以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向が照明光の投射方向である。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る照明装置1を側方から透視した図である。
照明装置1は、筐体2aと、壁2bと、投射ユニット3と、受光ユニット4とを備える。投射ユニット3と受光ユニット4は、同一の筐体2aに保持されている。筐体2aの内部は、壁2bによって2つの閉空間に区切られている。Y軸負側の閉空間に投射ユニット3が保持され、Y軸正側の閉空間に受光ユニット4が保持されている。
投射ユニット3は、照明光L10と検出光L20を生成する発光装置10と、発光装置10により生成された照明光L10および検出光L20を投射するための投射光学系20とを備える。投射光学系20は、2つのレンズ21a、21bを備え、これらレンズ21a、21bによって発光装置10からの光を集光して目標領域へと投射する。なお、投射光学系20は、必ずしも2つのレンズ21a、21bから構成されなくともよく、たとえば、1つのレンズでもよく、また2つ以上のレンズやミラーを備えていてもよい。また、投射光学系20は、凹面ミラーによって発光装置10からの光を集光する構成であってもよい。
発光装置10は、光源11a、11bと、コリメータレンズ12a、12bと、波長変換部材13と、を備える。
光源11aは、波長変換部材13によって波長変換され得る波長帯のレーザ光(以下、「励起光L1」という)を出射する。本実施形態において、光源11aは、青色波長帯(たとえば、450nm)の励起光L1を出射する。光源11bは、光源11aとは異なる波長のレーザ光(以下、「検出光L2」という)を出射する。光源11bから出射される検出光L2は、波長変換部材13によってその全て、又は大部分のエネルギーが波長変換されない波長帯に設定されている。光源11bは、たとえば、非可視の波長帯の光(非可視光)を出射する。本実施形態では、光源11bは、検出光L2として、赤外の波長帯の光を出射する。検出光L2が、紫外の波長帯の光であってもよい。光源11a、11bは、たとえば、半導体レーザからなっている。
コリメータレンズ12a、12bは、それぞれ、光源11a、11bから出射された励起光L1および検出光L2を略平行光に収束させる。コリメータレンズ12a、12bは、たとえば、非球面レンズからなっている。コリメータレンズ12a、12bが、球面レンズからなっていてもよい。コリメータレンズ12a、12bによって収束される励起光L1および検出光L2は、平行光からやや拡散した状態であってもよく、あるいは、平行光からやや収束した状態であってもよい。
波長変換部材13は、コリメータレンズ12aを介して入射した励起光L1の一部を、青色波長帯とは異なる波長に変換して、Z軸方向に拡散させる。波長変換されなかった他の励起光L1は、波長変換部材13によってZ軸方向に拡散される。こうして拡散された2種類の波長の光が合成されて、所定の色の照明光L10が生成される。各波長の光は、投射光学系20に取り込まれて、目標領域に投射される。
本実施形態では、波長変換部材13によって、励起光L1の一部が、黄色波長帯の光に変換される。波長変換後の黄色波長帯の拡散光と、波長変換されなかった青色波長帯の散乱光とが合成されて、白色の照明光L10が生成される。図1において、照明光L10は、点線で示されている。なお、波長変換後の波長は、黄色波長帯でなくてもよく、生成される照明光L10の色は、白以外の色であってもよい。波長変換部材13の構成は、追って、図2(a)を参照して説明する。
なお、波長変換部材13は、コリメータレンズ12bを介して入射した検出光L2を、波長変換することなく、Z軸方向に拡散させる。これにより、検出光L20が生成される。検出光L20もまた、投射光学系20に取り込まれて、目標領域に投射される。図1において、検出光L20は、破線で示されている。
本実施形態では、波長変換部材13の入射面が投射光学系20の焦点距離付近の位置に配置されている。
投射方向に物体が存在する場合、照明光L10および検出光L20は、物体によって反射される。物体によって反射された照明光L10および検出光L20の反射光R10、R20は、それぞれ、その一部が、受光ユニット4に向かう。
受光ユニット4は、フィルタ31と、集光レンズ32と、受光センサ33とを備える。フィルタ31は、筐体2aの窓部に設置されている。フィルタ31は、検出光L2の波長帯の光を透過し、その他の波長帯の光を遮断するバンドパスフィルタである。したがって、受光ユニット4に向かう反射光R10、R20のうち、検出光L20の反射光R20はフィルタ31を透過し、照明光L10の反射光R10はフィルタ31によって遮断される。その後、反射光R20は、集光レンズ32によって受光センサ33に集光される。
受光センサ33は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。受光センサ33が、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであってもよく、2次元PSD(Position Sensitive Detector)であってもよい。物体の方向に応じて、受光センサ33上における反射光R20の集光位置がX軸方向およびY軸方向に移動する。受光センサ33の受光面は、予め決められた物体検出方向の範囲に対応する集光位置の移動範囲をカバー可能な広さに設定されている。
この構成では、受光センサ33により反射光R20が受光されたか否かによって投射方向に物体が存在するか否かが判別され、さらに、受光センサ33の受光面上における反射光R20の受光位置により、物体の方向が取得され得る。なお、物体の方向を取得する必要がない場合、受光センサ33は、受光の有無を検出する機能のみを有する光検出器であってもよい。
また、この構成による照明装置1では、光源11bを所定の時間間隔でパルス発光させることによって、物体までの距離をさらに取得することができる。すなわち、光源11bをパルス発光させたタイミングと、このパルス発光に基づく反射光R20を受光センサ33が受光したタイミングとの時間差(Time Of Flight)により、物体までの距離を取得することができる。
図2(a)は、波長変換部材13の構成を模式的に示す側面図である。
波長変換部材13は、基板101の上面に、反射膜102と、蛍光体層103とを積層した構成となっている。
