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JP6888379B2 - 放射線硬化型インクジェット組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

放射線硬化型インクジェット組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射線硬化型インクジェット組成物及び該組成物を用いるインクジェット記録方法に関する。
近年、高い耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを有する画像を記録媒体の表面に形成するため、インクジェット方式の記録方法において放射線を照射すると硬化する、放射線硬化型のインク組成物が使用されている。
例えば、特許文献1には、70質量%以上の単官能ラジカル重合性モノマー、及び、18質量%以上の特定の多官能アクリレートオリゴマーを含有する、活性光線硬化型インク組成物が開示されている。同文献には、係る組成物は、高温下での延伸性及び密着性に優れ、更に、特にインモールド成形における射出成形適性(インク流れ耐性)に優れ、更に、打ち抜きの際のひび割れが抑制された画像が得られる等の記載がある。
特開2013−227515号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されているインク組成物は、モノマーの一種として、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)を含有しているにもかかわらず硬化性は不十分であった。そのため、VEEAの添加量を高めることにより、硬化性を向上させることが考えられるが、単純にその添加量を多くすると、硬化後の硬度が高まり、硬化物の柔軟性が不足してしまうことが懸念される。他方、放射線硬化型インクジェット組成物は、単官能モノマーや多官能モノマーなどの重合性化合物、光重合開始剤などの有機材料によって構成されるため、放射線硬化型インクジェット組成物においては、組成物自体の臭気を低減することも重要である。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、臭気が少なく、良好な硬化性及び硬化後の柔軟性を示す放射線硬化型インクジェット組成物、及び、インクジェット記録方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係る放射線硬化型インクジェット組成物の一態様は、
下記一般式(I)で表されるモノマーAと、
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(I)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイル基を一個有し、窒素原子の個数、並びに、前記(メタ)アクリロイルオキシ基及び前記(メタ)アクリロイル基に含まれる酸素原子以外の酸素原子の個数の合計が2以上である、環状、直鎖状又は分岐鎖状の構造を有するモノマーBと、
下記一般式(II)で表されるモノマーCと、
Figure 0006888379
(式(II)中、nは2〜6の整数を表す。)
を含有し、
前記モノマーAを、総質量に対して合計で10質量%以上含有する。
このようなインクジェット組成物は、モノマーBを含有することにより臭気が少なく、モノマーAを10質量%以上含有することにより、良好な硬化性を示し、モノマーCを含有することにより、硬化後の柔軟性が良好である。
本発明に係る放射線硬化型インクジェット組成物において、
前記モノマーCを、総質量に対して合計で23質量%以下含有してもよい。
このような放射線硬化性型インクジェット組成物は、保存安定性がより良好である。
本発明に係る放射線硬化型インクジェット組成物において、
前記モノマーAを、総質量に対して合計で25質量%以下含有してもよい。
このような放射線硬化性型インクジェット組成物は、硬化後の柔軟性がさらに良好であり、かつ、組成物の保存安定性がさらに良好である。
本発明に係る放射線硬化型インクジェット組成物において、
前記モノマーCを、総質量に対して合計で5質量%以上含有してもよい。
このような放射線硬化性型インクジェット組成物は、さらに臭気が低減される。
本発明に係る放射線硬化型インクジェット組成物において、
前記モノマーAを、総質量に対して合計で10質量%以上25質量%以下含有してもよい。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
上述の放射線硬化型インクジェット組成物を記録媒体に付着させる工程と、
前記放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV−LEDの光を照射する工程と、を含む。
本発明に係るインクジェット記録方法において、
前記UV−LEDの照射エネルギーは、50〜1000mJ/cmであってもよい。
本発明に係るインクジェット記録方法において、
前記UV−LEDの照射強度は、10〜1000mW/cmであってもよい。
本発明に係るインクジェット記録方法において、
前記記録媒体に付着させる工程における前記記録媒体の温度は、45℃未満であってもよい。
このようなインクジェット記録方法によれば、臭気が少なく、良好な硬化性及び硬化後の柔軟性を示す画像を記録することができる。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
1.放射線硬化型インクジェット組成物
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物(以下、単に「インクジェット組成物」又は「組成物」ともいう。)は、インクジェット法によりインクジェットヘッドから吐出して用いる組成物である。以下、放射線硬化型インクジェット組成物の一実施形態として放射線硬化型インクジェットインク組成物について説明するが、組成物はインク組成物以外の組成物、例えば3D造形用に用いられる組成物であってもよい。また、「放射線硬化型」の一実施形態として「紫外線硬化型」、「光硬化型」等と記載する場合があるが、本実施形態において組成物は放射線を照射することにより硬化させて用いる放射線硬化型組成物であればよく、紫外線硬化型や紫外線硬化型組成物を放射線硬化型や放射線硬化型組成物と読み替えてもよい。放射線としては、紫外線、赤外線、可視光線、エックス線等が挙げられる。放射線としては、放射線源が入手しやすく広く用いられている点、及び紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、下記一般式(I)で表されるモノマーAと、
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(I)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイル基を一個有し、窒素原子の個数、並びに、前記(メタ)アクリロイルオキシ基及び前記(メタ)アクリロイル基に含まれる酸素原子以外の酸素原子の個数の合計が2以上である、環状、直鎖状又は分岐鎖状の構造を有するモノマーBと、
下記一般式(II)で表されるモノマーCと、
Figure 0006888379
(式(II)中、nは2〜6の整数を表す。)
を含有し、
前記モノマーAを、総質量に対して合計で10質量%以上含有することを特徴とする。
以下、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物に含まれ得る成分について説明する。
1.1.重合性化合物
1.1.1.モノマーA
