(本開示の基礎となった知見)
上記の特許文献1に開示される空気調和機データ交換装置では、空気調和機の保持する情報の読み出し、書き込み及び更新が可能になるが、再生環境の状態により確認すべき制御データが変化する場合には、再生環境に応じた再生速度を設定できないという課題がある。
また、特許文献2に開示されている監視システムでは、監視対象の状態に所定の事象が発生したこと、すなわち制御データが事前に設定された状態になることを、再生速度を決定する条件にしているため、再生時のユーザや制御データの状況を考慮した再生ができない。このため、特許文献2でも、再生環境の状態により確認すべき制御データが変化する場合には、再生環境に応じた再生速度を設定できないという課題がある。
さらに、特許文献3に開示されている映像サーチ再生装置では、動画データの映像及び音声の解析結果と事前に設定されたユーザ嗜好情報とを基に再生速度を決定するため、再生時のユーザや制御データの状況を考慮できない。このため、特許文献3でも、再生環境の状態により確認すべき制御データが変化する場合には、再生環境に応じた再生速度を設定できないという課題がある。
上記の知見に基づき、本願発明者らは、再生環境の状態により確認すべき制御データが変化する場合に、如何にして再生環境に応じた再生速度を決定するかについて鋭意検討を行った結果、本開示を完成したものである。
本開示の一態様に係る再生装置は、機器の制御データを画面上に表示する再生装置であって、前記機器の制御状態を示す制御データを所定の時間間隔で取得する取得部と、前記制御データを前記画面上に表示させるための表示データを時系列で生成し、前記表示データを、現実の時間経過と同一速度である第1速度で前記画面上に再生する再生部と、前記制御データを、前記制御データの取得時刻と対応付けて蓄積する保存部と、蓄積された前記制御データに基づき、前記機器において発生した事象に関する第1イベントと、前記第1イベントの発生区間とを特定する第1特定部と、ユーザによる前記再生装置に対する所定の操作を検出し、前記操作に基づき、前記ユーザによる前記表示データの確認状況に関する第2イベントを特定する第2特定部と、前記第2イベントに基づき前記表示データの前記第1速度での再生が中断された第1時刻から前記表示データによって現在時刻までの前記制御データが表示される第2時刻までの中断期間における前記第1イベントと、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した前記第2イベントに関連する、前記再生を中断する前に発生した前記第1イベントとに基づき、前記第1速度と異なる前記表示データの第2速度を決定する速度決定部とを備え、前記再生部は、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した後、前記中断期間における前記表示データの少なくとも一部を、前記第2速度で再生する。
このような構成により、機器の制御状態を示す制御データを所定の時間間隔で取得し、取得した制御データを画面上に表示させるための表示データを時系列で生成し、生成した表示データを、現実の時間経過と同一速度である第1速度で画面上に再生する。また、制御データを制御データの取得時刻と対応付けて蓄積し、蓄積された制御データに基づき、機器において発生した事象に関する第1イベントと、第1イベントの発生区間とを特定し、また、ユーザによる再生装置に対する所定の操作を検出し、検出した操作に基づき、ユーザによる表示データの確認状況に関する第2イベントを特定する。
ここで、特定した第2イベントに基づき表示データの第1速度での再生が中断された第1時刻から表示データによって現在時刻までの制御データが表示される第2時刻までの中断期間における第1イベントと、表示データの第1速度での再生を中断した第2イベントに関連する、再生を中断する前に発生した第1イベントとに基づき、第1速度と異なる表示データの第2速度を決定し、表示データの第1速度での再生を中断した後、中断期間における表示データの少なくとも一部を、第2速度で再生する。
したがって、中断期間に機器において発生した事象に関する第1イベントと、ユーザによる表示データの確認状況に関する第2イベントに関連する再生中断前の第1イベントとに基づき、第1速度と異なる表示データの第2速度を決定しているので、再生直前のユーザの表示データの確認状況や制御データの状況に応じた再生速度を決定することができる。
この結果、再生環境の状態により確認すべき制御データが変化する場合にも、再生直前のユーザの表示データの確認状況や制御データの状況に応じた再生速度にて表示データをユーザに表示することができる。
前記速度決定部は、前記中断期間に発生した1以上の前記第1イベントの発生区間を基に区分された再生区間ごとに、各再生区間における前記第1イベントの種類と、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した前記第2イベントに関連する、前記再生を中断する前に発生した前記第1イベントの種類とに基づき、前記第2速度を決定するようにしてもよい。
このような構成により、中断期間に発生した1以上の第1イベントの発生区間を基に区分された再生区間ごとに、各再生区間における第1イベントの種類と、表示データの第1速度での再生を中断した第2イベントに関連する、再生を中断する前に発生した第1イベントの種類とに基づき、第2速度を決定しているので、中断期間の第1イベントの種類及び再生を中断した第2イベントに関連する再生中断前の第1イベントの種類に応じた再生速度を決定することができる。
前記第1イベントは、前記機器において発生した異常に関する機器イベントを含み、前記第2イベントは、前記ユーザが前記表示データの前記第1速度での再生を中断して前記機器において発生した異常を確認する確認イベントを含み、前記再生区間ごとに、各再生区間における前記機器イベントの種類と、前記確認イベントにおいてユーザが確認した前記機器イベントの種類とに基づき、前記表示データの優先度を算出する算出部をさらに備え、前記速度決定部は、前記再生区間ごとに、前記優先度が高いほど遅くなるように前記第2速度を決定するようにしてもよい。
