以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた車両用動力伝達装置16(以下、動力伝達装置16という)とを備えている。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材としてのケース18(図2参照)内に配設されたトルクコンバータ(流体伝動装置)20および自動変速機22と、自動変速機22の出力回転部材である変速機出力ギヤ24がリングギヤ26aに連結された差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)26と、差動歯車装置26に連結された一対の車軸28等とを備えている。動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、トルクコンバータ20、自動変速機22、差動歯車装置26、及び車軸28等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
エンジン12は、車両10の動力源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。
図2は、トルクコンバータ20や自動変速機22の一例を説明する骨子図である。なお、トルクコンバータ20や自動変速機22等は、自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸30の軸心RCに対して略対称的に構成されており、図2ではその軸心RCの下半分が省略されている。
図2および図3に示すように、トルクコンバータ20は、相互に溶接されたフロントカバー34およびリヤカバー35と、リヤカバー35の内側に固定された複数のポンプ羽根20fとを有し、エンジン12のクランク軸12aと動力伝達可能に連結され、軸心RC回りに回転するように配設されたポンプ翼車(入力部材)20pと、リヤカバー35に対向し、変速機入力軸30に動力伝達可能に連結されたタービン翼車(出力部材)20tとを備えている。トルクコンバータ20は、後述する制御油室20d内にロックアップ係合圧PSLUが供給されることによってポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間を直結可能なロックアップクラッチ32を備えている。このように、トルクコンバータ20は、エンジン12と自動変速機22との間の動力伝達経路に設けられた、ロックアップクラッチ32付車両用流体式伝動装置として機能している。また、動力伝達装置16には、ポンプ翼車20pに動力伝達可能に連結された機械式のオイルポンプ33が備えられている。オイルポンプ33は、エンジン12によって回転駆動されることにより、自動変速機22を変速制御したり、ロックアップクラッチ32を係合したり、動力伝達装置16の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の油圧を発生する(吐出する)。
ロックアップクラッチ32は、油圧式多板摩擦クラッチ(湿式多板クラッチ)であり、そのロックアップクラッチ32には、図3に示すように、ポンプ翼車20pと一体的に連結されたフロントカバー34に溶接によって固定された第1環状部材36と、第1環状部材36の外周に形成された外周スプライン歯36aに軸心RC回りに相対回転不能且つ軸心RC方向の移動可能に係合された複数枚(本実施例では3枚)の環状の第1摩擦板38と、トルクコンバータ20内に設けられたダンパ装置40を介して変速機入力軸30およびタービン翼車20tに動力伝達可能に連結された第2環状部材42と、第2環状部材42の内周に形成された内周スプライン歯42aに軸心RC回りに相対回転不能且つ軸心RC方向の移動可能に係合され且つ複数の第1摩擦板38との間に配設された複数枚(本実施例では2枚)の環状の第2摩擦板44と、フロントカバー34の内周部34aに固定され変速機入力軸30のフロントカバー34側の端部を軸心RC回りに回転可能に支持するハブ部材46に、軸心RC方向の移動可能に支持され、フロントカバー34に対向する環状の押圧部材(ピストン)48と、ハブ部材46に位置固定で支持され、押圧部材48のフロントカバー34側とは反対側に押圧部材48に対向するように配設された環状の固定部材50と、押圧部材48を軸心RC方向において固定部材50側に付勢するすなわち押圧部材48を軸心RC方向において第1摩擦板38および第2摩擦板44から離間させる方向に付勢するリターンスプリング52と、が備えられている。
