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JP6977702B2 - 方向性電磁鋼板の鉄損改善方法およびその装置 - Google Patents

方向性電磁鋼板の鉄損改善方法およびその装置 Download PDF

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JP6977702B2 JP2018228488A JP2018228488A JP6977702B2 JP 6977702 B2 JP6977702 B2 JP 6977702B2 JP 2018228488 A JP2018228488 A JP 2018228488A JP 2018228488 A JP2018228488 A JP 2018228488A JP 6977702 B2 JP6977702 B2 JP 6977702B2
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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の表面に線状溝を形成して鉄損を改善する方法に関するものであり、特に、エッチングを利用して方向性電磁鋼板の表面に線状溝を形成する方法であって、線状溝の形成に伴うヒステリシス損の劣化を抑制しつつ、均一な形状の線状溝を形成して鉄損を改善することのできる鉄損改善方法に関するものである。また、本発明は、上記方法の実施に適した鉄損改善装置に関するものである。
磁気特性に優れる方向性電磁鋼板は、主に変圧器の鉄心用材料として用いられており、変圧器のエネルギー使用効率向上のため、その低鉄損化が求められている。方向性電磁鋼板を低鉄損化する手法としては、鋼板中の二次再結晶粒をGoss方位に高度に揃える方法(先鋭化)や、被膜張力を増大させる方法および鋼板を薄肉化する方法などに加えて、鋼板の表面加工による方法が知られている。
鋼板の表面加工による鉄損低減技術は、鋼板の表面に対して物理的な手法で線状歪などの不均一な歪を導入し、磁区の幅を細分化して鉄損を低減するというものであり、その一つに、仕上焼鈍済みの鋼板表面に歯型ロールを用いて溝を形成する方法がある。この方法によれば、溝を形成することによって鋼板表面の磁区を細分化し、鋼板の鉄損を低減することができる。また、溝形成後に歪取り焼鈍等の熱処理を行った場合でも、導入した溝が消失しないため、鉄損低減効果が保持されることが分かっている。しかし、この方法には、歯型ロールの摩耗が激しいために溝形状が不均一になりやすいことに加え、歯型ロールの摩耗を抑制するためにロールを高温化したり潤滑剤を塗布したりする必要があり、製造コストが増大するという問題があった。
そこで、歯型ロールのような機械的手段によらず、エッチングによって鋼板の表面に線状溝を形成する方法が開発されている。具体的には、フォルステライト被膜が形成される前の鋼板表面にレジストインキを所定のパターンで塗布してレジストを形成した後、前記レジストが形成されていない部分を、電解エッチング等の方法を用いて選択的にエッチングすることによって、鋼板表面に溝を形成するものである。この方法では、装置の機械的な摩耗がほとんど無いため、歯型ロールを用いる方法に比べてメンテナンスが容易である。
ところで、このような線状溝が形成された鋼板の磁気特性は、線状溝の形状に大きく影響されることが知られている。具体的な形状の要素としては、溝の深さや幅が挙げられ、狭くかつ深い溝を形成することが鉄損改善には好適である。それ以外にも、溝断面における側面部と底面部の間の曲率といった、詳細な形状が鉄損に影響することが分かっている。そのため、上述したエッチングによる方法で線状溝を形成する際に、エッチングマスクとして機能するレジストの形状にばらつきがあると、溝形状にもばらつきが生じ、その結果、鋼板の磁気特性がばらついてしまう。そこで、エッチングによって線状溝を形成する方法において、レジストの塗布精度を向上させて、鋼板の磁気特性のばらつきを抑制する技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、レジストを塗布する際の、レジストインキと鋼板の温度を一定に制御することによって、均一な形状の線状溝を形成する技術が提案されている。温度を一定とすることによってレジストインキの粘性の変動が抑制され、その結果、溝形状のばらつきが抑制される。
特許文献2では、レジストの塗布をグラビアオフセット印刷で行う際に、使用するレジストインキの粘度や、グラビアロールのメッシュパターン等の条件を特定の範囲に制御する技術が提案されている。これにより、グラビアロールの表面に形成されたグラビアセルに起因する網点の発生を抑制し、レジストパターンの精度を向上させることができる。
特許文献1および2のような方法を採用すれば、ある程度レジストパターンの精度を向上させることが可能であるが、未だ改善の余地は残っていた。
ここで、特許文献3には、グラビアオフセット印刷における問題を回避するために、レーザを用いてレジストパターンを形成することが記載されている。すなわち、鋼板表面全体に均一にレジストを塗布した後に、エッチング位置に相当する、塗布が不要な部分にレーザを照射することによってレジストを瞬時に蒸発あるいは昇華させ、照射された部分のレジストを選択的に除去するのである。このような方法であれば、レジストが除去される部分の形状が、グラビアセルのばらつき等の影響を受けることがないため、均一な形状の線状溝形成が可能になる。
特開平11−279646号公報 特開平07−032575号公報 WO2017−017908号公報
特許文献3で提案されている方法を用いれば、レジストの形状精度が大幅に改善する。さらに、この方法において、ビーム径が小さいレーザ装置を用いることにより、狭くかつ深い溝の形成が可能になる。かように、レジストの形状精度の改善および、狭くかつ深い溝の形成が実現することによって、大幅に鉄損特性を改善することが可能である。
この技術において、生産性を高めるためのポイントは、ビーム走査速度をできる限り高めることである。しかしながら、走査速度を高めた場合、レジストの剥離に必要なエネルギーを確保するには、大出力のレーザ照射装置が必要になる。これらレーザの大出力化とビームの小径化とは相反するパラメータであり、その両立は非常に難しい。このような観点からの優位性が比較的に高いのは、ビーム径が小さくエネルギー密度の高い、シングルモードファイバーレーザである。
