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JP6812134B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナー、およびその製造方法に関する。
近年、プリンターや複写機において高速化や低消費電力化が求められており、耐熱保存性と低温定着性を両立するトナーの開発が求められている。これに対して、結晶性樹脂を含む結着樹脂を用いたトナーが多数検討されている。結晶性樹脂は融点より低い温度範囲においては固体として高い粘弾性を示し、融点を超えると急激に粘弾性が低下するため、この性質を利用することで耐熱保存性と低温定着性の両立が期待できる。
しかしながら、結晶性樹脂を含む結着樹脂を用いたトナーにおいては、結晶性樹脂とその他の結着樹脂成分との親和性が劣るため、結着樹脂中での結晶性樹脂の分散性が不十分となり、満足する低温定着性が得られていなかった。
これに対して、特許文献1および特許文献2では、特定の縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む複合樹脂からなる結晶性樹脂を用いることで、結着樹脂中での結晶性樹脂の分散性を向上させ低温定着性を向上させることが記載されている。
特開2011−53494号公報 中国特許出願公開第102654736号公報
本発明者らの検討の結果、特許文献1および特許文献2に記載のトナーは、低温定着性は向上するものの、スチレン系樹脂で複合化することで結晶性が低下し、耐熱保存性や耐久性が低下してしまうという課題があることがわかった。
本発明の目的は、低温定着性と耐熱保存性と耐久性をより高いレベルで両立したトナーを提供することである。
本発明は、グラフトポリマーを含有する結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該グラフトポリマーが、
(i)非晶性ビニルポリマー部位と、該非晶性ビニルポリマー部位から分岐した結晶性ポリエステル部位とを有する、または、
(ii)結晶性ポリエステル部位と、該結晶性ポリエステル部位から分岐した非晶性ビニルポリマー部位とを有する、
グラフトポリマーであり、
該グラフトポリマーにおける該非晶性ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、3000以上20000以下であり、
該結晶性ポリエステル部位が、
モノマー(a)に由来するユニットと、
モノマー(b)に由来するユニットと、を有し、
該モノマー(a)が、下記モノマー群Aから選択される1つまたは2つ以上のモノマーであり、
該モノマー(b)が、下記モノマー群Bから選択される1つまたは2つ以上のモノマーであり、
該結晶性ポリエステル部位が、
単位質量当たりの、モノマー(a)に由来するユニットのモル数をMa(モル/g)とし、
単位質量当たりの、モノマー(b)に由来するユニットのモル数をMb(モル/g)としたときに、
下記式(1)で算出されるモノマー(b)に由来するユニットの含有率X(モル%)が、1.0モル%以上10モル%以下であり、
該グラフトポリマーの融点が、50℃以上85℃以下であることを特徴とするトナーである。
X={Mb/(Ma+Mb)}×100 (1)
[モノマー群A:
炭素数2以上11以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、
炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、
炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、
該炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物、
該炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基がアルキルエステル化した化合物、
該炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸のカルボキシ基が、アルキルエステル化した化合物、並びに、
該炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸がラクトン化した化合物]
[モノマー群B:
炭素数12以上22以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、
炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、
炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、
該炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物、
該炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、
該炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、並びに、
該炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸がラクトン化した化合物]
本発明により、低温定着性と耐熱保存性と耐久性をより高いレベルで両立したトナーを提供することができる。
以下に、本発明のトナーについて、さらに詳しく説明する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定構造のグラフトポリマーを含有する結着樹脂を含有するトナー粒子を有することで、低温定着性と耐熱保存性と耐久性をより高いレベルで両立したトナーが得られることを見出して、本発明に至った。
すなわち、本発明のトナーは、グラフトポリマーを含有する結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
〔I〕該グラフトポリマーが、
(i)非晶性ビニルポリマー部位と、該非晶性ビニルポリマー部位から分岐した結晶性ポリエステル部位とを有する、または
(ii)結晶性ポリエステル部位と、該結晶性ポリエステル部位から分岐した非晶性ビニルポリマー部位とを有する、
グラフトポリマーである。
該結晶性ポリエステル部位が、モノマー(a)に由来するユニットと、モノマー(b)に由来するユニットと、を有する。該モノマー(a)が、下記モノマー群Aから選択される1つまたは2つ以上のモノマーであり、該モノマー(b)が、下記モノマー群Bから選択される1つまたは2つ以上のモノマーである。
該結晶性ポリエステル部位が、下記式(1)で算出されるモノマー(b)に由来するユニットの含有率X(モル%)が、1.0モル%以上24モル%以下である。
X={Mb/(Ma+Mb)}×100 (1)
(式(1)中、Ma(モル/g)は、単位質量当たりの、モノマー(a)に由来するユニットのモル数を示す。Mb(モル/g)は、単位質量当たりの、モノマー(b)に由来するユニットのモル数を示す。)
[モノマー群A:
炭素数2以上11以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、
炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、
炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、
該炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物、
該炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基がアルキルエステル化した化合物、
該炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、並びに
該炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸がラクトン化した化合物]
[モノマー群B:
炭素数12以上22以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、
炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、
炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、
該炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物、
該炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、
該炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、並びに
該炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸がラクトン化した化合物]
〔II〕該グラフトポリマーの融点が、50℃以上85℃以下であることを特徴とする。
本発明者らは、本発明のトナーが前記効果を発現したメカニズムを以下のように考えている。
