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JP6437685B1 - 既存建物用耐震補強装置 - Google Patents

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JP6437685B1 JP2018078120A JP2018078120A JP6437685B1 JP 6437685 B1 JP6437685 B1 JP 6437685B1 JP 2018078120 A JP2018078120 A JP 2018078120A JP 2018078120 A JP2018078120 A JP 2018078120A JP 6437685 B1 JP6437685 B1 JP 6437685B1
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Abstract

【課題】既存建物の柱梁接合部にコンパクトに取り付けることができ、かつ柱梁接合部に対する補強効果およびダンパーによる減衰効果を効果的に発揮することができる既存建物用耐震補強装置を提供する。
【解決手段】柱梁接合部の交差する2方向の梁12に沿って延びる水平2方向の梁添接部材2と、これら2方向の梁添接部材2の交点から上方または下方に延びる柱添接部材3と、2方向の梁添接部材2の先端部間をつなぐ棒状の水平ダンパー4と、柱添接部材3の先端部と2方向の梁添接部材2の先端部間をつなぐ2本の棒状の斜めダンパー5とが略三角錐形状の6辺を形成するように立体トラス状に連結されている。立体トラス形状によって柱梁接合部の地震時の振動に抵抗し、柱梁接合部の所定以上の振動に対しては水平ダンパー4および斜めダンパー5が振動エネルギーを吸収する。
【選択図】図1

Description

本発明は、既存建物の柱梁接合部に設置して建物を耐震補強するための既存建物用耐震補強装置に関するもので、特に中高層の多層階建物の耐震補強に適している。
地震国である我が国おいては、過去の大地震による教訓をもとに、耐震に関する考え方が都度見直されている。そのような状況下において、旧耐震の設計による既存の建物の構造では、今後予想される大地震に対しては耐震性能が十分ではないという問題がある。
このようなことから、既存の建物については、建て替えによらずに耐震性能を大幅に向上させることができる耐震補強構造あるいは耐震補強方法が望まれており、種々の構造、方法が提案されている。
ところで、都会など地価が高価な地域では、ペンシルビルなど間口の狭い多層階のビルが多数建設されている。このようなペンシルビルはその形態から、桁行き方向は比較的耐震性が高いが、梁間方向の固有周期が長く、比較的長周期の地震動による横揺れが大きくなる傾向があるという問題がある。
また、ペンシルビルはもともと狭隘な敷地に建設されることが多いため、建物外部からの耐震補強が難しいといった問題もある。
建物の制震に関する技術として、例えば特許文献1には、建物の柱梁架構を構成する構面内に,第一と第二の粘弾性ダンパーをハの字形または逆ハの字形となるように配置した複合制振架構が開示されている。
また、柱梁接合部に耐震要素を設ける技術として、例えば特許文献2には、木造家屋の柱と梁または梁どうしの接合部に、粘弾性ダンパーを組み込んだ方杖および火打を取り付けた構造が開示されている。
特許文献3には、建物の柱と梁との接合の形態をピン接合とし、それらの接合部に、層間変位による柱と梁との相対回転により作動するダンパーを介装した制震構造建物が開示されている。
特許文献4には、可動支承及びダンパーが建物の架構内に配置され、上側の架構を下側の架構上に水平方向相対変位可能に支持する可動支承と、下側の架構と上側の架構の間に介在されたダンパーとを並列に備える制震構造が開示されている。
特許文献5には、鋼材からなる柱と大梁とを剛接合してなる柱梁接合部の近傍に、柱と大梁とに亘ってダンパー性能を有する方杖材を架設して補強された架構の補強構造が開示されている。
また、特許文献6には、建物の柱・梁架構側と、建物に制震装置を取り付ける片持ちの制震装置用取付部材の自由端部側とに、制震装置と並設させて弾性部材を架設する構成において、これら制震装置と弾性部材を天井裏などに納める制震装置の取付構造が開示されている。
