JP6977985B2 - 内燃機関用ピストン - Google Patents
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Description
内燃機関用ピストン1は、図1に示すように、上側の頂部11と、下側のスカート部12とで構成されている。頂部11の表面を頂面2といい、頂部11の裏面を内頂面3という。頂面2及び内頂面3を有する頂部11の構造や寸法等は、図1の例に限定されず、他の構造形態や寸法等であってもよいし、ピストン全体の形態や大きさも図1の例に限定されず、他の形態や大きさであってもよい。なお、頂部11の外周面には、複数のピストンリング溝が設けられている。ピストンリング溝としては、頂部11の側からスカート部12の側に向かって、例えば第1リング溝11a、第2リング溝11b、及びオイルリング溝11cが形成され、それぞれに応じたピストンリングが装着される。符号13はピン穴である。
ピストンの構成材料は特に限定されないが、例えば代表的なアルミニウム合金(例えばA4032やAC8A等)等のピストン用アルミニウム合金材料を好ましく挙げることができる。アルミニウム合金の種類によって、熱伝導性が相違するが、その場合は遮熱性溶射膜4の種類や厚さ、放熱被膜5の種類や厚さを任意に設定して、遮熱性と放熱性を調整することができる。ピストン1は、こうしたピストン用アルミニウム合金を鋳造、鍛造、熱処理、機械加工等する通常の方法によって製造される。なお、機械加工は従来公知の一般的な方法で加工され、例えば、ピストンピン用の穴明け加工、ピストン面削加工、オイルリング溝加工、その他の加工を施し、ピストン形状に仕上げられる。
遮熱性溶射膜4は、図1に示すように、頂面2に設けられている。頂面2は、ピストン1の頂部11の表面であり、図1及び図2に示すように、内燃機関20では、燃焼室21側に位置する面である。こうした頂面2に設けられた遮熱性溶射膜4は、遮熱性(断熱性ともいう。)を有するので、その遮熱性により、燃焼熱がピストン1を伝わるのを抑制して燃焼室温度の下がりすぎを防ぐことができる。また、その遮熱性によりピストン1の温度が上がりにくくなって、シリンダボアの冷却損失を抑制することができる。その結果、燃焼熱を有効利用して燃焼効率を上げ、燃費向上を図ることができる。
ボンドコート膜6は、任意に設けられる溶射膜であり、図4に示すように、遮熱性溶射膜4とピストン頂面2との間の密着性を高めるために設けられていてもよい。遮熱性溶射膜4が酸化ジルコニウム系溶射膜である場合は、例えばCoNiCrAlY系の溶射膜を予めボンドコート膜6として設けた後に酸化ジルコニウム系溶射膜を設けることが好ましい。このCoNiCrAlY系の溶射膜は、例えば、質量%で、Cr:29.7%,Ni:10.6%,W:7.07%,Si:0.90%,Mn:0.51%,Fe:0.25%,C:0.25%,B:0.012%,S:0.003%,P:0.002%,Co:Bal.、の混合粉末を溶射してなるものである。また、遮熱性溶射膜4が酸化アルミニウム系溶射膜である場合は、例えば80質量%Ni−20質量%Cr系の溶射膜を予めボンドコート膜6として設けた後に酸化アルミニウム系溶射膜を設けることが好ましい。この80質量%Ni−20質量%Cr系の溶射膜は、具体的には、Ni粉末(80質量%)とCr粉末(20質量%)との混合粉末、又は80質量%Ni−20質量%Crの合金粉末を溶射してなるものである。
放熱被膜5は、図1に示すように、内頂面3に設けられている。内頂面3は、ピストン1の頂部11の頂面2に対向位置にある裏面であって、図1及び図2に示すように、ピストン内部の開いた空洞部分の頂面側に位置する面(内頂面3)である。内頂面3に設けられた放熱被膜5は、放熱性を有しており、その放熱性により、ピストン1に伝わった熱を速やかに逃がすことができる。その結果、燃焼室内の温度を一定程度に迅速に下げることができるので、吸気量の減少による燃焼効率の低下を抑制することができる。
ピストン用アルミニウム合金材料(AC8A相当)を鋳造、熱処理、機械加工を順次行って製造されたピストン1を準備した。なお、機械加工は従来公知の一般的な方法で加工され、例えば、ピストンピン用の穴明け加工、ピストン面削加工、オイルリング溝加工、その他の加工を施し、ピストン形状に仕上げた。ピストン1の頂面2に、CoNiCrAlY合金粉末をプラズマ溶射装置にて溶射して厚さ100μmのボンドコート膜6を設けた。そのボンドコート膜6の上に、酸化ジルコニウム系粉末(92質量%ZrO2−8質量%Y2O3合金粉末)をプラズマ溶射装置にて溶射して厚さ300μmの遮熱性溶射膜4を設けた。また、ピストン1の内頂面3には、オキツモ株式会社のクールテックCT−600を塗布乾燥させて厚さ50μmの放熱被膜5を成膜した。こうして実施例1のピストン1を作製した。
