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JP6639328B2 - 動力伝達装置の潤滑構造 - Google Patents

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Description

本発明は、動力伝達装置の潤滑構造に関する。
従来、動力伝達装置の潤滑構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1の潤滑構造は、カウンタシャフトのベアリングを潤滑するように構成されている。カウンタシャフトは、自動変速機とデファレンシャル機構との間に設けられ、ケースおよびハウジングの間の空間に配置されている。このカウンタシャフトは、一方端部がベアリングを介してケースに回転可能に支持され、他方端部がベアリングを介してハウジングに回転可能に支持されている。
カウンタシャフトには、軸方向に貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔内には、潤滑パイプが配置されている。ケースおよびハウジングには、貫通孔の各開口に対向するように、ケース支持孔およびハウジング支持孔が形成されている。潤滑パイプの一方側がケース支持孔に差し込まれるとともに、潤滑パイプの他方側がハウジング支持孔に差し込まれることにより、潤滑パイプが支持されている。
潤滑パイプにおけるケースとカウンタシャフトとの間には、第1の孔が設けられ、潤滑パイプにおけるハウジングとカウンタシャフトとの間には、第2の孔が設けられている。そして、潤滑パイプの第1の孔から潤滑油が吐出されることにより、ケースに設けられたベアリングに潤滑油が供給され、潤滑パイプの第2の孔から潤滑油が吐出されることにより、ハウジングに設けられたベアリングに潤滑油が供給される。
特開2007−100880号公報
しかしながら、上記した従来の潤滑構造では、カウンタシャフトのベアリングを潤滑することが可能であるが、潤滑パイプをケース支持孔およびハウジング支持孔に差し込む必要があることから、高い位置決め精度が要求されるので、組み付け作業の難度が高くなるという問題点がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、組み付け作業の難度が高くなるのを抑制することが可能な動力伝達装置の潤滑構造を提供することである。
本発明による動力伝達装置の潤滑構造は、第1ケースおよび第2ケースの間の空間に配置されたシャフトを、第1ケースに設けられた第1ベアリングと第2ケースに設けられた第2ベアリングとにより回転可能に支持する動力伝達装置における第1ベアリングおよび第2ベアリングを潤滑するものであり、第1ベアリングおよび第2ベアリングに潤滑油を供給するための第1チューブを備える。シャフトには、軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。第1ケースには、第1チューブが挿入される挿入孔が貫通するように形成されている。そして、第1チューブは、挿入孔に挿入された状態で第1ケースに取り付けられ、第2ケースと離間しており、かつ、第1ベアリングに潤滑油を供給するための第1開口部と、シャフトの貫通孔を介して第2ベアリングに潤滑油を供給するための第2開口部とを有する。
このように構成することによって、第1ケースに第1チューブが取り付けられることから、第1チューブを第2ケースに対して位置決めする必要がないので、組み付け作業の難度が高くなるのを抑制することができる。
上記動力伝達装置の潤滑構造において、シャフトには、第3ベアリングを介してギヤが相対回転可能に設けられるとともに、ギヤとシャフトとを選択的に連結するクラッチが設けられ、第1チューブの第2開口部からの潤滑油が第3ベアリングに供給されるように構成されていてもよい。
このように構成すれば、第1ベアリングおよび第2ベアリングに加えて、第3ベアリングを潤滑することができる。
上記動力伝達装置の潤滑構造において、動力伝達装置は、無段変速機を備え、無段変速機の伝動ベルトに潤滑油を供給するための第2チューブが設けられ、第1チューブは、第2チューブから分岐されていてもよい。
このように構成すれば、第1チューブに潤滑油を供給するための専用の油路を設ける必要がないので、部品点数の増加を抑制することができる。
上記動力伝達装置の潤滑構造において、動力伝達装置は、無段変速機を介さない第1動力伝達経路と、無段変速機を介した第2動力伝達経路とが並列に設けられ、シャフトは、第1動力伝達経路に配置されていてもよい。
このように構成すれば、第1動力伝達経路に配置されるシャフトの第1ベアリングおよび第2ベアリングを潤滑することができる。
本発明の動力伝達装置の潤滑構造によれば、組み付け作業の難度が高くなるのを抑制することができる。
