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JP6740715B2 - パターン導電体、発熱用導電体、導電体付きシート、発熱板、乗り物および建築物 - Google Patents

パターン導電体、発熱用導電体、導電体付きシート、発熱板、乗り物および建築物 Download PDF

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Description

本発明は、パターン導電体、このパターン導電体を含む発熱用導電体、発熱用導電体を有する導電体付きシート、および、発熱用導電体または導電体付きシートを備える発熱板に関する。また、本発明は、発熱板を備える乗り物および建築物に関する。
従来から、規則的または不規則的なパターンを有するパターン導電体が、広く用いられている。パターン導電体は、例えば、車両のフロントウィンドウ(windshield;風防ガラス)に用いられるデフロスタ(霜取り装置)や窓用の暖房器具、あるいはタッチパネルセンサ等に利用されている。これらに用いられているパターン導電体は、通電されることによって、発熱して霜取りや暖房器具として、またはセンサとして機能する。例えば、特許文献1および2では、パターン導電体が、透視性を有した発熱板に組み込まれて窓ガラスに利用されている。この発熱板において、パターン導電体は、通電によってその抵抗加熱により昇温する。発熱板からなる窓ガラスの昇温により、窓ガラスの曇りを取り除いたり、窓ガラスに付着した雪や氷を溶かしたり、または、水滴を蒸発させたりすることで、乗員の視界を確保することができる。
特開2013−173402号公報 特開平8−72674号公報
従来の発熱板では、パターン導電体の線状導電体がある方向に延びて一対のバスバー間を連結している。ところが、このような発熱板を介して光、例えば対向車の照明を観察した場合、尾を引くように観察される光の筋、すなわち光芒が当該照明の周囲に観察される。このような光芒の発生は、窓ガラスを介した視認性に悪影響を及ぼし得る。
この点について本件発明者らが鋭意検討を重ねたところ、光芒は、光(例えば、対向車の照明光)が、線状導電体によって回折されることで生じていることが知見された。すなわち、光芒は、線状導電体での回折光が視認される現象と考えられた。
本発明は、本件発明者らのこのような知見に基づくものである。すなわち、本発明は、発熱板中のパターン導電体における、光芒を目立たなくさせることを目的とする。
本発明のパターン導電体は、
一方向に延び且つ前記一方向と非平行である他方向に配列された複数の線状導電体を備え、
前記線状導電体は、一対の直線状の側縁を有する帯状本体部と、前記帯状本体部に前記他方向の一側から隣接する一側の側部と、前記帯状本体部に前記他方向の他側から隣接する他側の側部と、を有し、
前記一側の側部によって形成される前記線状導電体の一側の側縁は、前記帯状本体部の一側の側縁と少なくとも一部分において接続し、前記他側の側部によって形成される前記線状導電体の他側の側縁は、前記帯状本体部の他側の側縁と少なくとも一部分において接続する。
本発明のパターン導電体において、前記帯状本体部の前記一対の側縁は平行であってもよい。
本発明のパターン導電体において、前記線状導電体の前記一方向における任意の位置において、前記一側の側部の前記一方向に直交する方向への幅は、前記帯状導電体の前記一方向に直交する方向への幅の半分未満であり、前記他側の側部の前記一方向に直交する方向への幅は、前記帯状導電体の前記一方向に直交する方向への幅の半分未満であってもよい。
本発明のパターン導電体において、前記線状導電体の一側の側縁および他側の側縁のうち少なくとも一方は、波線であってもよい。
本発明の発熱用導電体は、
上述したいずれかのパターン導電体と、
一対のバスバーと、を備え、
前記パターン導電体は、前記一対のバスバーを連結する。
本発明の導電体付きシートは、
上述した発熱用導電体と、
前記発熱用導電体を支持する基材フィルムと、を備える。
本発明の発熱板は、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に設けられた、上述した発熱用導電体、または、上述した導電体付きシートと、を備える。
本発明の乗り物は、上述した発熱板を備える。
本発明の建築物は、上述した発熱板を備える。
本発明によれば、パターン導電体における、光芒を目立たなくさせることができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、発熱板を備えた乗り物を概略的に示す斜視図である。特に図1では、乗り物の例として、発熱板で構成されたフロントウィンドウを備えた自動車を概略的に示している。 図2は、発熱板をその法線方向から示す図である。 図3は、図2のIII−III線における発熱板の横断面図である。 図4は、発熱用導電体をその法線方向から示す平面図であって、発熱用導電体の一例を示す平面図である。 図5は、線状導電体の一例を示す拡大図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付シート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付シート」は、「導電体付板(基板)」や「導電体付フィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、シート状(板状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該シート状(板状、フィルム状)の部材のシート面(板面、フィルム面)への法線方向のことを指す。