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JP6624012B2 - リチウムイオン二次電池の制御システム - Google Patents

リチウムイオン二次電池の制御システム Download PDF

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Description

この発明は、リチウムイオン二次電池の制御システムに関する。
特開2010−66232号公報(特許文献1)は、リチウムイオン二次電池における析出劣化の発生を判定可能な劣化判定装置を開示する。この劣化判定装置では、リチウムイオン二次電池のOCV(Open Circuit Voltage:開回路電圧)が所定領域にある場合において、SOC及びOCVの変化の特性が新品時の特性から規定量のずれを生じたときに、リチウムイオン二次電池において析出劣化が発生したものと判定される(特許文献1参照)。
特開2010−66232号公報 特開2011−222343号公報 特開2012−195161号公報
特許文献1に記載の劣化判定装置では、リチウムイオン二次電池のOCVの変化からリチウムイオン二次電池の劣化(析出の発生)を判定しているので、基本的には、車両の停止中等の電池入出力がない場合にしかデータを取得することができず、劣化を判定可能なタイミングが限定される。また、上記の劣化判定装置では、OCV算出時におけるリチウムイオン二次電池の温度の違いにより判定結果にばらつきが生じる可能性がある。
それゆえに、この発明の目的は、リチウムイオン二次電池の劣化を判定可能な制御システムにおいて、電池の使用中に劣化判定可能とし、かつ、リチウムイオン二次電池の温度も考慮して精度の高い劣化判定を実現することである。
本開示のリチウムイオン二次電池の制御システムは、リチウムイオン二次電池の温度、電流及び電圧を検出する検出装置と、制御装置とを備える。制御装置は、リチウムイオン二次電池の温度とリチウムイオン二次電池の劣化速度を示す容量低下速度との予め求められた関係を用いて、検出装置により検出された温度からリチウムイオン二次電池の容量を推定する。また、制御装置は、検出装置により検出された電流及び電圧から容量を算出する。そして、制御装置は、電流及び電圧に基づく容量の算出結果が容量の推定結果よりも小さい場合に、リチウムイオン二次電池の使用範囲を第1の範囲から第1の範囲よりも低SOC側の第2の範囲に変更する。制御装置は、リチウムイオン二次電池の容量回復量とリチウム析出量との予め求められた関係を用いて、使用範囲が第2の範囲に変更されたことによる容量回復量からリチウム析出量を推定する。そして、制御装置は、リチウム析出量の推定値が所定値以下である場合に、使用範囲を第2の範囲から第1の範囲に変更し、リチウム析出量の推定値が上記所定値よりも大きい場合に、リチウムイオン二次電池を不使用とする。
この制御システムにおいては、リチウムイオン二次電池の温度を考慮してリチウムイオン二次電池の容量が推定される。そして、その推定結果よりも電流及び電圧に基づく容量の算出結果が小さい場合には、想定を超える特異な劣化が生じているものと判断され、以下の処理が実行される。すなわち、リチウムイオン二次電池の使用範囲が低SOC側に変更され、SOC低下による容量回復量からリチウム析出量が推定される。そして、リチウム析出量の推定結果に基づいて、リチウムイオン二次電池の使用継続又は不使用が判定される。
この制御システムによれば、リチウムイオン二次電池の使用中にリチウム析出量を推定して劣化判定可能であり、かつ、リチウムイオン二次電池の温度を考慮した容量推定値に基づく精度の高い劣化判定を実現することができる。
この発明の実施の形態に従うリチウムイオン二次電池の制御システムが搭載された車両の構成を概略的に示した図である。 ECUにより実行されるセルの劣化判定及びLi析出量推定の処理手順を説明するフローチャートである。 一定の電流が流れたときのセルの電圧変化量とセルの容量値との関係の一例を示した図である。 容量維持率の推定値の算出手順を説明するフローチャートである。 セルの温度とセルの容量劣化速度との関係の一例を示した図である。 セルの容量回復量とLi析出量との関係の一例を示した図である。 一定の電流が流れたときのセルの電圧変化速度とセルの容量値との関係の一例を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、この発明の実施の形態に従うリチウムイオン二次電池の制御システムが搭載された車両1の構成を概略的に示した図である。なお、以下では、車両1がハイブリッド車両である場合について代表的に説明するが、この発明に従う電池システムは、ハイブリッド車両に搭載されるものに限定されず、リチウムイオン二次電池を搭載した車両全般、さらには車両以外の用途にも適用可能である。
