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JP6748852B2 - ブラシレスモータ - Google Patents

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Description

本発明はブラシレスモータの構造に関するものである。
このようなブラシレスモータの1つとして、ロータコアに設けられたスロット部に磁石を配置する磁石埋め込み型のブラシレスモータがある。この磁石埋め込み型のブラシレスモータは、マグネットトルクに加え、リラクタンストルクを得ることができるため、高効率が要求される圧縮機用モータ等に使用されている。
磁石埋め込み型のロータコアにおいて、1極中に2つのスロット部を備えた構成、すなわち、スロット部それぞれに1つの磁石を配置して2つのスロット部の間を物理的に離した場合、その2つのスロット部の間の金属部分で、ロータコアの外周側と中心側で繋がることになる。そして、磁石によって発生した磁束がスロット部間でのこの金属箇所を通り、その結果、磁石で発生した磁束の漏れがその部分で発生する。そのため、2つのスロット部を物理的につないで1つのスロット部とする場合も有る。
ところで、上記磁石は、高温または高逆磁界にさらされると不可逆減磁を起こしてしまうことがある。このため、保磁力の大きな磁石を用いたり、あるいは磁石自体の厚さを大きくしたりするなどして、不可逆減磁が起きないようにすることもある。また、逆磁界は磁石に対して局所的に作用することから、逆磁界が集中する磁石端近傍に空隙を設けることもある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、2つのスロット部をつないで1つのスロット部にしてロータコアの外周側と中心側を分離しつつ、さらに逆磁界が集中する磁石端近傍に空隙を設けたとしても、ステータ側より発生する逆磁界がさらに大きくなるような場合では、十分に磁石の不可逆減磁を低減することができなかった。
特開2003−143788号公報
本発明のブラシレスモータは、ステータコアに巻線を施してなるステータと、ステータと空隙を介して対向し、回転軸の軸心を回転中心として回転自在に保持されたロータとを有するブラシレスモータである。本ブラシレスモータのロータは、それぞれ1極あたり2つの磁石が埋設されるスロット部を備える。スロット部は、軸心を囲う周方向に複数備えられる。スロット中央部は、2つの磁石の間のスロット中央部の中心近傍の径方向の幅を、スロット部の他の部分の幅より小さくしたものである。この構成により、スロット中央部での漏れ磁束を抑制しつつ、逆磁界をスロット中央部中心付近に導くことで磁石にかかる逆磁界を低減できる。
また、本発明のブラシレスモータにおいて、スロット部2つの磁石の間に位置するスロット中央部を底部として径方向に広がるV字状であ。この構成により、ロータコアのスロット部より外周側の面積がより大きくなることで、磁束がより通り易くなり、逆磁界をスロット中央部中心付近へ導きやすくなることで、磁石にかかる逆磁界を低減できる。
また、本発明のブラシレスモータにおいて、スロット中央部は、スロット部の回転軸側に位置して、スロット部の内側に向けて突出する凸部を設ける。凸部を設けることで容易にスロット中央部の中心近傍の径方向の幅を小さくすることができる。
また、本発明のブラシレスモータは、スロット部がV字状に配置されており、さらに、スロット中央部の回転軸側の面が、スロット中央部の中心点と回転軸の軸心とを結ぶ軸に対し垂直な直線状である。この構成により、容易にスロット中央部の中心付近の径方向の幅を最も小さくすることができ、かつ製造が簡単になる。スロット中央部のロータ外周側の面は、軸心方向から見てスロット中央部を底部として径方向に広がるV字状であってもよい。
また、本発明のブラシレスモータは、スロット中央部の中心近傍の径方向の最小の幅を、ステータとロータとの間の僅かな空隙の2倍以上としたことを特徴とする。この構成により、モータ駆動時には、磁束がスロット中央部の中心近傍よりも、ステータ側へ流れやすくなり、有効な磁束の漏れを小さくすることができる。
また、本発明のブラシレスモータは、スロット中央部に、磁石の動きを規制する磁石止め部を設けたことを特徴とする。この構成により、ロータの組立て時やモータの使用中に、磁石がスロット中央部側へ移動することがないので、前述した効果を維持することができる。また、ロータは、軸心を法線とする断面において、軸心を中心とする最外周円から軸心側に向かって窪んだ、複数の凹部を有する。複数の凹部は、スロット部の径方向端部が隣接する近傍にそれぞれ位置する。