基板101は、たとえば、シリコンや窒化アルミニウムセラミック、サファイヤガラスなどからなっている。反射膜102は、第1の反射膜102aと第2の反射膜102bとが積層されて構成されている。第1の反射膜102aは、たとえば、Ag、Ag合金、Alなどの金属膜である。第2の反射膜102bは、反射とともに第1の反射膜102aを酸化などから保護する機能をも有し、たとえば、SiO2、ZnO、ZrO2、Nb2O5、Al2O3、TiO2、SiN、AlNなど誘電体の1つまたは複数の層からなっている。反射膜102は、必ずしも、第1の反射膜102aおよび第2の反射膜102bから構成されなくともよく、単層または3つ以上の層が積層された構成であってもよい。
蛍光体層103は、蛍光体粒子103aをバインダ103bで固定することにより形成される。蛍光体粒子103aは、光源11aから出射された青色波長帯の励起光L1が照射されることによって黄色波長帯の蛍光を発する。蛍光体粒子103aとして、たとえば、平均粒子径が1μm〜30μmの(YnGd1−n)3(AlmGa1−m)5O12:Ce(0.5≦n≦1、0.5≦m≦1)が用いられる。また、バインダ103bとして、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシルセスキオキサンを主に含む透明材料が用いられる。
さらに、蛍光体層103の内部に、ボイド103cを設けることが好ましい。これにより、内部に侵入した励起光L1をより効率的に散乱させて、発光装置10から取り出すことができる。また、第2の反射膜102b付近にボイド103cが存在することにより、第2の反射膜102bの表面によるエネルギーロスを低減しつつ、効果的に励起光L1と蛍光を散乱させることができる。蛍光体層103には、さらに、強度および耐熱性を高めるためのフィラー103dが含まれることが好ましい。
光源11aから出射された励起光L1は、図2(a)に示す照射領域R1に照射され、蛍光体層103の表面または内部で、散乱、吸収される。このとき、励起光L1の一部は、蛍光体粒子103aにより黄色波長帯の光に変換されて、蛍光体層103から放射される。また、励起光L1の他の一部は、黄色波長帯の光に変換されずに散乱されて青色波長帯の光のまま蛍光体層103から放射される。このとき、各波長帯の光は、蛍光体層103内を伝搬しながら散乱されるため、照射領域R1よりもやや広い領域から放射される。
光源11bから出射された検出光L2は、図2(a)に示す照射領域R2に照射され、蛍光体層103の表面または内部で、散乱される。このとき、検出光L2は、蛍光体粒子103aにより黄色波長帯の光に変換されずに、赤外波長帯の光のまま蛍光体層103から放射される。このとき、検出光L2は、蛍光体層103内を伝搬しながら散乱されるため、照射領域R2よりもやや広い領域から放射される。
図2(b)は、波長変換部材13に対する励起光L1と検出光L2の照射状態を模式的に示す平面図である。図2(b)には、励起光L1の照射領域が実線で示され、検出光L2の照射領域が破線で示されている。
本実施形態1では、光源11aおよびコリメータレンズ12aの光軸と、光源11bおよびコリメータレンズ12bの光軸とが波長変換部材13の入射面において略一致するように、光源11aおよびコリメータレンズ12aの配置と、光源11bおよびコリメータレンズ12bの配置が調整されている。これにより、図2(b)に示すように、波長変換部材13の入射面において、検出光L2の照射領域の一部が、励起光L1の照射領域に重なっている。
ここで、波長変換部材13に対する検出光L2の照射領域は、励起光L1の照射領域よりも広く、且つ、励起光L1の照射領域を全て内包するように設定されている。このような調整は、図1に示したコリメータレンズ12a、12bのパワー(屈折力)や光軸方向の位置を調節することにより実現され得る。また、ここでは、波長変換部材13に対する検出光L2の照射領域の中心が、励起光L1の照射領域の中心に略一致している。このような調整は、図1に示した光源11a、11bの出射光軸の向きを調節することにより行われ得る。
なお、励起光L1の照射領域および検出光L2の照射領域の境界値は任意の値でよく、たとえば、ピーク強度の1/e2以上領域として規定される。あるいは、これに代えて、ピーク強度の半値以上の領域が、励起光L1の照射領域および検出光L2の照射領域として規定されてもよい。また、照射領域L2は、センサの検出強度に基づく境界値としてもよい。
検出光L2の照射領域と励起光L1の照射領域がこのような関係にある場合、投射光学系20によって投射される照明光L10および検出光L20の投射領域も、この関係を維持する。すなわち、検出光L20の投射領域が、照明光L10の投射領域よりも広く、且つ、照明光L10の投射領域を全て内包するように設定される。
図3(a)、(b)は、それぞれ、波長変換部材13の各位置から生じた光の投射方向を示す図である。ここでは、便宜上、投射光学系20が1つのレンズとして図示されている。
焦点距離fの投射光学系20の焦点位置近傍に波長変換部材13が配置された場合、焦点位置を原点とし、投射光学系20の光軸に垂直な面内にある波長変換部材13の座標X=X1、X2から生じた光は、投射光学系20によって、以下で示す式から導かれる角度方向θ=θ1、θ2に投射される。
θ=tan−1(X/f) …(1)
上記式(1)は、波長変換部材13上の発光形状や発光分布が、そのまま遠方照射の角度空間における光照射分布に1対1で対応することを意味する。
よって、波長変換部材13上における励起光L1および検出光L2の照射領域が図2(b)に示すように設定された場合、照明光L10および検出光L20の投射領域には、図2(b)に示す関係がそのまま維持される。したがって、この場合は、上記のように、検出光L20の投射領域が、照明光L10の投射領域よりも広く、且つ、照明光L10の投射領域を全て内包するように設定されることになる。
このように、検出光L20の投射領域が照明光L10の投射領域を内包する場合、照明光L10の投射領域のどの位置に物体が存在したとしても、受光センサ33の出力に基づき物体を確実に検出することができる。したがって、この場合は、照明光L10の照射領域全体に対する物体検知を正確に行うことができる。
なお、波長変換部材13上における励起光L1および検出光L2の照射領域の関係は、必ずしも、図2(b)に示した関係に限られるものではなく、適宜変更可能である。たとえば、波長変換部材13上における励起光L1および検出光L2の照射領域の関係は、図2(c)〜(e)に示すように変更され得る。
