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JP6661444B2 - 固体撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体撮像装置に関し、特に、画素信号の読み出し誤差の低減技術に関するものである。
CMOS型イメージセンサを用いた固体撮像装置に適したシャッタ方式の1つとして、電子シャッタ方式が知られている。電子シャッタ方式は、画素内のフォトダイオードにおいて光電変換及び蓄積される信号電荷をリセットするタイミングを制御することにより、信号電荷の蓄積時間を可変とするものである。
電子シャッタ方式では、行列状に配列された画素の信号電荷が水平同期信号に同期して行ごとに順次リセットされる。そして、蓄積期間経過後に各画素に蓄積された信号電荷が行ごとに順次読み出される。この蓄積期間の長さは、水平同期信号の間隔である水平期間が一定であれば通常はどの行でも等しくなる。しかし、垂直期間の周期が水平同期信号の周期の整数倍とならないような場合には、特定の行において垂直期間の端数期間が調整されることにより、蓄積期間の長さの行間差が大きくなってフリッカ雑音等が生じてしまう。
特許文献1では、蓄積期間の長さの行間差が大きくならないように、水平同期信号の間隔を調整して垂直期間の端数期間を分散させている。
特開2012−129634号公報
固体撮像装置においては、画素で光電変換された電荷に基づく画素信号の読み出しが水平同期信号に同期して行われる。一方、近年の固体撮像装置の多画素化や高フレームレート化により、水平同期信号の周期は短くなっている。水平同期信号の周期が短くなると、出力線に出力された画素信号が安定するまでに要する時間が相対的に大きくなり、画素信号の読み出しを開始するまでに遷移が収束しきらない場合が発生する。
このような場合に、特許文献1のように水平同期信号の間隔が行間で異なると、読み出しタイミングにおける画素信号の収束の状態が行間で異なってしまい、画素信号の読み出し誤差が生じるという課題があった。
本発明に係る固体撮像装置は、各々が画素信号を出力する複数の画素が複数行及び複数列に渡って配置された画素部と、対応する列の画素から画素信号が出力される出力線と、出力線に出力された画素信号を、複数行の一部の行ずつAD変換することでデジタル信号を生成するAD変換部とを各々が備える複数の組と、複数の組の各々のAD変換部からデジタル信号を順次読み出す水平期間として、複数行の一部の行に対応する第1の水平期間と、複数行の別の一部の行に対応する期間であって第1の水平期間よりも長い第2の水平期間とを設定する制御部とを備え、制御部は、第2の水平期間の一部の期間であって、画素信号の出力線への出力が開始する第1のタイミングからAD変換部がAD変換を開始する第2のタイミングまでを除く期間に、第1の水平期間と第2の水平期間との長さの差と、AD変換部の動作とを対応させる調整期間を設けることを特徴とする。
また、本発明に係る別の固体撮像装置は、各々が画素信号を出力する複数の画素が複数行及び複数列に渡って配置された画素部と、対応する列の画素から画素信号が出力される出力線と、出力線に出力された画素信号を、複数行の一部の行ずつAD変換することでデジタル信号を生成するAD変換部とを各々が備える複数の組と、複数の組の各々のAD変換部からデジタル信号を順次読み出す水平期間として、複数行の一部の行に対応する第1の水平期間と、複数行の別の一部の行に対応する期間であって第1の水平期間よりも長い第2の水平期間とを設定する制御部とを備え、一部の行の画素信号が、画素から出力線に出力されてから、AD変換部がAD変換を開始するまでの期間の長さと、別の一部の行の画素信号が、画素から出力線に出力されてから、AD変換部がAD変換を開始するまでの期間の長さとの差を、制御部は、第1の水平期間の長さと第2の水平期間の長さとの差よりも小さくすることを特徴とする。
水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制可能な固体撮像装置を得ることができる。
第1実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る固体撮像装置における画素の構成を示す等価回路図である。 第1実施形態に係る固体撮像装置におけるタイミング生成部の構成を示すブロック図である。 水平期間の調整期間が調整禁止期間外に設けられている場合の第1実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。 水平期間の調整期間が調整禁止期間内に設けられている場合の第1実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。 パイプライン型AD変換を用いる場合の第1実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。 第2実施形態に係る固体撮像装置におけるタイミング生成部の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。 第3実施形態に係る固体撮像装置における画素信号処理部の構成を示すブロック図である。 水平期間の調整期間が調整禁止期間外に設けられている場合の第3実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。 水平期間の調整期間が調整禁止期間内に設けられている場合の第3実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。 第4実施形態に係る固体撮像装置における画素信号処理部のAD変換部の動作を示すタイミングチャートである。 第5実施形態に係る撮像システムの構成例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下で説明する図面において、同じ機能を有するものは同一の符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。図1に示す固体撮像装置は、タイミング生成部1、垂直走査回路2、画素部3、出力線群4、画素信号処理部5、及び同期信号発生部6を備える。
画素部3は、各々が画素信号を出力する複数の画素30が複数行及び複数列に渡って配置されて構成される。ここで、行方向とは図面における水平方向を示し、列方向とは図面における垂直方向を示す。画素部3は、任意の行数および列数の画素30を含み得るが、説明の簡略化のため、図1には限られた数の画素30を示している。画素30は、照射された光を電荷に変換するフォトダイオード等の光電変換素子を含み、保持する電荷に基づく画素信号を同じ列の列信号線40に出力する。出力線群4は、複数の列信号線40を有し、画素部3と画素信号処理部5を列ごとに電気的に接続する。
