図1は、本発明が適用されるショベルを示す側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源及びコントローラ30等が搭載される。
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現する。
図2は、図1のショベルに搭載される油圧回路の構成例を示す概略図である。本実施例では、油圧回路は、主に、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、ポンプ・モータ14A、コントロールバルブ17、及び油圧アクチュエータを含む。油圧アクチュエータは、主に、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ21、及びアキュムレータ80を含む。
ブームシリンダ7は、ブーム4を昇降させる油圧シリンダであり、ボトム側油室とロッド側油室との間には再生弁7aが接続され、ボトム側油室側には保持弁7bが設置される。また、アームシリンダ8は、アーム5を開閉させる油圧シリンダであり、ボトム側油室とロッド側油室との間には再生弁8aが接続され、ロッド側油室側には保持弁8bが設置される。また、バケットシリンダ9は、バケット6を開閉させる油圧シリンダであり、ボトム側油室とロッド側油室との間には再生弁9aが接続される。
旋回用油圧モータ21は、上部旋回体3を旋回させる油圧モータであり、ポート21L、21Rがそれぞれリリーフ弁22L、22Rを介して作動油タンクTに接続され、シャトル弁22Sを介して再生弁22Gに接続され、且つ、チェック弁23L、23Rを介して作動油タンクTに接続される。
リリーフ弁22Lは、ポート21L側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、ポート21L側の作動油を作動油タンクTに排出する。また、リリーフ弁22Rは、ポート21R側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、ポート21R側の作動油を作動油タンクTに排出する。
シャトル弁22Sは、ポート21L側及びポート21R側のうちの圧力が高い方の作動油を再生弁22Gに供給する。
再生弁22Gは、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁であり、旋回用油圧モータ21(シャトル弁22S)とポンプ・モータ14A又はアキュムレータ80との間の再生油路の連通・遮断を切り替える。本実施例では、再生弁22Gは開度調整可能な開閉弁である。コントローラ30は、再生弁22Gの開度を調整して再生油路の流路面積を調整することで旋回用油圧モータ21から流出する作動油の圧力を制御してもよい。上部旋回体3の旋回を停止させるための制動トルクを調整するためである。
チェック弁23Lは、ポート21L側の圧力が負圧になった場合に開き、作動油タンクTからポート21L側に作動油を補給する。チェック弁23Rは、ポート21R側の圧力が負圧になった場合に開き、作動油タンクTからポート21R側に作動油を補給する。このように、チェック弁23L、23Rは、旋回用油圧モータ21の制動時に吸い込み側のポートに作動油を補給する補給機構を構成する。
第1ポンプ14Lは、作動油タンクTから作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプであり、本実施例では斜板式可変容量型油圧ポンプである。また、第1ポンプ14Lはレギュレータに接続される。レギュレータは、コントローラ30からの指令に応じて第1ポンプ14Lの斜板傾転角を変更して第1ポンプ14Lの吐出量を制御する。第2ポンプ14Rについても同様である。
また、第1ポンプ14Lの吐出側にはリリーフ弁14aLが設置されている。リリーフ弁14aLは、第1ポンプ14Lの吐出側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、吐出側の作動油を作動油タンクTに排出する。第2ポンプ14Rの吐出側に設置されるリリーフ弁14aRについても同様である。
ポンプ・モータ14Aは、油圧ポンプ(第3ポンプ)としても油圧モータとしても機能する油圧装置であり、本実施例では斜板式可変容量型油圧ポンプ・モータである。また、ポンプ・モータ14Aは、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rと同様にレギュレータに接続される。レギュレータは、コントローラ30からの指令に応じてポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を変更してポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。なお、ポンプ・モータ14Aは固定容量型油圧ポンプ・モータであってもよい。また、ポンプ・モータ14Aは、油圧モータとして機能する場合に必要に応じて空回りできるよう、クラッチ機構を介してエンジン11に接続されてもよい。
また、ポンプ・モータ14Aの吐出側にはリリーフ弁70aが設置されている。リリーフ弁70aは、ポンプ・モータ14Aの吐出側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、吐出側の作動油を作動油タンクTに排出する。
また、本実施例では、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、及びポンプ・モータ14Aは、それぞれの駆動軸が機械的に連結される。具体的には、それぞれの駆動軸は、変速機13を介して所定の変速比でエンジン11の出力軸に連結される。そのため、エンジン回転数が一定であれば、それぞれの回転数も一定となる。但し、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、及びポンプ・モータ14Aは、エンジン回転数が一定であっても回転数を変更できるよう、無段変速機等を介してエンジン11に接続されてもよい。
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。また、コントロールバルブ17は、主に、可変ロードチェック弁51〜53、合流弁55、統一ブリードオフ弁56L、56R、切替弁60〜63、及び流量制御弁170〜173を含む。
流量制御弁170〜173は、油圧アクチュエータに流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁である。本実施例では、流量制御弁170〜173のそれぞれは、対応する操作レバー等の操作装置(図示せず。)が生成するパイロット圧を左右何れかのパイロットポートで受けて動作する4ポート3位置のスプール弁である。操作装置は、操作量(操作角度)に応じて生成したパイロット圧を、操作方向に対応する側のパイロットポートに作用させる。
具体的には、流量制御弁170は、旋回用油圧モータ21に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁であり、流量制御弁171は、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁である。
また、流量制御弁172は、ブームシリンダ7に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁であり、流量制御弁173は、バケットシリンダ9に流出入する作動油の向き及び流量を制御するスプール弁である。
可変ロードチェック弁51〜53は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、可変ロードチェック弁51〜53は、流量制御弁171〜173のそれぞれと第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rのうちの少なくとも一方との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。なお、可変ロードチェック弁51〜53は、第1位置において、ポンプ側に戻る作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。具体的には、可変ロードチェック弁51は、第1位置にある場合に流量制御弁171と第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rのうちの少なくとも一方との間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。可変ロードチェック弁52及び可変ロードチェック弁53についても同様である。
合流弁55は、合流切替部の一例であり、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、合流弁55は、第1ポンプ14Lが吐出する作動油(以下、「第1作動油」とする。)と第2ポンプ14Rが吐出する作動油(以下、「第2作動油」とする。)とを合流させるか否かを切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、合流弁55は、第1位置にある場合に第1作動油と第2作動油とを合流させ、第2位置にある場合に第1作動油と第2作動油とを合流させないようにする。
統一ブリードオフ弁56L、56Rは、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、統一ブリードオフ弁56Lは、第1作動油の作動油タンクTへの排出量を制御可能な2ポート2位置の電磁弁である。統一ブリードオフ弁56Rについても同様である。この構成により、統一ブリードオフ弁56L、56Rは、流量制御弁170〜173のうちの関連する流量制御弁の合成開口を再現できる。具体的には、合流弁55が第2位置にある場合に、統一ブリードオフ弁56Lは流量制御弁170及び流量制御弁171の合成開口を再現でき、統一ブリードオフ弁56Rは流量制御弁172及び流量制御弁173の合成開口を再現できる。
切替弁60〜63は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁60〜63は、油圧アクチュエータのそれぞれから排出される作動油をポンプ・モータ14Aの上流側(供給側)に流すか否かを切り替え可能な3ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁60は、第1位置にある場合に、再生弁22Gを通じて旋回用油圧モータ21から排出される作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に流し、第2位置にある場合に、再生弁22Gを通じて旋回用油圧モータ21から排出される作動油をアキュムレータ80に流す。また、切替弁61は、第1位置にある場合に、アームシリンダ8から排出される作動油を作動油タンクTに流し、第2位置にある場合に、アームシリンダ8から排出される作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に流す。切替弁62及び切替弁63についても同様である。
アキュムレータ80は、加圧された作動油を蓄積する油圧装置である。本実施例では、アキュムレータ80は、窒素ガスを用いたアキュムレータであり、切替弁81及び切替弁82により作動油の蓄積・放出が制御される。
切替弁81は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁81は、加圧された作動油の供給源である第1ポンプ14Lとアキュムレータ80との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁81は、第1位置にある場合に第1ポンプ14Lとアキュムレータ80との間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。なお、切替弁81は、第1位置において、第1ポンプ14L側に戻る作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
切替弁82は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁82は、加圧された作動油の供給先であるポンプ・モータ14Aの供給側とアキュムレータ80との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁82は、第1位置にある場合にポンプ・モータ14Aとアキュムレータ80との間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。なお、切替弁82は、第1位置において、アキュムレータ80側に戻る作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
切替弁90は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁90は、ポンプ・モータ14Aが吐出する作動油(以下、「第3作動油」とする。)の供給先を切り替え可能な3ポート2位置の電磁弁である。具体的には、切替弁90は、第1位置にある場合に第3作動油を切替弁91に向けて流し、第2位置にある場合に第3作動油を作動油タンクTに向けて流す。
切替弁91は、コントローラ30からの指令に応じて動作する弁である。本実施例では、切替弁91は、第3作動油の供給先を切り替え可能な4ポート3位置の電磁弁である。具体的には、切替弁91は、第1位置にある場合に第3作動油をアームシリンダ8に向け、第2位置にある場合に第3作動油を旋回用油圧モータ21に向け、第3位置にある場合に第3作動油をアキュムレータ80に向ける。
次に、図3を参照し、油圧回路の別の構成例について説明する。図3は、図1のショベルに搭載される油圧回路の別の構成例を示す概略図である。図3の油圧回路は、主に、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量が2つの流量制御弁171A、171Bによって制御される点、ブームシリンダ7のボトム側油室に流出入する作動油の流量が2つの流量制御弁172A、172Bによって制御される点、合流切替部が合流弁ではなく可変ロードチェック弁によって構成される点(合流弁が省略される点)、ブームシリンダ7からの戻り油をアキュムレータ80に蓄積可能な点で、図2の油圧回路と異なるがその他の点で共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら、相違点を詳細に説明する。
流量制御弁171A、172Bは、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁であり、図2の流量制御弁171に対応する。具体的には、流量制御弁171Aは、第1作動油をアームシリンダ8に供給し、流量制御弁171Bは、第2作動油をアームシリンダ8に供給する。したがって、アームシリンダ8には、第1作動油と第2作動油とが同時に流入し得る。
流量制御弁172Aは、ブームシリンダ7に流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁であり、図2の流量制御弁172に対応する。
流量制御弁172Bは、ブーム上げ操作が行われた場合に、ブームシリンダ7のボトム側油室に第1作動油を流入させる弁であり、ブーム下げ操作が行われた場合には、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を第1作動油に合流させることができる。
流量制御弁173は、バケットシリンダ9に流出入する作動油の向き及び流量を制御する弁であり、図2の流量制御弁173に対応する。なお、図3の流量制御弁173は、バケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油をボトム側油室に再生するためのチェック弁をその内部に含む。
可変ロードチェック弁50、51A、51B、52A、52B、53は、流量制御弁170、171A、171B、172A、172B、173のそれぞれと第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rのうちの少なくとも一方との間の連通・遮断を切り替え可能な2ポート2位置の弁である。これら6つの可変ロードチェック弁は、それぞれが連動して動作することで合流切替部としての機能を果たし、図2の合流弁55の機能を実現できる。そのため、図3の油圧回路では図2の合流弁55が省略される。また、同様の理由により、図2の切替弁91が省略される。
統一ブリードオフ弁56L、56Rは、第1作動油の作動油タンクTへの排出量を制御可能な2ポート2位置の弁であり、図2の統一ブリードオフ弁56L、56Rに対応する。
なお、図3の6つの流量制御弁は何れも6ポート3位置のスプール弁であり、図2の流量制御弁と違い、センターバイパスポートを有する。そのため、図3の統一ブリードオフ弁56Lは流量制御弁171Aの下流に配置され、統一ブリードオフ弁56Rは流量制御弁171Bの下流に配置される。
切替弁61Aは、アームシリンダ8のロッド側油室から排出される作動油をポンプ・モータ14Aの上流側(供給側)に流すか否かを切り替え可能な2ポート2位置の弁である。具体的には、切替弁61Aは、第1位置にある場合にアームシリンダ8のロッド側油室とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、第2位置にある場合にその連通を遮断する。
切替弁62Aは、ブームシリンダ7から排出される作動油をポンプ・モータ14Aの上流側(供給側)に流すか否かを切り替え可能な3ポート3位置の弁である。具体的には、切替弁62Aは、第1位置にある場合にブームシリンダ7のボトム側油室とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、第2位置にある場合にブームシリンダ7のロッド側油室とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、第3位置(中立位置)にある場合にそれらの間の連通を遮断する。
切替弁62Bは、ブームシリンダ7のロッド側油室から排出される作動油を作動油タンクTに排出するか否かを切り替え可能な2ポート2位置の可変リリーフ弁である。具体的には、切替弁62Bは、第1位置にある場合にブームシリンダ7のロッド側油室と作動油タンクTとの間を連通し、第2位置にある場合にその連通を遮断する。なお、切替弁62Bは、第1位置において、作動油タンクTからの作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
切替弁62Cは、ブームシリンダ7のボトム側油室から排出される作動油を作動油タンクTに排出するか否かを切り替え可能な2ポート2位置の可変リリーフ弁である。具体的には、切替弁62Cは、第1位置にある場合にブームシリンダ7のボトム側油室と作動油タンクTとの間を連通し、第2位置にある場合にその連通を遮断する。なお、切替弁62Cは、第1位置において、作動油タンクTからの作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
切替弁90は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の供給先を切り替え可能な3ポート2位置の電磁弁であり、図2の切替弁90に対応する。具体的には、切替弁90は、第1位置にある場合に第3作動油をコントロールバルブ17に向けて流し、第2位置にある場合に第3作動油を切替弁92に向けて流す。
切替弁92は、第3作動油の供給先を切り替え可能な4ポート3位置の電磁弁である。具体的には、切替弁92は、第1位置にある場合に第3作動油を旋回用油圧モータ21の補給機構に向け、第2位置にある場合に第3作動油をアキュムレータ80に向け、第3位置にある場合に第3作動油を作動油タンクTに向ける。
[掘削動作]
次に、図4〜図6を参照し、掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図4〜図6は、掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図4〜図6の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。
コントローラ30は、操作装置が生成するパイロット圧を検出する操作圧センサ(図示せず。)等の操作検出部の出力に基づいてショベルに対する操作者の操作内容を判断する。また、コントローラ30は、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、及びポンプ・モータ14Aのそれぞれの吐出圧を検出する吐出圧センサ(図示せず。)、油圧アクチュエータのそれぞれの圧力を検出する負荷圧センサ(図示せず。)等の負荷検出部の出力に基づいてショベルの動作状態を判断する。なお、本実施例では、負荷圧センサは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のそれぞれのボトム側油室及びロッド側油室のそれぞれの圧力を検出するシリンダ圧センサを含む。また、コントローラ30は、アキュムレータ圧センサ(図示せず。)の出力に基づいてアキュムレータ80に蓄積される作動油の圧力(以下、「アキュムレータ圧」とする。)を検出する。
そして、コントローラ30は、アーム5が操作されたと判断すると、図4に示すように、アーム操作レバーの操作量に応じて、第2位置にある合流弁55を第1位置の方向に移動させる。そして、第1作動油と第2作動油とを合流させ、第1作動油及び第2作動油を流量制御弁171に供給する。流量制御弁171は、アーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図4の右位置に移動し、第1作動油及び第2作動油をアームシリンダ8に流入させる。
また、コントローラ30は、ブーム4及びバケット6が操作されたと判断した場合、負荷圧センサの出力に基づいて掘削動作であるか床堀動作であるかを判断する。床堀動作は、例えばバケット6で地面をならす動作であり、アームシリンダ8のボトム側油室の圧力が掘削動作のときに比べて低い。
掘削動作であると判断した場合、コントローラ30は、ネガティブコントロール制御、ポジティブコントロール制御、ロードセンシング制御、馬力制御等のポンプ吐出量制御に基づいて、ブーム操作レバー及びバケット操作レバーの操作量に対応する第2ポンプ14Rの吐出量指令値を決定する。そして、コントローラ30は、対応するレギュレータを制御して第2ポンプ14Rの吐出量が指令値通りとなるように制御する。
また、コントローラ30は、前述のポンプ吐出量制御を用いて、ブーム操作レバー及びバケット操作レバーの操作量に加えてアーム操作レバーの操作量を考慮した吐出量計算値と吐出量指令値との流量差を算出し、その流量差に相当する流量の作動油をポンプ・モータ14Aに吐出させる。この吐出量計算値は、掘削動作のようにアーム5がフルレバー(例えば、レバーの中立状態を0%とし、最大操作状態を100%とした場合の80%以上の操作量)で操作されている場合に第2ポンプ14Rの最大吐出量となる。具体的には、コントローラ30は、図5に示すように、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させ、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの吐出量がその流量差に相当する流量となるように制御する。そして、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にして第3作動油を切替弁91に向け、且つ、切替弁91を第1位置にして第3作動油をアームシリンダ8に向ける。