本発明が適用されるトランスアクスルを備える車両の概略構成を示した骨子図である。 図1のトランスアクスルに設けられた第1カウンタ軸の周囲を示した図である。 図1のトランスアクスルのケースをカバーが取り付けられる側から見た模式図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、車両に搭載されるトランスアクスルに本発明を適用した場合について説明する。
−車両の概略構成−
まず、図1を参照して、車両100の概略構成について説明する。この車両100は、たとえば、パワートレインが横置きに配置されたFF(フロントエンジンフロントドライブ)方式の車両である。
車両100は、図1に示すように、走行用の駆動力源であるエンジン1と、エンジン1から出力されるトルク(動力)を駆動輪7L,7Rに伝達するトランスアクスル2とを備えている。
[エンジン]
エンジン1は、たとえば多気筒ガソリンエンジンであり、走行用の駆動力を出力可能に構成されている。このエンジン1は、吸気通路に設けられたスロットルバルブのスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御可能である。
[トランスアクスル]
トランスアクスル2の内部には、トルクコンバータ3、前後進切換装置4、ベルト式無段変速機(以下、単に「無段変速機」という)5、ギヤ機構6、出力軸8、および、デファレンシャル装置9などが設けられている。トランスアクスル2のそれらを収容する筐体は、ハウジング21とケース22とカバー23とにより構成されている。ハウジング21は、エンジン1の出力側に取り付けられている。ケース22は、ハウジング21のエンジン1とは反対側に取り付けられている。カバー23は、ケース22のハウジング21とは反対側に取り付けられている。
このトランスアクスル2は、無段変速機5を介さない第1動力伝達経路と、無段変速機5を介した第2動力伝達経路とが並列に設けられている。具体的に、第1動力伝達経路では、エンジン1から出力されたトルクがトルクコンバータ3を経由してタービン軸31に入力され、このトルクがタービン軸31から前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される。一方、第2動力伝達経路では、タービン軸31に入力されたトルクが無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される。そして、車両100の走行状態に応じて、動力伝達経路を第1動力伝達経路と第2動力伝達経路との間で切り替えるようになっている。
[トルクコンバータ]
トルクコンバータ3は、入力側のポンプインペラ32および出力側のタービンランナ33などを有しており、それらポンプインペラ32とタービンランナ33との間で流体(作動油)を介して動力伝達を行うように構成されている。ポンプインペラ32はエンジン1のクランク軸1aに連結され、タービンランナ33はタービン軸31を介して前後進切換装置4に連結されている。また、トルクコンバータ3は、ロックアップクラッチ34が設けられ、ロックアップクラッチ34が係合することによってポンプインペラ32およびタービンランナ33が一体的に回転するようになっている。なお、トルクコンバータ3のポンプインペラ32にはオイルポンプ35が連結されている。
[前後進切換装置]
前後進切換装置4は、前進用クラッチ(ギヤ走行用クラッチ)C1と、後進用ブレーキB1と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置41とを備えている。遊星歯車装置41では、キャリヤ42がタービン軸31および無段変速機5の入力軸51に一体的に連結され、リングギヤ43が後進用ブレーキB1を介してケース22に選択的に連結され、サンギヤ44が小径ギヤ61に連結されている。また、サンギヤ44とキャリヤ42とは、前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。
[ギヤ機構]
ギヤ機構6は、小径ギヤ61と、この小径ギヤ61に噛み合いかつ第1カウンタ軸62に相対回転不能に設けられた大径ギヤ63とを備えている。第1カウンタ軸62と同じ回転軸心まわりには、アイドラギヤ64が第1カウンタ軸62に対して相対回転可能に設けられている。また、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64との間には、これらを選択的に連結する噛合クラッチD1が設けられている。この噛合クラッチD1は、第1カウンタ軸62に形成されている第1ギヤ65と、アイドラギヤ64に形成されている第2ギヤ66と、第1ギヤ65および第2ギヤ66と噛合可能なスプライン歯が形成されたハブスリーブ67とを備えている。ハブスリーブ67が第1ギヤ65および第2ギヤ66と嵌合することで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが連結される。アイドラギヤ64は、そのアイドラギヤ64よりも大径の入力ギヤ68と噛み合わされている。この入力ギヤ68は、出力軸8に相対回転不能に設けられている。なお、第1カウンタ軸62の周囲の詳細な構造については後述する。
