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JP6631001B2 - 刺激値直読型の測色計 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の等色関数の各々に対応する測色値を測定する刺激値直読型の測色計に関する。
国際照明委員会(CIE)において1931年に採択されたXYZ表色系の等色関数(以下では「CIE1931XYZ等色関数」という。)は、客観的な数値で表現された色の指標を求めるための色評価関数の一種である。CIE1931XYZ等色関数は、ディスプレイ、ランプ等の色を測定する場合の標準的な色評価関数として長期間に渡って採用されてきた。特許文献1は、その一例である。
しかし、CIE1931XYZ等色関数が色評価関数として選択された場合に得られる測色値は、特許文献2に記載されているように、実際の人間の目視感と必ずしも一致しない。このため、CIE1931XYZ等色関数を修正した等色関数(以下では「修正等色関数」という。)が提案されている。例えば、Vos and Judd(1978)修正等色関数、TR-170-1修正等色関数、Stockman and Sharpe(1998)修正等色関数等が提案されている。修正等色関数が選択された場合に得られる測色値は、CIE1931XYZ等色関数が選択された場合に得られる測色値と比較して、実際の人間の目視感とより一致する。
特開平11−6766号公報 特表2011−517783号公報
上記のように、修正等色関数が選択された場合に得られる測色値は、CIE1931XYZ等色関数が選択された場合に得られる測色値と比較して、実際の人間の目視感とより一致する。しかし、CIE1931XYZ等色関数は、長期間にわたって標準的な色評価関数の地位を占めてきたため、過去の測定データーとの比較等のために、CIE1931XYZ等色関数が選択された場合の測色値を測定することが望まれる場合も多い。このため、CIE1931XYZ等色関数が選択された場合の測色値及び修正等色関数が選択された場合の測色値の両方を一台の測色計で測定できることが望ましい。
CIE1931XYZ等色関数が選択された場合の測色値及び修正等色関数が選択された場合の測色値の両方を一台の測色計で測定するためには、測色の方式を分光測色方式とするか、又は、測色の方式を刺激値直読方式としCIE1931XYZ等色関数に対応する測色光学系及び修正等色関数に対応する測色光学系の両方を設ければよい。しかし、これらは、測色計を複雑にする。
この問題は、一台の測色計によりCIE1931XYZ等色関数及び修正等色関数の各々に対応する測色値を測定する場合に限らず、一台の測色計により複数の等色関数の各々に対応する測色値を測定する場合に一般に生じる。
発明の詳細な説明に記載された発明は、上記の問題を解決することを目的とする。発明の詳細な説明に記載された発明が解決しようとする課題は、簡潔な構成を備える一台の刺激値直読型の測色計により複数の等色関数の各々に対応する測色値を測定することである。
複数の異なる被測定物に対し、第1の等色関数と第1の等色関数とは異なる第2の等色関数各々に対応する測色値を測定する刺激値直読型の測色計において、測色光学系群は、1枚の補正色フィルターが非補正位置に配置された場合に、補正色フィルターを透過しない光線束を受光し、第1の等色関数に近似した分光応答度群を有し、被測定光の分光強度に応じた強度を有する第1の信号群を出力し、1枚の補正色フィルターが補正位置に配置された場合に、補正色フィルターを透過した光線束を受光し、第2の等色関数に近似した分光応答度群を有し、被測定光の分光強度に応じた強度を有する第2の信号群をそれぞれ出力する。導出機構は、第1の等色関数が選択された場合の測色値を第1の信号群から導出し、第2の等色関数が選択された場合の測色値を第2の信号群から導出する。補正色フィルターの分光透過率は、第2の等色関数を第1の等色関数で除した値である。
簡潔な構成を備える一台の刺激値直読型の測色計により複数の等色関数の各々に対応する測色値が測定される。
これらの及びこれら以外の発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の発明の詳細な説明によってより明白となる。
CIE1931XYZ等色関数を示すグラフである。 Vos and Judd(1978)修正等色関数及びCIE1931XYZ等色関数を示すグラフである。 TR-170-1修正等色関数及びCIE1931XYZ等色関数を示すグラフである。 色彩輝度計の模式図である。 測定プローブの光学系の模式図である。 測定プローブの電気系及び計測器本体の模式図である。 色フィルターの分光透過率等を示すグラフである。 補正色フィルターの分光透過率を示すグラフである。 補正色フィルターの分光透過率をVos and Judd修正等色関数に乗じたもの及びCIE1931XYZ等色関数を示すグラフである。 等色関数Bを等色関数Aで除した商を示すグラフである。 色度の演算アルゴリズムを説明するための図である。 色度の測定の流れを示すフローチャートである。 照度計の模式図である。 白色LEDが発する光の分光強度を個体ごとに示すグラフである。
1 等色関数
この実施形態の色彩輝度計は、CIE1931XYZ等色関数が色評価関数として選択された場合の測色値及び修正等色関数が色評価関数として選択された場合の測色値の両方を測定できる。下記の説明においては、色彩輝度計について説明するのに先立って、CIE1931XYZ等色関数及び修正等色関数について説明する。
2 CIE1931XYZ等色関数
図1のグラフは、CIE1931XYZ等色関数を示す。
図1に示されるように、CIE1931XYZ等色関数は、x成分xbar(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)を有する。CIE1931XYZ等色関数のx成分xbar(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)は、波長lambdaの関数である。CIE1931XYZ等色関数のx成分xbar(lambda)は、442nm付近及び599nm付近にピークを有する。CIE1931XYZ等色関数のy成分ybar(lambda)は、555nm付近にピークを有する。CIE1931XYZ等色関数のz成分zbar(lambda)は、446nm付近にピークを有する。CIE1931XYZ等色関数のx成分xbar(lambda)は、短波長側xbar1(lambda)及び長波長側xbar2(lambda)に分割できる。短波長側xbar1(lambda)は、x成分xbar(lambda)の短波長側のピークを含むが長波長側のピークを含まない波長範囲の部分であり、例えば500nm以下の波長範囲の部分である。長波長側xbar2(lambda)は、x成分xbar(lambda)のうちの長波長側のピークを含むが短波長側のピークを含まない波長範囲の部分であり、例えば500nm以上の波長範囲の部分である。短波長側xbar1(lambda)と長波長側xbar2(lambda)との境界は、例えば490nm以上510nm以下である。