また、コントローラ30は、上述の流量差、第1ポンプ14Lの吐出圧、第2ポンプ14Rの吐出圧等に基づいて合流弁55の開口面積を制御する。図4〜図6の例では、コントローラ30は、予め登録した開口マップを参照して合流弁55の開口面積を決定し、その開口面積に対応する指令を合流弁55に対して出力する。なお、コントローラ30は、開口マップの代わりに所定の関数を用いて合流弁55の開口面積を決定してもよい。
例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の流量が上述の流量差に相当する流量に達した場合、図6に示すように、合流弁55を第2位置にして第1作動油と第2作動油の合流を遮断する。
また、床堀動作であると判断した場合にも、コントローラ30は、図6に示すように、ショベルの動きが不安定にならない限りにおいて、できるだけ速やかに合流弁55を閉じる。第2作動油のみをブームシリンダ7及びバケットシリンダ9に流入させるようにしてブーム4及びバケット6の操作性を向上させるためである。
なお、図4〜図6の例では、ポンプ・モータ14Aの最大吐出量は、第2ポンプ14Rの最大吐出量より小さい。そのため、上述の流量差がポンプ・モータ14Aの最大吐出量を上回る場合、コントローラ30は、油圧ポンプとして機能するポンプ・モータ14Aと第1ポンプ14Lとを最大吐出量で作動させた上で、第2ポンプ14Rの吐出量を増大させる。そして、第2ポンプ14Rの最大吐出量と実際の増大後の吐出量との差が、ポンプ・モータ14Aの最大吐出量以下となるようにする。アーム5の動作速度が、第1作動油及び第2作動油を用いる場合のアーム5の動作速度を下回らないようにするためである。
但し、ポンプ・モータ14Aの最大吐出量が第2ポンプ14Rの最大吐出量以上の場合には、コントローラ30は、図6に示すように、掘削動作中に合流弁55を閉じた状態(第2位置)に維持できる。第1作動油及び第3作動油を用いる場合のアーム5の動作速度が、第1作動油及び第2作動油を用いる場合のアーム5の動作速度を下回ることはないためである。この場合、コントローラ30は、掘削動作中は常に、第1作動油及び第3作動油のみをアームシリンダ8に流入させ、第2作動油のみをブームシリンダ7及びバケットシリンダ9に流入させる。そのため、アーム5を動かすための作動油とブーム4及びバケット6を動かすための作動油を完全に分離することができ、それぞれの操作性を高めることができる。
次に、図7を参照し、掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図7は、掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図7の黒色及び灰色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図7における灰色の太実線は、作動油の流れが減少或いは消失し得ることを追加的に表す。
コントローラ30は、図2の油圧回路の場合と同様、操作検出部の出力に基づいてショベルに対する操作者の操作内容を判断し、負荷検出部の出力に基づいてショベルの動作状態を判断する。
アーム5が操作されると、流量制御弁171Aはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図7の左位置に移動し、流量制御弁171Bはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図7の右位置に移動する。
そして、コントローラ30は、アーム5が操作されたと判断すると、可変ロードチェック弁51Aを第1位置にし、第1作動油が可変ロードチェック弁51Aを通じて流量制御弁171Aに至るようにする。また、可変ロードチェック弁51Bを第1位置にし、第2作動油が可変ロードチェック弁51Bを通じて流量制御弁171Bに至るようにする。流量制御弁171Aを通過した第1作動油は、流量制御弁171Bを通過した第2作動油と合流し、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する。
その後、コントローラ30は、ブーム4及びバケット6が操作されたと判断すると、負荷圧センサの出力に基づいて掘削動作であるか床堀動作であるかを判断する。そして、掘削動作であると判断した場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー及びバケット操作レバーの操作量に対応する第2ポンプ14Rの吐出量指令値を決定する。そして、コントローラ30は、対応するレギュレータを制御して第2ポンプ14Rの吐出量が指令値通りとなるように制御する。
このとき、流量制御弁172Aはブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図7の左位置に移動する。また、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図7の右位置に移動する。そして、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52Aを第1位置にし、第2作動油が可変ロードチェック弁52Aを通じて流量制御弁172Aに至るようにする。また、可変ロードチェック弁53を第1位置にし、第2作動油が可変ロードチェック弁53を通じて流量制御弁173に至るようにする。そして、流量制御弁172Aを通過した第2作動油は、ブームシリンダ7のボトム側油室に流入し、流量制御弁173を通過した第2作動油は、バケットシリンダ9のボトム側油室に流入する。
また、コントローラ30は、第2ポンプ14Rの最大吐出量と吐出量指令値との流量差を算出し、その流量差に相当する流量の作動油をポンプ・モータ14Aに吐出させる。具体的には、コントローラ30は、図7に示すように、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させ、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの吐出量がその流量差に相当する流量となるように制御する。そして、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にして第3作動油をコントロールバルブ17に向ける。
また、コントローラ30は、上述の流量差、第1ポンプ14Lの吐出圧、第2ポンプ14Rの吐出圧等に基づいて可変ロードチェック弁51Bの開口面積を制御する。図7の例では、コントローラ30は、予め登録した開口マップを参照して可変ロードチェック弁51Bの開口面積を決定し、その開口面積に対応する指令を可変ロードチェック弁51Bに対して出力する。これにより、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する第2作動油が減少し或いは消失する。なお、図7における灰色の太実線は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の流量の増大に応じて、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する第2作動油が減少し或いは消失することを表す。
上述のように、コントローラ30は、ブーム上げ、アーム閉じ、及びバケット閉じを含む掘削動作が行われた場合に、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させる。そして、負荷圧が高い油圧アクチュエータ(アームシリンダ8)にポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を流入させる。また、第1作動油と第3作動油を用いて負荷圧の高い油圧アクチュエータを所望の速度で動作させることができる場合には、合流弁55を閉じて(或いは合流切替部を機能させて)第1作動油と第2作動油の合流を遮断する。そのため、本発明の実施例に係るショベルは、第1作動油で負荷圧の高い油圧アクチュエータ(アームシリンダ8)を動作させ、且つ、第1作動油より低い圧力の第2作動油で負荷圧の低い油圧アクチュエータ(ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9)を動作させることができる。具体的には、第1作動油との合流のために第1作動油と同じ圧力まで加圧された第2作動油で負荷圧の低い油圧アクチュエータを動作させる必要がない。すなわち、その加圧された第2作動油を用いて負荷圧の低い油圧アクチュエータを所望の速度で動作させるべく絞りでその第2作動油の流量を絞る必要がない。その結果、その絞りで圧力損失が発生するのを低減或いは防止でき、エネルギ損失を低減或いは防止できる。
なお、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aに第3作動油を吐出させる代わりに、個別流量制御によって第1ポンプ14Lの吐出量を増大させてもよい。具体的には、合流弁55を閉じて(或いは合流切替部を機能させて)第1作動油と第2作動油の合流を遮断した上で、第2ポンプ14Rの吐出量を低減させた分、第1ポンプ14Lの最大吐出量(最大斜板傾転角)を増大させてもよい。
[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う掘削動作]
次に、図8を参照し、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図8は、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図8の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図8の黒色及び灰色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
背圧回生は、複数の油圧アクチュエータが同時に動作する場合であって、且つ、複数の油圧アクチュエータのそれぞれの負荷圧が異なる場合に実行される処理である。例えば、ブーム上げ操作及びアーム閉じ操作による複合掘削動作が行われる場合、アームシリンダ8の負荷圧(アームシリンダ8のボトム側油室の圧力)は、ブームシリンダ7の負荷圧(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)に比べて高くなる。掘削中はバケット6が接地してブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれの重量が地面に支えられるためであり、また、アーム5の掘削動作(閉じ動作)に対する掘削反力をブーム4が受けるためである。
そのため、複合掘削動作が行われる場合、コントローラ30は、アームシリンダ8の比較的高い負荷圧に対処するために、油圧回路のシステム圧(第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの吐出圧)を増大させる。一方で、コントローラ30は、システム圧より低い負荷圧で動作するブームシリンダ7の動作速度を制御するために、ブームシリンダ7のボトム側油室に流入する作動油の流量を制御する。このとき、流量制御弁172の絞りによって流量を制御した場合には圧力損失(エネルギ損失)を生じさせる結果となる。そこで、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(背圧)を高めることで、流量制御弁172での圧力損失の発生を回避しながら、ブームシリンダ7の動作速度の制御を実現する。また、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(背圧)を高めるために、ロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aに供給し、ポンプ・モータ14Aを油圧(回生)モータとして機能させる。なお、コントローラ30は、この背圧回生を実行する場合、ブーム操作レバーの操作量にかかわらず、流量制御弁172を図8の右位置に大きく移動させる。流量制御弁172の開口面積を最大にして圧力損失を最小限に抑えるためである。例えば、コントローラ30は、減圧弁(図示せず。)を用いて流量制御弁172のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172の移動量をアシストする。
具体的には、コントローラ30は、操作検出部の出力に基づいてショベルに対する操作者の操作内容を判断し、負荷検出部の出力に基づいてショベルの動作状態を判断する。
そして、コントローラ30は、ブーム上げ操作、アーム閉じ操作、及びバケット閉じ操作による複合掘削動作が行われていると判断すると、何れの油圧アクチュエータの負荷圧が最小かを判断する。具体的には、コントローラ30は、仮に流量制御弁の絞りによって油圧アクチュエータのそれぞれに流入する作動油の流量を制御した場合、何れの油圧アクチュエータにおいてエネルギ損失(圧力損失)が最大となるかを判断する。
そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断すると、切替弁62を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172を最大開口とし、流量制御弁172での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、切替弁63を第1位置にしてバケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに向ける。
その後、コントローラ30は、ブームシリンダ7の動作速度がブーム操作レバーの操作量に応じた速度となるよう、油圧モータとしてのポンプ・モータ14Aによる作動油の吸収量(押退容積)を制御する。具体的には、コントローラ30は、レギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを一定速度で回転させる場合、押退容積を小さくするほどブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の流量を小さくでき、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(背圧)を上昇させることができる。この関係を用いて、コントローラ30は、背圧がブームシリンダ7の所望の負荷圧(ボトム側油室の圧力)に見合う圧力となるようにその背圧を制御できる。
また、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油は、ポンプ・モータ14Aを回転させることによって回転トルクを発生させる。この回転トルクは、変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得る。すなわち、ポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクは、エンジン11の回転をアシストするために利用され、エンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制する効果を奏する。なお、図8の黒色の一点鎖線矢印は、回転トルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得ることを表す。また、エンジン11の出力制御には、望ましくは過渡負荷制御(トルクベース制御)を応用したものが利用され得る。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62を第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62を第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。流量制御弁172のCT開口が大きい場合(ブーム上げ操作の操作量が大きくブーム4を迅速に上昇させたい操作者の意思が推定される場合)、或いは、ブームシリンダ7に負荷が加わり背圧を発生させる必要が無くなった場合についても同様である。なお、図8における灰色の太点線は、切替弁62が第1位置の方向に移動させられた場合に、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されることを表す。
なお、上述では、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断される場合を説明するが、バケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断される場合についても同様の説明が適用される。具体的には、コントローラ30は、バケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断すると、切替弁63を第2位置にし、バケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、バケット操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁173の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁173を最大開口とし、流量制御弁173での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、切替弁61及び切替弁62をそれぞれ第1位置にしてアームシリンダ8及びブームシリンダ7のそれぞれのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに向ける。また、バケットシリンダ9の動作速度も上述同様に制御される。
また、コントローラ30は、アームシリンダ8のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断すると、切替弁61を第2位置にし、アームシリンダ8のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、アーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁171の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171を最大開口とし、流量制御弁171での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、切替弁62及び切替弁63のそれぞれを第1位置にしてブームシリンダ7及びバケットシリンダ9のそれぞれのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに向ける。また、アームシリンダ8の動作速度も上述同様に制御される。
次に、図9を参照し、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図9は、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図9の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図9の黒色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム上げ操作、アーム閉じ操作、及びバケット閉じ操作による複合掘削動作が行われていると判断すると、切替弁62Aを第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Aの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172Aを最大開口とし、流量制御弁172Aでの圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、流量制御弁173を通じてバケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。
その後、コントローラ30は、ブームシリンダ7の動作速度がブーム操作レバーの操作量に応じた速度となるよう、油圧モータとしてのポンプ・モータ14Aによる作動油の吸収量(押退容積)を制御する。
また、例えばポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。具体的には、コントローラ30は、切替弁62Bを第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62Bを第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。なお、コントローラ30は、必要に応じて、切替弁62Aを第3位置(中立位置)にしてブームシリンダ7のロッド側油室とポンプ・モータ14Aとの間の連通を遮断してもよい。なお、図9における灰色の太点線は、切替弁62Bが第1位置に切り替えられた場合に、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されることを表す。
上述のように、コントローラ30は、[掘削動作]のところで説明した効果に加え、以下の効果を追加的に実現する。
具体的には、コントローラ30は、ブーム上げ操作が行われた場合に、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油でポンプ・モータ14Aを回転させて背圧を生成する。そのため、本発明の実施例に係るショベルは、背圧を生成する際に得られる回転トルクをエンジン11のアシストのために利用できる。その結果、アシスト出力分だけエンジン出力を低減させることによる省エネルギ化、エンジン出力にアシスト出力を上乗せして油圧ポンプの出力を増大させることによる動作の高速化及びサイクルタイムの短縮等を実現できる。なお、図9の黒色の一点鎖線矢印は、回転トルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得ることを表す。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを回転させることで背圧を生成するため、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の流れを絞りで絞る必要がなく、絞りで圧力損失を発生させることもない。そのため、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の油圧エネルギが熱エネルギとして消費されるのを抑制或いは防止し、エネルギ損失を抑制或いは防止できる。
[アキュムレータアシストを伴う掘削動作]
次に、図10を参照し、アキュムレータアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図10は、アキュムレータアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図10の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。
