JP6725020B2 - バルブプレートおよびバルブプレートの製造方法 - Google Patents
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Description
C :0.03〜0.18%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.1〜1.8%、
P :0.030%以下、
S :0.010%以下、
Al:0.005〜0.07%、
N :0.006〜0.018%、ならびに
V:0.01〜0.12%およびNb:0.001〜0.05%の一方または両方を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.36〜0.44%である成分組成を有し、
面積分率で20%以上の加工フェライトを含むミクロ組織を有し、
YS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−5℃におけるシャルピー吸収エネルギー:47J以上である機械的特性を有する、バルブプレート。
記
Ceq(質量%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Mo+V)/5・・・(1)
Cu:0.05〜0.50%、
Ni:0.05〜0.25%、および
Mo:0.01〜0.50%からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、上記1に記載のバルブプレート。
Ti:0.001〜0.1%および
Zr:0.001〜0.1%の一方または両方をさらに含有する、上記1または2に記載のバルブプレート。
B :0.0002〜0.003%をさらに含有する、上記1〜3のいずれか一項に記載のバルブプレート。
Ca:0.0002〜0.01%および
REM:0.0002〜0.015%の一方または両方をさらに含有する、上記1〜4のいずれか一項に記載のバルブプレート。
前記熱間圧延を、Ar3温度以下における累積圧下率:20〜80%、仕上温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃の条件で行い、
前記熱間圧延後に、冷却開始温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃、冷却停止温度:650〜500℃の条件で加速冷却を行い、
前記バルブプレートが、
面積分率で20%以上の加工フェライトを含むミクロ組織を有し、
YS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−5℃におけるシャルピー吸収エネルギー:47J以上である機械的特性を有する、バルブプレートの製造方法。
C :0.03〜0.18%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.1〜1.8%、
P :0.030%以下、
S :0.010%以下、
Al:0.005〜0.07%、
N :0.006〜0.018%、ならびに
V:0.01〜0.12%およびNb:0.001〜0.05%の一方または両方を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.36〜0.44%である成分組成を有し、
加工フェライトを含むミクロ組織を有し、
YS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−5℃におけるシャルピー吸収エネルギー:47J以上である機械的特性を有する、山形鋼。
記
Ceq(質量%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Mo+V)/5・・・(1)
Cu:0.05〜0.50%、
Ni:0.05〜0.25%、および
Mo:0.01〜0.50%からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、前記1に記載の山形鋼。
Ti:0.001〜0.1%および
Zr:0.001〜0.1%の一方または両方をさらに含有する、前記1または2に記載の山形鋼。
B :0.0002〜0.003%をさらに含有する、前記1〜3のいずれか一項に記載の山形鋼。
Ca:0.0002〜0.01%および
REM:0.0002〜0.015%の一方または両方をさらに含有する、前記1〜4のいずれか一項に記載の山形鋼。
前記熱間圧延を、Ar3温度以下における累積圧下率:20〜80%、仕上温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃の条件で行い、