3 修正等色関数
修正等色関数は、CIE1931XYZ等色関数と同様に、x成分xbar(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)を有する。修正等色関数のx成分xbar(lambda)は、CIE1931XYZ等色関数のそれと同様に、短波長側xbar1(lambda)及び長波長側xbar2(lambda)に分割できる。
4 CIE1931XYZ等色関数と修正等色関数との比較
修正等色関数は、500nm以下の波長範囲において、特に400nmから500nmまでの波長範囲において、CIE1931XYZ等色関数と顕著に相違するが、500nm以上の波長範囲において、CIE1931XYZ等色関数と顕著に相違しない。
このため、500nm以下の波長範囲において大きな相対強度を持つ、修正等色関数のx成分xbar(lambda)の短波長側xbar1(lambda)は、CIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違する。また、500nm以下の波長範囲において大きな相対強度を持つ、修正等色関数のz成分zbar(lambda)は、CIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違する。
しかし、500nm以下の波長範囲において大きな値を持たない、修正等色関数のx成分xbar(lambda)の長波長側xbar2(lambda)は、CIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違しない。また、500nm以下の波長範囲において大きな値を持たない、修正等色関数のy成分ybar(lambda)は、CIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違しない。
Vos and Judd(1978)修正等色関数及びTR-170-1修正等色関数を例にこれらのことを説明する。
図2のグラフは、Vos and Judd(1978)修正等色関数及びCIE1931XYZ等色関数を示す。図3のグラフは、TR-170-1修正等色関数及びCIE1931XYZ等色関数を示す。
図2に示されるように、Vos and Judd(1978)修正等色関数のx成分xbar(lambda)のうちの380nmから500nmまでの波長範囲の部分xbar1(lambda)はCIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違し、Vos and Judd(1978)修正等色関数のz成分zbar(lambda)はCIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違する。
しかし、図2に示されるように、Vos and Judd(1978)修正等色関数のx成分xbar(lambda)のうちの500nmから780nmまでの波長領域の部分xbar2(lambda)はCIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違せず、Vos and Judd(1978)修正等色関数のy成分ybar(lambda)はCIE1931XYZ等色関数のそれと顕著に相違しない。
図3に示されるように、TR-170-1修正等色関数についても同様のことがいえる。
5 測色値の導出に用いる部分
下記の説明においては、等色関数A及びBの一方がCIE1931XYZ等色関数であり、等色関数A及びBの他方が修正等色関数であるとする。下記の説明においては、等色関数Aが選択された場合の測色値を導出するために必要な第1の部分、第2の部分及び第3の部分としてそれぞれx成分xbar(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)が等色関数Aから抽出され、等色関数Bが選択された場合の測色値を導出するために必要な第4の部分、第5の部分及び第6の部分としてそれぞれx成分xbar(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)が等色関数Bから抽出される。等色関数Aが選択された場合の測色値を第1の部分、第2の部分及び第3の部分から導出可能であり、等色関数Bが選択された場合の測色値を第4の部分、第5の部分及び第6の部分から導出可能である限り、等色関数Aからの第1の部分、第2の部分及び第3の部分の抽出箇所が変更されてもよく、等色関数Bからの第4の部分、第5の部分及び第6の部分の抽出箇所が変更されてもよい。例えば、第1の部分、第2の部分及び第3の部分としてそれぞれx成分xbar(lambda)の長波長側xbar2(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)が等色関数Aから抽出され、第4の部分、第5の部分及び第6の部分としてそれぞれx成分xbar(lambda)の長波長側xbar2(lambda)、y成分ybar(lambda)及びz成分zbar(lambda)が等色関数Bから抽出されてもよい。x成分xbar(lambda)に代えてx成分xbar(lambda)の長波長側xbar2(lambda)を用いることができるのは、x成分xbar(lambda)の短波長側xbar1(lambda)はz成分zbar(lambda)の係数倍により近似可能であるためである。
6 色彩輝度計
図4の模式図は、この実施形態の色彩輝度計1000を示す。
色彩輝度計1000は、液晶ディスプレイの表示面の色を測定する。色彩輝度計1000が液晶ディスプレイ以外のフラットパネルディスプレイの表示面の色を測定してもよい。色彩輝度計1000がフラットパネルディスプレイ以外の発光物の色を測定してもよい。色彩輝度計1000が非発光物の色を測定してもよい。
色彩輝度計1000は、Yxy表色系における輝度及び色度を測定する。色彩輝度計1000が、Yxy表色系における輝度及び色度に代えて、又は、Yxy表色系における輝度及び色度に加えて、他の測色値を測定してもよい。例えば、色彩輝度計1000が、L*a*b*表色系における明度指数及びクロマティクネス指数、L*C*h表色系における明度指数、彩度及び色相角、マンセル表色系における色相、明度及び彩度、L*u*v*表色系における明度指数及びクロマティクネス指数、XYZ表色系における刺激値、RGB表色系における刺激値、色温度等を測定してもよい。色彩輝度計1000が色差を測定してもよい。輝度の測定が省略されてもよい。
測定の対象、測定される測色値、測定の精度等によっては、装置が色彩輝度計以外の名称で呼ばれる場合がある。例えば、装置が色彩計、色彩照度計、カラーリーダー等と呼ばれる場合がある。この出願書類においては、測色値を測定する装置が測色計と総称される。