アキュムレータアシストは、アキュムレータ80に蓄積された作動油を利用して油圧アクチュエータの動きをアシストする処理であり、アキュムレータ80に蓄積された作動油のみを利用して油圧アクチュエータを動作させる場合を含む。
具体的には、コントローラ30は、アーム5が操作されたと判断すると、図10に示すように、アーム操作レバーの操作量に応じて、第2位置にある合流弁55を第1位置の方向に移動させる。そして、第1作動油と第2作動油とを合流させ、第1作動油及び第2作動油を流量制御弁171に供給する。流量制御弁171は、アーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図10の右位置に移動し、第1作動油及び第2作動油をアームシリンダ8に流入させる。
その後、コントローラ30は、ブーム4及びバケット6が操作されたと判断した場合、負荷圧センサの出力に基づいて掘削動作であるか床堀動作であるかを判断する。
掘削動作であると判断した場合、コントローラ30は、ネガティブコントロール制御、ポジティブコントロール制御、ロードセンシング制御、馬力制御等のポンプ吐出量制御に基づいて、ブーム操作レバー及びバケット操作レバーの操作量に対応する第2ポンプ14Rの吐出量指令値を決定する。そして、コントローラ30は、対応するレギュレータを制御して第2ポンプ14Rの吐出量が指令値通りとなるように制御する。
また、コントローラ30は、第2ポンプ14Rの最大吐出量と吐出量指令値との流量差を算出し、その流量差に相当する流量の作動油をポンプ・モータ14Aに吐出させる。具体的には、コントローラ30は、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、アキュムレータ80に蓄積された作動油をポンプ・モータ14Aに向けて放出させる。
そして、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がアキュムレータ圧より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(アキュムレータ圧)を負荷圧まで増大させ、且つ、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの吐出量がその流量差に相当する流量となるように制御する。油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べ、小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。
また、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がアキュムレータ圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(アキュムレータ圧)を負荷圧まで低減させ、且つ、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの吐出量がその流量差に相当する流量となるように制御する。油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、エンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。
なお、図10の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得ることを表す。また、灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。
そして、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にして第3作動油を切替弁91に向け、且つ、切替弁91を第1位置にして第3作動油をアームシリンダ8に向ける。
また、コントローラ30は、上述の流量差、第1ポンプ14Lの吐出圧、第2ポンプ14Rの吐出圧等に基づいて合流弁55の開口面積を制御する。図10の例では、コントローラ30は、予め登録した開口マップを参照して合流弁55の開口面積を決定し、その開口面積に対応する指令を合流弁55に対して出力する。なお、コントローラ30は、開口マップの代わりに所定の関数を用いて合流弁55の開口面積を決定してもよい。
一方、床堀動作であると判断した場合、コントローラ30は、ショベルの動きが不安定にならない限りにおいて、できるだけ速やかに合流弁55を閉じる。第2作動油のみをブームシリンダ7及びバケットシリンダ9に流入させるようにしてブーム4及びバケット6の操作性を向上させるためである。
なお、図10の例では、ポンプ・モータ14Aの最大吐出量は、第2ポンプ14Rの最大吐出量より小さい。そのため、上述の流量差がポンプ・モータ14Aの最大吐出量を上回る場合、コントローラ30は、油圧ポンプとして機能するポンプ・モータ14Aと第1ポンプ14Lとを最大吐出量で作動させた上で、第2ポンプ14Rの吐出量を増大させる。第2ポンプ14Rの最大吐出量と実際の増大後の吐出量との差が、ポンプ・モータ14Aの最大吐出量以下となるようにし、アーム5の動作速度が、第1作動油及び第2作動油を用いる場合のアーム5の動作速度を下回らないようにするためである。
但し、ポンプ・モータ14Aの最大吐出量が第2ポンプ14Rの最大吐出量以上の場合には、コントローラ30は、掘削動作中に合流弁55を閉じた状態(第2位置)に維持できる。第1作動油及び第3作動油を用いる場合のアーム5の動作速度が、第1作動油及び第2作動油を用いる場合のアーム5の動作速度を下回ることはないためである。この場合、コントローラ30は、掘削動作中は常に、第1作動油及び第3作動油のみをアームシリンダ8に流入させ、第2作動油のみをブームシリンダ7及びバケットシリンダ9に流入させる。そのため、アーム5を動かすための作動油とブーム4及びバケット6を動かすための作動油を完全に分離することができ、それぞれの操作性を高めることができる。
次に、図11を参照し、アキュムレータアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図11は、アキュムレータアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図11の黒色及び灰色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図11における灰色の太実線は、作動油の流れが減少或いは消失し得ることを追加的に表す。
コントローラ30は、図10の油圧回路の場合と同様、操作検出部の出力に基づいてショベルに対する操作者の操作内容を判断し、負荷検出部の出力に基づいてショベルの動作状態を判断する。
アーム5が操作されると、流量制御弁171Aはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図11の左位置に移動し、流量制御弁171Bはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図11の右位置に移動する。
そして、コントローラ30は、アーム5が操作されたと判断すると、可変ロードチェック弁51Aを第1位置にし、第1作動油が可変ロードチェック弁51Aを通じて流量制御弁171Aに至るようにする。また、可変ロードチェック弁51Bを第1位置にし、第2作動油が可変ロードチェック弁51Bを通じて流量制御弁171Bに至るようにする。流量制御弁171Aを通過した第1作動油は、流量制御弁171Bを通過した第2作動油と合流し、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する。
その後、コントローラ30は、ブーム4及びバケット6が操作されたと判断すると、負荷圧センサの出力に基づいて掘削動作であるか床堀動作であるかを判断する。そして、掘削動作であると判断した場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー及びバケット操作レバーの操作量に対応する第2ポンプ14Rの吐出量指令値を決定する。そして、コントローラ30は、対応するレギュレータを制御して第2ポンプ14Rの吐出量が指令値通りとなるように制御する。
このとき、流量制御弁172Aはブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図11の左位置に移動する。また、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図11の右位置に移動する。そして、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52Aを第1位置にし、第2作動油が可変ロードチェック弁52Aを通じて流量制御弁172Aに至るようにする。また、可変ロードチェック弁53を第1位置にし、第2作動油が可変ロードチェック弁53を通じて流量制御弁173に至るようにする。そして、流量制御弁172Aを通過した第2作動油は、ブームシリンダ7のボトム側油室に流入し、流量制御弁173を通過した第2作動油は、バケットシリンダ9のボトム側油室に流入する。
また、コントローラ30は、第2ポンプ14Rの最大吐出量と吐出量指令値との流量差を算出し、その流量差に相当する流量の作動油をポンプ・モータ14Aに吐出させる。具体的には、コントローラ30は、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、アキュムレータ80に蓄積された作動油をポンプ・モータ14Aに向けて放出させる。
そして、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がアキュムレータ圧より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(アキュムレータ圧)を負荷圧まで増大させる。そして、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの吐出量がその流量差に相当する流量となるように制御する。油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べ、小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。
また、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がアキュムレータ圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(アキュムレータ圧)を負荷圧まで低減させる。そして、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの吐出量がその流量差に相当する流量となるように制御する。油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、エンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。
なお、図11の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得ることを表す。また、灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。
また、コントローラ30は、上述の流量差、第1ポンプ14Lの吐出圧、第2ポンプ14Rの吐出圧等に基づいて可変ロードチェック弁51Bの開口面積を制御する。図11の例では、コントローラ30は、予め登録した開口マップを参照して可変ロードチェック弁51Bの開口面積を決定し、その開口面積に対応する指令を可変ロードチェック弁51Bに対して出力する。これにより、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する第2作動油が減少し或いは消失する。なお、図11における灰色の太実線は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の流量の増大に応じて、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する第2作動油が減少し或いは消失することを表す。
上述のように、コントローラ30は、[掘削動作]及び[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う掘削動作]のところで説明した効果に加え、以下の効果を追加的に実現する。
具体的には、コントローラ30は、掘削動作が行われた場合に、アキュムレータ80に蓄積された作動油をポンプ・モータ14Aに供給する。そして、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させるか油圧モータとして作動させるかを決定し、且つ、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御することでポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の吐出圧を変化させる。そのため、第3作動油の供給先である油圧アクチュエータの負荷圧とアキュムレータ圧との大小関係にかかわらず、第3作動油をその油圧アクチュエータに流入させることができる。その結果、第1作動油と第3作動油の流量バランスを柔軟に制御でき、また、アキュムレータ80に蓄積された油圧エネルギを効率的に再利用できる。
[背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う掘削動作]
次に、図12を参照し、背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図12は、背圧回生によるアームシリンダ8のアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図12の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図12の黒色及び灰色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム上げ操作、アーム閉じ操作、及びバケット閉じ操作による複合掘削動作が行われていると判断すると、何れの油圧アクチュエータの負荷圧が最小かを判断する。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断すると、切替弁62を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172を最大開口とし、流量制御弁172での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、切替弁63を第1位置にしてバケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに向ける。
その後、コントローラ30は、ブームシリンダ7の動作速度がブーム操作レバーの操作量に応じた速度となるよう、ポンプ・モータ14Aによる作動油の吸収量(押退容積)を制御する。具体的には、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧(ロッド側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)をアームシリンダ8の負荷圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)を負荷圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、レギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを一定速度で回転させる場合、押退容積を小さくするほどブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の流量を小さくでき、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(背圧)を上昇させることができる。この関係を用いて、コントローラ30は、背圧がブームシリンダ7の所望の負荷圧(ボトム側油室の圧力)に見合う圧力となるようにその背圧を制御できる。
また、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油は、油圧モータとして機能するポンプ・モータ14Aを回転させることによって回転トルクを発生させる。この回転トルクは、変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得る。すなわち、ポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクは、エンジン11の回転をアシストするために利用され、エンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制する効果を奏する。なお、エンジン11の出力制御には、望ましくはトルクベース制御を応用したものが利用され得る。
また、油圧ポンプとして機能するポンプ・モータ14Aは、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油を吸い込むことで、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べて小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。
なお、図12の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得ることを表す。また、灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62を第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62を第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。流量制御弁172のCT開口が大きい場合、或いは、ブームシリンダ7に負荷が加わり背圧を発生させる必要が無くなった場合についても同様である。なお、図12における灰色の太点線は、切替弁62が第1位置の方向に移動させられた場合に、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されることを表す。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではアームシリンダ8の動作速度をアーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、合流弁55を第1位置にして第2ポンプ14Rが吐出する第2作動油をアームシリンダ8に流入させる。
なお、上述では、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断される場合を説明するが、バケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断される場合についても同様の説明が適用される。具体的には、コントローラ30は、バケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断すると、切替弁63を第2位置にし、バケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、バケット操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁173の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁173を最大開口とし、流量制御弁173での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、切替弁61及び切替弁62をそれぞれ第1位置にしてアームシリンダ8及びブームシリンダ7のそれぞれのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに向ける。また、バケットシリンダ9の動作速度も上述同様に制御される。
また、コントローラ30は、アームシリンダ8のボトム側油室の圧力(負荷圧)が最小と判断すると、切替弁61を第2位置にし、アームシリンダ8のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、アーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁171の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171を最大開口とし、流量制御弁171での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、切替弁62及び切替弁63のそれぞれを第1位置にしてブームシリンダ7及びバケットシリンダ9のそれぞれのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに向ける。また、アームシリンダ8の動作速度も上述同様に制御される。
次に、図13を参照し、背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図13は、背圧回生によるアームシリンダ8のアシストを伴う掘削動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図13の黒色及び灰色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図13の黒色及び灰色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。また、図13における灰色の太実線及び太点線は、作動油の流れが減少或いは消失し得ることを追加的に表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム上げ操作、アーム閉じ操作、及びバケット閉じ操作による複合掘削動作が行われていると判断すると、切替弁62Aを第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Aの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172Aを最大開口とし、流量制御弁172Aでの圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、流量制御弁173を通じてバケットシリンダ9のロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出させる。
