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JP6665719B2 - 電源制御装置、及び電源システム - Google Patents

電源制御装置、及び電源システム Download PDF

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Description

本発明は、複数の蓄電手段を備える電源システムに適用される電源制御装置、及び電源システムに関するものである。
従来、複数の蓄電池を備える電源装置において、エンジン運転状態に応じて、複数の蓄電池を並列接続した状態と直列接続した状態とを切り替えるようにした技術が知られている(例えば特許文献1参照)。具体的には、エンジン自動始動システムにおいて、エンジン運転中は、接続切替手段としてのリレーにより各蓄電池を並列接続の状態にして、発電機により各蓄電池を充電する。また、エンジン自動停止後の再始動時には、リレーにより各蓄電池を直列接続の状態に切り替え、始動機への給電を実施する。そして上記構成により、エンジン始動を円滑にし、かつ蓄電池が劣化することを抑制することができるとしていた。
特開2003−155968号公報
しかしながら、上記のように複数の蓄電池の並列接続と直列接続との切り替えを可能にするシステムでは、複数の蓄電池に通じる各通電経路上にそれぞれリレーやスイッチ等の接続切替手段が設けられていること、直列/並列状態で通電経路上のリレーやスイッチ等の個数に違いが生じることにより、各蓄電池で通電経路の抵抗値に違いが生じる。そのため、複数の蓄電池に流れる充放電電流に差違が生じ、結果として各蓄電池で電気残容量(SOC)にばらつきが生じる。そして、各蓄電池でSOCばらつきが生じると、例えば複数の蓄電池を直列状態から並列状態に切り替えた際に、SOC差に起因して蓄電池間の相互で過電流が流れ、ひいては蓄電池やスイッチ等の破損が懸念される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、直並列の切り替えが可能な複数の蓄電手段を有するシステムにおいて過剰な電流の発生を抑制し、ひいては蓄電手段やスイッチ等の保護を図ることができる電源制御装置、及び電源システムを提供することにある。
本発明の電源制御装置は、複数の蓄電手段(12,13)と、前記各蓄電手段に通じる電気経路に設けられた複数のスイッチ手段(21〜25)を含み、前記複数の蓄電手段について互いに並列接続された並列状態と互いに直列接続された直列状態とを切り替える切替部と、を備える電源システムに適用される。そして、電源制御装置は、前記複数の蓄電手段の状態を示すパラメータとして、前記並列状態又は前記直列状態での前記各蓄電手段の間の経路を含む通電経路に流れる電流の大きさに相関を持つ蓄電状態パラメータを取得する取得部と、前記蓄電状態パラメータに基づいて、前記並列状態又は前記直列状態で前記通電経路に存在している抵抗可変部の抵抗値を調整する抵抗制御部と、を備えることを特徴とする。
複数の蓄電手段を備え、複数のスイッチ手段のオンオフにより各蓄電手段の並列接続と直列接続との切り替えを可能とする電源システムでは、各蓄電手段でのSOC(電気残容量)等に起因して、例えば各蓄電手段間において容量自己調整による過電流が流れることが懸念される。この点、上記構成では、複数の蓄電手段の状態を示すパラメータとして、並列状態又は直列状態での各蓄電手段の間の経路を含む通電経路に流れる電流の大きさに相関を持つ蓄電状態パラメータを取得し、その蓄電状態パラメータに基づいて、並列状態又は直列状態で通電経路に存在している抵抗可変部の抵抗値を調整するようにした。かかる場合、抵抗可変部の抵抗値の調整により、並列状態又は直列状態で通電経路に流れる電流、すなわち蓄電手段どうしで流れる電流等を制御でき、仮に蓄電手段間でSOCばらつきが生じていても蓄電手段間に過電流が流れること等が抑制される。その結果、蓄電手段やスイッチ等の保護を図りつつ、各蓄電手段の適正な使用を実現できる。
各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値を調整することで、通電経路上における各スイッチ21〜25の熱破壊の抑制も可能となる。つまり、各スイッチ21〜25の損失は、各リチウムイオン蓄電池12,13のSOC差から生じる出力電圧差又は通電電流や、スイッチオン抵抗により「損失=V・I=(V^2)/R」で決まる。この場合、スイッチオン抵抗の調整により熱損失の低減を図ることができる。
なお、複数の蓄電手段(例えばリチウムイオン蓄電池)の直並列の切り替えが行われる構成としては、直並列切り替え可能な2つ以上の蓄電手段を有する構成であればよく、例えば3つ以上の蓄電手段を備える電源システムにおいて、そのうち少なくとも2つの蓄電手段について直並列の切り替えが行われる構成も含まれる。
第1実施形態における電源システムを示す電気回路図。 スイッチの具体的構成を示す図。 (a)は各リチウムイオン蓄電池を並列接続した状態を示す図、(b)は各リチウムイオン蓄電池を直列接続した状態を示す図。 (a)は並列充電時の電流の流れを示す図、(b)は並列放電時の電流の流れを示す図。 直列放電時の電流の流れを示す図。 ゲート電圧とドレインソース間抵抗との関係を示す図。 リチウムイオン蓄電池の接続状態と充放電電流とを制御する処理手順を示すフローチャート。 端子電圧の差ΔVとスイッチ抵抗値との関係を示す図。 スイッチ温度とスイッチ抵抗値との関係を示す図。 端子電圧の差ΔVとスイッチ温度とスイッチ抵抗値との関係を示す図。 リチウムイオン蓄電池の直並列切り替えに伴う抵抗値制御をより具体的に説明するためのタイムチャート。 リチウムイオン蓄電池を直列状態から並列状態に切り替える際における通電電流の変化を示すタイムチャート。 通電電流とスイッチ抵抗値との関係を示す図。 通電電流とスイッチ温度とスイッチ抵抗値との関係を示す図。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源装置を具体化するものとしている。また、本電源システムは、蓄電装置として、鉛蓄電池を有してなる第1蓄電装置と、複数のリチウムイオン蓄電池を有してなる第2蓄電装置とを備える、いわゆる2電源システムとなっている。
図1に示すように、本電源システムは、鉛蓄電池11と2つのリチウムイオン蓄電池12,13とを有しており、各蓄電池11〜13からは各種の電気負荷14,15と回転電機16への給電が可能となっている。また、各蓄電池11〜13に対しては回転電機16による充電が可能となっている。
鉛蓄電池11は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池12,13は、鉛蓄電池11に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池12,13は、鉛蓄電池11に比べて充放電時のエネルギ効率が高い蓄電池であるとよい。また、リチウムイオン蓄電池12,13は、それぞれ複数の単電池を有してなる組電池として構成されている。これら各蓄電池11〜13の定格電圧はいずれも同じであり、例えば12Vである。
図示による詳細な説明は割愛するが、2つのリチウムイオン蓄電池12,13は、収容ケースに収容されて一体の電池ユニットUとして構成されている。電池ユニットUは、2つの出力端子P1,P2を有しており、このうち出力端子P1に鉛蓄電池11と電気負荷14とが接続され、出力端子P2に電気負荷15と回転電機16とが接続されている。
出力端子P1に接続される電気負荷14は、鉛蓄電池11又はリチウムイオン蓄電池12,13からの12V給電に基づいて駆動される12V系負荷である。その電気負荷14には、供給電力の電圧が一定又は少なくとも所定範囲内で変動するよう安定であることが要求される定電圧要求負荷と、定電圧要求負荷以外の一般的な電気負荷とが含まれている。定電圧要求負荷は被保護負荷であって、電源失陥が許容されない負荷である。定電圧要求負荷の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、エンジンECU等の各種ECUが挙げられる。この場合、供給電力の電圧変動が抑えられることで、上記各装置において不要なリセット等が生じることが抑制され、安定動作が実現可能となっている。また、一般的な電気負荷の具体例としては、ヘッドライト等のランプ類やワイパ装置、電動ポンプが挙げられる。
また、電気負荷15は、例えば車両走行時において一時的に大きな駆動力が要求される、すなわち高電力要求が生じることがある高電圧系の負荷である。具体例としては、電動ステアリング装置が挙げられる。なお、出力端子P1に接続される電気負荷14が低電圧電気負荷に相当し、出力端子P2に接続される電気負荷15及び回転電機16が高電圧電気負荷に相当する。
