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JP6717916B2 - チューインガム菓子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チューインガム菓子の製造方法に関する。
従来から、ソフトキャンディを含有したチューインガム菓子は、ソフトキャンディ様の食感をガムに付与できることが特許文献1により知られている。さらに、キャンディガムのワンポット製造方法は特許文献2により知られている。
しかしながら、このようなチューインガム菓子の製造方法において、チューインガム原料を混練した生地にソフトキャンディ原料を混合すると、柔らかくなったガムベースとソフトキャンディ原料が互いの物性の違いにより十分に混練されず、ガムベースがミキサーのブレードに張り付き、生地が不均一な仕上がりになるという問題があった。生地の不均一を解消するためには、手動で生地をミキサーから取り出した後、ブレードに張り付いたガムベースを取り除き、再度生地をミキサーに投入して混練する作業を行う必要があった。そのため、製造工程が増えてしまい、作業が煩雑になるという問題があった。
特許第4053250号明細書 特開2016−93172号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ソフトキャンディ原料とチューインガム原料を混合した生地を均一に混練することができる、チューインガム菓子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るチューインガム菓子の製造方法は、ソフトキャンディ原料を混練する第1の混練工程と、混練したソフトキャンディ原料にチューインガム原料を混合する混合工程と、ソフトキャンディ原料とチューインガム原料との混合物を均一に混練する第2の混練工程と、を有することを特徴とする。
本発明のチューインガム菓子の製造方法によれば、ソフトキャンディ原料とチューインガム原料を混合した生地を均一に混練することができるという効果を奏する。
本発明の一態様によれば、ソフトキャンディ原料を混練する第1の混練工程と、混練したソフトキャンディ原料にチューインガム原料を混合する混合工程と、ソフトキャンディ原料とチューインガム原料との混合物を均一に混練する第2の混練工程と、を有することを特徴とするチューインガム菓子の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、第2の混練工程は、ソフトキャンディ原料の損失弾性率がチューインガム原料の損失弾性率の85%以上121%以下となる温度で行われることを特徴とする、上記に記載のチューインガム菓子の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、第2の混練工程における温度が、40℃以上50℃以下であることを特徴とする、上記に記載のチューインガム菓子の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、混合工程の後かつ第2の混練工程の前に、さらにソフトキャンディ原料を投入することを特徴とする、上記に記載のチューインガム菓子の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、ソフトキャンディ原料とチューインガム原料の比率が5:95〜53:47であることを特徴とする、上記に記載のチューインガム菓子の製造方法が提供される。
以下、本発明のチューインガム菓子の製造方法について説明する。本発明により製造されるチューインガム菓子は、ソフトキャンディを含有するチューインガム菓子である。チューインガム菓子とは、ガムベースに味や香りをつけ、噛むことで風味や口あたりを楽しむ菓子の総称である。
キャンディとは、砂糖、水飴を主原料としてつくられる菓子の総称である。キャンディは、砂糖と水飴を煮詰めた糖液に乳原料、油脂、香料、色素、酸味料、調味料、澱粉、凝固剤等を加え、混合、成形、冷却等の工程を経て製造される。これらのキャンディは水分含量等により、ハードキャンディとソフトキャンディに分けられる。本発明においてソフトキャンディとは、概ね水分含有量が5〜15%の軟質性のキャンディをいう。水分含有量は、減圧下で乾燥したときの減量に基づいて測定することができる。また、このようなソフトキャンディをつくるための原料をソフトキャンディ原料という。
[原料]
本発明のチューインガム菓子の製造方法における使用原料としては、特に限定されるものではないが、一般的なソフトキャンディ原料及びチューインガム原料を使用することができる。また、本発明により製造されるチューインガム菓子は、ソフトキャンディ原料及びチューインガム原料を混練して成形した後、糖衣を施してもよく、または表面に香味物質等を塗布してもよい。
「ソフトキャンディ原料」
本発明におけるソフトキャンディ原料として、例えば、糖類、アラビアガム、ゼラチン、たんぱく質、プルラン、食物繊維油脂、乳化剤、乳原料、香料、甘味料、酸味料等を適宜使用することができる。