図2(c)の設定方法では、励起光L1の照射領域の中央部分に重なるように、検出光L2の照射領域が縦長に設定される。この設定方法は、たとえば、検出光L2を収束させるコリメータレンズ12bにビーム整形のための光学作用をさらに付与することにより実現され得る。あるいは、コリメータレンズ12bの後段に、ビーム整形用のレンズを配置してもよい。
この設定方法によれば、図2(b)の場合に比べて、検出光L2の照射領域の面積が減少するため、検出光L2の光密度が高まる。したがって、検出光L2(検出光L20)が物体により反射された反射光R20の光密度も高まることになり、その結果、受光センサ33による反射光R20の検出精度が高まり、検出可能な距離も長くなる。よって、図2(c)の設定方法は、特に、照明光L10の投射領域の中央部分とそのX軸方向の近傍部分において物体検出が必要な場合に有効である。
図2(d)の設定方法では、励起光L1の照射領域に対してX軸正側にずれるように、検出光L2の照射領域が設定される。この設定方法は、たとえば、光源11bの出射光軸をX軸正方向に傾けることにより実現され得る。この設定方法では、検出光L2の照射領域の広さが励起光L1の照射領域と略同じに制限されている。したがって、この設定方法によっても、検出光L2の光密度の減少を抑制でき、受光センサ33による反射光R20の検出精度を高め得る。よって、図2(d)の設定方法は、照明光L10の投射領域からX軸正方向にややずれた位置において物体検出が必要な場合に有効である。
図2(e)の設定方法では、励起光L1の照射領域に検出光L2の照射領域が内包されている。この設定方法は、たとえば、コリメータレンズ12a、12bのパワーや光軸方向の位置を調節することにより実現され得る。この設定方法では、検出光L2の照射領域の広さが励起光L1の照射領域よりも小さく制限されているため、検出光L2の照射領域の広さが励起光L1の照射領域より広い場合に比べて、検出光L2の光密度の減少を抑制でき、受光センサ33による反射光R20の検出精度を高めることができる。よって、図2(e)の設定方法は、照明光L10の投射領域の内部において物体検出が必要な場合に有効である。
図4は、照明装置1の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。
照明装置1は、回路部の構成として、コントローラ201と、レーザ駆動回路202と、信号処理回路203と、を備える。
コントローラ201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、メモリとを備え、所定の制御プログラムに従って各部を制御する。レーザ駆動回路202は、コントローラ201からの制御信号に従って、光源11a、11bを駆動する。信号処理回路203は、コントローラ201からの制御信号に従って、受光センサ33を駆動し、受光センサ33から出力される検出信号を処理してコントローラ201に出力する。
図5は、受光センサ33の検出結果に基づく照明光L10の制御例を示すフローチャートである。ここでは、上記構成の照明装置1が防犯灯として用いられることが想定されている。
照明装置1が起動されると、コントローラ201は、レーザ駆動回路202を制御して、光源11a、11bの駆動を開始させる(S101)。これにより、所定の投射方向に照明光L10と検出光L20が投射される。ここで、光源11aには、低レベルの駆動電流が供給される。したがって、照明装置1からは、低強度の照明光L10が投射される。なお、光源11bの駆動は、一定周期の間欠駆動であってもよい。
こうして投射が開始された後、コントローラ201は、信号処理回路203から入力される信号に基づいて、投射領域に人等の物体が侵入したことを検知するための処理を実行する(S102)。投射領域に物体が侵入したことを検知した場合(S103:YES)、コントローラ201は、現時点の光源11aの発光レベルが低レベルであるか否かを判定する(S104)。
ここで、現時点の光源11aの発光レベルが低レベルである場合(S104:YES)、コントローラ201は、レーザ駆動回路202を制御して、光源11aの発光レベルを高レベルに切り替える(S105)。これにより、照明光L10の強度が高められ、投射領域がより明るく照明される。他方、現時点の光源11aの発光レベルが高レベルである場合(S104:NO)、コントローラ201は、光源11aの発光レベルをそのまま維持する。
ステップS103の判定がNOである場合、すなわち、物体検知処理によって物体が検知されなかった場合、コントローラ201は、現時点の光源11aの発光レベルが高レベルであるか否かを判定する(S106)。ここで、現時点の光源11aの発光レベルが高レベルである場合(S106:YES)、コントローラ201は、レーザ駆動回路202を制御して、光源11aの発光レベルを低レベルに切り替える(S107)。これにより、照明光L10の強度が弱められ、投射領域が薄く照明される。他方、現時点の光源11aの発光レベルが低レベルである場合(S106:NO)、コントローラ201は、光源11aの発光レベルをそのまま維持する。
その後、コントローラ201は、照明装置1の動作がオフ状態となっていなければ(S108:NO)、処理をステップS102に戻して、同様の処理を繰り返す。これにより、物体が検知されると高レベルの照明光L10が投射され、物体が検知されなければ低レベルの照明光L10が投射される。照明装置1の動作がオフ状態となると(S108:YES)、コントローラ201は、照明光L10の制御を終了する。
この制御によれば、投射領域に人等の物体が侵入したことが検知されると、より明るく照明光が照射されるため、周囲の人に注意を惹かせることができ、また、侵入者等に警告を発することができる。また、より明るく照明光が照射されることにより、周囲の人は、侵入者等の挙動をより細かく視認することができる。
なお、図5の制御では、物体が検知されていない場合に低レベルで照明光L10が投射されたが、物体が検知されていない場合には照明光L10が投射されないように制御されてもよい。
また、検出光L2をパルス駆動し、受光センサから得られる反射光との位相差を計測することで物体までの距離を算出し、得られた距離情報に基づいて照明光の制御を行ってもよい。
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