画素信号処理部5は、図示しないAD変換部及び比較信号発生部を有し、出力線群4に出力される画素信号を行ごとに読み出す。より具体的には、比較信号発生部は、AD変換部が画素信号をAD変換するために参照する信号であって、時間の経過に伴って電位が変化する比較信号を発生する。複数のAD変換部のそれぞれは画素の各列にそれぞれ設けられている。複数のAD変換部のそれぞれは、図示しない列アンプ、コンパレータ、ADカウンタを有し、列アンプは、列信号線40に出力された画素信号を増幅する。コンパレータは、列アンプによって増幅された画素信号と、比較信号発生部が出力する比較信号とを比較する。ADカウンタは、コンパレータによる画素信号と比較信号の比較結果が反転するまでの時間をカウントする。画素信号処理部5は、ADカウント値に基づいて、画素信号の読み出し値を出力する。ここで、対応する列の画素30からの画素信号が出力される列信号線40と、列信号線40に出力された画素信号を複数行の一部の行ずつAD変換するAD変換部とは、複数の組を構成している。
同期信号発生部6は、長さの異なる2以上の水平期間を有する水平同期信号を出力する。以下では、説明の簡略化のため、水平同期信号の間隔は、第1の水平期間と第2の水平期間の2種類であるものとするが、本実施形態はこれに限定されるものではない。タイミング生成部1は、画素部3や画素信号処理部5を駆動するための制御信号を、水平同期信号と同期して生成する。垂直走査回路2は、タイミング生成部1が生成した制御信号を出力することにより、画素部3を行ごとに駆動する。複数行の一部の行についてのAD変換は、第1の水平期間において行われ、複数行の別の一部の行についてのAD変換は、第2の水平期間において行われる。なお、同期信号発生部6は、タイミング生成部1に統合してもよい。この場合、統合後のタイミング生成部1は、水平期間の長さを制御する制御部1´とすることができる。
図2は、第1実施形態に係る固体撮像装置における画素30の構成を示す等価回路図である。画素30は、フォトダイオードPD、転送トランジスタM1、増幅トランジスタM2、リセットトランジスタM3、選択トランジスタM4を有する。転送トランジスタM1、リセットトランジスタM3、選択トランジスタM4は、それぞれ、垂直走査回路2から出力される制御信号TX、RES、SELにより制御される。これらのトランジスタとしては、例えばMOSトランジスタを用いることができる。
フォトダイオードPDは、照射された光を光電変換して蓄積する。転送トランジスタM1は、制御信号TXにより制御され、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を入力ノードへ転送する。ここで、入力ノードとは、転送トランジスタM1のドレイン、リセットトランジスタM3のソース、増幅トランジスタM2のゲートの3つの端子の接続点に形成されたフローティングディフュージョン領域(以下「FD領域」という)のことをいう。FD領域には、フォトダイオードPDから転送された電荷が保持される。
増幅トランジスタM2は、FD領域に保持された電荷に基づく信号を画素信号として出力する。選択トランジスタM4は、制御信号SELにより制御され、列信号線40と接続される画素30を選択する。これにより、選択トランジスタM4により選択された画素30のFD領域に保持された光電変換電荷に基づく画素信号が、列信号線40に出力される。リセットトランジスタM3は、リセット信号RESにより制御され、FD領域に保持された電荷をリセットする。
図3は、第1実施形態に係る固体撮像装置におけるタイミング生成部1の構成を示すブロック図である。本実施形態のタイミング生成部1は、調整部11、パルス生成カウンタ12、及びパルス生成部13を有する。
パルス生成カウンタ12は、水平同期信号の間隔である水平期間が開始してからの経過時間を出力する。より具体的には、パルス生成カウンタ12は、水平同期信号が入力されてからの基準クロックをカウントし、そのカウント値hcntを出力する。基準クロックとしては、水平同期信号の周期に対して十分短い周期を有するものであればどのようなものでもよい。カウント値hcntは、水平同期信号が入力されたタイミングでリセットされる。また、パルス生成カウンタ12のカウント動作は、後述の調整部11からカウントホールド信号h1が出力されている間はホールドされる。
パルス生成部13は、画素部3と画素信号処理部5の少なくとも一方を駆動するための制御信号を生成する。より具体的には、パルス生成部13は、カウント値hcntが設定値nαとなるタイミングで制御信号を立ち上げ、カウント値hcntが設定値nβとなるタイミングで制御信号を立ち下げる。設定値(nα、nβ)の組は、1水平期間中に複数設定されることもある。なお、図3では、タイミング生成部1が1つのパルス生成部13を有する例を示したが、実際のタイミング生成部1は、画素部3や画素信号処理部5を駆動するために必要な制御信号と同じ数だけのパルス生成部13を有する。
調整部11は、水平期間の長さの行間差を調整するための調整期間ΔTを水平期間に設けることによって、第1の水平期間と第2の水平期間の差ΔTを調整する。より具体的には、調整部11は、まず、水平期間が第2の水平期間T2であるか否かを示すfracを参照する。frac=1、すなわち水平期間が第2の水平期間T2の場合には、調整部11は、パルス生成カウンタ12のカウント値hcnt=nfracとなるタイミングで、カウントホールド信号h1を調整期間ΔTだけ出力する。一方、frac=0、すなわち水平期間が第1の水平期間T1の場合には、調整部11は、カウントホールド信号h1を出力しない。このように、本実施形態の調整部11は、パルス生成カウンタ12によるカウント動作をホールドさせることによって、水平期間に調整期間ΔTを設ける。調整部11が調整期間ΔTを設けるタイミングは、設定値nfracにより自由に制御可能である。
図4は、水平期間の調整期間が調整禁止期間外に設けられている場合の第1実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
図4の最上部に示す水平同期信号は、同期信号発生部6により出力される。本実施形態の同期信号発生部6は、長さの異なる2以上の水平期間を有する水平同期信号を出力する。図4には、説明の簡略化のため、水平同期信号の間隔が、第1の水平期間と第2の水平期間の2種類であるものして、第1の水平期間T1、第2の水平期間T2、及び第1の水平期間T1と第2の水平期間T2の差ΔTを示している。
カウント値hcntは、タイミング生成部1のパルス生成カウンタ12により出力される。カウント値hcntの下に斜線で示す調整禁止期間については、後で詳述する。リセット信号RES、選択信号SEL、転送信号TXは、タイミング生成部1により生成される。図4には、第m行、及び第m+1行の画素30に対するリセット信号RES、選択信号SEL、転送信号TXをそれぞれ示している。
画素信号(FD)は、画素30のFD領域に保持された電荷に基づくFD領域における信号のレベルであり、画素信号(出力線)は、選択トランジスタM4がオンされることで列信号線40に出力される画素信号のレベルである。図4に示すように、画素信号(出力線)の遷移は、画素信号(FD)の遷移と比較して時定数が大きく、収束するまでに時間を要する。これは、同一列の画素30で共通に用いられる列信号線40の容量が、画素30のFD領域の容量と比較して大きいためである。図4には、第m行、及び第m+1行の画素30に対する画素信号(FD)をそれぞれ示している。なお、以下の説明では、特に括弧等で明示しない限り、画素信号というときは列信号線40に出力される画素信号(出力線)を指すものとする。