その後、コントローラ30は、ブームシリンダ7の動作速度がブーム操作レバーの操作量に応じた速度となるよう、ポンプ・モータ14Aによる作動油の吸収量(押退容積)を制御する。具体的には、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧(ロッド側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)をアームシリンダ8の負荷圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ボトム側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)を負荷圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、レギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。
なお、図13の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得ることを表す。また、灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。
また、例えばポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。具体的には、コントローラ30は、切替弁62Bを第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62Bを第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。なお、コントローラ30は、必要に応じて、切替弁62Aを第3位置(中立位置)にしてブームシリンダ7のロッド側油室とポンプ・モータ14Aとの間の連通を遮断してもよい。なお、図13における灰色の太点線は、切替弁62Bが第1位置に切り替えられた場合に、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されることを表す。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御することでアームシリンダ8の動作速度をアーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できる場合、コントローラ30は、可変ロードチェック弁51Bを第2位置にして第2作動油のアームシリンダ8への流入を遮断してもよい。なお、図13における灰色の太実線は、可変ロードチェック弁51Bが第2位置に切り替えられた場合に、第2作動油のアームシリンダ8への流入が遮断されることを表す。
上述のように、コントローラ30は、[掘削動作]及び[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う掘削動作]のところで説明した効果に加え、以下の効果を追加的に実現する。
具体的には、コントローラ30は、掘削動作が行われた場合に、ブームシリンダ7のロッド側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aに供給する。そして、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させるか油圧モータとして作動させるかを決定し、且つ、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御することでポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の吐出圧を変化させる。そのため、第3作動油の供給先である油圧アクチュエータの負荷圧とブームシリンダ7のロッド側油室における所望の背圧との大小関係にかかわらず、第3作動油をその油圧アクチュエータに流入させることができる。その結果、第1作動油と第3作動油の流量バランスを柔軟に制御でき、また、回生したエネルギを効率的に再利用できる。
[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う排土動作]
次に、図14を参照し、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図14は、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図14の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図14の黒色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
排土動作は、ブーム下げ、アーム開き、及びバケット開きを含む動作である。また、ブーム4は自重で下降し、ブーム4の下降速度はブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流量を調整することで制御される。具体的には、ボトム側油室から流出する作動油の流量が大きいほどブーム4の下降速度は大きくなる。
ブーム下げ操作が行われると、流量制御弁172はブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図14の左位置に移動する。また、アーム開き操作が行われると、流量制御弁171はアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図14の左位置に移動し、バケット開き操作が行われると、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図14の左位置に移動する。
そして、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、図14に示すように、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
なお、再生弁7aの開口が最大になると、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力がそのままロッド側油室にも掛かるため、ボトム側油室の圧力がさらに上昇してコントロールバルブ17内に設置されたリリーフ弁のリリーフ圧を超過する場合がある。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力がそのリリーフ圧に近づいた場合には、再生弁7aの開口を小さくしてボトム側油室の圧力がそのリリーフ圧を超えないようにする。
また、コントローラ30は、切替弁62を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172を最大開口とし、流量制御弁172での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52を第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172との間の連通を遮断する。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させ、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、また、リリーフ圧を超過しないよう、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの押退容積を制御する。そして、コントローラ30は、切替弁90を第2位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を作動油タンクTに排出させる。
また、コントローラ30は、合流弁55を第2位置の状態に維持して第1作動油と第2作動油とを合流させないようにし、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きが別々の作動油で独立して制御されるようにする。この場合、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第1ポンプ14Lによる直接制御が可能なため、流量制御弁171における絞りで制限される必要はない。同様に、バケットシリンダ9のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第2ポンプ14Rによる直接制御が可能なため、流量制御弁173における絞りで制限される必要はない。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁172の場合と同様、減圧弁により流量制御弁171、173の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171、173を最大開口とし、流量制御弁171、173での圧力損失を低減させてもよい。なお、アーム開き操作及びバケット開き操作を伴う排土動作が行われる場合、アーム操作レバー及びバケット操作レバーは、典型的には、フルレバー(例えば、レバーの中立状態を0%とし、最大操作状態を100%とした場合の80%以上の操作量)で操作される。そのため、流量制御弁171、173は何れも最大開口となる。
また、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油は、ポンプ・モータ14Aを回転させることによって回転トルクを発生させる。この回転トルクは、図14の黒色の一点鎖線矢印で示すように、変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得る。すなわち、ポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクは、エンジン11の回転をアシストするために利用され、エンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制する効果を奏する。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62を第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62を第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
次に、図15を参照し、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図15は、背圧回生によるエンジン11のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図15の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図15の黒色及び灰色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62Aを第1位置にし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を低減させて流量制御弁172Aを中立位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流量制御弁172Aを通って作動油タンクTに向かう作動油の流れを遮断する。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52Aを第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172Aとの間の連通を遮断する。
また、アーム開き操作が行われると、流量制御弁171Aはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図15の右位置に移動する。また、バケット開き操作が行われると、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図15の左位置に移動する。
また、コントローラ30は、アーム開き操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁51Aを第1位置にし、第1ポンプ14Lと流量制御弁171Aとの間を連通させる。また、コントローラ30は、バケット開き操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁53を第1位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁173との間を連通させる。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させ、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの押退容積を制御する。そして、コントローラ30は、切替弁90を第2位置にし、且つ、切替弁92を第3位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を作動油タンクTに排出させる。
また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁51Bを第2位置の状態に維持して第1作動油と第2作動油とを合流させないようにし、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きが別々の作動油で独立して制御されるようにする。この場合、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第1ポンプ14Lによる直接制御が可能なため、流量制御弁171Aにおける絞りで制限される必要はない。同様に、バケットシリンダ9のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第2ポンプ14Rによる直接制御が可能なため、流量制御弁173における絞りで制限される必要はない。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁172Aの場合と同様、減圧弁により流量制御弁171Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171Aを最大開口とし、且つ、減圧弁により流量制御弁173の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁173を最大開口とし、流量制御弁171A、173での圧力損失を低減させてもよい。
また、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油は、ポンプ・モータ14Aを回転させることによって回転トルクを発生させる。この回転トルクは、図15の黒色の一点鎖線矢印で示すように、変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられ、第1ポンプ14L及び第2ポンプ14Rの駆動力として利用され得る。すなわち、ポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクは、エンジン11の回転をアシストするために利用され、エンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制する効果を奏する。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62Cを第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62Cを第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Bの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172Bを図15の左位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を第1作動油に合流させてもよい。
なお、図15における灰色の太点線は、切替弁62Cが第1位置の方向に移動させられた場合にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されること、及び、流量制御弁172Bが左位置に移動させられた場合にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油が流量制御弁172Bのところで第1作動油と合流することを表す。
上述のように、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われた場合に、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油でポンプ・モータ14Aを回転させて背圧を生成する。そのため、本発明の実施例に係るショベルは、背圧を生成する際に得られる油圧エネルギをエンジン11のアシストのために利用できる。その結果、アシスト出力分だけエンジン出力を低減させることによる省エネルギ化、エンジン出力にアシスト出力を上乗せして油圧ポンプの出力を増大させることによる動作の高速化及びサイクルタイムの短縮等を実現できる。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを回転させることで背圧を生成するため、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流れを絞りで絞る必要がなく、絞りで圧力損失を発生させることもない。そのため、ブーム4の位置エネルギが熱エネルギとして消費されるのを抑制或いは防止し、エネルギ損失を抑制或いは防止できる。
また、コントローラ30は、ブーム下げ操作、アーム開き操作、及びバケット開き操作が同時に行われた場合であっても、第1作動油と第2作動油とを合流させることなく、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きを別々の作動油で独立して制御する。そのため、アームシリンダ8を動かすために要求される第1作動油の流量、及び、バケットシリンダ9を動かすために要求される第2作動油の流量のうちの一方が他方の影響を受けることがない。そのため、油圧ポンプが必要以上に作動油を吐出するのを防止できる。
[背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う排土動作]
次に、図16を参照し、背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う排土動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図16は、背圧回生によるアームシリンダ8のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図16の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図16の黒色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
ブーム下げ操作が行われると、流量制御弁172はブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図16の左位置に移動する。また、アーム開き操作が行われると、流量制御弁171はアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図16の左位置に移動し、バケット開き操作が行われると、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図16の左位置に移動する。
そして、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172を最大開口とし、流量制御弁172での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52を第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172との間の連通を遮断する。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ロッド側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧(ボトム側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)をアームシリンダ8の負荷圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ロッド側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)を負荷圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを一定速度で回転させる場合、押退容積を小さくするほどブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流量を小さくでき、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(背圧)を上昇させることができる。この関係を用いて、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアームシリンダ8の負荷圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようにポンプ・モータ14Aを制御できる。なお、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの斜板傾転角と回転速度を調整する代わりに、絞りを用いた分流制御によってポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアームシリンダ8の負荷圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようにしてもよい。この場合、ポンプ・モータ14Aの斜板傾転角は固定であってもよい。前述及び後述の他の制御においても、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの斜板傾転角と回転速度を調整する代わりに、絞りを用いた分流制御によってポンプ・モータ14Aの吐出側及び供給側のそれぞれの作動油の圧力が所望の圧力となるようにしてもよい。
油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べ、小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の吐出量分だけ第1ポンプ14Lが吐出する第1作動油の吐出量を低減させる。その結果、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量を変えずにエンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。
また、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、エンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。なお、図16の灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。また、図16の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11をアシストして第1ポンプ14Lの駆動力の一部を負担することを表す。
