JP5418369B2 - 盛土の補強構造 - Google Patents
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Description
すなわち、河川の堤防として用いた場合に、洪水や地震の際に、二列の鋼矢板壁により盛土の天端高さを維持することができるので、河川の氾濫を防止し、河川の氾濫により盛土が崩壊するのを防止することができる。道路や鉄道の盛土として使用した場合も、二列の鋼矢板壁の間部分を道路や線路として使用することで、道路や線路の崩壊を防止し、復旧作業を容易なものとすることが可能となる。
前記地中鋼製壁体にはそれぞれ、可撓性を有し、地中に配置される面状補強材が接続され、
前記面状補強材はそれぞれ、隣り合う前記地中鋼製壁体間に架け渡されることなく、前記地中鋼製壁体のいずれか一つだけに接続され、
前記地中鋼製壁体のそれぞれには、前記面状補強材が隣り合う前記地中鋼製壁体の間となる側に接続され、
複数の前記面状補強材が前記地中鋼製壁体の連続方向に沿って互いに間隔をあけて並んで配置され、
一方の前記地中鋼製壁体と他方の前記地中鋼製壁体とで互い違いになるように面状補強材がずれて配置されており、一方の地中鋼製壁体の面状補強材同士の間となる前記間隔に、他方の地中鋼製壁体の面状補強材が配置されていることを特徴とする。
この場合に、二列の鋼矢板壁を連結部材で連結する作業より、各鋼矢板壁に面状補強材を取り付ける作業の方が簡便であり、作業量の軽減と工期の短縮を図ることができる。
すなわち、二列の地中鋼製壁体をタイロッドで連結した場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、地中鋼製壁体が、基本的に長く連続することになるので、面状補強材のサイズが限定される場合に、複数枚の面状補強材を継ぎ足して地中鋼製壁体に接続することになるが、このような場合に、各面状補強材を地中鋼製壁体の連続方向(盛土の連続方向)に間隔をあけて配置している。
この際に、隣り合う地中鋼製壁体で互い違いになるように面状補強材を交互に配置することも可能となり、このような配置とすれば、隣り合う地中鋼製壁体それぞれに接続された面状補強材が深さ方向に重ならないので、面状補強材が配置される深さを浅くすることができ、補強作業の簡便化と工期の短縮を図ることができる。また、二列の地中鋼製壁体のそれぞれに接続された面状補強材を長くしても、各面状補強材が深さ方向に重ならないので、これら面状補強材の地中鋼製壁体に直交する長さを長くし、地中鋼製壁体の長さ方向に間隔あけることで減少した面状補強材の面積を補うことができる。
前記面状補強材が帯状に形成されるとともに、一方の端部に棒状部材が設けられ、
前記棒状部材の両端部がそれぞれ前記係止溝に上下方向に移動自在に係止され、
ロール状に巻かれた状態の前記面状部材を展開して敷設していることを特徴とする。
これにより、面状補強材の掘削された地面上への敷設および地中鋼製壁体のへ接続の作業性が向上するとともに、それによって工期の短縮を図ることができる。
また、面状補強材が可撓性を有し、かつ、隣り合う地中鋼製壁体に架け渡されてないので、天端部分が少し沈下したり、少し洗掘されるようなことがあっても、面状補強材が突出せずに撓んで地中もしくは地面上に配置されるので、緊急車両等の車両の通行を可能とすることができる。
図1に示すように、この例の盛土の補強構造は、例えば、河川の堤防、道路・鉄道盛土等の盛土を補強するためのものである。盛土1の左右には法面1aが形成されている。
この盛土1の補強構造においては、盛土1の略天端1cの範囲内に鋼矢板3(鋼管矢板を含む:図5〜図8に各種鋼矢板3a〜3cを図示)を連結した鋼矢板壁からなる地中鋼製壁体2が設置されている。なお、略天端1cの範囲内には、天端1cより少し外側となる法面1aの上端部である法肩1b部分も含まれる。
面状補強材7は、二列以上の地中鋼製壁体2において、これら隣り合う地中鋼製壁体2の間となる側、すなわち内側に配置される。
すなわち、各地中鋼製壁体2は、それぞれ面状補強材7が接続されているが、これら面状補強材7は、それぞれ一つの地中鋼製壁体2だけに接続されており、面状補強材7が隣り合う地中鋼製壁体2を連結した状態とはなっていない。