波長変換部材13上において、検出光L2(第2の光)の照射領域の少なくとも一部が励起光L1(第1の光)の照射領域に重なるため、投射光学系20によって投射された検出光L20(第2の光)の投射領域は、その少なくとも一部が、励起光L1(第1の光)と波長変換された光とが合成された照明光L10の投射領域に、必ず重なることになる。よって、検出光L20(第2の光)の反射光を受光する受光センサ33の検出結果に基づいて、照明光L10の投射領域の状態を適正に検出することができる。
また、図1に示したように、受光センサ33は、光源11a(第1の光源)、光源11b(第2の光源)、波長変換部材13および投射光学系20を保持する筐体2aに保持されている。これにより、これらの部材を一体として容易に取り扱うことができ、設置時の作業性を高めることができる。
また、検出光L2、L20(第2の光)は、非可視光に設定されており、より詳細には、赤外光に設定されている。これにより、検出光L2、L20が照明光L10に重なっても検出光L2、L20が視認されることがなく、照明光L10の色に影響を与えることがない。よって、所定の色で投射領域を照らすことができる。なお、受光センサ33の感度や人体への影響等を考慮すると、検出光L2、L20(第2の光)は赤外光であることが好ましい。
図4に示したように、照明装置1は、受光センサ33による検出光L20(第2の光)の反射光R20の検出結果に基づいて、光源11a(第1の光源)を制御するコントローラ201を備える。ここで、コントローラ201は、たとえば、図5に示したように、受光センサ33による検出光L20(第2の光)の反射光R20の検出結果に基づいて、光源11a(第1の光源)の発光レベルを制御する。これにより、上述のように、投射領域に対する物体の侵入を周囲の人に気付かせることができる。なお、コントローラ201による照明光L10の制御の方法は、これに限られるものではない。
図2(b)に示したように、波長変換部材13に対する検出光L2(第2の光)の照射領域は、励起光L1(第1の光)の照射領域を包含するように設定されている。これにより、照明光L10の投射領域を検出光L20の投射領域が包含することになるため、照明光L10の投射領域のどの位置に物体が存在したとしても、受光センサ33の出力に基づき物体を確実に検出することができる。したがって、照明光L10の照射領域全体に対する物体検知を正確に行うことができる。
なお、波長変換部材13に対する検出光L2の照射領域と励起光L1の照射領域の関係は、図2(c)〜(e)に示すよう設定されてもよい。これにより、図2(c)〜(e)を参照して説明した上述の効果が奏され得る。
<実施形態2>
実施形態2では、波長変換部材13上における励起光L1の照射領域において、励起光L1がX軸方向に高速で走査される。これにより、励起光L1の照射領域から照明光L10が発せられる。
図6は、実施形態2に係る投射ユニット3の構成を示す側面図である。
投射ユニット3は、発光装置10の構成として、光源11a、11b、コリメータレンズ12a、12bおよび波長変換部材13の他に、シリンドリカルレンズ14と、反射ミラー15a、15bと、光偏向器16と、反射ミラー17a、17bを備えている。
シリンドリカルレンズ14は、コリメータレンズ12aを透過した励起光L1をX軸方向のみに収束させる。シリンドリカルレンズ14は、入射面がX−Z平面に平行な方向のみに湾曲した曲面となっている。シリンドリカルレンズ14の入射面は球面または非球面であり、シリンドリカルレンズ14の出射面は、Z軸に垂直な平面である。シリンドリカルレンズ14の出射面も、X−Z平面に平行な方向に湾曲した曲面であってもよい。あるいは、シリンドリカルレンズ14の入射面が平面で出射面が曲面であってもよい。シリンドリカルレンズ14は、入射した平行光を1つの焦線に収束させる作用を有する。
シリンドリカルレンズ14の焦点距離は、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材13までの励起光L1の光路長に略一致する。したがって、励起光L1は、波長変換部材13の入射面において、Y軸方向に長い線状のビームに集光される。
反射ミラー15a、15bは、それぞれ、励起光L1および検出光L2を反射して、これら光の光路を折り曲げる。光偏向器16は、ミラーM1を備え、ミラーM1をZ軸に平行な回動軸について回動させることにより、反射ミラー15aで反射されたレーザ光の進行方向を変化させる。ミラーM1の入射面は平面である。ミラーM1は、たとえば、ガラス板に誘電体多層膜を形成した高反射率のミラーである。ミラーM1は、中立位置において、X−Y平面に垂直となるように配置される。
光偏向器16は、たとえば、MEMS(Micro Electro MechanicalSystems)ミラーによって構成される。光偏向器16が、電磁駆動アクチュエータでミラーを駆動する構成であってもよく、ガルバノミラーを用いる構成であってもよい。さらに、光偏向器16は、反射ミラーを使用しない光軸を傾ける手段、たとえば、音響光学偏向素子や、電気光学結晶等を用いる構成であってもよい。
反射ミラー17aは、光偏向器16のミラーM1で反射された励起光L1を、波長変換部材13の入射面に向かう方向に反射する。反射ミラー17bは、反射ミラー15bで反射された検出光L2を、波長変換部材13の入射面に向かう方向に反射する。励起光L1は、ミラーM1が中立位置にある場合に、波長変換部材13の入射面において、X軸方向の中央位置に照射される。また、検出光L2は、波長変換部材13の入射面において、X軸方向に広がるように照射される。このように励起光L1および検出光が波長変換部材13に入射するように、波長変換部材13より前段側の光学部材のレイアウトやレンズのパワー(屈折力)が調整されている。
なお、反射ミラー17a、17bの反射面は、平面でなくてもよく、波長変換部材13の入射面における励起光L1および検出光L2のビーム形状を所定のサイズおよび形状に整形可能な曲面であってもよい。たとえば、反射ミラー17a、17bの反射面が、Y−Z平面に平行な方向に湾曲したシリンドリカル面であってもよく、あるいは、球面または非球面であってもよい。また、反射ミラー17a、17bの反射面にフレネルレンズ等の光学作用を付与する構造を付加して、励起光L1および検出光L2のビーム形状を所定のサイズおよび形状に整形してもよい。
図7(a)、(b)は、それぞれ、波長変換部材13における励起光L1と検出光L2の照射状態および照射領域を模式的に示す図である。