また、図4には、画素信号処理部5のAD変換部における、ランプ信号、コンパレータ出力、及びADカウンタ出力を示す。コンパレータ出力は、ランプ信号>画素信号(出力線)の場合にLowとなり、ランプ信号<画素信号(出力線)の場合にHighとなる。画素信号処理部5は、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされたADカウンタ出力の値に基づいて画素信号の読み出し値を求める。
本実施形態のタイミング生成部1は、水平期間に調整期間ΔTを設けるタイミングを、設定値nfracにより自由に制御可能である。例えば図4では、設定値nfracとしてn3より少し大きい値が設定されており、カウント値hcnt=nfracとなるタイミングで調整期間ΔTが開始する。調整期間ΔTにおいては、パルス生成部13によるパルス生成が遅延されることにより、第1の水平期間と第2の水平期間の差ΔTが調整される。以下、図4のタイミングチャートについて時系列に説明する。
垂直走査回路2は、hcnt=n4のタイミングで、第m行の画素30のリセット信号RESをLowにし、選択信号SELをHighにする。この結果、第m行の画素30のFD領域の電荷がリセットされ、リセットされたFD領域の電荷に基づく画素信号がN信号として列信号線40に出力される。
画素信号処理部5は、hcnt=n5のタイミングで、ランプ信号をリセットする。その後、hcnt=n6のタイミングで、N信号と比較するためのランプ信号の時間の経過に伴った電位の変化を開始する。
画素信号処理部5は、hcnt=n7のタイミングで、ADカウンタのカウント動作を開始し、ランプ信号とN信号との大小関係が逆転するまでの時間をカウントする。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるカウント値DN(m)に基づいてN信号が求められる。
垂直走査回路2は、hcnt=n8のタイミングで、第m行の画素30の転送信号TXをHighにする。この結果、第m行の画素30のフォトダイオードPDに蓄積された電荷がFD領域に転送され、転送された電荷に基づく画素信号がS信号として列信号線40に出力される。
hcnt=n9のタイミングで、水平同期信号が入力され、パルス生成カウンタ12のカウント値hcntがリセットされる。
画素信号処理部5は、hcnt=n1のタイミングで、ランプ信号をリセットする。その後、hcnt=n2のタイミングで、S信号と比較するためのランプ信号の時間の経過に伴った電位の変化を開始する。
画素信号処理部5は、hcnt=n3のタイミングで、ADカウンタのカウント動作を開始し、ランプ信号とS信号との大小関係が逆転するまでの時間をカウントする。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるカウント値DS(m)に基づいてS信号が求められる。そして、このようにして得られたN信号及びS信号から、ノイズ補正された画素信号が求められ、画素信号処理部5による読み出し値として出力される。
ここで、前述のように、画素信号(出力線)の遷移は時定数が大きいので収束するまでに時間を要する。このため、図4に示すように、画素信号処理部5が画素信号の読み出しを開始するまでに、画素信号の遷移が収束しきらない場合が生じる。このような場合に、第1の水平期間T1と第2の水平期間T2とで画素信号の読み出しを開始するタイミングが異なると、画素信号の収束の状態が行間で異なってしまい、画素信号の読み出し誤差が生じてしまう。この読み出し誤差については、この後、図5を用いて詳述する。
そこで、本実施形態では、図4に斜線部で示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの調整禁止期間外に、調整期間ΔTを設けるようにする。ここで、第1のタイミングは、画素30が画素信号を出力線群4へ出力開始するhcnt=n4のタイミングである。また、第2のタイミングは、AD変換の開始のタイミングであって、画素信号処理部5がランプ信号の時間の経過に伴った電位の変化を開始するhcnt=n6のタイミングである。
これにより、N信号の遷移が収束しきらない場合であっても、図4に示すように、ランプ信号とN信号との大小関係が逆転するレベルVcnは、水平期間の調整期間ΔTの有無に関わらず同一となる。この結果、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とするN信号の読み出し誤差を抑制することができる。
また、S信号についても、N信号と同様に、画素30が画素信号を出力線群4へ出力開始するhcnt=n8の第1のタイミングから、ランプ信号の出力を開始するhcnt=n2の第2のタイミングまでを調整禁止期間とする。そして、調整禁止期間外に調整期間ΔTを設けるようにする。
これにより、S信号の遷移が収束しきらない場合であっても、図4に示すように、ランプ信号とS信号との大小関係が逆転するレベルVcsは、水平期間の調整期間ΔTの有無に関わらず同一となる。この結果、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とするS信号の読み出し誤差を抑制することができる。
図5は、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合の第1実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。図5に示すタイミングチャートは図4のタイミングチャートと比較して、水平期間の調整期間ΔTが、調整禁止期間外ではなく調整禁止期間内に設けられている点が異なっている。その他については図4と同じであるので説明は省略する。
図5では、第2の水平期間に開始する調整禁止期間Tcs2内に調整期間ΔTが設けられている。一方、第1の水平期間T1に開始する調整禁止期間Tcs1には調整期間ΔTは設けられていない。調整禁止期間Tcs1及び調整禁止期間Tcs2の長さは、パルス生成カウンタ12がカウントする基準クロックを単位として、それぞれ下式(1−1)及び(1−2)で表される。なお、図5に示す調整期間ΔTが終了してからn10までの期間は短いので下式(1−2)では無視している。
Tcs1=n9−n8+n2 (1−1)
Tcs2=n9−n8+n2+ΔT (1−2)
上式(1−1)、(1−2)より、調整禁止期間Tcs1の長さと調整禁止期間Tcs2の長さは調整期間ΔTだけ異なっている。このため、調整期間ΔTが終わるまで遅延されるランプ信号の電位の変化が開始するタイミングn2が遅延してしまう。