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、下記一般式(I)で表されるモノマーA(ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート)を含有する。
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(I)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
以下、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを、単に「式(I)の化合物」と記載することがある。
本実施形態に係る組成物がモノマーA(式(I)の化合物)を含有することにより、組成物の硬化性を優れたものとすることができる。また、式(I)の化合物を含有することにより、組成物の粘度を低く抑えやすい。さらに、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物(モノマーA)を使用する方が、組成物の硬化性を良好にする上で好ましい。
上記一般式(I)において、Rで表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。さらに、放射線硬化型インクジェット組成物を、より低粘度化でき、かつ、硬化性をさらに良好にする観点から、Rが、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基となっている、グリコールエーテル鎖を有する化合物がより好ましい。
上記一般式(I)において、Rで表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
モノマーAとしては、複数の式(I)の化合物を混合して用いてもよい。式(I)の化合物の合計の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、10質量%以上である。また、式(I)の化合物の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下、特に好ましくは10質量%以上25質量%以下である。また、式(I)の化合物の含有量下限値は15質量%以上であることも好ましい。式(I)の化合物の含有量が10質量%以上であると、組成物の硬化性を十分とすることができる。また、一方で、含有量が25質量%以下であると、インクの保存安定性を特に優れた状態に維持することができる。
また、モノマーAの含有量は、後述するモノマーB、モノマーC、その他の単官能モノマーとの関係において、含有量比率モノマーA/(モノマーA+モノマーB+モノマーC+その他の単官能モノマー)が0.14以上であることが好ましい。このような場合には硬化性をより良好とできる傾向がある。また臭気、柔軟性も良好とする観点で0.35以下であることが好ましい。
また、モノマーAの含有量は後述するモノマーBとの含有量比率で、モノマーA/モノマーBが0.55以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。このような場合には硬化性をより良好とすることができる傾向がある。また、モノマーA/モノマーBが2.0以下であると臭気を低減できる傾向がある。
また、モノマーAの含有量は後述するモノマーCとの含有量比率で、モノマーA/モノマーCが0.7以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく。1.5以上であることがさらに好ましい。このような場合には硬化性をより良好とすることができる傾向にある。また、モノマーA/モノマーCが6.0以下であると柔軟性を良好とできる傾向がある。
式(I)の化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、メタアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エ
チル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。これらの具体例のうち、組成物の硬化性、粘度のバランスがとりやすい点で、VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。
1.1.2.モノマーB
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイル基を一個有し、窒素原子の個数、並びに、前記(メタ)アクリロイルオキシ基及び前記(メタ)アクリロイル基に含まれる酸素原子以外の酸素原子の個数の合計が2以上である、環状、直鎖状又は分岐鎖状の構造を有するモノマーBを含有する。
本実施形態に係る組成物において、モノマーBの合計の含有量は、特に限定されないが、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。本実施形態に係る組成物がモノマーBを含有することで、組成物の臭気を低減することができる。
本実施形態に係る組成物におけるモノマーBの含有量の上限値は、組成物の総質量に対して好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは49質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。モノマーBの含有量の上限値が前記範囲であると、組成物の臭気を抑えることと、該組成物によって形成された硬化物の臭気を抑えることとを両立させることができる。一方、モノマーBの含有量の上限値が前記範囲を超えると、重合開始剤の溶解性が損なわれる場合があり、硬化性が不十分となる場合がある。
また、モノマーBの含有量は、先述のモノマーA、後述するモノマーC、その他の単官能モノマーとの関係において、含有量比率モノマーB/(モノマーA+モノマーB+モノマーC+その他の単官能モノマー)が0.15以上であることが好ましい。このような場合には臭気をより好適に低減できる傾向がある。また硬化性、柔軟性も良好とする観点で0.28以下であることが好ましい。
モノマーBとしては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基が窒素原子に直接結合した化合物であることがより好ましい。また、窒素原子及び酸素原子のうち少なくともいずれか1つは環を構成する原子として含有することが好ましい。また、モノマーBは、環状骨格を有する化合物であることが好ましい。係る環状骨格は、複素環構造を有することがさらに好ましい。このような化合物であ
ると、組成物の臭気をより好適に低減することができる。
モノマーBの具体例としては、N−アクリロイルモルフォリン(ACMO)、N−メタクリロイルモルフォリン、1−アクリロイルピロリジン−2−オン、1−メタクリロイルピロリジン−2−オン、1−アクリロイルピペリジン−2−オン、1−メタクリロイルピペリジン−2−オン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、ヒドロキシエチルメタアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド及びそれらの誘導体が挙げられる。
なお、「窒素原子及び酸素原子の合計数が2以上である」とは窒素原子を2つ以上有する場合、酸素原子を2つ以上有する場合、及び窒素原子と酸素原子を合計で2つ以上有する場合を包含するものである。
また、上記例示したうち、モノマーBとしては、アクリルアミド類がより好ましい。さらに、モノマーBは、環状骨格を有する化合物であることがより好ましい。このような化合物であることにより、より好適に臭気を低減することができる傾向がある。係る観点からは、モノマーBとしては、N−アクリロイルモルフォリン(ACMO)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)が特に好ましい。