図7(a)において、B1は、励起光L1のビームスポットであり、B2は、検出光L2のビームスポットである。図7(a)では、最もX軸正負側に走査されたときのビームスポットB1がそれぞれ示されている。励起光L1は、シリンドリカルレンズ14による収束作用により、波長変換部材13の入射面において、Y軸方向に長い線状のビームスポットB1に収束される。検出光L2は、シリンドリカルレンズ14による収束作用を受けないため、波長変換部材13の入射面に対し、X軸方向に広がったビームスポットB2で照射される。
励起光L1は、光偏向器16によって、幅W1の範囲でX軸方向に往復移動するように、波長変換部材13の入射面を高速で走査する。これにより、図7(b)に示すように、励起光L1の照射領域R1が形成される。照射領域R1は、励起光L1の走査範囲に対応する。検出光L2の照射領域R2は、図7(a)に示した検出光L2のビームスポットB2の範囲と同一である。ここでは、検出光L2の照射領域R2が、励起光L1の照射領域R1より広く、且つ、照射領域R1を内包するように設定されている。照射領域R2が照射領域R1と同一であってもよく、あるいは、照射領域R2が照射領域R1より小さくてもよい。
図8は、照明装置1の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。
実施形態2では、図4の回路構成に対して、光偏向器16を駆動するためのミラー駆動回路204が追加されている。ミラー駆動回路204は、コントローラ201からの制御により、光偏向器16を駆動する。これにより、図7(a)に示したように、励起光L1が波長変換部材13の入射面を高速で走査する。
この走査により、照射領域R1から照明光L10が発せられる。また、照射領域R2からは、検出光L2が拡散されて検出光L20が発せられる。こうして生じた照明光L10と検出光L20が投射光学系20に取り込まれて、各光の投射領域に投射される。
図9は、実施形態2に係る、投射領域における照明光L10の配光パターンと、受光センサ33における検出光L20の反射光R20の受光状態を模式的に示す図である。
ここでは、照明装置1が、車両の前照灯として用いられることが想定されている。そして、検出光L20の投射範囲内に対向車および人が検出された場合に、対向車および人の位置を消灯する制御例が示されている。θ10は、投射光学系20による照明光L10の投射範囲である。投射範囲θ10中、ハッチング領域が消灯された領域であり、その他の領域が点灯された領域である。
便宜上、図9の右側下段には、波長変換部材13の入射面における励起光L1の照射パターンと、検出光L2の照射領域R2が示されている。また、図9の右側上段には、照明光L10の投射領域A11と、検出光L20の投射領域A12が模式的に示されている。投射領域A11の照明光L10の投射パターンは、投射光学系20の作用により、波長変換部材13の入射面における励起光L1の照射パターンが水平方向および垂直方向に反転した光軸を対称中心とする点対称のパターンとなる。
また、本実施形態2では、受光ユニット4が、検出光L20の投射領域A12を撮像するカメラにより構成されている。受光センサ33には、投射領域A12全体の像が投影される。なお、受光ユニット4は、図1に示す筐体2aに保持されていなくてもよく、車両のフロントガラスの内側等に設置されてもよい。図9の下段左側には、受光センサ33に投影される像が示されている。領域A20は、検出光L20の投射領域A12全体が投影される範囲を示している。
コントローラ201は、信号処理回路203から入力される信号、すなわち撮像信号を処理して、領域A20から対向車C1および人H1の領域A21、A22を抽出する。そして、コントローラ201は、抽出した領域A21、A22に対応する波長変換部材13上の範囲を特定し、特定した範囲において、励起光L1の照射を停止させる。具体的には、コントローラ201は、励起光L1で波長変換部材13の入射面を走査する際に、領域A21、A22に対応する走査期間T12、T14において、光源11aを消灯させ、波長変換部材13に対する励起光L1の照射を停止させる。
すなわち、図9では、コントローラ201は、対向車C1および人H1に対応する走査期間T12、T14において光源11aを消灯させ、対向車C1および人H1以外の走査期間T11、T13、T15において光源11aを点灯させる。これにより、投射領域A11には、対向車C1および人H1が存在しない範囲において、投射光学系20からの照明光L10が照射される。
なお、本実施形態2では、図7(a)に示したとおり、波長変換部材13の入射面における励起光L1のビーム形状が走査方向(X軸方向)に圧縮された線状の形状であるため、投射領域A11における照明光L10の照射範囲と非照射範囲の分解能を高め得る。よって、投射領域A11における照明光L10の照射範囲と非照射範囲をクリアに区分することができる。
上記制御では、対向車C1および人H1が存在する範囲において照明光L10が消灯されたが、たとえば、動物等の物体が存在する範囲において照明光L10の強度を高める制御が行われてもよい。この場合、コントローラ201は、受光センサ33で取得された撮像画像を画像解析して、投射領域A12に存在する物体の種類を判別する。そして、コントローラ201は、物体が人または車両である場合は、その物体の範囲において照明光を消灯させ、物体が動物等の人または車両以外の物体である場合は、その物体の範囲において、照明光の強度を高める。これにより、運転者は、前方に動物等が存在することを、より的確に把握でき、より安全に車両の運転を行うことができる。
<実施形態2の効果>
実施形態2においても、波長変換部材13に対する検出光L2の照射領域R2が励起光L1の照射領域R1に重なっているため、投射光学系20によって投射された検出光L20の投射領域A12は、その少なくとも一部が、励起光L1と波長変換された光とが合成された照明光L10の投射領域A11に、必ず重なることになる。よって、検出光L20の反射光を受光する受光センサ33の検出結果に基づいて、照明光L10の投射領域の状態を適正に検出することができる。
また、コントローラ201は、受光センサ33による検出光L20(第2の光)の検出結果に基づいて、波長変換部材13に対する励起光L1(第1の光)の照射領域R1において、励起光L1(第1の光)の照射範囲と非照射範囲を設定する。これにより、たとえば、図9に示したように、投射領域A11中の対向車C1や人H1が存在する範囲に照明光L10が照射されることを防ぐ制御を行い得る。よって、対向車C1の運転者や人H1が照明光L10の照射により悪影響を受けることを防ぐことができる。