特に、画素信号処理部5がランプ信号の電位の変化を開始するまでにS信号の遷移が収束しきらないような場合には、ランプ信号とS信号との大小関係が逆転するレベルが、図5に示すVcs1とのVcs2のように、水平期間T1、T2で異なってしまう。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるADカウンタ出力も、図5に示すDS(m)とDS(m+1)のように行間で異なり、DS(m+1)−DS(m)がS信号の読み出し誤差となってしまう。
N信号についても同様に、画素信号処理部5がランプ信号の電位の変化を開始するまでにN信号の遷移が収束しきらないような場合には、ランプ信号とN信号との大小関係が逆転するレベルが、第1の水平期間T1と第2の水平期間T2で異なってしまう。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるADカウンタ出力も、図5に示すDN(m)とDN(m+1)のように行間で異なり、DN(m+1)−DN(m)がN信号の読み出し誤差となってしまう。
このように、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合には、画素信号の読み出し誤差が生じてしまうことが分かる。しかし、本実施形態では、調整禁止期間外に調整期間を設けるので、画素信号の読み出しを開始するまでに画素信号の遷移が収束しきらない場合であっても、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。また、別の見方をすれば、画素信号の出力線群4への出力が開始されてからAD変換部がAD変換を開始するまでの期間の長さの、第1の水平期間と第2の水平期間とにおける差を、第1の水平期間と第2の水平期間との長さの差よりも小さくすればよい。より好ましくは、第1の水平期間と第2の水平期間のそれぞれの、画素信号の画素30から出力線群4への出力が開始されてから、AD変換部がAD変換を開始するまでの期間の長さを等しくすればよい。この場合でも、調整禁止期間外に調整期間を設ける場合と同様に、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
図4、図5では、比較信号としてランプ信号を用いる場合のAD変換方法の例を示したが、本実施形態はこのようなAD変換方法に限定されるものではない。例えば、AD変換方法として、パイプライン型AD変換や、逐次比較型AD変換を用いる場合でも同様の効果を得ることができる。図6は、パイプライン型AD変換を用いる場合の第1実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
図6には、パイプライン型AD変換において画素信号(出力線)と比較される4ビットの比較信号を示している。図6に示す4ビットのパイプライン型のAD変換部は、比較信号の振幅の中心値“1000”を初期値とする。時刻t1において、画素信号が列信号線40に出力される。AD変換の開始のタイミングである、時刻t2において、AD変換部は、画素信号<比較信号の場合は、画素信号を次の比較値“0100”と比較する。一方、画素信号≧比較信号の場合は、画素信号を別の次の比較値“1100”と比較する。AD変換部は、同様の手順により、上位ビットから逐次比較していき、最終的に“1000”をAD変換値として出力する。
一方、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合には、パイプライン型AD変換は、調整期間ΔT遅延した時刻t3に開始する。この場合のAD変換出力は“0111”となり、調整期間ΔTが設けられない場合のAD変換出力“1000”とは異なってしまう。
このように、AD変換方法としてパイプライン型AD変換を用いる場合であっても、比較信号としてランプ信号を用いる場合と同様に、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合には、画素信号の読み出し誤差が生じてしまうことが分かる。本実施形態では、調整禁止期間外に調整期間ΔTを設けているので、用いるAD変換方法に関わらず、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、画素信号の出力線への出力が開始する第1のタイミングから、AD変換部がAD変換を開始する第2のタイミングまでの期間を調整禁止区間としている。そして、第2の水平期間の一部の期間であって、調整禁止区間を除く期間に、第1の水平期間と第2の水平期間との長さの差と、AD変換部の動作とを対応させる調整期間を設ける制御部を備えている。これにより、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
なお、本実施形態では、パルス生成カウンタによるカウント動作をホールドさせて(遅らせて)、第1の水平期間T1が、より長い第2の水平期間T2となるように調整する方法について説明した。しかし、本実施形態はこのような方法に限定されるものではない。例えば、パルス生成カウンタによるカウント動作を進ませて、第2の水平期間T2が、より短い第1の水平期間T1となるように調整する場合でも同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のタイミング生成部1は、図3に示す構成に限定されるものではない。タイミング生成部1は、パルス生成カウンタ12によるカウント動作をホールドさせることによって、調整禁止期間外において水平期間の長さの行間差を調整する構成を有してさえいればよい。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る固体撮像装置について、図7、図8を用いて説明する。第1実施形態では、パルス生成カウンタによるカウント動作をホールドさせることによって、調整禁止期間外において水平期間の長さの行間差を調整する方法について説明した。これに対し、本実施形態では、制御信号の生成タイミングを規定する設定値を変換することによって、調整禁止期間の長さが行間で等しくなるように調整する方法について説明する。
図7は、第2実施形態に係る固体撮像装置におけるタイミング生成部1bの構成を示すブロック図である。本実施形態のタイミング生成部1bは、調整部11b、パルス生成カウンタ12b、及びパルス生成部13bを有する。
パルス生成カウンタ12bは、水平同期信号の間隔である水平期間が開始してからの経過時間を出力する。より具体的には、パルス生成カウンタ12bは、水平同期信号が入力されてからの基準クロックをカウントし、そのカウント値hcntを出力する。基準クロックとしては、水平同期信号の周期に対して十分短い周期を有するものであればどのようなものでもよい。カウント値hcntは、水平同期信号が入力されたタイミングでリセットされる。