特開2010−112085号公報 特開平09−279683号公報 特開2001−200653号公報 特開2001−207676号公報 特開2011−074732号公報 特開2016−173014号公報
特許文献1に記載される発明のように、壁内に上下階の梁または柱をつなぐダンパーを設置する方式は、既存の建物に適用する場合、ダンパーの設置のために大がかりな改修が必要となる。
特許文献2および特許文献5に記載される発明の場合、ダンパーを方杖あるいは火打に設けることで制震装置としてはコンパクトな構造となっているが、これらの発明においてダンパーは減衰力を与えるのが主であり、また面外方向の力には効かないため、柱梁架構に対する補強効果は小さい。
特許文献3および特許文献4に記載された発明の場合、既存の建物に後から組み込むことは実質的に不可能である。
特許文献6に記載された発明は、制震装置と弾性部材を天井裏などに納めることができたとしても、柱梁架構の壁内に上下階にわたる取付け部材が必要であり、コンパクトな装置とは言えない。
本発明は上述のような従来技術における課題の解決を図ったものであり、既存建物の柱梁接合部にコンパクトに取り付けることができ、かつ柱梁接合部に対する補強効果およびダンパーによる減衰効果を効果的に発揮することができる既存建物用耐震補強装置を提供することを目的としている。
本発明は、既存建物の柱梁接合部に設置して建物を耐震補強する既存建物用耐震補強装置であって、柱梁接合部の交差する2方向の梁に沿って延びる水平2方向の梁添接部材と、前記2方向の梁添接部材の交点から上方または下方に延びる柱添接部材と、前記2方向の梁添接部材の先端部間をつなぐ棒状の水平ダンパーと、それぞれ前記柱添接部材の先端部と前記2方向の梁添接部材の先端部間をつなぐ2本の棒状の斜めダンパーとが略三角錐形状の6辺を形成するように立体トラス状に連結されて前記柱梁接合部の地震時の振動に抵抗し、前記柱梁接合部の所定以上の振動に対しては前記水平ダンパーおよび前記斜めダンパーが振動エネルギーを吸収するように構成したことを特徴とするものである。
従来の方杖位置あるいは火打位置に個別に配置されるダンパーの場合、面外方向の力に対して不安定であるのに対し、本発明の耐震補強装置では2本の梁添接部材と1本の柱添接部材、および1本の水平ダンパーと2本の斜めダンパーが立体トラス状に配置されていることで、どの方向の力に対しても機能させることができ、柱梁接合部の剛性を高める補強要素としても耐震補強効果を発揮することができる。
その上で、大きな地震動に対して水平ダンパーおよび斜めダンパーが水平方向および鉛直方向の振動だけでなく、建物のねじれに対しても機能し、大きな減衰効果を与えることができる。
本発明の耐震補強装置を構成する梁添接部材と柱添接部材としては棒状または板状の鋼材などを用いることができる。梁添接部材と柱添接部材を水平ダンパーおよび斜めダンパーとともに柱梁接合部の補強要素とするためには、補強に必要な強度、剛性を備えた部材とする必要がある。柱梁接合部への納まりを考慮して、棒状、板状、アングル状などの鋼材を用いることができる。
なお、実際の既存の建物では、柱の出隅部が交差する2方向の梁の側面に対し飛び出ているケースも多いが、その場合、柱添接部材の水平断面をL字状としたり、出隅部の両側に位置する2本の部材を抱き合わせた形の柱添接部材を用いるなどして、適用対象となる建物の柱梁接合部の形状に合わせて対処すればよい。
あるいは、柱の出隅部が飛び出している場合に、2方向の梁の側面に版状のスペーサーを介在させるなどして出隅部の飛び出しをなくした形で本発明の耐震補強装置を取り付けてもよい。
また、本発明の耐震補強装置は、主として柱梁接合部の変形に抵抗しつつ、入力される地震動を減衰させるものであるため、柱や梁の中間部分のせん断に対しては鋼板巻立て工法、繊維シート巻立て工法などによる耐震補強を施したり、壁位置に別途耐震補強要素を組み込んだり、あるいは例えば建物頂部などに能動型あるいは受動型制震装置を設置するなど他の制震手段を併用すれば建物全体の耐震性をさらに高めることができる。
