本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、大当たり図柄が停止したときに大当たり状態を発生させるパチンコ遊技機(遊技機)1に関する例である。この内容について、図1〜図9を用いて説明する。
図1に例示のパチンコ遊技機1は、始動入賞部12への入賞に応じて大当たり状態(特別遊技状態)の抽選(特図判定)を実行し、抽選結果を表す図柄変動を実行するセブン機である。このパチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、特図判定の当選確率が高くなる高確率状態(確変状態)、図柄変動の時間が短くなる時短状態等が設定されている。
図1のパチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤130Aの表面側に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の左側下部にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する表示装置5を中心として、始動入賞部12、始動入賞部用スルーゲート141、特別入賞部40を含む特別役物4、大入賞口160等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。
始動入賞部12は、表示装置5とアウト孔138との間隙に配置されている。始動入賞部12は、一対の可動羽根を開口部に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成されており、一対の可動羽根が両側に拡がるように動作すると開放状態となる可変入賞口である。
始動入賞部用スルーゲート141は、表示装置5の左側に配設されている。玉を通過させるのみの始動入賞部用スルーゲート141には、賞球の払い出しが設定されていない。始動入賞部用スルーゲート141を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、第1普図判定が実行される。この第1普図判定による普図当選確率は、通常状態では1/30、高確率状態及び時短状態では1/1となっている。第1普図判定で普図当選が発生すると、始動入賞部12が開放状態となる。開放時間は、通常状態では0.2秒、時短状態及び高確率状態では1.5秒×3回となっている。
始動入賞部12は、特図判定(大当たり抽選、特別抽選)の契機となる入賞部(払出3玉)である。始動入賞部12に玉が入賞すると、特図判定の抽選用乱数が抽出され大当たり状態を発生させるか否かの特別抽選である特図判定が実行される。
図1の特別役物4は、遊技領域130を流下する玉が入賞可能な特別入賞部40、この特別入賞部40に玉を誘導する誘導部材43等を備える遊技機用入賞役物であり、大入賞口160の上側に配置されている。特別入賞部40を構成する入賞ポケットの前面には普図表示部405をなすLEDが配置されている。後述する第2普図判定の当否を報知するため普図表示部405は点灯により当選を報知する。
特別役物4は、上方に向けて開口する開口部400を有し、その開口部400は、上方に向けてラッパ状に開口する左右一対のガイド釘199の下端の間隙に対面するように位置している。左右一対のガイド釘199は、表示装置5の右側に打ち込まれた玉を集めるように配置されている。そのため、右打ちされた玉のほぼ全てが、左右一対のガイド釘199により導かれて特別役物4に流入する。なお、特別役物4は、パチンコ遊技機1の遊技性を特徴付ける役物であることから、その構成や動作等については後で詳しく説明する。
図1の大入賞口160は、大当たり状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。大入賞口160は、特別役物4の下側に配置され、特別役物4に一旦、流入した玉が入賞する。横長の大入賞口160には、開閉可能な蓋部材161が設けられている。大入賞口160は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置したとき、閉鎖状態となる。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15玉となっている。
大入賞口160の内部には、入賞した玉が通過するスルーゲート142が設けられている。このスルーゲート142は、特別役物4が備える誘導部材43の切替契機となる誘導部材用のスルーゲート(以下、誘導部材用スルーゲート142)である。誘導部材用スルーゲート142を玉が通過すると、第2普図判定用の抽選用乱数が抽出され、当選確率が1/1である第2普図判定が実行される。第2普図判定による普図当選が発生すると、特別部材4の誘導部材43が誘導位置(第1状態)に切り替わり、特別入賞部40に玉が入賞可能な状態が設定される。
図1の表示装置5は、液晶表示画面520が枠59の内側に配置された表示装置である。表示装置5は、特図判定の結果を報知するための演出用の3桁の数字図柄(1〜9のいずれか)51を液晶表示画面520に表示する。液晶表示画面520の下側に当たる枠59の前面には、それぞれ、4個のLEDが水平方向に配列された特図保留表示部597が配置されている。特図保留表示部597は、始動入賞部12への玉の入賞を契機とした特図保留(保留情報)の表示部である。特図保留表示部597は、LEDの点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