以上のように、本発明のブラシレスモータは、スロット中央部での漏れ磁束を抑制しつつ、逆磁界をスロット中央部の中心付近に導くことで磁石にかかる逆磁界を低減できる。
図1は、本発明の実施の形態1に係るブラシレスモータの上面図である。 図2は、同ブラシレスモータのロータの上面図である。 図3Aは、実施の形態1における磁力線の流れを示す図である。 図3Bは、比較例における磁力線の流れを示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2に係るブラシレスモータのロータの上面図である。 図5は、本発明の実施の形態3に係るブラシレスモータのロータの上面図である。 図6は、本発明の実施の形態4に係るブラシレスモータのロータの上面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るブラシレスモータ100の上面図である。ブラシレスモータ100は、ステータ10と、そのステータ10と僅かな隙間を介して対向し、回転自在に保持されたロータ20とを備えている。特に、本実施の形態のブラシレスモータ100は、磁石埋め込み型のブラシレスモータであり、ロータ20に形成された磁石埋設孔に永久磁石を装着している。
ステータ10は、ステータコア11と、巻線15とを備えている。ステータコア11は、例えば複数の電磁鋼板を積層して形成され、環状のヨーク12と、ヨーク12の内部に配置された複数のティース13とを有している。また、隣り合うティース13間には、ステータスロット14が設けられている。そして、ティース13には、巻線15が巻回されている。このようなステータ10の内周側に、図1に示すように、ロータ20が配置されている。
図2は、図1のロータ20を拡大した図であり、軸方向から見たロータ20の上面図である。ロータ20は、金属のロータコア21と、永久磁石である磁石23a、23bと、ロータコア21の中央に配置された回転軸30とを含む。
ロータコア21は、ステータコア11と同様に、薄い板状体の電磁鋼板を複数枚軸方向に積層して構成されている。そして、ロータコア21には、電磁鋼板部分である金属コア部22mに対し、2つの磁石23a、23bを埋設するための長方形状の孔である磁石埋設孔としてのスロット部22sが設けられている。ここで、特に、本実施の形態では、スロット部22sが、1極中に2つの磁石23a、23bを埋設する構成である。すなわち、図2のように、1つのスロット部22sにおいて、磁石23aと23bとの外側の面どうしが同じ極、内側の面どうしも同じ極であり、かつ内側の面が外側の面に対して異極となるように、磁石23a、23bそれぞれを配置している。ロータコア21は、このようなスロット部22sを複数有しており、それぞれが周方向に所定間隔で、かつロータコア21の外周から同じ位置となるように形成されている。磁石23a、23bは、金属コア部22mに形成された空気孔であるこれらスロット部22sに挿入され、スロット部22s両面の金属コア部22mにて挟み込み固定されるか、あるいは樹脂や接着剤などで固着されている。
さらに、図2のように上面から見て、磁石23aと磁石23bとの長手方向の合計寸法をスロット部22sの寸法よりも小さくしている。このような磁石23aと磁石23bとを、それぞれスロット部22sの端部に配置することで、磁石23aと磁石23bとの間に十分な隙間を形成している。すなわち、磁石23aと磁石23bとの間で、スロット部22sの中央部分には、磁石が配置されない空間であるスロット中央部24が設けられている。そして、径方向においては、このスロット部22sを境にして、ロータコア21の外周側と中心側がほぼ分離されることになる。
本実施の形態では、上記の背景技術で説明したスロット部それぞれに1つの磁石を配置して2つのスロット部の間を物理的に離した従来の構成に対し、まず、このような1つのスロット部22s中の2つの磁石間の空間となるスロット中央部24を設けた構成としている。本実施の形態では、このような構成とすることで、上記の背景技術で説明したような磁束の漏れを抑制している。
次に、巻線15に電流が通電され、磁石23a、23bの磁化方向と逆向きの磁界が磁石23a、23bにかかるような場合を考える。つまり、ステータコア11に発生した磁束が、僅かな空隙を通りロータ20側へ向かい、磁石23a、23bに逆磁界がかかる場合である。
その逆磁界が磁石23a、23bの減磁耐力以上であれば、なんらかの対策が必要となる。そこで、そのような対策の一手法として、磁石23a、23bが受ける逆磁界を小さくするために、磁石23a、23bよりも、より磁力線が通り易い透磁率が高い場所を設けてやれば良い。言い換えれば、ステータコア11からロータ20へ向かってくる磁束を、磁力線が通り易い場所へ導くことで、磁石23a、23bに対して生じる逆磁界を低減できる。よって、磁石23a、23bには、不可逆減磁が生じる可能性が低くなる。