しかし、発明者らの検討の結果、特許文献3に記載の技術において、比較的優位なシングルモードファイバーレーザを適用したとしても、溝幅について改善の余地が残ることが分かった。すなわち、レーザによって剥離したレジスト幅は非常に狭くなっているのに対して、電解エッチング後の溝幅は期待するほど狭くならず、鉄損改善効果を最大限にまで引き出すには到っていなかった。すなわち、優位性の高いシングルモードファイバーレーザですら、期待通りの結果は得られなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザを用いて形成したレジストパターンに基づいて線状溝を形成する際に、最大限の鉄損改善効果を得ることができる手法について提案することを目的とする。また、本発明は前記方法の実施に適した装置について提供することを目的とする。
本発明者らは、レーザによって剥離したレジスト幅は非常に狭くなっているのに対して、電解エッチング後の溝幅は所期したほど狭くなっていない点に関して、その原因および対策を調査した結果、以下(a)から(f)の知見を得るに到った。
(a)レジストが剥離する領域は、レーザビーム強度がある閾値以上である領域に限定される。
(b)レジストが剥離されていない領域においても、レーザビームによってダメージを受けている部分があり、この部分では非照射部に比べて膜厚が減少している(レジスト膜厚減少部有り)。この膜厚減少量はエネルギー密度に比例している。
(c)レジスト膜厚減少部では、耐レジスト性が劣化し、電解エッチング時に絶縁破壊が発生して溝が形成される(溝が拡がる)。このレジスト膜厚の減少が、期待するほどの狭幅の溝が得られなかった原因であった。
(d)膜厚が減少しているエリアのレーザビームをスリットにてカットすると、レジスト剥離部とレジスト部の界面が急峻になり、電解エッチング時に絶縁破壊するようなレジスト膜厚減少部が少なくなり、意図しない溝形成(溝の拡がり)の防止が可能になる。
(e)さらに、スリット形状は、レーザビーム入側のスリット幅よりも、レーザビーム出側のスリット幅の方を大きくすることで、スリット通過時のスリット側面でのレーザ光の乱反射によるビーム品質の劣化を抑制することが可能になる。
(f)鋼板表面のビーム幅(鋼板進行方向における長さ)が0.08mm以下になると、特に優れた磁気特性が得られる。一方で、0.01mmよりも小さくなると磁気特性は劣化傾向になる。
以上の知見に基づき、レーザ照射によるレジスト除去の条件について詳細な検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.方向性電磁鋼板の表面にレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記方向性電磁鋼板の圧延方向を横切る向きにレーザを照射して前記レーザの照射部分のレジストを除去する処理を、前記方向性電磁鋼板の圧延方向に間隔を置いて周期的に行うレーザ照射工程と、
前記方向性電磁鋼板のレジスト除去部分をエッチングして線状溝を形成するエッチング工程と、を有し、
前記レーザ照射工程におけるレーザの照射は、レーザ光を部分的にカットするスリット板のスリットを介して行う方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
2.前記スリットは、前記スリット板における、レーザビーム入側の開口幅よりもレーザビーム出側の開口幅の方が大きい前記1に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
3.前記レーザ照射工程におけるレーザは、シングルモードファイバーレーザである前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
4.前記レーザ照射工程において、前記方向性電磁鋼板の表面における、レーザの走査方向と直交する向きにおける鋼板表面の最大ビーム幅が0.01mm以上0.08mm以下である前記1から3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
5.方向性電磁鋼板の通板ラインに沿って、前記方向性電磁鋼板の表面にレジストを形成するレジスト形成部、前記レジストが形成された方向性電磁鋼板の表面にレーザを照射して前記レジストを部分的に除去するするレーザ照射部および、前記方向性電磁鋼板のレジスト除去部分をエッチングするエッチング部を、前記方向性電磁鋼板の通板方向へ順に配置し、前記レーザ照射部は、レーザの集光部と前記方向性電磁鋼板の表面との間に、レーザ光を部分的にカットするスリット板を備える方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
6.前記スリット板は、レーザビーム入側の開口幅よりもレーザビーム出側の開口幅の方が大きいスリットを有する前記5に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
7.前記レーザ照射部は、シングルモードファイバーレーザのレーザ照射装置を有する前記5または6に記載の法方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
8.前記レーザ照射部は、前記方向性電磁鋼板の表面における、レーザの走査方向と直交する向きの最大ビーム幅が0.01mm以上0.08mm以下となる、レーザ照射装置を1〜3台有する前記5から7のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
9.方向性電磁鋼用素材に熱間圧延、次いで冷間圧延を施して方向性電磁鋼板を製造するに当たり、前記冷間圧延後の段階において、鋼板の表面に、前記1から4のいずれかに記載の鉄損改善方法を用いて線状溝を形成する方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、エッチングを利用して方向性電磁鋼板の表面に線状溝を形成するに際して、狭くかつ深い線状溝を均一な形状で形成することができるため、溝形成による磁区細分化効果を最大限享受することが可能になり、鉄損特性が非常に優れた方向性電磁鋼板が得られる。特に、大出力のシングルモードファイバーレーザを使用した場合、高速レジスト剥離処理が可能になり、高生産性および低鉄損の両立が可能になる。