このような構成により、再生区間ごとに、各再生区間における機器イベントの種類と、確認イベントにおいてユーザが確認した機器イベントの種類とに基づき、表示データの優先度を算出し、再生区間ごとに、優先度が高いほど遅くなるように第2速度を決定しているので、確認イベントにおいてユーザが確認した機器イベントと関連する機器イベントの優先度を高くし、当該機器イベントの制御データを表示させる表示データを低速で生成することができ、ユーザが確認すべき異常な制御データを確実に確認することができる。
前記算出部は、前記中断期間に発生した前記機器イベントのうち、前記確認イベントにおいて前記ユーザが確認した前記機器イベントの種類と一致する種類の前記機器イベントの前記優先度を低下させるようにしてもよい。
このような構成により、中断期間に発生した機器イベントのうち、確認イベントにおいてユーザが確認した機器イベントの種類と一致する種類の機器イベントの優先度を低下させているので、ユーザが既に確認した機器イベントと同種の機器イベントの制御データを高速に再生することができ、ユーザが確認する必要性の低い制御データを早送り再生することができる。
前記算出部は、前記中断期間に発生した前記機器イベントのうち、前記表示データの再生を再開したときの前記機器イベントの種類と一致する種類の前記機器イベントの前記優先度を上昇させるようにしてもよい。
このような構成により、中断期間に発生した機器イベントのうち、表示データの再生を再開したときの機器イベントの種類と一致する種類の機器イベントの優先度を上昇させているので、表示データの再生を再開したときの機器イベントと同種の機器イベントの制御データを低速で再生することができ、ユーザが確認すべき制御データのうちユーザがまだ確認していない制御データを優先的に且つ確実に確認することができる。
前記機器イベントは、当該機器イベントの重要度を示すイベントレベルを有し、前記算出部は、前記イベントレベルが大きいほど前記優先度が高くなるように前記優先度を算出するようにしてもよい。
このような構成により、機器イベントの重要度を示すイベントレベルが大きいほど優先度が高くなるように優先度を算出しているので、重要度が高い機器イベントの制御データを優先的に且つ確実に確認することができる。
前記算出部は、前記機器イベントの種類ごとに前記優先度を算出し、算出した前記優先度を合計した優先度を各再生区間の前記優先度として算出するようにしてもよい。
このような構成により、機器イベントの種類ごとに優先度を算出し、算出した優先度を合計した優先度を各再生区間の優先度として算出しているので、機器イベントの種類が複数ある場合でも、ユーザが確認すべき制御データが多い区間を優先的に且つ確実に確認することができる。
また、本開示は、以上のような特徴的な構成を備える再生装置として実現することができるだけでなく、再生装置が備える特徴的な構成に対応する特徴的な処理を実行する再生方法などとして実現することもできる。また、このような再生方法に含まれる特徴的な処理を、プロセッサ及びメモリ等を備えるコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の再生装置と同様の効果を奏することができる。
本開示の他の態様に係る再生方法は、機器の制御データを画面上に表示する再生装置における再生方法であって、前記機器の制御状態を示す制御データを所定の時間間隔で取得し、前記制御データを前記画面上に表示させるための表示データを時系列で生成し、前記表示データを、現実の時間経過と同一速度である第1速度で前記画面上に再生し、前記制御データを、前記制御データの取得時刻と対応付けて蓄積し、蓄積された前記制御データに基づき、前記機器において発生した事象に関する第1イベントと、前記第1イベントの発生区間とを特定し、ユーザによる前記再生装置に対する所定の操作を検出し、前記操作に基づき、前記ユーザによる前記表示データの確認状況に関する第2イベントを特定し、前記第2イベントに基づき前記表示データの前記第1速度での再生が中断された第1時刻から前記表示データによって現在時刻までの前記制御データが表示される第2時刻までの中断期間における前記第1イベントと、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した前記第2イベントに関連する、前記再生を中断する前に発生した前記第1イベントとに基づき、前記第1速度と異なる前記表示データの第2速度を決定し、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した後、前記中断期間における前記表示データの少なくとも一部を、前記第2速度で再生する。
また、本開示の他の態様に係る再生プログラムは、機器の制御データを画面上に表示する再生装置として、コンピュータを機能させるための再生プログラムであって、前記コンピュータに、前記機器の制御状態を示す制御データを所定の時間間隔で取得し、前記制御データを前記画面上に表示させるための表示データを時系列で生成し、前記表示データを、現実の時間経過と同一速度である第1速度で前記画面上に再生し、前記制御データを、前記制御データの取得時刻と対応付けて蓄積し、蓄積された前記制御データに基づき、前記機器において発生した事象に関する第1イベントと、前記第1イベントの発生区間とを特定し、ユーザによる前記再生装置に対する所定の操作を検出し、前記操作に基づき、前記ユーザによる前記表示データの確認状況に関する第2イベントを特定し、前記第2イベントに基づき前記表示データの前記第1速度での再生が中断された第1時刻から前記表示データによって現在時刻までの前記制御データが表示される第2時刻までの中断期間における前記第1イベントと、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した前記第2イベントに関連する、前記再生を中断する前に発生した前記第1イベントとに基づき、前記第1速度と異なる前記表示データの第2速度を決定し、前記表示データの前記第1速度での再生を中断した後、前記中断期間における前記表示データの少なくとも一部を、前記第2速度で再生する、処理を実行させる。