図1を参照して、車両1は、組電池10と、監視ユニット20と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」と称する。)30と、モータジェネレータ(以下「MG(Motor Generator)」と称する。)41,42と、エンジン50と、動力分割装置60と、駆動軸70と、駆動輪80と、電子制御装置(以下「ECU(Electronic Control Unit)」と称する。)100とを備える。
エンジン50は、空気と燃料との混合気を燃焼させたときに生じる燃焼エネルギをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギに変換することによって動力を出力する内燃機関である。動力分割装置60は、たとえば、サンギヤ、キャリア、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を含む。動力分割装置60は、エンジン50から出力される動力を、MG41を駆動する動力と、駆動輪80を駆動する動力とに分割する。
MG41,42は、交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG41は、主として、動力分割装置60を経由してエンジン50により駆動される発電機として用いられる。MG41が発電した電力は、PCU30を介してMG42又は組電池10に供給される。
MG42は、主として電動機として動作し、駆動輪80を駆動する。MG42は、組電池10からの電力及びMG41の発電電力の少なくとも一方を受けて駆動され、MG42の駆動力は駆動軸70に伝達される。一方、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、MG42は、発電機として動作して回生発電を行なう。MG42が発電した電力は、PCU30を介して組電池10に供給される。
組電池10は、直列に接続された複数のリチウムイオン二次電池(単セル)を含み、MG41,42を駆動するための電力を蓄える。すなわち、組電池10は、PCU30を通じてMG41,42へ電力を供給することができる。また、組電池10は、MG41,42の発電時にPCU30を通じて発電電力を受けて充電される。
監視ユニット20は、電圧センサ21と、電流センサ22と、温度センサ23とを含む。電圧センサ21は、組電池10のセル毎の電圧Vxを検出する。電流センサ22は、組電池10の充放電電流Ixを検出する。温度センサ23は、組電池10のセル毎の温度Txを検出する。そして、各センサは、検出結果を示す信号をECU100へ出力する。
なお、電圧センサ21及び温度センサ23は、複数(たとえば数個)のセルを監視単位として電圧及び温度をそれぞれ検出してもよい。この場合、電圧については、複数のセルに対する検出値をそのセル数で割ることによって、セル毎の電圧(平均値)を算出することができる。
PCU30は、ECU100からの制御信号に従って、組電池10とMG41,42との間で双方向の電力変換を実行する。PCU30は、MG41,42の状態を別々に制御可能に構成されており、たとえば、MG41を回生(発電)状態にしつつ、MG42を力行状態にすることができる。PCU30は、たとえば、MG41,42に対応して設けられる2つのインバータと、各インバータに供給される直流電圧を組電池10の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))102と、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)とを含んで構成される。ECU100は、各センサから受ける信号並びにメモリ102に記憶された各種プログラム及びマップに基づいてPCU30及びエンジン50を制御することにより、組電池10の充放電を制御する。
ECU100により実行される主要な制御として、ECU100は、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池(以下、適宜「セル」とも称される。)について、車両が停止しているか走行しているかに拘わらず、想定外の劣化(以下「特異劣化」とも称する。)が生じているか否かの判定を行なう。そして、特異劣化が生じているものと判定されると、ECU100は、セルの使用範囲を低SOC側に変更することによってSOCを低下させ、そのSOC低下によるセルの容量回復量からリチウム(Li)析出量を推定する。そして、ECU100は、Li析出量の推定結果に基づいて、セルの使用を継続するか不使用とするかを判定する。