レーザ照射の要領を示す図である。 鋼板の進行方向Yに沿う断面におけるビームプロファイルとレジスト剥離幅Rtとの関係を示す図である。 レジスト被膜の厚み(被膜厚み)とビームプロファイルとの関係を示す図である。 溝の幅および深さとレジスト被膜の厚み(被膜厚み)との関係を示す図である。 スリット板の配置を示す図である。 ビーム幅とレジスト剥離幅との関係を示す図である。 レジスト被膜の膜厚とビームプロファイルとの関係を示す図である。 ビーム幅とレジスト剥離幅の差に及ぼす、鋼板−スリット板間距離の影響を示すグラフである。 ビーム幅とレジスト剥離幅との差に及ぼす、スリット板の厚みの影響を示すグラフである。 スリットの開口形状を示す図である。 ビーム幅とレジスト剥離幅との差に及ぼす、スリット板の厚みの影響を示すグラフである。 レーザの照射形態を示す図である。 レーザの照射形態を示す図である。 レーザの照射形態を示す図である。 レーザの照射形態を示す図である。 鉄損と溝幅との関係を示すグラフである。
まず、レーザによって剥離したレジスト幅は非常に狭くなっているのに対して、電解エッチング後の溝幅は所期したほど狭くなっていない、原因に関して行った実験結果を説明する。
すなわち、図1に示すように、表面にレジスト被膜Rを形成した方向性電磁鋼板(以下、単に鋼板とも示す)1を矢印Y方向へ通板しながら、レーザ照射装置2を圧延方向と直交する向きXに走査して行うレーザ照射を、圧延方向(矢印Y方向)へ5mmの間隔を置いて繰り返した。ここで、レーザ照射によって除去されたレジスト部分をレジスト剥離幅Rtおよび鋼板1表面におけるレーザビームのY方向の長さをビーム幅Btとする。なお、レーザ照射は、出力1.5kWのシングルモードファイバーレーザをポリゴンミラー方式によって速度150m/s、走査幅350mmおよび走査間隔5mmにて行った。
上記したレーザ照射の、鋼板の進行方向Yに沿う断面におけるビームプロファイルとレジスト剥離幅Rtとの関係を図2に示す。なお、ビームプロファイルは市販されているCCDカメラ型固定式ビームプロファイラを使用して測定した結果について、ビームエネルギーの最大値を1とする指数にて表示する。また、ビーム径は強度が最大強度の0.135倍になる位置とした。このレーザ照射では、ビーム幅Btとビーム径は同じであるが、図2に示すように、ビーム径(ビーム幅Bt)とレジスト剥離幅Rtとは一致しておらず、照射エネルギーが小さい場合は、レーザビームが照射されている領域であってもレジスト被膜が剥離していない部分のあることが判明した。
次に、レジスト被膜の厚み(被膜厚み)とビームプロファイルとの関係を調査した結果について、図3に示す。なお、被膜厚みはSEM画像から導出した結果について、被膜厚み最大値(剥離が起こっていないレーザ照射非影響部の厚み)を1とする指数にて表示する。図3より、レジストが剥離していない部分でも、レーザ照射の影響を受けて被膜厚みが減少していることが分かった。
さらに、このレジストを剥離したサンプルに電解エッチング処理を施し、溝の幅および深さとレジスト被膜の厚み(被膜厚み)との関係を調査した。なお、溝深さはレーザ顕微鏡を用いて測定し、被膜厚みは図3と同様に指数化したものである。その結果を図4に示すように、レジストが剥離された幅は0.06mmと非常に狭くすることに成功していたものの、電解エッチングにより形成された溝幅は0.12mmと2倍に広がっていた。溝幅が期待通り狭くならなかった原因として、図2〜4に示した結果から、レジスト剥離部周辺には、レジスト被膜の膜厚減少部(薄膜部)が存在し、その薄膜部では耐レジスト性が低下し、電解エッチング時に絶縁破壊を起こしたためと、推定される。
すなわち、溝幅が所期通りに狭くならなかったことは、ビームエネルギーが弱くてレジスト被膜が剥がれていなくても被膜厚みが減少している部分(薄膜部)において、耐レジスト性が低下していることに起因すると推測される。そこで、この薄膜部に相当する領域をレーザ光に対して覆うことを意図して、鋼板上に図5に示すようなスリット板3を設置した。スリット板3は、0.07mmの開口幅で鋼板1の全幅に沿って延びる、スリット4を有する。このスリット板3を設置した状態にて、前述した条件でレーザ照射を行い、ビーム幅とレジスト剥離幅との関係、そしてレジスト被膜の膜厚とビームプロファイルとの関係を、それぞれ調査した。その結果について、図6および7に示す。
図6に示すように、ビーム幅とレジスト剥離幅との差が0.01mm程度になる。また、被膜厚みに関しては、図7に示すように、境界部のレジスト膜厚減少部(薄膜部)が非常に狭い領域になり、剥離部から急峻に定常の膜厚に到達していることが確認された。ビーム幅とレジスト剥離幅とが完全に一致しなかったのは、スリットを通過する際にレーザ光同士が干渉し、ビーム品質(収束性)が劣化したためと推定された。
次に、このレジストを剥離したサンプルに電解エッチング処理を施し、溝幅とレジスト被膜厚みとの関係を調査した。その結果、レジストが剥離された幅は0.06mmであるのに対して、電解エッチング後の溝幅は0.07mmとなり、スリットを使用しない場合と比べて大幅に狭幅化に成功した。電解エッチング処理後の鋼板における、鉄損評価結果を表1に示す。同表から、スリットを用いて、溝狭幅化を実現したサンプルの方が低鉄損を実現していることが分かる。また、スリットを使用しない場合には溝深さが20μmより溝が深くなっても鉄損はそれ以上低減されていないのに対し、スリットを使用する場合には溝が深くなるほど鉄損が低減されていることが分かる。ここでは、JIS C2556に準拠して磁束密度1.7T、励磁周波数50Hzにおける鉄損W17/50を、単板磁気試験器により評価した。ここで使用したサンプルは、溝加工前に磁気測定を行い、Bが1.94Tのものを用いた。さらに、スリット有りおよび無しのサンプルの溝深さは、電解エッチングの処理時間を調節して同じになるようにした。
Figure 0006977702
次に、スリット通過時のビーム干渉を最小限とするために、ビーム幅とレジスト剥離幅との差に及ぼす、鋼板−スリット板間距離並びにスリット厚みの影響をそれぞれ調査した。まず、図8にビーム幅とレジスト剥離幅の差に及ぼす、鋼板−スリット板間距離の影響を示す。同図に示すように、鋼板−スリット板間距離が10000μm超ではビーム幅とレジスト剥離幅との差に大きな違いが認められず、10000μm以下では、小さくなればなるほど差は小さくなる(干渉が抑制される)傾向が認められた。以上の結果から、鋼板−スリット板間距離は10000μm以下にするとより好ましいことが分かる。ただし、10000μmを超えてもスリット板介在なしに対して、大幅に改善していることから、鋼板との距離が10000μmを超える位置にスリット板を設置しても相応の効果は期待できる。