液晶表示画面520の上側に当たる枠59の前面の右側には、普図表示部182及び普図保留表示部183が配置されている。普図表示部182は、上記の第1普図判定の当否の表示部である。普図表示部182は、○の点灯により第1普図判定の普図当選を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。普図保留表示部183は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLEDが連設された表示部である。普図保留表示部183は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、図2を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉を払い出す払出装置372を制御する払出制御回路371、玉の発射装置341を制御する発射制御回路373、遊技演出を制御する演出制御部375、液晶表示画面520を制御する表示制御回路377、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311〜314、入賞部や入賞口などの開放状態等を切り替えるソレノイド323、324、41、42、普図表示部182、普図保留表示部183、特図保留表示部597、外部に各種信号を出力する信号出力部392、電源回路391等が電気的に接続されている。また、演出制御部375には、スピーカ131を駆動するアンプ376や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御回路377が通信可能に接続されている。表示制御回路377には、液晶表示画面520をなす液晶表示部52が電気的に接続されている。
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、始動入賞部12への入賞玉を検出する特図始動センサ313、始動入賞部用スルーゲート141の通過玉を検出する第1普図始動センサ311、誘導部材用スルーゲート142の通過玉を検出する第2普図始動センサ312、大入賞口160への入賞玉を検出する大入賞センサ314等がある。
入賞口等の開放状態を切り替えるソレノイドとしては、始動入賞部12を開放させる電チューソレノイド323、大入賞口160を開放させる大入賞口ソレノイド324のほか、特別役物4を構成する第1及び第2付勢ソレノイド41、42がある。後で詳しく説明する第1及び第2付勢ソレノイド41、42は、特別役物4の誘導部材43の状態を制御するための切替手段を構成している。
払出制御回路371は、始動入賞部12、大入賞口160、特別入賞部40等への玉の入賞が発生したとき、玉を払い出す払出手段の一例である払出装置372を制御し、所定数の玉の払出を実行する。払出制御回路371と払出装置372との組み合わせが、特別入賞部40に玉が入賞した場合に玉の払出(払出数15個)という特典を遊技者に付与する特典付与手段としての機能を実現している。
発射制御回路373は、操作ハンドル15の操作量に応じて、上皿135の玉を発射する発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。発射制御回路373と発射装置341との組み合わせは、予め定められたタイミングで玉を遊技領域130に発射する発射手段としての機能を実現している。なお、遊技領域130に向けて玉を発射する周期は、1分間で約100発、6秒間で約10発となっている。
図2の主回路20は、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない特図判定用の抽選テーブル及び第1及び第2普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
特図判定用の抽選テーブルでは、通常状態及び時短状態での特図当選の当選乱数と、高確率状態での特図当選の当選乱数と、が規定されている。高確率状態での特図当選の当選乱数の数は、通常状態等での特図当選の当選乱数よりも多く設定され、これにより、高確率状態における特図当選の確率が1/50と、通常状態及び時短状態の当選確率1/300よりも高くなっている。なお、特図当選時に高確率状態が発生する確変割合は50%となっている。
第1普図判定用の抽選テーブルでは、通常状態での普図当選の当選乱数と、時短状態及び確変状態での普図当選乱数の当選乱数と、が規定されている。通常状態での普図当選の当選乱数の数よりも、時短状態等での普図当選の当選乱数の方が多く設定され、通常状態での普図当選1/30に対して、時短状態及び確変状態での普図当選の当選確率が1/1となっている。
第2普図判定用の抽選テーブルでは、抽選用乱数として抽出され得る全ての乱数が当選乱数として規定され、これにより第2普図判定の当選確率が1/1となっている。
なお、第2普図判定用の抽選を変更して1/1ではない構成にしても良いし、抽選を行うことなく誘導部材用スルーゲート142を玉が通過した場合に必ず誘導部材43が誘導位置に切り替わる構成にしても良い。
RAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、特図保留エリア241、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。RAM24は、始動入賞部12への始動入賞に応じた特図判定の結果を記憶する後述の記憶手段としての機能を実現している。
