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JP6513533B2 - 積繊装置 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維材料、吸水性ポリマー等の原材料を吸引して積繊させ、所定形状の吸収体を得るのに好適に用いられる積繊装置に関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体の製造装置として、外周面に集積用凹部を有する回転ドラムと、該外周面にパルプ等の原材料を供給する供給路を内部に有するダクトとを備え、該回転ドラムを回転軸周りに回転させつつ、該外周面に原材料を飛散状態にて供給し、吸引孔が多数形成された多孔性部材からなる該集積用凹部の底部(原材料の積繊面)からの吸引により、原材料を該集積用凹部に積繊させる積繊装置が知られている。また、吸収性物品用の吸収体として、中央部が周辺部よりも突出したいわゆる中高部を有する中高吸収体が知られている。中高吸収体は、表面に凹凸の無い通常の平坦な吸収体に比して、吸収性物品の着用時のフィット性や漏れ防止性を大幅に向上させ得る。
従来、積繊装置を用いて中高吸収体を製造する場合には、集積用凹部の底部の形状が製造目的物である中高吸収体の凹凸形状に対応した形状とされた、積繊装置が用いられていた。しかし、集積用凹部へのパルプ積繊ではパルプ堆積厚の増加に伴って集積用凹部の底部に生ずる吸引力が徐々に低下するため、そのような、集積用凹部の底部が凹凸形状である積繊装置を用いて常法通りにパルプ積繊を行うと、集積用凹部における相対的に深さの深い部分(中高部に対応する部分)で積繊密度が意図せずに不均一になる、集積用凹部全体で積繊が不完全となり集積用凹部内の積繊物の表面に意図しない窪みが生じる、等の不都合が生じるおそれがある。
特許文献1には、このような中高吸収体の製造に関わる課題に鑑みてなされた、前記の「集積用凹部の底部が凹凸形状である積繊装置」の改良技術が開示されている。特許文献1記載の積繊装置は、集積用凹部に原材料を供給する際の供給路として機能するダクト(ケーシング3により囲まれてなるチャンバ室3C)に主たる特徴を有するもので、ダクトの内部形状を工夫することで、ダクト内においてパルプ等の原材料を運搬する空気流を、中高部の形成に適したものに調整し得るようになされている。
特開2007−260297号公報
特許文献1記載の積繊装置は、ダクト内の空気流の調整を目的としてダクト内に、回転ドラムの回転軸方向の外方から内方に向かって膨出する膨出部を有しているところ、その膨出部に、集積用凹部に供給されるべき原材料が溜まるおそれがあり、それによって、積繊物(吸収体)の品質、製造効率等が低下するおそれがある。また、特許文献1記載の積繊装置は、原材料が空気流に乗って流れるダクト内の所定位置に、前記膨出部を有する「集積板」なる特殊な部材を配置して構成されており、構成が比較的複雑で、保守管理が面倒という欠点もある。
本発明の課題は、積繊量が部分的に異なる積繊物を効率良く製造し得る積繊装置を提供することに関する。
本発明は、外周面に集積用凹部が形成された回転ドラムと、該外周面に原材料を供給する供給路を内部に有するダクトとを備え、該回転ドラムを回転軸周りに回転させつつ、該回転ドラムの内部側からの吸引によって該供給路に生じた空気流に乗って搬送された原材料を、該集積用凹部に積繊させる積繊装置であって、前記ダクトにおける原材料供給方向の下流側の開口が、前記回転ドラムの外周面の一部に対向配置され、該開口を画成する該ダクトの該下流側の端部は、前記集積用凹部を挟んで該回転ドラムの回転方向に延在する、一対のドラム回転方向対応部を含んでおり、該一対のドラム回転方向対応部は、それぞれ、該回転ドラムの外周面に対して隙間を置いて配置されており、前記隙間を調整する隙間調整機構を備える積繊装置である。
また本発明は、前記の本発明の積繊装置を用いた吸収体の製造方法であって、空気流に乗せて供給した原材料を、前記積繊装置の集積用凹部に吸引して積繊させる積繊工程を具備し、前記積繊工程において、前記隙間調整機構で前記隙間を調整することによって、該隙間を介して前記ダクトの外部から内部に流入する空気の量を調整する吸収体の製造方法である。