ここで、セルの劣化判定について、セルのOCVの変化からセルの劣化(Li析出の発生)を判定する手法が知られているが、この手法では、基本的には、車両の停止中等の電池入出力がない場合にしかデータを取得することができないので、劣化を判定可能なタイミングが限定される。また、OCV算出時におけるセルの温度の違いにより判定結果にばらつきが生じる可能性がある。
そこで、この実施の形態に従う車両1においては、セルの温度Txを考慮してセルの容量が推定される。そして、その推定結果よりも電流Ix及び電圧Vxに基づく容量の算出結果が小さい場合には、特異劣化が生じているものと判断され、以下の処理が実行される。すなわち、セルの使用範囲が低SOC側に変更され、SOC低下による容量回復量からLi析出量が推定される。そして、Li析出量の推定結果に基づいて、セルの使用継続又は不使用が判定される。これにより、車両1が停止しているか走行しているかに拘わらずLi析出量を推定してセルの劣化判定が可能であり、かつ、温度Txを考慮した容量推定に基づく精度の高い劣化判定を実現することができる。
図2は、ECU100により実行されるセルの劣化判定及びLi析出量推定の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、組電池10を構成するセル毎に実行されるものとするが、組電池10の略中央部や端部等の適宜決定された代表的ないくつかのセルに対して実行されてもよい。そして、このフローチャートに示される処理は、組電池10に略一定の電流Ixが流れたときに、劣化判定の対象セルの各々に対して実行される。
図2を参照して、ECU100は、電流センサ22から電流Ixの検出値を取得する。また、ECU100は、劣化判定の対象セルについての電圧Vxの検出値を電圧センサ21から取得し、電流Ixが流れることによる対象セルの電圧変化量ΔVxを算出する。さらに、ECU100は、略一定の電流Ixが流れた時間tを取得する(ステップS10)。そして、ECU100は、取得された電流Ix、電圧変化量ΔVx、及び時間tに基づいて、対象セルの現在の容量値Ccrntを算出する(ステップS20)。
図3は、一定の電流Ixが流れたときのセルの電圧変化量ΔVxとセルの容量値Ccrntとの関係の一例を示した図である。この図3では、Ix=I1の一定電流がセルに流れるときの電圧変化量ΔVxと容量値Ccrntとの関係が代表的に示されている。
図3を参照して、線L1〜L4は、Ix=I1の一定電流がそれぞれ時間t=t1〜t4(t1<t2<t3<t4)流れたときの電圧変化量ΔVxと容量値Ccrntとの関係を示す。たとえば、Ix=I1の一定電流が時間t=t3流れた場合の対象セルの電圧変化量ΔVxがΔV1であったとき、この対象セルの現在の容量値Ccrntは、線L3に基づいてC1であると求められる。
この図3に示されるような関係が実験等によって電流Ix毎に予め求められ、ECU100のメモリ102にマップとして記憶されている。そして、図2のステップS10において取得された電流Ixに対応するマップが選択され、そのマップを用いて、図2のステップS10において取得された電圧変化量ΔVx及び時間tに基づいて対象セルの現在の容量値Ccrntが求められる。
再び図2を参照して、ECU100は、対象セルの初期状態(たとえば製品出荷前や出荷直後の状態)における容量値を示す初期容量Ciniと、ステップS20において算出された容量値Ccrntとから、対象セルの容量維持率ΔCcrntを算出する(ステップS30)。この容量維持率ΔCcrntは、たとえば、初期容量Ciniに対する現在の容量値Ccrntを百分率で表わした値である。なお、初期容量Ciniは、初期状態において予め求められ、メモリ102に記憶されている。
次いで、ECU100は、対象セルの温度情報に基づく容量維持率の推定値ΔCxを取得する(ステップS40)。この温度情報に基づく容量維持率の推定値ΔCxは、別のサブルーチンにおいて常時算出されている。
図4は、容量維持率の推定値ΔCxの算出手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、劣化判定の対象セル毎に対して、所定時間毎に繰返し実行される。
図4を参照して、ECU100は、劣化判定の対象セルについての温度Txの検出値を温度センサ23から取得する(ステップS210)。次いで、ECU100は、取得された温度Txに基づいて、セルの容量劣化速度β(容量低下速度)を推定する(ステップS220)。