特図保留エリア241は、特図判定の結果を表す保留乱数の記憶領域である。普図保留エリア243は、第1普図判定の保留乱数の記憶領域である。特図保留エリア241、普図保留エリア243には、それぞれ4データ分の保留エリアが設定されている。一方、第2普図判定の保留乱数については保留がされない。第2普図判定の当否を報知するための10秒間に亘る普図変動中では、前記誘導部材用スルーゲート142を玉が通過しても全て無効となる。
主回路20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段:始動入賞部12への玉の入賞に応じた特図判定(大当たり抽選)、始動入賞部用スルーゲート141での玉の通過に応じた第1普図判定、誘導部材用スルーゲート142での玉の通過に応じた第2普図判定等の抽選を実行する手段。抽選手段は、対応する抽選用乱数を抽出することで特図判定や普図判定を実行する。
(2)記憶手段:抽選手段による抽選結果である特図判定用の抽選用乱数を、複数である所定の限度数(本例では4つ)を限度として保留乱数(特図保留)として記憶する手段。記憶手段は、始動入賞部12への始動入賞に応じた特図判定用の抽選用乱数を上記特図保留エリア241に特図保留として記憶する。特図保留エリア241では、始動入賞部12に対応する特図保留が限度数である4つを上限として記憶される。なお、上限である4データ分の保留乱数が保留された状態で対応する抽選用乱数が新たに抽出された場合、その抽選用乱数は保留されることなくそのまま消去される。このような抽選用乱数の保留処理は、普図判定についても同様である。
(3)読出手段:特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数を、特図読出エリア245あるいは普図読出エリア246に読み出す手段。読出手段は、特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数である特図保留あるいは普図保留を1つずつ読み出し、保留数を減少させる。
(4)大当たり状態発生手段:図柄変動手段である表示装置5による図柄変動の結果、大当たり図柄が停止した場合に、大当たり状態を発生させる手段。
次に、パチンコ遊技機1の遊技性を特徴付ける要素のひとつである特別役物4について説明する。
図3及び図4に示す特別役物4は、上方に向けてラッパ状に開口する左右一対のガイド釘199(図1参照。)の下端の間隙に対面する開口部400を有すると共に、開口部400に流入した玉が入賞可能な特別入賞部40を備える役物である。
特別役物4では、予め定められた特別入賞部40に向けて玉が流下する第1通路401と、特別入賞部40とは異なる場所に向けて玉が流下する第2通路402と、が設けられている。特別役物4に流入した玉の一部は、特別部材の一例をなす誘導部材43により第1通路401に振り分けられて特別入賞部40に誘導され、それ以外の玉は、玉1つ分の通路幅の第2通路402を経由して特別役物4の下方に流出する。
特別役物4の下方には大入賞口160が位置しており、大入賞口160の開放状態であれば、第2通路402を経由して特別役物4の下方に流下した玉が全て大入賞口160に入賞する。なお、特別役物4の前面及び背板(図5中の符号49)は、透明なプラスチック樹脂材料により形成されており、流入した玉の動きや誘導部材43の切替状態等が遊技者側から視認できるようになっている。なお、図3及び図4中の破線部分(符号41、42の一部)は、遊技者側から視認できない部分を示している。
誘導部材43は、正面形状がV字状をなす玉受け部430を断面円柱状の軸431の外周側に設けた部材である。特別部材の一例をなすこの誘導部材43は、玉が第1通路401を流下して特別入賞部40に入賞可能な第1状態(図3参照。)と、玉が第2通路402を流下するため特別入賞部40に入賞できない第2状態(図4参照。)と、に切り替わり可能である。
誘導部材43の第1状態(図3)は、V字状の玉受け部430の開口方向が上方に向かって位置する状態である。第2状態(図4)は、V字状の玉受け部430の開口方向が左側に向かって位置する状態である。ここで、左側とは、遊技者側から向かって見たときの左側を意味しており、以下の説明における回転方向や左側や右側等の表記は全て遊技者側から向かって見たときの回転方向や側を示している。
誘導部材43が第1状態(図3)のときには、V字状の玉受け部430の開口方向が上方に向けて開口するため、上記の開口部400から特別役物4に流入した玉を受け取り可能である。誘導部材43は、この第1状態の玉受け部430に受け取った玉(図中、破線で示す。)の重心が軸431の軸芯に対して左側に偏芯して位置するように構成されている。このような玉の受信の偏芯に起因して、玉を受け取った玉受け部430には、玉の重さに由来する左回転方向の回転モーメントが作用するようになっている。
誘導部材43が図4の第2状態のときには、開口部400から特別役物4に玉が流入しても玉受け部430により受け取られることがなく、全て右側の第2通路402に振り分けられ、特別入賞部40への入賞が不可能となる。このように本例では、誘導部材43が上記の第2状態にあるときには特別入賞部40への玉の入賞可能性をゼロに設定しているが、これに代えて、第1状態よりも玉が特別入賞部40に入賞しにくい第2状態を採用しても良い。