1.1.3.モノマーC
本実施形態のインクジェット組成物は、下記一般式(II)で表されるモノマーC、
Figure 0006888379
(式(II)中、nは2〜6の整数を表す。)を含有する。
インクジェット組成物がモノマーCを含有することにより、硬化した後の柔軟性を向上させることができる。十分な柔軟性を得る観点から、nは3〜6の整数であることが好ましく、nが3又は5であることがより好ましく、nが5である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることがさらに好ましい。また、N−ビニル-2−ピロリドンも好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性にも優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好な硬化後の柔軟性が得られる。また、N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していてもよい。
モノマーCは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。インクジェット組成物におけるモノマーCの合計の含有量は、組成物全体を100質量%とした場合に、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、23質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。モノマーCの含有量が上記範囲であると、得られる画像の柔軟性を良好としつつ、組成物の保存安定性を良好なものとすることができる。
また、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは12質量%以上である。モノマーCの含有量が上記範囲内であると、得られる画像の柔軟性を良好とすることができる。
また、モノマーCの含有量は、先述のモノマーA、モノマーB、後述するその他の単官能モノマーとの関係において、含有量比率モノマーC/(モノマーA+モノマーB+モノマーC+その他の単官能モノマー)が0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましい。このような場合には柔軟性をより良好にできる傾向がある。また硬化性、臭気も良好とする観点で0.4以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましい。
1.1.4.その他のモノマー
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、上記モノマーA、モノマーB及びモノマーC以外のモノマーを含有してもよい。そのようなモノマーとしては、特に限定されないが、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが挙げられる。
1.1.4.1.単官能モノマー
本実施形態のインクジェット組成物は、単官能モノマーを含有してもよい。単官能モノマーとしては、特に限定されないが、従来公知の、重合性官能基、特に炭素間の不飽和二重結合を有する重合性官能基を有する単官能モノマーが使用可能である。また、単官能モノマーとして、例えば、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格を有し、かつ、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を一分子中に1個有する化合物である。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、以下に限定されないが、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート(PEA)、アルコキシ化2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、ビスコート#192(大阪有機化学工業社製、商品名、フェノキシエチルアクリレート)、SR340(フェノキシエチルメタクリレート)、SR339A(フェノキシエチルアクリレート)、SR504(エトキシ化ノニルフェニルアクリレート)、CD614(アルコキシ化ノニルフェニルアクリレート)、及びCD9087(アルコキシ化2−フェノキシエチルアクリレート)(以上、サートマー社製商品名)が挙げられる。
単官能モノマーを、他の表現により例示すると、単官能モノマーとしては、下記の一般式(III)で表される化合物及び一般式(IV)で表される化合物を挙げることができる。
CH=CR−COOR−Ar ・・・(III)
CH=CR−COO−Ar ・・・(IV)
(上記式(III)及び(IV)中、Rは水素原子又はメチル基である。上記式(III)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子がRで表される基に結合している1価の有機残基であり、またRは炭素数1〜4の2価の有機残基である。上記式(IV)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子が当該式中の−COO−に結合している1価の有機残基である。)
上記の一般式(III)において、Rで表される基としては、炭素数1〜4の直鎖状
、分枝状、又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、並びに構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基、並びにオキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数1〜4のアルキレン基が好適に用いられる。上記有機残基が置換されていてもよい基である場合、置換基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、及びハロ基が挙げられ、置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。
上記の一般式(III)及び(IV)において、Ar(アリール)(芳香環骨格)に少なくとも1個含まれるアリール基としては、以下に限定されないが、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。アリール基の数は1以上であり、好ましくは1又は2である。アリール基は、当該基を構成する炭素原子のうち、式(III)中のRで表される有機残基に結合する炭素原子、式(IV)における−COO−に結合する炭素原子、及びアリール基を複数有する場合にはアリール基同士を結び付ける炭素原子、以外の炭素原子に置換されていてもよい。置換されている場合、アリール基1個当たりの置換数は1以上であり、好ましくは1又は2である。置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基及びアルコキシ基、カルボキシル基、ハロ基、並びに水酸基が挙げられる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、後述する光重合開始剤の溶解性が良好となる傾向があり、硬化性が向上する傾向があるため好ましい。特に、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤やチオキサントン系光重合開始剤を用いる場合にその溶解性が良好となる傾向がある。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートの中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましいが、臭気がより低いことからフェノキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。さらに、光重合開始剤などの添加剤との相溶性が良好となり、さらに粘度及び臭気を低下させることができ、かつ、反応性(硬化性)を一層優れたものとできるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチルアクリレート(PEA)が特に好ましい。