なお、本実施形態2では、光偏向器16により、励起光L1(第1の光)を、励起光L1(第1の光)の照射領域R1において走査させる構成となっている。これにより、波長変換部材13に対する励起光L1(第1の光)の照射領域R1において、励起光L1(第1の光)の照射と非照射を容易に切り替えることができる。
特に、図7(a)に示したように、波長変換部材13の入射面における励起光L1のビーム形状を走査方向(X軸方向)に圧縮された線状の形状とすることにより、励起光L1の照射範囲と非照射範囲を高い分解能でクリアに設定することができる。これにより、投射領域A11における照明光L10の照射範囲と非照射範囲の分解能を高めることができ、投射領域A11における照明光L10の照射範囲と非照射範囲をクリアに区分することができる。
<実施形態3>
本実施形態3では、励起光L1とともに検出光L2が波長変換部材13の入射面を走査する。
図10(a)、(b)は、それぞれ、実施形態3に係る投射ユニット3の構成を示す側面図および平面図である。
図6の構成に比べて、実施形態3では、反射ミラー15b、17bが省略され、光源11c、コリメータレンズ12c、反射プリズム18a、18bが追加されている。また、シリンドリカルレンズ14に対し、励起光L1とともに検出光L2が入射し、さらに、光源11cから出射された励起光L3もシリンドリカルレンズ14に入射する。実施形態3のその他の構成は、図6の構成と同様である。
光源11cは、光源11aと同様、青色波長帯のレーザ光(励起光L3)を出射する。光源11cは、たとえば、半導体レーザである。コリメータレンズ12cは、コリメータレンズ12aと同様、光源11cから出射された励起光L3を略平行光に収束させる。コリメータレンズ12cは、非球面レンズである。コリメータレンズ12cが球面レンズであってもよい。
反射プリズム18a、18bは、それぞれ、コリメータレンズ12a、12cを透過したレーザ光を、シリンドリカルレンズ14に向かう方向に反射する。反射プリズム18a、18bに代えて、板状の反射ミラーを用いてもよい。
図10(b)に示すように、光源11bは、出射光軸がZ軸に平行となるように配置され、光源11a、11cは、出射光軸がZ軸に垂直となるように配置されている。光源11a、11cは、正対向するように配置されている。光源11a〜11cは、出射光軸がX−Z平面に平行な1つの平面に含まれるように配置されている。反射プリズム18a、18bは、光源11a、11cが向き合う方向、すなわち、X軸方向に隙間が生じるように配置されている。
光源11bから出射された検出光L2は、コリメータレンズ12bにより略平行光に変換された後、反射プリズム18a、18bの間の隙間を通って、シリンドリカルレンズ14へと向かう。対向配置された光源11a、11bの光軸は、反射プリズム18a、18bによって、X−Z平面に平行な方向に90度曲げられる。これにより、光源11a〜11cの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、互いに平行となっている。
光源11bから出射された検出光L2は、シリンドリカルレンズ14の入射面の中央位置に入射する。光源11a、11cから出射された励起光L1、L3は、それぞれ、シリンドリカルレンズ14の入射面の中央位置からX軸正負の方向に所定距離だけずれた位置に入射する。
シリンドリカルレンズ14は、上記実施形態2と同様、入射した光をX軸方向のみに収束させる作用を有する。したがって、光源11a、11cから出射された励起光L1、L3と、光源11bから出射された検出光L2は、シリンドリカルレンズ14によって、波長変換部材13の入射面上において励起光L1、L3および検出光L2の走査方向に収束される。また、シリンドリカルレンズ14の収束作用により、励起光L1、L3および検出光L2は、波長変換部材13の入射面において、略重なる。
本実施形態3では、励起光L1、L3および検出光L2が光偏向器16のミラーM1に入射する。したがって、ミラーM1が駆動されると、励起光L1、L3および検出光L2が波長変換部材13の入射面をX軸方向に走査する。
図11(a)、(b)は、それぞれ、波長変換部材13における励起光L1、L3と検出光L2の照射状態および照射領域を模式的に示す図である。
図11(a)において、B1、B3は、励起光L1のビームスポットであり、B2は、検出光L2のビームスポットである。図11(a)では、最もX軸正負側に走査されたときのビームスポットB1、B2、B3がそれぞれ示されている。本実施形態3では、励起光L1、L3と検出光L2が、ともにシリンドリカルレンズ14による収束作用を受ける。このため、励起光L1、L3および検出光L2は、波長変換部材13の入射面において、何れも、Y軸方向に長い線状のビームスポットB1、B3、B2に収束される。
ここでは、励起光L1、L3のビームスポットB1、B3が完全に重なっている。また、検出光L2のビームスポットB2は、シリンドリカルレンズ14における色収差によって、ビームスポットB1、B3よりも僅かに広がっている。すなわち、ここでは、励起光L1、L3が波長変換部材13の入射面において焦線となるように、光学系が調整されている。なお、ビームスポットB1、B3とB2の大小関係、および各スポットの位置関係は用途に合わせて自由に設定可能であり、色収差のみならず光学系の配置やレンズのパワー(屈折力)差を利用して最適化してよい。
本実施形態3では、励起光L1、L3とともに検出光L2が、光偏向器16によって、幅W1の範囲でX軸方向に往復移動するように、波長変換部材13の入射面を高速で走査する。これにより、図11(b)に示すように、励起光L1、L3の照射領域R1、R3と、検出光L2の照射領域R2が形成される。照射領域R1、R3、R2は、それぞれ、励起光L1、L3および検出光L2の走査範囲に対応する。ここでは、検出光L2の照射領域R2が、励起光L1、L3の照射領域R1、R3よりやや広く、且つ、照射領域R1を内包するように設定される。励起光L1、L3の照射領域R1、R3は同一である。
本実施形態3では、照射領域R1、R3から照明光L10が生じ、照射領域R2から検出光L20が生じる。こうして生じた照明光L10および検出光L20が、投射光学系20に取り込まれて、各光の投射領域に投射される。照明光L10および検出光L20の投射領域は、図9の投射領域A11、A12と略同様である。したがって、本実施形態3においても、上記実施形態2と同様の照明光L10の制御を行うことができる。
<実施形態3の効果>
実施形態3においても、実施形態2と同様の効果が奏され得る。