また、図9にビーム幅とレジスト剥離幅との差に及ぼす、スリット板の厚みの影響について示す。同図に示すように、スリット板厚み7000μmより大きい領域ではビーム幅とレジスト剥離幅の差はほぼ同レベルで推移し、スリット板介在なしよりも小さい値であった。一方、7000μm以下では厚みが小さいほど差は小さくなる傾向を示した。よって、スリット板厚みは7000μm以下とすることがより好ましい。
ここで、スリット板厚みが薄くなるほど、ビーム幅とレジスト剥離幅との差が小さくなるのは、スリット側面でのビームの繰り返し反射が抑制されるためであると推測される。この結果に基づき、側面での反射を抑制する手段として、側面に傾斜をつけることを検討した。すなわち、図10にスリットAとして示す、上述した実験で使用した、レーザビーム入側の開口幅およびレーザビーム出側の開口幅が同じスリット形状と、同図にスリットBとして示す、レーザビーム入側の開口幅よりもレーザビーム出側の開口幅を大きくしたスリット形状との効能を調査した。その結果を、先に示した図9のデータを比較として、スリットBによる同じ実験結果を図11に示す。これまでの評価で使用したスリットAに対して、スリットBでは、スリット板厚みが大きくなることに伴う、ビーム幅とレジスト剥離幅差の増大が大幅に抑えられていることが判明した。
以上の結果を踏まえ、本発明を実施する方法について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施態様を示すものであり、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。また、本明細書において用いられる各用語は、特に断らない限り、以下のように定義されるものとする。
「レジスト除去部」:レーザ照射工程におけるレーザの照射によってレジストが除去され、方向性電磁鋼板の表面が露出した部分。
「走査長さL」:レーザ照射装置1台当たりの、1回の走査における長さ。
「走査速度v」:レーザ照射工程において照射されるレーザの、鋼板表面における走査速度であり、下式で定義される。
v=L/t(tは走査長さLを走査するのにかかる時間)
「出力P」:レーザ照射工程において照射されるレーザの出力。
「ライン速度V」:処理装置内を搬送される鋼板の移動速度。通板速度ともいう。処理装置内の位置によって速度が異なる場合には、レーザが照射される位置における速度とする。なお、処理装置内において鋼板は、特に断らない限り、その圧延方向に搬送される。
「線状溝の間隔s」:鋼板表面に形成される線状溝の、圧延方向における間隔。レーザ照射工程において形成されるレジスト除去部の圧延方向における間隔に等しい。
本発明の方法においては、方向性電磁鋼板に対して、次の(1)〜(4)の工程の処理が順次施される。
(1)レジスト形成工程、
(2)レーザ照射工程
(3)エッチング工程
(4)レジスト除去工程
加えて、上記(2)レーザ照射工程の後上記(3)エッチング工程の前に、レジスト剥離状況を監視する画像撮影工程を備えることが好ましい。レジスト剥離状況によって、主に溝形状は変化するため、レジスト剥離状況の監視は、溝幅の監視で代替することが可能である。しかしながら、溝形状はレジスト剥離以外の影響も受けるため、溝形成前のレジスト剥離状況を直接監視することがより好ましい。
[方向性電磁鋼板]
本発明では、基材として方向性電磁鋼板が使用される。なお、方向性電磁鋼板の製造工程の途中段階の鋼板、例えば冷間圧延工程を経た鋼板を用いてもよい。前記方向性電磁鋼板としては、特に限定されず任意のものを用いることができるが、鉄損低減の観点からSiを2.0〜8.0質量%の範囲で含有するものを用いることが好ましく、加えて通板性の観点からSiを2.5〜4.5質量%の範囲で含有するものを用いることがより好ましい。
なお、方向性電磁鋼板として好適な、Si以外の成分組成は、次のとおりである。勿論、以下の成分組成に限定されることはなく、どのような電磁鋼板であって本発明の適用により適用前の鋼板の鉄損は確実に改善される。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を改善するのに有効な元素であるが、0.005質量%未満では、上記効果は得られず、一方、1.0質量%を超えると、磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.01〜0.2質量%の範囲である。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選ばれる1種または2種以上
また、本発明の方向性電磁鋼板には、磁気特性の改善を目的として、上記したSiおよびMnの他に、さらに、Ni、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrのうちから選ばれる1種または2種以上を上記の範囲で任意に含有させてもよい。
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるのに有用な元素である。しかし、0.03質量%未満では上記効果が小さく、一方、1.50質量%を超えると、二次再結晶が不安定となり、磁気特性が劣化する。また、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrは、磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記の下限値未満では磁気特性向上効果が小さく、一方、上記した各上限値を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるようになるため、それぞれ上記範囲で含有させることが好ましい。
なお、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材(鋼スラブ等)においては、上記の成分以外に以下の成分が含有される。
C:0.01〜0.08質量%