結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位を有する従来のグラフトポリマーは、結着樹脂中でのグラフトポリマーの分散性を向上させ低温定着性を向上させる。しかし、非晶性ビニルポリマーを複合化することで結晶性が低下し、バインダーを一部可塑することで、耐熱保存性が低下する。さらに機械的強度が低下し劣化したトナーが起因となって、画像上に感光体ドラムの長手方向に直交したスジ状の画像抜け(現像スジ)が生じるといった耐久性の低下を引き起こす。
また、従来のグラフトポリマーにおいて、メチレン基数が11個以下であるモノマー(a)を反応させて得られた結晶性ポリエステルは低温定着性に優れるが、結晶性が低く耐熱保存性、耐久性が低い。メチレン基数が12個以上であるモノマー(b)を反応させて得られた結晶性ポリエステルは、結晶性は高く耐熱保存性、耐久性は高いが、低温定着性に劣るといったトレードオフの関係がある。そして、モノマー(a)およびモノマー(b)を単純に併用した結晶性ポリエステルではやはり低温定着性と耐熱保存性、耐久性は同様にトレードオフの関係となる。
本発明における結晶性ポリエステル部位は、モノマー(a)とモノマー(b)とを反応させて得られた樹脂(モノマー(a)に由来するユニットとモノマー(b)に由来するユニットを有する樹脂)である。そして、モノマー(b)に由来するユニットの含有率X(モル%)が1.0モル%以上24モル%以下である。これにより、低温定着性と耐熱保存性、耐久性の両立が可能となっている。これは、モノマー(b)に由来するメチレン基数12個以上のアルキレン鎖がグラフトポリマー中に存在することで、トナー中でグラフトポリマーが結晶化する際に結晶の起点となる造核作用を発現したと考えている。このため、結晶性ポリエステル部位の主成分がモノマー(a)に由来するユニットであるにもかかわらず結晶性が飛躍的に向上し、本発明の効果を発現したものと考えている。
なお、上記含有率X(モル%)は、単位質量当たりの、モノマー(a)に由来するユニットのモル数をMa(モル/g)、単位質量当たりの、モノマー(b)に由来するユニットのモル数をMb(モル/g)としたとき、下記式(1)で算出される。なお、単位質量当たりとは、結晶性ポリエステル部位を構成する全モノマーユニットを1gとする。
X={Mb/(Ma+Mb)}×100 (1)
なお、グラフトポリマーの定義としては、ある高分子中に側鎖として主鎖に結合した1種または数種のブロックがあり、しかもこれらの側鎖が主鎖とは異なる構成(化学構造)上または配置上の特徴をもつ高分子(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。
本発明のグラフトポリマーは、非晶性ビニルポリマー部位と、該非晶性ビニルポリマー部位から分岐した結晶性ポリエステル部位とを有する。または、結晶性ポリエステル部位と、該結晶性ポリエステル部位から分岐した非晶性ビニルポリマー部位とを有する。結晶性ポリエステル部位の「結晶性」とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピークを有することを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
モノマー群Aにおける炭素数2以上11以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオールなどが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。
モノマー群Aにおける炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸などが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。これらは反応において、カルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物またはアルキルエステル化した化合物の形で用いてもよい。
モノマー群Aにおける炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸としては、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸などが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。これらは反応において、これらの化合物がラクトン化した化合物またはアルキルエステル化した化合物の形で用いてもよい。
モノマー群Aとして、より好ましくは、炭素数2以上11以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸である。
モノマー群Bにおける炭素数12以上22以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオールとしては、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサンジオール、1,21−ヘンイコサンジオール、1,22−ドコサンジオールなどが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。
モノマー群Bにおける炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,17−ヘプタデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,19−ノナデカンジカルボン酸、1,20−イコサンジカルボン酸、1,21−ヘンイコサンジカルボン酸、1,22−ドコサンジカルボン酸などが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。これらは反応において、カルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物またはアルキルエステル化した化合物の形で用いてもよい。
モノマー群Bにおける炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸としては、13−ヒドロキシトリデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、17−ヒドロキシヘプタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、19−ヒドロキシノナデカン酸、20−ヒドロキシイコサン酸、21−ヒドロキシヘンイコサン酸、22−ヒドロキシドコサン酸、23−ヒドロキシトリコサン酸などが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。これらは反応において、これらの化合物がラクトン化した化合物またはアルキルエステル化した化合物の形で用いてもよい。
モノマー群Bとして、より好ましくは、炭素数12以上22以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸である。
結晶性ポリエステル部位は、モノマー(a)が2種、モノマー(b)が1種、又はモノマー(a)が1種、モノマー(b)が2種を縮重合させて得られる三元系共重合体である場合が、低温定着性に優れるという点及び原料入手容易性という点で好ましい。
本発明におけるグラフトポリマー中の結晶性ポリエステル部位は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記モノマー群Aまたはモノマー群Bから選択されるモノマーの他に、さらにモノマーを反応させてもよい。例えば、芳香族ジカルボン酸、分岐脂肪族ジカルボン酸、環式脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジオール、分岐脂肪族ジオール、環式脂肪族ジオールなどが挙げられる。なお、その他のモノマーを加える場合、モノマー(a)に由来するユニットとモノマー(b)に由来するユニットとを合計した含有比率は、結晶性ポリエステル部位を構成する全モノマーユニットに対して、80モル%以上100モル%以下であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上100モル%以下、特に好ましくは95モル%以上100モル%以下である。
具体的には、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。分岐脂肪族ジカルボン酸としては、ジメチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジエチルマロン酸、1−メチルブチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、ジイソブチルマロン酸などが挙げられる。
環式脂肪族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸などが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物などが挙げられる。