[無段変速機]
無段変速機5は、タービン軸31に連結された入力軸51と出力軸8との間の動力伝達経路上に設けられている。無段変速機5は、入力軸51に設けられた入力側部材であるプライマリプーリ52と、出力側部材であるセカンダリプーリ53と、その一対のプーリ52,53の間に巻き掛けられた伝動ベルト54とを備えている。
プライマリプーリ52は、入力軸51に固定された固定シーブ52aと、入力軸51に対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ52bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ52bを移動させる推力を発生させるプライマリ側油圧アクチュエータ52cとを備えている。また、セカンダリプーリ53は、固定シーブ53aと、この固定シーブ53aに対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ53bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ53bを移動させる推力を発生させるセカンダリ側油圧アクチュエータ53cとを備えている。
無段変速機5では、一対のプーリ52,53のV溝幅が変化して伝動ベルト54の掛かり径(有効径)が変更されることで、変速比が連続的に変更可能となっている。また、無段変速機5のセカンダリプーリ53と出力軸8との間には、これらの間を選択的に連結するベルト走行用クラッチC2が設けられている。
[出力軸]
出力軸8には、出力ギヤ81が相対回転不能に設けられている。出力ギヤ81は、第2カウンタ軸91に固定されている大径ギヤ92と噛み合わされている。第2カウンタ軸91には、デファレンシャル装置9のデフリングギヤ93と噛み合う小径ギヤ94が設けられている。デファレンシャル装置9は、公知の差動機構によって構成されている。
−車両の走行パターン−
そして、車両100では、第1動力伝達経路を介して動力が伝達されるギヤ走行と、第2動力伝達経路を介して動力が伝達されるベルト走行とを行うことが可能である。たとえば、低車速領域においてギヤ走行が選択され、低車速領域を脱するとベルト走行に切り替えられる。
[ギヤ走行]
ギヤ走行時には、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合されるとともに、後進用ブレーキB1およびベルト走行用クラッチC2が解放される。
具体的には、前進用クラッチC1が係合されることで、遊星歯車装置41のキャリヤ42とサンギヤ44とが連結され、タービン軸31と小径ギヤ61とが一体的に回転する。また、噛合クラッチD1が係合されることで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが連結されて一体的に回転する。したがって、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合されることにより第1動力伝達経路が成立するため、エンジン1から出力されるトルクが、トルクコンバータ3、タービン軸31、前後進切換装置4、ギヤ機構6、アイドラギヤ64および入力ギヤ68を経由して出力軸8に伝達される。出力軸8に伝達されたトルクは、出力ギヤ81、大径ギヤ92、小径ギヤ94およびデファレンシャル装置9を経由して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
[ベルト走行]
ベルト走行時には、ベルト走行用クラッチC2が係合されるとともに、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1および噛合クラッチD1が解放される。
具体的には、ベルト走行用クラッチC2が係合されることで、セカンダリプーリ53と出力軸8とが連結されるので、セカンダリプーリ53と出力軸8とが一体的に回転する。したがって、ベルト走行用クラッチC2が係合されることにより第2動力伝達経路が成立するため、エンジン1から出力されるトルクが、トルクコンバータ3、タービン軸31、入力軸51および無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される。出力軸8に伝達されたトルクは、出力ギヤ81、大径ギヤ92、小径ギヤ94およびデファレンシャル装置9を経由して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