本発明によれば、積繊量が部分的に異なる積繊物を効率良く製造し得る積繊装置が提供される。本発明の積繊装置は、回転ドラムの外周面に形成された集積用凹部の、ドラム幅方向の両外方位置にて、該外周面と該集積用凹部に原材料を供給するダクトとの間の隙間を調整可能になされているため、該隙間を調整することによって、ダクト外から該隙間を介してダクト内に流入する空気の量を調整可能であり、斯かる空気量の調整によって、中高吸収体を効率良く製造することができる。
図1は、本発明の積繊装置の一実施態様を示す概略斜視図である。 図2は、図1に示す積繊装置の概略構成を示す模式的な側面図である。 図3は、図1に示す積繊装置における隙間調整機構としての隙間調整プレートを模式的に示す斜視図である。 図4(a)〜図4(c)は、それぞれ、図1に示す積繊装置における集積用凹部での原材料の積繊の様子を模式的に示す、回転ドラムの回転軸方向に沿う断面図であり、図4(a)は回転ドラムの回転方向上流側の位置での積繊の様子、図4(c)は回転方向下流側の位置での積繊の様子、図4(b)は両者の中間位置での積繊の様子をそれぞれ示している。 図5は、本発明の積繊装置の他の実施態様における隙間調整機構としての隙間調整プレート及びジャッキ機構を模式的に示す斜視図である。 図6(a)は、図5に示す隙間調整機構の模式的な正面図、図6(b)は、該隙間調整機構の模式的な側面図である。
以下に、本発明の積繊装置について、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2には、本発明の積繊装置の一実施態様の概略構成が示されている。本実施態様の積繊装置1は、外周面2fに集積用凹部22が形成された回転ドラム2と、外周面2fに原材料を供給する供給路32を内部に有するダクト3とを備え、回転ドラム2を回転軸2C周りに回転させつつ、回転ドラム2の内部側からの吸引によって供給路32に生じた空気流(バキュームエア)に乗って搬送された原材料を、集積用凹部22に積繊させるようになされている。図中、符号Xで示す方向は、回転ドラム2の回転方向(ドラム周方向)、符号Yで示す方向は、回転ドラム2の回転軸2Cと平行な方向(ドラム幅方向)である。
さらに説明すると、積繊装置1は吸収体の製造装置であり、図1及び図2に示すように、パルプ等の原材料を集積する集積用凹部22を外周面2fに有し、ドラム周方向Xに回転駆動される回転ドラム2と、回転ドラム2の外周面2fに向けて原材料を飛散状態にて搬送するダクト3と、ダクト3における回転ドラム2側とは反対側の開口30に配置された原材料供給機構4と、回転ドラム2の下方に配され、集積用凹部22から離型された原材料の積繊物Fを受け取って次工程に搬送する積繊物運搬機構5とを備えている。
回転ドラム2は、金属製の剛体からなる円筒状のドラム本体20と、ドラム本体20の外周部に重ねて配され、回転ドラム2の外周面2fを形成する外周部材21とを含んで構成されている。外周部材21は、モータ等の原動機からの動力を受けて、回転軸2Cを回転中心としてドラム周方向Xに回転するが、外周部材21よりも内側に配されたドラム本体20は、固定されていて回転しない。ドラム本体20のドラム幅方向Yの両端は、それぞれ、図示しない側壁及びフェルト等のシール材によって気密に封鎖されている。
外周部材21は、集積用凹部22の底部即ち原材料の積繊面を形成する通気性の多孔性プレート23と、回転ドラム2の外周面2fにおける該積繊面以外の部分を形成する難通気性又は非通気性のパターン形成プレート24とを含んで構成されている。本実施態様においては、パターン形成プレート24は、ドラム周方向Xの全長に亘って連続して延びる円環状をなし、ドラム幅方向Yの両端に一対設けられており、その一対のパターン形成プレート24,24間に、多孔性プレート23が位置している。つまり、本実施態様においては図1に示すように、多孔性プレート23を底部とする集積用凹部22は、外周部材21(回転ドラム2の外周面2f)のドラム幅方向Yの中央部に位置し、ドラム周方向Xの全長に亘って連続して延びている。