また、面状補強材7は、地中鋼製壁体2の長さ方向に沿って連続的に配置されるが、例えば、所定形状の面状補強材7を地中鋼製壁体2の長さ方向に複数つなげて配置するような場合に、各地中鋼製壁体2同士の間に間隔が空いていてもよく、面状補強材7が地中鋼製壁体2の長さ方向に完全に連続して配置されている必要はない。
また、面状補強材7の地中鋼製壁体2に直交する長さが二列の地中鋼製壁体2の間の距離の1/2よりも長くなっており、一方の地中鋼製壁体2に接続された面状補強材7と、他方の地中鋼製壁体2に接続された面状補強材7とが深さ方向に重ねて配置されている。
なお、最も上側となる面状補強材7は、上側に最低限必要な深さとなる土砂が配置されることになり、天端1cより少し低い位置に配置される。
また、面状補強材7だけでは、十分な地中鋼製壁体2の変形を十分に防止できない場合には、面状補強材7が配置される二列の地中鋼製壁体2の間の部分の上端部において、面状補強材7を配置するとともに土砂を埋め戻す際に、埋め戻す土砂にセメント系固化材(地盤改良用セメント)を混ぜ合わせて地盤改良した状態としてもよい。これにより、面状補強材7の引抜抵抗を大きくすることができ、地中鋼製壁体2の変形を抑制する力を大きくすることができる。
ここで、二列の地中鋼製壁体2の間の部分が少し低くなっても、例えば、緊急車両の通行が可能となる確率が高く、地震後や洪水後の緊急車両用通路として、盛土の天端部分を使用可能であるが、天端の直下にタイロッドがある構成だと、タイロッドが露出して低下した天端1c上にハードル状に配置され、車両の通行が不可能となる。
また、面状補強材7を地中鋼製壁体2の上端部に接続する構造とすることで、上述のように面状補強材7を敷設するために、二列の地中鋼製壁体2間を掘削する際の深さが浅くなり、盛土の補強の作業性を向上するとともに工期の短縮を図ることができる。
なお、以下の変形例においては、面状補強材7の配置が異なるだけで、その他の構成については、上述の例と同様の構成となっている。
図2に示す変形例においては、二列の地中鋼製壁体2のそれぞれに深さ方向に複数段(2段)に面状補強材7が配置されている。また、面状補強材7の地中鋼製壁体2に直交する方向に沿った長さは、隣り合う地中鋼製壁体2の間の距離の1/2以下となっている。これにより、一方の地中鋼製壁体2に接続された面状補強材7と、他方の地中鋼製壁体2に接続された面状補強材7とが深さ方向に重ならない配置となっている。
この例において、矩形状の面状補強材7の地中鋼製壁体2の長さ方向に沿った幅と、面状補強材7の地中鋼製壁体2の長さ方向に沿った間隔との関係は、面状補強材7の前記幅より、前記間隔の方が少し長くなっている。
これにより、土砂との摩擦抵抗を大きくするように地中鋼製壁体2に直交する方向に長い面状補強材7を使うものとしても、面状補強材7が重なるのを防止して、面状補強材7を敷設する際の掘削深さを浅くでき、作業性の向上と、工期の短縮を図ることができる。
この例においては、面状補強材7を斜めに配置することで、二列の地中鋼製壁体2の限られた間隔に対して、設置可能な面状補強材7の地中鋼製壁体2に直交する長さを長くできるようにし、これにより面状補強材7の摩擦抵抗を大きくし、地中鋼製壁体2の変形を抑制する力を大きくしている。
図5に示す変形例では、地中鋼製壁体2を構成する鋼矢板壁として、U形鋼矢板3aからなる鋼矢板壁が用いられており、地中鋼製壁体2がU形鋼矢板3aを連結することにより構成されている。
この変形例では、地中鋼製壁体2の隣り合う地中鋼製壁体2に対向する側面側で、山状に突出するU形鋼矢板3aのうちの所定個数毎のU形鋼矢板3aのウェブ部分にカットT形鋼21(H形鋼をウェブで1/2にカットすることで形成されたT形鋼)のウェブ部分が溶接されている。U形鋼矢板3aとT形鋼21は、それぞれの軸方向が平行に配置されている。U形鋼矢板3aのウェブとこのウェブに溶接されたカットT形鋼21のフランジとの間に係止溝22が形成されている。係止溝22は、U形鋼矢板3aの軸方向、すなわち上下方向に沿って形成されていることになる。
図6に示す変形例は、図5に示す変形例において地中鋼製壁体2を構成する鋼矢板をU形鋼矢板3aではなく、ハット形鋼矢板3bとし、かつ、係止溝22を構成する形鋼を、カットT形鋼21から、H形鋼23に二つのL形鋼(アングル材)24を溶接した構造としたものである。