分岐脂肪族ジオールとしては、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ピナコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,5−ジメチル−2,4−ドコサンジオールなどが挙げられる。
環式脂肪族ジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
また、該グラフトポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、末端封止剤を用いても良い。末端封止剤を用いることにより、該グラフトポリマーの分子量、酸価、水酸基価などを簡便に調整することが可能となる。例えば、末端封止剤としては、一価の酸やその誘導体、一価のアルコールなどが挙げられる。
具体的には、一価の酸やその誘導体としては、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、安息香酸およびそれらの酸無水物などが挙げられる。
一価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールなどが挙げられる。
前記モノマー(b)に由来するユニット(部分構造)の含有率Xは、低温定着性に優れ、かつより耐熱保存性に優れる点で、より好ましくは3.0モル%以上20モル%以下であり、さらに好ましくは5.0モル%以上15モル%以下である。
なお、該含有率Xは、グラフトポリマーの結晶性ポリエステル部位製造時の原料の仕込み量により制御することができる。
本発明において、トナー粒子に含有される結着樹脂中のグラフトポリマーの含有量は、結着樹脂の全質量に対して、1.0質量%以上35質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。結着樹脂中のグラフトポリマーの含有量が1.0質量%以上であれば(より好ましくは5.0質量%以上であれば)低温定着性がさらに向上する。一方、結着樹脂中のグラフトポリマーの含有量が35質量%以下であれば、機械的強度が低下しにくいため、耐久性が低下しにくく、現像スジなどの画像弊害が発生しにくくなる。
なお、トナー粒子に含有される結着樹脂中のグラフトポリマーの含有量は、トナー製造時の原料の仕込み量により制御することができる。
本発明において、グラフトポリマーにおける、結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)は40/60以上90/10以下であることが好ましい。
C/A比が90/10以下であれば、非晶性ビニルポリマー部位の特性がより良く発現される。そして、トナー凝固時におけるトナー粒子中のグラフトポリマーの分散性向上により低温定着性が向上することに加えて、耐熱保存性、耐久性が向上する。一方、C/A比が40/60以上であれば、結晶性ポリエステル部位の特性がより良く発現され、低温定着性が向上する。グラフトポリマーにおける、結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)は、より好ましくは70/30以上85/15以下である。
なお、該C/A比はグラフトポリマー製造時の原料の仕込み量により制御することができる。
本発明において、グラフトポリマーにおける非晶性ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)は3000以上20000以下であることが好ましい。非晶性ビニルポリマー部位の重量平均分子量が3000以上であれば、機械的強度の向上によりトナーの耐久性が向上する。一方、非晶性ビニルポリマー部位の重量平均分子量が20000以下であれば、グラフトポリマー自身の溶融時の粘度低下が大きいため、低温定着性が向上する。
なお、グラフトポリマーにおける非晶性ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)は、開始剤の量、添加タイミング、反応温度などにより前記範囲に制御することができる。
前記非晶性ビニルポリマー部位は、好ましくは、以下の群から選択される1または2以上の重合性単量体から生成される。該重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンなどのスチレン系重合性単量体;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類;などが挙げられるが、原料入手容易性、グラフトポリマー製造容易性の観点からスチレンが好ましい。
本発明において、グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)は、15000以上100000以下であることが好ましく、20000以上45000以下であることがより好ましい。グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)が15000以上であれば、グラフトポリマーの結晶性が向上したり、機械的強度が向上したりするため、耐熱保存性や耐久性が向上する。一方、グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)が100000以下であれば、分子の動きが緩慢となりにくく、トナー溶融時におけるグラフトポリマーが結着樹脂を可塑する効果が向上するため、低温定着性が向上する。
なお、グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)は、開始剤の量、添加タイミング、反応温度などにより前記範囲に制御することができる。
なお、グラフトポリマーの融点は、50℃以上85℃以下であり、これは結晶性ポリエステル部位を構成するモノマーやグラフトポリマーにおける、結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)などにより前記範囲に制御することができる。
本発明における結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂などを用いることが可能であるが、モノマー(b)に由来するユニットの導入により親和性が向上し、低温定着性がより向上するという点でスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
本発明において、スチレンアクリル樹脂を構成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体あるいは多官能性重合性単量体を使用することができる。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、および、ジビニルエーテルが挙げられる。
単官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上組み合わせて、または、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、または、多官能性重合性単量体を単独で、あるいは、二種以上を組み合わせて使用する。重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合し、それらとアクリル系重合性単量体とを混合してスチレンアクリル樹脂とすることが、トナーの現像特性および耐久性の観点から好ましい。
本発明において、トナー粒子の製造方法は、特に限定されないが、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法のように水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒するトナー粒子の製造方法によって得ることが好ましい。
以下、本発明に用いられるトナー粒子の製造方法の中で最も好適な懸濁重合法を用いて、トナー粒子の製造方法を説明する。
上述した結着樹脂を構成し得る重合性単量体、特定のグラフトポリマーおよび必要に応じて、着色剤、ワックスなどその他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機を用いて均一に溶解または分散させ、これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行なうことによってトナー粒子は製造される。
重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
懸濁重合法のように水系媒体を用いる重合法の場合には、前記重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することが好ましい。極性樹脂を添加することにより、グラフトポリマーやワックスの内包化の促進を図ることができる。
水系媒体に懸濁した重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから、極性樹脂が水系媒体と重合性単量体組成物との界面付近に移行しやすいため、トナー粒子の表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果、トナー粒子はコア−シェル構造を有する。