トルクコンバータ20には、図3に示すように、フロントカバー34およびリヤカバー35内に設けられ、オイルポンプ33から出力された作動油が供給される作動油供給ポート20aおよび作動油供給ポート20aから供給された作動油を流出させる作動油流出ポート20bを有する主油室(トルクコンバータ油室)20cが形成されている。また、トルクコンバータ20の主油室20c内には、ロックアップクラッチ32と、ロックアップクラッチ32を係合させるためのすなわちロックアップクラッチ32の第1摩擦材38および第2摩擦材44を押圧する押圧部材48をフロントカバー34側へ付勢するための例えばロックアップ係合圧PSLUが供給される制御油室20dと、ロックアップクラッチ32を解放させるためのすなわち押圧部材48をフロントカバー34側とは反対側へ付勢するための後述する例えば第2ライン油圧Psecが供給されるフロント側油室20eと、フロント側油室20eと連通しフロント側油室20eからの作動油で満たされてその作動油を作動油流出ポート20bから流出させるリヤ側油室20gとが設けられている。なお、上記制御油室20dは押圧部材48と固定部材50との間に形成された油密な空間であり、上記フロント側油室20eは押圧部材48とフロントカバー34との間に形成された空間であり、上記リヤ側油室20gは主油室20cにおいて制御油室20dおよびフロント側油室20eを除く空間である。
トルクコンバータ20では、図3に示すように、例えば、制御油室20dに供給される油圧すなわちロックアップオン圧PLupON(kPa)が比較的大きく(フロント側油室20eの油圧すなわちトルクコンバータイン圧PTCin(kPa)が比較的小さく)なることにより押圧部材48が付勢されて一点鎖線に示すようにフロントカバー34側に移動させられると、押圧部材48によって第1摩擦板38および第2摩擦板44を押圧して第1環状部材36に連結されたポンプ翼車20pと第2環状部材42に連結されたタービン翼車20tとが一体回転する。すなわち、トルクコンバータ20では、ロックアップクラッチ32が係合すると、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとが直結する。また、例えば、制御油室20dのロックアップオン圧PLupON(kPa)が比較的小さく(フロント側油室20eのトルクコンバータイン圧PTCin(kPa)が比較的大きく)なることにより押圧部材48が実線に示すように第1摩擦板38から離間した位置に移動させられると、第1環状部材36に連結されたポンプ翼車20pと第2環状部材42に連結されたタービン翼車20tとが相対回転する。すなわち、トルクコンバータ20では、ロックアップクラッチ32が解放すると、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとが解放する。
ロックアップクラッチ32は、制御油室20d内のロックアップオン圧PLupON(kPa)と、フロント側油室20e内のトルクコンバータイン圧PTCin(kPa)および作動油流出ポート20bから出力されるトルクコンバータアウト圧PTCout(kPa)の平均値((PTCin+PTCout)/2)との差圧すなわちロックアップ差圧ΔP(=PLupON−(PTCin+PTCout)/2)に基づいて、伝達トルクが制御される。なお、上記したロックアップ差圧(係合圧)ΔP=PLupON−(PTCin+PTCout)/2の式は、予め実験等によって決定された実験式である。また、上記式において、トルクコンバータイン圧PTCinとトルクコンバータアウト圧PTCoutは、エンジン回転数Ne(rpm)、タービン回転数Nt(rpm)、それらの差回転(エンジン回転数−タービン回転数)ΔN(rpm)、第2ライン油圧Psec(kPa)、ATF油温Toil(℃)、エンジントルクTe(Nm)等により変化する。なお、上記トルクコンバータアウト圧PTCoutは、エンジン回転数Ne、タービン回転数Nt、ATF油温Toil等が変化してトルクコンバータ20のリヤ側油室20g内の遠心油圧が変化することによって、変化する。
ロックアップクラッチ32は、電子制御装置(制御装置)56によって油圧制御回路(油圧回路)54を介してロックアップ差圧ΔPが制御されることで、例えば、ロックアップ差圧ΔPが負とされてロックアップクラッチ32が解放される所謂ロックアップ解放状態(ロックアップオフ)と、ロックアップ差圧ΔPが零以上とされてロックアップクラッチ32が滑りを伴って半係合される所謂ロックアップスリップ状態(スリップ状態)と、ロックアップ差圧ΔPが最大値とされてロックアップクラッチ32が完全係合される所謂ロックアップ状態(ロックアップオン)とのうちの何れかの作動状態に切り替えられる。なお、トルクコンバータ20は、ロックアップクラッチ32がロックアップ状態、ロックアップスリップ状態、ロックアップ解放状態であっても、フロント側油室20eとリヤ側油室20gとが同室すなわちフロント側油室20eとリヤ側油室20gとが常時相互に連通しており、作動油供給ポート20aからリヤ側油室20gへ向かう作動油によってロックアップクラッチ32が常時冷却される。
自動変速機22は、エンジン12から駆動輪14までの動力伝達経路の一部を構成し、複数の油圧式摩擦係合装置(第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2)およびワンウェイクラッチF1が選択的に係合又は解放されることによりギヤ比(変速比)が異なる複数のギヤ段(変速段)が形成される有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式多段変速機である。例えば、車両によく用いられる所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う有段変速機である。自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置58と、ラビニヨ型に構成されているシングルピニオン型の第2遊星歯車装置60およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置62とを同軸線上(軸心RC上)に有し、変速機入力軸30の回転を変速して変速機出力ギヤ24から出力する。
