装材料。
- 請求項1〜11の何れか1項に記載の低臭気積層体の製造方法であって、少なくとも、下記a)〜d)の工程を含む、前記製造方法。
a)前記粉体消臭剤と前記熱可塑性樹脂とをメルトブレンドして、前記消臭剤マスターバッチを調製する工程。
b)前記消臭剤マスターバッチと前記ヒートシール性樹脂とをドライブレンドして、消臭剤層組成物を調整する工程。
c)前記消臭剤組成物をインフレーション製膜して、シーラント層用フィルムを作製する工程。
d)前記シーラント層用フィルムを、ドライラミネーションによって、または、溶融押出しされた接着層を介したラミネーションによって、積層体に積層する工程。
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