上記のような誘導部材43の回転動作(切替動作)は、図5のごとく、特別役物4の背面をなす背板49の裏側に立設された円筒状の軸受部490による軸支により実現されている。なお、同図では、背板49の裏側の構成を判り易く表示できるように背板49を塗りで図示しているが、上記のように実際の背板49は透明なプラスチック樹脂材料よりなる透明な板となっている。誘導部材43の軸431は、軸受部490に貫通配置されて先端側が突出し、その突出部分にクランク状をなすように連動部材46が固定されている。この連動部材46は、誘導部材43と連結して設けられ、予め定められた第1位置に移動している場合に誘導部材43が第1状態になり(図3参照。)、第1位置とは異なる第2位置に移動している場合に誘導部材43が第2状態になる様に(図4参照。)、誘導部材43に連動するように構成されている。なお、連動部材46と誘導部材43とを、複数の部材を連結するのではなく、一の部材で一体化した構成にすることも可能である。
連動部材46は、誘導部材43の軸431を内挿固定する軸孔460を設けた基部461と、軸孔460の孔方向に延在するように基部461に固定された連動ピン465と、を組み合わせた部品である。連動部材46は、連動ピン465が誘導部材43の反対側に突出するよう、誘導部材43の軸431の先端側に固定され、これにより誘導部材43の軸431と連動部材46とがクランク状を呈している。この連動ピン465は、後述する切替手段により左右方向に駆動可能であり、この連動ピン465の変位に対して誘導部材43が連動する。
なお、軸受部490の端面、及びこの端面と僅かな隙間を空けて対面する基部461の端面には、同じ磁極(例えばS極同士の組み合わせ)を呈する磁石が配設されている。各磁石は、第1位置と第2位置との中間的な位置に連動部材46が位置するときに反力を生じ、この反力に由来して連動部材46を左回転方向あるいは右回転方向に付勢する回転方向の力を生み出すように配置されている。軸受部490側及び連動部材46側のこのような磁石の配置によれば、上記の第1位置と第2位置との中間的な半端な位置に連動部材46が滞留する状況を未然に回避できると共に、第1位置及び第2位置の連動部材46をその第1位置あるいは第2位置に確実性高く保持できるという効果が発揮される。なお、上記の磁気的な反力は、第1及び第2付勢ソレノイド41、42による駆動力や、玉の重さに由来して誘導部材43に作用する回転モーメント等に比べて小さい力であり、誘導部材43の動作を妨げるほどの力ではない。
特別役物4の背板49の裏側には、図5〜図7のように、予め定められた切替タイミングにおいて誘導部材43を第2状態から第1状態に切り替える切替手段が設けられている。この切替手段は、切替タイミングにおいて、連動部材46を上記の第1位置に移動させることで誘導部材43を第1状態に切り替えるように構成されている。
切替手段は、連動ピン465を挟んだ両側に対向配置された左右一対の電磁ソレノイドである第1付勢ソレノイド(第1付勢部)41及び第2付勢ソレノイド(第2付勢部)42を含めて構成されている。第1及び第2付勢ソレノイド41、42は、いずれも、通電に応じてプランジャ(可動鉄芯)411、421を引き込むプル型のソレノイドである。第1及び第2付勢ソレノイド41、42には、図示を省略するスプリングが収容され、このスプリングによりプランジャ411、421が押し出し方向に付勢されている。そのため、第1及び第2付勢ソレノイド41、42は、非通電のとき、プランジャ411、421が押し出された状態となる。
各プランジャ411、421の先端側には、進退方向に長い長孔410、420が穿設された駆動部413、423が設けられている。第1付勢ソレノイド41及び第2付勢ソレノイド42は、パチンコ遊技機1の奥行き方向、すなわち連動部材46の連動ピン465の軸方向にずらして配置され、それぞれの長孔410、420には連動部材46の連動ピン465が貫通配置されている。
各付勢ソレノイド41、42の長孔410、420に対する連動ピン465の貫通配置構造は、付勢ソレノイド41、42による連動ピン465の位置の規制を緩め、付勢ソレノイド41、42の駆動に依らない連動ピン465の移動を可能にしている。なお、本例の特別役物4では、図6及び図7のごとく、第1及び第2付勢ソレノイド41、42がいずれも非通電状態のとき、長孔410及び長孔420の左右方向の位置が一致するようになっている。
図6のごとく、第1及び第2付勢ソレノイド41、42が非通電状態のときの各長孔410、420の左端の位置が、第1状態の誘導部材43に対応する連動ピン465(連動部材46)の第1位置となっている。また、図7のごとく、第1及び第2付勢ソレノイド41、42が非通電状態のときの各長孔410、420の右端の位置が、第2状態の誘導部材43に対応する連動ピン465(連動部材46)の第2位置となっている。そのため、連動ピン465は、第1及び第2付勢ソレノイド41、42が非通電状態のとき、第1位置にも第2位置にも位置できる。
長孔410は、第1付勢ソレノイド41による駆動によらずに第1位置の連動ピン465(連動部材46)が第2位置に移動する際の通路部となっている。第1状態の誘導部材43を第2状態に変位させるような外的な力が作用したときや、第1位置の連動ピン465を第2位置に移動させようとする第2付勢ソレノイド42による駆動力が作用したとき、通路部としての長孔410により連動ピン465(連動部材46)の移動が許容され、これにより誘導部材43の第2状態への移行が可能になる。
長孔420は、第2付勢ソレノイド42による駆動によらずに第2位置の連動ピン465(連動部材46)が第1位置に移動する際の通路部となっている。第2位置の連動ピン465を第1位置に移動させようとする第1付勢ソレノイド41による駆動力が作用したとき、通路部としての長孔420により連動ピン465(連動部材46)の移動が許容され、これにより誘導部材43の第1状態への移行が可能になる。
