JP6950041B1 - 構造物解体システムおよび構造物解体方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、既存構造物の所定の既存柱を支持柱とし、この支持柱に仮支持させてクレーンが設置されたクレーン設置床を構築しておき、このクレーンで各フロアを解体しながら、クレーン設置床を支持柱に沿って下降させることで、既存構造物を上層から下層に向かって解体する方法が示されている。
この解体方法では、クレーン設置床を下降させる(ジャッキダウン)際には、支持柱の上端に反力部材を固定して、この反力部材を利用して昇降ジャッキによりクレーン設置床を下降させる。一方、支持柱の上端部を切断して撤去する際には、この反力部材を一端取り外す必要がある。
そこで、反力部材の内壁面に仮固定ジャッキを設け、この仮固定ジャッキで支持柱の側面を押圧することで、反力部材を支持柱の上端に仮固定している。この仮固定ジャッキは、ねじを回転させることで厚さを変更可能であり、ねじの先端には、チェーンが巻き回されている。よって、このチェーンを引っ張ることで、ねじを回転させて、仮固定ジャッキで支持柱の側面を押圧する。
よって、昇降ジャッキにより仮設屋根を下降させる(ジャッキダウン)際、エアホースを巻き取りドラムに収納しておくので、エアホースが邪魔にならず、ジャッキダウン作業を円滑に行うことができる。
また、コンプレッサを駆動することで、迅速にエアジャッキに軸力を導入できるので、従来と比べて工期を短縮できる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る構造物解体システム2が設けられた構造物としての既存建物1の側面図である。
既存建物1は、n(nは自然数)階建てのラーメン構造の建物であり、平面視で長方形状である。この既存建物1は、複数のH形鋼である既存柱11と、複数の鉄骨造の既存梁12と、鉄筋コンクリート造の既存床13と、を備える。ここで、既存柱11の一部を、クレーン設置床20を支持する支持柱11Aとする。
構造物解体システム2は、既存建物1の屋上階に構築された仮設屋根としてのクレーン設置床20と、クレーン設置床20上に設置されたクレーン21と、支持柱11Aに取り付けられてクレーン設置床20を支持柱11Aに沿って下降させる昇降装置22と、クレーン設置床20に設けられて支持柱11Aの継手部14(図7参照)の上面に係止可能な係止装置23と、既存建物1の外周に沿って設置された外周足場24と、クレーン設置床20を外周足場24に沿って移動させるスライド機構25と、を備える。
係止装置23は、かんぬき梁30と、このかんぬき梁30同士を接近あるいは離間させる方向に略水平に移動する一対の開閉機構31と、を備える。支持柱11Aの側面には、継手部14が側方に延びており、係止装置23は、この継手部14の上面にかんぬき梁30を移動させて係止させることが可能である。
外周足場24は、地表面上に構築された複数段の枠組足場である。
スライド機構25は、クレーン設置床20に設けられて上下に延びるガイド部材40と、外周足場24に複数段設けられてガイド部材40に係止した状態でスライド可能な移動壁繋ぎ41と、を備える。
昇降装置22は、支持柱11Aの上端に取り付けられて略水平に延びる反力部材50と、反力部材50に巻かれて一端側がクレーン設置床20に連結された吊り材51と、クレーン設置床20に設けられて吊り材51の他端側を引っ張る昇降ジャッキとしてのストランドジャッキ52と、を備える。
クレーン設置床20の上面には、門型状のジャッキ支持部53が回動可能に設けられており、ストランドジャッキ52は、このジャッキ支持部53に設けられている。
また、クレーン設置床20の上面でかつ支持柱11Aを挟んでジャッキ支持部53の反対側の位置には、門型状の吊り材支持部54が回動可能に設けられており、吊り材51の一端は、この吊り材支持部54に連結されている。
吊り材51は、一対の滑車612に巻かれており、一端側が吊り材支持部54に連結され、他端側がジャッキ支持部53に固定されたストランドジャッキ52に連結されている。
エアジャッキ62は、コンプレッサ65(図4参照)からエアホース63を通して圧縮空気を注入することで厚さtを変更可能となっている。
巻き取りドラム64には、エアホース63が付勢力によって巻き取られている。このエアホース63の一端側は、ボックス部材60の側面に形成された貫通孔を通して、エアジャッキ62に接続されている。エアホース63の他端側には、ロープ66が連結されており、このロープ66を下方から引っ張ることで、エアホース63の他端側を下方に引き出せるようになっている。
一方、反力部材50の仮固定を解除する場合、エアジャッキ62のバルブを開いて空気を抜く。これにより、エアジャッキ62が短縮し、反力部材50を支持柱11Aから取り外すことが可能となる。
ステップS1では、図1に示すように、既存建物1に構造物解体システム2を構築する。
すなわち、既存建物1の屋上階にクレーン設置床20、クレーン21、昇降装置22、係止装置23、およびスライド機構25を構築する。また、既存建物1の周囲に外周足場24を設置する。