さらに、芳香環骨格を有さない単官能モノマーも使用可能であり、その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;前記不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン;N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物;ジメチルアクリルアミド(DMAA)、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩(DMAEA)等のアクリルアミド類;が挙げられる。これらの単官能モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの単官能モノマーの中でも、組成物の硬化性を良好なものとする観点から、単官能の(メタ)アクリル酸のエステル、すなわち単官能(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート(IDA)、イソミリ
スチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリル酸−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デシ−2−イルメチル等が挙げられる。
組成物に単官能(メタ)アクリレートを含有させる場合の合計の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。含有量が5質量%以上であると、硬化性及び光重合開始剤の溶解性が良好なものとなる。一方で、含有量が40質量%以下であると、硬化性が良好なものとなる。また、上記含有量は、光重合開始剤の溶解性及び組成物の硬化性に一層優れるため、より好ましくは10質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下、ことさら好ましくは15質量%以上25質量%以下である。
1.1.4.2.多官能モノマー
本実施形態のインクジェット組成物は、多官能モノマーを含有してもよい。2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとして、オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)、プレポリマー等を用いてもよい。オリゴマー、プレポリマーとしては、例えば、上述したようなモノマーを構成成分としたものを用いることができる。放射線硬化型インクジェット組成物は、多官能のオリゴマーを含むことが好ましい。これにより、放射線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
また、多官能アクリレートオリゴマーとしては、オリゴエステルアクリレートが挙げられ、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマーを例示することができる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられるが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーがより好ましい。また、ウレタンアクリレートオリゴマーは、4官能以下のウレタンアクリレートオリゴマーであることが好ましく、2官能のウレタンアクリレートオリゴマーであることがより好ましい。
多官能(メタ)アクリレートを含む場合の合計の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、特に好ましくは5質量%以上20質量%以下である。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性により優れる傾向にある。また、ウレタンオリゴマーを含有する場合には、柔軟性が良好となる傾向があるため好ましい。
本実施形態に係る組成物は、光重合開始剤や色材などの固形分を溶解又は分散させている媒体成分のうちで上記の重合性化合物を最も多く含む非水系組成物であることが、硬化性や保存安定性などの点で好ましい。組成物に含む媒体成分のうち質量比が最も多い媒体成分が重合性化合物である。重合性化合物の合計の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは40質量%以上95質量%以下、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、粘度及び臭気をより低下させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性及び反応性を更に優れたものとすることができる。
1.2.重合開始剤
本実施形態に係る組成物は、重合開始剤として、放射線を照射することにより、活性種を生じる放射線重合開始剤(以下、光重合開始剤、重合開始剤、ともいう。)を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えばアルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等の公知の光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有することにより、組成物の硬化性に優れ、特にUV−LEDの光による硬化プロセスによる硬化性に一層優れる傾向にある。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、IRGACURE 1800(ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドと、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンの質量比25:75の混合物)、IRGACURE TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)(以上全てBASF社製)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記光重合開始剤の合計の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対し、硬化性及び溶解性に優れる点で、1質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%
以上15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上10質量%以下、特に好ましくは7質量%以上9質量%以下である。
1.3.その他の添加剤
本実施形態に係る組成物は、必要に応じて、色材、分散剤、重合禁止剤、スリップ剤、光増感剤、重合禁止剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