また、梁添接部材と柱添接部材との接合部は接合状態において角度調整が可能な接合部とすれば、柱梁接合部に設置する際に、柱梁接合部が直角でない場合や柱梁接合部の微妙な歪みなどに対処させることができる。具体的にはボルトなどを利用したピン構造の締め付け部分での調整やボルト孔を長孔あるいはばか孔として調整する構造などが考えられる。
水平ダンパーおよび斜めダンパーは、部材全体がダンパーである必要はなく、鋼材の中間にダンパーを組み込んだものでもよい。ダンパー自体は既存の摩擦ダンパー、軸力降伏履歴型鋼製ダンパー、棒状粘性ダンパーなどを利用することができる。
また、例えば中間にネジ式の長さ調整部材あるいはターンバックルなどを組み込むなどして長さ調整可能としておけば、設置に際して軸方向の力が作用しない状態で長さ調整が可能となる。
その他、梁添接部材、柱添接部材、水平ダンパー、斜めダンパーの端部形態によっては、接合部にボールジョイントその他立体トラス用の継手を利用することもできる。
本発明の既存建物用耐震補強装置を適用する建物の形態は特に限定されないが、中高層の多層階建物に適し、特にRCまたはSRC構造の既存のペンシルビルに適用した場合、設置が簡単であり、高い耐震効果が期待できる。
本発明の耐震補強装置では2本の梁添接部材と1本の柱添接部材、および1本の水平ダンパーと2本の斜めダンパーが立体トラス状に配置されていることで、どの方向の力に対しても機能させることができ、柱梁接合部の剛性を高める補強要素としても補強効果を発揮することができる。
その上で、大きな地震動に対して水平ダンパーおよび斜めダンパーが水平方向および鉛直方向の振動だけでなく、建物のねじれに対しても機能し、大きな減衰効果を与えることができる。
装置の全体形状が略三角錐(四面体)形状の立体トラス状の形態であるため、それ自体が安定した構造となっており、既存建物の柱梁接合部の入隅部などにコンパクトに取り付けることができる。
本発明の耐震補強装置を既存建物の柱梁接合部に取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明の耐震補強装置の基本形態を原理図として示したものである。 本発明の耐震補強装置をペンシルビルに設置する場合の設置位置の例を示したもので、(a)は水平断面図、(b)は鉛直断面図である。 本発明の耐震補強装置の取付け形態に関する応用例を示す斜視図である。 本発明の耐震補強装置の他の取付け形態の例を示す斜視図である。 本発明の耐震補強装置のさらに他の取付け形態の例を示す斜視図である。 本発明の耐震補強装置のさらに他の取付け形態として、梁側面との間にスペーサーを設ける場合を示した水平断面図である。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の耐震補強装置1を既存建物の柱梁接合部に取り付けた状態を斜め下方から見た図である。
この耐震補強装置1は、2本の梁添接部材2と、1本の柱添接部材3と、1本の水平ダンパー4と、2本の斜めダンパー5の合計6本の棒状要素を略三角錐形状の6辺を形成するように立体トラス状に連結して構成されている。
この例では、耐震補強装置1が、図に示すように既存の建物の柱11と交差する2方向の梁12の入隅部に設置され、柱添接部材3が柱11の出隅部分に取り付けられ、2本の梁添接部材2が交差する2方向の梁12の下部に取り付けられている。
梁添接部材2および柱添接部材3は形鋼などの棒状の鋼材からなり、水平ダンパー4および斜めダンパー5には摩擦ダンパー、あるいは軸力降伏履歴型鋼製ダンパー、棒状粘性ダンパーなどが用いられる。このようなダンパーは既存の市販のものを用いることができるが、必要に応じて接合部の構造などを変更して用いることができる。
図2は耐震補強装置1の基本形態を原理図として示したもので、このような構成において、2本の梁添接部材2と1本の柱添接部材3、および1本の水平ダンパー4と2本の斜めダンパー5が立体トラス状に配置されていることで、どの方向の力に対しても機能させることができ、柱梁接合部の剛性を高める補強要素としても補強効果を発揮することができる。
その上で、大きな地震動に対しては、水平ダンパー4および斜めダンパー5が水平方向および鉛直方向の振動だけでなく、建物のねじれに対しても機能し、大きな減衰効果を与えることができる。