また、シェルに用いる極性樹脂に、溶融温度の高いものを選択すれば、低温定着を目的として結着樹脂をより低温で溶融するような設計とした場合でも、トナーの保存中におけるブロッキングの発生を抑制することができる。
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂またはカルボキシ基含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂またはカルボキシ基含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
極性樹脂に係るポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合した樹脂を用いることができる。酸成分単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、および、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類およびポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが挙げられる。
極性樹脂に係るカルボキシ基含有スチレン系樹脂としては、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体などが好ましく、特にスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御し易く好ましい。
また、カルボキシ基含有スチレン系樹脂は1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
前記極性樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上10質量部以下である。
本発明において、公知のワックスを用いることができる。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムに代表される石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスに代表される天然ワックスおよびそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸およびその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、もしくは、石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性が向上する傾向があり好ましい。なお、これらのワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、これらのワックスは、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下使用するのが好ましい。
本発明に用いられるワックスの融点は30℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下である。
前記のような熱特性を呈するワックスを用いることにより、離型効果が効率良く発現され、十分な定着領域が確保される。
本発明において、公知の着色剤を用いることができる。該着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、および、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、および、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、および、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、および、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、および、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、および、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、および、前記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、およびシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、および、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下用いることが好ましい。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性を考慮し、重合阻害のない物質による疎水化処理を施した着色剤を用いることが好ましい。染料を疎水化処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめて着色重合体を得る方法が挙げられ、この得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、前記染料と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
本発明において、荷電制御剤または荷電制御樹脂を用いてもよい。
該荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシカルボン酸およびジカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂などが挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、および、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。
これら荷電制御剤または荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤または荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
一方、荷電制御樹脂として、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を用いることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2.0質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5.0質量%以上含有することである。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下であり、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000以上50,000以下であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有している為、例えば重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性や、着色剤などの分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
前記重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、および、tert−ブチル−パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、および、2,2’−アゾビス−(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、および、アンモニウム塩)の無機過酸化物、および、4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、および、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、および、エチルアミンのような炭素数1以上6以下程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1以上6以下)、アスコルビン酸またはその塩、および低級アルデヒド(炭素数1以上6以下)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20質量部以下が添加される。
また、重合度を制御するため公知の連鎖移動剤、および、重合禁止剤をさらに添加することも可能である。
重合性単量体を重合させる場合に各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、および、トリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能性化合物が挙げられる。