多孔性プレート23は、装置内部側(回転ドラム2の内方)からの吸引によって生じた空気流を装置外部側(回転ドラム2の外方)に伝え、該空気流に乗って運ばれてくる原材料を透過させずに保持し、空気のみを透過させる通気性のプレートである。多孔性プレート23には、これを厚み方向に貫通する吸引孔が、該多孔性プレート23全体に均一な分布で多数形成されており、集積用凹部22が回転ドラム2内における負圧に維持された空間上を通過している間、該吸引孔が空気流の透過孔として機能する。多孔性プレート23としては、例えば、金属又は樹脂製のメッシュプレート、あるいは金属又は樹脂製の板にエッチング、パンチングで多数の細孔を形成したもの等を用いることができる。また、パターン形成プレート24としては、例えば、ステンレスあるいはアルミ等の金属又は樹脂製の板等を用いることができる。
図2に示すように、ドラム本体20の内部は、回転軸2Cから外周部材21に向かって延在する複数の隔壁20pによって、ドラム周方向Xに複数の空間A,B,C,Dに仕切られている。また、ドラム本体20には、その内部を減圧する減圧機構(図示せず)が接続されている。この減圧機構は、ドラム本体20を構成する側壁(図示せず)に接続された排気管(図示せず)と該排気管に接続された排気ファン(図示せず)とを含んで構成されている。ドラム本体20内の複数の空間A,B,C,Dは相互に独立しており、前記減圧機構により、これら複数の空間の負圧(吸引力)をそれぞれ独立に調整することが可能である。
回転ドラム2は、ドラム周方向Xの所定の範囲、具体的には、外周部がダクト3で覆われている空間Aが、内部側からの吸引によって原材料の積繊が可能な積繊ゾーンとなされている。空間Aを負圧に維持した状態で、外周部材21を回転軸2C周りに回転させると、外周部材21に形成された集積用凹部22が空間A上を通過している間、集積用凹部22の底部(多孔性プレート23)に空間A内の負圧が作用し、該底部に形成された多数の吸引孔を通じた空気の吸引が行われる。この吸引孔を通じた吸引により、ダクト3内の供給路32を搬送されてきた原材料が、集積用凹部22へと導かれてその底部上に積繊する。
尚、通常、回転ドラム2の空間Bは、空間Aよりも弱い負圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定される。集積用凹部22内の積繊物Fをバキュームコンベア5上に転写するまでは、搬送性の観点から、空間Bを空間Aよりも弱い負圧にして、積繊物Fを集積用凹部22内に吸引保持させておくことが好ましいが、搬送性に特に問題がなければ、転写性を考慮すると、空間Bは圧力ゼロが好ましい。また、空間C及びDは、集積用凹部22内の積繊物Fの転写位置及びその前後を含む領域であるので、圧力ゼロ又は陽圧が好ましい。集積用凹部22からの積繊物Fの離型を促進するために、不回転のドラム本体20内における積繊物Fの転写位置(例えば空間C)にエアブロー手段を配置し、ドラム本体20の外周を回転する集積用凹部22(外周部材21の)に対して該エアブロー手段によってエアを吹き付けるようにしても良い。
積繊物運搬機構5は、集積用凹部22から離型した積繊物Fを吸引搬送するバキュームコンベア50を備えている。バキュームコンベア50は、この種の積繊装置における通常のバキュームコンベアと同様に構成することができ、図示していないが例えば、駆動ロール及び従動ロールに架け渡された無端状の通気性ベルトと、該通気性ベルトを挟んで回転ドラム2との対向位置に配されたバキュームボックスとを備えた構成とすることができる。
本実施態様においては、図1に示すように、バキュームコンベア50上に、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等からなるコアラップシートCSが導入され、集積用凹部22から離型された積繊物Fは、バキュームコンベア50上にてコアラップシートCSに受け渡される。
ダクト3は、図1及び図2に示すように、原材料供給機構4から回転ドラム2に亘って連続的に延びており、原料供給方向の上流側の開口30と下流側の開口31とを有し、これら両開口30,31間に供給路32が存している。開口30には原材料供給機構4が設置されている。原材料供給機構4は、木材パルプシート40を粉砕して繊維材料とし、該繊維材料をダクト3内の供給路32に送り込む粉砕機41を備えている。開口31は、回転ドラム2の外周面2f(外周部材21)の一部、具体的には、外周面2fにおける、積繊装置1の稼働時に負圧に維持される空間Aに位置する部分に対向配置されている。回転ドラム2に接続された前記減圧機構を作動させることにより、ダクト3内の供給路32には、原材料供給機構4側の開口30から回転ドラム2側の開口31に向かう空気流が生じ、粉砕機41から送り込まれた原材料は、該空気流に乗って回転ドラム2の外周面2fに供給される。尚、原材料として吸収性ポリマー粒子を用いる場合には、ダクト3における開口30と開口31との間の適当な位置に、ダクト3内の供給路32に吸収性ポリマー粒子を供給する手段を設けても良い。