第1遊星歯車装置58は、外歯歯車である第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1と同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1および第1リングギヤR1と噛み合う、一対の歯車対からなる第1ピニオンギヤP1と、その第1ピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1とを有している。
第2遊星歯車装置60は、外歯歯車である第2サンギヤS2と、第2サンギヤS2と同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2および第2リングギヤR2と噛み合う第2ピニオンギヤP2と、その第2ピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2とを有している。
第3遊星歯車装置62は、外歯歯車である第3サンギヤS3と、第3サンギヤS3と同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤR3と、その第3サンギヤS3および第3リングギヤR3と噛み合う、一対の歯車対からなる第3ピニオンギヤP3と、その第3ピニオンギヤP3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3とを有している。
これら油圧式摩擦係合装置の係合と解放とが制御されることで、図4の係合作動表に示すように、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて前進8段、後進1段の各ギヤ段が形成される。図4の「1st」-「8th」は前進ギヤ段としての第1変速段−第8速変速段を意味し、「Rev」は後進ギヤ段としての後進変速段を意味しており、各変速段に対応する自動変速機22のギヤ比γ(=変速機入力軸回転速度Nin/変速機出力ギヤ回転速度Nout)は、第1遊星歯車装置58、第2遊星歯車装置60、及び第3遊星歯車装置62の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)によって適宜定められる。
図5に示すように、油圧制御回路54には、ロックアップコントロールバルブ64と、オイルポンプ33から発生する油圧を元圧としてリリーフ形の第1ライン圧調圧弁67により調圧された第1ライン油圧PLを、ロックアップ係合圧PSLUに調圧するリニアソレノイドバルブSLUと、第1ライン油圧PLを元圧としてモジュレータ油圧PMODを一定値に調圧するモジュレータバルブ66とが備えられている。上記油圧制御回路54には、前記油圧式摩擦係合装置の図示しない各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6(図1参照)が備えられている。なお、図5では、上記リニアソレノイドバルブSLUの元圧として第1ライン圧PLが用いられていたが、その第1ライン圧PLに替えてモジュレータ油圧PMODが用いられていても良い。
また、図5に示すように、ロックアップコントロールバルブ64は、ロックアップ係合圧PSLUが所定値を超えるとOFF位置からON位置へ切り換えられる型式の2位置切換弁であって、ON位置では、第1油路L1を閉路し、第2油路L2を第3油路L3へ接続し、第1油路L1を排出油路EXへ接続し、第4油路L4をクーラー68へ接続し、且つ第5油路L5を第6油路L6へ接続する。上記第1油路L1は、トルクコンバータ20の作動油流出ポート20bから出力されたトルクコンバータアウト圧PTCoutが導かれる油路である。上記第2油路L2は、リニアソレノイドバルブSLUによって調圧されたロックアップ係合圧PSLUが導かれる油路である。上記第3油路L3は、トルクコンバータ20の制御油室20dに供給されるロックアップオン圧PLupONが導かれる油路である。上記第4油路L4は、第1ライン圧調圧弁67からリリーフされた油圧を元圧として第2ライン圧調圧弁69により調圧された第2ライン油圧Psecが導かれる油路である。上記第5油路L5は、モジュレータバルブ66によって一定値に調圧されたモジュレータ油圧PMODが導かれる油路である。上記第6油路L6は、トルクコンバータ20のフロント側油室20eに供給されるトルクコンバータイン圧PTCinが導かれる油路である。