水系媒体を調製する時に使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤、および、有機化合物の分散安定剤を用いることができる。無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、および、アルミナが挙げられる。一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸およびその塩、および、デンプンが挙げられる。これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で該無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、および、それらの複酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。
例えば、トナー粒子に、無機微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。無機微粒子の外添方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業(株)(旧:三井三池化工機(株))製)を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粒子としては、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、および、高温高湿下での流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量、および、流動性が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、および、有機チタン化合物が挙げられる。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いてもあるいは併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以上2.5質量部以下である。外添剤は、トナーの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<分子量の測定方法>
グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、グラフトポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
なお、グラフトポリマーにおけるビニルポリマー部位の分子量の測定は、例えば、グラフトポリマーの結晶性ポリエステル部位を加水分解させた後、ビニルポリマー部位を分離して行う。
具体的な方法は、グラフトポリマー30mgにジオキサン5.0ml、10質量%の水酸化カリウム水溶液1.0mlを加え、温度70℃で6時間振とうさせて結晶性ポリエステル部位を加水分解させる。透析や各種クロマトグラフィーにより非晶性ビニルポリマー部位を抽出、乾燥し、非晶性ビニルポリマー部位を得る。その後の操作は、グラフトポリマーと同様に行う。
<グラフトポリマーの結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)の測定方法>
グラフトポリマーの結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)は核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて行う。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から結晶性ポリエステル部位と非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)を算出する。
<融点の測定方法>
グラフトポリマーの融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、グラフトポリマー5.00mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて降温速度10℃/minで30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、グラフトポリマーのDSC測定における融点(Tm)とする。
<トナーからのグラフトポリマーおよびその他の結着樹脂の分離>
トナーからの、グラフトポリマーおよびその他の結着樹脂を分離する方法は、下記方法を用いるとよい。下記方法で分離を行い、さらに構造の特定など各物性の特定を行う。
(分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるトナーからの結着樹脂およびワックスの分離)
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のクロロホルム溶液を調製し、分取GPC装置を用いて、ワックス由来の低分子量成分と、樹脂由来の高分子量成分とを分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
サンプル濃度:25mg/ml
サンプル量:3.5ml
樹脂由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。該樹脂成分が100mg程度得られるまで前記操作を繰り返す。
(グラフトポリマーおよびその他の結着樹脂)
前記作業で得られた樹脂100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却してグラフトポリマーを再結晶させる。グラフトポリマーを吸引ろ過して、結晶性のグラフトポリマーとろ液に分離する。
次いで、分離したろ液をメタノール500mlへ徐々に加えて、残りの結着樹脂を再沈殿させる。その後、吸引ろ過器でその結着樹脂を取り出す。
得られたグラフトポリマーおよびその他の結着樹脂を40℃で24時間減圧乾燥する。
<グラフトポリマーおよびその他の結着樹脂の構造の特定>
グラフトポリマーおよびその他の結着樹脂の構造は核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて特定する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<グラフトポリマーの結晶性ポリエステル部位におけるモノマー(b)に由来する部分構造の含有率Xの測定>
グラフトポリマーの結晶性ポリエステル部位におけるモノマー(b)に由来する部分構造の含有率Xは、グラフトポリマーの核磁気共鳴分光分析(H−NMR)スペクトル積分値から算出する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<トナーからの結着樹脂中のグラフトポリマーの含有量の測定>
グラフトポリマーの含有量は、グラフトポリマーおよびその他の結着樹脂の各々の核磁気共鳴分光分析(H−NMR)スペクトルを基にトナーの核磁気共鳴分光分析(H−NMR)スペクトルの積分値から算出する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
<グラフトポリマー1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、モノマー群Aから1,6−ヘキサンジオール139質量部、モノマー群Bから1,12−ドデカンジオール55.5質量部を加え、170℃に加熱した。そこに、スチレン100質量部、アクリル酸5.93質量部およびジクミルパーオキサイド7.42質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下完了後、さらに3時間反応させた。その後、モノマー群Aから1,10−デカンジカルボン酸303質量部、エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシドを、結晶性ポリエステルを生成する全モノマーに対して0.25モル%(1.97質量部)の量で加えて、160℃で3時間反応させた。その後、180℃で3時間反応させ、さらに180℃、8kPaで所望の分子量となるまで反応させてグラフトポリマー1を得た。得られたグラフトポリマー1の物性を表2に示す。グラフトポリマー1は、スチレンおよびアクリル酸に由来するユニットを含む非晶性ビニルポリマー部位と、アクリル酸から分岐した上記ジオールおよび上記ジカルボン酸に由来するユニットを含む結晶性ポリエステル部位を有する。
<グラフトポリマー2〜7、12〜23の製造>
表1に示すような原料に変更すること以外はグラフトポリマー1の製造と同様にしてグラフトポリマー2〜7、12〜23を得た。得られたグラフトポリマー2〜7、12〜23の物性を表2に示す。これらのグラフトポリマーは、スチレンおよびアクリル酸に由来するユニットを含む非晶性ビニルポリマー部位と、アクリル酸から分岐した上記ジオールおよび上記ジカルボン酸に由来するユニットを含む結晶性ポリエステル部位を有する。