図3には、本実施態様の積繊装置1の要部の1つであるダクト3における原材料供給方向の下流側の開口31の一部及びその近傍が模式的に示されている。図1〜図3に示すように、開口31は、ダクト3の原材料供給方向の下流側の端部(下端部)33によって画成されており、このダクト3の下端部33は、集積用凹部22を挟んで回転ドラム2の回転方向(ドラム周方向)Xに延在する一対のドラム回転方向対応部330,330と、ドラム幅方向Yに延在する一対のドラム幅方向対応部331,331とを含んで構成され、各対応部330,331はそれらの端部において相互に連接されている。回転ドラム2の外周面2fを形成する外周部材21は符号Xで示す方向に回転するため、ダクト3の下端部33と外周面2fとの間、より具体的には、ダクト3の下端部33と、外周面2fにおける回転ドラム2の径方向の最外方に位置する部分(本実施態様ではパターン形成プレート24からなるドラム幅方向Yの両端部)との間には、両者の接触防止のための隙間が設けられている。図3には、一対のドラム回転方向対応部330,330について、回転ドラム2の外周面2fとの間の隙間Gが示されている。
本実施態様の積繊装置1の主たる特徴の1つとして、一対のドラム回転方向対応部330,330それぞれと回転ドラム2の外周面2fとの隙間Gを調整する隙間調整機構を備えている点が挙げられる。
積繊装置1の稼働時には、集積用凹部22(多孔性プレート23)よりもさらに回転ドラム2の内部側からの吸引により、ダクト3内の供給路32に集積用凹部22に向かう空気流が生じ、このとき、集積用凹部22のドラム幅方向Yの両側に位置する隙間Gを介して、ダクト3外の空気がダクト3内に流入し、集積用凹部22に向かって流れるところ、この隙間Gからの流入吸気は、その風量によっては、集積用凹部22における原材料の積繊状態に少なからず影響を及ぼす。通常、隙間Gからの流入吸気の量は隙間Gの大きさに比例し、隙間Gが比較的小さい場合には、流入空気の風量が少ないため、流入空気が集積用凹部22の積繊に及ぼす影響は少なく、斯かる積繊は実質的にダクト3内の空気流によって制御される。一方、隙間Gが比較的大きい場合には、流入空気の風量が多いため、流入空気が集積用凹部22の積繊に及ぼす影響は大きく、具体的には、集積用凹部22における隙間Gの近傍、即ちドラム幅方向Yの両端部(ドラム幅方向Yの中央部以外の部分)には、隙間Gからの流入空気によって原材料が積繊し難く、その代わりに、ドラム幅方向Yの中央部に原材料が集中的に積繊されるようになる。従って、隙間Gを適宜調整することによって、ドラム幅方向Yにおける原材料の積繊状態を任意に変更することが可能であり、これを応用することで、いわゆる中高吸収体を効率良く製造することが可能となる。前記隙間調整機構は、斯かる観点から採用されたものである。
本実施態様の積繊装置1における前記隙間調整機構は、図3に示すように、ダクト3の下端部33の一対のドラム回転方向対応部330,330それぞれに固定され、回転ドラム2の外周面2fに対して接近又は離間する接離方向Zに可動可能な平板状の隙間調整プレート6を含んで構成されている。接離方向Zは、回転ドラム2の径方向に一致する。隙間調整プレート6は、これを厚み方向に貫通する穴部60を有し、穴部60に挿入されたボルト等の固定具35によって、ドラム回転方向対応部330に可動可能に固定されている。穴部60の数は特に限定されず、隙間調整プレート6の固定に支障がないように適宜設定すれば良い。
隙間調整プレート6をドラム回転方向対応部330に対して可動可能に固定せしめているのは、斯かる固定に使用される穴部60の形状である。即ち、図3に示すように、穴部60における接離方向Zの長さL1は、穴部60に挿入された固定具35における該穴部60内に位置する部分の接離方向Zの長さL2に比して長くなされており、穴部60の長さL1と固定具35の長さL2との差(L1−L2)が、隙間調整プレート6の接離方向Zの移動可能範囲(距離)となる。例えば図3に示す状態から、固定具35による隙間調整プレート6の固定状態を解除して、隙間調整プレート6を上方(回転ドラム2の外周面2fから離れる方向)に移動させ、斯かる移動後の隙間調整プレート6を固定具35でドラム回転方向対応部330に再び固定することで、隙間Gを大きくすることができる。