そして、このようなコンピュータプログラムを、CD−ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体又はインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
(実施の形態)
図1は、本開示の一実施の形態における再生装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す再生装置100は、機器の一例である家電機器200と通信可能に接続され、家電機器200の制御データを画面上に表示する。家電機器200は、例えば、エアコンである。なお、家電機器200は、この例に特に限定されず、冷蔵庫、洗濯機等のいわゆる白物家電等の種々の機器であってもよい。
再生装置100は、操作部101と、ユーザ操作検出部102と、ユーザ操作イベント保存部103と、データ取得部104と、データ保存部105と、データイベント検出部106と、データイベント保存部107と、優先度算出部108と、再生速度決定部109と、データ再生部110と、表示部111とを備える。
再生装置100は、例えば、プロセッサ及びメモリ等を備えるタブレット等の携帯端末等から構成される。再生装置100は、プロセッサを用いて、メモリに記憶された所定の再生プログラムを実行することにより、再生速度決定部109等の機能を実現する。なお、再生装置100は、上記のタブレットに特に限定されず、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の他の端末を用いてもよいし、サーバ等の外部機器を用いてもよい。
再生装置100は、例えば、サービスマンが家電修理現場で家電機器200の制御データの異常を確認することにより、家電機器200の故障原因を特定したり、家電機器200の修理等に必要な情報を得るために使用したりされる故障診断機器である。
操作部101は、ユーザによる操作を受け付ける。操作部101は、例えば、キーボード、マウス、又はタッチパネル等から構成される。
ユーザ操作検出部102は、第2特定部の一例であり、ユーザによる再生装置100に対する所定の操作を検出し、検出した操作に基づき、ユーザによる表示部111の表示データの確認状況に関する第2イベントを特定する。第2イベントは、ユーザが表示データの第1速度(例えば、現実の時間経過と同一速度)での再生を中断して家電機器200において発生した異常を確認する確認イベントを含み、例えば、後述するイベント確認のユーザ操作イベントが該当する。
具体的には、ユーザ操作検出部102は、操作部101が受け付けたユーザ操作を検出し、検出したユーザ操作を示すユーザ操作イベント(第2イベントの一例)を特定する。ユーザ操作検出部102は、特定したユーザ操作イベントを示すユーザ操作イベント情報を、ユーザ操作イベント保存部103と、データ取得部104と、データ再生部110とに送信する。また、ユーザ操作検出部102は、データイベント保存部107を参照し、特定したユーザ操作イベントによりユーザが確認したデータイベントのイベント種類及びイベントレベルを読み出し、ユーザ操作イベントに関連するデータイベントのイベント種類及びイベントレベルをユーザ操作イベント保存部103に保存する。
ユーザ操作イベント保存部103は、ユーザ操作検出部102から受信したユーザ操作イベント情報を保存し、ユーザ操作イベント情報を優先度算出部108に送信する。
データ取得部104と家電機器200とは、無線や有線により通信可能に接続され、例えば、無線LAN(Local Area Network)によって接続される。データ取得部104と家電機器200とは、家電機器200の内部のマイクロコンピューター等が保持する制御情報やセンサの測定データ等の制御データのやり取りができる状態にある。
データ取得部104は、取得部の一例であり、家電機器200から機器の制御状態を示す制御データを所定の時間間隔で取得する。具体的には、データ取得部104は、ユーザ操作検出部102から受信したユーザ操作イベント情報に基づき、制御データ取得対象の家電機器200から家電機器200の制御状態を示す制御データを取得し、取得した制御データをデータ保存部105に送信する。
データ保存部105は、保存部の一例であり、制御データをその取得時刻と対応付けて蓄積する。具体的には、データ保存部105は、データ取得部104から受信した制御データ等を保存し、データイベント検出部106とデータ再生部110とに制御データ等を送信する。
データイベント検出部106は、第1特定部の一例であり、データ保存部105に蓄積された制御データ等に基づき、家電機器200において発生した事象に関する第1イベントと、第1イベントの発生区間とを特定する。第1イベントは、家電機器200において発生した異常に関する機器イベントを含む。
具体的には、データイベント検出部106は、データ保存部105から受信した制御データ等を基に、しきい値、関数、演算式などにより特定のデータイベント(第1イベントの一例)を検出し、検出したデータイベントを示すデータイベント情報をデータイベント保存部107に送信する。
データイベント保存部107は、データイベント検出部106から受信したデータイベント情報をその取得時刻と対応付けて保存し、ユーザ操作検出部102と、優先度算出部108とデータ再生部110とにデータイベント情報等を送信する。
優先度算出部108は、算出部の一例であり、再生区間ごとに、各再生区間における機器イベントの種類と、確認イベントにおいてユーザが確認した機器イベントの種類とに基づき、表示データの優先度を算出する。ここで、再生区間は、中断期間に発生した1以上の第1イベントの発生区間を基に区分された区間であり、中断期間は、第2イベントに基づき表示データの第1速度での再生が中断された第1時刻から表示データによって現在時刻までの制御データが表示される第2時刻までの期間である。
具体的には、優先度算出部108は、ユーザ操作イベント保存部103から受信したユーザ操作イベント情報と、データイベント保存部107から受信したデータイベント情報を基に再生期間ごとの制御データの優先度を算出し、再生速度決定部109に優先度を送信する。