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図5は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った発熱板の断面図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されているとする。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する断面図を図3に示す。図3に示された例では、発熱板10は、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配置された導電体付シート20と、基板11,12と導電体付シート20とを接合する接合層13,14と、を有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、その他の図では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10および基板11,12を平板状に図示している。
導電体付きシート20は、基材フィルム21と、基材フィルム21の一方の基板11に対面する面上に設けられた発熱用導電体30と、を有する。発熱用導電体30は、線状導電体50を有するパターン導電体40と、パターン導電体40に通電するための一対のバスバー35と、を有する。
また、図1及び図2によく示されているように、発熱板10は、発熱用導電体30に通電するための配線部15を有している。図示された例では、バッテリー等の電源7によって、配線部15からバスバー35を介して発熱用導電体30に通電し、発熱用導電体30を抵抗加熱により発熱させる。発熱用導電体30で発生した熱は基板11,12に伝わり、基板11,12が温められる。これにより、基板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、基板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。尚、図示は省略するが、通常、電源7と発熱用導電体30のバスバー35との間に、開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、発熱板10の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じて発熱用導電体30に通電する。
以下、発熱板10の各構成要素について説明する。
まず、基板11,12について説明する。基板11,12は、図1で示された例のように自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような基板11,12の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。基板11,12の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ここで、基板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、基板11,12の一部または全体に着色するなどして、この一部分の可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、基板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた基板11,12を得ることができる。一対の基板11,12は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
次に、接合層13,14について説明する。一方の接合層13が、一方の基板11と導電体付きシート20との間に配置され、一方の基板11と導電体付きシート20とを互いに接合する。他方の接合層14が、他方の基板12と導電体付きシート20との間に配置され、他方の基板12と導電体付きシート20とを互いに接合する。
このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。一対の接合層13,14は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるように
してもよい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10の基板11,12、接合層13,14、後述する導電体付きシート20の基材フィルム21の、少なくとも一つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電体付きシート20について説明する。導電体付きシート20は、基材フィルム21と、基材フィルム21の一方の基板11に対面する面上に設けられた発熱用導電体30と、を有する。導電体付きシート20は、基板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されている。以下、導電付シート20の各構成要素について説明する。