次に、パチンコ遊技機1の動作内容について説明する。以下の説明では、まず、パチンコ遊技機1の基本動作を説明し、続いて特別役物4の動作を詳しく説明する。
パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、始動入賞部12等が配置された遊技領域130を流下する。始動入賞部12や大入賞口160等に入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
主回路20は、始動入賞部用スルーゲート141を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から第1普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。主回路20は、この抽選用乱数を第1普図判定用の抽選テーブル(図示略)と照合し、第1普図判定の当否を決定する。第1普図判定に当選したとき、主回路20は、普図表示部182を構成するLEDの点滅動作(普図変動)の後、○を点灯させる。ハズレの場合には、点滅動作の後、×を点灯させる。第1普図判定に当選すると、主回路20は、可動羽根を外側に回動させ、これにより、始動入賞部12が開放されて入賞確率が高められる。
始動入賞部12に玉が流入して始動入賞が発生した場合には、主回路20は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図判定を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を特図保留(保留情報)として記憶する。抽選用乱数は、上限保留数である4つを限度として保留される。始動入賞部12に対応する特図保留の個数は、特図保留表示部597のLEDの点灯個数により表示される。
主回路20は、液晶表示部52による図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でもないとき、特図保留エリア241に記憶された保留乱数を記憶時点(入賞時点)が古いものから順番に1つずつ読み出し、図示しない特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否を判定する。
主回路20が特図判定の当否を判定したとき、液晶表示部52は、液晶表示画面520上で演出用の数字図柄51の所定時間に亘る変動表示を実行した後、左→右→中の順番で停止させて表示された3桁の数字図柄51の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。特図判定の当否としては、大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり状態を発生させる旨の抽選結果、大当たり当選)のほか、ハズレがある。
特図当選の場合には、所定の図柄変動時間(図柄変動の実行時間)に亘る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字図柄51の組み合わせである大当たり図柄が停止表示される。特に、奇数の数字図柄のゾロ目は、確変大当たり状態の契機となる確変大当たり図柄となっており、偶数の数字図柄のゾロ目は、通常大当たり状態の契機となる通常大当たり図柄となっている。
大当たり図柄の停止表示によって特図当選が報知されると、まず、15秒間に亘ってオープニング演出が実行され、その後、大当たり状態が開始される。大当たり状態では、大入賞口160が開放されて玉が入賞可能になるラウンドが繰り返し実行される。なお、主回路20は、大当たり状態の発生中に、その旨を表す大当たり信号を出力する。
大当たり状態の発生中に大入賞口160が開放されるラウンドの繰返し回数は、確変大当たり状態であるか通常大当たり状態であるかによらず15回となっている。大入賞口160に玉が10個入賞するか、30秒経過したときに終了するラウンドが15回繰り返し実行されて大当たり状態が終了する。
確変大当たり状態の終了後には、特図当選の確率が高くなる確変状態が発生する。この確変状態は、通常大当たり状態に対応する通常大当たり当選(通常大当たりの特図当選)に応じて終了し、確変大当たり当選(確変大当たりの特図当選)の場合には、対応する確変大当たり状態の終了後に確変状態が再開されて継続する。通常大当たり状態の終了後には、図柄変動100回転に亘る時短状態が発生し、100回転の図柄変動を消化すると通常状態に復帰する。
次に、以上のようなパチンコ遊技機1の遊技中における特別役物4の動作について、図1及び図6〜図8を参照しながら説明する。
パチンコ遊技機1では、特別役物4の誘導部材43が上記の第2状態から第1状態に切り替わる切替タイミングとして、第2普図判定の当選報知のタイミングが設定されている。第2普図判定の契機は、大入賞口160(図1)の内側に設けられた誘導部材用スルーゲート142の玉通過であるため、大当たり状態の発生前は第2普図判定が実行されることがなく、誘導部材43が上記の第2状態に切り替わっている(図7)。それ故、特別役物4に流入した玉は第2通路402を経由してそのまま下方に流下する。大当たり状態が未発生であれば大入賞口160が閉鎖されており、特別役物4から流下した玉は入賞することなくそのままアウト孔138から排出される。
一方、大当たり状態下の各ラウンドで大入賞口160が開放されると、特別役物4を経由して流下した玉が大入賞口160に入賞するようになる。したがって、大当たり状態の発生中では、特別役物4に玉が流入するよう、表示装置5の右側を狙って玉を発射させる右打ちが有利となる。