ところで、このように磁力線が通り易い透磁率が高い場所としては、磁石23a、23bが逆磁界の影響を受け難いような適切な場所に形成する必要がある。すなわち、透磁率が高い場所には多くの磁束が集中して逆磁界の影響が強いため、透磁率が高い場所としては、磁石23a、23bから適切な距離を保ち、磁石23a、23bから離れている場所に位置することが望ましい。そして、磁石23a、23bに向かって流れていた磁束を、この透磁率が高い場所へ導いてやれば良い。
そこで、本実施の形態において、透磁率が高い場所は、磁石23aと磁石23bとの間の中心近傍の径方向の幅がスロット部22sの他の部分の幅より小さくなるようなスロット中央部24を形成している。
具体的には、磁石23aと磁石23bとの間に位置するスロット中央部24に、スロット部22sの幅Tが最も短くなるように、金属コア部22mが外周方向に向けてスロット部22s内に突出する凸部25を形成している。ロータコア21の径方向において、この凸部25によりスロット中央部24の形状としては、スロット中央部24を形成する空間がへこむような凹形状となる。詳しくは、スロット中央部24のロータ中心側の面において、外周方向に向けて突出した凸部25を設けた構成となっている。
本構成とすれば、スロット中央部24は、磁気抵抗が大きい空気層の幅が狭くなるため、透磁率が高くなる。よって、スロット中央部24近傍に流れる磁力線は、凸部25に導かれるような磁束を形成する。
図3Aは、このようなスロット中央部24を形成した本実施の形態における磁力線の流れを示す図であり、図3Bは、図3Aと比較するために示した比較例における磁力線の流れを示す図である。図3Aに示す本実施の形態は、上述したとおり、1つのスロット部22sに2つの磁石23a、23bを配置し、磁石23aと磁石23bとの間には、凸部25を含むスロット中央部24が形成される。これに対し、図3Bに示す比較例では、1つのスロット部92sに1つの磁石93を配置したロータ90の場合を示しており、スロット部の中央付近には空間を有していない。
この結果、図3Bに示す比較例のように、スロット部92sの端部とロータ90の外周の間に位置するブリッジ部99に集中していた磁束B10や、磁石93の磁化方向と逆に発生していた磁束B11は、図3Aに示す本実施の形態のように、スロット中央部24に生じている磁束B21は凸部25へと導かれる。この影響を受け、ブリッジ部29に生じる磁束B20も減少する。したがって、磁石23a、23bにかかる逆磁界が低減し、不可逆減磁を抑制できる。
以上のことから、磁石で発生した磁束の漏れを低減しつつ、かつ磁石の不可逆減磁を抑制できるので、高効率で高減磁耐力をもつブラシレスモータを実現することができる。
なお、磁石によって発生した磁束は、ステータとロータとの間の僅かな空隙を通りステータ側に流れることによって、トルクを発生させるための有効な磁束となる。よって、モータの駆動時には、磁石によって発生した磁束がスロット中央部24へ流れないようにするほうが望ましい。
そのため、スロット中央部24の中心付近の径方向の幅Tは、ステータ10とロータ20との間の僅かな空隙の2倍以上にすることが好ましい。磁石で発生した有効な磁束は、僅かな空隙を通りステータ側に流れ、ステータ側がら再度空隙を通りロータ側に戻るため、磁路として僅かな空隙を2回通ることになる。そこで、スロット中央部24の中心付近の径方向の幅Tを、その僅かな空隙の2倍以上にしてやれば、有効な磁束の磁路の磁気抵抗よりもスロット中央部の中心付近の磁気抵抗が大きくなる。これにより、モータの駆動時に、磁束はスロット中央部の中心付近よりもステータ側へ流れやすくなり、有効な磁束の漏れを小さくすることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るブラシレスモータ100のロータ40の上面図である。基本的な構成は実施の形態1と同じなので、相違点を中心に以下説明する。
本実施の形態のロータ40では、スロット部22sが、スロット中央部を底部としてロータの径方向に向けて広がるV字状となっている。そして、スロット中央部24の中心付近の径方向の幅Tが最も小さくなるように、実施の形態1と同様の凸部25を設けている。
スロット部22sをV字状にすることで、スロット中央部24の位置を、よりロータコア21の中心側にもってくることができる。そうすると、ロータコア21のスロット部22sより外周側の面積が、扇形状になって大きくなる。その結果、磁束がより通り易くなり、逆磁界をスロット中央部24の中心付近へ導きやすくなる。