ソフトキャンディ原料に含有され得る糖類としては、例えば、砂糖および砂糖以外の糖類として、例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖類、麦芽糖、乳糖などの二糖類、水飴、マルトデキストリンなどの少糖類、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マンニトール、ラクチトール、還元水飴などの糖アルコール、フォンダンなどの砂糖を再結晶化させた糖液などが挙げられる。これらは単独使用または2種以上併用することができる。本発明において、糖アルコールとして、もっとも好ましいものは、マルチトール、および還元水飴である。マルチトールは、還元麦芽糖ともいわれ、マルトースを還元して得られるものが一般的であるが、製法や粒径等によらず、あらゆるマルチトールを用いることができる。還元水飴は、澱粉の分解物である、水飴を還元したものであり、なんら限定されることなく、市販品等を用いることができる。
ソフトキャンディ原料に含有され得るアラビアガムは、アカシア属のアカシアセネガルやアカシアセイアル、またはこれらの同属樹液から調製される水溶性の多糖であり、産地由来などを問うことなく、市販品等を用いることができる。
ソフトキャンディ原料に含有され得るゼラチンは、特に限定されるものではないが、動物の皮膚や骨の結合組織であるコラーゲンから取得され、ニカワとも言われる。ゼラチンは、由来等に限定されることなく、豚皮、豚骨、牛皮、牛骨、あるいは魚等あらゆる由来のものを用いることができる。ゼラチンの強度を示すブルーム値は好ましくは、250程度あるいはそれ以上のものが望ましい。
本発明では独特の弾力や保形性をチューインガムに付与する目的でソフトキャンディ原料にゼラチン以外のたんぱく質を配合することができる。例えば、一定以上ゼラチンをガムに配合すると、咀嚼の際に極端にガムが軟化してしまい、まれに口の中でガムベースが塊としての形状を維持できず、崩壊してしまう現象が起こるおそれがある。そのため、ゼラチン以外にも、たんぱく質を配合することが好ましい。ソフトキャンディ原料に含有され得るたんぱく質は、特に限定されるものではないが、例えば、動物性たんぱく質、植物性たんぱく質、大豆由来たんぱく質、牛乳由来たんぱく質、卵白由来たんぱく質、その他あらゆるたんぱく質を用いることができる。
ソフトキャンディ原料に含有され得るプルランについては、特に限定されるものではないが、粘りや結着性を高める増粘剤として配合することが好ましい。
ソフトキャンディ原料に含有され得る加工でん粉については、特に限定されるものではなく、例えば、リン酸架橋でん粉、酢酸でん粉、酸化でん粉、ヒドロキシプロピルでん粉、オクテニルコハク酸でん粉ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、得られるチューインガム菓子の食感、耐酸性、また経時安定性などに優れることから、リン酸架橋でん粉が好ましい。
ソフトキャンディ原料に含有され得る食物繊維としては、特に限定されるものではなく、公知の食物繊維を使用可能だが、加工性の点で、セルロースが好ましい。
ソフトキャンディ原料に含有され得る油脂は、特に限定されるものではないが、例えば、動物性油脂、植物性油脂やその硬化油などを用いることができる。これらは単独使用または2種以上併用することができる。油脂として、具体的には、植物油脂、動物性油脂、サラダ油、大豆油、コーン油、ごま油、菜種油、キャノーラ油、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油、ベニバナ油、ヤシ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、カカオバター、ピーナッツバター、パーム油、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、バター、マーガリン、ショートニング、生クリームなどを挙げることができる。
ソフトキャンディ原料に含有され得る乳化剤は、油脂を乳化できるものであれば特に制限されず、例えば、有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチンなどの食用乳化剤が挙げられる。これらは単独使用または2種以上併用することができる。乳成分として、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、加糖全脂練乳、加糖脱脂練乳などの練乳、バター、生クリームなどが挙げられる。
ソフトキャンディ原料に含有され得る香料は、特に限定されるものではないが、例えば、ペパーミント油、スペアミント油などのミント精油類、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油などの柑橘精油類、オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリー、クローブ、シナモン、クミン、ディル、ガーリック、パセリ、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、ローズマリー、ペッパーのような公知のスパイス精油類またはオレオレジン類、リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、L−メントール、オイゲノール、シンナミックアルデハイド、アネトール、ペリラアルデハイド、バニリン、γ−ウンデカラクトン、カプロン酸アリル、L−カルボン、マルトールなどのような公知の単離、または合成香料、および、これら柑橘精油類、ミント精油類、スパイス精油類、合成香料を目的に沿った割合で混合したシトラスミックス、ミックスミント、各種フルーツなどを表現させた調合香料などが挙げられる。