本発明の耐震補強装置1は装置の全体形状が略三角錐形状の立体トラス状の形態であるため、それ自体が安定した構造となっており、既存建物の柱梁接合部の入隅部などにコンパクトに取り付けることができる。適用対象となる既存建物の構造によっては、装置全体または装置の一部を天井内に納めることもでき、またハンチ状の内装によって隠すこともできる。
図3は本発明の耐震補強装置1をペンシルビルに設置する場合の設置位置の例を示したものである。この例では既存建物Aの各階の柱梁接合部に取り付けているが、1階おき、あるいは複数階おきに設置したり、既存建物の上層階に多くなるように設置するなど、適用対象となる既存建物の耐力や振動特性に応じて配置計画を立てればよい。
図4は本発明の耐震補強装置1の取付け形態に関する応用例を斜め上方から見た図である。この応用例は、図1の実施形態における耐震補強装置1の上部に、耐震補強装置1をもう1つ上下逆配置となるように取り付けたものである。このように配置することで、柱梁接合部の1箇所の入隅部に2つの耐震補強装置1を取り付けることができ、耐震効果を高めることができる。あるいは、1つの耐震補強装置と同程度の耐震効果をより小型の2つの耐震補強装置で付与することができる。
図5は本発明の耐震補強装置1の他の取付け形態の例を示したものである。図1の例では梁添接部材2の取付け位置が柱梁接合部の梁12のほぼ下端位置であるのに対し、図5の例では梁添接部材2の取付け位置を柱梁接合部の梁12の梁成中間位置近傍としているため、耐震補強装置1ほぼ天井裏に納めることができる。
図6は本発明の耐震補強装置1のさらに他の取付け形態の例を示したものである。柱梁接合部との取り合いにおいて、梁添接部材2および柱添接部材3を安定的に固定し難しい場合などには、図6に示すように鋼板などからなるフランジ状固定金具7を設け、フランジ状固定金具7を介して梁添接部材2や柱添接部材3を柱11、梁12の表面に固定するようにしてもよい。
フランジ状固定金具7は、梁添接部材2や柱添接部材3と一体に設けてもよいし、梁添接部材2や柱添接部材3とは別体とし、先にフランジ状固定金具7を柱11および梁12の表面に固定し、フランジ状固定金具7に梁添接部材2、柱添接部材3を取り付けるようにしてもよい。
図7はさらに他の取り付け形態として、柱幅が梁幅より大きく、柱11の出隅部が梁12の梁幅から飛び出している場合に耐震補強装置1の取り付けが容易となるように、梁12の側面にスペーサー8を介在させた場合の例を示したものである。
この例では、形鋼と鋼板を組み合わせた版状のスペーサー7を梁12の側面に固定し、スペーサー7を介して梁添接部材2を梁12に取り付けている。
1…耐震補強装置、2…梁添接部材、3…柱添接部材、4…水平ダンパー、5…斜めダンパー、6…接合部、7…フランジ状固定金具、8…スペーサー、
11…柱、12…梁、
A…既存建物(ペンシルビル)

Claims (3)

  1. 既存建物の柱梁接合部に設置して建物を耐震補強する既存建物用耐震補強装置であって、柱梁接合部の交差する2方向の梁に沿って延びる水平2方向の梁添接部材と、前記2方向の梁添接部材の交点から上方または下方に延びる柱添接部材と、前記2方向の梁添接部材の先端部間をつなぐ棒状の水平ダンパーと、それぞれ前記柱添接部材の先端部と前記2方向の梁添接部材の先端部間をつなぐ2本の棒状の斜めダンパーとが略三角錐形状の6辺を形成するように立体トラス状に連結されて前記柱梁接合部の地震時の振動に抵抗し、前記柱梁接合部の所定以上の振動に対しては前記水平ダンパーおよび前記斜めダンパーが振動エネルギーを吸収するように構成されており、前記梁添接部材と前記柱添接部材との接合部は接合状態において角度調整が可能な接合部とし、前記水平ダンパーと前記斜めダンパーは軸方向の力が作用しない状態で長さ調整可能としてあることを特徴とする既存建物用耐震補強装置。
  2. 請求項1記載の既存建物用耐震補強装置において、前記梁添接部材と前記柱添接部材は棒状または板状の鋼材からなることを特徴とする既存建物用耐震補強装置。
  3. 請求項1または2記載の既存建物用耐震補強装置において、前記水平ダンパーと前記斜めダンパーは、摩擦ダンパー、軸力降伏履歴型鋼製ダンパー、または棒状粘性ダンパーであることを特徴とする既存建物用耐震補強装置。
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