回転電機16の回転軸は、図示しないエンジン出力軸に対してベルト等により駆動連結されており、エンジン出力軸の回転によって回転電機16の回転軸が回転する一方、回転電機16の回転軸の回転によってエンジン出力軸が回転する。回転電機16は、MG(Motor Generator)であり、エンジン出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う発電機能と、エンジン出力軸に回転力を付与する力行機能とを備えている。回転電機16は、一体又は別体に設けられた電力変換装置としてのインバータにより、発電時の発電電流の調整や力行駆動時のトルク調整が行われるものとなっている。回転電機16の駆動により、エンジンの始動やトルクアシストが行われる。回転電機16は、エンジン出力軸に対して動力を付加する観点から言えば電気負荷であり、しかも電気負荷14との比較で言えば高電力/高電流負荷である。
電気負荷15と回転電機16との間にはスイッチ17が設けられており、そのスイッチ17のオンオフにより、各蓄電池11〜13や回転電機16と電気負荷15とが電気的に接続又は遮断されるようになっている。
次に、電池ユニットUにおける電気的構成を説明する。本実施形態では、2つのリチウムイオン蓄電池12,13について並列接続の状態と直列接続の状態との切り替えを可能としており、その点について詳しく説明する。
電池ユニットUでは、出力端子P1,P2の間の電気経路L1にスイッチ21,22が直列に設けられている。なお、電気経路L1は、本システムにおいて鉛蓄電池11に対して電気負荷14,15や回転電機16が接続される通電経路の一部でもある。そして、スイッチ21,22の間の第1点N1にリチウムイオン蓄電池12の+端子(正極端子)が接続され、スイッチ22と出力端子P2との第2点N2にリチウムイオン蓄電池13の+端子が接続されている。また、各リチウムイオン蓄電池12,13の−端子(負極端子)とグランドとの間には、それぞれスイッチ23,24が設けられている。さらに、第1点N1は、リチウムイオン蓄電池13の−端子とスイッチ24との間の第3点N3に接続されており、その接続経路にスイッチ25が設けられている。スイッチ21〜25が「切替部」に相当する。
上記の各スイッチ21〜25は、MOSFET、IGBT、バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子により構成されている。本実施形態では、各スイッチ21〜25がMOSFETにより構成されており、所定のゲート電圧の印加に応じてスイッチ21〜25のオンオフが切り替えられる。
なお、図2に示すように、各スイッチ21〜25をそれぞれ2つ一組のMOSFETを有する構成とし、各一組のMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続されているとよい。この互いに逆向きの寄生ダイオードによって、各スイッチ21〜25をオフ状態とした場合にそのスイッチが設けられた経路に流れる電流が完全に遮断される。ただし、各スイッチ21〜25において半導体スイッチング素子を用いた構成は任意でよく、例えばMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きに配置されていない構成であってもよい。
そして、これら各スイッチ21〜25のオンオフを適宜切り替えることにより、各リチウムイオン蓄電池12,13が並列接続された状態と、各リチウムイオン蓄電池12,13が直列接続された状態とが切り替えられるようになっている。
図3において(a)には、各リチウムイオン蓄電池12,13を並列接続した状態を示し、(b)には各リチウムイオン蓄電池12,13を直列接続した状態を示している。図3では、理解を容易にするために、スイッチ21〜25についてオン状態のスイッチのみを示し、オフ状態のスイッチの図示を省略している。図3(a)に示された通電経路が「並列通電経路」であり、図3(b)に示された通電経路が「直列通電経路」である。なお、スイッチ17は、並列状態ではオフされ、直列状態では必要に応じてオンされるようになっている。
図3(a)では、各スイッチ21〜25のうちスイッチ21〜24がオン、スイッチ25がオフされており、かかる状態では、リチウムイオン蓄電池12,13が並列の関係となっている。この場合、出力端子P1,P2の出力電圧はいずれも概ね12Vとなっている。並列接続状態では、P1側の電気負荷14に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12,13が接続されるとともに、P2側の回転電機16に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12,13が接続されている。並列接続状態では、各リチウムイオン蓄電池12,13の正極どうしを接続する経路上の中間位置(第1点N1)に電気負荷14が接続されるようになっている。
また、図3(b)では、各スイッチ21〜25のうちスイッチ21,23,25がオン、スイッチ22,24がオフされており、かかる状態では、リチウムイオン蓄電池12,13が直列の関係となっている。この場合、出力端子P1の出力電圧は概ね12V、出力端子P2の出力電圧は概ね24Vとなっている。直列接続状態では、P1側の電気負荷14に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されている。また、P2側の回転電機16に対して直列にリチウムイオン蓄電池12,13が接続されている。直列接続状態では、各リチウムイオン蓄電池12,13のうち高電圧側の蓄電池13の正極側の位置(第2点N2)に回転電機16が接続されるようになっている。
回転電機16は、電源電圧を12Vとする12V力行駆動と、電源電圧を24Vとする24V力行駆動とが可能になっており、リチウムイオン蓄電池12,13が並列接続された状態では回転電機16が12V駆動され、リチウムイオン蓄電池12,13が直列接続された状態では回転電機16が24V駆動される。出力端子P2に接続された電気負荷15は、リチウムイオン蓄電池12,13が直列接続された状態で24V駆動される。
また、図1において、電池ユニットUは、電池制御手段を構成する制御部30を有している。制御部30は、電池ユニットU内の各スイッチ21〜25のオンオフ(開閉)の切り替えを実施する。この場合、制御部30は、車両の走行状態や各蓄電池11〜13の蓄電状態に基づいて、各スイッチ21〜25のオンオフを制御する。これにより、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12,13とを選択的に用いて充放電が実施される。各蓄電池11,12の蓄電状態に基づく充放電制御について簡単に説明する。なお、図示は省略するが、各リチウムイオン蓄電池12,13には、蓄電池ごとに端子電圧を検出する電圧センサと、蓄電池ごとに通電電流を検出する電流センサとがそれぞれ設けられており、それら各センサの検出結果は制御部30に入力される。
制御部30は、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧の検出値を逐次取得するとともに、鉛蓄電池11、リチウムイオン蓄電池12,13の通電電流を逐次取得する。そして、これらの取得値に基づいて、鉛蓄電池11、リチウムイオン蓄電池12,13のOCV(開放電圧:Open Circuit Voltage)やSOC(残存容量:State Of Charge)を算出するとともに、そのOCVやSOCが所定の使用範囲内に保持されるようにリチウムイオン蓄電池12,13への充電量及び放電量を制御する。
また、電池ユニットUでは、車両へのメイン電源の投入後において、基本的には各リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態とされ、出力端子P2側における負荷駆動要求や回転電機16に対する高電圧発電の要求に応じて、各リチウムイオン蓄電池12,13が直列状態に切り替えられるようになっている。この場合、制御部30は、例えば電動ステアリング装置(電気負荷15)の駆動要求や、回転電機16によるトルクアシスト要求に基づいて、リチウムイオン蓄電池12,13を一時的に並列状態から直列状態に切り替える制御を実施する。
制御部30にはECU40が接続されている。制御部30及びECU40は、CAN等の通信ネットワークにより接続されて相互に通信可能となっており、制御部30及びECU40に記憶される各種データが互いに共有できるものとなっている。ECU40は、車両のアイドリングストップ制御を実施する機能を有する電子制御装置である。アイドリングストップ制御は、周知のとおり所定の自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、かつその自動停止状態下で所定の再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるものである。車両においては、アイドリングストップ制御の自動再始動時に回転電機16によりエンジンが始動されるようになっている。
次に、リチウムイオン蓄電池12,13が並列接続された状態で回転電機16からの充電が行われる並列充電時と、リチウムイオン蓄電池12,13が並列接続された状態で電気負荷14への放電が行われる並列放電時とについて説明する。図4(a)には、並列充電時の電流の流れを示し、(b)には、並列放電時の電流の流れを示している。