また、ロックアップコントロールバルブ64は、図5に示すように、OFF位置では、第1油路L1を第3油路L3へ接続し、第2油路L2を閉路し、第1油路L1をクーラー68へ接続し、第4油路L4を第6油路L6へ接続し、且つ第5油路L5を閉路する。ロックアップコントロールバルブ64は、スプール弁子をOFF位置側へ付勢するスプリング64aと、スプール弁子をON位置側へ付勢するためにロックアップ係合圧PSLUを受け入れる油室64bとを備えている。ロックアップコントロールバルブ64では、ロックアップ係合圧PSLUが比較的小さく設定された所定値より小さい場合には、スプリング64aの付勢力によってスプール弁子がOFF位置に保持される。また、ロックアップコントロールバルブ64では、ロックアップ係合圧PSLUが前記所定値より大きい場合には、スプリング64aの付勢力に抗してスプール弁子がON位置に保持される。なお、図5のロックアップコントロールバルブ64では、実線はスプール弁子がON位置であるときの流路を示し、破線はスプール弁子がOFF位置であるときの流路を示している。
上記のように構成された油圧制御回路54により、ロックアップコントロールバルブ64からトルクコンバータ20における制御油室20dおよびフロント側油室20eへ供給される油圧が切換えられることで、ロックアップクラッチ32の作動状態が切り替えられる。先ず、ロックアップクラッチ32がスリップ状態乃至ロックアップオンとされた場合を説明する。ロックアップコントロールバルブ64において、電子制御装置56から出力される指令信号によって前記所定値より大きくされたロックアップ係合圧PSLUが供給されると、ロックアップコントロールバルブ64がON位置に切り替えられ、ロックアップ係合圧PSLUがトルクコンバータ20の制御油室20dへ供給されると共に、ロックアップコントロールバルブ64に供給されたモジュレータ油圧PMODがトルクコンバータ20のフロント側油室20eへ供給される。すなわち、ロックアップ係合圧PSLUがロックアップオン圧PLupONとして制御油室20dに供給され、モジュレータ油圧PMODがトルクコンバータイン圧PTCinとしてフロント側油室20eに供給される。なお、ロックアップコントロールバルブ64がON位置に切り替えられると、ロックアップオン圧PLupONと、トルクコンバータイン圧PTCinと、トルクコンバータアウト圧PTCoutとの大きさの関係は、ロックアップオン圧PLupON>トルクコンバータイン圧PTCin>トルクコンバータアウト圧PTCoutとなる。これによって、トルクコンバータ20の制御油室20dのロックアップオン圧(係合圧)PLupONがリニアソレノイドバルブSLUにより調圧されることにより、ロックアップ差圧(PLupON−(PTCin+PTCout)/2)ΔPが調圧されて、ロックアップクラッチ32の作動状態がスリップ状態乃至ロックアップオン(完全係合)の範囲で切り替えられる。
次に、ロックアップクラッチ32がロックアップオフとされた場合を説明する。ロックアップコントロールバルブ64において、ロックアップ係合圧PSLUが前記所定値より小さい場合には、ロックアップコントロールバルブ64がスプリング64aの付勢力によりOFF位置に切り替えられ、トルクコンバータ20の作動油流出ポート20bから出力されたトルクコンバータアウト圧PTCoutがトルクコンバータ20の制御油室20dへ供給されると共に、第2ライン油圧Psecがトルクコンバータ20のフロント側油室20eへ供給される。すなわち、トルクコンバータアウト圧PTCoutがロックアップオン圧PLupONとして制御油室20dに供給され、第2ライン油圧Psecがトルクコンバータイン圧PTCinとしてフロント側油室20eに供給される。なお、ロックアップコントロールバルブ64がOFF位置に切り替えられると、上記ロックアップオン圧PLupONと、トルクコンバータイン圧PTCinと、トルクコンバータアウト圧PTCoutとの大きさの関係は、トルクコンバータイン圧PTCin>トルクコンバータアウト圧PTCout>ロックアップオン圧PLupONとなる。これによって、ロックアップクラッチ32の作動状態がロックアップオフに切り替えられる。
図1に戻り、車両10は、例えばロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUすなわちロックアップ差圧ΔPを制御するロックアップクラッチ制御と、自動変速機22の変速時の油圧式摩擦係合装置の係合圧を制御する変速制御等とを油圧制御回路54を介して実行する電子制御装置56を備えている。図1は、電子制御装置56の入出力系統を示す図であり、電子制御装置56による制御機能の要部を説明する機能ブロックである。電子制御装置56は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各制御を実行する。