色彩輝度計1000は、刺激値直読方式により測色値を測定する刺激値直読型の測色計の一種である。
図4に示されるように、色彩輝度計1000は、測定プローブ1010及び計測器本体1011を備える。
測定プローブ1010は、測定が行われる場合に、液晶ディスプレイ1020の表示面1030の前方に測定姿勢で配置される。測定プローブ1010がそのように配置された場合は、測定プローブ1010が表示面1030に対向し、表示面1030が発光する被測定光が測定プローブ1010に受光される。
計測器本体1011は、操作が行われたことを検出した場合に、検出した操作に応じた処理を測定プローブ1010に行わせるための制御信号を測定プローブ1010へ送信する。測定プローブ1010は、制御信号を受信した場合に、制御信号にしたがって処理を行い、被測定光のX成分、Y成分及びZ成分の強度を検出し、被測定光のX成分、Y成分及びZ成分の強度をそれぞれ表現する1次信号値V1(X),V1(Y)及びV1(Z)を計測器本体1011へ出力する。計測器本体1011は、1次信号値V1(X),V1(Y)及びV1(Z)が入力された場合に、1次信号値V1(X),V1(Y)及びV1(Z)から色度x及びyを導出し、色度x及びyを表示する。測定プローブ1010が計測器本体1011の機能の全部又は一部を担ってもよい。計測器本体1011が測定プローブ1010の機能の一部を担ってもよい。測定プローブ1010が計測器本体1011の機能の全部を担う場合は、計測器本体1011が省略され測定プローブ1010がスタンドアローンとなってもよい。測定プローブ1010は、測定ヘッド、センサーヘッド等と呼ばれる場合もある。
7 測定プローブ
図5の模式図は、測定プローブ1010の光学系を示す。図6の模式図は、測定プローブ1010の電気系及び計測器本体1011を示す。
図5及び図6に示されるように、測定プローブ1010は、補正色フィルター1040、切り替え機構1041、対物光学系1042、分岐光学系1043、測色光学系群1044、信号処理回路1045等を備える。切り替え機構1041は、受信した切り替え信号にしたがって、補正色フィルター1040を非補正位置1050又は補正位置1051に配置する。切り替え機構1041は、補正色フィルター1040を移動させるのに必要な駆動力を発生するモーター、アクチュエーター等の駆動力源を備える自動機構である。切り替え機構1041が当該駆動力源を備えない手動機構であってもよい。
補正色フィルター1040が非補正位置1050に配置された場合は、被測定光1060は、対物光学系1042により収束させられ、分岐光学系1043により三分岐させられ、測色光学系群1044に受光される。これにより、測色光学系群1044は、補正色フィルター1040を透過しない光線束を受光する。補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合は、被測定光1060は、補正色フィルター1040を透過し、対物光学系1042により収束させられ、分岐光学系1043により三分岐させられ、測色光学系群1044に受光される。これにより、測色光学系群1044は、補正色フィルター1040を透過した光線束を受光する。被測定光1060が対物光学系1042により発散させられる場合又はコリメート化される場合もある。被測定光1060が、対物光学系1042及び分岐光学系1043以外の光学系を経由してもよい。対物光学系1042及び分岐光学系1043の両方又は片方が省略される場合もある。
測色光学系群1044は、補正色フィルター1040を透過しない光線束を受光した場合に、信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)を出力し、補正色フィルター1040を透過した光線束を受光した場合に、信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)を出力する。信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。被測定光1060の分光強度と信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Aに近似する。信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。被測定光1060の分光強度と信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Bに近似する。
信号処理回路1045は、信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)が入力された場合に、信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)を処理し、信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)の強度をそれぞれ表現する1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)を得、1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)を計測器本体1011へ送信する。また、信号処理回路1045は、信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)が入力された場合に、信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)を処理し、信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)の強度をそれぞれ表現する1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)を得、1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)を計測器本体1011へ送信する。
8 非補正位置及び補正位置
補正位置1051は、被測定光1060の光路上であって被測定光1060の入射口と対物光学系1042との間にある。このため、被測定光1060は、補正色フィルター1040が補正位置1051にある場合に、被測定光1060の入射口から対物光学系1042までの区間において補正色フィルター1040を透過する。補正位置1051が被測定光1060の光路上にある限り、補正位置1051が変更されてもよい。例えば、補正位置1051が、対物光学系1042と分岐光学系1043との間、分岐光学系1043と測色光学系群1044との間、測色光学系群1044の内部等に変更されてもよい。ただし、分岐光学系1043が備えられる場合は、補正位置1051は望ましくは被測定光1060の入射口と分岐光学系1043との間にある。これにより、補正色フィルター1040の枚数が1枚で足りる。補正色フィルター1040が干渉フィルターである場合は、補正位置1051は望ましくは光線束が平行光線束になる位置にある。これにより、斜入射による波長シフト、偏光の影響等が抑制される。