<グラフトポリマー8の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、モノマー群Aから選択されるモノマーとして1,6−ヘキサンジオール162質量部、1,10−デカンジカルボン酸347質量部、モノマー群Bから選択されるモノマーとして1,12−ドデカンジオール66.6質量部およびエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシドを、結晶性ポリエステルを生成する全モノマーに対して0.25モル%(1.95質量部)の量で加えて、160℃に加熱し3時間反応させた。その後、メタクリル酸9.45質量部を加えて、160℃で3時間反応させた。そこにスチレン100質量部およびジクミルパーオキサイド29.7質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下完了後、1時間反応させた。その後、180℃、8kPaで所望の分子量となるまで反応させてグラフトポリマー8を得た。得られたグラフトポリマー8の物性を表2に示す。グラフトポリマー8は、上記ジオールおよび上記ジカルボン酸に由来するユニットを含む結晶性ポリエステル部位と、結晶性ポリエステル部位末端のジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール)から分岐したメタクリル酸およびスチレンに由来するユニットを含む非晶性ビニルポリマー部位を有する。
<グラフトポリマー9〜11の製造>
表1に示すような原料に変更すること以外はグラフトポリマー8の製造と同様にしてグラフトポリマー9〜11を得た。得られたグラフトポリマー9〜11の物性を表2に示す。これらのグラフトポリマーは、上記ジオールおよび上記ジカルボン酸に由来するユニットを含む結晶性ポリエステル部位と、結晶性ポリエステル部位末端のジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール)から分岐したメタクリル酸およびスチレンに由来するユニットを含む非晶性ビニルポリマー部位を有する。
<結着樹脂用ポリマー1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、テレフタル酸22.6質量部、無水トリメリット酸1.80質量部、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン75.6質量部、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.200質量部を加えて、200℃に加熱し、窒素を導入しつつ生成する水を除去しながら8時間反応させ、その後、8kPaで所望の分子量となるまで反応させて、結着樹脂用ポリマー1を合成した。得られた結着樹脂用ポリマー1の重量平均分子量(Mw)は8000であった。
<比較ポリマー1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,9−ノナンジオール194質量部、カルコール6870(花王株式会社製)31.3質量部を加え、170℃に加熱し、そこに、スチレン100質量部、アクリル酸6.44質量部およびジクミルパーオキサイド8.03質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下完了後、さらに1時間反応させた。その後、セバシン酸211質量部、チタン(IV)イソプロポキシド1.50質量部、ターシャリーブチルカテコール0.250質量部を加えて、180℃で10時間反応させた。その後、無水トリメリット酸12.2部を加えて、180℃、8kPaで所望の分子量となるまで反応させて比較ポリマー1を得た。得られた比較ポリマー1の物性を表2に示す。
<比較ポリマー2の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン50.0質量部を入れ、窒素雰囲気下、100℃に加熱し、そこにメタクリル酸メチル60.0質量部、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル5.00質量部、メタクリル酸イソブチル35.0質量部およびアゾビスイソブチロニトリル1.40質量部の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下完了後、140℃で1時間反応させ、140℃、8kPaで溶媒および残存モノマーを除去して官能アクリル酸エステルプレポリマーを得た。重量平均分子量(Mw)は30000であった。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、前記官能アクリル酸エステルプレポリマー100質量部、1,10−デカンジカルボン酸184質量部、1,12−ドデカンジオール182質量部、ブチルトリス(2−エチルヘキサノイルオキシ)スズ(IV)および亜リン酸エステルを加えて、窒素雰囲気下200℃で1時間反応させた。その後、230℃で反応させ、理論上95%の縮合水を回収したところで、テレフタル酸50.0質量部を加えて、250℃で2時間反応させた。その後、250℃、8kPaで所望の分子量となるまで反応させて比較ポリマー2を得た。得られた比較ポリマー2の物性を表2に示す。
Figure 0006812134
Figure 0006812134
<トナー1の製造>
温度60℃に加温したイオン交換水1.30×10質量部に、リン酸三カルシウム9.00質量部を添加し、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)(旧:特殊機化工業(株))製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の結着樹脂材料をプロペラ式撹拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して溶解液を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 20.0質量部
・グラフトポリマー1 10.0質量部
次に前記溶解液に、
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.50質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−84、オリエント化学工業社製) 0.500質量部
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 9.00質量部
・負荷電性制御樹脂1 0.700質量部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、酸価14.5mgKOH/g、Tg=83℃、Mw=33,000)
・極性樹脂 5.00質量部
(スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にT.K.ホモミクサーにて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
続いて、前記水系媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤としてパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日油社(旧:日本油脂社)製)) 6.00質量部を加え、温度70℃にてT.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間撹拌し、造粒した。
プロペラ式撹拌装置に移して撹拌速度200rpmで撹拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。トナー粒子中には、スチレンアクリル樹脂が90.0質量部、グラフトポリマーが10.0質量部、シアン着色剤が6.50質量部、ワックスが9.00質量部、負荷電性制御剤が0.500質量部、負荷電性制御樹脂1が0.700質量部、極性樹脂5.00質量部含まれていた。
前記トナー粒子100質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.50質量部を、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業(株)製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。トナー1の物性を表3に示す。なお、D1は数平均粒径であり、D4は重量平均粒径である。得られたトナー1の示差走査熱量測定において、結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピークを有していることが認められた。
<トナー2〜26の製造>
表3に示す原材料および添加部数に変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜26を得た。トナー2〜26の物性を表3に示す。得られたトナー2〜26の示差走査熱量測定において、結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピークを有していることが認められた。
Figure 0006812134
<トナー27の製造>
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物を分級してトナー粒子を得た。