パルス生成部13bは、画素部3と画素信号処理部5の少なくとも一方を駆動するための制御信号を生成する。より具体的には、調整部11bは、まず、水平期間が第2の水平期間T2であるか否かを示すfracを参照する。frac=1の場合には、カウント値hcnt=nα´で制御信号を立ち上げ、カウント値hcnt=nβ´で制御信号を立ち下げる。一方、frac=0の場合には、カウント値hcnt=nαで制御信号を立ち上げ、カウント値hcnt=nβで制御信号を立ち下げる。なお、詳細は後述するが、fracの代わりに、第2の水平期間T2の更に次の水平期間であるか否かを示すfrac1を参照することもある。また、設定値(nα、nβ)及び(nα´、nβ´)は、1水平期間中に複数設定されることもある。また、図7では、タイミング生成部1bが1つのパルス生成部13bを有する例を示したが、実際のタイミング生成部1bは、画素部3や画素信号処理部5を駆動するために必要な制御信号と同じ数だけのパルス生成部13bを有する。
本実施形態のパルス生成カウンタ12bは、第1実施形態のパルス生成カウンタ12とは異なり、カウント動作をホールドする機能を有していない。このため、本実施形態における調整期間ΔTは、図5に示した場合と同様に、調整期間ΔTを設けないときの水平カウンタの最大値であるn9から開始する。しかし、図5では、既に述べたように、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられてしまうので、画素信号の読み出し誤差が生じてしまう。
そこで、本実施形態の調整部11bは、調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられた場合であっても、水平期間の調整禁止期間の長さが行間で等しくなるように、制御信号の生成タイミングを規定する設定値(nα、nβ)を(nα´、nβ´)に変換する。より具体的には、調整部11bは、制御信号の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを規定する設定値(nα、nβ)のいくつかを調整期間ΔT分だけ減算する。
図8は、第2実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。図8に示すタイミングチャートでは、水平期間の調整禁止期間の長さが行間で等しくなるように、制御信号の生成タイミングを規定する設定値n1、n2が、n1´、n2´に変換されている。その他については図5と同じであるので説明は省略する。
これにより、図8では、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合であっても、水平期間の調整禁止期間の長さが行間で等しくなるので、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制できる。
より具体的に本実施形態の処理を例示すると、調整部11bは、AD変換の開始のタイミングであるランプ信号の電位の変化の開始タイミングn2を、下式(1−3)のように変換する。ここで、下式(1−3)の調整期間ΔTは、パルス生成カウンタ12がカウントする基準クロック単位で表している。
n2’=n2−ΔT (1−3)
図8に示す例のように、設定値(nα、nβ)の変換が水平同期信号を跨いで行われ、n2’=n2−ΔT<0となるような場合には、上式(1−3)の代わりに、下式(1−4)のように変換する。n9は第1の水平期間T1の水平カウンタの最大値である。
n2’=n2+n9 (1−4)
水平期間が第2の水平期間T2であることを示すfrac=1のときには、上式(1−4)に示す変換を行い、水平期間が第2の水平期間T2の更に次の水平期間であることを示すfrac1=1のときには、上式(1−3)に示す変換を行うようにする。
以上のように、本実施形態は、水平期間の長さの行間差を調整する調整部を有している。そして、調整部は、画素が画素信号を出力線群へ出力開始する第1のタイミングから、AD変換部がAD変換を開始する第2のタイミングまでを調整禁止期間とし、調整禁止期間の長さが行間で等しくなるように調整する。これにより、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
なお、本実施形態では、制御信号の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを規定する設定値(nα、nβ)を調整期間ΔT分だけ減算する方法について説明した。しかし、本実施形態はこのような方法に限定されるものではない。例えば、制御信号の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを規定する設定値(nα、nβ)を調整期間ΔT分だけ加算する場合でも同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のタイミング生成部1bは、図7に示す構成に限定されるものではない。タイミング生成部1bは、水平期間の調整禁止期間の長さが行間で等しくなるように、制御信号の生成タイミングを規定する設定値を変換する構成を有してさえいればよい。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係る固体撮像装置について、図9〜図11を用いて説明する。本実施形態では、画素信号処理部5が、列信号線40に出力された画素信号をサンプリング及びホールドするサンプルホールド部を有する場合について説明する。
図9は、第3実施形態に係る固体撮像装置における画素信号処理部5の構成を示すブロック図である。本実施形態の画素信号処理部5は、複数のサンプルホールド部51およびAD変換部52を有する。
サンプルホールド部51は、列信号線40に出力された画素信号を順次サンプリング及びホールドする。具体的には、サンプルホールド部51は、列信号線40に出力された画素信号を取り込むサンプリング動作を行った後、サンプリングした画素信号を保持するホールド動作を行う。AD変換部52は、サンプルホールド部51がホールドした画素信号(SH)をAD変換する。ここで、対応する列の画素30からの画素信号が出力される列信号線40と、列信号線40に出力された画素信号を複数行の一部の行ずつサンプリング及びホールドするサンプルホールド部51とは、複数の組を構成している。複数行の一部の行についてのサンプリング及びホールドは、第1の水平期間において行われ、複数行の別の一部の行についてのサンプリング及びホールドは、第2の水平期間において行われる。なお、同期信号発生部6は、タイミング生成部1に統合してもよい。この場合、統合後のタイミング生成部1は、水平期間の長さを制御する制御部1´とすることができる。
図10は、水平期間の調整期間が調整禁止期間外に設けられている場合の第3実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。図10に示すタイミングチャートは、図4に示すタイミングチャートと比較して、列信号線40に出力された画素信号がそのままAD変換されるのではなく、一旦サンプリング及びホールドされてからAD変換される点が異なっている。その他については図4と同じであるので説明は省略する。
垂直走査回路2は、hcnt=n4のタイミングで、第m行の画素30のリセット信号RESをLowにし、選択信号SELをHighにする。この結果、第m行の画素30のFD領域の電荷がリセットされ、リセットされたFD領域の電荷に基づく画素信号がN信号として列信号線40に出力される。