また、優先度算出部108は、中断期間に発生した機器イベントのうち、確認イベントにおいてユーザが確認した機器イベントの種類と一致する種類の機器イベントの優先度を低下させる。また、優先度算出部108は、中断期間に発生した機器イベントのうち、表示データの再生を再開したとき(後述するタイムシフト再生を開始したとき)の機器イベントの種類と一致する種類の機器イベントの優先度を上昇させる。なお、優先度算出部108は、機器イベントの種類の一致を基に優先度を算出しているが、この例に特に限定されず、機器イベントの種類の類似又は非類似を基に優先度を算出したり、家電機器200の異常を判断する際に関連する機器イベントの種類を基に優先度を算出したりしてもよい。
また、機器イベントは、当該機器イベントの重要度を示すイベントレベルを有する。優先度算出部108は、イベントレベルが大きいほど優先度が高くなるように優先度を算出する。また、優先度算出部108は、機器イベントの種類ごとに優先度を算出し、算出した優先度を合計した優先度を各再生区間の優先度として算出する。
再生速度決定部109は、速度決定部の一例であり、中断期間における第1イベントと、表示データの第1速度での再生を中断した第2イベントに関連する、再生を中断する前に発生した第1イベントとに基づき、第1速度と異なる表示データの第2速度を決定する。
具体的には、再生速度決定部109は、優先度算出部108から受信した優先度を基に、再生期間ごとの再生速度(第2速度)を決定し、データ再生部110に再生速度情報を送信する。また、再生速度決定部109は、再生区間ごとに、各再生区間における第1イベントの種類と、表示データの第1速度での再生を中断した第2イベントに関連する、再生を中断する前に発生した第1イベントの種類とに基づき、第2速度を決定する。また、再生速度決定部109は、再生区間ごとに、優先度が高いほど遅くなるように第2速度を決定する。
データ再生部110は、制御データを表示部111の画面上に表示させるための表示データを時系列で生成し、生成した表示データを、現実の時間経過と同一速度である第1速度で画面上に再生する。また、データ再生部110は、表示データの第1速度での再生を中断した後、中断期間における表示データの少なくとも一部を、第2速度で再生する。
具体的には、データ再生部110は、ユーザ操作検出部102から受信したユーザ操作イベント情報、データイベント保存部107から受信したデータイベント情報、及び再生速度決定部109から受信した再生速度情報を基に、データ保存部105から受信した制御データを画面上に表示させるための表示データを表示部111に送信する。例えば、データ再生部110は、ユーザ操作イベント情報を基に、現在の制御データを画面上に表示させるための表示データを表示部111に送信したり、表示データの送信を停止したりする。データ再生部110は、予め保存したデータを再生する場合には、再生速度情報を基に、表示部111に送信する表示データの再生速度を変化させて送信したりする。
表示部111は、データ再生部110から受信した表示データを表示する。
続いて、再生装置100が制御データを再生する際の処理手順を、図2を用いて説明する。図2は、図1に示す再生装置100の再生処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理はユーザが家電機器200から制御データの取得を開始した際に開始される。
まず、ステップS101において、データ取得部104は、家電機器200から制御データの取得を開始する。上記のように、データ取得部104が取得した制御データは、データ保存部105に保存される。
次に、ステップS102において、データ再生部110は、リアルタイムに取得したデータとして、データ保存部105に保存された制御データを取得する。データ再生部110は、制御データから表示データを時系列で生成し、表示データを表示部111に送信する。表示部111は、現実の時間経過と同一速度である第1速度で表示されるリアルタイムデータとして、表示データを用いて、制御データのリアルタイムデータ再生を開始する。
図3は、図1に示す再生装置100の表示部111に表示されるリアルタイムデータ再生画面の一例を示す図である。図3に示すリアルタイムデータ再生画面P1は、家電機器200から取得した制御データをリアルタイムで表示する画面である。リアルタイムデータ再生画面P1の上部には、データ表示内容P11、データ取得状況P12、現在の家電の状況P13、及び現在の日時P14が表示され、下部には、制御データ表示画面P15が表示される。
データ表示内容P11は、制御データ表示画面P15に表示されている制御データの内容を示し、例えば、「リアルタイムデータ再生中」が表示されている。データ取得状況P12は、現在の制御データの取得状況を示し、リアルタイムデータ再生中は何も表示されない。現在の家電の状況P13は、取得中の制御データに現在発生している異常イベントを表すデータイベント情報を表示し、例えば、「圧縮機高温注意報発生中」が表示されている。現在の日時P14は、現在の日時を示し、例えば、「01/01 09:38:32」(1月1日9時38分32秒)が表示されている。制御データ表示画面P15は、リアルタイムに取得した制御データを表示するリアルタイムデータ再生の場合、現在取得した制御データを表示する。また、制御データ表示画面は、後述するイベント確認やタイムシフト再生の場合には、ユーザの操作によって、保存されている特定のデータイベント期間の制御データや、保存されている制御データを再生して表示する。
次に、ステップS103において、データイベント検出部106は、データ保存部105に保存した制御データから特定のデータイベントを検出したか否かを判定する。
図4は、図1に示す再生装置100のデータイベント検出部106が保持するデータイベントマスタテーブルの一例を示す図である。
図4に示すデータイベントマスタテーブルT1は、データイベント検出の判定式を管理するテーブルであり、データイベント検出部106の内部のメモリに予め記憶されている。データイベントマスタテーブルT1には、データイベント名を示すイベントT11、データイベントの種類を示すイベント種類T12、データイベントの重要度を示すイベントレベルT13、及びデータイベント検出の判定式を示す判定式T14が紐づけて保存される。