ソフトキャンディ原料に含有され得る甘味料は、特に限定されるものではないが、例えば、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、フコース、ソルボース、フルクトース、ラムノース、リボース、異性化液糖、N−アセチルグルコサミンなどの単糖類;イソトレハロース、スクロース、トレハルロース、トレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、マルトース、メリビオース、ラクチュロース、ラクトースなどの二糖類;α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノースなど)、オリゴ−N−アセチルグルコサミン、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、ガラクトピラノシル(β1−3) ガラクトピラノシル (β1−4) グルコピラノース、ガラクトピラノシル (β1−3) グルコピラノース、ガラクトピラノシル (β1−6) ガラクトピラノシル (β1−4) グルコピラノース、ガラクトピラノシル (β1−6) グルコピラノース、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、スタキオース、テアンデオリゴ、ニゲロオリゴ糖(ニゲロースなど)、パラチノースオリゴ糖、パラチノースシロップ、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、フラクトフラノシルニストース、ポリデキストロース、マルトシル−β−サイクロデキストリン、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキサオース、ヘプタオースなど)、ラフィノース、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、大豆オリゴ糖、転化糖、水飴などのオリゴ糖類;イソマルチトール、エリスリトール、キシリトール、グリセロール、ソルビトール、パラチニット、マルチトール、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マンニトール、ラクチトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴などの糖アルコール;α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウチャ抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウなどの高甘味度甘味料等が挙げられる。
ソフトキャンディ原料に含有され得る酸味料としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、イタコン酸、クエン酸、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、およびリン酸などが挙げられる。
ソフトキャンディ原料には、上記した原料以外にも、食塩、酸化防止剤、各種色素、保存料、ビタミン、ミネラルなどの添加剤を適宜含有させることができる。
「チューインガム原料」
チューインガム原料とは、チューインガムをつくるための原料のことであり、例えば、ガムベース、甘味料、香料、酸味料、色素、その他添加物等を含むことができる。チューインガム原料としては、ガムベースは必須であり、特に限定されるものではないが、例えば、チューインガム菓子中5重量%〜70重量%含有させることができる。ガムベースの原料としては、チクル、ジェルトンなどの天然樹脂、ポリ酢酸ビニル、エステルガム、ワックス、天然ゴム、ポリイソブチレン、炭酸カルシウムなど、一般的なものを適宜使用できる。
チューインガム原料に含有され得る甘味料としては、特に限定されるものではないが、例えば、グルコース、フルクトース等の単糖類、マルトース、ラクトース、スクロース(ショ糖)等の二糖類、オリゴ糖、水飴、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、還元パラチノース、還元水飴等の糖アルコール、アセスルファムKやアスパルテーム等の高甘味度甘味料、粉末果汁などが挙げられる。
チューインガム原料に含有され得る香料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、ラベンダー油、ジャスミン油、セージ油、ローレル油、カモミール油、バジル油、キヤラウェイ油、カルダモン油、シンナモン油、ショウガ油、コリアンダー油、ゼラニウム油、ヒソップ油、オリス油、ダバナ油、エレミ油などの精油類、パプリカオレオレジン、バニラエキストラクトなどの香辛料抽出物類、l−メントール、カルボン、オイゲノール、イソオイゲノール、エステル類、イオノン、バニリン、エチルバニリン、マルトールなどの合成香料などが挙げられる。