画素信号処理部5は、hcnt=n5のタイミングで、ランプ信号をリセットする。同時に、サンプルホールド部51は、列信号線40に出力されたN信号のサンプリングを開始する。その後、hcnt=n6のタイミングで、N信号と比較するためのランプ信号の時間の経過に伴った電位の変化が開始されると同時に、サンプルホールド部51は、N信号の値をホールドする。
画素信号処理部5は、hcnt=n7のタイミングで、ADカウンタのカウント動作を開始し、ホールドされたN信号とランプ信号との大小関係が逆転するまでの時間をカウントする。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるカウント値DN(m)に基づいてN信号が求められる。
垂直走査回路2は、hcnt=n8のタイミングで、第m行の画素30の転送信号TXをHighにする。この結果、第m行の画素30のフォトダイオードPDに蓄積された電荷がFD領域に転送され、転送された電荷に基づく画素信号がS信号として列信号線40に出力される。
hcnt=n9のタイミングで、水平同期信号が入力され、パルス生成カウンタ12のカウント値hcntがリセットされる。
画素信号処理部5は、hcnt=n1のタイミングで、ランプ信号をリセットする。同時に、サンプルホールド部51は、列信号線40に出力されたS信号のサンプリングを開始する。その後、hcnt=n2のタイミングで、S信号と比較するためのランプ信号の時間の経過に伴った電位の変化が開始されると同時に、サンプルホールド部51は、S信号の値をホールドする。
画素信号処理部5は、hcnt=n3のタイミングで、ADカウンタのカウント動作を開始し、ホールドされたS信号とランプ信号との大小関係が逆転するまでの時間をカウントする。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるカウント値DS(m)に基づいてS信号が求められる。そして、このようにして得られたN信号及びS信号から、ノイズ補正された画素信号が求められ、画素信号処理部5による読み出し値として出力される。
ここで、第1実施形態と同様に、画素信号(出力線)の遷移は時定数が大きいので収束するまでに時間を要する。このため、図10に示すように、サンプルホールド部51が画素信号のホールドを開始するまでに、画素信号の遷移が収束しきらない場合が生じる。このような場合に、第1の水平期間T1と第2の水平期間T2とで、画素信号がホールドされるタイミングが異なると、行間で画素信号の読み出し誤差が生じてしまう。
そこで、本実施形態では、画素30が画素信号を出力線群4へ出力開始するhcnt=n4の第1のタイミングから、サンプルホールド部51がN信号をホールドするhcnt=n6の第2のタイミングまでを調整禁止期間とする。そして、調整禁止期間外に調整期間ΔTを設けるようにする。図10に斜線部で示す期間が調整禁止期間である。
これにより、N信号の遷移が収束しきらない場合であっても、図10に示すように、ホールドされたN信号とランプ信号との大小関係が逆転するレベルVcnは、水平期間の調整期間ΔTの有無に関わらず同一となる。この結果、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とするN信号の読み出し誤差を抑制することができる。
また、S信号についても、N信号と同様に、画素30が画素信号を出力線群4へ出力開始するhcnt=n8の第1のタイミングから、サンプルホールド部51がS信号をホールドするhcnt=n2の第2のタイミングまでを調整禁止期間とする。そして、調整禁止期間外に調整期間ΔTを設けるようにする。
これにより、S信号の遷移が収束しきらない場合であっても、図10に示すように、ホールドされたS信号とランプ信号との電位の大小関係が逆転するレベルVcsは、水平期間の調整期間ΔTの有無に関わらず同一となる。この結果、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とするS信号の読み出し誤差を抑制することができる。また、別の見方をすれば、画素信号の出力線群4への出力が開始されてからサンプルホールド部51がホールドするまでの期間の長さの、第1の水平期間と第2の水平期間とにおける差を、第1の水平期間と第2の水平期間との長さの差よりも小さくすればよい。より好ましくは、第1の水平期間と第2の水平期間のそれぞれの、画素信号の画素30から出力線群4への出力が開始されてから、サンプルホールド部51がホールドするまでの期間の長さを等しくすればよい。この場合でも、調整禁止期間外に調整期間を設ける場合と同様に、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
図11は、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合の第3実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。図11に示すタイミングチャートは図10のタイミングチャートと比較して、水平期間の調整期間ΔTが、調整禁止期間外ではなく調整禁止期間内に設けられている点が異なっている。その他については図10と同じであるので説明は省略する。
図11では、第2の水平期間に開始する調整禁止期間Tcs2内に調整期間ΔTが設けられている。一方、第1の水平期間T1に開始する調整禁止期間Tcs1には調整期間ΔTは設けられていない。調整禁止期間Tcs1及び調整禁止期間Tcs2の長さは、パルス生成カウンタ12がカウントする基準クロックを単位として、それぞれ下式(2−1)及び(2−2)で表される。なお、図11に示す調整期間ΔTが終了してからn10までの期間は短いので下式(2−2)では無視している。
Tcs1=n9−n8+n2 (2−1)
Tcs2=n9−n8+n2+ΔT (2−2)
上式(2−1)、(2−2)より、調整禁止期間Tcs1の長さと調整禁止期間Tcs2の長さは調整期間ΔTだけ異なっている。このため、調整期間ΔTが終わるまで遅延されるS信号のホールド開始タイミングn2が遅延してしまう。
特に、S信号がホールドされるまでにS信号の遷移が収束しきらないような場合には、ホールドされたS信号とランプ信号との大小関係が逆転するレベルが、図11に示すVcs1とのVcs2のように、行間で異なってしまう。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるADカウンタ出力も、図11に示すDS(m)とDS(m+1)のように行間で異なり、DS(m+1)−DS(m)がS信号の読み出し誤差となってしまう。
N信号についても同様に、N信号がホールドされるまでにN信号の遷移が収束しきらないような場合には、ホールドされたN信号とランプ信号との大小関係が逆転するレベルが、第1の水平期間T1と第2の水平期間T2で異なってしまう。この結果、コンパレータ出力の立ち上りでラッチされるADカウンタ出力も、図11に示すDN(m)とDN(m+1)のように行間で異なり、DN(m+1)−DN(m)がN信号の読み出し誤差となってしまう。