そして、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を切替弁91に向け、且つ、切替弁91を第1位置にして第3作動油をアームシリンダ8に向ける。
また、コントローラ30は、合流弁55を第2位置の状態に維持して第1作動油と第2作動油とを合流させないようにし、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きが別々の作動油で独立して制御されるようにする。この場合、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第1ポンプ14Lによる直接制御が可能なため、流量制御弁171における絞りで制限される必要はない。同様に、バケットシリンダ9のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第2ポンプ14Rによる直接制御が可能なため、流量制御弁173における絞りで制限される必要はない。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁172の場合と同様、減圧弁により流量制御弁171、173の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171、173を最大開口とし、流量制御弁171、173での圧力損失を低減させてもよい。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62を第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62を第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
次に、図17を参照し、背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う排土動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図17は、背圧回生によるアームシリンダ8のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図17の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図17の黒色及び灰色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62Aを第1位置にし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を低減させて流量制御弁172Aを中立位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流量制御弁172Aを通って作動油タンクTに向かう作動油の流れを遮断する。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52Aを第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172Aとの間の連通を遮断する。
また、アーム開き操作が行われると、流量制御弁171Aはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図17の右位置に移動する。また、バケット開き操作が行われると、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図17の左位置に移動する。
また、コントローラ30は、アーム開き操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁51Aを第1位置にし、第1ポンプ14Lと流量制御弁171Aとの間を連通させる。また、コントローラ30は、バケット開き操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁53を第1位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁173との間を連通させる。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ロッド側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧(ボトム側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)をアームシリンダ8の負荷圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アームシリンダ8の負荷圧(ロッド側油室の圧力)がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)を負荷圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを一定速度で回転させる場合、押退容積を小さくするほどブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流量を小さくでき、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(背圧)を上昇させることができる。この関係を用いて、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアームシリンダ8の負荷圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようポンプ・モータ14Aを制御できる。
油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べ、小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の吐出量だけ第1ポンプ14Lが吐出する第1作動油の吐出量を低減させる。その結果、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量を変えずにエンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。
また、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、エンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。なお、図17の灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。また、図17の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11をアシストして第1ポンプ14Lの駆動力の一部を負担することを表す。
また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁51Bを第2位置の状態に維持して第1作動油と第2作動油とを合流させないようにし、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きが別々の作動油で独立して制御されるようにする。この場合、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第1ポンプ14Lによる直接制御が可能なため、流量制御弁171Aにおける絞りで制限される必要はない。同様に、バケットシリンダ9のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第2ポンプ14Rによる直接制御が可能なため、流量制御弁173における絞りで制限される必要はない。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁172Aの場合と同様、減圧弁により流量制御弁171Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171Aを最大開口とし、且つ、減圧弁により流量制御弁173の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁173を最大開口とし、流量制御弁171A、173での圧力損失を低減させてもよい。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62Cを第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62Cを第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Bの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172Bを図15の左位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を第1作動油に合流させてもよい。
なお、図17における灰色の太点線は、切替弁62Cが第1位置の方向に移動させられた場合にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されること、及び、流量制御弁172Bが左位置に移動させられた場合にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油が流量制御弁172Bのところで第1作動油と合流することを表す。
上述のように、コントローラ30は、[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う排土動作]のところで説明した効果に加え、以下の効果を追加的に実現する。
具体的には、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させるか油圧モータとして作動させるかを決定し、且つ、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御することでポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の吐出圧を変化させる。そのため、第3作動油の供給先である油圧アクチュエータの負荷圧とブームシリンダ7の所望の背圧との大小関係にかかわらず、第3作動油をその油圧アクチュエータに流入させることができる。その結果、第1作動油と第3作動油の流量バランスを柔軟に制御でき、また、回生したエネルギを効率的に再利用できる。
[背圧回生によるアキュムレータの蓄圧を伴う排土動作]
次に、図18を参照し、背圧回生によるアキュムレータ80の蓄圧を伴う排土動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図18は、背圧回生によるアキュムレータ80の蓄圧を伴う排土動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図18の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図18の黒色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
ブーム下げ操作が行われると、流量制御弁172はブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図18の左位置に移動する。また、アーム開き操作が行われると、流量制御弁171はアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図18の左位置に移動し、バケット開き操作が行われると、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図18の左位置に移動する。
そして、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172を最大開口とし、流量制御弁172での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52を第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172との間の連通を遮断する。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧(ボトム側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを一定速度で回転させる場合、押退容積を小さくするほどブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流量を小さくでき、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(背圧)を上昇させることができる。この関係を用いて、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアキュムレータ圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようにその作動油の圧力を制御できる。
油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込んでアキュムレータ80を蓄圧する場合に比べ、小さいポンプ負荷でアキュムレータ80を蓄圧できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。また、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、エンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。なお、図18の灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。また、図18の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11をアシストして第1ポンプ14Lの駆動力の一部を負担することを表す。
そして、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を切替弁91に向け、且つ、切替弁91を第3位置にして第3作動油をアキュムレータ80に向ける。また、コントローラ30は、切替弁81を第1位置にしてポンプ・モータ14Aとアキュムレータ80との間を連通させる。この場合、第1ポンプ14Lとアキュムレータ80との間の連通を別の切替弁によって遮断してもよい。
また、コントローラ30は、合流弁55を第2位置の状態に維持して第1作動油と第2作動油とを合流させないようにし、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きが別々の作動油で独立して制御されるようにする。この場合、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第1ポンプ14Lによる直接制御が可能なため、流量制御弁171における絞りで制限される必要はない。同様に、バケットシリンダ9のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第2ポンプ14Rによる直接制御が可能なため、流量制御弁173における絞りで制限される必要はない。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁172の場合と同様、減圧弁により流量制御弁171、173の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171、173を最大開口とし、流量制御弁171、173での圧力損失を低減させてもよい。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62を第1位置と第2位置との間の中間位置に設定し、或いは切替弁62を第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
次に、図19を参照し、背圧回生によるアキュムレータ80の蓄圧を伴う排土動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図19は、背圧回生によるアームシリンダ8のアシストを伴う排土動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図19の黒色の太実線は、油圧アクチュエータに流入する作動油の流れを表し、実線の太さが太いほど流量が大きいことを表す。また、図19の黒色及び灰色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62Aを第1位置にし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を低減させて流量制御弁172Aを中立位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流量制御弁172Aを通って作動油タンクTに向かう作動油の流れを遮断する。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52Aを第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172Aとの間の連通を遮断する。
また、アーム開き操作が行われると、流量制御弁171Aはアーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図19の右位置に移動する。また、バケット開き操作が行われると、流量制御弁173はバケット操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図19の左位置に移動する。
また、コントローラ30は、アーム開き操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁51Aを第1位置にし、第1ポンプ14Lと流量制御弁171Aとの間を連通させる。また、コントローラ30は、バケット開き操作が行われたと判断すると、可変ロードチェック弁53を第1位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁173との間を連通させる。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧(ボトム側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。例えば、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを一定速度で回転させる場合、押退容積を小さくするほどブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の流量を小さくでき、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(背圧)を上昇させることができる。この関係を用いて、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアキュムレータ圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようにポンプ・モータ14Aを制御できる。
油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込でアキュムレータ80を蓄圧する場合に比べ、小さいポンプ負荷でアキュムレータ80を蓄圧できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。また、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、エンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。なお、図19の灰色の一点鎖線矢印は、油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11の出力の一部を利用することを表す。また、図19の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aがエンジン11をアシストして第1ポンプ14Lの駆動力の一部を負担することを表す。
また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁51Bを第2位置の状態に維持して第1作動油と第2作動油とを合流させないようにし、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれの動きが別々の作動油で独立して制御されるようにする。この場合、アームシリンダ8のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第1ポンプ14Lによる直接制御が可能なため、流量制御弁171Aにおける絞りで制限される必要はない。同様に、バケットシリンダ9のロッド側油室に流入する作動油の流量は、第2ポンプ14Rによる直接制御が可能なため、流量制御弁173における絞りで制限される必要はない。そのため、コントローラ30は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁172Aの場合と同様、減圧弁により流量制御弁171Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁171Aを最大開口とし、且つ、減圧弁により流量制御弁173の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁173を最大開口とし、流量制御弁171A、173での圧力損失を低減させてもよい。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62Cを第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62Cを第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Bの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172Bを図15の左位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を第1作動油に合流させてもよい。
なお、図19における灰色の太点線は、切替弁62Cが第1位置の方向に移動させられた場合にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油が作動油タンクTに排出されること、及び、流量制御弁172Bが左位置に移動させられた場合にブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油が流量制御弁172Bのところで第1作動油と合流することを表す。