非補正位置1050は、被測定光1060の光路外にある。非補正位置1050は、色彩輝度計1000の内部であってもよいし色彩輝度計1000の外部であってもよい。したがって、補正色フィルター1040は、非補正位置1050に配置される場合に、色彩輝度計1000の内部において移動させられてもよいし、色彩輝度計1000から取り外されてもよい。補正色フィルター1040が色彩輝度計1000から取り外される場合は、例えば、補正色フィルター1040を補正位置1051に保持するホルダーが色彩輝度計1000の内部に備えられ、補正色フィルター1040をホルダーから取り外すことにより補正色フィルター1040が光路外へ退避させられる。
9 測色光学系群
測色光学系群1044は、測色光学系1070,1071及び1072を備える。測色光学系1070,1071及び1072は、それぞれ集光レンズ群1080,1081及び1082を備え、それぞれ色フィルター1090,1091及び1092を備え、それぞれ受光センサー1100,1101及び1102を備える。
測色光学系群1044が光線束を受光する場合は、測色光学系1070,1071及び1072の各々が、バンドルファイバー等の分岐光学系1043により三分岐された光線束を受光する。測色光学系1070,1071及び1072が受光した光線束は、それぞれ集光レンズ群1080,1081及び1082により集光させられ、それぞれ色フィルター1090,1091及び1092を透過し、それぞれ受光センサー1100,1101及び1102に受光される。集光レンズ群1080,1081及び1082が省略される場合もある。
受光センサー1100は、補正色フィルター1040が非補正位置1050に配置された場合に、補正色フィルター1040を透過しない光線束を受光し、信号S(Xa)を出力し、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合に、補正色フィルター1040を透過した光線束を受光し、信号S(Xb)を出力する。信号S(Xa)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。信号S(Xb)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。被測定光1060の分光強度と信号S(Xa)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Aのx成分xbar(lambda)に近似する。被測定光1060の分光強度と信号S(Xb)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Bのx成分xbar(lambda)に近似する。
受光センサー1101は、補正色フィルター1040が非補正位置1050に配置された場合に、補正色フィルター1040を透過しない光線束を受光し、信号S(Ya)を出力し、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合に、補正色フィルター1040を透過した光線束を受光し、信号S(Yb)を出力する。信号S(Ya)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。信号S(Yb)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。被測定光1060の分光強度と信号S(Ya)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Aのy成分ybar(lambda)に近似する。被測定光1060の分光強度と信号S(Yb)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Bのy成分ybar(lambda)に近似する。
受光センサー1102は、補正色フィルター1040が非補正位置1050に配置された場合に、補正色フィルター1040を透過しない光線束を受光し、信号S(Za)を出力し、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合に、補正色フィルター1040を透過した光線束を受光し、信号S(Zb)を出力する。信号S(Za)強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。信号S(Zb)の強度は、被測定光1060の分光強度に応じる。被測定光1060の分光強度と信号S(Za)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Aのz成分zbar(lambda)に近似する。被測定光1060の分光強度と信号S(Zb)の強度との関係を示す分光応答度は、等色関数Bのz成分zbar(lambda)に近似する。
補正色フィルター1040が非補正位置1050に配置された場合は、測色光学系1070,1071及び1072の全部が補正色フィルター1040を透過しない光線束を受光し、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合は、測色光学系1070,1071及び1072の全部が補正色フィルター1040を透過した光線束を受光する。ただし、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合に、測色光学系1070,1071及び1072の一部のみが補正色フィルター1040を透過した光線束を受光するようにしてもよい。例えば、等色関数Bのy成分が等色関数Aのy成分と顕著に相違しない場合は、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置された場合に、測色光学系1070及び1072のみが補正色フィルター1040を透過した光線束を受光するようにしてもよい。
補正位置1051が測色光学系群1044の内部にある場合は、補正位置1051は、集光レンズ群1080,1081及び1082と色フィルター1090,1091及び1092との間、及び、色フィルター1090,1091及び1092と受光センサー1100,1101及び1102との間のいずれであってもよい。
10 色フィルターの分光透過率
図7のグラフは、色フィルターの分光透過率、対物光学系の分光透過率、分岐光学系の分光透過率、集光レンズ群の分光透過率、受光センサーの分光感度及び全体の分光応答度を示す。