本発明においては、一対のドラム回転方向対応部330,330それぞれにおける隙間Gの調整予定区間に対し、該区間の回転方向Xの全長に亘って連続する1個の隙間調整プレート6を固定しても良いが、該区間において複数の隙間調整プレート6を回転方向Xに沿って列をなすように配置固定しても良い。後者によれば、積繊装置1における原材料の積繊ゾーン(回転ドラム2の内部側からの吸引がなされる部位)において、隙間Gを部分的に異ならせることが可能となり、それによって積繊がより効果的に行えるようになる。本実施態様においては後者が採用されており、具体的には図1及び図2に示すように、一対のドラム回転方向対応部330,330それぞれに3個の隙間調整プレート6A,6B,6Cが回転方向Xに列をなすように配置され、各隙間調整プレート6A,6B,6Cは、それぞれ独立に可動可能になされている。即ち本実施態様においては、ダクト3内の回転方向Xに沿う両側部に、3対の空気流調整部材が配置されている。尚、図1及び図2では、説明容易の観点から、隙間調整プレートの符号として、「6」の後にさらにアルファベットを付したものを用いることで、複数の隙間調整プレートを相互に区別しており、回転方向Xの上流側に位置するものから順に「A」、「B」、「C」の符号を付している。
図4(a)〜図4(c)には、積繊装置1の積繊ゾーン、即ち回転ドラム2の空間Aに対応する部分における、集積用凹部22での原材料の積繊の様子が模式的に示されている。積繊装置1の積繊ゾーンを構成する、ダクト3の開口31を画成する下端部33の一対のドラム回転方向対応部330,330において、回転方向Xの上流側部には符号6Aで示す隙間調整プレートが配され(図4(a)参照)、回転方向Xの下流側部には符号6Cで示す隙間調整プレートが配され(図4(c)参照)、これらの中間位置には符号6Bで示す隙間調整プレートが配されている(図4(b)参照)。また、これらの隙間調整プレート6A,6B,6Cによって調整されている隙間Gについては、「隙間調整プレート6Bによる隙間G>隙間調整プレート6Aによる隙間G=隙間調整プレート6Cによる隙間G」なる大小関係が成立しており、隙間調整プレート6Bの配置領域である、ダクト3の開口31における回転方向Xの中央領域では、前記の「隙間Gからの流入空気」がダクト3内に積極的に取り込まれるようになされている。
また、斯かる隙間Gの設定に対応して、隙間調整プレート6Bによって隙間Gが比較的大きく設定された、ダクト3の開口31における回転方向Xの中央領域、即ちダクト3内における、3個(3対)の隙間調整プレート6A,6B,6Cのうち前記回転方向の中央に位置するものの配置領域は、ダクト3内に設けられた空気流調整部材34によって、ドラム幅方向Yの長さ(開口幅)が狭められている。空気流調整部材34は、ダクト3内におけるドラム回転方向Xに沿う両側部に一対配置されている。具体的には、空気流調整部材34は難又は非通気性部材からなり、図1及び図4(b)に示すように、ダクト3の一対のドラム回転方向対応部330,330それぞれの内面に固定されている。ダクト3内の供給路32における空気流調整部材34の配置部分は、図4(b)に示す如きドラム幅方向Yの断面視において、ドラム幅方向の長さ(開口幅)が空気流(バキュームエア)の流れる方向(原材料供給方向)に向かって漸次縮小している。
以上の構成の積繊装置1を用いた吸収体の製造方法について以下に説明する。本実施態様の吸収体の製造方法は、空気流に乗せて供給した原材料を、積繊装置1の集積用凹部22に吸引して積繊させる積繊工程を具備し、該積繊工程において、前記隙間調整機構としての3個(3対)の隙間調整プレート6A,6B,6Cで隙間Gを調整することによって、隙間Gを介してダクト3の外部から内部に流入する空気(図4(b)に示す流入空気IA)の量を調整する。斯かる積繊工程における隙間調整プレート6A,6B,6Cによる隙間Gの調整は、隙間Gが回転方向Xにおいて部分的に異なるように、各隙間調整プレート6A,6B,6Cの配置、即ち回転ドラム2の外周面2fに対する位置を調整することによって実施される。