<色材>
本実施形態に係る組成物は、色材をさらに含んでもよい。本実施形態に係る組成物が色材を含むことにより、着色されたインク組成物として使用することができる。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(顔料)
色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラック組成物に使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch
880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイト組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエロー組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3
、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアン組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インクジェット組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の合計の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましい。色材を含まない、若しくは、着色することを目的としない程度に色材を含有する(例えば0.1質量%以下)、クリア組成物(クリアインク)としてもよい。
<分散剤>
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse36000等)、BYK Additives&Instruments社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
<重合禁止剤>
本実施形態に係る組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物やその他のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤の合計の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは0.05質量%以上0.5質量%、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
<スリップ剤>
本実施形態に係る組成物は、スリップ剤をさらに含んでもよい。スリップ剤としては、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエステル変性シリコーンまたはポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましい。ポリエステル変性シリコーンとしては、BYK−347、348、BYK−UV3500、3510、3530(以上、BYK Additives&Instruments社製)等が挙げられ、ポリエーテル変性シリコーンとしては、BYK−3570(BYK Additives&Instruments社製)等が挙げられる。スリップ剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スリップ剤の合計の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは0.01質量%以上2質量%、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
<光増感剤>
本実施形態に係る組成物は、光増感剤をさらに含んでもよい。光増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルフォスフィン、ナトリウムジエチルジチオフォスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四
塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
1.4.物性
本実施形態に係る組成物の20℃における粘度は、好ましくは25mPa・s以下であり、より好ましくは5〜20mPa・sである。組成物の20℃における粘度が前記範囲にあると、ノズルから組成物が適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本実施形態に係る組成物の20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上30mN/m以下である。組成物の20℃における表面張力が前記範囲にあると、組成物が撥液処理されたノズルに濡れにくくなる。これにより、ノズルから組成物が適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
1.5.組成物の製造方法
組成物の製造(調製)は、組成物に含有する各成分を混合し、成分が充分均一に混合するよう撹拌することにより製造することができる。本実施形態において、組成物の調製は、調製の過程において、光重合開始剤と重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に対して、超音波処理と加温処理の少なくとも何れかを施す工程を有することが好ましい。これにより、調製後の組成物の溶存酸素量を低減することができ、吐出安定性や保存安定性に優れた組成物とすることができる。上記混合物は、少なくとも上記の成分を含むものであればよく、組成物に含む他の成分を更に含むものでも良いし、組成物に含む全ての成分を含むものでもよい。混合物に含む重合性化合物は、組成物に含む重合性化合物の少なくとも一部であればよい。
2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体に上記の放射線硬化型インクジェット組成物を付着させる工程、及び、記録媒体上の放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV−LED(紫外線発光ダイオード)の光を照射する工程を含む。このようにして、記録媒体上に組成物が塗布された箇所に硬化膜が形成される。
<付着工程>
上記の記録媒体上に組成物を付着させる工程においては、公知のインクジェット記録装置を用いることができる。組成物の吐出の際は、上述のように組成物の20℃における粘度を、25mPa・s以下とすることが好ましく、5〜20mPa・sとすることがより好ましい。組成物の粘度が前記範囲内のものであれば、組成物の温度を室温として、あるいは組成物を加熱せずに吐出させることができる。一方、組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
放射線硬化型インクジェット組成物は、一般にインクジェット用途で使用される水性インク組成物よりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかる組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時の組成物の温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
記録媒体としては、特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等のプラスチック類及びこれらの表面が加工処理されているもの、ガラス、コート紙等が挙げられる。