上述のように、コントローラ30は、[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う排土動作]及び[背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う排土動作]のところで説明した効果に加え、以下の効果を追加的に実現する。
具体的には、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させるか油圧モータとして作動させるかを決定し、且つ、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御することでポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油の吐出圧を変化させる。そのため、第3作動油の供給先であるアキュムレータ80の圧力とブームシリンダ7の所望の背圧との大小関係にかかわらず、第3作動油をアキュムレータ80に流入させることができる。その結果、ブーム4の位置エネルギを油圧エネルギとして柔軟にアキュムレータ80に蓄えることができ、蓄えた油圧エネルギを効率的に再利用できる。また、ブーム下げ操作が行われた場合であって、エンジン11をアシストする必要が無いとき、或いは、アームシリンダ8の動作速度を増大させる必要が無いときに、ブーム4の位置エネルギを油圧エネルギとしてアキュムレータ80に蓄えることができる。また、ブーム4の位置エネルギが小さい場合であっても油圧エネルギとしてアキュムレータ80に蓄えることができる。
[アキュムレータの蓄圧を伴うブーム下げ旋回減速動作]
次に、図20を参照し、アキュムレータ80の蓄圧を伴うブーム下げ旋回減速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図20は、アキュムレータ80の蓄圧を伴うブーム下げ旋回減速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図20の灰色の太実線は、アキュムレータ80に流入する作動油の流れを表し、図20の黒色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
ブーム下げ旋回減速動作は、ブーム下げ及び旋回減速を含む動作である。また、上部旋回体3は慣性によって回転を継続し、上部旋回体3の減速度は旋回用油圧モータ21の吐出ポート側の作動油の圧力を調整することによって制御される。具体的には、吐出ポート側の作動油の圧力が高いほど上部旋回体3の減速度は大きくなる。
ブーム下げ操作が行われると、流量制御弁172はブーム操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を受けて図20の左位置に移動する。
そして、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を増大させて流量制御弁172を最大開口とし、流量制御弁172での圧力損失を低減させる。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52を第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172との間の連通を遮断する。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させ、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの押退容積を制御する。そして、コントローラ30は、切替弁90を第2位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を作動油タンクTに排出させる。
なお、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油をアキュムレータ80又は動作中の油圧アクチュエータに向けてもよい。具体的には、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧(ボトム側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。また、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を切替弁91に向け、且つ、切替弁91を第3位置にして第3作動油をアキュムレータ80に向ける。このようにして、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアキュムレータ圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようポンプ・モータ14Aを制御する。第3作動油を動作中の油圧アクチュエータに向ける場合も同様である。
油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べ、小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。また、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、回転トルクを発生させてエンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。
図20の例では、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて第3作動油を作動油タンクTに排出させる場合、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの回転トルクによって駆動される第1ポンプ14Lが吐出する第1作動油をアキュムレータ80に流入させる。この場合、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吐出圧がアキュムレータ圧となるよう、対応するレギュレータにより第1ポンプ14Lの押退容積を制御する。また、コントローラ30は、切替弁81を第1位置にして第1ポンプ14Lとアキュムレータ80との間を連通させる。なお、図20の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aの回転トルクが第1ポンプ14Lを駆動することを表し、図20の灰色の太実線は、ポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクを含む回転トルクによって駆動される第1ポンプ14Lの第1作動油がアキュムレータ80に流入することを表す。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62を第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62を第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
また、旋回減速動作が行われると、流量制御弁170は、旋回操作レバーの操作量が減少してパイロット圧が減少するため、図20の中立位置に移動する。
そして、コントローラ30は、旋回減速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油を切替弁60に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁60を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、旋回用油圧モータ21から流出する作動油をアキュムレータ80に流入させる。
また、コントローラ30は、旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油の圧力とアキュムレータ圧とに応じて、再生弁22Gの開度又は切替弁60の第2位置での開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を停止させるための所望の制動トルクを発生できるように、吐出ポート21L側の作動油の圧力を制御する。なお、コントローラ30は、旋回圧センサ(図示せず。)の出力に基づいて旋回用油圧モータ21の2つのポート21L、21Rのそれぞれの側の作動油の圧力を検出する。
また、コントローラ30は、旋回減速動作が行われたと判断すると、切替弁60を第1位置にし、旋回用油圧モータ21から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に流入させてもよい。この場合、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを回転させることで制動圧を生成するため、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の流れを絞りで絞る必要がなく、絞りで圧力損失を発生させることもない。そのため、上部旋回体3の慣性エネルギが熱エネルギとして消費されるのを抑制或いは防止し、エネルギ損失を抑制或いは防止できる。
次に、図21を参照し、アキュムレータ80の蓄圧を伴うブーム下げ旋回減速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図21は、アキュムレータ80の蓄圧を伴うブーム下げ旋回減速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図21の灰色の太実線は、アキュムレータ80に流入する作動油の流れを表し、図21の黒色の太点線は、油圧アクチュエータから流出する作動油の流れを表す。
具体的には、コントローラ30は、ブーム下げ操作が行われたと判断すると、再生弁7aの開口を最大にしてブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に流入させる。
また、コントローラ30は、切替弁62Aを第1位置にし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に向ける。また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量とは無関係に、減圧弁により流量制御弁172Aの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を低減させて流量制御弁172Aを中立位置とし、ブームシリンダ7のボトム側油室から流量制御弁172Aを通って作動油タンクTに向かう作動油の流れを遮断する。また、コントローラ30は、可変ロードチェック弁52Aを第2位置にし、第2ポンプ14Rと流量制御弁172Aとの間の連通を遮断する。
また、コントローラ30は、ブーム操作レバーの操作量及び再生弁7aの開度に応じてポンプ・モータ14Aの吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させ、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータを制御してポンプ・モータ14Aの押退容積を制御する。そして、コントローラ30は、切替弁90を第2位置にし、且つ、切替弁92を第1位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を旋回用油圧モータ21の補給機構に向ける。
なお、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油をアキュムレータ80又は動作中の油圧アクチュエータに向けてもよい。具体的には、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧(ボトム側油室の圧力)より高い場合、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで増大させる。また、コントローラ30は、アキュムレータ圧がブームシリンダ7の所望の背圧以下の場合、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて供給側の作動油の圧力(ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力)をアキュムレータ圧まで低減させる。そして、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室の圧力が急変しないよう、対応するレギュレータによりポンプ・モータ14Aの斜板傾転角を調整して押退容積を制御する。また、コントローラ30は、切替弁90を第1位置にし、且つ、切替弁92を第2位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油をアキュムレータ80に流入させる。このようにして、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの吐出側の作動油の圧力がアキュムレータ圧となるように、且つ、ポンプ・モータ14Aの供給側の作動油の圧力が所望の背圧となるようにポンプ・モータ14Aを制御する。第3作動油を動作中の油圧アクチュエータに向ける場合も同様である。
油圧ポンプとして作動するポンプ・モータ14Aは、作動油タンクTから作動油を吸い込む場合に比べ、小さいポンプ負荷で作動油を吐出できる。その結果、エンジン11の負荷を低減させて省エネルギ化を実現できる。また、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aは、回転トルクを発生させてエンジン11をアシストし、第1ポンプ14Lを回転させるための駆動力の一部を負担できる。その結果、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることができ、或いは、吸収馬力を増大させない場合にはエンジン11の負荷ひいては燃料噴射量を抑制できる。
図21の例では、ポンプ・モータ14Aを油圧モータとして作動させて第3作動油を作動油タンクTに排出させる場合、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの回転トルクによって駆動される第1ポンプ14Lが吐出する第1作動油をアキュムレータ80に流入させる。この場合、コントローラ30は、第1ポンプ14Lの吐出圧がアキュムレータ圧となるよう、対応するレギュレータにより第1ポンプ14Lの押退容積を制御する。また、コントローラ30は、切替弁81を第1位置にして第1ポンプ14Lとアキュムレータ80との間を連通させる。なお、図21の黒色の一点鎖線矢印は、油圧モータとして作動するポンプ・モータ14Aの回転トルクが第1ポンプ14Lを駆動することを表し、図21の灰色の太実線は、ポンプ・モータ14Aが発生させた回転トルクを含むトルクによって駆動される第1ポンプ14Lの第1作動油がアキュムレータ80に流入することを表す。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積を制御するだけではブームシリンダ7の動作速度をブーム操作レバーの操作量に応じた速度に制御できない場合、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに向ける。具体的には、コントローラ30は、切替弁62Cを第1位置と第2位置との間の中間位置にし、或いは切替弁62Cを第1位置に完全に切り替えることで、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油の少なくとも一部を作動油タンクTに排出させる。
また、旋回減速動作が行われると、流量制御弁170は、旋回操作レバーの操作量が減少してパイロット圧が減少するため、図21の中立位置に移動する。
そして、コントローラ30は、旋回減速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油をアキュムレータ80に流入させる。
また、コントローラ30は、旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油の圧力とアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を停止させるための所望の制動トルクを発生できるように、吐出ポート21L側の作動油の圧力を制御する。
なお、図21の例では、旋回減速動作が行われると、吸入ポート21R側の作動油の圧力が負圧となり、補給機構におけるチェック弁23Rは、吸入ポート21R側に作動油を補給する。このとき、コントローラ30は、切替弁90を第2位置にし、且つ、切替弁92を第1位置にしてポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を旋回用油圧モータ21の補給機構に向けている。そのため、チェック弁23Rは、灰色の太点線で示すように、ポンプ・モータ14Aが吐出する第3作動油を吸入ポート21R側に補給することができる。その結果、補給機構は、作動油タンクT内の作動油の量が減少して作動油タンクTから作動油を吸入しにくくなった場合であっても、キャビテーションを発生させることなく、旋回用油圧モータ21に作動油を補給できる。なお、作動油タンクT内の作動油の量は、アキュムレータ80に蓄圧される作動油の量が多いほど少なくなる。
上述のように、コントローラ30は、[背圧回生によるエンジンのアシストを伴う排土動作]、[背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う排土動作]、及び[背圧回生によるアキュムレータの蓄圧を伴う排土動作]のところで説明した効果に加え、以下の効果を追加的に実現する。
具体的には、コントローラ30は、ブーム下げ旋回減速動作が行われる場合、旋回用油圧モータ21から流出する作動油をアキュムレータ80に流入させ、且つ、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油をポンプ・モータ14Aの供給側に流入させる。そのため、本実施例に係るショベルは、旋回減速の際に発生する油圧エネルギをアキュムレータ80に蓄えることができ、ブーム下げの際に発生する油圧エネルギをエンジン11のアシストのために利用できる。また、ブーム下げの際に発生する油圧エネルギを利用してエンジン11をアシストすることで第1ポンプ14Lを駆動し、その第1ポンプ14Lが吐出する第1作動油をアキュムレータ80に流入させることで、ブーム下げの際に発生する油圧エネルギをアキュムレータ80に蓄えることができる。そのため、ブーム下げの際に発生する油圧エネルギが大きい場合であっても、第1ポンプ14Lの吐出量を増大させて第1ポンプ14Lの吸収馬力を増大させることで、その油圧エネルギの全てを回生できる。
[エンジンのアシスト及びアキュムレータの蓄圧を伴う旋回減速動作]
次に、図22を参照し、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回減速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図22は、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回減速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図22の黒色の太点線は、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の流れを表し、黒色の一点鎖線矢印は、エンジンアシストトルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられる様子を表す。また、図22は、旋回用油圧モータ21のポート21Lが吐出ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Rが吐出ポートとなる場合についても同様に適用される。
旋回減速動作は、上部旋回体3の旋回速度を低減させる動作である。上部旋回体3は旋回操作レバーが中立位置に戻された場合であっても慣性によって回転を継続する。この場合、上部旋回体3の減速度は旋回用油圧モータ21の吐出ポート側の作動油の圧力(以下、「旋回流出圧」とする。)を調整することによって制御される。具体的には、旋回流出圧が高いほど上部旋回体3の減速度は大きくなる。
旋回減速動作が行われると、流量制御弁170は、旋回操作レバーの操作量が減少してパイロット圧が減少するため、図22に示すように中立位置に移動する。その結果、第1ポンプ14L、第2ポンプ14R、及びポンプ・モータ14Aの少なくとも1つから旋回用油圧モータ21に流入する作動油は遮断される。
そして、コントローラ30は、旋回減速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油を切替弁60に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁60を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、旋回用油圧モータ21から流出する作動油をアキュムレータ80に流入させる。さらに、コントローラ30は、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、黒色の太点線で示すように、旋回用油圧モータ21から流出する作動油をポンプ・モータ14Aにも流入させる。その結果、旋回用油圧モータ21から流出する作動油は、同じ圧力でアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aのそれぞれに流入する。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流出圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を停止させるための所望の制動トルクを発生できるように旋回流出圧を制御する。本実施例では、コントローラ30は、旋回流出圧がリリーフ弁22Lのリリーフ圧又はクラッキング圧より僅かに低い圧力(以下、「旋回制動目標圧」とする。)となるように、再生弁22Gの前後でその旋回制動目標圧とアキュムレータ圧との差だけ差圧を発生させる。なお、旋回制動目標圧は内部メモリ等に予め登録されていてもよく、各種センサの出力に基づいてその都度算出されてもよい。
具体的には、コントローラ30は、旋回制動目標圧とアキュムレータ圧との差が大きいほど、すなわちアキュムレータ圧が低いほど再生弁22Gの開度を小さくし、旋回制動目標圧とアキュムレータ圧との差が小さいほど、すなわちアキュムレータ圧が高いほど再生弁22Gの開度を大きくする。なお、アキュムレータ圧が旋回制動目標圧より大きい場合には、コントローラ30は、再生弁22Gを閉じることでポート21L側の作動油をリリーフ弁22Lから作動油タンクTに排出してもよい。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積とアキュムレータ圧とからポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクを算出する。ポンプ・モータ14Aの押退容積は、例えば斜板傾転角センサ(図示せず。)の出力から導き出される。そして、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積、すなわち斜板傾転角を調整する。なお、アシストトルク目標値は内部メモリ等に予め登録されていてもよく、各種センサの出力に基づいてその都度算出されてもよい。