図5は、セルの温度Txとセルの容量劣化速度βとの関係の一例を示した図である。図5において、横軸は温度Txの逆数を示し、縦軸は容量劣化速度βの自然対数値を示す。図示されるように、容量劣化速度βについて、アレニウス側に従う温度依存性が理解される。
このようなセルの温度Txと容量劣化速度βとの関係が実験等によって予め求められ、ECU100のメモリ102にマップとして記憶されている。そして、温度センサ23によって検出される対象セルの温度Txに基づいて、対象セルの容量劣化速度βが推定される。
再び図4を参照して、ECU100は、ステップS220において推定された容量劣化速度βを積算し、その積算値から対象セルの容量維持率の推定値ΔCxを算出する(ステップS230)。上述のように、容量劣化速度βは、容量低下速度であるので、容量劣化速度βの積算値は、対象セルの容量低下量を示す。したがって、対象セルの初期容量Ciniから容量劣化速度βの積算値を減算することによって得られる値を初期容量Ciniで除算することによって、容量維持率の推定値ΔCxを算出することができる。この容量維持率の推定値ΔCxは、対象セルの温度情報(温度Tx)を考慮して算出された値である。
再び図2を参照して、ステップS30において対象セルの電流Ix及び電圧Vx(電圧変化量ΔVx)に基づく現在の容量維持率ΔCcrntが算出され、ステップS40において対象セルの温度情報に基づく容量維持率の推定値ΔCxが取得されると、ECU100は、ステップS30において算出された容量維持率ΔCcrntが、ステップS40において取得された容量維持率推定値ΔCxよりも小さいか否かを判定する(ステップS50)。
容量維持率ΔCcrntが容量維持率推定値ΔCx以上であると判定されると(ステップS50においてNO)、対象セルの劣化状態は想定内と判断され(すなわち特異劣化は生じていないと判断され)、ECU100は、以降の一連の処理を実行することなく処理を終了する。
ステップS50において、容量維持率ΔCcrntが容量維持率推定値ΔCxよりも小さいと判定されると(ステップS50においてYES)、ECU100は、特異劣化が生じているものと判断し、ステップS60以降の処理を実行する。
すなわち、ECU100は、対象セルのSOCを低下させるために、対象セルの使用範囲を、現在の第1の範囲から第1の範囲よりも低SOC側の第2の範囲に変更する(ステップS60)。これにより、対象セルのSOCが低下するところ、ECU100は、対象セルの使用範囲を低SOC側に変更したことに伴なうSOC低下による対象セルの容量回復量ΔCyを算出する(ステップS70)。具体的には、ECU100は、セルの使用範囲を低SOC側に変更したことによるSOC低下を待ち、SOC低下後の対象セルの容量値CcrntをステップS10〜S30と同様の演算によって算出する。そして、ECU100は、SOC低下後の対象セルの容量値Ccrntと、ステップS20において算出されたSOC低下前の容量値Ccrntとの比較結果に基づいて、SOC低下による容量回復量ΔCyを算出する。
次いで、ECU100は、算出された容量回復量ΔCyの大きさからこの対象セルのLi析出量ΔLxを推定する(ステップS80)。
図6は、セルの容量回復量ΔCyとLi析出量ΔLxとの関係の一例を示した図である。図6を参照して、セルの容量回復量ΔCyとLi析出量ΔLxとには、図示されるような相関関係が存在する。このようなセルの容量回復量ΔCyとLi析出量ΔLxとの関係が実験等によって予め求められ、ECU100のメモリ102にマップとして記憶されている。そして、ステップS70において算出された対象セルの容量回復量ΔCyに基づいて、対象セルのLi析出量ΔLxが推定される。
なお、図6において、Li析出量ΔLxのしきい値ΔLthは、Li析出の許容範囲を示す値であり、Li析出量ΔLxがしきい値ΔLth以下の範囲であれば、Li析出は許容範囲とされ、対象セルの使用が継続される。一方、Li析出量ΔLxがしきい値ΔLthを超えると、Li析出は許容範囲を超えていると判断され、対象セルの使用が停止される。
したがって、たとえば、対象セルの容量回復量ΔCyがΔCy1である場合は、Li析出量ΔLxはΔL1と推定され、Li析出は許容範囲と判断されて対象セルの使用が継続される。一方、セルの容量回復量ΔCyがΔCy2である場合は、Li析出量ΔLxはΔL2と推定され、Li析出は許容範囲を超えていると判断されて対象セルの使用が停止される。