Cは、一次再結晶時の集合組織の改善のために必要な元素であり、その効果を得るためには0.01質量%以上含有させるのが好ましい。一方、Cが0.08質量%を超えると、磁気時効の起こらない0.0050質量%以下まで脱炭焼鈍により低減することが難しくなる。よって、Cは0.01〜0.08質量%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.03〜0.07 質量%の範囲である。
Al、N、SおよびSe
これらの成分は、二次再結晶を生じさせるためにインヒビタを利用する場合と、利用しない場合とで含有量が異なる。
二次再結晶を起こさせるためにインヒビタを用いる場合には、例えば、AlN系インヒビタを利用するときには、AlおよびNをそれぞれAl:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%の範囲で含有させることが好ましく、また、MnS・MnSe系インヒビタを利用するときには、Seおよび/またはSを、それぞれS:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%の範囲で含有させることが好ましい。また、両方のインヒビタを併用してもよい。
一方、二次再結晶を生じさせるためにインヒビタを利用しない場合には、インヒビタ形成成分であるAl,N,SおよびSeは、それぞれAl:0.0100質量%以下、N:0.0050質量%以下、S:0.0050質量%以下、Se:0.0050質量%以下に低減するのが好ましい。
上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、Cは一次再結晶焼鈍で脱炭され、Al,N,SおよびSeは最終仕上焼鈍において純化されるため、最終仕上焼鈍後の鋼板(製品板)における、これらの成分は、不可避的不純物程度の含有量に低減される。具体的には、C:0.005質量%以下、S:0.005質量%以下、N:0.005質量%以下、Al:0.010質量%以下、Se:0.005質量%以下になる。
前記方向性電磁鋼板の表面に被膜が形成されていると、該被膜の種類によってはエッチングが阻害される場合がある。したがって、前記鋼板の表面にはフォルステライト被膜や張力付与被膜等、エッチング液(電解液)に対して不溶性や難溶性の被膜が形成されておらず、後述するレジストが該鋼板の表面に直接塗布されることが好ましい。
[レジスト形成工程]
前記鋼板の表面には、レーザの照射に先立ってレジストが形成される。前記レジストは、後述するエッチング工程において、鋼板がエッチングされるのを防止するためのエッチングレジストとして機能するものである。前記レジストとしては、鋼板のエッチングを防止できるものであれば任意の材料を用いることができるが、熱硬化性樹脂を主成分とするレジストを用いることが好ましい。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを用いることができる。半導体分野で使用されるような、UV硬化性や電子線硬化性は必ずしも必要ではない。また、インクダレ抑制の点では、樹脂の粘度は高い方がよい。レジストの粘度を高く保つために、塗布されるレジストの温度を40℃以下とすることが好ましい。一方、レジストの温度の下限は特に限定されないが、20℃以上とすることが好ましい。また、装置が大型化するという設備上の課題はあるが、通常、電磁鋼板の表層に形成される絶縁被膜を前記レジストとして用いてもよい。この場合の塗布は従来技術に従って行えばよい。乾燥についても同じである。
鋼板表面へレジストを形成する方法は、特に限定されることなく、任意の方法で行うことができるが、ロール塗布によって行うことが好ましい。中でも、グラビアロールを用いたグラビア印刷法を用いることが好ましく、オフセットロールを使用したグラビアオフセット印刷法を用いることがより好ましい。なお、本明細書においてグラビア印刷法とは、グラビアロールを用いた印刷法全般を指し、グラビアオフセット印刷法も含むものとする。また、グラビア印刷法を用いる場合には、膜厚を一定とするため、グラビアロール上方にドクターブレードを設置してグラビアロールのインク量を均一化することが好ましい。
本発明におけるレジストの形成パターンは、特に限定されず、最終的に所望の線状溝を形成することができるものであれば任意のパターンとすることができるが、本発明ではレーザ照射によってレジストを部分的に除去するため、鋼板表面全体にレジストを形成することが好ましい。
レジスト液の目付量(塗布量)は、1.0〜10.0g/m2とすることが好ましい。目付量が1.0g/m2未満になると、耐レジスト性が不足して、電解エッチング時に絶縁破壊を起こすおそれがあるため、レジストが塗布されている部分の鋼板がエッチングされてしまうことを防止するには1.0g/m2以上とすることが好ましい。また、目付量を10.0g/m2以下とすることにより、レーザ照射工程において除去されるレジストの量を低減し、気化したレジストがレーザ照射装置の光学系に付着すること等によるレーザ性状の変動を抑制できる。なお、レジスト液の目付量はレーザ剥離前かつ乾燥後の値とし、レジスト塗布前後のサンプル重量差および塗布面積より導出される。
レジストを塗布した後、次のレーザ照射工程に先立って、レジストを乾燥させる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、熱風乾燥や真空乾燥等を用いることができる。熱風乾燥の場合、乾燥温度は、180〜300℃とすることが好ましい。真空乾燥の場合は圧力を10Pa以下とすることが好ましく、乾燥時間は5秒以上とすることが好ましい。
[レーザ照射工程]
次に、レジストが塗布された前記方向性電磁鋼板の圧延方向を横切る向きに、レーザを走査しながら照射する。このレーザ照射によって、レーザが照射された部分のレジストが局所的に加熱されて気化し、除去される結果、鋼板の表面に露出したレジスト除去部が形成される。前記レジスト除去部において露出した鋼板部分は、後述するエッチング工程において選択的にエッチングされ、線状溝となる。エッチングによって形成される線状溝の寸法は、方向性電磁鋼板の最終的な磁気特性に影響し、より狭くかつより深くすることが好ましい。狭くかつ深い溝を形成するためには、エッチングレジストのパターン、すなわちレジスト除去部の寸法は、幅についてはより狭い方が好ましい。また、見た目は狭いレジスト除去部が形成されていても、剥離部周辺にレジスト膜厚減少部が存在すると、その膜厚減少部では電解エッチング時に絶縁破壊が起こり、溝が形成されてしまうため、所期した通りの狭幅の溝が得られない。そのため、剥離部周辺のレジスト膜厚減少部はできる限り小さい方が好ましい。