ボンドコート膜6と遮熱性溶射膜4を変更した。ボンドコート膜6を、80質量%Ni−20質量%Crの合金粉末をプラズマ溶射装置にて溶射した厚さ100μmのボンドコート膜6とし、遮熱性溶射膜4を、酸化アルミニウム粉末をプラズマ溶射装置にて溶射して厚さ300μmの遮熱性溶射膜4とした。それ以外は実施例1と同じにして実施例2のピストン1を作製した。なお、ピストン1に設けられたボンドコート膜6の気孔率は5%であり、遮熱性溶射膜4の気孔率も5%であった。
ボンドコート膜6を設けず、遮熱性溶射膜4として、SUS316粉末をプラズマ溶射装置にて溶射した厚さ300μmの遮熱性溶射膜4とした。それ以外は実施例1と同じにして実施例3のピストン1を作製した。なお、ピストン1に設けられた遮熱性溶射膜4の気孔率も5%であった。
ピストン1の効果(遮熱効果と放熱効果)を確認するため、エンジンの燃焼を簡易化した図6に示す方法で実験を行った。図6に示す形態の円盤状の試料は直径78mmで厚さ15mmであり、熱源がONのときとOFFのときの熱源側のT1とその反対側のT2の温度差を測定した。熱源がONのときにT1とT2の温度差が大きいほど遮熱効果があるといえ、熱源がOFFのときに熱源側の温度T1が速く冷めるほど放熱効果があるといえる。具体的には、以下の方法で行った。
A4032相当のアルミニウム合金を直径78mmで厚さ15mmの円盤状に加工して基材とした。試料1は、その基材の一方の面に実施例1と同じボンドコート膜6(CoNiCrAlY合金溶射膜、厚さ100μm)と遮熱性溶射膜4(92質量%ZrO2−8質量%Y2O3合金溶射膜、厚さ300μm)とを順に積層し、他方の面に実施例1と同じ放熱被膜5(クールテックCT−600の塗膜、厚さ50μm)設けた。試料2は、その基材の一方の面に実施例2と同じボンドコート膜6(80質量%Ni−20質量%Crの合金溶射膜、厚さ100μm)と遮熱性溶射膜4(酸化アルミニウム溶射膜、厚さ300μm)とを順に積層し、他方の面に実施例2と同じ放熱被膜5(クールテックCT−600の塗膜、厚さ50μm)設けた。
本試験は、上記各試料30においてボンドコート膜6と遮熱性溶射膜4とが積層されている側(トップコート側ともいう。)がホットプレート32に当接するように下にして設置し、ホットプレート32を室温から500℃(実機の温度より100℃高温)まで温度を上昇させつつ加熱した。図5は試験時の温度プロファイルである。1800秒後に加熱を終了し、放熱を行った。遮熱性能は、ΔTrise、ΔTconstの2種類で評価した。ΔTriseは加熱開始から600秒後、まだ温度が上昇中のトップコート側の温度(T1)と基材側の温度(T2)の温度差である。ΔTconstは1800秒後、温度が平衡状態となったときの温度差である。加熱を終了してから200秒後(実験開始から2000秒後)にトップコート側の温度T1が低下した温度をΔTtopとし、放熱性能として評価した。
2 頂面
3 内頂面
4 遮熱性溶射膜
5 放熱被膜
6 ボンドコート膜
11 頂部
11a 第1リング溝
11b 第2リング溝
11c オイルリング溝
12 スカート部
13 ピン穴
20 内燃機関
21 燃焼室
22 シリンダヘッド
23 吸気バルブ
24 排気バルブ
25 点火プラグ
26 シリンダブロック
27 ボア面
28 クランクシャフト
29 コンロッド
30 試料
31 遮熱性溶射膜又は放熱被膜
32 ホットプレート
33 加熱制御装置
T1 トップコート側の温度測定点
T2 基材側の温度測定点
Claims (5)
- 頂面に形成された遮熱性溶射膜と、内頂面に形成された放熱被膜とを有し、前記遮熱性溶射膜が、遮熱性のあるステンレス系溶射膜であり、前記放熱被膜が、輻射性樹脂組成物の塗膜である、ことを特徴とする内燃機関用ピストン。
- 前記遮熱性溶射膜は、前記頂面の全面又は一部分に設けられている、請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
- 前記ステンレス系溶射膜が、SUS316粉末をプラズマ照射してなる溶射膜である、請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
- 前記遮熱性溶射膜と前記ピストン頂面との間には、密着性を高めるボンドコート膜が設けられていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関用ピストン。
- 前記放熱被膜は、前記内頂面を含むピストン内周面に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関用ピストン。
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