再び図2を参照して、ステップS80において対象セルの容量回復量ΔCyの大きさに基づいて対象セルのLi析出量ΔLxが推定されると、ECU100は、Li析出量ΔLxがしきい値ΔLth(図6)以下であるか否かを判定する(ステップS90)。そして、Li析出量ΔLxがしきい値ΔLth以下であると判定されると(ステップS90においてYES)、ECU100は、ステップS60において変更したセルの使用範囲を第2の範囲から第1の範囲に変更する(ステップS100)。すなわち、この場合は、Li析出は許容範囲内と判断され、対象セルの使用範囲が戻されるとともにその対象セルの使用が継続される。
一方、ステップS90においてLi析出量ΔLxがしきい値ΔLthよりも多いと判定されると(ステップS90においてNO)、Li析出は許容範囲を超えていると判断され、ECU100は、対象セルの使用を停止する(ステップS110)。
以上のように、この実施の形態においては、リチウムイオン二次電池(セル)の温度Txを考慮してリチウムイオン二次電池の容量(容量維持率)が推定される。そして、その推定結果よりも電流Ix及び電圧Vxに基づく容量(容量維持率)の算出結果が小さい場合には、想定を超える特異な劣化が生じているものと判断され、以下の処理が実行される。すなわち、セルの使用範囲が低SOC側に変更され、SOC低下によるセルの容量回復量ΔCyからLi析出量が推定される。そして、Li析出量の推定結果に基づいて、セルの使用継続又は不使用が判定される。
このように、この実施の形態によれば、車両1が停止しているか走行しているかに拘わらず電池の使用中にLi析出量を推定して劣化判定可能であり、かつ、電池の温度Txを考慮した容量推定に基づく精度の高い劣化判定を実現することができる。
なお、上記の実施の形態では、図3に示されるように、一定の電流Ixが流れたときのセルの電圧変化量ΔVxとセルの容量値Ccrntとの関係を用いて、対象セルの現在の容量値Ccrntを算出するものとしたが、電流Ixが流れたときの電圧変化の速度から対象セルの現在の容量値Ccrntを算出することも可能である。
図7は、一定の電流Ixが流れたときのセルの電圧変化速度dVxとセルの容量値Ccrntとの関係の一例を示した図である。この図7では、Ix=I1の一定電流がセルに流れるときの電圧変化速度dVxと容量値Ccrntとの関係が代表的に示されている。
図7を参照して、一定電流がセルに流れるときの電圧変化速度dVxと容量値Ccrntとの関係が実験等によって電流Ix毎に予め求められ、ECU100のメモリ102にマップとして記憶されている。そして、対象セルに一定の電流Ixが流れたときに、電流Ixに対応するマップが選択されるとともに電圧Vxの変化の速度が算出され、選択されたマップを用いて、算出された電圧変化速度に基づいて対象セルの現在の容量値Ccrntが求められる。
なお、上記において、監視ユニット20は、この発明における「検出装置」の一実施例に対応し、ECU100は、この発明における「制御装置」の一実施例に対応する。そして、監視ユニット20及びECU100は、この発明における「制御システム」を構成する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 電池システム、10 組電池、20 監視ユニット、21 電圧センサ、22 電流センサ、23 温度センサ、30 PCU、41,42 MG、50 エンジン、60 動力分割装置、70 駆動軸、80 駆動輪、100 ECU、101 CPU、102 メモリ。

Claims (1)

  1. リチウムイオン二次電池の制御システムであって、
    前記リチウムイオン二次電池の温度、電流及び電圧を検出する検出装置と、
    制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記リチウムイオン二次電池の温度と前記リチウムイオン二次電池の劣化速度を示す容量低下速度との予め求められた関係を用いて、前記検出装置により検出された温度から前記リチウムイオン二次電池の容量を推定し、
    前記検出装置により検出された電流及び電圧から前記容量を算出し、
    前記電流及び電圧に基づく前記容量の算出結果が前記容量の推定結果よりも小さい場合に、前記リチウムイオン二次電池の使用範囲を第1の範囲から前記第1の範囲よりも低SOC側の第2の範囲に変更し、
    前記リチウムイオン二次電池の容量回復量とリチウム析出量との予め求められた関係を用いて、前記使用範囲が前記第2の範囲に変更されたことによる前記容量回復量から前記リチウム析出量を推定し、
    前記リチウム析出量の推定値が所定値以下である場合に、前記使用範囲を前記第2の範囲から前記第1の範囲に変更し、
    前記推定値が前記所定値よりも大きい場合に、前記リチウムイオン二次電池を不使用とする、リチウムイオン二次電池の制御システム。
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