電子制御装置56には、車両10が備える各種センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、スロットル弁開度センサ70により検出されるスロットル弁開度θth(%)を表す信号、車速センサ72により検出される車速V(km/h)を表す信号、エンジン回転センサ74により検出されるエンジン12のエンジン回転数Ne(rpm)を表す信号、タービン回転センサ76により検出されるトルクコンバータ20のタービン翼車20tのタービン回転数Nt(rpm)を表す信号、アクセル操作量センサ78により検出されるアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Acc(%)を表す信号、油温センサ80により検出されるトルクコンバータ20内の作動油の実際の油温Toil(℃)を表す信号、油圧センサ82により検出されるロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLU(kPa)を表す信号等、が電子制御装置56に入力される。また、電子制御装置56からは、自動変速機22の変速に関する油圧制御の為の変速指示圧Satと、ロックアップクラッチ32の作動状態の切替制御のためのロックアップ指示圧Slu等とが、それぞれ出力される。なお、上記変速指示圧Satは、油圧式摩擦係合装置の図示しない各油圧アクチュエータへ供給される各油圧を調圧するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を駆動する為の指示信号であり、油圧制御回路54のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6へ出力される。また、上記ロックアップ指示圧Sluは、ロックアップ係合圧PSLUを調圧するリニアソレノイドバルブSLUを駆動する為の指示信号であり、油圧制御回路54のリニアソレノイドバルブSLUへ出力される。
図1に示す電子制御装置56は、制御機能の要部として、ロックアップクラッチ制御部90と、クイックフィル制御終了判定部92と、定圧待機制御終了判定部94と、引継制御終了条件成立判定部96と、指令圧補正必要性判定部98とを含んでいる。また、ロックアップクラッチ制御部90には、フレックスロックアップ制御部90aと、フレックスロックアップ制御開始判定部90bと、フレックスロックアップ制御終了判定部90cとが備えられている。また、フレックスロックアップ制御部90aは、クイックフィル制御実行部90dと、定圧待機制御実行部90eと、引継制御実行部90fと、差回転制御実行部90gとを有している。
ロックアップクラッチ制御部90は、ロックアップクラッチ32のロックアップ差圧(PLupON−(PTCin+PTCout)/2)ΔPすなわちロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sluを制御するロックアップクラッチ制御を実行する。ロックアップクラッチ制御部90は、車速Vおよびスロットル弁開度θthを変数として、ロックアップオフ領域、フレックスロックアップ領域、完全ロックアップ領域を有する予め定められた関係(ロックアップ領域線図)を用いて、実際の車速Vおよびスロットル弁開度θthで表される車両状態が、ロックアップオフ領域、フレックスロックアップ領域、完全ロックアップ領域の何れの領域であるかを判断し、その判断した領域に対応する作動状態にロックアップクラッチ32の作動状態がなるように、指示信号であるロックアップ指示圧Sluを制御する。このロックアップ指示圧Sluに従って、判断した領域に対応する作動状態にロックアップクラッチ32の作動状態がなるように油圧制御回路54に設けられたリニアソレノイドバルブSLUが駆動(作動)する。
フレックスロックアップ制御部90aは、ロックアップクラッチ制御部90での前記ロックアップ領域線図で前記車両状態が前記フレックスロックアップ領域であると判断すると、ロックアップクラッチ32を完全係合させずにトルクコンバータ20においてポンプ翼車20pとタービン翼車20tとを所定の差回転でロックアップクラッチ32がスリップするように、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sluを制御するフレックスロックアップ制御を実行する。なお、上記フレックスロックアップ制御が実行開始すると、例えば図7に示すように、後述する、クイックフィル制御、定圧待機制御、引継制御、差回転制御(基本制御)の順にそれぞれの制御を実行する。また、図7において、第1フェーズPH1はクイックフィル制御を実行する段階であり、第2フェーズPH2は定圧待機制御を実行する段階であり、第3フェーズPH3は引継制御を実行する段階であり、第4フェーズPH4は差回転制御を実行する段階である。
フレックスロックアップ制御開始判定部90bは、フレックスロックアップ制御部90aでフレックスロックアップ制御を実行開始したか否かを判定する。例えば、フレックスロックアップ制御開始判定部90bでは、ロックアップクラッチ制御部90での前記ロックアップ領域線図で前記車両状態が前記フレックスロックアップ領域であると判断すると、フレックスロックアップ制御部90aでフレックスロックアップ制御を実行開始したと判定する。
フレックスロックアップ制御終了判定部90cは、フレックスロックアップ制御開始判定部90bでフレックスロックアップ制御を実行開始したと判断すると、フレックスロックアップ制御を終了したか否かを判定する。例えば、フレックスロックアップ制御終了判定部90cでは、ロックアップクラッチ制御部90での前記ロックアップ領域線図で前記車両状態が前記ロックアップオフ領域または前記完全ロックアップ領域であると判断すると、フレックスロックアップ制御部90aでフレックスロックアップ制御を終了したと判定する。