図1のごとく大入賞口160の内側には、入賞した玉が通過する可能性がある誘導部材用スルーゲート142が設けられている。大入賞口160に入賞した玉が誘導部材用スルーゲート142を通過すると第2普図判定が実行される。第2普図判定の当選は、特別入賞部40の入賞ポケットに配置された普図表示部405が点滅する10秒間に亘る図柄変動の後、その点灯により報知される。なお、上記の通り第2普図判定の当選確率は1/1となっているので、普図表示部405が点滅による図柄変動を開始すれば、その後必ず点灯により普図当選が報知される。
特別役物4では、第2普図判定の当選報知という切替タイミングにおいて、第1付勢部をなす第1付勢ソレノイド41が通電状態となり、連動部材46が第1位置に位置するように第1位置に向けて連動部材46を付勢する。具体的には、図7のように誘導部材43が第2状態にあり、第2位置の連動ピン465(連動部材46)が各付勢ソレノイド41、42の長孔410、420の右端に位置する状況で、第1付勢ソレノイド41への通電開始に応じて図8のようにプランジャ411が引き込まれる。そうすると、第1付勢ソレノイド41の長孔410に係合して連動ピン465が左側に駆動されて連動部材46が第2位置から第1位置に移動する。そして、これにより連動部材46が一体的に連結された誘導部材43が第2状態から第1状態に移行する。
連動部材46が第1位置に移動した後、第1付勢ソレノイド41は通電停止により連動ピン465(連動部材46)を付勢する状態が解除される。第1付勢ソレノイド41への通電が停止されると、内部のスプリングの付勢力がプランジャ411を突出方向(右側)に押し戻すように作用する。通電状態から非通電状態に切り替える前では、図8のように連動ピン465が長孔410の右端に位置しているため、プランジャ411(駆動部413)は連動ピン465を従動させることなく突出方向(右側)に変位可能であり、これにより図6に示す状態となる。このように、第1位置に移動した連動部材46は、その後、第1付勢ソレノイド41への通電が停止された後も誘導部材43の玉受け部430が玉を受け取るまで、図6のごとく第1位置に位置する状態を維持できる。
なお、上記のように、軸受部490の端面と連動部材46の基部461の端面との間には互いに反発する磁石が配置されており、第1位置あるいは第2位置に向けて連動部材46を付勢する磁気的な力が生じている。連動ピン465を第1位置に残して駆動部413が突出方向に変位する際には、上記の磁気的な力が連動部材46を第1位置に保持するように作用する。
図6のように誘導部材43が第1状態に切り替えられた後(各付勢ソレノイド41、42は非通電状態。)で特別役物4に玉が流入すれば、その玉は玉受け部430に受け取られることになる。上記の通り玉受け部430は、誘導部材43の軸431の軸芯に対して左側に偏芯して位置しているため、玉を受け取った場合には、その玉の重さに由来する左回転方向のモーメントが誘導部材43に作用する。
図6の状態では、第1位置の連動ピン465(連動部材46)が第1及び第2付勢ソレノイド41、42の長孔410、420の左端に位置している。それ故、上記のように玉受け部430が受け取った玉の重さに由来する左回転方向のモーメントが誘導部材43に作用したとき、長孔410、420は、連動ピン465(連動部材46)が第1位置から第2位置へ向けて右側に移動するための通路部として機能する。そして、連動ピン465が第2位置に移動することで、図7に示すように誘導部材43が第2状態へ移行できる。
なお、このとき、軸受部490の端面、及び連動部材46の基部461の端面に配置された磁石が有効に作用する。上記の通り、これらの端面には、互いに反発する磁石が配置されており、第1位置と第2位置との間の中間的な位置に連動部材46が滞留しないようになっている。それ故、玉の重さにより玉受け部430が左側に回動する際、連動部材46が中間的な位置で停止するおそれがなく、誘導部材43が確実性高く第2状態に移行できる。
そして、玉受け部430の玉の重さに起因して誘導部材43が第2状態に移行する際には、その玉が第1通路401に放り出されて特別入賞部40への入賞が発生する。つまり、誘導部材43は、第1状態において玉が特別入賞部40に向かう力によって第1状態から第2状態に切り替わるように構成されている。
一方、第1付勢ソレノイド41による付勢により連動部材46を第1位置に位置させた後、6秒間(所定時間の一例)に渡って特別入賞部40への玉の入賞が発生しなかった場合には、連動部材46が長孔410(通路部)において第1位置から第2位置に移動する様に、第2付勢部としての第2付勢ソレノイド42が第2位置に向けて連動部材46を付勢する。つまり、図6のように誘導部材43が第1状態に切り替えられた後、6秒間に渡って特別入賞部40への入賞が発生しなかった場合には、第2付勢ソレノイド42への通電に応じて誘導部材43が強制的に第2状態に切り替えられる。
図6のごとく誘導部材43が第1状態のときには、第1位置の連動ピン465(連動部材46)が各付勢ソレノイド41、42の長孔410、420の左端に位置している。それ故、第2付勢ソレノイド42に通電すれば、プランジャ421の右側への引き込みに応じて連動ピン465を右側に付勢できる。このとき、長孔410が連結ピン465の通路部として機能し、第1付勢ソレノイド41側の干渉を受けることなく図9のように連結ピン465が第2位置に移動できる。