図7に示されるように、対物光学系の透過率、分岐光学系の透過率、集光レンズ群の透過率及び受光センサーの感度は、波長に依存するので、被測定光の分光強度と受光センサーが出力する信号の強度との関係を示す全体の分光応答度は、色フィルターの分光透過率だけでは決まらず、対物光学系の分光透過率、分岐光学系の分光透過率及び集光レンズ群の分光透過率の影響を受ける。例えば、全体の分光応答度は、対物光学系を構成するレンズの分光透過率、分岐光学系を構成する光ファイバーの分光透過率等の影響を受ける。被測定光が対物光学系、分岐光学系及び集光レンズ群以外の光学系を経由する場合は、全体の分光応答度は、当該光学系の分光透過率の影響も受ける。全体の分光応答度がその他の要素の影響を受ける場合もある。例えば、全体の分光応答度が受光センサーの受光面の分光反射率の影響を受ける場合もある。
色フィルター1090の分光透過率は、色フィルター1090の分光透過率そのものが等色関数Aのx成分xbar(lambda)に近似するように選択されるのではなく、全体の分光応答度が等色関数Aのx成分xbar(lambda)に近似するように選択される。すなわち、色フィルター1090の分光透過率は、色彩輝度計1000に入射する被測定光1060の分光強度と測色光学系1070が出力する信号S(Xa)の強度との関係を示す分光応答度が等色関数Aのx成分xbar(lambda)に近似するように選択される。同様に、色フィルター1091の分光透過率は、色彩輝度計1000に入射する被測定光1060の分光強度と測色光学系1071が出力する信号S(Ya)の強度との関係を示す分光応答度が等色関数Aのy成分ybar(lambda)に近似するように選択される。色フィルター1092の分光透過率は、色彩輝度計1000に入射する被測定光1060の分光強度と測色光学系1072が出力する信号S(Za)の強度との関係を示す分光応答度が等色関数Aのz成分ybar(lambda)に近似するように選択される。
色フィルター1090,1091及び1092の各々は、複数の吸収フィルターの積層体であってもよいし、干渉フィルターであってもよいし、吸収フィルターと干渉フィルターとの組み合わせであってもよい。干渉フィルターを構成する干渉膜の材料は、誘電体であり、例えば、酸化物からなる。
11 補正色フィルターの分光透過率
補正色フィルター1040の分光透過率は、色フィルター1090,1091及び1092の分光透過率が上記のように選択された上で、色彩輝度計1000に入射する被測定光1060の分光強度と測色光学系1070が出力する信号S(Xb)の強度との関係を示す分光応答度が等色関数Bのy成分xbar(lambda)に近似し、色彩輝度計1000に入射する被測定光1060の分光強度と測色光学系1071が出力する信号S(Yb)の強度との関係を示す分光応答度が等色関数Bのy成分ybar(lambda)に近似し、色彩輝度計1000に入射する被測定光1060の分光強度と測色光学系1072が出力する信号S(Zb)の強度との関係を示す分光応答度が等色関数Bのz成分ybar(lambda)に近似するように選択される。
図8のグラフは、等色関数AがVos and Judd修正等色関数であり等色関数BがCIE1931XYZ等色関数である場合の補正色フィルター1040の分光透過率を示す。図9のグラフは、図8に示される補正色フィルター1040の分光透過率をVos and Judd修正等色関数に乗じたもの及びCIE1931XYZ等色関数を示す。
図9に示されるように、図8に示される補正色フィルター1040の分光透過率をVos and Judd修正等色関数に乗じたものは、CIE1931XYZ等色関数と大差がない。このことは、図8に示される分光透過率を補正色フィルター1040が有する場合は、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置されたときに測色光学系群1044がCIE1931XYZ等色関数に近似した分光応答度を有することを意味する。
補正色フィルター1040の分光透過率は、基本的に、等色関数Bを等色関数Aで除した商であり、例えば、等色関数Bのx成分xbar(lambda)を等色関数Aのx成分xbar(lambda)で除した第1の商と、等色関数Bのy成分ybar(lambda)を等色関数Aのy成分ybar(lambda)で除した第2の商と、等色関数Bのz成分zbar(lambda)を等色関数Aのz成分zbar(lambda)で除した第3の商と、の平均である。ただし、測色値への影響が相対的に大きい波長範囲のみを考慮し測色値への影響が相対的に小さい波長範囲を考慮しないことも許される。測色値への影響が相対的に大きい成分のみを考慮し測色値への影響が相対的に小さい成分を考慮しないことも許される。例えば、x成分xbar(lambda)の短波長側xbar1(lambda)のピークの大きさと長波長側xbar2(lambda)のピークの大きさとの比が測色値に与える影響が大きいことに鑑みて、上記の第1の商を補正色フィルター1040の分光透過率とすることが考えられる。この他、500nm以下の波長範囲においては上記の第3の商を補正色フィルター1040の分光透過率とし500nm以上の波長範囲においては上記の第1の商及び第2の商の平均を補正色フィルター1040の分光透過率とすることも考えられる。
図10のグラフは、CIE1931XYZ等色関数をVos and Judd修正等色関数で除した商を示す。図8に示される補正色フィルター1040の分光透過率は、図10に示されるCIE1931XYZ等色関数のx成分xbar(lambda)をVos and Judd修正等色関数のx成分xbar(lambda)で除した商であるが、測色値への影響が相対的に小さい長波長側においては当該商にかかわらず一定値をとる。
補正色フィルター1040も、複数の吸収フィルターの積層体であってもよいし、干渉フィルターであってもよいし、吸収フィルターと干渉フィルターとの組み合わせであってもよい。
12 信号処理回路
信号処理回路1045は、図6に示されるように、増幅回路1110,1111及び1112、アナログ/デジタル変換器1120,1121及び1122等を備える。受光センサー1100,1101及び1102並びにアナログ/デジタル変換器1120,1121及び1122の仕様によっては増幅回路1110,1111及び1112が省略される場合もある。
信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)が信号処理回路1045に入力された場合は、増幅回路1110,1111及び1112がそれぞれ信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)を増幅し、アナログ/デジタル変換器1120,1121及び1122がそれぞれ増幅された信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)を1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)へ変換する。信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)が信号処理回路1045に入力された場合は、増幅回路1110,1111及び1112がそれぞれ信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)を増幅し、アナログ/デジタル変換器1120,1121及び1122がそれぞれ増幅された信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)を1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)へ変換する。