クイックフィル制御実行部90dは、フレックスロックアップ制御開始判定部90bでフレックスロックアップ制御を実行開始したと判断すると、例えば図7の第1フェーズPH1に示すようなクイックフィル制御を実行する。上記クイックフィル制御は、リニアソレノイドバルブSLUのロックアップ指示圧Sluを、予め定められた一定時間tc1の間は値Sa1で維持し、一定時間tc1経過後、予め定められた値Sa2まで低下させる。なお、上記の値Sa1は、例えば、フレックスロックアップ制御開始判定部90bでフレックスロックアップ制御を実行開始したと判断した時のエンジン12の出力トルクTeを用いて、例えば予め記憶されたマップによって算出される。また、クイックフィル制御実行部90dは、クイックフィル制御が開始されてから一定時間tc1が経過するとクイックフィル制御を終了する。
クイックフィル制御終了判定部92は、クイックフィル制御実行部90dでクイックフィル制御を開始すると、そのクイックフィル制御を終了したか否かを判定する。例えば、クイックフィル制御終了判定部92では、クイックフィル制御実行部90dでクイックフィル制御を開始してから一定時間tc1経過すると、クイックフィル制御を終了したと判定する。
定圧待機制御実行部90eは、クイックフィル制御終了判定部92でクイックフィル制御を終了したと判断すると、図7の第2フェーズPH2に示すような定圧待機制御を実行する。上記定圧待機制御は、リニアソレノイドバルブSLUのロックアップ指示圧Sluを、予め設定された一定のスイ―プ率Ra1で値Sa3まで低下させて、上記値Sa3で予め定められた一定時間tc2の間維持する。なお、上記スイ―プ率Ra1は、例えば、上記の値Sa2から値Sa3まで低下させられて経過した時間t(sec)当たりのロックアップ指示圧Sluの低下量で示される。なお、上記値Sa3は、例えば、クイックフィル制御終了判定部92でクイックフィル制御を終了したと判断した時のエンジン12の出力トルクTeを用いて、例えば予め記憶されたマップによって算出される。また、定圧待機制御実行部90eは、定圧待機制御が開始されてから一定時間tc3が経過すると定圧待機制御を終了させる。
なお、クイックフィル制御実行部90dで実行されるクイックフィル制御と定圧待機制御実行部90eで実行される定圧待機制御は、ロックアップクラッチ32のパッククリアランスを速やかに詰めるパック詰め制御であり、クイックフィル制御実行部90dおよび定圧待機制御実行部90eは、上記パック詰め制御を実行するパック詰め制御部としての機能を有している。また、上記パッククリアランスは、図3に示すように例えばロックアップクラッチ32に設けられた押圧部材48がリターンスプリング52により戻された位置から第1摩擦板38に当接するまでの隙間又はピストンストロークである。
定圧待機制御終了判定部94は、定圧待機制御実行部90eで定圧待機制御を開始すると、その定圧待機制御が終了したか否かを判定する。例えば、定圧待機制御終了判定部94では、定圧待機制御実行部90eで定圧待機制御を開始してから一定時間tc3経過すると、定圧待機制御を終了したと判定する。
引継制御実行部90fは、定圧待機制御終了判定部94で定圧待機制御を終了したと判断すると、図7の第2フェーズPH2に示すような定圧待機制御(パック詰め制御)からロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sluを増加させて差回転制御への引継ぎを行う引継制御を実行する。上記引継制御は、定圧待機制御終了判定部94で定圧待機制御が終了したことに伴いロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sluをスイ―プ率Ra2で一定時間tc4の間昇圧させる昇圧制御を開始する制御である。なお、上記スイープ率Ra2および一定時間tc4は、例えば、定圧待機制御終了判定部94で定圧待機制御が終了したと判断した時のエンジン12の出力トルクTe、エンジン回転数Ne、タービン回転数Nt、油温Toil等を用いて、例えばマップ等によって算出する。
引継制御終了条件成立判定部96は、引継制御実行部90fで引継制御を開始すると、その引継制御を終了させる条件が成立したか否か、すなわち前記昇圧制御を終了させて前記差回転制御を開始させる条件が成立したか否かを判定する。例えば、引継制御終了条件成立判定部96では、ロックアップクラッチ32の実際の差回転ΔNCLと予め設定した目標差回転ΔNCL*との差が所定値A以下となる状態(ΔNCL−ΔNCL*≦A)が予め定められた第1時間ta1以上継続した場合に、引継制御を終了させる条件が成立したと判定する。なお、上記差回転ΔNCLは、ポンプ翼車20pの回転数すなわちエンジン回転数Ne(rpm)と、タービン翼車20tの回転数すなわちタービン回転数Nt(rpm)との差回転である。また、例えば、引継制御終了条件成立判定部96では、ロックアップクラッチ32の実際のロックアップ係合圧PSLUが予め設定したパッククリアランスが詰められるストロークエンド圧PENDより所定圧α以上高い状態(PSLU≧PEND+α)であり、且つ昇圧制御の開始から予め設定された第2時間ta2以上経過した場合に、引継制御を終了させる条件が成立したと判定する。なお、上記所定圧αは、ストロークエンド圧PENDのばらつき相当する圧である。