図4(a)の並列充電時には、回転電機16から発電電流が出力され、その発電電流により鉛蓄電池11及び各リチウムイオン蓄電池12,13の充電や、電気負荷14への給電が行われる。このとき、電池ユニットUにおいて、リチウムイオン蓄電池12の充電経路にはスイッチ22,23が存在しており、そのスイッチ22,23を含む経路抵抗に応じて充電電流Iin1が流れる。また、リチウムイオン蓄電池13への充電経路にはスイッチ24が存在しており、そのスイッチ24を含む経路抵抗に応じて充電電流Iin2が流れる。充電電流Iin1,Iin2を比べると、Iin1≠Iin2となり、特に経路抵抗の違いから「Iin1<Iin2」になることが想定される。
また、図4(b)の並列放電時には、各リチウムイオン蓄電池12,13から電気負荷14への給電が行われる。このとき、リチウムイオン蓄電池12から電気負荷14への放電経路にはスイッチ21,23が存在しており、そのスイッチ21,23を含む経路抵抗に応じて放電電流Iout1が流れる。また、リチウムイオン蓄電池13から電気負荷14への放電経路にはスイッチ21,22,24が存在しており、そのスイッチ21,22,24を含む経路抵抗に応じて放電電流Iout2が流れる。放電電流Iout1,Iout2を比べると、Iout1≠Iout2となり、特に経路抵抗の違いから「Iout1>Iout2」になることが想定される。
上記のとおり各リチウムイオン蓄電池12,13の並列状態下では、それら各蓄電池12,13に流れる電流の大きさが相違する。そのため、各リチウムイオン蓄電池12,13においてSOC(電気容量)にばらつきが生じることが懸念される。この点についてさらに補足する。上記図4(a)の並列充電状態では、経路抵抗の違いから「Iin1<Iin2」になる一方、上記図4(b)の並列放電状態では、経路抵抗の違いから「Iout1>Iout2」になり、こうした電流の差からリチウムイオン蓄電池13の方がリチウムイオン蓄電池12よりも高SOCになることが想定されるが、その状態から直列接続状態(図3(b)参照)に移行すると、各蓄電池12,13のSOCの差がより大きくなると考えられる。
つまり、直列放電状態では、図5に示すように、リチウムイオン蓄電池13は、電気負荷15や回転電機16を放電対象として放電を行うのに対し、リチウムイオン蓄電池12は、電気負荷15や回転電機16に加え、電気負荷14を放電対象として放電を行う。ゆえにリチウムイオン蓄電池12の放電電流Iout1が、リチウムイオン蓄電池13の放電電流Iout2よりも大きくなり、これにより各蓄電池12,13のSOC差がさらに大きくなる。各リチウムイオン蓄電池12,13でSOCのばらつきが生じると、それら各蓄電池12,13の使用領域を十分に活用することができないといった不都合を招来する。
ところで、リチウムイオン蓄電池12,13間のSOC差が大きい状態で、直列状態から並列状態への切り替えが行われると、両蓄電池12,13間のSOC差(もしくは電圧差)に起因して容量自己調整電流が流れる。容量自己調整電流は、リチウムイオン蓄電池12,13間のSOC差と経路抵抗値とに応じて流れる電流であり、例えば「I=蓄電池間の出力電圧差×経路抵抗値」として定義される。この場合、蓄電池間において大きな電流が流れ、通電経路上のスイッチや蓄電池に悪影響が及ぶことが懸念される。
そこで本実施形態では、各リチウムイオン蓄電池12,13間で流れる電流の大きさに相関を持つパラメータを取得し、そのパラメータに基づいて、電流抑制の制御を適宜実施することとしている。ここでは、各リチウムイオン蓄電池12,13間の電流に相関するパラメータとして、各リチウムイオン蓄電池12,13の状態を示す蓄電状態パラメータと、各スイッチ21〜25の状態を示すスイッチ状態パラメータとを取得し、それら各パラメータに基づいて、スイッチ21〜25のいずれかを調整対象としてスイッチ抵抗値を調整する。本実施形態では、各リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態であれば、スイッチ22を調整対象としてスイッチ抵抗値を調整する。また、各リチウムイオン蓄電池12,13が直列状態であれば、スイッチ25を調整対象としてスイッチ抵抗値を調整する。なお、制御部30が「取得部」、「抵抗制御部」に相当する。
蓄電状態パラメータとしては、例えば各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧、SOC、充放電電流の少なくともいずれかが取得される。またこれに加えて、各リチウムイオン蓄電池12,13の温度が取得される。また、スイッチ状態パラメータとしては、例えばスイッチ21〜25の温度が取得される。
制御部30により実施される並列状態での抵抗値制御と、直列状態での抵抗値制御とについて説明する。
並列状態では、電池ユニットUにおいて図3(a)に示す通電経路が形成されており、各リチウムイオン蓄電池12,13にSOC差が生じている状況下では、蓄電池12,13間に過電流が流れることが懸念される。そこで、制御部30は、過電流の抑制を図るべく、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータに基づいて、並列状態の通電経路で各蓄電池12,13の間の中間位置に存在しているスイッチ22の抵抗値を大きくする側に調整する。このとき、制御部30は、各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧の差ΔVを取得し、そのΔVに基づいてフィードバック制御を実施することで、スイッチ22の抵抗値を所望の値に制御する。より具体的には、スイッチ22のゲート電圧制御を実施することにより、スイッチ22の抵抗値を制御する。これにより、スイッチ22についてオン状態での抵抗値が大きくなり、それに伴い蓄電池間の電流が低減される。本制御により、蓄電池間の電流が所望の値にフィードバック制御される。
スイッチ22の抵抗値制御においては、例えば図6に示すゲート電圧Vgとドレインソース間抵抗との関係を用い、ゲート電圧Vgの制御によりドレインソース間抵抗を調整することで、スイッチ22の抵抗値、ひいてはリチウムイオン蓄電池12,13間の経路抵抗値を変更する。図6では、通常オン状態の抵抗値Rminを基準に、ゲート電圧Vgを低下させることでドレインソース間抵抗が増加する関係が定められており、スイッチ抵抗値(ドレインソース間抵抗)がRminよりも大きくする側に可変設定される。
なお、蓄電状態パラメータとして、各リチウムイオン蓄電池12,13のSOCや充放電電流を用いて、過電流が流れる状況か否かを判定するとともに、過電流が流れる状況下において、各リチウムイオン蓄電池12,13のSOCや充放電電流に基づいてスイッチ22の抵抗値を制御することも可能である。
また、本実施形態では、蓄電状態パラメータに加えて、スイッチ状態パラメータを用いて電流抑制の制御を実施することとしている。この場合、制御部30は、並列状態ではスイッチ22を調整対象とし、スイッチ状態パラメータとしてスイッチ22の温度を取得する。そして、蓄電池間の電流を低減させるべく、スイッチ温度に基づいてスイッチ22の抵抗値を大きくする側に調整する。このとき、制御部30は、スイッチ22の温度をフィードバック制御することで、スイッチ22の抵抗値を所望の値に制御する。これにより、スイッチ22についてオン状態での抵抗値が大きくなり、それに伴い蓄電池間の電流が低減される。
また、直列状態では、電池ユニットUにおいて図3(b)に示す通電経路が形成されており、両リチウムイオン蓄電池12,13よりなる電源電圧が大きいと、これら蓄電池12,13と電気負荷15又は回転電機16との間の通電経路で過電流が流れることが懸念される。実際には、電気負荷15や回転電機16に設けられた平滑コンデンサを通じて過電流が流れることが懸念される。そこで、制御部30は、過電流の抑制を図るべく、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータに基づいて、直列状態の通電経路で各蓄電池12,13の間の中間位置に存在しているスイッチ25の抵抗値を大きくする側に調整する。このとき、制御部30は、各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧の和により直列電源電圧(合成電圧Vhi)を取得し、そのVhiに基づいてフィードバック制御を実施することで、スイッチ25の抵抗値を所望の値に制御する。より具体的には、スイッチ25のゲート電圧制御を実施することにより、スイッチ25の抵抗値を制御する。これにより、スイッチ25についてオン状態での抵抗値が大きくなり、それに伴い蓄電池間の電流が低減される。本制御により、蓄電池間の電流が所望の値にフィードバック制御される。
直列状態でのスイッチ25の抵抗値制御では、並列状態時と同様に、例えば図6の関係を用い、ゲート電圧Vgの制御によりドレインソース間抵抗を調整することで、スイッチ25の抵抗値、ひいては蓄電池12,13と電気負荷15又は回転電機16との間の通電経路の経路抵抗値を変更する。