データイベント検出部106は、制御データに各判定式を当てはめることにより、データイベントが発生しているか否かを判定する。例えば、データイベント検出部106は、データイベントマスタテーブルT1を参照し、制御データがモータ回転数である場合、モータ回転数が100Hzより小さい場合、モータ回転数不良予兆のデータイベントが発生したことを検出し、そのイベント種類がAであり、イベントレベルが1であると判定する。なお、データイベントマスタテーブルT1は、上記の例に特に限定されず、エアコンの機種、家電機器の種類等に応じて種々の変更が可能である。また、イベント種類は、上記の例に特に限定されず、データイベントを複数のグループに分類し、さらにサブグループに分類する等の種々の変更が可能である。
特定のデータイベントが新規に検出された場合(ステップS103でYES)、ステップS104において、データイベント検出部106は、新規に検出されたデータイベントのデータイベント名と検出した時刻とをデータイベント保存部107に保存する。
図5は、図1に示す再生装置100のデータイベント保存部107が保存するデータイベント管理テーブルの一例を示す図である。
図5に示すデータイベント管理テーブルT2には、データイベントを検出した時刻T21、データイベント名を示すイベントT22、データイベントの種類を示すイベント種類T23、及びデータイベントの重要度を示すイベントレベルT24が紐づけて保存される。例えば、時刻「01/01 09:35:50」に「モータ回転数異常」のイベントが発生し、そのイベント種類が「A」であり、そのイベントレベルが「4」であり、時刻「01/01 09:36:30」に「モータ回転数異常」のイベントが解除され、そのイベント種類が「A」であり、そのイベントレベルが「4」であることがデータイベント保存部107に記憶されている。
上記のデータイベントの保存処理(ステップS104)の実行後、又はデータイベントが新規に検出されなかった場合(ステップS103でNO)、ステップS105において、ユーザ操作検出部102は、操作部101がユーザの操作を受け付け、操作部101からのユーザの操作を検出したか否かを判定し、ユーザの操作が検出されなった場合(ステップS105でNO)、ステップS103に戻り、以降の処理を継続する。
一方、ユーザの操作が検出された場合(ステップS105でYES)、ステップS106において、ユーザ操作検出部102は、検出されたユーザの操作を示すユーザ操作イベントとユーザが操作した時刻とをユーザ操作イベント保存部103に保存する。
図6は、図1に示す再生装置100のユーザ操作イベント保存部103が保存するユーザ操作管理テーブルの一例を示す図である。
図6に示すユーザ操作管理テーブルT3には、ユーザが操作した時刻T31、ユーザ操作イベント名を示すイベントT32、ユーザ操作イベントに関連するデータイベントの種類を示すイベント種類T33、及びユーザ操作イベントに関連するデータイベントの重要度を示すイベントレベルT34が紐づけて保存される。
ここで、図5で示したデータイベント管理テーブルT2に保存されたユーザ操作イベントにより、ユーザがデータイベントを確認した場合に、ユーザ操作検出部102は、データイベント保存部107を参照し、そのデータイベントのイベント種類T23及びイベントレベルT24を読み出し、ユーザ操作イベントに関連するデータイベントのイベント種類T33及びイベントレベルT34に保存する。
例えば、時刻「01/01 09:40:07」に「モータ回転数異常」のイベントが発生し、ユーザが「モータ回転数異常」のイベントの確認を開始した場合、ユーザ操作検出部102は、データイベント保存部107からユーザが確認している「モータ回転数異常」のイベント種類「A」及びイベントレベル「4」を読み出してイベント種類T33及びイベントレベルT34に保存する。
次に、ステップ107において、データ再生部110は、ユーザの操作がデータイベントの確認であるか否かを判定する。
ユーザの操作がデータイベントの確認であった場合(ステップS107でYES)、ステップS108において、データ再生部110は、リアルタイムに取得した制御データを表示するための表示データの表示部111への送信を停止し、リアルタイム再生を停止する。
次に、ステップS109において、データ再生部110は、データイベント保存部107から受信したデータイベントを基に、データ保存部105から受信したデータイベント発生時の制御データを表示するための表示データを表示部111に送信してイベント確認画面を表示部111に表示し、その後、ステップS103に戻り、以降の処理を継続する。
図7は、図1に示す再生装置100の表示部111に表示されるイベント確認画面の一例を示す図である。図7に示すイベント確認画面P2は、ユーザが表示データのリアルタイムデータ再生を中断して家電機器200において発生した過去の異常を確認するために過去の制御データを表示する画面である。イベント確認画面P2の上部には、データ表示内容P21、データ取得状況P22、現在の家電の状況P23、及び現在の日時P24が表示され、下部には、制御データ表示画面P25が表示される。
データ表示内容P21は、制御データ表示画面P25に表示されている制御データの内容を示し、例えば、「イベント確認中(01/01 09:35〜09:36:30 モータ回転数異常」が表示されている。データ取得状況P22は、現在の制御データの取得状況を示し、例えば、「取得中(01/01 09:40:07〜)」が表示されている。現在の家電の状況P23は、取得中の制御データに現在発生している異常イベントを表すデータイベント情報を表示し、例えば、「圧縮機高温異常発生中」が表示されている。現在の日時P24は、現在の日時を示し、例えば、「01/01 09:45:50」が表示されている。制御データ表示画面P25は、ユーザが確認しているデータイベントの制御データが表示される。このようなイベント確認画面P2をユーザが見ている場合、ユーザの操作がデータイベントの確認であると判定される。
一方、ユーザの操作がデータイベントの確認でなかった場合(ステップS107でNO)、ステップS110において、データ再生部110は、ユーザがデータイベントを確認するために、データイベントを表示中(イベント確認画面の表示中)か否かを判定する。