・結着樹脂 90.0質量部
[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=30,000、Tg=58℃)]
・グラフトポリマー1 10.0質量部
・C.I.Pigment Blue15:3 5.50質量部
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 3.00質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE−84〕
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 6.00質量部
得られたトナー粒子100質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.50質量部を、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業(株)製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー27を得た。トナー27において、D1=4.5μm、D4=5.9μmであった。
<トナー28の製造>
(樹脂粒子分散液1の調製)
・結着樹脂用ポリマー1 100質量部
・ノニポール400(三洋化成工業(株)製) 1.50質量部
・ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 2.20質量部
・メチルエチルケトン 300質量部
以上を混合し、60℃で加熱、撹拌、溶解したものにイオン交換水800質量部を加えた後、50℃以下でメチルエチルケトンを留去し、平均粒径が0.28μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
(樹脂粒子分散液2の調製)
・グラフトポリマー1 100質量部
・ノニポール400(三洋化成工業(株)製) 1.50質量部
・ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 2.20質量部
・メチルエチルケトン 300質量部
以上を混合し、60℃で加熱、撹拌、溶解したものにイオン交換水800質量部を加えた後、50℃以下でメチルエチルケトンを留去し、平均粒径が0.36μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
(着色剤粒子分散液の調製)
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0質量部
・ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 3.00質量部
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.20μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(ワックス粒子分散液の調製)
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 50.0質量部
・ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 7.00質量部
・イオン交換水 200質量部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.50μmであるワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
(荷電制御粒子分散液の調製)
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.00質量部
(負荷電性制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 3.00質量部
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。
(混合液の調製)
・樹脂粒子分散液1 810質量部
・樹脂粒子分散液2 91.0質量部
・着色剤粒子分散液 28.0質量部
・ワックス粒子分散液 47.0質量部
以上を、撹拌装置、冷却管、温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1.0モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、8.0%塩化ナトリウム水溶液120質量部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。この温度の時、荷電制御粒子分散液を10.5質量部加えた。温度55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が3.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、ここにネオゲンSC(第一工業製薬(株)製)3.00質量部を追加した後、撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱し、4.5時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、温度45℃で流動層乾燥を行い、トナー粒子を得た。トナー粒子には、結着樹脂用ポリマー1が90.0質量部、グラフトポリマーが10.0質量部、シアン着色剤が5.50質量部、ワックスが9.00質量部、負荷電性制御剤が0.600質量部含まれていた。
得られたトナー粒子100質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.50質量部を、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業(株)製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー28を得た。トナー28において、D1=4.5μm、D4=6.1μmであった。
<トナー29の製造>
・結着樹脂用ポリマー1 90.0質量部
・グラフトポリマー1 10.0質量部
・メチルエチルケトン 100質量部
・酢酸エチル 100質量部
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 9.00質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.50質量部
・負荷電性制御樹脂1 1.00質量部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、酸価14.5mgKOH/g、Tg=83℃、Mw=33,000)
前記材料を、アトライター(日本コークス工業(株)製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水3000.0質量部にリン酸カルシウム27.0質量部を添加し、T.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。前記水系媒体へ前記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。その後、T.K.ホモミクサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持し、内温を温度95℃に昇温して3時間保持して分散液から溶剤を除去し、トナー粒子の分散液を調製した。
得られたトナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。前記分散液を加圧ろ過器にて、ろ過・洗浄をしてトナー凝集物を得た。その後、トナー凝集物を破砕、乾燥してトナー粒子を得た。トナー粒子には、結着樹脂用ポリマー1が90.0質量部、グラフトポリマーが10.0質量部、シアン着色剤が6.50質量部、ワックスが9.00質量部、負荷電性制御樹脂1が1.00質量部含まれていた。
得られたトナー粒子100質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.50質量部を三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業(株)製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー29を得た。トナー29において、D1=3.9μm、D4=6.3μmであった。
<比較トナー1の製造>
トナー1の製造において、グラフトポリマー1(10.0質量部)を比較ポリマー1(10.0質量部)に変更すること以外はトナー1と同様の製造方法で比較トナー1を得た。比較トナー1において、D1=4.1μm、D4=5.8μmであった。
<比較トナー2の製造>
トナー1の製造において、グラフトポリマー1(10.0質量部)を比較ポリマー2(10.0質量部)に変更すること以外はトナー1と同様の製造方法で比較トナー2を得た。比較トナー2において、D1=4.2μm、D4=5.8μmであった。