前記熱間圧延後に、冷却開始温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃、冷却停止温度:650〜500℃の条件で加速冷却を行う、山形鋼の製造方法。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。本発明においては、山形鋼および山形鋼を製造する際に使用される鋼素材が上記成分組成を有することが重要である。そこで、まず本発明において成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、以下の説明において各成分の含有量の単位として用いられる「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
Cは、鋼の強度を高めるのに有効な元素であり、本発明では、所望の強度を得るためにC含有量を0.03%以上とする必要がある。一方、0.18%を超えるCの添加は、溶接性や溶接熱影響部(HAZ)の靭性を低下させる。よって、C含有量は0.03〜0.18%とする。なお、後述する加工フェライトによって強度と靭性を両立させる観点からは、C含有量を0.05〜0.15%とすることが好ましい。
Siは、脱酸剤として、また、鋼の強度を高めるために添加される元素であり、本発明では、Si含有量を0.05%以上とする。一方、0.50%を超えるSiの添加は、HAZ靱性を低下させるので、Si含有量は0.50%以下とする。
Mnは、鋼の強度を高める効果がある元素であり、0.1%以上添加する。しかし、1.8%を超えるMnの添加は、鋼の靭性および溶接性を低下させるため、Mn含有量は1.8%以下とする。Mn含有量は0.5〜1.6%とすることが好ましい。
Pは、鋼の母材靭性、溶接性および溶接部靭性を低下させる有害な元素であるため、できるかぎり低減することが望ましい。特に、P含有量が0.030%を超えると、母材靭性および溶接部靭性の低下が大きくなる。よって、P含有量は0.030%以下とする。P含有量は0.020%以下とすることが好ましい。
Sは、鋼の靭性および溶接性を低下させる有害な元素であるため、できるかぎり低減することが望ましく、本発明では、S含有量を0.010%以下とする。
Alは、脱酸剤として添加される元素であり、0.005%以上添加する必要がある。しかし、0.07%を超えて添加すると、粗大な酸化物系介在物が鋼中に存在するようになるため、靭性が却って低下する。よって、Al含有量は0.07%以下とする。
Nは、後述するVやNbと結合してV(C,N)やNb(C,N)を形成して強度を向上させる効果を有する元素である。本発明では、前記効果を得るために、N含有量を0.006%以上とする。一方、フリーなNは、靭性に対して有害であるとともに、連続鋳造時に表面割れを助長することなどから、N含有量は0.018%以下とする。N含有量は、0.008〜0.015%とすることが好ましい。
VおよびNbは、炭素や窒素と結合してV(C,N)やNb(C,N)を形成し、高強度化に寄与する元素である。前記効果を期待するためには、Vは0.01%以上、Nbは0.001%以上が必要である。一方、Vを0.12%を超えて含有するとHAZ靱性が低下することから、V含有量は0.12%以下とする。同様に、Nbも、0.05%を超えて含有するとHAZ靱性が低下するので、Nb含有量は0.05%以下とする。なお、VとNbを複合添加する場合には、その総量は0.10%以下とすることが好ましい。
Cuは、鉄中に固溶して鋼の強度を高める効果を有する元素であるが、0.05%未満の添加では不十分である。一方、0.50%を超えて添加すると靭性が低下する。そのため、Cuを添加する場合、その含有量は0.05〜0.50%とする。
Niは、低温靱性を向上させる効果を有する元素であり、前記効果を期待する場合に添加することができるが、0.05%未満ではその効果が小さい。一方、Niは非常に高価な元素であり、0.25%を超えての添加はコスト上昇を招く。そのため、Niを添加する場合、その含有量は0.05〜0.25%とする。
Moは、焼入れ性や高温強度を向上させる効果を有する元素であり、前記効果を得るためには、0.01%以上の添加が必要である。一方、MoもNiと同様に高価な元素であり、0.50%を超えての添加はコスト上昇を招くとともに、溶接性を低下させる。そのため、Moを添加する場合、その含有量は0.01〜0.50%とする。
Zr:0.001〜0.1%
TiおよびZrは、いずれも鋼のHAZ靱性を向上させる元素であり、任意に一方または両方を添加することができる。Tiは、HAZ靭性の向上効果を得るためには0.001%以上添加する必要がある。一方、0.1%を超えてTiを添加すると過剰にTiCが形成されてかえって脆化するので、Ti含有量は0.1%以下とする。同様に、Zrも、HAZ靭性の向上効果を得るためには0.001%以上添加する必要がある。一方、0.1%を超えてのZrの添加は、かえって靱性を低下させるので、Zr含有量は0.1%以下とする。
Bは、鋼の強度を高める効果を有する元素であり、任意に含有させることができる。前記効果を得るために、0.0002%以上の添加が必要である。一方、0.003%を超えて添加すると、かえって靭性が低下する。そのため、Bを含有させる場合、その含有量を0.0002〜0.003%とする。
REM:0.0002〜0.015%