13 計測器本体
計測器本体1011は、組み込みコンピューター1130、操作部1131及び表示部1132を備える。組み込みコンピューター1130は、インストールされたファームウェアを実行することにより下記の機能を担う。ソフトウェアを伴わないハードウェアが下記の機能の全部又は一部を担ってもよい。表示部1132は、ディスプレイ、ランプ、プリンタ等である。操作部1131は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチ、ダイヤル等である。
組み込みコンピューター1130は、操作部1131に対して操作が行われたことを検出した場合に、検出した操作に応じた処理を行う。
組み込みコンピューター1130は、1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)を受信した場合に、等色関数Aが選択された場合の色度xa及びyaを1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)から演算し、色度xa及びyaを表示部1132に表示させ、1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)を受信した場合に、等色関数Bが選択された場合の色度xb及びybを1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)から演算し、色度xb及びybを表示部1132に表示させる。組み込みコンピューター1130は、1次信号値V1(Ya)又はV1(Yb)から輝度Lvを演算し、輝度Lvを表示部1132に表示させる。輝度Lvは、望ましくはCIE1931XYZ等色関数のy成分に近似する分光応答度を有する分光測色系により出力される信号の強度を表現する信号値から演算される。
14 色度の演算アルゴリズム
図11のブロック図は、色度の演算アルゴリズムを説明するための図である。
図11に示されるモード設定部1140、校正部1141及び1142並びに色度演算部1143及び1144は、組み込みコンピューター1130が担う処理を示す。
モード設定部1140は、操作部1131に対して行われた操作に基づいてモードを特定し、色彩輝度計1000をモード1又はモード2に設定する。色彩輝度計1000がモード1及びモード2以外のモードを有してもよい。モード設定部1140は、色彩輝度計1000をモード1に設定する場合は、補正色フィルター1040を非補正位置1050に配置する動作を切り替え機構1041に行わせる切り替え信号を切り替え機構1041に送信し、色彩輝度計1000をモード2に設定する場合は、補正色フィルター1040を補正位置1051に配置する動作を切り替え機構1041に行わせる切り替え信号を切り替え機構1041に送信する。補正色フィルター1040が非補正位置1050及び補正位置1051のいずれに配置されているのかを検出し、補正色フィルター1040が非補正位置1050に配置されている場合にモード1を選択し、補正色フィルター1040が補正位置1051に配置されている場合にモード2を選択してもよい。
モード設定部1140が色彩輝度計1000をモード1に設定した場合は、校正部1141及び色度演算部1143により、1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)から色度xa及びyaが演算される。
モード設定部1140が色彩輝度計1000をモード2に設定した場合は、校正部1142及び色度演算部1144により、1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)から色度xb及びybが演算される。
校正部1141は、等色関数Aに対応する校正係数を1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)の各々に乗じることにより1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)を校正し、2次信号値V2(Xa),V2(Ya)及びV2(Za)を得る。これにより、測色光学系1070の分光応答度、測色光学系1071の分光応答度及び測色光学系1072の分光応答度の間の相対関係が、等色関数Aのx成分xbar(lambda)、等色関数Aのy成分ybar(lambda)及び等色関数Aのz成分zbar(lambda)の間の相対関係と一致しない場合でも、等色関数Aのx成分xbar(lambda)、等色関数Aのy成分ybar(lambda)及び等色関数Aのz成分zbar(lambda)の間の相対関係を反映した2次信号値V2(Xa),V2(Ya)及びV2(Za)が得られる。2次信号値V2(Xa),V2(Ya)及びV2(Za)は、刺激値Xa,Ya及びZaとして利用される。
校正部1142は、等色関数Bに対応する校正係数を1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)の各々に乗じることにより1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)を校正し、2次信号値V2(Xb),V2(Yb)及びV2(Zb)を得る。これにより、測色光学系1070の分光応答度、測色光学系1071の分光応答度及び測色光学系1072の分光応答度の間の相対関係が、等色関数Bのx成分xbar(lambda)、等色関数Bのy成分ybar(lambda)及び等色関数Bのz成分zbar(lambda)の間の相対関係と一致しない場合でも、等色関数Bのx成分xbar(lambda)、等色関数Bのy成分ybar(lambda)及び等色関数Bのz成分zbar(lambda)の間の相対関係を反映した2次信号値V2(Xb),V2(Yb)及びV2(Zb)が得られる。2次信号値V2(Xb),V2(Yb)及びV2(Zb)は、刺激値Xb,Yb及びZbとして利用される。
校正係数を1次信号値に乗ずること以外により校正が行われてもよい。例えば、増幅回路1110,1111及び1112の増幅率を校正係数に応じて調整することにより校正が行われてもよい。すなわち、デジタル信号値の校正に代えてアナログ信号の校正が行われてもよい。校正部1141及び1142が省略される場合もある。校正部1141及び1142が省略される場合は、1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)が刺激値Xa,Ya及びZaとして利用され、2次信号値V2(Xb),V2(Yb)及びV2(Zb)が刺激値Xb,Yb及びZbとして利用される。