図9のように連動ピン465(連動部材46)が第1位置から第2位置に移動した後、この第2付勢ソレノイド42に対する通電停止により連動部材46を第2位置に向けて付勢する状態が解除される。第2付勢ソレノイド42への通電が停止されると、内部のスプリングの付勢力がプランジャ421を突出方向(左側)に押し戻すように作用する。通電状態から非通電状態に切り替える前では、図9のように連動ピン465が長孔420の左端に位置しているため、プランジャ421(駆動部423)は連動ピン465を従動させることなく突出方向(左側)に変位可能であり、これにより図7に示す状態となる。そして、このように第2付勢ソレノイド42により強制的に設定された図7の誘導部材43の第2状態は、第1付勢ソレノイド41が誘導部材43を第1状態に切り替えるまで継続する。
次に、大当たり状態の発生中における出玉数について説明する。
大当たり状態の発生中において表示装置5の右側を狙って玉を発射する右打ちを行えば、流下する玉のほとんどが特別役物4に流入し、その大部分が大入賞口160に入賞する。そのため、大当たり状態下の各ラウンドでは、10個(最大の入賞数)×15個(入賞による払出数)−10個(入賞に必要な玉の発射数)の計算式により大入賞口160への入賞による出玉が約140個となる。15ラウンドが繰り返される1回の大当たり状態では、大入賞口160のみの出玉が理論上では約140個×15ラウンド=約2100個となる。
さらに、大当たり状態では、誘導部材用スルーゲート142を玉が通過でき、第2普図判定の当選に応じて特別入賞部40に玉が入賞可能な第1状態への切替が発生する。第1状態への切替契機となる第2普図当選の報知に要する図柄変動時間が10秒であるので、大当たり状態における最長30秒間の各ラウンドでは、特別入賞部40に玉が0〜2個入賞する可能性がある。15ラウンドを通算すると、特別入賞部40への入賞数の期待値が約15個となる。このため、1回の大当たり状態の発生中では、特別入賞部40への入賞による出玉が、約15個(入賞数)×10個(入賞による払出数)−10個(入賞に要する発射数)という計算式により約140個となる。
上記のように大入賞口160による出玉は約2100個であるため、大当たり状態の発生中では、大入賞口160及び特別入賞部40による出玉が合計で約2240個となる。上記のように右打ちを行えば、遊技領域130を流下した玉のほとんどが大入賞口160に入賞し、いずれの入賞口にも入賞しない玉はわずかであることから、このわずかな玉数を上記の約2240個の出玉から差し引いた2200個強が1回の大当たり状態における出玉となる。
以上のように、本例のパチンコ遊技機1では、特別役物4の動作により特徴ある遊技性が実現されている。この特別役物4では、特別部材の一例をなす誘導部材43の動作により、玉が特別入賞部40に入賞可能な第1状態と、特別入賞部40に入賞できない第2状態と、が切り替わる。さらに、この誘導部材43は、第1状態において玉が特別入賞部40に向かう力によって第1状態から第2状態に切り替わるように構成されている。このような構成の特別役物4であれば、特別入賞部40への玉の入賞に応じて誘導部材43が第2状態に切り替わるので、特別入賞部40に玉が過度に入賞してしまうおそれが少なくなっている。
このように本例の特別役物4は、極端に特別入賞部40に玉が入賞し過ぎるおそれを抑制できる優れた特性の入賞役物である。この特別役物4を備えるパチンコ遊技機1は、特別入賞部40への過度な入賞を抑制することで、極端に高い出玉率が発生するおそれを抑制した遊技機となっている。
特別役物4は、誘導部材43と連結して一体化された連動部材46を備えている。この連動部材46が第1位置に移動している場合に誘導部材43が第1状態になり、第2位置に移動している場合に誘導部材43が第2状態になる。そして、第1及び第2付勢ソレノイド41、42を利用して構成された切替手段は、第2普図判定の当選報知という切替タイミングで、連動部材46を第1位置に移動させて誘導部材43を第1状態に切り替える。
このように誘導部材43に連結して一体化された連動部材46を付勢して第1状態と第2状態との切替を実行する機構を採用すれば、誘導部材43を直接、付勢して切替を実行する機構と比べて、切替手段を構成する機構の配置等の設計自由度を高くできる。本例の特別役物4では、誘導部材43から背面側に延設された連動部材46を採用することで、第1及び第2付勢ソレノイド41、42等の切替手段を遊技盤130Aの背面側への設置を可能としている。
特別役物4は、連動部材46を第1位置に向けて付勢すると共に、連動部材46が第1位置に移動した後でその付勢状態を解除する第1付勢ソレノイド(第1付勢部)41を備えている。そして、連動部材46は、第1付勢ソレノイド41に付勢されて第1位置に移動すると、誘導部材43が玉を受けるまでその第1位置を維持する。このように連動部材46に連動して誘導部材43が第1状態に切り替わった後、連動部材46に対する第1付勢ソレノイド41による付勢を解除すれば、特別入賞部40に向かう玉の力による第1状態から第2状態への切替動作が阻害される状況を確実性高く回避できる。
第1付勢ソレノイド41では、連動部材46が第1位置から第2位置に移動するための通路部の一例として長孔410が駆動部413に穿設されている。連動ピン465を進退させるために第1付勢ソレノイド41側に長孔410を設ければ、第1位置から第2位置へ連動部材46が容易に移動できる構成を実現できる。