CaおよびREM(希土類金属)は、いずれも溶接熱影響部の靭性向上に効果のある元素であり、一方または両方を任意に添加することができる。前記効果は、Ca:0.0002%以上、REM:0.0002%以上の添加で得られる。一方、Ca:0.01%、REM:0.015%を超えて添加すると、かえって靭性の低下を招く。そのため、Caを添加する場合は、その含有量を0.0002〜0.01%とし、REMを添加する場合は、その含有量を。0.0002〜0.015%とする。
次に、炭素当量の限定理由について述べる。本発明においては、上記成分組成がさらに、Ceq:0.36〜0.44%との条件を満たすことが重要である。ここでCeqとは、下記(1)式で定義される炭素当量である。なお、(1)式中の元素記号「C」、「Mn」、「Cu」、「Ni」、「Mo」、および「V」は、いずれも「質量%」単位で表した各元素の含有量を意味し、当該元素が添加されていない場合には「0」とする。
Ceq(質量%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Mo+V)/5・・・(1)
次に、本発明におけるミクロ組織の限定理由について説明する。本発明では、山形鋼のミクロ組織が加工フェライトを含むことが重要である。ミクロ組織が加工フェライトを含まない場合、十分な強度と低温靱性を得ることが困難である。なお、加工フェライトとは、Ar3変態点以下の(オーステナイト+フェライト)2相域での熱間圧延によって形成された、扁平化したフェライトのことである。本発明においては、短軸に対する長軸の比(アスペクト比)が2.0以上のフェライトを加工フェライトと定義する。
加熱温度:1150〜1350℃
鋼素材の熱間圧延における変形抵抗を低減するとともに、凝固組織を均質化し、さらにNbやVの析出物を一旦固溶させるためには、十分高温に加熱する必要がある。加熱温度が1150℃未満ではこれらの十分な効果が認められない。そのため、熱間圧延前の加熱温度は1150℃以上とする。一方、加熱温度が1350℃を超えると、スケールロスによる歩留まり低下、生産性の低下などの問題が生じる。そのため、加熱温度は1350℃以下とする。なお、加熱温度は1180〜1320℃とすることが好ましい。
Ar3温度以下における累積圧下率:20〜80%
Ar3温度以下における累積圧下率が20%未満では、フェライトが十分に強化されない。一方、Ar3温度以下における累積圧下率が80%を超えると、圧延方向と幅方向での異方性が強くなり、シャルピー吸収エネルギーが低下する。さらに、変形抵抗が高くなり造形も困難となる。そのため、熱間圧延の際の、Ar3温度以下における累積圧下率を20〜80%とする。なお、Ar3点の値は下記の式で求めることができる。
Ar3(℃)=910−273C+25Si−74Mn−56Ni−9Mo−5Cu
ただし、上記式における元素記号は、各元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が含有されていない場合にはゼロとする。
仕上温度が、(Ar3−50)℃を超えると加工フェライト量が少なくなるため、強度が低下する。一方、仕上温度が(Ar3−120)℃未満であると、圧延負荷が高く、造形性が低下する。したがって、圧延仕上温度は(Ar3−50)℃以上、(Ar3−120)℃以下とする。
冷却開始温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃
熱間圧延終了後、加速冷却を行う。その際の冷却開始温度は、(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃とする。冷却開始温度を前記範囲とすることにより、強度を向上させることができる。
650℃よりも高温で冷却を停止すると、十分な強度が得られない。一方、500℃未満まで冷却すると、冷却時に発生する残留応力によってねじれ、曲がりや反りなどが生じ、形状が保てない。そのため、冷却停止温度は650〜500℃とする。冷却停止温度は、650℃〜550℃とすることが好ましい。
表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉または転炉で溶製してブルームとし、前記ブルームを加熱炉に装入して加熱後、熱間圧延および加速冷却を施して表2に示す断面寸法の不等辺不等厚山形鋼を製造した。熱間圧延前の加熱、熱間圧延、および熱間圧延後の加速冷却の条件は、表2に示した通りとした。なお、圧延温度としては、ミルの入側、出側に放射温度計を設置し、短辺の温度を測定した。表2における仕上温度は、最終圧延時の入り側温度である。その後、得られた山形鋼のそれぞれについて、ミクロ組織ならびにフランジ部と溶接ボンド部における機械的特性を評価した。測定結果を表3に示す。なお、評価方法は、それぞれ以下の通りとした。
不等辺不等厚山形鋼の短辺(フランジ)1/2幅部、板厚1/4t位置におけるミクロ組織を光学顕微鏡で観察した。倍率×500で、3視野以上観察するとともに、金属組織としてフェライト部のトレースを行った。その後、画像解析ソフトにより、フェライト粒の短軸と長軸およびアスペクト比を求めた。アスペクト比が2.0以上のものを加工フェライトと定義し、それぞれの加工フェライトの面積を算出し、金属組織中に占める加工フェライトの面積分率を算出した。