基材フィルム21は、発熱用導電体30を支持する基材として機能する。基材フィルム21は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。基材フィルム21としては、可視光を透過し、発熱用導電体30を適切に支持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、基材フィルム21は、光透過性や、発熱用導電体30の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.20mm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、「透明」とは、当該基材フィルムを介して当該基材フィルムの一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
次に、図4を参照しながら、発熱用導電体30について説明する。図4は、導電体付きシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図である。
発熱用導電体30は、一対のバスバー35と、一対のバスバー35間に配置されたパターン導電体40と、を有している。バスバー35は、対応する配線部15と電気的に接続されている。一対のバスバー35間には、配線部15と接続された電源7の電圧が印加されるようになる。パターン導電体40は、所定のパターンで配置された線状導電体50によって形成されている。パターン導電体40は、一対のバスバー35間を結ぶようにそれぞれ電気的に接続されている。パターン導電体40は、配線部15及びバスバー35を介して電圧を印加されると、抵抗加熱によって発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介して基板11,12に伝わることで、基板11,12が温められる。
パターン導電体40は、種々のパターンで配列することができる。図4に示された例では、パターン導電体40は、複数の線状導電体50が一対のバスバー35を連結している。図4に示された例において、複数の線状導電体50は、直線状に一方のバスバー35から他方のバスバー35へ、すなわち図4におけるY方向へ、延在している。複数の線状導電体50は、当該線状導電体50の延在方向と非平行な方向に、互いから離間して配列されている。とりわけ、複数の線状導電体50は、当該線状導電体50の延在方向と直交する方向、すなわち図4におけるX方向に、配列されている。これにより、隣接する2つの線状導電体50の間には、隙間55が形成される。
このようなパターン導電体40及びバスバー35を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、及び、これらの金屬の中から選ばれた少なくとも1種の金屬を含む合金の一以上を例示することができる。パターン導電体40及びバスバー35は、同一の材料を用いて形成されていてもよいし、或いは、互いに異なる材料を用いて形成されていてもよい。
パターン導電体40は、上述したように不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、パターン導電体40によって覆われていない基材フィルム21上の領域の割合、すなわち非被覆率(図4に示されたパターンでは、「開口率」とも呼ぶ)は、70%以上90%以下程度と高くなっている。また、線状導電体50の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、パターン導電体40が設けられている領域は、全体として透明に把握され、パターン導電体40を介した透視が可能となっている。
図3に示された例では、線状導電体50は、全体として矩形状の断面を有している。線状導電体50の幅W、すなわち、透明発熱板10の板面に沿った幅Wは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)H、すなわち、透明発熱板10の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体50によれば、その線状導電体50が十分に細線化されているので、パターン導電体40を効果的に目立たなくすることができる。
線状導電体50について、線状導電体50の拡大図である図5を用いて、詳しく説明する。線状導電体50は、帯状本体部51と、一側の側部52aと、他側の側部52bと、を有する。
帯状本体部51は、一方向(図4及び図5におけるY方向)に延びる細長い帯状形状であり、一対の直線状の側縁51a,51bを有する。帯状本体部51の形状は、台形形状等であってもよいが、図示された例において、一対の側縁51a,51bは、平行となっている。すなわち、図示された帯状本体部51は、平行四辺形形状である。さらに図示された例において、帯状本体部51が長方形形状となっている。
一側の側部52aは、帯状本体部51に他方向の一側(図4及び図5におけるX方向のマイナス側)から隣接し、他側の側部52bは、帯状本体部51に他方向の他側(図4及び図5におけるX方向のプラス側)から隣接する。すなわち、一側の側部52aは、帯状本体部51の一側の側縁51aと接続し、他側の側部52bは、帯状本体部51の他側の側縁51bと接続する。これらの一側および他側の側部52a、52bが、線状導電体50の側縁53a,53bをそれぞれ形成する。