引継制御終了条件成立判定部96が引継制御を終了させる条件が成立したと判断すると、引継制御実行部90fは引継制御を終了させ、差回転制御実行部90gは、図7の第4フェーズPH4に示すような差回転制御の実行を開始する。上記差回転制御は、トルクコンバータ20においてポンプ翼車20pとタービン翼車20tとを予め設定された目標差回転ΔNCL*にロックアップクラッチ32の実際の差回転ΔNCLが一致するように、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sluを制御する。
差回転制御実行部90gに設けられた指示圧算出部90hは、引継制御終了条件成立判定部96で引継制御を終了させる条件が成立したと判断すると、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sluをサンプリングタイム毎に例えばフィードバック制御式(1)を用いて算出する。但し、CPは比例ゲインであり、CIは積分ゲインであり、e1は目標差回転ΔNCL*と差回転ΔNCLとの偏差(ΔNCL*−ΔNCL)である。
Slu=CP×e1+CI×∫e1dt ・・・(1)
指示圧補正必要性判定部98は、指示圧算出部90hでロックアップ指示圧Sluを算出したと判断すると、その算出したロックアップ指示圧Sluを補正する必要があるか否かを判定する。例えば、指示圧補正必要性判定部98では、モデル目標差回転ΔNCLM*(図7参照)と目標差回転ΔNCL*との偏差e2が所定値以上である場合に、算出したロックアップ指示圧Sluを補正する必要があると判定する。なお、上記モデル目標差回転ΔNCLM*は、例えば、指示圧算出部90hでロックアップ指示圧Sluを算出した時のロックアップ指示圧Slu等を用いて、例えばマップ等によって算出する。または、上記モデル目標差回転ΔNCLM*は、指示圧算出部90hでロックアップ指示圧Sluを算出した時におけるロックアップ指示圧Sluおよびエンジン12の出力トルクTe等を用いて、例えばマップ等によって算出しても良い。
指示圧算出部90hに設けられた補正部90iは、指示圧補正必要性判定部98でロックアップ指示圧Sluを補正する必要があると判断すると、指示圧算出部90hで算出されたロックアップ指示圧Sluを補正する。例えば、補正部90iでは、モデル目標差回転ΔNCLM*と目標差回転ΔNCL*との偏差e2を用いて、補正ゲインGを例えばマップ等によって算出し、その補正ゲインGを上記式(1)における比例ゲインCPおよび積分ゲインCIに乗算してロックアップ指示圧Sluを補正する。また、補正部90iでは、モデル目標差回転ΔNCLM*と目標差回転ΔNCL*との偏差e2を用いて、補正量V1を例えばマップ等によって算出し、その補正量V1を算出したロックアップ指示圧Sluに加えることによってロックアップ指示圧Sluを補正しても良い。
差回転制御実行部90gは、フレックスロックアップ制御終了判定部90cでフレックスロックアップ制御を終了したと判断すると、差回転制御を終了する。
図6は、電子制御装置56において、フレックスロックアップ制御中において定圧待機制御から差回転制御への引継ぎを行う引継制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。また、図7は、図6のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。なお、図7のタイムチャートは、アクセルペダルが踏み込まれているアクセルON状態における加速時のフレックスロックアップ制御を示す図である。
先ず、フレックスロックアップ制御開始判定部90bの機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、フレックスロックアップ制御が開始したか否かが判定される。S1の判定が否定される場合には、本ルーチンが終了させられるが、S1の判定が肯定される場合(図7のt1時点)には、クイックフィル制御実行部90dの機能に対応するS2が実行される。S2では、ロックアップクラッチ32のパッククリアランスを詰めるパック詰め制御の一つであるクイックフィル制御が実行される。次に、クイックフィル制御終了判定部92の機能に対応するS3が実行される。S3では、クイックフィル制御を開始してから一定時間tc1が経過してクイックフィル制御が終了したか否かが判定される。S3の判定が否定される場合には、上記S2が再度実行されるが、S3の判定が肯定される場合(図7のt2時点)には、定圧待機制御実行部90eの機能に対応するS4が実行される。S4では、ロックアップクラッチ32のパッククリアランスを詰めるパック詰め制御の一つである定圧待機制御が実行される。