山形鋼の短辺から、JIS 1A号引張試験片を採取し、引張特性(降伏応力YS、引張強さTS、伸びEl)を測定した。靭性については、同じく短辺からJIS Z 2242に記載の2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、−5℃での靭性を評価した。また、入熱2kJ/mmの多層盛り溶接を行った後、溶接ボンド部の−5℃での靭性も併せて評価した。
表4に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉または転炉で溶製してブルームとし、前記ブルームを加熱炉に装入して加熱後、熱間圧延および加速冷却を施して、図1および表5に示す断面形状・寸法のバルブプレートを製造した。熱間圧延前の加熱、熱間圧延、および熱間圧延後の加速冷却の条件は、表5に示した通りとした。なお、圧延温度としては、ミルの入側、出側に放射温度計を設置し、長辺(ウエブ)の温度を測定した。表5における仕上温度は、最終圧延時の入側温度である。その後、得られたバルブプレートのそれぞれについて、ミクロ組織と機械的性質および溶接ボンド部のシャルピー衝撃特性を評価した。測定結果を表6に示す。なお、評価方法は、それぞれ以下の通りとした。
図2に示す、バルブプレートの球部1/2幅部の板厚中心位置1(板厚t2の中心位置)におけるミクロ組織を光学顕微鏡で観察した。倍率×500で、3視野以上観察するとともに、金属組織としてフェライト部のトレースを行った。その後、画像解析ソフトにより、フェライト粒の短軸と長軸およびアスペクト比を求めた。アスペクト比が2.0以上のものを加工フェライトと定義し、それぞれの加工フェライトの面積を算出し、金属組織中に占める加工フェライトの面積分率を算出した。
2 ウエブ1/3幅部
Claims (6)
- 質量%で、
C :0.03〜0.18%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.1〜1.8%、
P :0.030%以下、
S :0.010%以下、
Al:0.005〜0.07%、
N :0.006〜0.018%、ならびに
V:0.01〜0.12%およびNb:0.001〜0.05%の一方または両方を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.36〜0.44%である成分組成を有し、
面積分率で20%以上の加工フェライトを含むミクロ組織を有し、
YS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−5℃におけるシャルピー吸収エネルギー:47J以上である機械的特性を有する、バルブプレート。
記
Ceq(質量%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Mo+V)/5・・・(1) - 上記成分組成が、質量%で、
Cu:0.05〜0.50%、
Ni:0.05〜0.25%、および
Mo:0.01〜0.50%からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、請求項1に記載のバルブプレート。 - 上記成分組成が、質量%で、
Ti:0.001〜0.1%および
Zr:0.001〜0.1%の一方または両方をさらに含有する、請求項1または2に記載のバルブプレート。 - 上記成分組成が、質量%で、
B :0.0002〜0.003%をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブプレート。 - 上記成分組成が、質量%で、
Ca:0.0002〜0.01%および
REM:0.0002〜0.015%の一方または両方をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブプレート。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分組成を有する鋼素材を用意し、1150〜1350℃に加熱した後、熱間圧延してバルブプレートを製造する方法であって、
前記熱間圧延を、Ar3温度以下における累積圧下率:20〜80%、仕上温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃の条件で行い、
前記熱間圧延後に、冷却開始温度:(Ar3−50)〜(Ar3−120)℃、冷却停止温度:650〜500℃の条件で加速冷却を行い、
前記バルブプレートが、
面積分率で20%以上の加工フェライトを含むミクロ組織を有し、
YS:460MPa以上、TS:570MPa以上、−5℃におけるシャルピー吸収エネルギー:47J以上である機械的特性を有する、バルブプレートの製造方法。
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