データイベントを表示中であった場合(ステップS110でYES)、ステップS111において、データ再生部110は、ユーザの操作が現在取得中の制御データの再生(タイムシフト再生)であるか否かを判定する。
ユーザの操作がタイムシフト再生であった場合(ステップS111でYES)、再生装置100は、後述するタイムシフト再生処理を実行し、その後、ステップS103に戻り、以降の処理を継続する。
一方、データイベントを表示中でなかった場合(ステップS110でNO)、又は、ユーザの操作がタイムシフト再生でなかった場合(ステップS111でNO)、ステップS113において、データ再生部110は、ユーザの操作がリアルタイムデータである現在取得中の制御データの取得終了であるか否かを判定する。
ユーザの操作が現在取得中の制御データの取得終了ではなかった場合(ステップS113でNO)、ステップS114において、データ再生部110及び表示部111は、現在取得中の制御データの取得終了以外のユーザの操作に対応する処理を実行し、その後、ステップS103に戻り、以降の処理を継続する。
一方、ユーザの操作が現在取得中の制御データの取得終了であった場合(ステップS113でYES)、データ取得部104は、制御データの取得を終了し、再生装置100は処理を終了する。
次に、上記のタイムシフト再生処理について詳細に説明する。図8は、図2に示すタイムシフト再生処理(ステップS112)の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、優先度算出部108は、ユーザ操作イベント保存部103から受信したユーザ操作イベント情報と、データイベント保存部107から受信したデータイベント情報とを基に、タイムシフト再生する区間を再生区間ごとに抽出する。
図9は、図1に示す再生装置によるリアルタイムデータ再生、イベント確認、及びタイムシフト再生の一例を説明するためのタイムチャートである。図9において、縦軸は、制御データ、ユーザ操作イベント、データイベント、比較例の優先度、及び本実施の形態の優先度を示し、横軸は時間であり、例えば、1月1日9時の時間である。
図9に示すように、制御データCDは、家電機器200から再生装置100にリアルタイムに出力され、再生装置100は、リアルタイムの制御データCDを取得している。
まず、ユーザ操作イベントとして、ユーザが制御データCDのリアルタイムデータ再生を選択すると、リアルタイムデータ再生RR1の期間において、再生装置100は、例えば、図3に示すリアルタイムデータ再生画面を表示部111に表示し、制御データCDをリアルタイム再生する。このリアルタイムデータ再生RR1の期間では、1月1日9時35分1秒(35:01)から1月1日9時36分30秒(36:30)までの期間において、データイベントとして、モータ回転数異常MA1が発生している。また、1月1日9時38分1秒(38:01)から38:52(1月1日9時38分52秒)までの期間において、データイベントとして、圧縮機高温注意報CA1が発生している。
ここで、ユーザは、1月1日9時40分7秒(40:07)にリアルタイムの制御データCDの表示を終了し、過去のデータイベントとして、モータ回転数異常MA1を確認し、その後、1月1日9時46分4秒(46:04)にタイムシフト再生を開始し、1月1日9時52分7秒(52:07)にタイムシフト再生を終了してリアルタイムデータ再生を再開したとする。
この場合、1月1日9時40分7秒(40:07)から1月1日9時46分4秒(46:04)までの期間がイベント確認EV(モータ回転数異常確認)の期間となり、ユーザは、イベント確認EVの期間に過去のモータ回転数異常MA1を確認する。また、タイムシフト再生は、1月1日9時40分7秒(40:07)の制御データCDからタイムシフト再生され、タイムシフト再生TRの期間は、1月1日9時40分7秒(40:07)から1月1日9時52分7秒(52:07)となる。その後、1月1日9時52分7秒(52:07)から次のリアルタイムデータ再生RR2が再開される。
ここで、イベント確認EV及びタイムシフト再生TRの期間において、データイベントとして、例えば、1月1日9時41分15秒(41:15)に制御弁切り換え注意報VA1が発生し、1月1日9時42分50秒(42:50)に制御弁切り換え注意報VA1が解除されている。次に、1月1日9時42分31秒(42:31)に圧縮機高温注意報CA2が発生し、1月1日9時44分1秒(44:01)に圧縮機高温注意報CA2が解除されている。次に、1月1日9時44分43秒(44:43)にモータ回転数異常MA2が発生し、1月1日9時44分54秒(44:54)にモータ回転数異常MA2が解除されている。次に、1月1日9時45分15秒(45:15)に圧縮機高温異常CA3が発生し、タイムシフト再生期間TRの1月1日9時47分07秒(47:07)に圧縮機高温異常CA3が解除されている。
また、次のリアルタイムデータ再生RR2の期間において、1月1日9時57分43秒(57:43)にモータ回転数異常MA3が発生し、1月1日9時59分7秒(59:07)にモータ回転数異常MA3が解除されている。
上記の例では、ステップS201において、優先度算出部108は、例えば、1月1日9時40分7秒(40:07)のリアルタイムデータ再生RR1の表示終了から1月1日9時41分15秒(41:15)に制御弁切り換え注意報VA1の発生までを一つの区間(再生区間)として抽出する。以降同様に、優先度算出部108は、データイベントが発生又は解除されるタイミングを区切りとして各区間を抽出し、制御弁切り換え注意報VA1の発生から圧縮機高温注意報CA2の発生までの期間等を1つの区間として抽出する。
再び、図8を参照して、上記のステップS201の処理を実行した後、ステップS202において、優先度算出部108は、抽出した各区間の優先度を算出し、再生速度決定部109に優先度を送信する。例えば、優先度算出部108は、以下に示す式(1)を用いて、優先度Yを計算する。