前記レーザの走査は、直線状に行うことが好ましい。また、レーザの走査方向は圧延方向を横切る方向であればよいが、鉄損の低減効果を高めるという観点からは、前記鋼板の幅方向に対するレーザ走査方向の角度を40°以下とすることが好ましく、レーザを鋼板の幅方向(圧延方向に直角な方向)に走査することがより好ましい。レーザ照射工程におけるレーザ走査は、前記方向性電磁鋼板の圧延方向に周期的に行われる。言い換えれば、レジスト除去部が圧延方向に一定の間隔で形成されるように、レーザ走査が繰り返し行われる。圧延方向におけるレジスト除去部の間隔(以下、「レジスト除去部の間隔」という)は、2mm以上10mm以下とすることが好ましい。エッチングによって形成される線状溝の、圧延方向における間隔(以下、「線状溝の間隔」という)は、前記レジスト除去部の間隔と等しくなるため、レジスト除去部の間隔を上記範囲とすることにより、線状溝の間隔を好適な範囲とし、方向性電磁鋼板の磁気特性をさらに向上させることができる。
なお、レーザの種類は、鉄損特性および生産性の観点より決定される。鉄損特性の観点からは、狭い溝幅が有利であるため、集光性の高いレーザ装置を使用してレジスト剥離幅を狭くすることが好ましい。一方、生産性の観点からは、レーザ走査を高速で行うことが求められる。高速でレーザ走査をした場合、剥離に必要なエネルギー密度を確保するためには、より出力の高いレーザ装置を使用することが好ましい。このビーム集光性とレーザ出力を両立させるために、レーザの種類はシングルモードファイバーレーザとすることが好ましい。ただし、本発明のようなスリット板を設置する場合には、シングルモードファイバーレーザの優位性は少なくなるため、ほかの種類のレーザを採用することも可能である。前記したレーザの走査は、高速化の観点から、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等のミラーの回転駆動によって行うことが好ましい。
前記レーザの照射には任意の数のレーザ照射装置(照射源)を用いることができるが、1〜3台の照射装置を用いることが好ましい。照射装置が3台より多いと、メンテナンスに要する時間が増大して生産性の低下を招く。
なお、一般的に用いられる鋼板の多くは幅が1m程度であるため、照射装置が1台であると板幅全域にわたって均一にレーザを照射することが困難であり、ビーム性状を均一にするためビーム径を増大するなどの必要が生じる。そのため、レーザ照射装置は、2台以上とすることがより好ましい。複数のレーザ照射装置を用いる場合には、それぞれの照射装置から照射されるレーザが鋼板全幅にわたって走査される必要はなく、各照射装置による走査範囲の和が、鋼板全幅をカバーしていれば良い。
ここで、複数のレーザ照射装置の使用によって発生する境界部は、図12Aに示すようにラップ部が発生すると、必要以上に鋼板がエッチングされてしまい、鉄損や磁束密度の劣化を招く。一方、図12Bのように隙間(不連続部)が発生しても、やはり鉄損が劣化する。よって、図12Cに示すような、複数のレーザ照射装置間での照射レーザの終端および始端を一致させた結果、連続的に溝が形成されていることが好ましい。理想的には、図12Cに示すように完全に連続していることが好ましい。また、図12Dに示すように、図12Aに示したラップ部が離間せずにラップ部が重なることにより連続した溝になっていれば、鉄損劣化が少なく鉄損の改善代が保証されるため好適である。
上記したレーザ照射において、レーザ照射によって気化されたレジストによる装置の汚染を抑制するために、送風または吸引を行って集塵機に気化されたレジストを回収することが好ましい。ただし、鋼板が振動して焦点がずれることを防ぐため、レーザ照射を行う処理槽に対する、送風または吸引を行う際の風量は、100m3/min以下とすることが好ましい。前記風量の下限は特に限定されないが、10m3/min以上とすることが好ましい。
上記したレーザ照射におけるレジスト除去状態は、単位走査当たりの照射エネルギーで決定される。必要な照射エネルギーはレジスト被膜の種類によっても異なるため、あらかじめ採用するレジスト被膜に照射エネルギーを変化させて照射し、良好に剥離部が形成される条件を調査して決定することが好ましい。レーザ照射装置の走査速度vは、特に限定されないが、走査速度vが高い方が鋼板のライン速度Vを上げられるため、生産性の面で有利である。また、レーザの最低必要出力Pは、採用したレジスト被膜に必要な照射エネルギーEおよび走査速度vから、P=vE にて導出される。
また、鉄損の観点からは、レジスト除去部の幅はより小さい方が好ましい。レーザの出力を調整して、レーザビーム径よりもレジスト剥離幅が小さくなるように制御しても、未剥離部分もレーザ照射によってダメージを受け、次工程の電解エッチング時に絶縁破壊して、所期する狭い溝はできない。よって、狭い溝を形成させるには、ビーム径の小さいレーザを用いてレジスト被膜に照射する範囲を限定する必要がある。
ここで、溝形成前の磁束密度Bが1.92Tのサンプル(板厚0.27mm)を用いて鉄損と溝幅との関係について調査した結果を、図13に示す。なお、溝深さは電解エッチング時間を調整して25μmの一定になるようにした。溝幅が狭い方が鉄損は改善傾向を示し、特に溝幅が0.08mm以下になると、鉄損の改善傾向が顕著になる。一方、0.01mm以下になると鉄損改善は飽和している。以上のことから、好適な鉄損改善効果を得るためには、レーザビーム径を0.01〜0.08mmにすることが好ましいことが分かる。しかしながら、大出力と高い集光性の両立は、非常に困難性が高く、レーザ装置が非常に高額になるため、その導入にはコストの観点から高いハードルが存在する。
そこで、本発明では、図2に示したようなスリット板を導入することにより、比較的安価なレーザ装置でも鋼板表面に到達する鋼板進行方向のビーム幅を小さくすることを可能にした。この方法に従ってレーザ照射過程にスリット板を介在させれば、該スリット板のスリットを通過した領域以外ではレーザビームが鋼板上に照射されない。よって、レジスト被膜は、レジスト剥離部(溝形成部分)以外の領域でダメージを受けないため、レジスト剥離部のみに溝が形成される。よって、スリットを適用した場合は、鉄損特性に対して、より好ましい溝幅(0.01〜0.08mm)を得るためには、鋼板上の鋼板進行方向に対するビーム幅を0.01mm〜0.08mmにすればよいことになる。スリット幅は、鋼板からの設置距離によって変化するが、レジスト剥離幅が所望の幅になるように設定すればよい。鋼板に近くなるほどスリット幅とレジスト幅の差は小さくなり、鋼板から離れるほど、スリット幅の方がより大きくなる。