具体的には、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値より小さい場合に斜板傾転角を大きくして押退容積を大きくする。エンジンアシストトルクをアシストトルク目標値に近づけるためである。押退容積が大きくなるとポンプ・モータ14Aに流入する作動油の流量が増大するため、アキュムレータ80に流入する作動油の流量が減少する。また、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値より大きい場合に斜板傾転角を小さくして押退容積を小さくする。エンジンアシストトルクをアシストトルク目標値以下に抑えるためである。押退容積が小さくなるとポンプ・モータ14Aに流入する作動油の流量が減少するため、アキュムレータ80に流入する作動油の流量が増大する。なお、アキュムレータ80は、内部に蓄積した作動油の体積が増大するにつれてアキュムレータ圧を増大させ、旋回制動目標圧とアキュムレータ圧との差を減少させる。そして、旋回制動目標圧とアキュムレータ圧との差が減少した場合、コントローラ30は、再生弁22Gの開度を大きくして旋回流出圧が旋回制動目標圧で維持されるようにする。所望の制動トルクを維持するためである。
この場合、制動トルクTBは以下の式(1)で表される。なお、Dmは旋回用油圧モータ21の押退容積(モータ容積)、Pmは旋回流出圧を表す。
また、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の流量(以下、「旋回流出流量」とする。)Qmは以下の式(2)で表される。
また、旋回流出流量Qmは、再生弁22Gを流れる作動油の流量でもあるため、以下の式(3)でも表される。なお、cmaは流量係数、Amaは再生弁22Gの開口面積、Paccはアキュムレータ圧、ρは作動油の密度を表す。
そして、油圧システムは可制御であるため、再生弁22Gの開口制御により油圧システムの状態を任意に変更できる。そのため、本実施例では、コントローラ30は、旋回流出圧Pmが所望の旋回制動目標圧となるように再生弁22Gの開口面積Amaを調整する。以下では、この調整を「旋回流出圧フィードバック制御」とする。
また、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aの上流側との間を連通させると、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の一部又は全部がポンプ・モータ14Aの上流側に流れ込む。このときの作動油流量のつり合い式は以下の式(4)で表される。なお、Qaccはアキュムレータ80に流れ込む流量を表し、QP3はポンプ・モータ14Aに流れ込む流量を表す。
なお、ポンプ・モータ14Aに流れ込む流量QP3は、ポンプ・モータ14Aの押退容積VP3とエンジン回転数ωeを用いて以下の式(5)で表される。
そして、上述の通り、油圧システムは可制御であるため、再生弁22Gの開口制御、及び、ポンプ・モータ14Aの押退容積制御により油圧システムの状態を任意に変更できる。そのため、本実施例では、コントローラ30は、エンジンアシストトルクTP3が所望のアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積VP3を調整する。以下では、この調整を「エンジンアシストトルクフィードバック制御」とする。
このように、コントローラ30は、旋回流出圧フィードバック制御とエンジンアシストトルクフィードバック制御を同時に且つ独立に実行して旋回流出圧及びエンジンアシストトルクを所望の値に制御できる。
なお、このときにポンプ・モータ14Aに流れ込む流量QP3によってポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクTP3は以下の式(6)で表される。
一方で、ポンプ・モータ14Aが生成可能なエンジンアシストトルクTP3の許容最大値はそのときのエンジン11の負荷によって決まる。そのため、コントローラ30は、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の全部をポンプ・モータ14Aに送り込むことができない場合がある。この場合、旋回用油圧モータ21から流出する作動油のうちポンプ・モータ14Aに送り込むことができない作動油はアキュムレータ80に蓄積される。アキュムレータ圧Paccは作動油が蓄積されるにつれて上昇し、旋回制動目標圧との差圧は小さくなる。コントローラ30は、この差圧の減少に応じて再生弁22Gの開度を大きくし、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の圧力が旋回制動目標圧に維持されるようにする。
このように、コントローラ30は、旋回減速中に旋回用油圧モータ21から流出する作動油の一部をアキュムレータ80に蓄積し、残りの部分をアキュムレータ80に蓄積することなく直接的にポンプ・モータ14Aの上流側に送ることができる。そして、所望のエンジンアシストトルクを発生させ、例えばエンジン11の引き摺りトルクを軽減させて省エネルギ化を図ることができる。また、コントローラ30は、アキュムレータ80に一旦蓄積した後でポンプ・モータ14Aの上流側に放出する場合に比べ、上部旋回体3の慣性エネルギをより効率的に利用でき、省エネルギ化を促進できる。
次に、図23を参照し、アシストトルク目標値TTgt、旋回制動目標圧PTgt、及び、旋回流入流量Qswgに応じてアキュムレータ圧Paccが決まるまでの制御の流れについて説明する。旋回流入流量Qswgは、コントロールバルブ17から旋回用油圧モータ21に流入する作動油の流量を表す。また、図23は、油圧システムの制御の流れを示す制御ブロック線図であり、旋回用油圧モータ21を減速させる場合を一例として説明する。
図23は、アキュムレータ80に流れ込む流量(ポンプ・モータ14Aに流れ込む流量QP3を含む。)Qacc1と、旋回用油圧モータ21内を循環する流量Qcirと、リリーフ弁22L、22Rを通じて排出される流量Qrfとが旋回流入流量Qswgから差し引かれて旋回流出流量Qmが得られることを示す。その上で、図23は、旋回流出流量Qmから旋回流出圧Pmが導き出されることを示す。
具体的には、図23は、演算要素E1、E2、E3のそれぞれで、流量Qacc1、流量Qcir、流量Qrfが旋回流入流量Qswgから差し引かれて旋回流出流量Qmが導き出される様子を表す。また、旋回流出流量Qmが圧縮ボリュームを表す演算要素E4を介して旋回流出圧Pmに変換される様子を表す。なお、演算要素E4において、K、Dm、sはそれぞれ、体積弾性率、旋回用油圧モータ21の押退容積、ラプラス演算子を表す。
また、図23は、リリーフ弁22L、22Rを表す演算要素E5を介して旋回流出圧Pmが流量Qrfに変換される様子を表し、演算要素E6〜E10を介して旋回流出圧Pmが流量Qcirに変換される様子を表す。具体的には、旋回用油圧モータ21の受圧面積ASWを表す演算要素E6を介して旋回流出圧PmがトルクTSW1に変換され、演算要素E7においてトルクTSW1から抵抗トルクTRを差し引いて制動トルクTBが導き出され、さらに、旋回用油圧モータ21の慣性を表す演算要素E8を介して制動トルクTBが旋回用油圧モータ21の角速度ωに変換される様子を表す。なお、演算要素E8のJ、sはそれぞれ慣性モーメント、ラプラス演算子を表す。また、旋回用油圧モータ21内の作動油の粘性抵抗BSWを表す演算要素E9を介して角速度ωが抵抗トルクTRに変換され、旋回用油圧モータ21の受圧面積ASWを表す演算要素E10を介して角速度ωが流量Qcirに変換される様子を表す。
また、コントローラ30は、内部メモリ等に予め設定された旋回制動目標圧PTgtを読み出し、旋回流出圧Pmが旋回制動目標圧PTgtとなるように再生弁22Gの開度を調整する。
図23は、演算要素E11において旋回制動目標圧PTgtと旋回流出圧Pmの偏差が算出され、演算要素(PI制御部)E12に偏差が入力される様子を表す。また、演算要素E13及びE14を介して旋回流出圧Pmが流量Qacc1に変換される様子を表す。なお、流量Qacc1は、ポンプ・モータ14Aに流れ込む流量QP3がゼロのときにアキュムレータ80に流れ込む流量に相当する。また、演算要素E14におけるCma、Ama、ΔP、ρはそれぞれ、流量係数、再生弁22Gの開口面積、再生弁22Gの前後の差圧(Pm-Pacc)、流体密度を表す。
具体的には、演算要素E13において旋回流出圧Pmと圧力Paccの差が導き出され、さらに、再生弁22Gの絞りを表す演算要素E14を介してその差が流量Qacc1に変換される様子を表す。
また、コントローラ30は、各種センサの出力に基づいてアシストトルク目標値TTgtを導き出す。そして、ポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクTP3がアシストトルク目標値TTgtとなるようにポンプ・モータ14Aの押退容積VP3を調整する。
図23は、演算要素E15及びE16を介してアシストトルク目標値TTgtが流量QP3に変換される様子を表す。具体的には、演算要素E15においてアシストトルク目標値TTgtをアキュムレータ圧Paccで除算してポンプ・モータ14Aの押退容積VP3が導き出され、さらに、ポンプ・モータ14Aの1次遅れを表す演算要素E16を介して押退容積VP3がポンプ・モータ14Aに流れ込む流量QP3に変換される様子を表す。なお、演算要素E16におけるKQ、T、sはそれぞれ比例ゲイン、時定数、ラプラス演算子を表す。
また、ポンプ・モータ14Aの押退容積VP3が変化すると流量Qaccが変化する。その結果、アキュムレータ圧Pacc、流量Qacc1、旋回流出圧Pmも変化し、そのままでは旋回用油圧モータ21の制動トルクも変化してしまう。そこで、コントローラ30は、旋回流出圧Pmが所望の圧力となるように再生弁22Gの開口面積Amaを調整する。
図23は、演算要素E17〜E21を介して流量Qacc1がアキュムレータ圧Paccに変換される様子を表す。具体的には、演算要素E17において流量Qacc1から流量QP3及び流量Qgが差し引かれて流量Qaccが算出される様子を表す。なお、流量Qgは、アキュムレータ80内の窒素ガスの体積変化によって生じる流量を表す。
また、図23は、アキュムレータ80内の作動油を表す演算要素E18を介して流量Qaccが圧力変化率ΔPaccに変換される様子を表す。なお、演算要素E18におけるK、Vbはそれぞれ、体積弾性率、アキュムレータ80内の作動油の体積を表す。
また、図23は、アキュムレータ80内の窒素ガスを表す演算要素E19を介して圧力変化率ΔPaccが流量Qgに変換される様子を表す。なお、演算要素E19におけるκ、Vg、Pg(=Pacc)はそれぞれ、比熱比、窒素ガス体積、窒素ガス圧力を表す。
また、図23は、演算要素E20で流量Qacc1が積分されて体積Vacc1に変換され、その体積Vacc1が演算要素E18及び演算要素E19のそれぞれの調整に用いられる様子を表す。また、演算要素E19の調整には、アキュムレータ圧Paccが追加的に用いられる様子を表す。また、図23は、演算要素E21で圧力変化率ΔPaccが積分されてアキュムレータ圧Paccに変換される様子を表す。
次に、図24を参照し、コントローラ30が、旋回減速中に、所望の制動トルクを発生させるために再生弁22Gの開度を調整し、且つ、所望のエンジンアシストトルクを発生させるためにポンプ・モータ14Aの押退容積を調整する処理(以下、「旋回減速処理」とする。)について説明する。なお、図24は、旋回減速処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの旋回減速処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、旋回減速中であるか否かを判定する(ステップS1)。本実施例では、コントローラ30は、旋回操作レバーに対応する操作圧センサの出力に基づいて旋回減速中であるか否かを判定する。
旋回減速中であると判定した場合(ステップS1のYES)、コントローラ30は、旋回流出圧及びアキュムレータ圧を取得する(ステップS2)。本実施例では、コントローラ30は、旋回圧センサの出力に基づいて旋回流出圧を取得し、且つ、アキュムレータ圧センサの出力に基づいてアキュムレータ圧を取得する。
そして、コントローラ30は、再生弁22Gの開度、及び、ポンプ・モータ14Aの押退容積を決定する(ステップS3)。本実施例では、コントローラ30は、旋回流出圧と旋回制動目標圧とが一致するよう、アキュムレータ圧と旋回制動目標圧との間の差圧に基づいて再生弁22Gの開度を決定する。また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクとアシストトルク目標値とが一致するよう、アキュムレータ圧とアシストトルク目標値とに基づいてポンプ・モータ14Aの押退容積を決定する。
また、コントローラ30は、旋回流出圧が旋回制動目標圧から乖離したか否かを判定する(ステップS4)。そして、旋回流出圧が旋回制動目標圧から乖離したと判定した場合(ステップS4のYES)、コントローラ30は、再生弁22Gの開度を調整する(ステップS5)。
本実施例では、コントローラ30は、旋回流出圧フィードバック制御により、旋回圧センサの出力である旋回流出圧が旋回制動目標圧を上回った場合に再生弁22Gの開度を大きくし、旋回流出圧が旋回制動目標圧を下回った場合に再生弁22Gの開度を小さくする。
また、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値から乖離したか否かを判定する(ステップS6)。そして、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値から乖離したと判定した場合(ステップS6のYES)、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積を調整する(ステップS7)。
本実施例では、コントローラ30は、エンジンアシストトルクフィードバック制御により、アキュムレータ圧とポンプ・モータ14Aの斜板傾転角とに基づいてエンジンアシストトルクを算出する。そして、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値を上回った場合にポンプ・モータ14Aの押退容積を小さくし、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値を下回った場合にポンプ・モータ14Aの押退容積を大きくする。
このようにして、コントローラ30は、旋回流出圧及びアキュムレータ圧を監視しながら、再生弁22Gの開度及びポンプ・モータ14Aの押退容積を調整することで、所望の制動トルクと所望のエンジンアシストトルクとが維持されるようにする。
また、コントローラ30は、所望のエンジンアシストトルクが維持されるようにすることで、エンジンアシストトルクを過度に増大させてエンジン11に悪影響を及ぼしてしまうことを防止できる。
次に、図25を参照し、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回減速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態の別の一例を説明する。なお、図25は、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回減速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態の別の一例を示す。また、図25の黒色の太点線は、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の流れを表し、黒色の一点鎖線矢印は、エンジンアシストトルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられる様子を表す。また、図25は、旋回用油圧モータ21のポート21Lが吐出ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Rが吐出ポートとなる場合についても同様に適用される。
図25の状態は、切替弁60が第1位置と第2位置との間の中間位置にあり、且つ、切替弁82が第2位置にある点で図22の状態と相違するがその他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳細に説明する。
コントローラ30は、旋回減速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油を切替弁60に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁60を中間位置にし、黒色の太点線で示すように、旋回用油圧モータ21から流出する作動油を分流させてアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aのそれぞれに流入させる。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流出圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を停止させるための所望の制動トルクを発生できるように旋回流出圧を制御する。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積とアキュムレータ圧とからポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクを算出する。ポンプ・モータ14Aの押退容積は、例えば斜板傾転角センサの出力から導き出される。そして、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積、すなわち斜板傾転角を調整する。
このように、コントローラ30は、図25に示す油圧回路の状態を用いることで、図22に示す油圧回路の状態を用いた場合と同様の効果を実現できる。
次に、図26を参照し、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回減速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図26は、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回減速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図26の黒色の太点線は、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の流れを表し、黒色の一点鎖線矢印は、エンジンアシストトルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられる様子を表す。また、図26は、旋回用油圧モータ21のポート21Lが吐出ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Rが吐出ポートとなる場合についても同様に適用される。
旋回減速動作が行われると、流量制御弁170は、旋回操作レバーの操作量が減少してパイロット圧が減少するため、図26に示すように中立位置に移動する。その結果、第1ポンプ14L及びポンプ・モータ14Aの少なくとも1つから旋回用油圧モータ21に流入する作動油は遮断される。
そして、コントローラ30は、旋回減速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吐出ポート21L側の作動油をアキュムレータ80に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、黒色の太点線で示すように、旋回用油圧モータ21から流出する作動油をポンプ・モータ14Aにも流入させる。その結果、旋回用油圧モータ21から流出する作動油は、同じ圧力でアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aのそれぞれに流入する。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流出圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を停止させるための所望の制動トルクを発生できるように旋回流出圧を制御する。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積とアキュムレータ圧とからポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクを算出する。ポンプ・モータ14Aの押退容積は、例えば斜板傾転角センサの出力から導き出される。そして、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積、すなわち斜板傾転角を調整する。
このように、コントローラ30は、図26に示す油圧回路の状態を用いることで、図22に示す油圧回路の状態を用いた場合と同様の効果を実現できる。
[エンジンのアシスト及びアキュムレータの蓄圧を伴う旋回加速動作]
次に、図27を参照し、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回加速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図27は、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回加速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図27の黒色の太実線は第1ポンプ14Lから旋回用油圧モータ21への作動油の流れを表し、黒色の太点線は分岐点B1からアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aへの作動油の流れを表し、黒色の一点鎖線矢印はエンジンアシストトルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられる様子を表す。また、図27は、旋回用油圧モータ21のポート21Rが吸入ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Lが吸入ポートとなる場合についても同様に適用される。
旋回加速動作は、上部旋回体3の旋回速度を増大させる動作である。本実施例では、旋回加速動作は、例えば旋回操作レバーがフルレバーで操作されると実行される。具体的には、第1ポンプ14Lが吐出した作動油の一部をリリーフ弁22Rから作動油タンクTに向けて流出させながら、第1ポンプ14Lが吐出した作動油の残りの部分を旋回用油圧モータ21の吸入ポート21Rに流入させて旋回用油圧モータ21を回転させる。しかしながら、作動油の一部をリリーフ弁22Rから作動油タンクTに向けて流出させることは大きな油圧エネルギを有する作動油をそのまま作動油タンクTに戻してしまうという点で非効率である。そこで、コントローラ30は、リリーフ弁22Rから作動油タンクTに向けて流出させていた作動油をアキュムレータ80に蓄積し、且つ/或いは、ポンプ・モータ14Aに供給することで油圧エネルギの有効利用を図る。