また、制御部30は、直列状態ではスイッチ25を調整対象とし、スイッチ状態パラメータとしてスイッチ25の温度を取得する。そして、蓄電池間の電流を低減させるべく、スイッチ温度に基づいてスイッチ25の抵抗値を大きくする側に調整する。このとき、制御部30は、スイッチ25の温度をフィードバック制御することで、スイッチ25の抵抗値を所望の値に制御する。これにより、スイッチ25についてオン状態での抵抗値が大きくなり、それに伴い蓄電池間の電流が低減される。
また、各リチウムイオン蓄電池12,13の直並列状態が必要に応じて切り替えられる構成では、直並列の切り替え直後において、接続状態の変化に伴い各蓄電池間の電気経路を通じて過電流が流れることが懸念されるが、特にその切り替え直後はフィードバック制御の遅れに起因して一時的に過電流を抑制できないことが懸念される。
そこで本実施形態では、直並列の切り替え要求が生じた場合に、その要求時から、少なくとも切り替えが完了するまでの所定期間においてフィードフォワード制御を実施することとし、それにより直並列の切り替え直後における過電流の発生を抑制することとしている。このフィードフォワード制御では、直列状態及び並列状態のうち切り替え後の状態を考慮して、当該切り替え後の状態でのパラメータを用いて抵抗値制御を実施する。
直列状態から並列状態への切り替え時には、制御部30は、切り替え要求時からの所定期間において、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータと、並列状態での通電経路上に存在する調整対象のスイッチ22の状態パラメータとを取得し、それら各パラメータに基づいてフィードフォワード制御を実施する。
また、並列状態から直列状態への切り替え時には、制御部30は、切り替え要求時からの所定期間において、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータと、直列状態での通電経路上に存在する調整対象のスイッチ25の状態パラメータとを取得し、それら各パラメータに基づいてフィードフォワード制御を実施する。
図7は、各リチウムイオン蓄電池12,13の接続状態と充放電電流とを制御する処理手順を示すフローチャートであり、本処理は制御部30により所定周期で繰り返し実施される。なお、本処理は、各リチウムイオン蓄電池12,13の放電時及び充電時のいずれにおいても実施される。ただし、放電時及び充電時のいずれかのみで実施されるものであってもよい。
図7において、ステップS11では、蓄電状態パラメータを取得し、ステップS12では、スイッチ状態パラメータを取得する。本実施形態では、蓄電状態パラメータとして、リチウムイオン蓄電池12,13ごとに検出された充放電電流、端子電圧、SOCの少なくともいずれかを取得する。また、スイッチ状態パラメータとして、リチウムイオン蓄電池12,13の間に設けられたスイッチ22,25の温度を取得する。
その後、ステップS13では、リチウムイオン蓄電池12,13を並列・直列のいずれの状態にするかを指示するための状態フラグが1であるか否かを判定する。状態フラグ=1は並列状態にすることを示し、状態フラグ=0は直列状態にすることを示す。そして、状態フラグ=1であればステップS14に進み、状態フラグ=0であればステップS19に進む。なお、状態フラグ=1である場合には、直列状態から並列状態への切り替え要求時と、その切り替え後の期間とが含まれ、状態フラグ=0である場合には、並列状態から直列状態への切り替え要求時と、その切り替え後の期間とが含まれる。
ステップS14では、リチウムイオン蓄電池12,13について直列状態から並列状態への切り替え要求時であるか否か、すなわち状態フラグの「0⇒1」の切り替え時であるか否かを判定する。例えば、電気負荷15や回転電機16の24V駆動が終了される場合に、直列状態から並列状態への切り替え要求が発生する。
そして、切り替え要求時であれば、ステップS15に進み、リチウムイオン蓄電池12,13について直列状態から並列状態への切り替えの実施を指令する。具体的には、電池ユニットUの各スイッチ21〜25のうち、スイッチ22,24を「OFF→ON」に、スイッチ25を「ON→OFF」にそれぞれ切り替える。なお、スイッチ22,24のON切り替えよりも先に、スイッチ25のOFF切り替えを実施するとよい。また、スイッチ22,24のON切り替えは、いずれか一方を先に他方を後に実施してもよい。これら各スイッチ22,24,25のオンオフの切り替えにより、リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態に移行する。
ステップS15において並列状態への切り替えが行われた場合、又はステップS14において否定判定がなされた場合にはステップS16に進む。ステップS16では、直列状態から並列状態への切り替え要求から所定時間が経過した後であるか否かを判定する。この所定時間は、直列から並列への状態切り替えに要する所要時間と、フィードバック制御遅れ時間とを加味した時間であり、例えば数〜数10msec程度の時間である。ステップS16がYESであればステップS17に進み、ステップS16がNOであればステップS18に進む。なお、車両起動後において初期状態として並列状態になっている場合にはステップS16が肯定される。
ステップS17では、フィードバック制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の通電経路におけるスイッチ抵抗値の調整処理を実施する。このとき、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータと、並列状態での通電経路上に存在する調整対象のスイッチ22の状態パラメータとに基づいて、フィードバック制御を実施する。これにより、リチウムイオン蓄電池12,13間を流れる電流が所望の値に制御される。なお、制御部30は、デジタルアナログ制御又はPWM制御によりスイッチ抵抗値を調整する(後述のステップS18,S22,S23も同様)。
具体的には、制御部30は、蓄電状態パラメータとしての各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧を用いて、その端子電圧の差ΔVを算出する。そして、図8の関係を用い、端子電圧の差ΔVに基づいてスイッチ22の調整抵抗値を決定する。図8では、端子電圧の差ΔVが大きいほど、スイッチ22の調整抵抗値が大きい値となる関係が定められている。調整抵抗値は、スイッチ22のフルオン状態での抵抗値(最小値Rmin)に対して大きい値が設定される(後述の図9,図10も同様)。
又は、制御部30は、図9の関係を用い、スイッチ状態パラメータとしてのスイッチ22の温度に基づいてスイッチ22の調整抵抗値を決定する。図9では、スイッチ温度が大きいほど、スイッチ22の調整抵抗値が大きい値となる関係が定められている。
上記のとおり、蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出されるとともに、スイッチ状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出される場合、それらの各々で算出されるスイッチ22の抵抗値のうち大きい方を、今回採用するスイッチ22の調整抵抗値として決定するとよい。例えば、図8の関係を用いて算出される抵抗値がR1、図9の関係を用いて算出される抵抗値がR2であり、R1>R2であれば、抵抗値R1を、今回採用するスイッチ22の調整抵抗値として決定する。これ以外に、蓄電状態パラメータに基づき算出されたスイッチ抵抗値と、スイッチ状態パラメータに基づき算出されたスイッチ抵抗値とのうち小さい方を、今回採用するスイッチ22の調整抵抗値として決定する構成や、各スイッチ抵抗値の平均値を今回採用するスイッチ22の調整抵抗値として決定する構成であってもよい。
なお、図10の関係を用いて、スイッチ22の調整抵抗値を決定するようにしてもよい。図10では、各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧の差ΔVと、スイッチ22の温度と、スイッチ22の調整抵抗値との関係が定められている。この場合、上記の各パラメータに基づいて、スイッチ22の調整抵抗値が設定される。
また、ステップS18では、フィードフォワード制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の並列通電経路におけるスイッチ抵抗値の調整処理を実施する。このとき、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータと、並列状態での通電経路上に存在する調整対象のスイッチ22の状態パラメータとに基づいて、フィードフォワード制御を実施する。
ここで、直列状態から並列状態への切り替え要求が生じた後で、かつ並列状態への切り替えが完了する以前にはステップS18が実施されるが、この時点では、並列状態への切り替えが未完了であるために並列状態下での蓄電状態パラメータを取得することはできない。そのため、制御部30は、直列状態において、蓄電状態パラメータとしての各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧を取得するとともに、それら各端子電圧に基づいて、各蓄電池12,13の端子電圧の差ΔVを算出する。そして、端子電圧の差ΔVに基づいてスイッチ22の調整抵抗値を決定する。このとき、図8の関係を用いて、スイッチ22の調整抵抗値が設定されるとよい。なお、ステップS18では、直列状態下での蓄電状態パラメータが、並列状態での蓄電状態パラメータとして取得されるようになっている。