スリット通過時のレーザ光の散乱は、到達ビーム幅の増大および到達ビーム強度の減少というレーザ品質の劣化を招く。到達ビーム幅の増大は、鉄損改善効果を最大限享受できない原因になり、到達ビーム強度の減少は、途中で減少する分を初期の出力を増大させる必要があり、より高額な大出力レーザ光を採用する必要があるため、低コスト化の点で不利である。スリット板の厚みが薄いほど抑制されるため、スリット板はより薄くすることが好適である。好ましくは、7000μm以下である。ただし、スリット板の剛性を確保するためにはある程度の厚みは必要である。そこで、スリット板の厚みによるレーザ光の品質劣化を防止するためには、上述のとおりスリット形状を入側のスリット幅よりも出側のスリット幅を大きくすることが有効であり、スリット側面とレーザ光の干渉を抑制させることができる。また、スリット板と鋼板との距離も影響を与え、より好ましくは10000μm以下である。
[エッチング工程]
レーザ照射工程終了後、エッチングを行って鋼板表面に線状溝を形成する。エッチングに用いる手法は、鋼板をエッチングできれば任意の手法を用いることができるが、化学エッチングおよび電解エッチングの少なくとも一方を用いることが好ましい。エッチング量の制御という観点からは、電解エッチングを用いることがより好ましい。化学エッチングの場合には、例えば、FeCl、HNO、HCl、HSOからなる群より選択される少なくとも1つを含有する水溶液をエッチング液として用いることができる。また、電解エッチングの場合には、例えば、NaCl、KCl、CaCl、NaNOからなる群より選択される少なくとも1つを含有する水溶液をエッチング液(電解液)として用いることができる。
また、エッチングを行う際には、エッチング液を攪拌することが好ましい。エッチング液を攪拌することにより、エッチング槽内における電解液の温度や濃度の偏りを解消し、より均一にエッチングを行うことができる。また、槽内における電解液の流速を高めることによりエッチング効率を向上させることもできる。前記攪拌を行う方法は特に限定されないが、例えば、機械攪拌や、エッチング液を循環させることによる攪拌などを用いることができる。機械攪拌を行う場合には、エッチング液への耐性を考慮して、樹脂製の攪拌部材を用いることが好ましい。循環による攪拌を行う場合には、例えば、エッチング槽内にエッチング液の噴出口を設け、ポンプ等を用いてエッチング液を前記噴出口から噴出させることができる。
電解エッチングにより前記エッチングを行う場合には、任意の方法で鋼板への通電を行うことができるが、例えば、ラジアルセル方式または水平セル方式のエッチング槽を用いて、直接通電または間接通電により通電を行うことができる。電解条件は、処理対象の鋼板や、使用する電解液等に応じて適宜調整すれば良いが、例えば、電流密度を1〜100A/dm2の範囲内で調整することができる。
エッチングによって形成される線状溝の形状は、レーザビーム形状やエッチング条件によって調整できるが、方向性電磁鋼板の磁気特性の観点からは、線状溝の幅を10μm以上80μm以下、深さを10μm以上40μm以下とすることが好ましい。
[鉄損改善装置]
本発明に従って鋼板に溝を形成して鉄損を改善する装置としては、上記各工程を行うことができるものであれば、その他の構成は特に限定されることなく、任意の構成を有する装置を用いて実施することができる。しかし、生産性の観点からは、コイルとして供給される方向性電磁鋼板を連続的に処理することができる連続式の処理装置を用いることが好ましい。
上記連続式の処理装置としては、コイル状に巻かれた方向性電磁鋼板を払い出す払い出し部、コイル同士を接合する溶接部、前記方向性電磁鋼板の表面にレジストを塗布するレジスト塗布部および前記方向性電磁鋼板の表面に塗布されたレジストを乾燥する乾燥部からなるレジスト形成部、前記レジストが形成された方向性電磁鋼板の表面にレーザを照射してレジストを部分的に除去するレーザ照射部、レジストが除去された部分の前記方向性電磁鋼板をエッチングするエッチング部、前記方向性電磁鋼板の表面からレジストを除去するレジスト除去部、前記方向性電磁鋼板を切断する切断部および、前記方向性電磁鋼板を巻き取る巻取り部が、この順序で配置されることが好ましい。
また、レーザ照射部以降かつエッチング部の手前に、レジスト剥離状況を監視する撮像画像部を備えることが好ましい。すなわち、本発明では、レーザがスリットを通過することで該レーザの品質が劣化しやすいというデメリットが存在する。このデメリットはスリット形状や精度良い設置により低減可能であるが、操業を続けていくにつれて、外乱要因によってスリット設置状態が悪化し、レーザ品質が許容以上に悪化して、鋼板表面のビーム幅がレーザ剥離幅に対して許容以上に大きくなり、レジスト未剥離部でもレーザ照射によるダメージを受けて結果的に溝幅の増大を招く可能性は排除できない。あるいは、鉄損の観点からは、理想的には完全に連続していること 少なくとも1部分でも重なっているような連続溝が好適である。この連続溝を複数台のレーザ装置で実現するためには、全てのレーザ装置の同期をとることが重要である。各レーザ照射のタイミングも、レーザ装置部品の劣化などで経時的に徐々にずれが発生してくることが多々ある。このような事態になった際に、少しでも早く異常を検知するために、レーザ照射部以降にレジスト剥離状況を監視する撮像画像部を設置することが有効である。より好ましくは、画像診断結果をフィードバックして、同期補正などを自動で行えるロジックを構築すると、ラインを停止させることなくセッティングの修正が可能になるのでより好適である。
さらには、レーザ照射部における通板速度を一定とするためのルーパーを備えることがより好ましい。すなわち、前記溶接の際等に、ラインの一部の箇所で通板速度が低下すると、レーザ照射部における通板速度まで減速してしまい、照射エネルギーが一時的に増大する結果、得られる溝幅が変動し、方向性電磁鋼板の鉄損特性にばらつきが生じる可能性がある。しかし、通板速度を一定とするためのルーパーを設置することにより、レーザ照射部における通板速度の変動を抑制し、方向性電磁鋼板の磁気特性のばらつきを防止できる。なお、前記ルーパーは、具体的には、前記溶接部と前記レジスト塗布部の間、および前記レジスト除去部と前記切断部の間にそれぞれ設置することが好ましい。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の実施形態は、本発明の趣旨に適合する範囲で適宜変更することが可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