線状導電体50の一側の側縁53aは、帯状本体部51の一側の側縁51aと、接点54aにおいて接続する。同様に、線状導電体50の他側の側縁53bは、帯状本体部51の他側の側縁51bと、接点54bにおいて接続する。すなわち、一側の側部52aによって形成される線状導電体50の一側の側縁53aは、帯状本体部51の一側の側縁51aと少なくとも一部分において接続する。したがって、当該接続する位置において、帯状本体部51の一側の側縁51aは、線状導電体50の一側の側縁53aを形成する。また、当該接続する位置において、一側の側部52aは分断されることになる。他側の側部52bによって形成される線状導電体50の他側の側縁53bは、帯状本体部51の他側の側縁51bと少なくとも一部分において接続する。したがって、当該接続する位置において、帯状本体部51の他側の側縁51bは、線状導電体50の他側の側縁53bを形成する。また、当該接続する位置において、他側の側部52bは分断されることになる。
尚、帯状本体部51の一側の側縁51aは接点54aに於いてのみ線状導電体50の実在する部分(点)となり、図5では実線(嚴密に言えば、実線上の点)で図示する。其の他の箇所に於いては仮想的な部分(仮想線)となり図5では破線で図示する。又、同樣に、帯状本体部51の他側の側縁51bは接点54bに於いてのみ線状導電体50の実在する部分(点)となり、図5では実線(嚴密に言えば、実線上の点)で図示する。其の他の箇所に於いては仮想的な部分(仮想線)となり図5では破線で図示する。
また、線状導電体50の一方向における任意の位置において、一側の側部52aの一方向に直交する方向(図5ではX方向)への幅は、帯状導電体51の一方向に直交する方向への幅の半分未満であり、他側の側部52bの一方向に直交する方向(図5ではX方向)への幅は、帯状導電体51の一方向に直交する方向への幅の半分未満である。すなわち、一側の側部52aの最大幅lおよび他側の側部52bの最大幅lは、帯状導電体51の幅Lに対して、l<L/2、l<L/2 の関係を満たす。斯かる条件は、線状導電体50、更にはパターン導電体40の光芒発生の抑制と面内で均一且つ十分な量の発熱量の確保との両立を確保する上で重要である。
線状導電体50の一側の側縁53aおよび他側の側縁53bのうち少なくとも一方は、波線である。ここで、波線とは、一方向に延びながら、他方向における一側および他側に交互に突出して凸部を形成する形状のことをいう。
また、図3に示されたように、線状導電体50は、導電性金属層56、導電性金属層56の表面のうち、基材フィルム21に対向する側の面を覆う第1の暗色層57、導電性金属層56の表面のうち、基板11に対向する側の面及び両側面を覆う第2の暗色層58を含むようにしてもよい。優れた導電性を有する金属材料からなる導電性金属層56は、比較的高い反射率を呈する。そして、パターン導電体40の線状導電体50をなす導電性金属層56によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電性金属層56が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、第1及び第2の暗色層57,58が、導電性金属層56の表面の少なくとも一部分を覆っている。第1及び第2の暗色層57,58は、導電性金属層56よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層57,58によって、導電性金属層56が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
なお、前述したように、発熱板10の透視性または発熱板10を介した視認性を確保する観点から、開口率が高くなるように、発熱用導電体30の線状導電体50は基材フィルム21上に形成されている。このため、図3に示すように、接合層13と導電体付きシート20の基材フィルム21とは、線状導電体50の非被覆部、すなわち隣り合う線状導電体50の間となる領域を介して接触している。このため、発熱用導電体30は、接合層13内に埋め込まれた状態となっている。
ところで、上述したように、線状導電体を含んだ発熱板を介して光、例えば対向車の照明を観察した場合、尾を引くように観察される光の筋、すなわち光芒が当該照明の周囲に観察される。このような光芒の発生は、発熱板を介した視認性を悪化させることになる。そして、本件発明者らは、鋭意検討を重ねた結果として、光芒の発生する方向が、発熱板への入射光が線状導電体で回折される方向と一致することを知見した。本件発明者らの知見に基づけば、パターン導電体40をなす線状導電体50の長手方向を不規則化することにより、特定の方向へ光芒が延びることを防止し、光芒を目立たなくさせることができる。しかしながら、線状導電体50の配列を完全に不規則化することは、設計負荷を増加させ好ましくない。また、線状導電体50の配列を不規則化することは、面内での発熱むらを生じさせる可能性もある。さらに、近接して目視したとき、透過率、もしくは反射率の面内ムラとして認識され易い。そこで本件発明者らは、さらに鋭意検討を重ね、線状導電体50の配列の規則性を大きく崩すことなく、さらには線状導電体50の配列(分布)の規則性を維持しながら、線状導電体50の側縁を工夫することで極めて効果的に光芒を目立たなくさせることを可能にした。以下、光芒の発生原因と、光芒を目立たなくさせる方法について説明する。
光芒は、発熱板10を透過する光が線状導電体50によって回折することで発生する。すなわち、観察される光芒は、線状導電体50によって起こる回折の回折像が筋状に延びることで発生する。発熱板10に線状導電体50を配置する以上、回折像を発生させないことはできない。したがって、発生する回折像について、視認性に対して影響が小さくすることを考える。
発熱板10を介した視認性に対して影響が小さい回折像とは、光芒として認識される筋状の光を含まない像である。このような回折像の一例として、光芒が全方向に延び出して個々の光芒が識別できなくなっているものが考えられる。つまり、円形状の回折像として観察されることが好ましい。