チューインガム原料に含有され得る酸味料としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、イタコン酸、クエン酸、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、およびリン酸などが挙げられる。
チューインガム原料には、上記した原料以外にも、食塩、酸化防止剤、各種色素、保存料、ビタミン、ミネラルなどの添加剤を適宜含有させることができる。また、チューインガム原料には、上記したソフトキャンディ原料に含有され得る原料を含有させることができる。
「配合例」
上記したソフトキャンディ原料及びチューインガム原料の具体的な配合の一例を、以下の表1に示す。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0006717916
なお、本発明のチューインガム菓子の製造方法に使用できる配合例は、表1に示したものに限られず、前述のように、例えばグルコース、フラクトース、アラビノース、パラチノース、トレハロース、マルトース、ラクトースなど砂糖以外の糖類、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、マンニトール、還元パラチノース、還元水飴などの糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アリテーム、ステビアなどの高甘味度甘味料、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、酢酸、酒石酸などの各種酸味料、各種天然色素、各種合成色素、各種天然香料、各種合成香料、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどの各種乳化剤、ビタミンEなどの各種酸化防止剤、ウーロン茶抽出物、カカオ抽出物などの各種植物抽出物、各種ビタミン、各種ミネラルなどを、ソフトキャンディ原料及び/又はチューインガム原料として適宜使用することができる。
[チューインガム菓子の製造方法]
本発明の一態様に係るチューインガム菓子の製造方法は、上記したソフトキャンディ原料を水に溶解し、乳化させた溶液を減圧条件下で、煮詰めて濃縮し、ソフトキャンディ原料を混練する(第1の混練工程)。その後、混練したソフトキャンディ原料の生地に、チューインガム原料を含むチューインガム原料を投入して混合する(混合工程)。さらに、混合したソフトキャンディ原料とチューインガム原料を含むチューインガム原料との混合物を共にミキサーで均一に混練し(第2の混練工程)、成形することにより製造される。
本発明のチューインガム菓子の製造方法において、第2の混練工程は、ソフトキャンディ原料の損失弾性率がチューインガム原料の損失弾性率の85%以上121%以下となる温度で行われることが好ましい。
本発明のチューインガム菓子の製造方法において、第2の混練工程における温度が、40℃以上50℃以下であることが好ましい。
「損失弾性率」
ここで、損失弾性率について説明する。損失弾性率は、粘弾性を記述する物理量の一つであり、物体に外力とひずみにより生じたエネルギーのうち外部へ拡散する成分である。なお、物体に外力とひずみにより生じたエネルギーのうち物体の内部に保存する成分を貯蔵弾性率という。
本発明では、損失弾性率は、アントンパール社製MCR102を用い、直径12mmパラレルレートを装着し、周波数1.0Hz、歪み率0.1%の条件でせん断試験を行って測定する。
一般に材料の物性は温度によって変化し、材料の混ざりやすさに大きな影響を与える。混練に影響を与える要因は様々であるが、特に、物性の値が近い材料は混ざりやすく、物性の値が離れている材料は混ざりにくい傾向にある。ソフトキャンディ原料とガムベースとを比較した場合、温度が約30〜50℃の範囲では多少ぶれがあるものの同程度の損失弾性率の値を示し、それを超えるとガムベースの損失弾性率が急激に低下し始める。すなわち、品温が組成に応じた一定の温度を超えて高くなるにつれ、ソフトキャンディ原料とガムベースは混ざりにくくなることを示唆している。従来は、ガムベースを含むチューインガム原料を先に混練し、後からソフトキャンディ原料を投入する手順で混練する製造方法が一般的であったが、先にガムベースの品温を上げることになるため、混練効率を低下させていたおそれがある。
本発明のチューインガム菓子の製造方法において、混合工程の後かつ第2の混練工程の前に、さらにソフトキャンディ原料を投入することが好ましい。
第1の混練工程において投入するソフトキャンディ原料の投入量と、混合工程の後かつ第2の混練工程の前に投入するソフトキャンディ原料の投入量は特に限定されるものではなく、例えば、最初にソフトキャンディ原料の全量を投入してもよいが、半量ずつ投入することが好ましい。
本発明において、ソフトキャンディの含有率は特に限定されるものではないが、ソフトキャンディ原料とチューインガム原料の比率が5:95〜53:47であることが好ましく、20:80〜53:47であることがより好ましい。