次に、定圧待機制御終了判定部94の機能に対応するS5が実行される。S5では、定圧待機制御を開始してから一定時間tc3が経過して定圧待機制御が終了したか否かが判定される。S5の判定が否定される場合には、上記S4が再度実行されるが、S5の判定が肯定される場合(図7のt3時点)には、引継制御実行部90fの機能に対応するS6が実行される。S6では、引継制御が実行される。次に、引継制御終了条件成立判定部96の機能に対応するS7が実行される。S7では、引継制御を終了させる条件が成立したか否かが判定される。S7の判定が否定される場合には、上記S6が再度実行されるが、S7の判定が肯定される場合(図7のt4時点)には、指示値算出部90hの機能に対応するS8が実行される。S8では、差回転制御を実行するためのロックアップクラッチ32のロックアップ指示圧Sluが算出される。次に、指令圧補正必要性判定部98の機能に対応するS9が実行される。
S9では、上記S8で算出されたロックアップ指示圧Sluを補正する必要性があるか否かが判定される。S9の判定が否定される場合には、差回転制御実行部90gの機能に対応するS10が実行されるが、S9の判定が肯定される場合には、補正部90iの機能に対応するS11が実行される。S11では、上記S8で算出されたロックアップ指示圧Sluがモデル目標差回転ΔNCLM*と目標差回転ΔNCL*との偏差e2を用いて補正される。S10では、ロックアップ指示圧Sluに基づいて差回転制御が実行される。次に、フレックスロックアップ制御終了判定部90cの機能に対応するS12が実行される。S12では、フレックスロックアップ制御が終了したか否かが判定される。S12の判定が否定される場合には、上記S8が実行されるが、S12の判定が肯定される場合には、本ルーチンが終了させられる。
なお、図7のタイムチャートでは、ロックアップクラッチ32の実際のロックアップ係合圧PSLUが予め設定したパッククリアランスが詰められるストロークエンド圧PENDより所定圧α以上高い状態であり、且つ昇圧制御の開始(t3時点)から予め設定された第2時間ta2以上経過した場合(t4時点)に、前記昇圧制御を終了させて前記引継制御から前記差回転制御へ移行している。
上述のように、本実施例の動力伝達装置16の電子制御装置56によれば、前記引継制御は、前記パック詰め制御の終了に伴いロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUを昇圧させる昇圧制御を開始し、実際の差回転ΔNCLと目標差回転ΔNCL*との差が所定値A以下となる状態が予め設定された第1時間ta1以上継続した場合、または、ロックアップクラッチ32の実際のロックアップ係合圧PSLUがパッククリアランスが詰められるストロークエンド圧PENDより所定圧α以上高く、且つ前記昇圧制御の開始から予め設定された第2時間ta2以上経過した場合に、前記昇圧制御を終了させて、前記差回転制御を開始させる。このため、実際の差回転ΔNCLと前記目標差回転ΔNCL*との差が所定値A以下となる状態が予め設定された第1時間ta1以上継続した場合には、前記差回転制御の開始に適した差回転ΔNCLにロックアップクラッチ32の実際の差回転ΔNCL*が近づいているので、前記差回転制御を開始することができる。また、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUがパッククリアランスが詰められるストロークエンド圧PENDより所定圧α以上高く、且つ前記昇圧制御の開始から予め設定された第2時間ta2以上経過した場合には、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUがストロークエンド圧PENDより所定圧α以上高い状態であり前記パッククリアランスが確実に詰められていると考えられるので、前記差回転制御を開始することができる。これによって、パック詰め制御から差回転制御へ移行する時間を、例えばロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUが所定圧に等しくなるまで前記引継制御を実行するものに比べて、好適に短くすることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例のトルクコンバータ20は、作動油供給ポート20aと、作動油流出ポート20bと、制御油室20dにロックアップ係合圧PSLUを供給するポートとを有し、ロックアップ制御の開始時に押圧部材48が移動することによって押圧部材48とフロントカバー34との間の作動油が圧縮されて背圧((PTCin+PTCout)/2)が上昇する3ポート構造であったが、それ以外のトルクコンバータ20例えば、上記背圧((PTCin+PTCout)/2)が作用されない2ポート構造のトルクコンバータでも本発明を適用させることができる。
また、前述の実施例では、車両10にはトルクコンバータ20が用いられていたが、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のない流体式伝動装置(フルードカップリング)などが用いられても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。