ある構造を透過する光の回折像の形状は、その構造について光が透過する部分と遮蔽される部分との境界の形状によって決定される。例えば、長手方向を有する構造、例えば長手方向を有した矩形形状の構造に起因して生じる回折像は、当該構造の長手方向に直交する方向に延びて光芒となる。したがって、光芒が全方向に亘って延び出し、結果として多数の光芒が互いに重なって円形状に視認されるには、一つの構造をなす境界の形状に直交する法線が全方向に亘って分布していればよい。
したがって、構造における境界、すなわち縁の形状を、当該構造の長手方向に直交する法線が全方向に亘って分布するようにすれば、光芒が全方向に亘って伸び出し、円形状の目立たない光芒となる。つまり、線状導電体50の側縁53a,53bについて、法線が全方向に亘って分布するような形状、例えば波線の形状にすることで、光芒を目立たなくさせることができる。
また、従来の発熱板において線状導電体の存在が把握されてしまうという問題があった。とりわけ、図4に示されているように、各線状導電体50が一方向に延び、且つ、複数の線状導電体50が一方向と非平行である他方向に配列されているパターン導電体では、線状導電体の面内分布を均一化し得る点、すなわち発熱むらを抑制する点において有利であるが、その一方で、線状導電体の存在が把握される問題が生じやすくなっていた。本件発明者がこの点について鋭意検討を重ねたところ、線状導電体の存在が把握されるのは、個々の線状導電体そのものが視認されてしまうことよりも、個々の線状導電体の側縁での反射光を視認することに、より大きく起因していた。したがって、上述してきた光芒対策にともなって線状導電体50の側縁53a,53bが一定の方向を向かないようにすること、言い換えると、線状導電体50の側縁53a,53bが種々の方向を向くようにすることで、とりわけ線状導電体50の側縁53a,53bを例えば波線状にすることで、反射する光の方向を分散させ、線状導電体50の配向方向を目立たなくさせることができる。
次に、発熱板10の製造方法の一例について、説明する。
まず、基材フィルム21上に第1の暗色層57を形成するようになる暗色膜を設ける。
次に、導電性金属層56を形成するようになる金属膜を暗色膜上に設ける。金属膜は、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
その後、金属膜上に、レジストパターンを設ける。レジストパターンは、形成されるべき導電体30に対応した形となっている。このレジストパターンは、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、レジストパターンをマスクとして、金属膜及び暗色膜をエッチングする。このエッチングにより、金属膜及び暗色膜がレジストパターンと略同一のパターンにパターニングされる。この結果、パターニングされた金属膜から、線状導電体50の一部をなすようになる導電性金属層56が、形成される。また、パターニングされた暗色膜から、線状導電体50の一部をなすようになる第1の暗色層57が、形成される。
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、レジストパターンを除去する。
その後、導電性金属層56の第1の暗色層57が設けられた面と反対側の面及び側面に第2の暗色層58を形成する。第2の暗色層58は、例えば導電性金属層56をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層56をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2の暗色層58を形成することができる。また、導電性金属層56の表面に第2の暗色層58を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層56の表面を粗化して第2の暗色層58を設けるようにしてもよい。
以上の工程によって、パターン導電体40を有する発熱用導電体30が作製される。
最後に、発熱用導電体30の側から接合層13及び基板11を積層して、導電体付きシート20と基板11とを接合する。同様に、基材フィルム21の側から接合層14及び基板12を積層して、導電体付きシート20と基板12とを接合する。これにより、図3に示した発熱板10が作製される。
以上のように、本実施の形態におけるパターン導電体40は、一方向に延び且つ一方向と非平行である他方向に配列された複数の線状導電体50を備え、線状導電体50は、一対の直線状の側縁51a,51bを有する帯状本体部51と、帯状本体部51に他方向の一側から隣接する一側の側部52aと、帯状本体部51に他方向の他側から隣接する他側の側部52bと、を有し、一側の側部52aによって形成される線状導電体50の一側の側縁53aは、帯状本体部51の一側の側縁51aと少なくとも一部分において接続し、他側の側部52bによって形成される線状導電体50の他側の側縁53bは、帯状本体部51の他側の側縁51bと少なくとも一部分において接続する。このようなパターン導電体40によれば、まず、帯状本体部51の配列を調整することで、線状導電体50の分布を効果的に均一化することができ、これにより、発熱むらの発生を効果的に抑制することができる。加えて本実施の形態によれば、線状導電体50の側縁53a,53bが、側部52a,52bによって直線状の帯状本体部51の側縁51a,51bとは異なる形状になっている。したがって、側縁の法線が常に同じ方向ではなくなっているので、光芒が発生する方向が分散し、光芒が目立ちにくくなる。また、線状導電体50の側縁において反射する光の方向が分散するので、線状導電体の存在を目立ちにくくすることができる。