ソフトキャンディの含有率が高いことにより、通常のガムでは実現できないような噛み始めの柔らかさと特有の弾力を付与することができる。また通常ガムに配合することのできない量の植物油脂を配合することができる。この植物油脂によって通常のガムにはない濃厚な味わいを付与することができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
(実施例1)
下記表2の実施例1の組成にて、以下の1〜7の工程によりソフトキャンディ原料の全量を最初に投入してチューインガム菓子を作製した。
1.粉糖及び添加物(甘味料、酸味料)をミキサーに投入し、ミキサーのブレードに万遍なく行き渡るように攪拌した。
2.加温して柔らかくしたソフトキャンディ原料(全量、品温50℃)をミキサーに投入し、1分攪拌した。
3.ガムベースを含むチューインガム原料をミキサーに投入し、2分混練した。
4.軟化剤及び色素をミキサーに投入し、30秒混練した。
5.液体香料をミキサーに投入し、十分に混練した。
6.粉糖をミキサーに投入し、液体香料と馴染ませ、混練した。
7.全ての混合物が均一に混ざったことを確認して、混練した生地を取り出した。
Figure 0006717916
工程4における温度が50℃の場合、ソフトキャンディ原料の損失弾性率の実測値は、チューンガム原料の損失弾性率の実測値の114〜121%であった。工程4における温度を40℃にした場合、ソフトキャンディ原料の損失弾性率の実測値は、チューンガム原料の損失弾性率の実測値の85〜101%であった。損失弾性率はアントンパール社製MCR102を用い、直径12mmパラレルレートを装着して測定を行った。周波数1.0Hz、歪み率0.1%として、30℃から70℃の範囲の損失弾性率を求めた。損失弾性率の値の算出方法は、チューンガム原料を2回、ソフトキャンディ原料を4回測定し、ソフトキャンディ原料の最小値/チューンガム原料の最大値が小さい方の値であり、ソフトキャンディ原料の最大値/チューンガム原料の最小値が大きい方の値である。
上記の1〜7の工程における順番及び方法により、ソフトキャンディ原料の全量を最初に投入して混練作業を行った場合も、ソフトキャンディ原料とガムベースが均一に混練することができ、ガムベースがブレードに付着するという現象は見られなかった。
(比較例1)
上記表2の実施例1と同じ組成にて、以下の1〜7の工程によりチューインガム菓子を作製した。
1.ガムベースを含むチューインガム原料を初めにミキサーに投入し、通常通りにガムベースが柔らかくなるまで2分混練した。
2.負荷がかからないように粉糖、軟化剤及び色素などの粉物原料をミキサーに投入しながら混練した。
3.加温して柔らかくしたソフトキャンディ原料(半量、品温50℃)をミキサーに投入し、1分混練した。
4.添加物(甘味料、酸味料)をミキサーに投入し、混練した。
5.残りのソフトキャンディ原料(半量、品温50℃)をミキサーに投入し、30秒混練した。
6.液体香料をミキサーに投入し、十分に混練した。
7.混練した生地をミキサーから取り出し、ミキサーのブレードに付着したガムベースを除去した後、再度生地をミキサーに投入して混練した。
比較例1の順番及び方法で混練作業を行うと、柔らかくなったガムベース(品温50℃以上)とソフトキャンディが物性の違いにより十分に混練されず、ガムベースがミキサーのブレードに張り付いたまま、生地が不均一な仕上がりになった。生地の不均一を解消するために手動でミキサーから取り出し、ミキサーのブレードに付着したガムベースを除去した後、再度生地をミキサーに投入して混練作業を行う必要があった。
(実施例2〜10)
上記表2の実施例2〜10の組成にて、実施例1と同様の工程でチューインガム菓子を作製した。
実施例2〜10のいずれにおいても、ソフトキャンディ原料とガムベースを均一に混練することができ、ガムベースがブレードに付着するという現象は見られなかった。

Claims (3)

  1. ソフトキャンディ原料を混練する第1の混練工程と、
    混練した前記ソフトキャンディ原料にチューインガム原料を投入して混合する混合工程と、
    前記ソフトキャンディ原料と前記チューインガム原料との混合物を均一に混練する第2の混練工程と、
    を有し、
    前記ソフトキャンディ原料と前記チューインガム原料の比率が20:80〜53:47であり、
    前記第2の混練工程における温度が、40℃以上50℃以下であることを特徴とするチューインガム菓子の製造方法。
  2. 前記第2の混練工程は、前記ソフトキャンディ原料の損失弾性率が前記チューインガム原料の損失弾性率の85%以上121%以下となる温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載のチューインガム菓子の製造方法。
  3. 前記混合工程の後かつ前記第2の混練工程の前に、さらに前記ソフトキャンディ原料を投入することを特徴とする、請求項1または2に記載のチューインガム菓子の製造方法。
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