加えて、実施形態3では、検出光L2が励起光L1と同様に小さく絞られているため、投射領域A12に投射される検出光L20の光密度が、上記実施形態2における検出光L20の光密度に比べて顕著に高まる。このため、受光センサ33によって受光される検出光L20の反射光R20の光密度も高まる。よって、受光センサ33において、投射領域A12からの検出光L20の反射光R20をより精度良く検出することができる。したがって、実施形態3の構成によれば、検出光L2の投射領域A12に存在する物体を、より精度良く検出でき、これにより、照明光L10の制御を、より精度良く行うことができる。
また、実施形態3の構成では、励起光L3を出力する光源11cが追加されているため、波長変換部材13に対する励起光の照射光量を高めることができる。よって、投射領域A11に投射される照明光L10の光量を高めることができる。また、光源11a、11cの何れか一方を消灯させることにより、波長変換部材13に照射される励起光の光量を段階的に切り替えることもできる。
なお、図10(a)、(b)の構成では、検出光L2が反射プリズム18a、18bの間の隙間を通るように光源11bが配置されたが、各光源の配置は、これに限られるものではない。たとえば、光源11cおよびコリメータレンズ12cの配置位置と光源11bおよびコリメータレンズ12bの配置位置が入れ替えられてもよい。また、光源11cおよびコリメータレンズ12cが省略され、光源11aに対向する位置に、光源11bおよびコリメータレンズ12bが配置されてもよい。
<実施形態3の変更例>
なお、実施形態3においては、たとえば、図12(a)に示すように、波長変換部材13のY軸負側に、波長変換部材13の入射面において正反射した励起光L1、L3および検出光L2の両方または一方を受光する受光部19が設けられてもよい。この場合、受光部19は、X軸方向に長い受光面を有する光検出器19aと、光検出器19aの前側に配置されたフィルタ19bを備える。光検出器19aは、受光位置を検出可能な構成である。光検出器19aは、たとえば、PSDによって構成される。フィルタ19bは、励起光L1、L3および検出光L2のうち、光検出器19aで受光すべき波長帯の光を透過し、その他の波長帯の光を遮断するバンドパスフィルタである。
図12(b)は、受光部19の構成例を模式的に示す図である。ここでは、検出光L2が光検出器19aに導かれる。
光検出器19aの受光面19a1に重なるようにして、フィルタ19bが配置されている。フィルタ19bは、検出光L2の波長帯の光を透過し、その他の波長帯の光を遮断する。光偏向器16が駆動されると、波長変換部材13の入射面において正反射した励起光L1、L3および検出光L2が、図12(b)に示すように、フィルタ19bの入射面をX軸方向に走査する。これにより、フィルタ19bを透過した検出光L2が光検出器19aの受光面19a1をX軸方向に走査する。
コントローラ201は、照明光L10の投射動作中に、光検出器19aからの出力に基づいて、受光面19a1上における検出光L2の走査範囲を監視する。そして、コントローラ201は、この走査範囲が、予め規定された走査範囲から外れた場合に、光偏向器16の動作に異常が生じたと判定する。たとえば、コントローラ201は、受光面19a1上における検出光L2の走査範囲が、予め規定された走査範囲よりも狭い場合や、予め規定された走査範囲に対してX軸方向にシフトした場合に、光偏向器16の動作に異常が生じたと判定する。この判定に応じて、コントローラ201は、光源11a、11cを停止させて、照明光L10の投射動作を停止させる。
なお、コントローラ201は、光検出器19aからの出力に基づいて、受光面19a1上における検出光L2の走査範囲が、予め規定された走査範囲に整合するように、光偏向器16を制御してもよい。この場合、この制御によっても、受光面19a1上における検出光L2の走査範囲が、予め規定された走査範囲から外れた場合に、コントローラ201は、光偏向器16の動作に異常が生じたと判定する。
また、コントローラ201は、照明光L10の投射動作時に光検出器19aから検出信号が出力されない場合、すなわち、検出光L2が光検出器19aに受光されていない場合に、検出光L2を出射する光源11bに異常が生じたと判定する。この場合も、コントローラ201は、この判定に応じて、光源11a、11cを停止させて、照明光L10の投射動作を停止させる。
なお、光検出器19aがイメージセンサである場合は、図12(c)に示すように、フィルタ19bを、励起光L1、L3を透過する領域19b1と、検出光L2を透過する領域19b2とに区分してもよい。これにより、光検出器19aの領域19b1に対応する画素領域の信号によって励起光L1、L3の走査状態を監視でき、光検出器19aの領域19b2に対応する画素領域の信号によって検出光L2の走査状態を監視できる。この場合、光偏向器16の異常は、励起光L1、L3の走査状態および検出光L2の走査状態の何れか一方によって判定され得る。また、領域19b1に対応する画素領域において励起光L1、L3が受光されなかったことにより、光源11a、11cの異常が判定され、領域19b2に対応する画素領域において検出光L2が受光されなかったことにより、光源11bの異常が判定される。
以上のように、本変更例によれば、受光部19を設けることにより、光偏向器16の異常と光源11a、11b、11cの異常を検出できる。よって、照明光L10の投射動作をより適切に制御することができる。
<実施形態4>
実施形態4では、波長変換部材13に対し、励起光と検出光が個別に走査される。
図13は、実施形態4に係る投射ユニット3の構成を示す側面図である。
図6の構成に比べて、実施形態4では、検出光L2を走査させるための光偏向器16bが追加されている。他方の光偏向器16aは、励起光L1を走査させるためのものであり、図6の光偏向器16と同様である。実施形態4では、励起光L1とともに検出光L2がシリンドリカルレンズ14に入射するように、シリンドリカルレンズ14のY軸方向の幅が広げられている。なお、励起光L1と検出光L2に対して個別にシリンドリカルレンズが設けられてもよい。
励起光L1と検出光L2は、それぞれ、反射ミラー15a、15bで反射されて、光偏向器16a、16bのミラーM1a、M1bに向かう。光偏向器16a、16bは、それぞれ、ミラーM1a、M1bをZ軸に平行な回動軸周りに回動させる。これにより、波長変換部材13の入射面上を励起光L1と検出光L2が走査する。ミラーM1a、M1bが中立位置にある場合、励起光L1と検出光L2が、波長変換部材13の入射面の略中央位置において重なる。