[後進走行]
なお、後進時には、後進用ブレーキB1および噛合クラッチD1が係合されるとともに、前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2が解放される。この場合には、タービン軸31の回転方向とは反対方向に小径ギヤ61が回転されるため、その逆回転が、ギヤ機構6、アイドラギヤ64および入力ギヤ68などを介して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
−第1カウンタ軸のベアリングの潤滑構造−
次に、図1〜図3を参照して、第1カウンタ軸62のベアリング69a〜69cの潤滑構造200について説明する。なお、潤滑構造200を説明する前に、第1カウンタ軸62の周囲の構造について説明する。この潤滑構造200は、トランスアクスル2の無段変速機5を介さない第1動力伝達経路に配置される第1カウンタ軸62のベアリング69a〜69cを潤滑するように構成されている。
第1カウンタ軸62は、図2に示すように、ハウジング21とケース22との間の空間に配置されている。第1カウンタ軸62の一方端部(X2方向側の端部)は、ハウジング21に設けられたベアリング69aにより回転可能に支持され、第1カウンタ軸62の他方端部(X1方向側の端部)は、ケース22に設けられたベアリング69bにより回転可能に支持されている。なお、第1カウンタ軸62は、本発明の「シャフト」の一例である。また、ハウジング21およびケース22は、それぞれ、本発明の「第2ケース」および「第1ケース」の一例であり、ベアリング69aおよび69bは、それぞれ、本発明の「第2ベアリング」および「第1ベアリング」の一例である。
また、第1カウンタ軸62の外周には、ベアリング69aおよび69bの間における一方側に大径ギヤ63が相対回転不能に設けられ、ベアリング69aおよび69bの間における他方側にアイドラギヤ64が相対回転可能に設けられている。アイドラギヤ64と第1カウンタ軸62との間にはベアリング69cが設けられている。アイドラギヤ64と第1カウンタ軸62とは、噛合クラッチD1(図1参照)により選択的に連結されるようになっている。なお、図2では、噛合クラッチD1の図示を省略している。また、アイドラギヤ64は、本発明の「ギヤ」の一例であり、噛合クラッチD1は、本発明の「クラッチ」の一例であり、ベアリング69cは、本発明の「第3ベアリング」の一例である。
そして、第1カウンタ軸62のベアリング69a〜69cの潤滑構造200は、ベアリング69a〜69cに潤滑油を供給するためのチューブ201を備えている。チューブ201は、ケース22に取り付けられ、ベアリング69aおよび69cに潤滑油を供給するための開口部201aと、ベアリング69bに潤滑油を供給するための開口部201bとを有する。なお、チューブ201は、本発明の「第1チューブ」の一例であり、開口部201aおよび201bは、それぞれ、本発明の「第2開口部」および「第1開口部」の一例である。
ここで、第1カウンタ軸62には、軸方向に貫通する貫通孔62aが形成されるとともに、貫通孔62aとベアリング69cとを連通する連通孔62bが形成されている。貫通孔62aは、第1カウンタ軸62の回転中心において軸方向に延びるように形成されている。連通孔62bは、第1カウンタ軸62の径方向に延びるように形成されている。
貫通孔62aの一方端部にはプラグ62cが設けられ、そのプラグ62cにより貫通孔62aの一方端部が閉塞されている。このプラグ62cには、貫通孔62aの内部と空間S1とを連通する連通孔62dが形成されている。空間S1は、ハウジング21と第1カウンタ軸62とベアリング69aとにより区画される空間である。貫通孔62aの他方端部は、開放され、内部にチューブ201の先端が配置されている。
また、ケース22には、第1カウンタ軸62の軸方向の延長線上にチューブ201が挿入される挿入孔221aが形成されている。すなわち、挿入孔221aは、第1カウンタ軸62の軸方向から見て貫通孔62aと対応する位置に配置されている。そして、第1カウンタ軸62が配置される空間の外側からチューブ201が挿入孔221aに挿入され、チューブ201がケース22に取り付けられている。すなわち、チューブ201が挿入孔221aに挿入されることにより、チューブ201がケース22に支持(保持)されている。つまり、チューブ201が挿入孔221aに挿入されることにより、チューブ201がケース22に対して位置決めおよび固定されている。
開口部201aは、チューブ201の先端に設けられ、第1カウンタ軸62の貫通孔62aに臨むように配置されている。すなわち、開口部201aは、貫通孔62a内に配置され、貫通孔62aに潤滑油を供給するように構成されている。貫通孔62a内の潤滑油は、プラグ62cの連通孔62dおよび空間S1を介してベアリング69aに供給されるとともに、連通孔62bを介してベアリング69cに供給されるようになっている。