また、可撓性の記録媒体を用いる場合には、上述のインクジェット組成物が良好な柔軟性を有することにより、形成された画像のひび割れやシワを抑制することができるという効果がより顕著となる。ここで、可撓性の記録媒体とは、直径10mmの鉄棒にあて90度折り曲げた際に割れや表面にひびが入ることのない記録媒体のことをいう。具体例としては、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)が挙げられる。
<硬化工程(光照射工程)>
次に、硬化工程においては、記録媒体上に塗布された組成物がUV−LEDの光の照射によって硬化する。換言すれば、記録媒体上に形成された組成物の塗膜が、UV−LEDの光の照射によって硬化膜となる。これは、組成物に含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの活性種(開始種)を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
また、紫外線源としてUV−LEDを使用することで、装置の小型化やコストの低下を実現できる。紫外線源としてのUV−LEDは、小型であるため、インクジェット記録装置内に取り付けることができる。例えば、組成物を吐出する印刷ヘッドが搭載されているキャリッジ(媒体幅方向に沿った両端及び/又は媒体搬送方向側)に取り付けることができる。さらに、上述の組成物の組成に起因して低エネルギー且つ高速での硬化を実現できる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。そのため、照射時間を短縮することができ、印刷速度が増大する。一方、照射強度を減少させることもできる。これにより、印刷物の温度上昇を低減できるので、硬化膜の低臭気化にも繋がる。
照射エネルギーは、硬化膜の臭気を低減する観点から、50〜1000mJ/cmが好ましく、100〜700mJ/cmがより好ましく、200〜600mJ/cmが特に好ましい。さらに、本実施形態に係る組成物は硬化性が良好であるため、硬化性と生産性と臭気とのバランスをとる観点から、照射エネルギーは50〜500mJ/cmであってもよく、70〜500mJ/cmであることも好ましく、100〜350mJ/cmであることもより好ましい。
照射強度は、硬化膜の臭気を低減する観点から、10〜1000mW/cmが好ましく、30〜700mW/cmがより好ましく、50〜500mW/cmが特に好ましい。
また、記録時の記録媒体の温度は、好ましくは45℃未満、より好ましくは40℃以下、特に好ましくは35℃以下である。記録時の記録媒体の温度を前記範囲とすることで、記録媒体の温度が上述の組成物が、塗膜を形成した後の大気中へのモノマーの揮発が抑制
され、低臭気化を図ることができる。
3.実験例1
以下、本発明を実験例1(各実験例を単に「例」ともいう。)によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
3.1.インクジェット組成物の調製
まず、色材、分散剤、各モノマーの一部を秤量して顔料分散用のタンクに入れ、タンクに直径1mmのセラミック製ビーズミルを入れて攪拌することにより、色材を重合性化合物中に分散させた顔料分散液を得た。次いで、表1又は表2に記載の組成となるように、ステンレス製容器である混合物用タンクに、残りのモノマー、重合開始剤及び重合禁止剤を入れ、混合攪拌して完全に溶解させた後、上記で得られた顔料分散液を投入して、さらに常温で1時間混合撹拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインクジェット組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は質量%を表す。また、表中に記載の比率は、各構成の質量比率を表す。
Figure 0006888379
Figure 0006888379
表中で使用した略号の成分は、以下の通りである。
<重合性化合物>
(モノマーA)
・VEEA(商品名、株式会社日本触媒製、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)
エチル)
(モノマーB)
・ACMO(商品名、KJケミカルズ株式会社製、アクリロイルモルフォリン)
(モノマーC)
・NVC(ISPジャパン株式会社製、N−ビニルカプロラクタム)
(その他のモノマー(単官能))
・PEA(商品名「ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製、フェノキシエチルアクリレート」)
(その他のモノマー(多官能)
・DPGDA(商品名「SR508」、サートマー株式会社製、ジプロピレングリコールジアクリレート)
・ウレタンオリゴマー(商品名「EBECRYL230」、ダイセルオルネクス株式会社製)
<光重合開始剤>
・IRGACURE 819(Irq.819)(商品名、BASF社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)
・TPO(商品名「IRGACURE TPO」、BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
<重合禁止剤>
・MEHQ(商品名「p−メトキシフェノール」、関東化学株式会社製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
<スリップ剤>
・BYK−UV3500(商品名、BYK Additives&Instruments社製、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
<色材>
・カーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱化学株式会社製)
・PB15:3(C.I.Pigment Blue 15:3)
・PR122(C.I.Pigment Red 122)
・PY151(C.I.Pigment Yellow 151)
<分散剤>
・Solsperse36000(商品名、Lubrizol社製、高分子分散剤)。
3.2.評価方法
(1)硬化性の評価
各例のインクジェット組成物の印字及び硬化は、以下のように行った。まず、テストサンプルを直線状に搬送するように構成された搬送ユニットのテーブル上に、受容層ありのPETフィルム(エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡社製))を貼り付け、搬送させ、途中でインクジェットヘッドからインクジェット組成物を吐出させ、さらに照射機の下を通して印字サンプルに光を当てて、そのときの硬化性を指蝕試験によって確認した。印字は720dpi×720dpiの解像度で印字の際のインク重量は14ng/ドットで印字を行った。照射機の印字面の照射強度は1W/cmで行った。印字サンプルは1インチ×1インチのサイズで印字した。サンプルの搬送スピードを変えて、エネルギー量を調整した。各例のインクジェット組成物に対して、発光ピーク波長が395nmである紫外線を照射し、インクを硬化させるため要した照射エネルギー(単位:mJ/cm)を測定した。硬化に必要な紫外線の照射は、ベタ印刷パターンを指触してべたつきが感じられなくなるまで行い、そのときの積算光量を積算光量計UM−40(コニカミノルタ社(Konica Minolta Holdings, Inc.)製)によって測定した。記録媒体であるPETフィルムの温度は印字及び硬化の工程において40℃であった。評価基準は下記のとおりである。評価結果を表1及び表2に記載した。
A :積算光量が200mJ/cm以下
B :積算光量が200mJ/cm超、350mJ/cm以下
C :積算光量が350mJ/cm超、500mJ/cm以下