図14(a)は、波長変換部材13上における励起光L1および検出光L2の照射領域R1、R2を模式的に示す平面図である。図14(a)において、実線の矢印は励起光L1の走査範囲を示し、破線の矢印は検出光L2の走査範囲を示している。
本実施形態4では、光偏向器16a、16bによって、励起光L1と検出光L2が個別に走査される。ここで、波長変換部材13の入射面において、励起光L1の走査範囲と検出光L2の走査範囲が一致している場合、図14(a)に示すように、励起光L1の照射領域R1と検出光L2の照射領域R2は、略重なる。この場合、励起光L1により生じる照明光L10の投射領域と、検出光L20の投射領域は、それぞれ、図9に示す投射領域A11、A12に略同じである。この投射形態によれば、上記のように、照明光L10の投射領域A11の全範囲に対し、正確に、物体検出を行い得る。
これに対し、本実施形態4では、光偏向器16a、16bによって励起光L1と検出光L2が個別に走査されるため、図14(b)〜(d)に示す走査形態も可能である。
図14(b)では、図14(a)の走査形態に比べて、励起光L1の走査範囲と検出光L2の走査範囲がそれぞれ狭められている。また、検出光L2の走査範囲が励起光L1の走査範囲よりもやや広くなっている。この場合、励起光L1の照射領域R1と検出光L2の照射領域R2は、図14(a)の場合よりも狭くなる。したがって、励起光L1により生じる照明光L10の投射領域と、検出光L20の投射領域は、それぞれ、図9に示した投射領域A11、A12よりも水平方向に狭くなる。この投射形態は、たとえば、車両がハイビームで高速走行する場合等、遠方の狭い範囲に照明光L10を投射する場合に好適である。この投射形態では、照明光L10の投射領域よりも水平方向にやや広い範囲において、検出光L20が投射されるため、照明光L10の投射領域とその両側に存在する物体を検出できる。
図14(c)では、図14(a)の走査形態に比べて、検出光L2の走査範囲がX軸正方向に広げられている。この場合、検出光L2の照射領域R2は、図14(a)の場合よりもX軸正側に広くなる。したがって、検出光L20の投射領域は、図9に示した投射領域A12よりも水平方向左側に広くなる。これにより、物体検出の範囲を、水平方向左側に広げることができる。したがって、この投射形態は、車両が左折する場合等、車両の走行方向左側の検出範囲を広げる場合に好適である。
図14(d)では、図14(a)の走査形態に比べて、検出光L2の走査範囲がX軸負方向に広げられている。この場合、検出光L2の照射領域R2は、図14(a)の場合よりもX軸負側に広くなる。したがって、検出光L20の投射領域は、図9に示した投射領域A12よりも水平方向右側に広くなる。これにより、物体検出の範囲を、水平方向右側に広げることができる。したがって、この投射形態は、車両が右折する場合等、車両の走行方向右側の検出範囲を広げる場合に好適である。
コントローラ201は、車両本体側から入力される走行状態情報に基づいて、図14(a)〜(d)に示した走査形態の何れか1つを選択すればよい。たとえば、コントローラ201は、通常走行時には、図14(a)の走査形態に基づいて光偏向器16a、16bを制御し、高速走行時には、図14(b)の走査形態に基づいて光偏向器16a、16bを制御する。また、コントローラ201は、左折時には、図14(c)の走査形態に基づいて光偏向器16a、16bを制御し、右折時には、図14(d)の走査形態に基づいて光偏向器16a、16bを制御する。これにより、各走行状態においてより好ましい投射形態で、照明光L10と検出光L20を投射することができる。
なお、上記実施形態1〜4に示したように、波長変換部材13の入射面において励起光L1と検出光L2を重ねることにより、1つの投射光学系20を共用しながら、照明光L10と検出光L20を、互いに重なるように投射することができる。また、波長変換部材13の入射面における励起光L1と検出光L2の重なり具合を調整することにより、投射領域における照明光L10と検出光L20の重なり具合を調整できる。このように、波長変換部材13の入射面において励起光L1と検出光L2を重ねる構成を用いれば、簡素な構成により、所望の重なり具合で円滑に、照明光L10と検出光L20を重ねることができ、設計の自由度を高めることができる。
<その他の変更例>
上記実施形態2は、波長変換部材13の入射面における励起光L1の走査ラインが1つであったが、励起光L1の走査ラインがY軸方向に複数並ぶように設定されてもよい。この場合、光偏向器16は、ミラーM1をZ軸に平行な回動軸とX軸方向に平行な回動軸の両方について回動させる構成とされる。あるいは、図6の構成において、反射ミラー17aをY−Z平面に平行な方向に回動させるアクチュエータが追加されてもよい。また、励起光L1のビームスポットB1は、上記実施形態2の場合に比べてY軸方向の幅が狭められる。このように複数の走査ラインを設けると、走査ラインごとに、励起光L1の消灯制御を行うことができる。これにより、たとえば、人H1の顔の位置のみにおいて照明光L10を消灯させることが可能となる。
同様に、上記実施形態3、4においても、波長変換部材13の入射面に励起光L1の走査ラインが複数設定されてもよい。この場合、検出光L2の走査ラインも複数設定されればよい。
また、投射ユニット3(発光装置10)に配置される光源の数は、上記実施形態1〜4に示した数に限られるものではない。たとえば、検出光L2を出射する光源が複数配置されてもよく、励起光L1を出射する光源が3つ以上配置されてもよい。また、光源としてLED(light emitting diode)を用いてもよい。
また、波長変換部材13の蛍光体層103に含まれる蛍光体粒子103aの種類は、必ずしも1種類でなくてもよく、たとえば、光源11a、11cからのレーザ光によって互いに異なる波長の蛍光を生じる複数種類の蛍光体粒子103aが蛍光体層103に含まれてもよい。この場合、各種類の蛍光体粒子103aから生じた蛍光の拡散光と、これら蛍光体粒子103aによって波長変換されなかったレーザ光の拡散光とによって、所定の色の光が生成される。波長変換部材13は、反射型に限らず、透過型であってもよい。
また、上記実施形態2〜4では、励起光L1の走査方向を水平方向としたが、必要とされる照射条件によっては鉛直方向を励起光L1の走査方向としてもよい。また、本発明に係る照明装置および発光装置は、防犯灯や車両の前照灯の他にも、種々の装置に適用され得る。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。