旋回加速動作が行われると、流量制御弁170は、図27に示すように右位置に切り替わる。その結果、第1ポンプ14Lが吐出する作動油は旋回用油圧モータ21の吸入ポート21Rに流入する。
そして、コントローラ30は、旋回加速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吸入ポート21R側の作動油を切替弁60に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁60を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gから流出する作動油をアキュムレータ80に流入させる。さらに、コントローラ30は、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gから流出する作動油をポンプ・モータ14Aにも流入させる。その結果、再生弁22Gから流出する作動油は、同じ圧力でアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aのそれぞれに流入する。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流入圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を加速させるための所望の加速トルクを発生できるように旋回流入圧を制御する。本実施例では、コントローラ30は、旋回流入圧がリリーフ弁22Rのリリーフ圧又はクラッキング圧より僅かに低い圧力(以下、「旋回加速目標圧」とする。)となるように、再生弁22Gの前後でその旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差だけ差圧を発生させる。なお、旋回加速目標圧は内部メモリ等に予め登録されていてもよく、各種センサの出力に基づいてその都度算出されてもよい。
具体的には、コントローラ30は、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差が大きいほど、すなわちアキュムレータ圧が低いほど再生弁22Gの開度を小さくし、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差が小さいほど、すなわちアキュムレータ圧が高いほど再生弁22Gの開度を大きくする。なお、アキュムレータ圧が旋回加速目標圧より大きい場合には、コントローラ30は、再生弁22Gを閉じることでポート21R側の作動油をリリーフ弁22Rから作動油タンクTに排出してもよい。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積とアキュムレータ圧とからポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクを算出する。ポンプ・モータ14Aの押退容積は、例えば斜板傾転角センサ(図示せず。)の出力から導き出される。そして、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積、すなわち斜板傾転角を調整する。なお、アシストトルク目標値は内部メモリ等に予め登録されていてもよく、各種センサの出力に基づいてその都度算出されてもよい。
具体的には、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値より小さい場合に斜板傾転角を大きくして押退容積を大きくする。押退容積が大きくなるとポンプ・モータ14Aに流入する作動油の流量が増大するため、アキュムレータ80に流入する作動油の流量が減少する。また、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値より大きい場合に斜板傾転角を小さくして押退容積を小さくする。押退容積が小さくなるとポンプ・モータ14Aに流入する作動油の流量が減少するため、アキュムレータ80に流入する作動油の流量が増大する。なお、アキュムレータ80は、内部に蓄積した作動油の体積が増大するにつれてアキュムレータ圧を増大させ、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差を減少させる。そして、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差が減少した場合、コントローラ30は、再生弁22Gの開度を大きくして旋回流入圧が旋回加速目標圧で維持されるようにする。所望の加速トルクを維持するためである。
この場合、加速トルクTAは以下の式(7)で表される。なお、Dmは旋回用油圧モータ21の押退容積(モータ容積)、Pmは旋回流入圧を表す。
また、再生弁22Gを流れる作動油の流量Qmは以下の式(8)で表される。なお、QPは第1ポンプ14Lの吐出量、Qswgは旋回流入流量を表す。
また、再生弁22Gを流れる作動油の流量Qmは以下の式(9)でも表される。なお、式(9)は上述の式(3)と同じであり、cmaは流量係数、Amaは再生弁22Gの開口面積、Paccはアキュムレータ圧、ρは作動油の密度を表す。
そして、油圧システムは可制御であるため、再生弁22Gの開口制御により油圧システムの状態を任意に変更できる。そのため、本実施例では、コントローラ30は、旋回流入圧Pmが所望の旋回加速目標圧となるように再生弁22Gの開口面積Amaを調整する。以下では、この調整を「旋回流入圧フィードバック制御」とする。
また、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aの上流側との間を連通させると、旋回用油圧モータ21から流出する作動油の一部又は全部がポンプ・モータ14Aの上流側に流れ込む。
そして、上述の通り、油圧システムは可制御であるため、再生弁22Gの開口制御、及び、ポンプ・モータ14Aの押退容積制御により油圧システムの状態を任意に変更できる。そのため、本実施例では、コントローラ30は、エンジンアシストトルクTP3が所望のアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積VP3を調整する。以下では、この調整を「エンジンアシストトルクフィードバック制御」とする。
このように、コントローラ30は、旋回流入圧フィードバック制御とエンジンアシストトルクフィードバック制御を同時に且つ独立に実行して旋回流入圧及びエンジンアシストトルクを所望の値に制御できる。
また、コントローラ30は、旋回加速中に再生弁22Gから流出する作動油の一部をアキュムレータ80に蓄積し、残りの部分をアキュムレータ80に蓄積することなく直接的にポンプ・モータ14Aの上流側に送ることができる。そして、所望のエンジンアシストトルクを発生させ、例えばエンジン11をアシストして省エネルギ化を図ることができる。また、コントローラ30は、アキュムレータ80に作動油を一旦蓄積した後でポンプ・モータ14Aの上流側に放出する場合に比べ、上部旋回体3の慣性エネルギをより効率的に利用でき、省エネルギ化を促進できる。
なお、旋回加速動作中の油圧システムの制御の流れは、図23に示す旋回減速動作中の油圧システムの制御の流れと同様である。
次に、図28を参照し、コントローラ30が、旋回加速中に、所望の加速トルクを発生させるために再生弁22Gの開度を調整し、且つ、所望のエンジンアシストトルクを発生させるためにポンプ・モータ14Aの押退容積を調整する処理(以下、「旋回加速処理」とする。)について説明する。なお、図28は、旋回加速処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの旋回加速処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、旋回加速中であるか否かを判定する(ステップS11)。本実施例では、コントローラ30は、旋回操作レバーに対応する操作圧センサの出力に基づいて旋回加速中であるか否かを判定する。
旋回加速中であると判定した場合(ステップS11のYES)、コントローラ30は、旋回流入圧及びアキュムレータ圧を取得する(ステップS12)。本実施例では、コントローラ30は、旋回圧センサの出力に基づいて旋回流入圧を取得し、且つ、アキュムレータ圧センサの出力に基づいてアキュムレータ圧を取得する。
そして、コントローラ30は、再生弁22Gの開度、及び、ポンプ・モータ14Aの押退容積を決定する(ステップS13)。本実施例では、コントローラ30は、旋回流入圧と旋回加速目標圧とが一致するよう、アキュムレータ圧と旋回加速目標圧との間の差圧に基づいて再生弁22Gの開度を決定する。また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクとアシストトルク目標値とが一致するよう、アキュムレータ圧とアシストトルク目標値とに基づいてポンプ・モータ14Aの押退容積を決定する。
また、コントローラ30は、旋回流入圧が旋回加速目標圧から乖離したか否かを判定する(ステップS14)。そして、旋回流入圧が旋回加速目標圧から乖離したと判定した場合(ステップS14のYES)、コントローラ30は、再生弁22Gの開度を調整する(ステップS15)。
本実施例では、コントローラ30は、旋回流入圧フィードバック制御により、旋回圧センサの出力である旋回流入圧が旋回加速目標圧を上回った場合に再生弁22Gの開度を大きくし、旋回流入圧が旋回加速目標圧を下回った場合に再生弁22Gの開度を小さくする。
また、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値から乖離したか否かを判定する(ステップS16)。そして、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値から乖離したと判定した場合(ステップS16のYES)、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積を調整する(ステップS17)。
本実施例では、コントローラ30は、エンジンアシストトルクフィードバック制御により、アキュムレータ圧とポンプ・モータ14Aの斜板傾転角とに基づいてエンジンアシストトルクを算出する。そして、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値を上回った場合にポンプ・モータ14Aの押退容積を小さくし、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値を下回った場合にポンプ・モータ14Aの押退容積を大きくする。
このようにして、コントローラ30は、旋回流入圧及びアキュムレータ圧を監視しながら、再生弁22Gの開度及びポンプ・モータ14Aの押退容積を調整することで、所望の加速トルクと所望のエンジンアシストトルクとが維持されるようにする。また、コントローラ30は、旋回加速中に第1ポンプ14Lが吐出する作動油の一部をリリーフ弁22L、22Rを通じて排出する代わりにアキュムレータ80に蓄積し、且つ/或いは、ポンプ・モータ14Aに供給することができる。その結果、コントローラ30は、油圧エネルギの有効利用を図ることができる。
次に、図29を参照し、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回加速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図29は、エンジン11のアシスト及びアキュムレータ80の蓄圧を伴う旋回加速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図29の黒色の太実線は第1ポンプ14Lから旋回用油圧モータ21への作動油の流れを表し、黒色の太点線は分岐点B1からアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aへの作動油の流れを表し、黒色の一点鎖線矢印はエンジンアシストトルクが変速機13を介してエンジン11の回転軸に伝えられる様子を表す。また、図29は、旋回用油圧モータ21のポート21Rが吸入ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Lが吸入ポートとなる場合についても同様に適用される。
旋回加速動作が行われると、図29に示すように、可変ロードチェック弁50は左位置に切り替わり、流量制御弁170は右位置に切り替わる。その結果、第1ポンプ14Lが吐出する作動油は旋回用油圧モータ21の吸入ポート21Rに流入する。
そして、コントローラ30は、旋回加速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吸入ポート21R側の作動油をアキュムレータ80に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁82を第1位置にしてアキュムレータ80とポンプ・モータ14Aとの間を連通させ、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gから流出する作動油をポンプ・モータ14Aにも流入させる。その結果、再生弁22Gから流出する作動油は、同じ圧力でアキュムレータ80及びポンプ・モータ14Aのそれぞれに流入する。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流入圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を加速させるための所望の加速トルクを発生できるように旋回流入圧を制御する。
また、コントローラ30は、ポンプ・モータ14Aの押退容積とアキュムレータ圧とからポンプ・モータ14Aが発生させるエンジンアシストトルクを算出する。ポンプ・モータ14Aの押退容積は、例えば斜板傾転角センサの出力から導き出される。そして、コントローラ30は、エンジンアシストトルクがアシストトルク目標値となるようにポンプ・モータ14Aの押退容積、すなわち斜板傾転角を調整する。
このように、コントローラ30は、図29に示す油圧回路の状態を用いることで、図28に示す油圧回路の状態を用いた場合と同様の効果を実現できる。
[アキュムレータの蓄圧のみを伴う旋回加速動作]
次に、図30を参照し、アキュムレータ80の蓄圧のみを伴う旋回加速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を説明する。なお、図30は、アキュムレータ80の蓄圧のみを伴う旋回加速動作が行われる場合における図2の油圧回路の状態を示す。また、図30の黒色の太実線は第1ポンプ14Lから旋回用油圧モータ21への作動油の流れを表し、黒色の太点線は分岐点B1からアキュムレータ80への作動油の流れを表す。また、図30は、旋回用油圧モータ21のポート21Rが吸入ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Lが吸入ポートとなる場合についても同様に適用される。また、図30の油圧回路で実行される旋回加速処理は、所望のエンジンアシストトルクを発生させるためにポンプ・モータ14Aの押退容積を調整する工程を除き、図28に示す旋回加速処理と同様である。また、旋回加速動作中の油圧システムの制御の流れは、図23に示す旋回減速動作中の油圧システムの制御の流れと同様である。
旋回加速動作が行われると、流量制御弁170は、図30に示すように右位置に切り替わる。その結果、第1ポンプ14Lが吐出する作動油は旋回用油圧モータ21の吸入ポート21Rに流入する。
そして、コントローラ30は、旋回加速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吸入ポート21R側の作動油を切替弁60に向けて流出させる。また、コントローラ30は、切替弁60を第2位置にし、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gから流出する作動油をアキュムレータ80に流入させる。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流入圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を加速させるための所望の加速トルクを発生できるように旋回流入圧を制御する。本実施例では、コントローラ30は、旋回流入圧が旋回加速目標圧となるように、再生弁22Gの前後でその旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差だけ差圧を発生させる。なお、旋回加速目標圧は内部メモリ等に予め登録されていてもよく、各種センサの出力に基づいてその都度算出されてもよい。
具体的には、コントローラ30は、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差が大きいほど、すなわちアキュムレータ圧が低いほど再生弁22Gの開度を小さくし、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差が小さいほど、すなわちアキュムレータ圧が高いほど再生弁22Gの開度を大きくする。なお、アキュムレータ圧が旋回加速目標圧より大きい場合には、コントローラ30は、再生弁22Gを閉じることでポート21R側の作動油をリリーフ弁22Rから作動油タンクTに排出してもよい。
なお、アキュムレータ80は、内部に蓄積した作動油の体積が増大するにつれてアキュムレータ圧を増大させ、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差を減少させる。そして、旋回加速目標圧とアキュムレータ圧との差が減少した場合、コントローラ30は、再生弁22Gの開度を大きくして旋回流入圧が旋回加速目標圧で維持されるようにする。所望の加速トルクを維持するためである。
このようにして、コントローラ30は、旋回流入圧及びアキュムレータ圧を監視しながら、再生弁22Gの開度を調整することで、所望の加速トルクが維持されるようにする。また、コントローラ30は、旋回加速中に第1ポンプ14Lが吐出する作動油の一部をリリーフ弁22L、22Rを通じて排出する代わりにアキュムレータ80に蓄積することができる。その結果、コントローラ30は、油圧エネルギの有効利用を図ることができる。
次に、図31を参照し、アキュムレータ80の蓄圧のみを伴う旋回加速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を説明する。なお、図31は、アキュムレータ80の蓄圧のみを伴う旋回加速動作が行われる場合における図3の油圧回路の状態を示す。また、図31の黒色の太実線は第1ポンプ14Lから旋回用油圧モータ21への作動油の流れを表し、黒色の太点線は分岐点B1からアキュムレータ80への作動油の流れを表す。また、図31は、旋回用油圧モータ21のポート21Rが吸入ポートとなる場合を一例として示すが、以下の説明は、ポート21Lが吸入ポートとなる場合についても同様に適用される。
旋回加速動作が行われると、図31に示すように、可変ロードチェック弁50は左位置に切り替わり、流量制御弁170は右位置に切り替わる。その結果、第1ポンプ14Lが吐出する作動油は旋回用油圧モータ21の吸入ポート21Rに流入する。
そして、コントローラ30は、旋回加速動作が行われたと判断すると、黒色の太点線で示すように、再生弁22Gを開いて旋回用油圧モータ21の吸入ポート21R側の作動油をアキュムレータ80に向けて流出させる。
また、コントローラ30は、旋回圧センサの出力である旋回流入圧と、アキュムレータ圧センサの出力であるアキュムレータ圧とに応じて再生弁22Gの開度を調整する。そして、上部旋回体3の旋回を加速させるための所望の加速トルクを発生できるように旋回流入圧を制御する。
このように、コントローラ30は、図31に示す油圧回路の状態を用いることで、図30に示す油圧回路の状態を用いた場合と同様の効果を実現できる。
なお、上述では、図2及び図3の油圧回路のそれぞれにおける11種類の状態(掘削動作のときの4状態、排土動作のときの3状態、ブーム下げ旋回減速動作のときの1状態、旋回減速動作のときの1状態、及び、旋回加速動作のときの2状態)が説明された。コントローラ30は、各油圧アクチュエータに対応する操作レバーの操作量、各油圧アクチュエータの負荷圧、アキュムレータ80の蓄圧状態等に基づいて何れの状態を実現するかを決定する。
例えば、コントローラ30は、掘削動作中にブームシリンダ7のロッド側油室で背圧を生成する必要がなく、且つ、アキュムレータ80に十分な作動油が蓄圧されていると判断した場合に、アキュムレータアシストを伴う掘削動作が行われるようにしてもよい。
また、コントローラ30は、掘削動作中にブームシリンダ7のロッド側油室で背圧を生成する必要があり、且つ、アームシリンダ8を迅速に動作させる必要があると判断した場合に、背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う掘削動作が行われるようにしてもよい。
また、コントローラ30は、掘削動作中にブームシリンダ7のロッド側油室で背圧を生成する必要があり、且つ、アームシリンダ8を迅速に動作させる必要がないと判断した場合に、背圧回生によるエンジンのアシストを伴う掘削動作が行われるようにしてもよい。
また、コントローラ30は、排土動作中にブームシリンダ7のボトム側油室で背圧を生成する必要があり、且つ、アームシリンダ8を迅速に動作させる必要があると判断した場合に、背圧回生による油圧アクチュエータのアシストを伴う排土動作が行われるようにしてもよい。
また、コントローラ30は、排土動作中にブームシリンダ7のボトム側油室で背圧を生成する必要があり、アームシリンダ8を迅速に動作させる必要がなく、且つ、アキュムレータ80に十分な作動油が蓄圧されていると判断した場合に、背圧回生によるエンジンのアシストを伴う排土動作が行われるようにしてもよい。
また、コントローラ30は、排土動作中にブームシリンダ7のボトム側油室で背圧を生成する必要があり、アームシリンダ8を迅速に動作させる必要がなく、且つ、アキュムレータ80に十分な作動油が蓄圧されていないと判断した場合に、背圧回生によるアキュムレータの蓄圧を伴う排土動作が行われるようにしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、油圧アクチュエータは、左側走行用油圧モータ(図示せず。)及び右側走行用油圧モータ(図示せず。)を含んでいてもよい。この場合、コントローラ30は、走行減速時の油圧エネルギをアキュムレータ80に蓄圧してもよい。また、旋回用油圧モータ21は電動モータであってもよい。
また、上述の実施例に係るショベルは、エンジン11をアシストする電動発電機(図示せず。)、電動発電機が発電した電力を蓄積し且つ電動発電機に電力を供給する蓄電器(図示せず。)、電動発電機の動きを制御するインバータ等を搭載していてもよい。
また、ポンプ・モータ14Aは、エンジン11で駆動される代わりに、電動発電機で駆動されてもよい。この場合、ポンプ・モータ14Aは、油圧モータとして作動する場合、発生させた回転トルクで電動発電機を発電機として作動させ、発電電力を蓄電器に充電させてもよい。また、電動発電機は、蓄電器に充電された電力を利用して電動機として作動し、ポンプ・モータ14Aを油圧ポンプとして作動させてもよい。
また、本願は、2014年10月6日に出願した日本国特許出願2014−205831号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。