<トナー評価>
〔耐熱保存性(ブロッキング)〕
各トナー5gを50ccポリカップに取り、温度55℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べて評価した。本発明では、C以上が本発明の効果が得られているレベルである。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
<画像評価>
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet 3525dn〕を一部改造して評価を行った。改造は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、プロセスカートリッジに各トナー(300g)を導入し、トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
〔低温定着性〕
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を形成し、このベタ画像を、定着温度を変えて評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m)を用いた。本発明では、D以上が本発明の効果が得られているレベルである。(評価基準)
A:120℃でオフセットせず
B:120℃でオフセット発生
C:125℃でオフセット発生
D:130℃でオフセット発生
E:135℃でオフセット発生
〔耐久性〕
常温常湿環境下(温度23℃/湿度60%RH)、および、高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、横線で1%の印字率の画像を35000枚プリントアウト試験終了後、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm)の画像をプリントアウトし、現像スジの発生状況により耐久性を評価した。本発明では、C以上が本発明の効果が得られているレベルである。
(評価基準)
A:現像スジが未発生
B:現像スジが1カ所以上3カ所以下発生
C:現像スジが4カ所以上6カ所以下発生
D:現像スジが7カ所以上発生、あるいは、幅0.5mm以上発生
〔実施例1〜10、12、13、15〜22、25〜29、参考例11、14、23、24
実施例1〜10、12、13、15〜22、25〜29、参考例11、14、23、24では、トナー1〜29をそれぞれ用いて前記評価を行った。その評価結果を表4に示す。
〔比較例1および2〕
比較例1および2では、比較トナー1および2をそれぞれ用いて前記評価を行った。その評価結果を表4に示す。
Figure 0006812134

Claims (9)

  1. グラフトポリマーを含有する結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該グラフトポリマーが、
    (i)非晶性ビニルポリマー部位と、該非晶性ビニルポリマー部位から分岐した結晶性ポリエステル部位とを有する、または
    (ii)結晶性ポリエステル部位と、該結晶性ポリエステル部位から分岐した非晶性ビニルポリマー部位とを有する、
    グラフトポリマーであり、
    該グラフトポリマーにおける該非晶性ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、3000以上20000以下であり、
    該結晶性ポリエステル部位が、
    モノマー(a)に由来するユニットと、
    モノマー(b)に由来するユニットと、
    を有し、
    該モノマー(a)が、下記モノマー群Aから選択される1つまたは2つ以上のモノマーであり、
    該モノマー(b)が、下記モノマー群Bから選択される1つまたは2つ以上のモノマーであり、
    該結晶性ポリエステル部位が、
    単位質量当たりの、モノマー(a)に由来するユニットのモル数をMa(モル/g)とし、
    単位質量当たりの、モノマー(b)に由来するユニットのモル数をMb(モル/g)としたときに、
    下記式(1)で算出されるモノマー(b)に由来するユニットの含有率X(モル%)が、1.0モル%以上10モル%以下であり、
    該グラフトポリマーの融点が、50℃以上85℃以下である
    ことを特徴とするトナー。
    X={Mb/(Ma+Mb)}×100 (1)
    [モノマー群A:
    炭素数2以上11以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、
    炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、
    炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、
    該炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物、
    該炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基がアルキルエステル化した化合物、
    該炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸のカルボキシ基が、アルキルエステル化した化合物、並びに
    該炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸がラクトン化した化合物]
    [モノマー群B:
    炭素数12以上22以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、
    炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、
    炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、
    該炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基が分子内酸無水物化した化合物、
    該炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、
    該炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸のカルボキシ基がアルキルエステル化した化合物、並びに
    該炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸がラクトン化した化合物]
  2. 前記グラフトポリマーの含有量が、前記結着樹脂の全質量に対して、1.0質量%以上35質量%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記グラフトポリマーにおける、前記結晶性ポリエステル部位と前記非晶性ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)が、40/60以上90/10以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)が、15000以上100000以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記結晶性ポリエステル部位が、三元系共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記モノマー(b)に由来するユニットの含有率X(モル%)が3.0モル%以上10モル%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記モノマー群Aが、炭素数2以上11以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、炭素数2以上13以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸であり、
    前記モノマー群Bが、炭素数12以上22以下のα,ω−直鎖脂肪族ジオール、炭素数14以上24以下のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、炭素数13以上23以下のα,ω−直鎖脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸である
    請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記結着樹脂が、スチレンアクリル系樹脂をさらに含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
    該製造方法が、
    前記グラフトポリマーを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合する工程
    を有することを特徴とするトナーの製造方法。
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