積繊装置1において、集積用凹部22が、ダクト3に覆われ負圧に維持された空間A上に導入されると、先ず、隙間調整プレート6Aの配置領域にて原材料の積繊が行われる。隙間調整プレート6Aの配置領域では、図4(a)に示すように、隙間調整プレート6Aによって隙間Gからの流入空気が実質的に存在しない程度に、隙間Gが小さく設定されているため、ダクト3内(供給路32)に実質的に存在する空気流は、図中矢印で示す、回転ドラム2の内部側からの吸引によって生じたいわゆるバキュームエアのみである。このような状態の隙間調整プレート6Aの配置領域では、集積用凹部22の底部(多孔性プレート23)の全域に略均一に原材料が堆積し、厚みが略均一な積繊物Fが形成される。
隙間調整プレート6Aの配置領域における隙間Gは、集積用凹部22に対しドラム幅方向Yにおいて均一に原材料を積繊させる観点から、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上、そして、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下、より具体的には、好ましくは0.5〜10mm、さらに好ましくは1〜5mmである。
集積用凹部22は、外周部材21の回転によって回転方向Xに移動し、隙間調整プレート6Aの配置領域に続いて、隙間調整プレート6Bの配置領域に導入される。隙間調整プレート6Bの配置領域では、図4(b)に示すように、隙間調整プレート6Bによって隙間Gが比較的大きく設定されているため、隙間Gからの流入空気IAがダクト3内に多く取り込まれる結果、集積用凹部22におけるドラム幅方向Yの両端部には原材料が堆積し難く、ドラム幅方向Yの中央部に原材料が集中的に堆積する。斯かる流入空気IAに起因する原材料の偏在は、空気流調整部材34の設置によってダクト3の開口3の開口幅が狭められ、原材料を運搬するバキュームエアがドラム幅方向Yの中央部に集中するようになされていることと相俟ってさらに助長され、結果として、集積用凹部22の積繊物Fは、ドラム幅方向Yに原材料が偏在するいわゆる中高構造をなすようになる。
隙間調整プレート6Bの配置領域における隙間Gは、集積用凹部22に対しドラム幅方向Yの中央部に原材料を偏在させる観点から、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは 5mm以上、そして、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、より具体的には、好ましくは2〜20mm、さらに好ましくは5〜15mmである。
続いて、隙間調整プレート6Cの配置領域では、図4(c)に示すように、隙間調整プレート6Cによって隙間Gからの流入空気が実質的に存在しない程度に、隙間Gが小さく設定されているため、ダクト3内に実質的に存在する空気流はバキュームエアのみである。即ち、隙間調整プレート6Cの配置領域における空気流の状態は、隙間調整プレート6Aの配置領域におけるそれと同じであり、隙間調整プレート6Cの配置領域においても、隙間調整プレート6Aの配置領域と同様に、集積用凹部22に対しドラム幅方向Yにおいて均一に原材料が堆積する。従って、隙間調整プレート6Cの配置領域では、それまでの工程で中高構造となった積繊物Fの全体に略均一に原材料が堆積する。隙間調整プレート6Cの配置領域における隙間Gの大きさは、隙間調整プレート6Aの配置領域におけるそれと同様に設定することができる。
隙間調整プレート6Cの配置領域を通過した集積用凹部22内の積繊物Fは、図2に示すようにダクト3内において、ダクト3の下端部33における回転方向Xの下流側に位置するドラム幅方向対応部331の近傍に配されたスカッフィングロール7によって、余剰の原材料が掻き落とされる。その後、集積用凹部22内の積繊物Fは、回転ドラム2の回転によって空間C上まで搬送され、そこで集積用凹部22から離型して、バキュームコンベア50上に導入されたコアラップシートCS上へと受け渡される。その後、図1に示すように、コアラップシートCSの搬送方向MD1に沿う両側部が折り返され、積繊物Fの上下両面がコアラップシートCSに被覆される。そして、コアラップシートCSに被覆された状態の積繊物Fは、搬送方向MD1とは逆方向MD2に搬送され、プレス装置8によって全体が圧縮された後、カッターロール等の切断装置9によって所定の大きさに切断される。こうして、製造目的物である吸収体10、即ち、中高構造の積繊物Fからなる液保持性の吸収性コアと、これを包む液透過性のコアラップシートCSとからなる中高吸収体10が得られる。