特別役物4は、第1付勢ソレノイド41が付勢して第1位置に移動した連動部材46を第2位置に向けて付勢して強制的に移動させ、第2位置に移動した後でその付勢状態を解除する第2付勢ソレノイド42を備えている。この第2付勢ソレノイド42は、連動部材46が第1位置に位置した後、玉が特別入賞部40に入賞することなく所定時間が経過したときに連動部材46を強制的に第2位置に移動させる。本例の特別役物4の場合、第2付勢ソレノイド42による付勢により連動ピン465が第1位置から第2位置に移動するための通路部として第1付勢ソレノイド41側に長孔410を設けてあるため、上記のような第2付勢ソレノイド42による連動部材46の強制的な移動が可能になっている。つまり、第1付勢ソレノイド41の長孔410は、上記のような特別入賞部40への入賞による第1位置から第2位置への移動、及び第2付勢ソレノイド42による第1位置から第2位置への強制的な移動の両方を良好に行わせるための通路部となっている。
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、パチンコ遊技機1について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機等に適用しても良い。また、例えば、所謂権利物のパチンコ遊技機や、所謂一般電役や、ハネ物のパチンコ遊技機に適用することも可能である。例えば、一般電役のパチンコ遊技機の一又は複数の入賞部に誘導部材43や切替手段を設けることで本願発明を適用する構成が考えられる。
本例では誘導部材43が第1状態にあるとき、特別役物4に流入した玉が必ず特別入賞部40に入賞する構成を例示したが、これに代えて、誘導部材43が第1状態にあるときには、特別役物4に流入した玉が必ず特別入賞部40に入賞する訳ではないが、第2状態のときよりも入賞確率が高くなる構成を採用しても良い。誘導部材43が第2状態にあるときには、特別入賞部40への入賞可能性がゼロになる構成を例示したが、これに代えて、誘導部材43が第2状態にあっても入賞可能性がある一方、第1状態のときよりも入賞確率が低くなる構成を採用しても良い。
玉が特別入賞部40に入賞した場合に玉を付与する構成としたが、その他の予め定められた領域を玉が通過することを入賞としても良いし、予め定められた部位に玉が接触することを入賞としても良い。
特別入賞部40に玉が入賞した場合に特典として所定個数の玉を付与する構成としたが付与する特典を任意に変更しても良い。例えば、特別入賞部40に入賞した場合に付与する特典として、大当たり抽選を行うものや、抽選を行うことなく大当たり状態を発生させるものが考えられる。
大当たり状態において誘導部材用スルーゲート142を玉が通過可能な構成を例示したが、大当たり状態以外において誘導部材用スルーゲート142を玉が通過できるように構成しても良い。この場合、誘導部材用スルーゲート142の位置を適宜変更すれば良い。
誘導部材用スルーゲート142を玉が通過した場合に、誘導部材43が玉を誘導する第1状態に切り替わる構成としたが、切り替わる条件を任意に変更しても良い。例えば、始動入賞部用スルーゲート141を玉が通過した場合に一定の割合で誘導部材43が第1状態に切り替わる構成にしても良い。つまり、切替タイミングを任意に変更しても良い。
誘導部材43が閉鎖している第2状態の場合、玉を特別入賞部40に誘導しない構成としたが、一部の玉を特別入賞部40に誘導する構成にしても良い。この場合、開放状態である第1状態よりも玉を特別入賞部40に誘導しにくい構成にすれば良い。また、誘導部材43は玉を特別入賞部40に誘導する必要はなく、玉が入賞可能な第1状態と、玉が入賞しにくい又はできない第2状態とに切り替わる構成であれば良い。
誘導部材43の構造を変更しても良く、例えば、始動入賞部12の開閉部材(例えば一対の可動羽根)と同様の部材を特別入賞部40に設ける構成にしても良い。
誘導部材43について、開放状態である第1状態から閉鎖状態である第2状態に切り替える構成を任意に変更しても良い。例えば、ソレノイドではなく、モーターを用いて第1状態から第2状態、第2状態から第1状態への切替を行う構成にしても良い。また、磁力によって付勢して連動部材46を移動させることで誘導部材43の第1状態と第2状態とを切り替える構成も考えられる。
また、特別入賞部40に玉が流下するとき、玉の重さによって誘導部材43が回動して第1状態から第2状態に切り替わる構成としたが、例えば、玉が特別入賞部40に向かう途中に切替スイッチを設け、切替スイッチを玉が押下することで第1状態から第2状態に切り替わる構成にしても良い。本構成でも玉が特別入賞部40に向かう力によって第1状態から第2状態に切り替わる構成に該当する。
誘導部材43と連動部材46とを一体的に連結する構成としたが、誘導部材43と連動部材46とが分離可能な別部材として設けられている構成にしても良い。この場合、誘導部材43と連動部材46とを螺子等により連結しておくと良い。
特別役物4における玉通路(第1通路401、第2通路402)の形状や幅を任意に変更しても良い。例えば、2個以上の玉が並んで流下できる幅の通路に変更することも可能である。第1通路401、及び第2通路402の長さや向き等を任意に変更することも良い。
誘導部材43が第1状態に切り替わった後、所定時間が経過すると第2状態になる構成を例示したが、玉が入賞するまで第1状態を維持する構成にしても良い。
連動部材46が通過する通路部として、プランジャ411、412の先端に長孔410、420を設ける構成としたが、円形状の丸孔にする等、通路部の形状を任意に変更しても良い。また、通路部を備えていない構成にしても良い。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。