ここで、αkは、データイベントの発生に関するパラメータであり、βkは、データイベントのイベントレベルを示すパラメータであり、γkは、データイベントとユーザがタイムシフト再生を行う直前のユーザ操作イベントとの関連に関するパラメータであり、δkは、データイベントとユーザがタイムシフト再生を行うときの家電機器200の状況との関連に関するパラメータであり、kは、データイベントのイベント種類を示し、例えば、図5に示すイベント種類T23の「A」、「B」、「C」が「1」、「2」、「3」として計算される。
図10は、図1に示す再生装置100の優先度算出部108が優先度を計算する際の係数を管理する優先度算出マスタテーブルの一例を示す図である。図10に示す優先度算出マスタテーブルT4には、各パラメータT41、各パラメータの項目T42、各項目の内容T43、及び各内容に対する係数T44が紐づけて優先度算出部108の内部のメモリ等に保存される。優先度算出部108は、優先度算出マスタテーブルT4を参照して、抽出した区間に対応する係数を用いて優先度を算出する。
例えば、図9に示す例では、1月1日9時40分7秒(40:7)から1月1日9時41分15秒(41:15)までの区間は、データイベントが発生していないため、αkはすべて「0」となり、優先度Yは「0」となる。また、1月1日9時41分15秒(41:15)から1月1日9時42分31秒(42:31)までの区間は、制御弁切り換え注意報VA1が発生しているため、制御弁切り換え注意報VA1のデータイベントに関するαkは「1」(発生中)となり、優先度Yは「0」とならない。
また、βkは、データイベントのイベントレベルの値がそのまま係数の値となり、例えば、イベントレベルが「4」の場合、βkは「4」となる。
また、γkは、各データイベントとユーザがタイムシフト再生を行う直前操作(ユーザ操作イベント)との関連を考慮した係数である。ここで、直前操作は、リアルタイムデータ再生の終了時からタイムシフト再生の開始時までの期間、例えば、イベント確認期間にユーザが再生装置100に対して行ったユーザ操作イベントである。
例えば、あるデータイベントとタイムシフト再生を行う直前のユーザ操作イベントの対象となるデータイベントとが同じイベント種類の場合には、関連ありとして、γkは「0.1」となり、データイベントが同じイベント種類でない場合には、関連なしとして、γkは「1」となる。
また、δkは、各データイベントとユーザがタイムシフト再生を行うときの家電機器200の現在の状況との関連を考慮した係数である。ここで、現在の状況は、リアルタイムデータ再生の終了時からタイムシフト再生の開始時(その直後を含む)までの期間の家電機器200のデータイベントの状況を意味し、タイムシフト再生の開始時、その直前又はその直後の期間の家電機器200のデータイベントの状況であることが好ましい。
例えば、あるデータイベントとタイムシフト再生を行うときの家電機器200の現在の状況において発生しているデータイベントが同じイベント種類の場合には、関連ありとして、δkは「10」となり、データイベントが同じイベント種類でない場合には、関連なしとして、δkは「1」となる。
上記のγk及びδkを用いることにより、従来、再生直前のユーザの表示データの確認状況や制御データの状況を考慮した再生ができない課題に対して、優先度算出部108は、再生直前のユーザの表示データの確認状況や制御データの状況を考慮した優先度を算出することができる。
例えば、図9に示す例では、1月1日9時44分43秒(44:43)から1月1日9時44分54秒(44:54)までの区間には、イベント種類が「A」であるモータ回転数異常MA2が発生していた。また、1月1日9時46分4秒(46:04)にタイムシフト再生を開始したときのユーザの直前の操作(ユーザ操作イベント)は、イベント種類が「A」である過去のモータ回転数異常MA1を確認するイベント確認EVであった。したがって、上記の区間のデータイベント(モータ回転数異常MA2)は、イベント確認EVのモータ回転数異常MA2とイベント種類が一致し、ユーザの直前操作と関連があるため、上記モータ回転数異常MA2の区間のデータイベントに関するγkは、「0.1」となる。
ここで、上記のγk及びδkを用いず、αk及びβkのみを用いて算出した優先度を比較例の優先度とすると、図9に示すように、式(1)を用いた本実施の形態の優先度は、タイムシフト再生する際にユーザの直前操作を考慮しない比較例の優先度と比較して、低い値となる。これにより、ユーザが既に過去の同じ異常(例えば、モータ回転数異常)を確認しているため、ユーザが再度確認する必要がない区間(例えば、図9に示す2番目のハッチング領域のモータ回転数異常MA2の区間)の優先度を低くすることができる。
また、1月1日9時42分31秒(42:31)から1月1日9時42分50秒(42:50)までの区間には、イベント種類が「C」である制御弁切り換え注意報VA1とイベント種類が「B」である圧縮機高温注意報CA2とが発生していた。また、1月1日9時46分4秒(46:04)にユーザがタイムシフト再生を開始したときの家電機器200の状況としては、イベント種類が「B」である圧縮機高温異常CA3が発生していた。
上記の区間のデータイベント(圧縮機高温注意報CA2)は、現在の家電機器200の状況(圧縮機高温異常CA3)と関連がある(イベント種類が一致する)ため、上記の圧縮機高温注意報CA2の区間のデータイベントに関するδkは、「10」となる。
したがって、図9に示すように、式(1)を用いた本実施の形態の優先度は、タイムシフト再生する際に現在の家電機器200の状況を考慮しない上記の比較例の優先度と比較して、高い値となる。これにより、現在の家電機器200に発生しているデータイベントの兆候として、ユーザが確認すべき区間(例えば、図9に示す最初のハッチング領域の圧縮機高温注意報CA2の区間)の優先度を高くすることができる。
なお、各データイベントとユーザがタイムシフト再生を行う直前操作との関連に関するパラメータ等の係数の決定方法は、上記に限定されない。例えば、ユーザ操作イベント保存部103に保存されているユーザ操作イベント情報から直前操作の実施時間を算出し、実施時間が長いほど重要であるとして、実施時間を係数の計算に用いてもよい。
また、例えば、ユーザがタイムシフト再生をする直前に、ユーザに現在行っている操作がタイムシフト再生に重要であるか否かの情報を、ユーザ自身が操作部101から入力することにより、入力された情報をパラメータ等の係数に用いてもよい。