図5及び図6には、本発明の積繊装置の他の実施態様の要部、具体的には隙間調整機構及びその近傍が示されている。後述する他の実施態様については、図1〜図4に示す前記実施態様と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施態様についての説明が適宜適用される。
図5及び図6に示す積繊装置における前記隙間調整機構は、ダクト3の下端部33の一対のドラム回転方向対応部330,330それぞれに固定され、回転ドラム2の外周面2fに対して接近又は離間する接離方向Zに可動可能な平板状の隙間調整プレート6と、該隙間調整プレート6を接離方向Zに変位させるためのジャッキ機構61とを含んで構成されている。
ジャッキ機構61は、いわゆるネジナット式ジャッキ機構であり、図5及び図6に示すように、ドラム回転方向対応部330の外面(ダクト3の内部側とは反対側)からドラム幅方向Yの外方に突出するダクト側ネジ軸支持部62と、隙間調整プレート6の外面からドラム幅方向Yの外方に突出するプレート側ネジ軸支持部63と、両支持部62,63を厚み方向に貫通するネジ孔に挿入されたネジ軸64とを含んで構成されている。両支持部62,63それぞれの前記ネジ孔は、回転方向X及びドラム幅方向Yにおいて互いに同位置にあり、ネジ軸64は、これら2つのネジ孔に挿入された状態で接離方向Zに沿って延びている。両支持部62,63それぞれの上下面にはナット体65が固着されており、これら複数のナット体65にネジ軸64が螺装されている。以上の如き構成のジャッキ機構61は、ネジ軸64を回転操作することによって、接離方向Zにおいて伸長又は伸縮する。ネジ軸64を回転操作は、ラチェットレンチ等の公知の工具を用いて常法に従って実施できる。隙間Gを小さくする場合は、ネジ軸64を回転操作してジャッキ機構64を伸長させれば良く、隙間Gを大きくする場合は、ネジ軸64を伸長させる場合とは逆に回転操作してジャッキ機構64を短縮させれば良い。
また、ドラム回転方向対応部330の外面には、隙間調整プレート6を該外面側に押さえ付けるように支持する押さえプレート66が配置されている。押さえプレート66は、1枚の隙間調整プレート6の回転方向Xの両端部を支持可能に一対配置されている。各押さえプレート66とドラム回転方向対応部330の外面との間には、隙間調整プレート6の厚みと略同じ大きさの隙間が形成され、該隙間を隙間調整プレート6が接離方向Zに摺動可能になされている。
本発明の積繊装置によって製造された吸収体、特に、横方向(吸収性物品着用者の前後方向と直交する方向)の中央部が周辺部よりも突出した構造の中高吸収体は、吸収性物品の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品はさらに、その具体的な用途に応じた各種部材を具備していても良い。そのような部材は当業者に公知である。
本発明は、前記実施態様に制限されず適宜変更可能である。本発明に係る隙間調整機構は、要は、ダクト下端部のドラム回転方向対応部と回転ドラムの外周面との隙間を調整し得る手段であれば良く、前記の隙間調整プレートを含む形態に限定されない。斯かる隙間の調整は、前記実施態様のように手動で実施するものに限定されず、自動で実施し得るようにしても良い。尤も、前記の隙間調整プレートを含む形態(積繊装置1)は、既存の積繊装置をベースにしてこれに比較的軽微な変更を施すことで構成できるもので、構成が比較的簡単で保守管理が容易なため、有用な形態と言える。また、前記実施態様における集積用凹部22は、回転ドラム2の外周面2fに周方向の全長に亘って連続的に形成されていたが、集積用凹部は周方向に間欠的に形成されていても良い。
1 積繊装置
2 回転ドラム
2f 回転ドラムの外周面
2C 回転軸
20 ドラム本体
21 外周部材
22 集積用凹部
23 多孔性プレート
24 パターン形成プレート
3 ダクト
30 ダクトにおける原材料供給方向の上流側の開口
31 ダクトにおける原材料供給方向の下流側の開口
32 供給路
33 ダクトの原材料供給方向の下流側の端部(下端部)