色度演算部1143は、刺激値Xa,Ya及びZaから色度xa及びyaを演算する。
色度演算部1144は、刺激値Xb,Yb及びZbから色度xb及びybを演算する。
信号処理回路1045及び組み込みコンピューター1130は、導出機構1150を構成する。導出機構1150は、全体として、信号S(Xa),S(Ya)及びS(Za)から色度xa及びyaを導出し、信号S(Xb),S(Yb)及びS(Zb)から色度xb及びybを導出する。
15 測定の流れ
図12のフローチャートは、色度の測定の流れを示す。
色彩輝度計1000においては、組み込みコンピューター1130が、測定の開始を指示する操作が操作部1131に対して行われたことを検出した場合に、測定を測定プローブ1010に開始させるための制御信号を測定プローブ1010へ送信する。この制御信号は、測定プローブ1010に測定を開始させる測定トリガーとなる。
図12に示されるように、組み込みコンピューター1130は、ステップ1160において測定トリガーを受信する。
組み込みコンピューター1130は、ステップ1161においてモードを確認し、モードに応じて異なる処理を行う。
組み込みコンピューター1130は、ステップ1161においてモード1が選択されたことを確認した場合に、ステップ1162において補正色フィルター1040を非補正位置1050に配置させ、ステップ1163において1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)を取得する。
組み込みコンピューター1130は、ステップ1162においてモード2が選択されたことを確認した場合に、ステップ1164において補正色フィルター1040を補正位置1051に配置させ、ステップ1165において1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)を取得する。
続いて、組み込みコンピューター1130は、ステップ1166においてモードを確認し、モードに応じて異なる処理を行う。
組み込みコンピューター1130は、ステップ1166においてモード1が選択されたことを確認した場合に、ステップ1167において、等色関数Aに対応する校正係数Aを参照して1次信号値V1(Xa),V1(Ya)及びV1(Za)を校正し2次信号値V2(Xa),V2(Ya)及びV2(Za)を得、ステップ1168において、2次信号値V2(Xa),V2(Ya)及びV2(Za)(刺激値Xa,Ya及びZa)から色度xa及びyaを演算する。
組み込みコンピューター1130は、ステップ1166においてモード2が選択されたことを確認した場合に、ステップ1169において、等色関数Bに対応する校正係数Bを参照して1次信号値V1(Xb),V1(Yb)及びV1(Zb)を校正し2次信号値V2(Xb),V2(Yb)及びV2(Zb)を得、ステップ1170において、2次信号値V2(Xb),V2(Yb)及びV2(Zb)(刺激値Xb,Yb及びZb)から色度xb及びybを演算する。
組み込みコンピューター1130は、ステップ1171において演算した色度を表示する。
16 照度計における採用例
上記の補正色フィルター1040と同様の補正色フィルターは、測色計の一種である照度計においても採用される。
図13の模式図は、照度計2000を示す。
図13に示されるように、照度計2000においては、補正色フィルター2010が非補正位置2020に配置された場合は、光源2030から到来した被測定光2040が、対物光学系である拡散板2011により拡散させられ、測色光学系群2012に受光され、補正色フィルター2010が補正位置2021に配置された場合は、光源2030から到来した被測定光2040が、拡散板2011により拡散させられ、補正色フィルター2010を透過し、測色光学系群2012に受光される。
17 分光測色方式に対する刺激値直読方式の利点
測色の方式は、分光測色方式及び刺激値直読方式に大別される。
分光測色方式により測色が行われる場合は、回折格子等の分光素子により被測定光が分光され、多数の受光センサーからなる受光センサーアレイにより各波長成分の強度が検出され、分光スペクトル及び等色関数から測色値が演算される。分光測色方式によれば、複数の等色関数の各々に対応する測色値が同一の分光スペクトルから演算される。しかし、分光測色方式においては、分光素子、分解能が高く明るいレンズ系等の複雑な光学系が必要になり、多数の受光センサーが必要になり、測色計が大きく高コストになる。
これに対して、刺激値直読方式により測色が行われる場合は、一般的には、3個の受光センサーからなる受光センサー群及び等色関数に近似した分光応答度を受光センサー群に持たせる3個の色フィルターからなる色フィルター群により刺激値が検出され、刺激値から測色値が演算される。刺激値直読方式によれば、複雑な光学系が不要になり、多数の受光センサーが不要になり、測色計が小さく低コストになる。しかし、刺激値直読方式においては、複数の等色関数の各々に対応する測色値を同一の刺激値から演算できない。刺激値直読方式により測色が行われる場合に複数の等色関数の各々に対応する測色値を得るためには、複数の等色関数の各々に対応する色フィルター群が必要になる。したがって、2個の等色関数の各々に対応する測色値を得る場合に、2個の色フィルター群が必要になり、6個の色フィルターが必要になる。
これに対して、この実施形態が提供する改良された刺激値直読方式においては、2個の等色関数の各々に対応する測色値を得る場合に、4個の色フィルターがあれば足りる。
したがって、この実施形態が提供する改良された刺激値直読方式によれば、簡潔な構成を備える一台の刺激値直読型の測色計により複数の等色関数の各々に対応する測色値が測定される。
18 特に適する用途
白色発光ダイオード(LED)を光源とする装置が広く普及している。例えば、白色LEDを光源とする照明器具、液晶ディスプレイ等が広く普及している。白色LEDとしては、青色LEDが発する青色の励起光で黄色蛍光体を励起し黄色蛍光体に黄色の蛍光を発光させ、青色の励起光成分及び黄色の蛍光成分からなる白色光を得るものが多く採用されている。
当該白色LEDが発する光の色評価においては、励起光成分が属する400nmから500nmまでの波長範囲における測定の精度が重要である。その理由を説明する。
図14は、白色LEDが発する光の分光強度を個体ごとに示すグラフである。
一般的にいって、図14に示されるように、蛍光成分の分光強度は相対的に安定であるのに対して、励起光成分の分光強度は相対的に不安定である。励起光成分の分光強度は、ピーク波長については10nm程度の個体差を有し、ピーク強度については10%程度の個体差を有する。加えて、励起光成分の分光強度のピーク波長は、同一の個体であっても、温度により2nm程度変動する。