開口部201bは、チューブ201の先端近傍の周面に設けられ、空間S2に臨むように配置されている。空間S2は、ケース22と第1カウンタ軸62とベアリング69bとにより区画される空間である。すなわち、開口部201bは、第1カウンタ軸62とケース22との間に配置され、空間S2を介してベアリング69bに潤滑油を供給するように構成されている。
チューブ201は、図1に示すように、チューブ202から分岐されている。このチューブ202は、無段変速機5の伝動ベルト54に潤滑油を供給するために設けられている。チューブ202の先端には吐出孔(図示省略)が設けられ、その吐出孔から吐出された潤滑油が伝動ベルト54に供給されるようになっている。なお、チューブ202は、本発明の「第2チューブ」の一例である。
また、チューブ202の基端は、ケース22の壁部221内に設けられた油路(図示省略)に接続され、その油路は、オイルポンプ35に接続されている。チューブ202は、壁部221に取り付けられ、壁部221からカバー23側に延びるように形成されている。すなわち、チューブ202は、車幅方向(左右方向)に延びるように形成されている。このため、チューブ202は、ケース22およびカバー23の間の空間に配置されている。
チューブ202から分岐されるチューブ201は、図3に示すように、壁部221に沿って延びるように形成されるとともに、車幅方向から見た場合にプライマリプーリ52およびセカンダリプーリ53(図1参照)の間に配置されている。このため、チューブ201の大部分は、ケース22およびカバー23(図1参照)の間の空間に配置され、チューブ201の先端側が、図2に示すように、ケース22の挿入孔221aに挿入された状態で取り付けられ、ケース22およびハウジング21の間の空間に導入されている。
このような潤滑構造200では、オイルポンプ35から吐出された潤滑油が油路(図示省略)を介してチューブ202に供給されるとともに、チューブ202から分岐するチューブ201に供給される。そして、チューブ202の吐出孔(図示省略)から吐出される潤滑油は、無段変速機5の伝動ベルト54に供給される。
また、チューブ201の開口部201aから第1カウンタ軸62の貫通孔62aに潤滑油が供給され、貫通孔62a内の潤滑油は、プラグ62cの連通孔62dおよび空間S1を介してベアリング69aに供給されるとともに、連通孔62bを介してベアリング69cに供給される。また、チューブ201の開口部201bから吐出される潤滑油は、空間S2を介してベアリング69bに供給される。
なお、第1カウンタ軸62の貫通孔62aへの潤滑油の供給量は、開口部201aの開口面積などにより設定される。また、ベアリング69aへの潤滑油の供給量は、連通孔62dの開口面積などにより設定され、ベアリング69bへの潤滑油の供給量は、開口部201bの開口面積などにより設定され、ベアリング69cへの潤滑油の供給量は、連通孔62bの開口面積などにより設定される。
−効果−
本実施形態では、上記のように、ベアリング69aおよび69bを潤滑するためのチューブ201をケース22の挿入孔221aに挿入することにより、チューブ201をケース22に取り付けることによって、チューブ201をハウジング21に対して位置決めする必要がないので、組み付け作業の難度が高くなるのを抑制することができる。すなわち、チューブ201をケース22に片持ち状態で固定することによって、チューブをケースおよびハウジングに両持ち状態で固定する場合に比べて、組み付け作業の難度が高くなるのを抑制することができる。
また、チューブ201を用いてベアリング69aおよび69bに潤滑油を供給することによって、ベアリングに潤滑油を供給するための油路をケースやハウジングに形成する場合に比べて、ケース22やハウジング21の構造を簡素化するとともに、ケースやハウジングに油路を形成する際に用いられるプラグなどの部品点数を削減することができる。
また、本実施形態では、連通孔62bを形成することによって、第1カウンタ軸62を回転可能に支持するベアリング69aおよび69bに加えて、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64との間に設けられたベアリング69cを潤滑することができる。
また、本実施形態では、無段変速機5の伝動ベルト54に潤滑油を供給するためのチューブ202からチューブ201が分岐されることによって、チューブ201に潤滑油を供給するための専用の油路を設ける必要がないので、部品点数の増加を抑制することができる。
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、本実施形態では、車両100がFF(フロントエンジンフロントドライブ)方式である例を示したが、これに限らず、車両がFR(フロントエンジンリアドライブ)方式または4WD方式などであってもよい。