ここで、屋上階には支持柱11Aが存在しないため、屋上階に支持柱11Aの代わりに仮設柱15を取り付けて、この仮設柱15の頂部に反力部材50を仮固定しておく。また、係止装置23のかんぬき梁30を、屋上階床レベルの支持柱11Aの上に載置することで、クレーン設置床20を支持柱11Aに仮支持させる。
なお、後述のステップS7においてステップS2を繰り返す場合には、既存建物1を2層分ではなく1層分解体するものとする。
ステップS5では、図7に示すように、クレーン設置床20を支持柱11Aに再度仮支持させる。すなわち、係止装置23の開閉機構31を駆動して、かんぬき梁30を支持柱11Aの継手部14の上に位置させる。次に、ストランドジャッキ52によりクレーン設置床20を下降させて、かんぬき梁30を支持柱11Aの継手部14の上面に係止させる。
ステップS7は、ステップS2からステップS6までを繰り返して、既存建物1を屋上階から下階に向かって解体する。
(1)ストランドジャッキ52によりクレーン設置床20を下降させる(ジャッキダウン)際、付勢力によりエアジャッキ62のエアホース63を巻き取りドラム64に収納しておくので、エアホース63が邪魔にならず、ジャッキダウン作業を円滑に行うことができる。
また、コンプレッサ65を駆動することで、迅速にエアジャッキ62に軸力を導入できるので、従来と比べて工期を短縮できる。
エアジャッキ62を用いたので、ユニブロックのようなねじで厚さを変更可能な仮固定ジャッキと比べて、厚みが薄くなり、反力部材50を支持柱11Aに取り付ける際に、エアジャッキ62が支持柱11Aに引っ掛かるのを防止できる。また、エアジャッキ62の厚みが薄くなったことで、支持柱の柱形状の変更に容易に追従可能である。
(2)支持柱11Aと昇降装置22の内壁面との間にエアジャッキ62を設けたので、クレーン設置床20を支持柱11Aに比較的短時間で仮固定でき、既存建物1を短工期で解体できる。
11…既存柱 11A…支持柱 12…既存梁 13…既存床 14…継手部
15…仮設柱
20…クレーン設置床(仮設屋根) 21…クレーン 22…昇降装置
23…係止装置 24…外周足場 25…スライド機構
30…かんぬき梁 31…開閉機構 40…ガイド部材 41…移動壁繋ぎ
50…反力部材 51…吊り材 52…ストランドジャッキ(昇降ジャッキ)
53…ジャッキ支持部 54…吊り材支持部
60…ボックス部材 61…反力梁 62…エアジャッキ 63…エアホース
64…ドラム 65…コンプレッサ 66…ロープ
611…水平部材 612…滑車
Claims (2)
- 構造物を解体する解体システムであって、
構造物の所定階の上に構築された仮設屋根と、当該仮設屋根を支持する既存柱である支持柱と、前記仮設屋根を前記支持柱に沿って下降させる昇降装置と、を備え、
当該昇降装置は、前記支持柱の上端に取り付けられて略水平に延びてかつ両端側に回転自在に設けられた一対の滑車を有する反力部材と、当該反力部材の滑車に巻かれて一端側が前記仮設屋根に連結された吊り材と、前記仮設屋根に設けられて前記吊り材の他端側に設けられた昇降ジャッキと、を備え、
前記反力部材は、前記支持柱の上端に被せられて上端が塞がれた矩形筒状のボックス部材と、当該ボックス部材の上に設けられて略水平に延びる反力梁と、前記ボックス部材の内壁面に設けられて前記支持柱の側面に当接可能な仮固定用のエアジャッキと、前記ボックス部材の側面に設けられた巻き取りドラムと、を備えることを特徴とする構造物解体システム。 - 請求項1に記載の構造物解体システムを用いて構造物を解体する解体方法であって、
当該構造物の所定の既存柱を支持柱とし、当該支持柱に仮支持させて前記構造物の所定階の上に前記仮設屋根を構築する第1工程と、
少なくとも前記支持柱を残して前記所定階から1層分を解体する第2工程と、
前記支持柱による前記仮設屋根の仮支持を解除し、前記仮設屋根を前記支持柱に沿って1層分下降させて、その後、前記仮設屋根を前記支持柱に再度仮支持させる第3工程と、
前記反力部材を前記支持柱から取り外して、前記支持柱の上部を撤去し、その後、当該支持柱の頂部に前記反力部材を再度被せて、前記反力部材を前記支持柱に再度仮固定する第4工程と、
前記第2工程から第4工程までを繰り返す第5工程と、を備え、
前記反力部材を前記支持柱の頂部に仮固定する際には、前記反力部材を前記支持柱の頂部に配置し、この状態で、前記巻き取りドラムからエアホースの先端を前記仮設屋根上に引き出してコンプレッサに接続し、当該コンプレッサから圧縮空気を前記エアジャッキに供給することで、前記反力部材を前記支持柱の頂部に仮固定し、その後、前記コンプレッサから前記エアホースを取り外して前記巻き取りドラムに収納することを特徴とする構造物解体方法。
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JP2020090979A JP6950041B1 (ja) | 2020-05-26 | 2020-05-26 | 構造物解体システムおよび構造物解体方法 |
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