図6に示す変形例では、図5に示す変形例と同様に、棒状部材71を介して地中鋼製壁体2に係止された面状補強材7が隣り合う地中鋼製壁体2に向って広げられた状態となっている。
鋼管矢板3cには、対向する位置(180度離れた位置)に、パイプ継手3dと、T形継手3eが溶接されており、いわゆるPT継手鋼管矢板となっている。この例においては、さらに各継手3d、3eから90度離れた位置に、T形継手3eと同形状のカットT形鋼3fが溶接され、このカットT形鋼3fと鋼管矢板3cの外周面により、係止溝22が形成され、図5に示す変形例と同様の棒状部材71の端部が係止されている。
図7に示す変形例では、図5に示す変形例と同様に、棒状部材71を介して地中鋼製壁体2に係止された面状補強材7が隣り合う地中鋼製壁体2に向って広げられた状態となっている。
図7および図8に示すように、鋼管矢板3c(鋼矢板3)を盛土1に二列に打設する際に、前記係止溝22を構成するカットT形鋼3f等の形鋼を予め鋼管矢板3c(鋼矢板3)に溶接しておき、形鋼が溶接された鋼管矢板3cを盛土1に打設し、二列の地中鋼製壁体2を構築する。
次に、一側縁部側に棒状部材71が固定され、他側縁部側を中心に巻かれてロール状となった面状補強材7を地中鋼製壁体2に係止する。この面状補強材7は、工場等で棒状部材71が固定されるとともに、ロール状に巻かれて現場に搬送される。また、面状補強材の他側縁部には、芯材72を固定し、芯材72を中心軸として、面状補強材7をロール状に巻いてもよい。
次に、ロール状の面状補強材7を展開する。すなわち、面状補強材7を平面状に広げる。この際には、例えば、重機等により芯材72を引っ張ることにより、面状補強材7を展開することができる。
このような盛土の補強構造の施工方法によれば、面状補強材7の地中鋼製癖体2への係止と、面状補強材7の敷設が容易なものとなる。
1c 天端
2 地中鋼製壁体
7 面状補強材
22 係止溝
71 棒状部材
Claims (5)
- 連続する盛土の略天端の範囲内に盛土の連続方向に沿って少なくとも二列に地中鋼製壁体が設けられ、
前記地中鋼製壁体にはそれぞれ、可撓性を有し、地中に配置される面状補強材が接続され、
前記面状補強材はそれぞれ、隣り合う前記地中鋼製壁体間に架け渡されることなく、前記地中鋼製壁体のいずれか一つだけに接続され、
前記地中鋼製壁体のそれぞれには、前記面状補強材が隣り合う前記地中鋼製壁体の間となる側に接続され、
複数の前記面状補強材が前記地中鋼製壁体の連続方向に沿って互いに間隔をあけて並んで配置され、
一方の前記地中鋼製壁体と他方の前記地中鋼製壁体とで互い違いになるように面状補強材がずれて配置されており、一方の地中鋼製壁体の面状補強材同士の間となる前記間隔に、他方の地中鋼製壁体の面状補強材が配置されていることを特徴とする盛土の補強構造。 - 前記面状補強材が、前記地中鋼製壁体に接続された基端部から先端部に向うにつれて下に向うように斜めに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の盛土の補強構造。
- 隣り合う前記地中鋼製壁体のそれぞれに接続された面状補強材が深さ方向に重なって配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の盛土の補強構造。
- 前記面状補強材が前記地中鋼製壁体の深さ方向に複数段に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の盛土の補強構造。
- 前記地中鋼製壁体の前記面状補強材が取り付けられる側に上下方向に沿う係止溝が前記地中鋼製壁体の長さ方向に並んで設けられ、
前記面状補強材が帯状に形成されるとともに、一方の端部に棒状部材が設けられ、
前記棒状部材の両端部がそれぞれ前記係止溝に上下方向に移動自在に係止され、
ロール状に巻かれた状態の前記面状部材を展開して敷設していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の盛土の補強構造。
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