また、本実施形態では、エンジン1として多気筒ガソリンエンジンが設けられる例を示したが、これに限らず、ディーゼルエンジンなどの他のエンジンが設けられていてもよい。
また、本実施形態において、開口部201aから貫通孔62aに供給された潤滑油の一部が、空間S2に供給されていてもよい。同様に、開口部201bから空間S2に供給された潤滑油の一部が、貫通孔62aに供給されていてもよい。
また、本実施形態では、ベアリング69a〜69cに潤滑油を供給するためのチューブ201が、伝動ベルト54に潤滑油を供給するためのチューブ202から分岐される例を示したが、これに限らず、ベアリングに潤滑油を供給するためのチューブがその他の潤滑油の供給源に接続されていてもよい。
また、本実施形態では、トランスアクスル2の無段変速機5を介さない第1動力伝達経路の第1カウンタ軸62のベアリング69a〜69cを潤滑する潤滑構造200に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、その他のシャフトのベアリングを潤滑する潤滑構造に本発明を適用してもよい。
また、本実施形態では、第1カウンタ軸62にベアリング69cを介してアイドラギヤ64が設けられ、そのベアリング69cを潤滑する潤滑構造200に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、シャフトを回転可能に支持するベアリングのみを潤滑する潤滑構造に本発明を適用してもよい。
本発明は、第1ケースおよび第2ケースの間の空間に配置されたシャフトを、第1ケースに設けられた第1ベアリングと第2ケースに設けられた第2ベアリングとにより回転可能に支持する動力伝達装置における第1ベアリングおよび第2ベアリングを潤滑する動力伝達装置の潤滑構造に利用することができる。
2 トランスアクスル(動力伝達装置)
5 無段変速機
21 ハウジング(第2ケース)
22 ケース(第1ケース)
54 伝動ベルト
62 第1カウンタ軸(シャフト)
62a 貫通孔
64 アイドラギヤ(ギヤ)
69a ベアリング(第2ベアリング)
69b ベアリング(第1ベアリング)
69c ベアリング(第3ベアリング)
200 潤滑構造
201 チューブ(第1チューブ)
201a 開口部(第2開口部)
201b 開口部(第1開口部)
202 チューブ(第2チューブ)
221a 挿入孔
D1 噛合クラッチ(クラッチ)

Claims (4)

  1. 第1ケースおよび第2ケースの間の空間に配置されたシャフトを、前記第1ケースに設けられた第1ベアリングと前記第2ケースに設けられた第2ベアリングとにより回転可能に支持する動力伝達装置における前記第1ベアリングおよび前記第2ベアリングを潤滑する動力伝達装置の潤滑構造であって、
    前記第1ベアリングおよび前記第2ベアリングに潤滑油を供給するための第1チューブを備え、
    前記シャフトには、軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
    前記第1ケースには、前記第1チューブが挿入される挿入孔が貫通するように形成され、
    前記第1チューブは、前記挿入孔に挿入された状態で前記第1ケースに取り付けられ、前記第2ケースと離間しており、かつ、前記第1ベアリングに潤滑油を供給するための第1開口部と、前記シャフトの貫通孔を介して前記第2ベアリングに潤滑油を供給するための第2開口部とを有することを特徴とする動力伝達装置の潤滑構造。
  2. 請求項1に記載の動力伝達装置の潤滑構造において、
    前記シャフトには、第3ベアリングを介してギヤが相対回転可能に設けられるとともに、前記ギヤと前記シャフトとを選択的に連結するクラッチが設けられ、
    前記第1チューブの第2開口部からの潤滑油が前記第3ベアリングに供給されるように構成されていることを特徴とする動力伝達装置の潤滑構造。
  3. 請求項1または2に記載の動力伝達装置の潤滑構造において、
    前記動力伝達装置は、無段変速機を備え、前記無段変速機の伝動ベルトに潤滑油を供給するための第2チューブが設けられ、
    前記第1チューブは、前記第2チューブから分岐されていることを特徴とする動力伝達装置の潤滑構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の動力伝達装置の潤滑構造において、
    前記動力伝達装置は、無段変速機を介さない第1動力伝達経路と、前記無段変速機を介した第2動力伝達経路とが並列に設けられ、
    前記シャフトは、前記第1動力伝達経路に配置されていることを特徴とする動力伝達装置の潤滑構造。
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