又は、制御部30は、スイッチ状態パラメータとして並列通電経路上のスイッチ22の温度を取得し、そのスイッチ温度に基づいてスイッチ22の調整抵抗値を決定する。このとき、図9の関係を用いて、スイッチ22の調整抵抗値が設定されるとよい。
上記のとおり、蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出されるとともに、スイッチ状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出される場合、例えばステップS17と同様に、それらの各々で算出されるスイッチ22の抵抗値のうち大きい方を、今回採用するスイッチ22の抵抗値として決定するとよい。又は、ステップS17と同様に、図10の関係を用いて、スイッチ22の抵抗値を決定するようにしてもよい。
また、ステップS13で状態フラグ=0であると判定された場合、すなわち直列状態であると判定された場合、ステップS19では、リチウムイオン蓄電池12,13について並列状態から直列状態への切り替え要求時であるか否か、すなわち状態フラグの「1⇒0」の切り替え時であるか否かを判定する。例えば、電気負荷15や回転電機16の24V駆動が開始される場合に、並列状態から直列状態への切り替え要求が発生する。
そして、切り替え要求時であれば、ステップS20に進み、リチウムイオン蓄電池12,13について並列状態から直列状態への切り替えの実施を指令する。具体的には、電池ユニットUの各スイッチ21〜25のうち、スイッチ22,24を「ON→OFF」に、スイッチ25を「OFF→ON」にそれぞれ切り替える。なおこのとき、スイッチ22,24のOFF切り替えを先に、スイッチ25のON切り替えを後に実施するとよい。また、スイッチ22,24のOFF切り替えは、いずれか一方を先に他方を後に実施してもよい。これら各スイッチ22,24,25のオンオフの切り替えにより、リチウムイオン蓄電池12,13が直列状態に移行する。
ステップS20において並列状態への切り替えが行われた場合、又はステップS19において否定判定がなされた場合にはステップS21に進む。ステップS21では、並列状態から直列状態への切り替え要求から所定時間が経過した後であるか否かを判定する。この所定時間は、並列から直列への状態切り替えに要する所要時間と、フィードバック制御遅れ時間とを加味した時間であり、例えば数〜数10msec程度の時間である。ステップS21がYESであればステップS22に進み、ステップS21がNOであればステップS23に進む。
ステップS22では、フィードバック制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の通電経路におけるスイッチ抵抗値の調整処理を実施する。このとき、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータと、直列状態での通電経路上に存在する調整対象のスイッチ25の状態パラメータとに基づいて、フィードバック制御を実施する。これにより、リチウムイオン蓄電池12,13間を流れる電流が所望の値に制御される。
具体的には、制御部30は、蓄電状態パラメータとしての各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧を用いて、直列状態にあるリチウムイオン蓄電池12,13の合成電圧Vhi(すなわち、出力端子P2の電圧値)を算出する。そして、図8の関係(ただし横軸はVhi)を用い、電圧Vhiに基づいてスイッチ25の調整抵抗値を決定する。図8では、電圧Vhiが大きいほど、スイッチ25の調整抵抗値が大きい値となる関係が定められている。又は、制御部30は、図9の関係を用い、スイッチ状態パラメータとしてのスイッチ25の温度に基づいてスイッチ25の調整抵抗値を決定する。
上記のとおり、蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出されるとともに、スイッチ状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出される場合、例えば、それらの各々で算出されるスイッチ25の抵抗値のうち大きい方を、今回採用するスイッチ25の調整抵抗値として決定するとよい。
なお、図10の関係(ただし横軸はVhi)を用いて、スイッチ25の調整抵抗値を決定するようにしてもよい。図10では、各リチウムイオン蓄電池12,13の合成電圧Vhiと、スイッチ25の温度と、スイッチ25の調整抵抗値との関係が定められている。この場合、上記の各パラメータに基づいて、スイッチ25の調整抵抗値が設定される。
また、ステップS23では、フィードフォワード制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の直列通電経路におけるスイッチ抵抗値の調整処理を実施する。このとき、各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータと、直列状態での通電経路上に存在する調整対象のスイッチ25の状態パラメータとに基づいて、フィードフォワード制御を実施する。
ここで、並列状態から直列状態への切り替え要求が生じた後で、かつ直列状態への切り替えが完了する以前にはステップS23が実施されるが、この時点では、直列状態への切り替えが未完了であるために直列状態下での蓄電状態パラメータを取得することはできない。そのため、制御部30は、並列状態において、蓄電状態パラメータとしての各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧を取得するとともに、それら各端子電圧に基づいて、各蓄電池12,13の合成電圧Vhiを算出する。そして、合成電圧Vhiに基づいてスイッチ25の調整抵抗値を決定する。このとき、図8の関係(ただし横軸はVhi)を用いて、スイッチ25の調整抵抗値が設定されるとよい。なお、ステップS23では、並列状態下での蓄電状態パラメータが、直列状態での蓄電状態パラメータとして取得されるようになっている。
又は、制御部30は、スイッチ状態パラメータとして直列通電経路上のスイッチ25の温度を取得し、そのスイッチ温度に基づいてスイッチ25の調整抵抗値を決定する。このとき、図9の関係を用いて、スイッチ25の調整抵抗値が設定されるとよい。
上記のとおり、蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出されるとともに、スイッチ状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値が算出される場合、例えばステップS22と同様に、それらの各々で算出されるスイッチ25の抵抗値のうち大きい方を、今回採用するスイッチ25の抵抗値として決定するとよい。又は、ステップS22と同様に、図10の関係(ただし横軸はVhi)を用いて、スイッチ25の抵抗値を決定するようにしてもよい。
図11は、リチウムイオン蓄電池12,13の直並列切り替えに伴う抵抗値制御をより具体的に説明するためのタイムチャートである。
図11では、タイミングt1で直列状態から並列状態への切り替え要求が生じると、t1〜t3の期間では、スイッチ21〜25の切り替え操作により直列状態から並列状態への切り替えが行われる。具体的には、タイミングt2では、電池ユニットUの各スイッチ21〜25のうち先にスイッチ25が「ON→OFF」に切り替えられ、その後のタイミングt3ではスイッチ22,24が「OFF→ON」に切り替えられる。タイミングt3で並列状態への切り替えが完了する。このとき、スイッチ25が先にOFFに切り替えられることにより、各リチウムイオン蓄電池12,13における地絡が抑制されるようになっている。
また、タイミングt1〜t4では、フィードフォワード制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の通電経路におけるスイッチ抵抗値が調整される。このとき、次に並列状態に移行するのを見越して、並列状態での電池間経路に存在するスイッチ22を調整対象にし、並列状態下においてスイッチ22を介して過大な電流が流れないようにスイッチ抵抗値が調整される。つまり、並列切り替え完了時点であるタイミングt3を含む所定期間「t1〜t4」では、並列状態での各パラメータとして取得された直列状態下でのパラメータを用い、フィードフォワード制御によりスイッチ抵抗値が調整される。
その後、タイミングt4以降においては、フィードバック制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の通電経路におけるスイッチ抵抗値が調整される。このとき、直前のフィードフォワード制御と同様に、スイッチ22を調整対象にし、そのスイッチ22を介して過大な電流が流れないようにスイッチ抵抗値が調整される。