このように、水平期間の調整期間ΔTが調整禁止期間内に設けられている場合には、画素信号の読み出し誤差が生じてしまうことが分かる。しかし、本実施形態では、調整禁止期間外に調整期間ΔTを設けるので、画素信号がホールドされるまでに画素信号の遷移が収束しきらない場合であっても、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、画素信号の出力線への出力が開始する第1のタイミングから、サンプルホールド部がホールドする第2のタイミングまでの期間を調整禁止区間としている。そして、第2の水平期間の一部の期間であって、調整禁止区間を除く期間に、第1の水平期間と第2の水平期間との長さの差と、サンプルホールド部の動作とを対応させる調整期間を設ける制御部を備えている。これにより、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差を抑制することができる。
なお、図10では、画素信号処理部5にAD変換部52を有する例を示したが、AD変換部52は固体撮像装置の外部にあっても構わない。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態に係る固体撮像装置について、図12を用いて説明する。本実施形態では、画素信号処理部5が比較信号の出力を開始してからADカウントを開始するまでの期間を更に調整禁止期間として含める方法について説明する。
図12は、第4実施形態に係る固体撮像装置における画素信号処理部5のAD変換部の動作を示すタイミングチャートである。図12(a)は、調整期間ΔTが設けられない場合のAD変換動作を示す。一方、図12(b)は、調整期間ΔTが設けられる場合のAD変換動作を示す。
図12(a)では、時刻t1において比較信号発生部が比較信号の出力を開始し、時刻t2においてADカウンタがADカウントを開始する。時刻t3において、比較信号が画素信号と交差し、コンパレータの出力が立ち上がる。この結果、図12(a)では、ADカウンタ値d1が画素信号の値として読み出される。
一方、図12(b)では、比較信号発生部が比較信号の出力を開始する時刻t1より後であって、ADカウンタがカウントを開始する時刻t2の直前に、調整期間ΔTが開始している。これにより、ADカウンタがカウントを開始する時刻t2が、時刻t2’(=t2+ΔT)に遅延してしまう。この結果、図12(b)では、ADカウンタのカウント値d2が画素信号の値として読み出される。
このように、第1実施形態で規定した調整禁止期間外に調整期間ΔTを設けたとしても、比較信号の出力開始タイミングt1とADカウンタのカウント開始タイミングt2が異なる場合にはAD変換結果に誤差が生じてしまう。これは、ADカウンタのカウント開始タイミングt2が、比較信号の出力開始タイミングt1より早い場合であっても同様である。
そこで、本実施形態では、比較信号発生部が比較信号の出力を開始するタイミングとADカウンタがカウントを開始するタイミングのいずれか遅い方を第2のタイミングとする。そして、画素が画素信号を出力線群へ出力開始する第1のタイミングから第2のタイミングまでの調整禁止期間外において水平期間の長さの行間差を調整する。これにより、水平同期信号の間隔が行間で異なることを起因とする画素信号の読み出し誤差をより抑制することができる。
(第5実施形態)
上述の各実施形態で述べた固体撮像装置は、種々の撮像システムに適用可能である。撮像システムの一例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダー、監視カメラなどがあげられる。
図13は、第5実施形態に係る撮像システムの構成例を示すブロック図である。図13に示す撮像システムは、バリア901、レンズ902、絞り903、固体撮像装置904、AFセンサ905、信号処理装置906、デジタル信号処理部908、メモリ部909、タイミング発生部911、全体制御演算部912を備える。これ以外にも、外部I/F回路910、記録媒体制御I/F部913、記録媒体914、外部コンピュータ915等を備えてもよい。
バリア901はレンズ902をプロテクトする。レンズ902は被写体の光学像を固体撮像装置904に結像する。絞り903はレンズ902を通過した光量を調整する。固体撮像装置904は第1〜第4実施形態の固体撮像装置であり、レンズ902で結像された被写体の光学像を画像信号として取得する。AFセンサ905はAF処理のための焦点情報を取得する。信号処理装置906は固体撮像装置904やAFセンサ905から出力される信号を処理する。
デジタル信号処理部908は、信号処理装置906より出力された画像データに対して各種の補正や、データの圧縮をする。メモリ部909は画像データを一時記憶する。外部I/F回路910は外部コンピュータなどと通信する。タイミング発生部911はデジタル信号処理部908などに各種タイミング信号を出力する。全体制御演算部912は各種演算とカメラ全体を制御する。記録媒体制御I/F部913は記録媒体914を制御する。記録媒体914は取得した画像データを記録したり読み出したりする半導体メモリ等である。外部コンピュータ915は、取得した画像データを送信する外部のコンピュータである。
次に、図13に示す撮像システムの撮影時の動作について説明する。バリア901がオープンされると、全体制御演算部912は、AFセンサ905から出力された信号をもとに、位相差検出により被写体までの距離を演算する。
その後、演算結果に基づいてレンズ902を駆動し、再び合焦しているか否かを判断し、合焦していないと判断したときには、再びレンズ902を駆動するオートフォーカス制御を行う。次いで、合焦が確認された後には、固体撮像装置904が撮像を開始する。固体撮像装置904が撮像された画像信号を出力すると、全体制御演算部912は、固体撮像装置904から出力された画像信号を、信号処理装置906及びデジタル信号処理部908を介して読み出し、メモリ部909に書き込む。その後、全体制御演算部912は、メモリ部909に蓄積されたデータを、記録媒体制御I/F部913を介して記録媒体914に記録する。あるいは、外部I/F回路910を介して外部コンピュータ915などに入力する。
以上のように、本実施形態の撮像システムは、固体撮像装置904を適用して撮像動作を行うことが可能である。撮像システムは少なくとも固体撮像装置904と、固体撮像装置904から出力された出力信号を処理する信号処理装置906とを有していればよい。
(変形実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 タイミング生成部
2 垂直走査回路
3 画素部
4 出力線群
5 画素信号処理部
6 同期信号発生部
11 調整部
12 パルス生成カウンタ
13 パルス生成部
30 画素
40 列信号線
51 サンプルホールド部
52 AD変換部

Claims (11)

  1. 各々が画素信号を出力する複数の画素が複数行及び複数列に渡って配置された画素部と、
    対応する列の画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に出力された前記画素信号を、前記複数行の一部の行ずつAD変換することでデジタル信号を生成するAD変換部とを各々が備える複数の組と、