また、例えば、操作部101の一部として、再生装置100にカメラ等の撮影装置が搭載されているような場合に、ユーザの顔を認識するようにしてもよい。この場合、ユーザの直前操作をカメラ映像から取得し、取得した直前操作(例えば、表示データの確認状況)の情報をパラメータ等の係数に用いてもよい。
また、優先度は、上記の例に特に限定されない。例えば、式(1)以外の他の数式を用いたり、各パラメータの係数として他の値を用いたり、数値を用いることなく、「低」、「中」、「高」等のレベルを用いたりしてよい。
再び、図8を参照して、上記のステップS202の処理を実行した後、ステップS203において、再生速度決定部109は、優先度算出部108から受信した優先度を基に、抽出した区間の再生速度を決定し、決定した再生速度を示す再生速度情報をデータ再生部110に送信する。
次に、ステップS204において、データ再生部110は、再生速度決定部109から受信した再生速度情報と、データ保存部105から受信した制御データを基に、決定された再生速度で制御データを表示する表示データを生成して表示部111に出力し、表示部111に抽出した区間のタイムシフト再生を実行させる。
図11は、図1に示す再生装置100の表示部111に表示されるタイムシフト再生画面の一例を示す図である。図11に示すタイムシフト再生画面P3は、上記のイベント確認開始時から現在の制御データのリアルタイムデータ再生が開始されるまでの制御データを高速に再生する画面である。タイムシフト再生画面P3の上部には、データ表示内容P31、データ取得状況P32、現在の家電の状況P33、及び現在の日時P34が表示され、下部には、制御データ表示画面P35が表示される。
データ表示内容P31は、制御データ表示画面P35に表示されている制御データの内容を示し、例えば、「タイムシフト再生中」が表示されている。データ取得状況P32は、現在の制御データの取得状況を示し、例えば、「取得中(01/01 09:40:07〜)」が表示されている。現在の家電の状況P33は、取得中の制御データに現在発生している異常イベントを表すデータイベント情報を表示し、例えば、「圧縮機高温異常発生中」が表示されている。現在の日時P34は、現在の日時を示し、例えば、「01/01 09:46:32」が表示されている。制御データ表示画面P35は、タイムシフト再生している期間の制御データが区間毎に決定された再生速度で表示される。
図12は、図8に示すタイムシフト再生処理により、優先度を基に制御データを再生するタイムシフト再生時の再生速度の一例を示す図である。図12に示すように、イベント確認の期間及びタイムシフト再生の期間に、上段の制御データが取得されてデータ保存部105に保存される場合、中段に示す優先度が各区間に対して決定され、例えば、「低」、「中」、「高」の優先度が決定される。
下段のタイムシフト再生では、優先度が高いものほど、再生速度が遅く、優先度が低いものほど、再生速度が速く再生される。例えば、「速」では、通常速度(1倍速)の6倍速で制御データが表示され、「中」では、通常速度の3倍速で制御データが表示され、「遅」では、通常速度の1倍速で制御データが表示される。このように、タイムシフト再生では、イベント確認の期間及びタイムシフト再生の期間の制御データをタイムシフト再生の期間に表示するため、全体的には通常速度より速い速度で制御データが再生される。なお、再生速度は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、「遅」の場合に、通常速度の0.5倍速で制御データを表示するようにしてもよい。
再び、図8を参照して、上記のステップS204の処理を実行した後、ステップS205において、データ再生部110は、抽出した区間の再生した制御データの完了位置が、現在取得中の制御データの位置と同じであるか否かを判定する。抽出した区間の再生した制御データの完了位置が、現在取得中の制御データの位置と同じではなかった場合(ステップS205でNO)、ステップS201に戻り、以降の処理を継続する。
一方、抽出した区間の再生した制御データの完了位置が、現在取得中の制御データの位置と同じあった場合(ステップS205でYES)、ステップS206において、データ再生部110は、取得中の制御データの再生(リアルタイムデータ再生)を再開し、タイムシフト再生処理を終了する。
上記の処理により、本実施の形態では、家電機器200の制御状態を示す制御データを所定の時間間隔で取得し、取得した制御データを表示部111の画面上に表示させるための表示データを時系列で生成し、生成した表示データを、現実の時間経過と同一速度である第1速度で表示部111の画面上に再生する。また、制御データを制御データの取得時刻と対応付けて蓄積し、蓄積された制御データに基づき、家電機器200において発生した事象に関する第1イベントと、第1イベントの発生区間とを特定し、また、ユーザによる再生装置100に対する所定の操作を検出し、検出した操作に基づき、ユーザによる表示データの確認状況に関する第2イベントを特定する。
ここで、特定した第2イベントに基づき表示データの第1速度での再生が中断された第1時刻から表示データによって現在時刻までの制御データが表示される第2時刻までの中断期間における第1イベントと、表示データの第1速度での再生を中断した第2イベントに関連する、再生を中断する前に発生した第1イベントとに基づき、第1速度と異なる表示データの第2速度を決定し、表示データの第1速度での再生を中断した後、中断期間における表示データの少なくとも一部を、第2速度で再生する。
したがって、中断期間に家電機器200において発生した事象に関する第1イベントと、ユーザによる表示データの確認状況に関する第2イベントに関連する再生中断前の第1イベントとに基づき、第1速度と異なる表示データの第2速度を決定しているので、再生直前のユーザの表示データの確認状況や制御データの状況に応じた再生速度を決定することができる。
この結果、再生環境の状態により確認すべき制御データが変化する場合にも、再生直前のユーザの表示データの確認状況や制御データの状況に応じた再生速度にて表示データをユーザに表示することができる。