また、本実施の形態におけるパターン導電体40において、線状導電体50の一方向における任意の位置において、一側の側部52aの一方向に直交する方向への幅は、帯状導電体51の一方向に直交する方向への幅の半分未満であり、他側の側部52bの一方向に直交する方向への幅は、帯状導電体51の一方向に直交する方向への幅の半分未満である。このようなパターン導電体40によれば、側部52a,52bが一方向に直交する方向に対して十分に細くなっている。したがって、側部52a,52bを設けたことによって線状導電体50が視認されてしまうことがない。すなわち、側部52a,52bによっては視認性を悪化させない。また、線状導電体50の長手方向に沿って線状導電体50の幅の変動を抑制することができ、これにより、線状導電体50の分布が効果的に均一化され、発熱むらを抑制することができる。
さらに、本実施の形態におけるパターン導電体40において、線状導電体50の一側の側縁53aおよび他側の側縁53bのうち少なくとも一方は、波線である。このようなパターン導電体40によれば、線状導電体50の側縁53a,53bの法線が全方向に亘って分布する。ゆえに、光芒をより効果的に目立たなくさせることができる。また、線状導電体50の側縁において反射する光の方向が全方向に亘って分散するので、線状導電体の存在をより効果的に目立ちにくくすることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
上述した実施の形態では、発熱板10が、基材フィルム21を有している導電体付きシート20を備える例を示したが、製造過程において基材フィルム21を剥離させる等によって、発熱板10中に基材フィルム21を有さないようにしてもよい。この場合、発熱板10の全体を薄型にすることができ、また軽量化することができる。さらに、発熱用導電体30から生じる熱を、発熱板10全体により早く伝達させることもできる。
前述した実施の形態において、発熱板10が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、発熱板10が、平板状に形成されていてもよい。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓或いは扉の透明部分に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは扉の透明部分、建物の窓又は扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の收納乃至保管設備の窓あるいは扉の透明部分等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 自動車
5 フロントウィンドウ
7 電源
10 発熱板
11 基板
12 基板
13 接合層
14 接合層
15 配線部
20 導電体付きシート
21 基材フィルム
30 発熱用導電体
35 バスバー
40 パターン導電体
50 線状導電体
51 帯状本体部
52a 一側の側部
52b 他側の側部
53a 一側の側縁
53b 他側の側縁
54a 接点
54b 接点
55 隙間
56 導電性金属層
57 第1の暗色層
58 第2の暗色層

Claims (8)

  1. 一方向に延び且つ前記一方向と非平行である他方向に配列された複数の線状導電体を備え、
    前記線状導電体は、一対の直線状の側縁を有する帯状本体部と、前記帯状本体部に前記他方向の一側から隣接する一側の側部と、前記帯状本体部に前記他方向の他側から隣接する他側の側部と、を有し、
    前記一側の側部によって形成される前記線状導電体の一側の側縁は、当該線状導電体の前記一方向の両端の間において前記帯状本体部の一側の側縁と複数の接点において接続し、前記他側の側部によって形成される前記線状導電体の他側の側縁は、当該線状導電体の前記一方向の両端の間において前記帯状本体部の他側の側縁と複数の接点において接続し、
    前記線状導電体の一側の側縁および他側の側縁のうち少なくとも一方は、波線である、パターン導電体。
  2. 前記帯状本体部の前記一対の側縁は平行である、請求項1に記載のパターン導電体。
  3. 前記線状導電体の前記一方向における任意の位置において、前記一側の側部の前記一方向に直交する方向への幅は、前記帯状本体部の前記一方向に直交する方向への幅の半分未満であり、前記他側の側部の前記一方向に直交する方向への幅は、前記帯状導電体の前記一方向に直交する方向への幅の半分未満である、請求項1または2に記載のパターン導電体。
  4. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のパターン導電体と、
    一対のバスバーと、を備え、
    前記パターン導電体は、前記一対のバスバーを連結する、発熱用導電体。
  5. 請求項に記載の発熱用導電体と、
    前記発熱用導電体を支持する基材フィルムと、を備えた導電体付きシート。
  6. 一対の基板と、
    前記一対の基板の間に設けられた、請求項に記載の発熱用導電体、または、請求項に記載の導電体付きシートと、を備えた、発熱板。
  7. 請求項に記載の発熱板を備えた、乗り物。
  8. 請求項に記載の発熱板を備えた、建築物。
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