    前記複数の組の各々の前記AD変換部から前記デジタル信号を順次読み出す水平期間として、前記複数行の一部の行に対応する第1の水平期間と、前記複数行の別の一部の行に対応する期間であって前記第1の水平期間よりも長い第2の水平期間とを設定する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記第2の水平期間の一部の期間であって、前記画素信号の前記出力線への出力が開始する第1のタイミングから前記AD変換部がAD変換を開始する第2のタイミングまでを除く期間に、前記第1の水平期間と前記第2の水平期間との長さの差と、前記AD変換部の動作とを対応させる調整期間を設けることを特徴とする固体撮像装置。
  2. 前記AD変換部が前記画素信号をAD変換するために参照する、時間の経過に伴って電位が変化する比較信号を出力する比較信号発生部を更に備え、
    前記第2のタイミングは、前記比較信号発生部が前記比較信号の時間の経過に伴った電位の変化を開始するタイミングである
    ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
  3. 前記AD変換部が前記画素信号をAD変換するために参照する、時間の経過に伴って電位が変化する比較信号を出力する比較信号発生部を更に備え、
    前記AD変換部は、前記比較信号の時間の経過に伴った電位の変化の開始のタイミングと、前記比較信号と前記画素信号との大小関係が逆転するタイミングとに対応してカウント動作を行うADカウンタを有し、
    前記第1の水平期間と前記第2の水平期間とのそれぞれにおいて、前記比較信号の時間の経過に伴った電位の変化の開始から、前記カウント動作の開始までの期間が互いに等しい ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
  4. 前記第2のタイミングは、前記比較信号発生部が前記比較信号の出力を開始するタイミングと、前記ADカウンタがカウントを開始するタイミングのいずれか遅い方であることを特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。
  5. 前記AD変換部は、パイプライン型AD変換または逐次比較型AD変換を用いて前記画素信号をAD変換する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
  6. 各々が画素信号を出力する複数の画素が複数行及び複数列に渡って配置された画素部と、
    対応する列の画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に出力された前記画素信号を、前記複数行の一部の行ずつサンプリングおよびホールドするサンプルホールド部とを各々が備える複数の組と、
    前記複数の組の各々の前記サンプルホールド部が前記画素信号を順次サンプリングおよびホールドする水平期間として、前記複数行の一部の行に対応する第1の水平期間と、前記複数行の別の一部の行に対応する期間であって前記第1の水平期間よりも長い第2の水平期間とを設定する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記第2の水平期間の一部の期間であって、前記画素信号の前記出力線への出力が開始する第1のタイミングから前記サンプルホールド部がホールドする第2のタイミングまでを除く期間に、前記第1の水平期間と前記第2の水平期間との長さの差と、前記サンプルホールド部の動作とを対応させる調整期間を設けることを特徴とする固体撮像装置。
  7. 前記画素は、前記画素信号を前記出力線に出力する選択トランジスタを有し、前記第1のタイミングは、前記選択トランジスタがオンされるタイミングである
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
  8. 前記制御部は、前記水平期間が開始してからの経過時間をカウントするパルス生成カウンタを有し、前記パルス生成カウンタによるカウント動作を、前記第2の水平期間に対して、前記第1の水平期間において遅らせる、あるいは進ませることによって、前記調整期間を生成する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
  9. 各々が画素信号を出力する複数の画素が複数行及び複数列に渡って配置された画素部と、
    対応する列の画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に出力された前記画素信号を、前記複数行の一部の行ずつAD変換することでデジタル信号を生成するAD変換部とを各々が備える複数の組と、
    前記複数の組の各々の前記AD変換部から前記デジタル信号を順次読み出す水平期間として、前記複数行の一部の行に対応する第1の水平期間と、前記複数行の別の一部の行に対応する期間であって前記第1の水平期間よりも長い第2の水平期間とを設定する制御部とを備え、
    前記一部の行の前記画素信号が、前記画素から前記出力線に出力されてから、前記AD変換部がAD変換を開始するまでの期間の長さと、前記別の一部の行の前記画素信号が、前記画素から前記出力線に出力されてから、前記AD変換部がAD変換を開始するまでの期間の長さとの差を、前記制御部は、前記第1の水平期間の長さと前記第2の水平期間の長さとの差よりも小さくすることを特徴とする固体撮像装置。
  10. 各々が画素信号を出力する複数の画素が複数行及び複数列に渡って配置された画素部と、
    対応する列の画素から前記画素信号が出力される出力線と、前記出力線に出力された前記画素信号を、前記複数行の一部の行ずつサンプリングおよびホールドするサンプルホールド部とを各々が備える複数の組と、
    前記複数の組の各々の前記サンプルホールド部が前記画素信号を順次サンプリングおよびホールドする水平期間として、前記複数行の一部の行に対応する第1の水平期間と、前記複数行の別の一部の行に対応する期間であって前記第1の水平期間よりも長い第2の水平期間とを設定する制御部とを備え、
    前記一部の行の前記画素信号が、前記画素から前記出力線に出力されてから、前記サンプルホールド部が当該画素信号をホールドするまでの期間の長さと、前記別の一部の行の前記画素信号が、前記画素から前記出力線に出力されてから、前記サンプルホールド部が当該画素信号をホールドするまでの期間の長さとの差を、前記制御部は、前記第1の水平期間の長さと前記第2の水平期間の長さとの差よりも小さくすることを特徴とする固体撮像装置。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の固体撮像装置と、
    前記固体撮像装置から出力される信号を処理する信号処理装置と、
    を備えることを特徴とする撮像システム。
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