330 ダクト下端部のドラム回転方向対応部
331 ダクト下端部のドラム幅方向対応部
34 空気流調整部材
35 固定具
4 原材料供給機構
5 積繊物運搬機構
50 バキュームコンベア
6,6A,6B,6C 隙間調整プレート
60 穴部
61 ジャッキ機構
62,63 ネジ軸支持部
64 ネジ軸
65 ナット体
66 押さえプレート
7 スカッフィングロール
8 プレスロール
9 カッターロール
10 吸収体
10A 中高部
G ドラム回転方向対応部と回転ドラムの外周面との隙間
F 積繊物(吸収性コア)
CS コアラップシート
X 回転ドラムの回転方向(ドラム周方向)
Y 回転ドラムの回転軸と平行な方向(ドラム幅方向)
Z 接離方向

Claims (8)

  1. 外周面に集積用凹部が形成された回転ドラムと、該外周面に原材料を供給する供給路を内部に有するダクトとを備え、該回転ドラムを回転軸周りに回転させつつ、該回転ドラムの内部側からの吸引によって該供給路に生じた空気流に乗って搬送された原材料を、該集積用凹部に積繊させる積繊装置であって、
    前記ダクトにおける原材料供給方向の下流側の開口が、前記回転ドラムの外周面の一部に対向配置され、該開口を画成する該ダクトの該下流側の端部は、前記集積用凹部を挟んで該回転ドラムの回転方向に延在する、一対のドラム回転方向対応部を含んでおり、該一対のドラム回転方向対応部は、それぞれ、該回転ドラムの外周面に対して隙間を置いて配置されており、
    前記隙間を調整する隙間調整機構を備える積繊装置。
  2. 前記隙間調整機構は、前記ドラム回転方向対応部に固定され、前記回転ドラムの外周面に対して接近又は離間する接離方向に可動可能な隙間調整プレートを含んで構成され、
    前記隙間調整プレートは、これを厚み方向に貫通する穴部を有し、該穴部に挿入された固定具によって、前記ドラム回転方向対応部に可動可能に固定されており、
    前記穴部における前記隙間調整プレートの前記接離方向の長さは、該穴部に挿入された前記固定具における該穴部内に位置する部分の該接離方向の長さに比して長い請求項1に記載の積繊装置。
  3. 前記隙間調整機構は、前記ドラム回転方向対応部に固定され、前記回転ドラムの外周面に対して接近又は離間する接離方向に可動可能な隙間調整プレートと、該隙間調整プレートを該接離方向に変位させるためのジャッキ機構とを含んで構成されている請求項1に記載の積繊装置。
  4. 前記ドラム回転方向対応部に複数の前記隙間調整プレートが前記回転方向に列をなすように配置され、該複数の隙間調整プレートは、それぞれ独立に可動可能になされている請求項2又は3に記載の積繊装置。
  5. 前記ドラム回転方向対応部に、3個の前記隙間調整プレートが前記回転方向に列をなすように配置され、
    前記ダクト内における、前記3個の隙間調整プレートのうち前記回転方向の中央に位置するものの配置領域の前記回転方向に沿う両側部に、一対の空気流調整部材が配置されている請求項2〜4の何れか一項に記載の積繊装置。
  6. 前記3個の隙間調整プレートのうち前記回転方向の中央に位置するものによって調整されている前記隙間は、他の2個によって調整されている前記隙間に比して大きい請求項5に記載の積繊装置。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の積繊装置を用いた吸収体の製造方法であって、
    空気流に乗せて供給した原材料を、前記積繊装置の集積用凹部に吸引して積繊させる積繊工程を具備し、
    前記積繊工程において、前記隙間調整機構で前記隙間を調整することによって、該隙間を介して前記ダクトの外部から内部に流入する空気の量を調整する吸収体の製造方法。
  8. 前記積繊装置における前記隙間調整機構は、前記ドラム回転方向対応部に固定され、前記回転ドラムの外周面に対して接近又は離間する接離方向に可動可能な隙間調整プレートを含んで構成され、
    前記ドラム回転方向対応部に、複数の前記隙間調整プレートが前記回転方向に列をなすように配置されており、
    前記隙間が前記回転方向において部分的に異なるように、前記複数の隙間調整プレートの配置を調整する請求項7に記載の吸収体の製造方法。
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