また、蛍光成分の分光強度のピークは相対的に緩やかであるのに対して、励起光成分の分光強度のピークは相対的に急峻である。
これらのことから、白色LEDが発する光の色評価においては、励起光成分が属する400nmから500nmまでの波長範囲における測定の精度が測色値に与える影響、特に、刺激値X,Y及びZのうちのZに与える影響が大きい。
このため、白色LEDが発する光の色評価においては、等色関数のz成分の選択が重要であり、人間の目視感に一致するz成分を有する修正等色関数に対応した測色値を得られるようにすることへの要望が強い。
一方で、過去の測定結果と比較を行う場合等のために、CIE1931XYZ等色関数に対応した測色値を得られるようにすることへの要望が強い。
CIE1931XYZ等色関数が選択された場合の測色値及び修正等色関数が選択された場合の測色値の両方を測定できる色彩輝度計1000は、これらの要望に応えることができ、白色LEDが発する光の色評価に特に適する。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。したがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。
1000 色彩輝度計
1010 測定プローブ
1011 計測器本体

Claims (9)

  1. 複数の異なる被測定物に対し、第1の等色関数と第1の等色関数とは異なる第2の等色関数各々に対応する測色値を測定する刺激値直読型の測色計であって、
    1枚の補正色フィルターと、
    前記補正色フィルターを非補正位置又は補正位置に配置するための切り替え機構と、
    第1の測色光学系、第2の測色光学系及び第3の測色光学系を備え、前記補正色フィルターが前記非補正位置に配置された場合に、前記第1の測色光学系、前記第2の測色光学系及び前記第3の測色光学系が、前記補正色フィルターを透過しない光線束を受光し、第1の等色関数の第1の部分、第2の部分及び第3の部分に近似した分光応答度をそれぞれ有し、被測定光の分光強度に応じた第1の信号、第2の信号及び第3の信号をそれぞれ出力し、前記補正色フィルターが前記補正位置に配置された場合に、前記第1の測色光学系、前記第2の測色光学系及び前記第3の測色光学系の全部又は一部が、前記補正色フィルターを透過した光線束を受光し、前記第1の測色光学系、前記第2の測色光学系及び前記第3の測色光学系が、第2の等色関数の第4の部分、第5の部分及び第6の部分に近似した分光応答度をそれぞれ有し、被測定光の分光強度に応じた第4の信号、第5の信号及び第6の信号をそれぞれ出力する測色光学系群と、
    前記第1の等色関数が選択された場合の第1の測色値を前記第1の信号、前記第2の信号及び前記第3の信号から導出し、前記第2の等色関数が選択された場合の第2の測色値を前記第4の信号、前記第5の信号及び前記第6の信号から導出する導出機構と、
    を備え、
    前記補正色フィルターの分光透過率は、第2の等色関数を第1の等色関数で除した値である刺激値直読型の測色計。
  2. 前記補正色フィルターが前記補正位置に配置される場合に、前記第1の測色光学系、前記第2の測色光学系及び前記第3の測色光学系の全部が、前記補正色フィルターを透過した光線束を受光する
    請求項1の刺激値直読型の測色計。
  3. 前記第1の測色光学系は、
    第1の分光透過率を有する第1の色フィルターと、
    前記第1の色フィルターを透過した光線束を受光し前記第1の信号を出力する第1の受光センサーと、
    を備え、
    前記第2の測色光学系は、
    第2の分光透過率を有する第2の色フィルターと、
    前記第2の色フィルターを透過した光線束を受光し前記第2の信号を出力する第2の受光センサーと、
    を備え、
    前記第3の測色光学系は、
    第3の分光応答度を有する第3の色フィルターと、
    前記第3の色フィルターを透過した光線束を受光し前記第3の信号を出力する第3の受光センサーと、
    を備える請求項1又は2の刺激値直読型の測色計。
  4. 前記切り替え機構が、前記補正色フィルターを移動させるのに必要な駆動力を発生する駆動力源を備える自動機構又は当該駆動力源を備えない手動機構である
    請求項1から3までのいずれかの刺激値直読型の測色計。
  5. 前記導出機構は、
    前記第1の信号、前記第2の信号、前記第3の信号、前記第4の信号、前記第5の信号及び前記第6の信号を処理し、前記第1の信号、前記第2の信号、前記第3の信号、前記第4の信号、前記第5の信号及び前記第6の信号の強度をそれぞれ表現する第1の1次信号値、第2の1次信号値、第3の1次信号値、第4の1次信号値、第5の1次信号値及び第6の1次信号値を得る信号処理回路と、
    前記第1の等色関数に対応する校正係数を乗ずることにより前記第1の1次信号値、前記第2の1次信号値及び前記第3の1次信号値を校正し第1の2次信号値、第2の2次信号値及び第3の2次信号値を得る第1の校正部と、
    前記第2の等色関数に対応する校正係数を乗ずることにより前記第4の1次信号値、前記第5の1次信号値及び前記第6の1次信号値を校正し第4の2次信号値、第5の2次信号値及び第6の2次信号値を得る第2の校正部と、
    前記第1の2次信号値、前記第2の2次信号値及び前記第3の2次信号値から前記第1の測色値を演算する第1の測色値演算部と、
    前記第4の2次信号値、前記第5の2次信号値及び前記第6の2次信号値から前記第2の測色値を演算する第2の測色値演算部と、
    を備える請求項1から4までのいずれかの刺激値直読型の測色計。
  6. 前記補正色フィルターが色吸収フィルター、干渉膜フィルター又は色吸収フィルターと干渉膜フィルターとの組み合わせである
    請求項1から5までのいずれかの刺激値直読型の測色計。
  7. 前記第1の部分が前記第1の等色関数のx成分であり、
    前記第2の部分が前記第1の等色関数のy成分であり、
    前記第3の部分が前記第1の等色関数のz成分であり、
    前記第4の部分が前記第2の等色関数のx成分であり、
    前記第5の部分が前記第2の等色関数のy成分であり、
    前記第6の部分が前記第2の等色関数のz成分である
    請求項1から6までのいずれかの刺激値直読型の測色計。
  8. 前記第1の等色関数及び前記第2の等色関数の一方が、国際照明委員会において1931年に採択されたXYZ表色系の等色関数であり、前記第1の等色関数及び前記第2の等色関数の他方は国際照明委員会において1931年に採択されたXYZ表色系の等色関数と異なる等色関数であること特徴とする請求項1から7までのいずれかの刺激値直読型の測色計。
  9. 前記第2の等色関数はVos and Judd(1978)修正等色関数あるいはTR-170-1修正等色関数であること特徴とする請求項8の刺激値直読型の測色計。
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