また、タイミングt5で並列状態から直列状態への切り替え要求が生じると、t5〜t7の期間では、スイッチ21〜25の切り替え操作により並列状態から直列状態への切り替えが行われる。具体的には、タイミングt6では、電池ユニットUの各スイッチ21〜25のうち先にスイッチ22,24が「ON→OFF」に切り替えられ、その後のタイミングt7ではスイッチ25が「OFF→ON」に切り替えられる。タイミングt7で直列状態への切り替えが完了する。このとき、スイッチ25が後にONに切り替えられることにより、各リチウムイオン蓄電池12,13における地絡が抑制されるようになっている。
また、タイミングt5〜t8では、フィードフォワード制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の通電経路におけるスイッチ抵抗値が調整される。このとき、次に直列状態に移行するのを見越して、直列状態での電池間経路に存在するスイッチ25を調整対象にし、直列状態下においてスイッチ25を介して過大な電流が流れないようにスイッチ抵抗値が調整される。つまり、直列切り替え完了時点であるタイミングt7を含む所定期間「t5〜t8」では、直列状態での各パラメータとして取得された並列状態下でのパラメータを用い、フィードフォワード制御によりスイッチ抵抗値が調整される。
図12は、リチウムイオン蓄電池12,13を直列状態から並列状態に切り替える際における通電電流の変化を示すタイムチャートである。図12に示す通電電流値は、並列状態下でリチウムイオン蓄電池12,13間の通電経路に位置するスイッチ22に流れる電流値であり、実線は本実施形態の制御により得られる電流変化を示し、一点鎖線は本実施形態の制御を実施しない場合の電流変化を示す。
図12では、タイミングt11で直列状態から並列状態への切り替え要求が生じ、タイミングt12で各スイッチ21〜25の切り替え操作により直列状態から並列状態への切り替えが完了する。そしてこのタイミングt12を含む期間TX(t11〜t13)でフィードフォワード制御が実施される。このとき、既存の従来技術では、タイミングt12の直後には、並列状態のリチウムイオン蓄電池12,13間、すなわちスイッチ22に、一点鎖線で示すように各リチウムイオン蓄電池12,13でのSOC差に起因する過電流の発生が懸念される。これに対し、本実施形態では、フィードフォワード制御でのスイッチ抵抗値の調整により、電流値の低減が図られている。
また、タイミングt13以降においては、フィードバック制御により、各リチウムイオン蓄電池12,13の通電経路におけるスイッチ抵抗値が調整される。ここでは、例えば各リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧の差ΔVに基づいてスイッチ22の調整抵抗値が決定される。このとき、過電流閾値Thを上限として通電電流値が制御される。タイミングt14において、通電電流値が過電流閾値Th未満になると、スイッチ抵抗値が小さい値(Rmin)となる。以上により、不要なロスの発生が抑制される。
図示による説明は省略するが、並列状態から直列状態への切り替えに際しては、フィードフォワード制御の実施により、切り替え直後において電気負荷15や回転電機16への突入電流の発生が抑制される。つまり、リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態から直列状態に切り替えられると、回転電機16等への出力電圧(出力端子P2の電圧)が12Vから24Vに切り替えられ、その電圧差分から例えば回転電機16内の平滑コンデンサに対して突入電流が流れることが懸念される。この点、フィードフォワード制御でのスイッチ抵抗値の調整により突入電流の低減が可能となる。
なお、電気負荷15や回転電機16が平滑コンデンサを有していることを加味すると、直列状態から並列状態への切り替え時にも、平滑コンデンサからの放電による突入電流の発生が懸念される。ただしこの点についても、フィードフォワード制御でのスイッチ抵抗値の調整により突入電流の低減が可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
上記構成では、複数のリチウムイオン蓄電池12,13の状態を示す蓄電状態パラメータを取得し、その蓄電状態パラメータに基づいて、並列状態又は直列状態で通電経路に存在しているスイッチの抵抗値を調整するようにした。かかる場合、スイッチ抵抗値の調整により、並列状態又は直列状態で通電経路に流れる電流、すなわちリチウムイオン蓄電池12,13どうしで流れる電流等を制御でき、仮にその蓄電池間でSOCばらつきが生じていても蓄電池間に過電流が流れること等が抑制される。その結果、各リチウムイオン蓄電池12,13の適正な使用を実現できる。各リチウムイオン蓄電池12,13の使用を適正化できることで、各蓄電池12,13や、スイッチ21〜25を構成する半導体スイッチング素子、ハーネス等の劣化や破壊の抑制が可能となる。
各リチウムイオン蓄電池12,13の蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値を調整することで、通電経路上における各スイッチ21〜25の熱破壊の抑制も可能となる。つまり、各スイッチ21〜25の損失は、各リチウムイオン蓄電池12,13のSOC差から生じる出力電圧差又は通電電流や、スイッチオン抵抗により「損失=V・I=(V^2)/R」で決まる。この場合、スイッチオン抵抗の調整により熱損失の低減を図ることができる。
リチウムイオン蓄電池12,13間における過電流の抑制が可能になれば、過電流に対する設計の余裕度を下げることができる。この場合、過電流抑制に関する設計の省略が可能となり、ひいてはコストの削減が可能となる。また、過電流の発生を見越して、各リチウムイオン蓄電池12,13でのSOCばらつきを抑制すべく出力制限をかけることが不要となる。そのため、蓄電池の能力を制限することが不要となり、蓄電池の能力を十分に活かすことができる。
電池ユニットU内の並列通電経路又は直列通電経路の経路抵抗値を変更する場合に、並列通電経路上のスイッチ22の抵抗値、又は直列通電経路上のスイッチ25の抵抗値を、大きくする側に変更する構成とした。つまり、各スイッチ22,25のフルオン状態の抵抗値(最小抵抗値Rmin)に対して抵抗値を大きくする側に変更する構成とした。この場合、充放電電流が過剰に大きくなることを抑制でき、各リチウムイオン蓄電池12,13の保護を図ることができる。また、スイッチ22,25をMOSFET等の半導体スイッチング素子により構成することを考えると、その半導体スイッチング素子のゲート電圧制御により容易に抵抗値の調整を実現できる。
各リチウムイオン蓄電池12,13においてSOC差が生じている場合には、これら各蓄電池12,13が並列接続された状態において蓄電池12,13間にSOC差に起因する過電流が生じることが考えられる。リチウムイオン蓄電池12,13が直列状態から並列状態に切り替えられる場合には、その切り替えに伴い過電流が生じることが考えられる。この点、並列状態下において、蓄電状態パラメータに基づいて、並列通電経路上のスイッチ22を調整対象として抵抗値を調整するようにしたため、過電流の発生を好適に抑制できる。
リチウムイオン蓄電池12,13が直列状態から並列状態に切り替えられる際には、接続状態の変化に伴い瞬時電流が流れるが、切り替え完了後にスイッチ抵抗値を調整したのでは瞬時電流への対応が遅れることが考えられる。この点、並列接続の状態への切り替え要求後において切り替え完了前及び切り替え完了後に、蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値を調整するようにしたため、並列状態への切り替え完了時における瞬時電流の発生を抑制できる。
リチウムイオン蓄電池12,13が直列状態から並列状態に切り替えられる際には、切り替え完了の時点で並列状態での蓄電状態パラメータが取得されていない等の理由から、瞬時電流への対応が遅れることが考えられる。この点、並列状態への切り替え要求後であってかつ並列切り替え完了前に、直列状態下での蓄電状態パラメータを並列状態での蓄電状態パラメータとして取得するとともに、並列切り替え完了時点を含む所定期間で、並列状態での蓄電状態パラメータとして取得された直列状態下での蓄電状態パラメータを用い、フィードフォワード制御によりスイッチ抵抗値を調整するようにしたため、並列状態への切り替え時において瞬時電流への対応をいち早く実施できる。
並列状態下において、並列通電経路上に存在するスイッチ22〜24のうち、リチウムイオン蓄電池12,13間に存在するスイッチ22について抵抗値を調整するようにした。この場合、各リチウムイオン蓄電池12,13の保護を図る上で好適な構成を実現できる。
リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態から直列状態に切り替えられる際には、直列状態への切り替え完了時において瞬時電流(負荷突入電流)の発生が懸念される。この点、直列状態下において、蓄電状態パラメータに基づいて、直列通電経路上のスイッチ25を調整対象として抵抗値を調整するようにしたため、過電流の発生を好適に抑制できる。
リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態から直列状態に切り替えられる際には、接続状態の変化に伴い瞬時電流(負荷突入電流)が流れるが、切り替え完了後にスイッチ抵抗値を調整したのでは瞬時電流への対応が遅れることが考えられる。この点、直列接続の状態への切り替え要求後において切り替え完了前及び切り替え完了後に、蓄電状態パラメータに基づいてスイッチ抵抗値を調整するようにしたため、直列状態への切り替え完了時における瞬時電流の発生を抑制できる。
リチウムイオン蓄電池12,13が並列状態から直列状態に切り替えられる際には、切り替え完了の時点で直列状態での蓄電状態パラメータが取得されていない等の理由から、瞬時電流への対応が遅れることが考えられる。この点、直列状態への切り替え要求後であってかつ直列切り替え完了前に、並列状態下での蓄電状態パラメータを直列状態での蓄電状態パラメータとして取得するとともに、直列切り替え完了時点を含む所定期間で、直列状態での蓄電状態パラメータとして取得された並列状態下での蓄電状態パラメータを用い、フィードフォワード制御によりスイッチ抵抗値を調整するようにしたため、直列状態への切り替え時において瞬時電流への対応をいち早く実施できる。
直列状態下において、直列通電経路上に存在するスイッチ23,25のうち、リチウムイオン蓄電池12,13間に存在するスイッチ25について抵抗値を調整するようにした。この場合、各リチウムイオン蓄電池12,13の保護を図る上で好適な構成を実現できる。
蓄電状態パラメータとして、各リチウムイオン蓄電池12,13の充放電電流、端子電圧、SOCの少なくとも1つを取得し、その取得結果に基づいてスイッチ抵抗値を調整する構成とした。この場合、各リチウムイオン蓄電池12,13の実際の蓄電状態に則してフィードバック制御やフィードフォワード制御を好適に実現できる。
各リチウムイオン蓄電池12,13の放電時及び充電時の少なくともいずれかで、スイッチ抵抗値を調整する構成とした。これにより、二次電池としてのリチウムイオン蓄電池12,13を有する電池ユニットUにおいて好適なる使用を実現できる。
スイッチ21〜25を半導体スイッチング素子により構成したため、MOSFETのゲート電圧制御等により、所望の電流制御を簡易に実施できる。
スイッチ21〜25として半導体スイッチング素子を用いたことにより、接点切替式のスイッチ(いわゆるメカスイッチ)を用いる場合に比べて、動作信頼性の高いシステムを構築できる。また、半導体スイッチング素子では、メカスイッチに比べて抵抗値を小さくすることができるため、通電経路での損失を低減することができる。
各スイッチ21〜25として、2つ一組のMOSFETを用い、それら各MOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続される構成を採用した。これにより、各スイッチ21〜25をオフする際において通電経路に流れる電流を好適に遮断することができる。
直並列切り替え用のスイッチ21〜25を抵抗可変部として用い、スイッチ抵抗値を調整することで電流制御を実施する構成とした。この場合、各スイッチ21〜25でオン抵抗が生じることを利用して電流制御を実施することにより、構成の煩雑化を伴うことなく、各リチウムイオン蓄電池12,13やスイッチに流れる電流を所望のとおりに制御することができる。
抵抗値調整対象の各スイッチ21〜25についてデジタルアナログ制御又はPWM制御によりゲート電圧制御を実施する構成とした。これにより、所望とする抵抗値の調整を容易に実施することができる。PWM制御では、理論的にはデューティオフの時は電流による損失がゼロとなるため、高効率のシステムを実現できる。
また、電池ユニットUの基本機能として具備されている直並列切り替え用のスイッチと、その切り替え制御を行う制御部30とを用いて経路抵抗値の制御を行うことで、ユニット基本構成に対して何ら素子等の追加を行うこと無く、所望の抵抗値の調整処理を実現できる。
スイッチ状態パラメータとしてのスイッチ温度を用いて、各リチウムイオン蓄電池12,13に流れる充放電電流を制御することで、熱的要因を加味して好適な電流制御を実現できる。これにより、リチウムイオン蓄電池12,13や各スイッチの熱破壊の防止を図ることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・上記図7にて実施されるフィードバック制御やフィードフォワード制御において、蓄電状態パラメータとして、リチウムイオン蓄電池12,13の端子電圧に代えて又は加えて、リチウムイオン蓄電池12,13の通電電流、SOCの少なくともいずれかを用いて、上記のフィードバック制御やフィードフォワード制御を実施してもよい。ここで、蓄電状態パラメータとして、充放電電流、端子電圧、SOCのうち2以上を取得し、それらを用いてスイッチ抵抗値の調整を実施する構成であってもよい。この場合、取得パラメータを増やすことで、電流制御の精度向上や、破壊に対するマージンの拡大を図ることができる。
・蓄電状態パラメータとして、各リチウムイオン蓄電池12,13の温度を取得し、その取得結果に基づいてスイッチ抵抗値を調整する構成としてもよい。具体的には、図9又は図10における「温度」を電池温度とした上で、これら図9又は図10の関係に基づいてスイッチ抵抗値を設定するとよい。この場合、電池温度を加味してフィードバック制御やフィードフォワード制御を実施することで、各蓄電池12,13の保護を図る上でより好適な構成を実現できる。電池温度は、充放電電流や端子電圧、SOCといった電気的なパラメータとは異なり、直並列の状態(すなわちスイッチの状態)に関係なく任意のタイミングで取得できるパラメータであり、各リチウムイオン蓄電池12,13の状態を好適に監視できる。
・スイッチ状態パラメータとして、並列通電経路又は直列通電経路に存在しているスイッチの少なくともいずれかの通電電流を取得し、その取得結果に基づいてスイッチ抵抗値を調整する構成としてもよい。具体的には、図13の関係を用い、スイッチ通電電流に基づいてスイッチ抵抗値を設定する。又は、図14の関係を用い、スイッチ通電電流とスイッチ温度とに基づいて、スイッチ抵抗値を設定する。この場合にもやはり、実際のスイッチ状態に則してフィードバック制御を実現できる。
・上記実施形態では、蓄電状態パラメータとスイッチ状態パラメータとの両方を用いてスイッチ抵抗値を調整する構成としたが、これを変更し、それら各パラメータのうちいずれか一方のみを用いてスイッチ抵抗値を調整する構成としてもよい。
・上記実施形態は、並列状態においてスイッチ22を調整対象として抵抗値調整を行い、直列状態においてスイッチ25を調整対象として抵抗値調整を行う構成としたが、これを変更してもよい。並列状態において並列通電経路に存在するスイッチ22,23,24の少なくとも1つを調整対象として抵抗値調整を行う構成であればよい。また、直列状態において直列通電経路に存在するスイッチ23,25の少なくとも1つを調整対象として抵抗値調整を行う構成であればよい。
・スイッチ状態パラメータを取得するスイッチと、抵抗調整対象のスイッチとが相違する構成であってもよい。例えば、並列状態において並列通電経路に存在するスイッチ22,23,24のうち、スイッチ22についてスイッチ状態パラメータを取得し、スイッチ23,24のいずれかについて抵抗値調整を行う構成とする。また、直列状態において直列通電経路に存在するスイッチ23,25のうち、スイッチ23についてスイッチ状態パラメータを取得し、スイッチ25について抵抗値調整を行う構成とする。
・リチウムイオン蓄電池12,13間の経路を含む通電経路に過電流が流れたことを判定するための過電流閾値を定めておき、制御部30が、過電流閾値に基づいて過電流の有無を判定する構成としてもよい。かかる場合に、制御部30は、蓄電状態パラメータとしての充放電電流、端子電圧、SOC、電池温度の少なくともいずれかに基づいて過電流閾値を設定する構成とする。このとき、過電流が流れやすい状態であれば、過電流閾値を小さくするとよい。また、スイッチ状態パラメータとしてのスイッチ通電電流、スイッチ温度の少なくともいずれかに基づいて過電流閾値を設定する構成とすることも可能である。
・上記実施形態では、複数のリチウムイオン蓄電池が並列接続された状態において、スイッチ抵抗値を大きくする側に変更することによって、各リチウムイオン蓄電池の充放電電流を個々に制御する構成としたが、これを変更し、スイッチ抵抗値を小さくする側に変更することによって、各リチウムイオン蓄電池の充放電電流を個々に制御する構成であってもよい。例えば、スイッチの通常オン時におけるスイッチ抵抗値(初期抵抗値)が最小値でない場合に、スイッチ抵抗値を小さくする側に変更する。
・複数の蓄電手段として、リチウムイオン蓄電池以外を用いる構成であってもよい。例えば、複数の蓄電手段として、リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池を用いる構成や、蓄電池及びコンデンサを用いる構成、複数のコンデンサを用いる構成のいずれかであってもよい。