レーザ照射条件の影響を評価するために、複数の条件で、方向性電磁鋼板の表面に線状溝を形成した。なお、方向性電磁鋼板としては、C:0.07質量%、Si:3.1質量%、Mn:0.05質量%、Al:0.025質量%、N:0.012質量%、S:0.005質量%およびSe:0.01質量%の成分組成を有する鋼スラブを常法に従って熱間圧延、次いで冷間圧延して0.20mmの冷延板とした。その後、グラビアオフセット印刷法により該鋼板の表面全体に均一にレジストを塗布した。レジストの目付量は4.5g/m2とした。
レジストを塗布した後、300℃および60sで乾燥を行い、次いで、表2に示す条件にて、鋼板の幅方向に直線状にレーザ照射装置を走査しながらレーザを照射した。前記レーザの走査は、圧延方向に5.0mm間隔で周期的に行った。本実験では3台のシングルモードファイバーレーザの照射装置を鋼板の幅方向に並べて設置し、幅1200mmのコイルに照射した。レーザ照射終了後、鋼板表面を観察し、レーザ照射部におけるレジスト除去幅(鋼板進行方向に対する剥離長さ)を測定した。この測定結果を表2に併記する。ここでは、レーザ装置の同期タイミングを複数条件で設定し、複数の連続・不連続剥離形態を有するサンプルを作製した。
Figure 0006977702
続いて、各サンプルに電解エッチングを行って線状溝を形成した。電解液としては25%のNaCl水溶液を用い、所望の線状溝(幅・深さ)が形成されるよう、事前に電流密度調整を行った。電解条件は、電解液温度:20℃、電流密度:4〜24A/dm2、通電時間:2minとした。エッチング終了後、鋼板の表裏面に残ったレジストをNaOH水溶液にて除去した。前記NaOH水溶液の温度は、50〜70℃に保持した。その後、水洗および表面洗浄を行った。
その後、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍および張力被膜の形成を、全てのサンプルに対して同じ条件で行った後、鉄損W17/50と線状溝の幅および深さをそれぞれ測定した。その測定結果を表3に併記する。なお、最終仕上焼鈍後においてC、Al、N、SおよびSeは不可避的不純物程度に低減されていた。
Figure 0006977702
表3に示した結果から分かるように、本発明の範囲内の製造方法を採用したものは、本発明範囲外のものよりも溝幅が狭くなっており、その結果良好な鉄損特性が得られていることが分かる。さらに、レーザ照射端部が含まれるサンプルにおいては、本発明の範囲内においても特に連続的に溝が形成されたサンプルで良好な特性を示した。

Claims (9)

  1. 方向性電磁鋼板の表面にレジストを形成するレジスト形成工程と、
    前記方向性電磁鋼板の圧延方向を横切る向きにレーザを照射して前記レーザの照射部分のレジストを除去する処理を、前記方向性電磁鋼板の圧延方向に間隔を置いて周期的に行うレーザ照射工程と、
    前記方向性電磁鋼板のレジスト除去部分をエッチングして線状溝を形成するエッチング工程と、を有し、
    前記レーザ照射工程におけるレーザの照射は、レーザ光を部分的にカットするスリット板のスリットを介して行う方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
  2. 前記スリットは、前記スリット板における、レーザビーム入側の開口幅よりもレーザビーム出側の開口幅の方が大きい請求項1に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
  3. 前記レーザ照射工程におけるレーザは、シングルモードファイバーレーザである請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
  4. 前記レーザ照射工程において、前記方向性電磁鋼板の表面における、レーザの走査方向と直交する向きにおける鋼板表面の最大ビーム幅が0.01mm以上0.08mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善方法。
  5. 方向性電磁鋼板の通板ラインに沿って、前記方向性電磁鋼板の表面にレジストを形成するレジスト形成部、前記レジストが形成された方向性電磁鋼板の表面にレーザを照射して前記レジストを部分的に除去するするレーザ照射部および、前記方向性電磁鋼板のレジスト除去部分をエッチングするエッチング部を、前記方向性電磁鋼板の通板方向へ順に配置し、前記レーザ照射部は、レーザの集光部と前記方向性電磁鋼板の表面との間に、レーザ光を部分的にカットするスリット板を備える方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
  6. 前記スリット板は、レーザビーム入側の開口幅よりもレーザビーム出側の開口幅の方が大きいスリットを有する請求項5に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
  7. 前記レーザ照射部は、シングルモードファイバーレーザのレーザ照射装置を有する請求項5または6に記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
  8. 前記レーザ照射部は、前記方向性電磁鋼板の表面における、レーザの走査方向と直交する向きの最大ビーム幅が0.01mm以上0.08mm以下となる、レーザ照射装置を1〜3台有する請求項5から7のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の鉄損改善装置。
  9. 方向性電磁鋼用素材に熱間圧延、次いで冷間圧延を施して方向性電磁鋼板を製造するに当たり、前記冷間圧延後の段階において、鋼板の表面に、請求項1から4のいずれかに記載の鉄損改善方法を用いて線状溝を形成する方向性電磁鋼板の製造方法。
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