D :積算光量が500mJ/cm超。
(2)インクジェット組成物の臭気の評価
上記で得られた各例のインクジェット組成物の臭いを調製直後に直接嗅いで、下記の評価基準に基づいて評価を行い、結果を表1及び表2に記載した。
(評価基準)
A :無臭
B :やっと感知できる臭い
C :何の臭いかわかる弱い臭い
D :楽に感知できる臭い。
(3)柔軟性の評価
照射条件を変更した以外は硬化性の評価の場合と同様に、各例のベタパターンを印刷した。照射条件としては、照射強度17mW/cmの紫外線照射装置を用いて、365nmの波長の紫外線を各試料に10分間照射した。各例の硬化物の膜厚は、10±0.5μmであった。次いで、硬化物膜が形成されたPETフィルムを、製膜面が順次凸側又は凹側となるようにそれぞれ約45℃の角度まで手で往復の折り曲げを繰り返した後、目視により硬化物膜の状態を観察し、以下の基準で評価した結果を表1、表2に記載した。
折り曲げ位置において、
A :折り曲げを100往復繰り返した後、硬化物とPETフィルムとの剥がれ、及び硬化物の割れが、ともに無い
B :折り曲げを100往復繰り返した後、硬化物とPETフィルムとの剥がれがある
C :折り曲げを100往復繰り返した後、硬化物とPETフィルムとの剥がれ、及び硬化物の割れが、ともにある
D :折り曲げを50往復繰り返した後、硬化物とPETフィルムとの剥がれ、及び硬化物の割れが、ともにある
E :折り曲げを20往復繰り返した後、硬化物とPETフィルムとの剥がれ、及び硬化物の割れが、ともにある
F :折り曲げを10往復繰り返した後、硬化物とPETフィルムとの剥がれ、及び硬化物の割れが、ともにある
(4)硬度の評価
上記硬化性の評価において作製した、硬化後の塗膜(硬化膜)に対して、JIS K5600−5−4に準じて鉛筆引っかき試験(鉛筆硬度)の評価を行った。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を表1及び表2に示す。
A :H以上
B :HB以上F以下
C :B
D :2B以下
(5)インクジェット組成物の保存安定性
各例のインクジェット組成物をサンプル瓶に入れ、50℃で1週間放置し、放置前後の粘度を山一電機社製デジタル粘度計VM−100を用いて測定した。放置前の粘度に対し
て放置後の粘度がどの程度変化したか(粘度変化)により、保存安定性を評価した。評価基準を以下に示す。評価結果を表1及び表2に記載した。
(評価基準)
A :粘度変化が10%未満
B :粘度変化が10%以上20%未満
C :粘度変化が20%以上25%未満
D :粘度変化が25%以上
3.3.評価結果
表1及び表2に、各例で用いた放射線硬化型インクジェット組成物の組成、並びに評価結果を示した。表1及び表2から、総質量に対して合計で10質量%以上のモノマーAと、モノマーBと、モノマーCと、を含有する放射線硬化型インクジェット組成物は、低臭気であり、硬化性と、硬化後の硬度がいずれも良好であった。
これに対して、モノマーAを、総質量に対して合計で10質量%未満含有する例2、18、19、20の組成物は、硬化性が劣っていた。また、モノマーBを含有しない場合(例20)では、臭気強度が強かった。また、モノマーCを含有しない場合(例21)では、柔軟性が劣っていた。
4.実験例2
以下、本発明を実験例2(「実施例」あるいは「例」ともいう。)によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
4.1.インクジェット組成物の調製
まず、色材、分散剤、各モノマーの一部を秤量して顔料分散用のタンクに入れ、タンクに直径1mmのセラミック製ビーズミルを入れて攪拌することにより、色材を重合性化合物中に分散させた顔料分散液を得た。次いで、表3に記載の組成となるように、ステンレス製容器である混合物用タンクに、残りのモノマー、重合開始剤及び重合禁止剤を入れ、混合攪拌して完全に溶解させた後、上記で得られた顔料分散液を投入して、さらに常温で1時間混合撹拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインクジェット組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は質量%を表す。また、表中に記載の比率は、各構成の質量比率を表す。
Figure 0006888379
表中で使用した略号の成分は、以下の通りである。なお、重合性化合物のTgは、重合性化合物の単独重合物のガラス転移温度を表す。
<重合性化合物>
(モノマーA)
・VEEA(商品名、株式会社日本触媒製、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル)
(モノマーB)
・ACMO(商品名、KJケミカルズ株式会社製、アクリロイルモルフォリン)
(モノマーC)
・NVC(ISPジャパン株式会社製、N−ビニルカプロラクタム)
(その他のモノマー(単官能モノマー))
・PEA(商品名「ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製、フェノキシエチルアクリレート」)
・4−HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・ECA(エチルカルビトールアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・MTG(商品名「ビスコート#MTG」メトキシトリエチレングリコールアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・4−t−BCHA(4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート)
・CTFA(環状トリメチロールプロパントリアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・LA(ラウリルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・TDA(トリデシルアクリレート)
・NIPAM(イソプロピルアクリルアミド、KJケミカルズ株式会社製)(常温で固体である。)
・TMCHA(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、Sartomer社製)
・BZA(ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・THFA(商品名「V#150」テトラヒドロフルフリルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・IOAA(イソオクチルアクリレート)
・IBXA(イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
(その他のモノマー(多官能))
・CN991(サートマー株式会社製、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー)
<光重合開始剤>
・IRGACURE 819(Irq.819)(商品名、BASF社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)
・TPO(商品名「IRGACURE TPO」、BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
<重合禁止剤>
・MEHQ(商品名「p−メトキシフェノール」、関東化学株式会社製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
<スリップ剤>