・上記実施形態では、複数のリチウムイオン蓄電池の直並列切り替え用のスイッチについてスイッチオン時の抵抗値を調整し、それによりリチウムイオン蓄電池ごとの充放電電流を個々に制御する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、電池ユニットUの通電経路に、直並列切り替え用のスイッチ以外に半導体スイッチング素子からなる別のスイッチを設け、その別のスイッチのオン抵抗値を調整し、それによりリチウムイオン蓄電池ごとの充放電電流を個々に制御する構成としてもよい。
・抵抗可変部として半導体スイッチング素子を用いること以外に、可変抵抗器を用いることも可能である。
12,13…リチウムイオン蓄電池(蓄電手段)、21〜25…スイッチ(スイッチ手段、切替部)、30…制御部(取得部、抵抗制御部)。

Claims (18)

  1. 複数の蓄電手段(12,13)と、
    前記各蓄電手段に通じる電気経路に設けられた複数のスイッチ手段(21〜25)を含み、前記複数の蓄電手段について互いに並列接続された並列状態と互いに直列接続された直列状態とを切り替える切替部と、
    を備える電源システムに適用される電源制御装置(30)であって、
    前記切替部は、切り替え要求に応じて、前記複数の蓄電手段を直列状態と並列状態とで切り替えるものであり、
    前記複数の蓄電手段の状態を示すパラメータとして、前記並列状態又は前記直列状態での前記各蓄電手段の間の経路を含む通電経路に流れる電流の大きさに相関を持つ蓄電状態パラメータを取得する取得部と、
    前記蓄電状態パラメータに基づいて、前記並列状態又は前記直列状態で前記通電経路に存在している抵抗可変部の抵抗値を調整する抵抗制御部と、
    を備え
    前記取得部は、前記直列状態から前記並列状態への切り替え要求が生じた場合に、前記切替部による切り替え完了前及び切り替え完了後においてそれぞれ前記蓄電状態パラメータを取得し、
    前記抵抗制御部は、前記並列状態への切り替え要求後において切り替え完了前及び切り替え完了後に、前記蓄電状態パラメータに基づいて、前記並列状態で前記通電経路に存在している前記抵抗可変部の抵抗値の調整を実施する電源制御装置。
  2. 前記取得部は、前記並列状態への切り替え要求後であってかつ並列切り替え完了前に、前記直列状態下での前記蓄電状態パラメータを、前記並列状態での前記蓄電状態パラメータとして取得し、
    前記抵抗制御部は、前記並列状態への切り替え要求後において並列切り替え完了時点を含む所定期間で、前記並列状態での蓄電状態パラメータとして取得された前記直列状態下での蓄電状態パラメータを用い、フィードフォワード制御により前記抵抗可変部の抵抗値の調整を実施する請求項に記載の電源制御装置。
  3. 前記抵抗制御部は、前記並列状態での前記通電経路において前記複数の蓄電手段の間に存在している前記抵抗可変部(22)の抵抗値を調整する請求項1又は2に記載の電源制御装置。
  4. 前記取得部は、前記並列状態から前記直列状態への切り替え要求が生じた場合に、前記切替部による切り替え完了前及び切り替え完了後においてそれぞれ前記蓄電状態パラメータを取得し、
    前記抵抗制御部は、前記直列状態への切り替え要求後において切り替え完了前及び切り替え完了後に、前記蓄電状態パラメータに基づいて、前記直列状態で前記通電経路に存在している前記抵抗可変部の抵抗値の調整を実施する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  5. 前記取得部は、前記直列状態への切り替え要求後であってかつ直列切り替え完了前に、前記並列状態下での前記蓄電状態パラメータを、前記直列状態での前記蓄電状態パラメータとして取得し、
    前記抵抗制御部は、前記直列状態への切り替え要求後において直列切り替え完了時点を含む所定期間で、前記直列状態での蓄電状態パラメータとして取得された前記並列状態下での蓄電状態パラメータを用い、フィードフォワード制御により前記抵抗可変部の抵抗値の調整を実施する請求項に記載の電源制御装置。
  6. 前記抵抗制御部は、前記直列状態での前記通電経路において前記複数の蓄電手段の間に存在している前記抵抗可変部(25)の抵抗値を調整する請求項4又は5に記載の電源制御装置。
  7. 複数の蓄電手段(12,13)と、
    前記各蓄電手段に通じる電気経路に設けられた複数のスイッチ手段(21〜25)を含み、前記複数の蓄電手段について互いに並列接続された並列状態と互いに直列接続された直列状態とを切り替える切替部と、
    を備える電源システムに適用される電源制御装置(30)であって、
    前記切替部は、切り替え要求に応じて、前記複数の蓄電手段を直列状態と並列状態とで切り替えるものであり、
    前記複数の蓄電手段の状態を示すパラメータとして、前記並列状態又は前記直列状態での前記各蓄電手段の間の経路を含む通電経路に流れる電流の大きさに相関を持つ蓄電状態パラメータを取得する取得部と、
    前記蓄電状態パラメータに基づいて、前記並列状態又は前記直列状態で前記通電経路に存在している抵抗可変部の抵抗値を調整する抵抗制御部と、
    を備え
    前記取得部は、前記並列状態から前記直列状態への切り替え要求が生じた場合に、前記切替部による切り替え完了前及び切り替え完了後においてそれぞれ前記蓄電状態パラメータを取得し、
    前記抵抗制御部は、前記直列状態への切り替え要求後において切り替え完了前及び切り替え完了後に、前記蓄電状態パラメータに基づいて、前記直列状態で前記通電経路に存在している前記抵抗可変部の抵抗値の調整を実施する電源制御装置。
  8. 前記取得部は、前記直列状態への切り替え要求後であってかつ直列切り替え完了前に、前記並列状態下での前記蓄電状態パラメータを、前記直列状態での前記蓄電状態パラメータとして取得し、
    前記抵抗制御部は、前記直列状態への切り替え要求後において直列切り替え完了時点を含む所定期間で、前記直列状態での蓄電状態パラメータとして取得された前記並列状態下での蓄電状態パラメータを用い、フィードフォワード制御により前記抵抗可変部の抵抗値の調整を実施する請求項に記載の電源制御装置。
  9. 前記抵抗制御部は、前記直列状態での前記通電経路において前記複数の蓄電手段の間に存在している前記抵抗可変部(25)の抵抗値を調整する請求項7又は8に記載の電源制御装置。
  10. 前記抵抗制御部は、前記蓄電状態パラメータに基づき、前記並列状態又は前記直列状態で前記通電経路において所定値よりも大きい過電流が流れる状況であるとみなされる場合に、前記抵抗可変部の抵抗値を大きくする側に変更する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  11. 前記取得部は、前記蓄電状態パラメータとして、前記複数の蓄電手段の少なくともいずれかにおいて充放電電流、端子電圧、電気残容量の少なくとも1つを取得し、
    前記抵抗制御部は、前記取得部による取得結果に基づいて、前記抵抗可変部の抵抗値を調整する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  12. 前記取得部は、前記蓄電状態パラメータとして、前記複数の蓄電手段の少なくともいずれかの温度を取得し、
    前記抵抗制御部は、前記取得部による取得結果に基づいて、前記抵抗可変部の抵抗値を調整する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  13. 前記抵抗制御部は、前記複数の蓄電手段の放電時及び充電時の少なくともいずれかで、前記抵抗可変部の抵抗値を調整する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  14. 前記抵抗可変部は、半導体スイッチング素子により構成されており、
    前記抵抗制御部は、前記半導体スイッチング素子のオン状態での抵抗値を調整するものである請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  15. 前記抵抗制御部は、前記複数のスイッチ手段のいずれかを前記抵抗可変部として用い、そのスイッチ手段の抵抗値を調整する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電源制御装置。
  16. 前記スイッチ手段は、半導体スイッチング素子により構成されており、
    前記抵抗制御部は、前記半導体スイッチング素子のオン状態での抵抗値を調整するものである請求項15に記載の電源制御装置。
  17. 前記抵抗制御部は、デジタルアナログ制御又はPWM制御により前記半導体スイッチング素子の抵抗値を調整する請求項14又は16に記載の電源制御装置。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電源制御装置と、
    前記複数の蓄電手段と、
    前記切替部と、
    を備える電源システム。
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