そのため、本実施の形態では、実施の形態1よりさらに磁石の不可逆減磁を低減することができ、高効率で高減磁耐力をもつブラシレスモータを実現することができる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係るブラシレスモータ100のロータ50の上面図である。本実施の形態2との相違点は、スロット中央部24の凸部25の箇所が直線状になっている点である。つまり、スロット中央部24のロータ中心側の面を、スロット中央部24の中心点とロータ50の中心点とを結ぶ軸Lに対して垂直な直線状である直線部26としている。
この構成とすれば、スロット中央部24の中心付近の径方向の幅Tを最も小さくすることができるので、凸部25にくらべて形状が非常に簡単になるので、製造がしやすくなりコストダウンが図れる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4に係るブラシレスモータ100のロータ60の上面図である。本実施の形態のロータ60は、実施の形態3のロータ50に、磁石止め27をさらに設けた構成としている。磁石23a、23bのそれぞれがスロット中央部24中心付近に寄ることを防ぐための位置決めとして、スロット中央部24に磁石止め27を設けている。
この磁石止め27は、磁石23a、23bが埋設されるスロット部の幅S1より、スロット中央部24の幅S2を小さくすることで実現している。
ロータ60の組立て時やモータ使用中に磁石23a、23bが、逆磁界が集中するスロット中央部24の中心付近に近づかないようにして、実施形態1〜3で説明したような効果が阻害されずに、常時性能を維持することができる。
本発明のブラシレスモータは高効率で高減磁耐力を有しているので、圧縮機をはじめ、空調機など各種電気機器に適用可能である。
10 ステータ
11 ステータコア
12 ヨーク
13 ティース
14 ステータスロット
15 巻線
20,40,50,60,90 ロータ
21 ロータコア
22s,92s スロット部
22m 金属コア部
23a,23b,93 磁石
24 スロット中央部
25 凸部
26 直線部
27 磁石止め
29,99 ブリッジ部
30 回転軸
100 ブラシレスモータ

Claims (6)

  1. ステータコアに巻線を施してなるステータと、前記ステータと空隙を介して対向し、回転軸の軸心を回転中心として回転自在に保持されたロータとを有するブラシレスモータであって、
    前記ロータは、それぞれ1極あたり2つの磁石が埋設されるスロット部を前記軸心を囲う周方向に複数備え、
    前記スロット部は、前記2つの磁石の間に位置するスロット中央部を底部として径方向に広がるV字状であって、
    前記スロット中央部前記スロット部の前記回転軸側に位置して前記スロット部の内側に向けて突出する凸部を設けて、前記スロット中央部の中心近傍の径方向の幅を、前記スロット部の他の部分の幅より小さくしたことを特徴とするブラシレスモータ。
  2. ステータコアに巻線を施してなるステータと、前記ステータと空隙を介して対向し、回転軸の軸心を回転中心として回転自在に保持されたロータとを有するブラシレスモータであって、
    前記ロータは、それぞれ1極あたり2つの磁石が埋設されるスロット部を前記軸心を囲う周方向に複数備え、
    前記スロット部は、前記2つの磁石の間に位置するスロット中央部を底部として径方向に広がるV字状であって、
    前記スロット中央部の前記回転軸側の面が、前記スロット中央部の中心点と前記回転軸前記軸心とを結ぶ軸に対し垂直な直線状であり、前記スロット中央部の中心近傍の径方向の幅を、前記スロット部の他の部分の幅より小さくしたことを特徴とするブラシレスモータ。
  3. 前記スロット中央部の中心近傍の径方向の最小の幅を、前記ステータと前記ロータとの間の空隙の2倍以上としたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のブラシレスモータ。
  4. 前記スロット中央部に、前記磁石の動きを規制する磁石止め部を設けたことを特徴とする請求項に記載のブラシレスモータ。
  5. 前記スロット中央部のロータ外周側の面は、前記軸心方向から見て前記スロット中央部を底部として径方向に広がるV字状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラシレスモータ。
  6. 前記ロータは、前記軸心を法線とする断面において、前記軸心を中心とする最外周円から前記軸心側に向かって窪んだ、複数の凹部を有し、
    前記複数の凹部は、前記スロット部の径方向端部が隣接する近傍にそれぞれ位置する請求項1~5のいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
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