・BYK−UV3500(商品名、BYK Additives&Instruments社製、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
<色材>
・カーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱化学株式会社製)
<分散剤>
・Solsperse36000(商品名、Lubrizol社製、高分子分散剤)。
4.2.評価方法
(1)インクジェット組成物の臭気の評価
上記で得られた各例のインクジェット組成物の臭いを調製直後に直接嗅いで、下記の評価基準に基づいて評価を行い、結果を表3に記載した。
(評価基準)
A :無臭
B :やっと感知できる臭い
C :何の臭いかわかる弱い臭い
D :楽に感知できる臭い。
(2)硬化性の評価
各例のインクジェット組成物の印字及び硬化は、以下のように行った。まず、テストサンプルを直線状に搬送するように構成された搬送ユニットのテーブル上に、受容層ありのPETフィルム(エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡社製))を貼り付け、搬送させ、途中でインクジェットヘッドからインクジェット組成物を吐出させ、さらに照射機の下を通して印字サンプルに光を当てて、そのときの硬化性を指蝕試験によって確認した。印字は720dpi×720dpiの解像度で印字の際のインク重量は14ng/ドットで印字を行った。照射機の印字面の照射強度は1W/cmで行った。印字サンプルは1インチ×1インチのサイズで印字した。サンプルの搬送スピードを変えて、エネルギー量を調整した。各例のインクジェット組成物に対して、発光ピーク波長が395nmである紫外線を照射し、インクを硬化させるため要した照射エネルギー(単位:mJ/cm)を測定した。硬化に必要な紫外線の照射は、ベタ印刷パターンを指触してべたつきが感じられなくなるまで行い、そのときの積算光量を積算光量計UM−40(コニカミノルタ社(Konica Minolta Holdings, Inc.)製)によって測定した。記録媒体であるPETフィルムの温度は印字及び硬化の工程において40℃であった。評価基準は下記のとおりである。評価結果を表3に記載した。
A :積算光量が200mJ/cm以下
B :積算光量が200mJ/cm超、350mJ/cm以下
C :積算光量が350mJ/cm超、500mJ/cm以下
D :積算光量が500mJ/cm超。
(3)柔軟性の評価
バーコーターで、各インク組成物を塩ビフィルム(JT5829R、MACtac製)上に、厚さ10μmになるよう塗布した。次いで、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、400mJ/cmのエネルギーで硬化させて塗膜を形成した。上記塗膜を形成した塩ビフィルムの剥離紙を剥がし、幅1cm、長さ8cmの短冊状に切り出して試験片を作製した。各インク組成物の試験片について、引張試験機(TENSILON、ORIENTEC社製)を用いて延伸性としての伸び率を測定した。伸び率は、クラックが発生した時点での数値とした。評価の指標は以下のとおりとし、結果を表3に記載した。
A :120%以上
B :80%以上120%未満
C :40%以上80%未満
D :40%未満
(4)硬度の評価
上記硬化性の評価において作製した、硬化後の塗膜(硬化膜)に対して、JIS K5600−5−4に準じて鉛筆引っかき試験(鉛筆硬度)の評価を行った。評価基準は下記
のとおりである。評価結果を表3に示す。
A :F以上
B :B以上F未満
C :4B以上B未満
D :4B未満
(5)耐擦性の評価
上記硬化性の評価項目と同様のベタパターン画像の印刷及び硬化を行い、厚さ8μmの塗膜を作製した。JIS K 5701(ISO 11628)(平版印刷に用いられるインク、展色試料 、及び印刷物を試験する方法について規定。)に準じて、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業社(TESTER SANGYO CO., LTD.)製)を用いて、塗膜の耐擦性の評価を行った。評価方法は、塗膜の表面に上質紙を乗せ、荷重500gをかけて擦り、擦った後の塗膜の状態を目視にて評価した。評価の指標は以下のとおりである。
A :上質紙に汚れなし、記録面の剥離・傷なし。
B :上質紙に汚れあり、記録面の剥離・傷なし。
C :上質紙に汚れあり、記録面の剥離・傷が見られた。
D :上質紙に汚れあり、記録面の剥離あり。
(6)インクジェット組成物の粘度
各実施例のインクジェット組成物について、粘度の評価を行った。振動型粘度計(MV100型番、ヤマイチエレクトロニクス社製)を用い、インクジェット組成物を調製した後、1時間経過したときのインクジェット組成物の粘度を測定し、以下の基準により評価し、表3に記載した。なお、測定温度は20℃とした。
A :20mPa・s未満
B :20mPa・s以上30mPa・s未満
C :30mPa・s以上。
4.3.評価結果
表3に、各例で用いた放射線硬化型インクジェット組成物の組成、並びに評価結果を示した。表3から、総質量に対して合計で10質量%以上のモノマーAと、モノマーBと、モノマーCと、を含有する放射線硬化型インクジェット組成物は、低臭気であり、硬化性と、硬化後の硬度がいずれも良好であった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表されるモノマーAと、
    CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(I)
    (式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    メタ)アクリロイル基を一個有し、窒素原子の個数、並びに、前記(メタ)アクリロイル基に含まれる酸素原子以外の酸素原子の個数の合計が2以上である、環状、直鎖状又は分岐鎖状の構造を有し、前記(メタ)アクリロイル基が窒素原子に直接結合する構造を有するモノマーBと、
    下記一般式(II)で表されるモノマーCと、
    Figure 0006888379

    (式(II)中、nは2〜6の整数を表す。)
    を含有し、
    前記モノマーAを、インクの総質量に対して合計で10質量%以上25質量%以下含有し、
    前記モノマーBを、インクの総質量に対して合計で23質量%以下含有し、
    前記モノマーCを、インクの総質量に対して合計で5質量%以上25質量%以下含有する、放射線硬化型インクジェット組成物。
  2. 請求項1において、
    前記モノマーCを、インクの総質量に対して合計で23質量%以下含有する、放射線硬
    化型インクジェット組成物。
  3. 請求項1又は請求項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物を記録媒体に付着させる工程と、
    前記放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV−LEDの光を照射する工程と、を含む、インクジェット記録方法。
  4. 請求項3において、
    前記UV−LEDの照射エネルギーは、50〜1000mJ/cmである、インクジェット記録方法。
  5. 請求項又は請求項において、
    前記UV−LEDの照射強度は、10〜1000mW/cmである、インクジェット記録方法。
  6. 請求項ないし請求項のいずれか一項において、
    前記記録媒体に付着させる工程における前記記録媒体の温度は、45℃未満である、インクジェット記録方法。
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