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JPH10280725A - 制振躯体構造 - Google Patents

制振躯体構造

Info

Publication number
JPH10280725A
JPH10280725A JP9089708A JP8970897A JPH10280725A JP H10280725 A JPH10280725 A JP H10280725A JP 9089708 A JP9089708 A JP 9089708A JP 8970897 A JP8970897 A JP 8970897A JP H10280725 A JPH10280725 A JP H10280725A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damper
truss
core
building
wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9089708A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
Masahiro Yoshimura
昌宏 吉村
Hideo Nakajima
秀雄 中島
Tomihiro Hori
富博 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP9089708A priority Critical patent/JPH10280725A/ja
Publication of JPH10280725A publication Critical patent/JPH10280725A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐震壁を備えた構造物等においても有効に制
振性能を向上させることのできる制振躯体構造を提供す
ることを課題とする。 【解決手段】 ビル1を、コアウォール2の頂部,中間
部に、トラス構造からなる曲げ剛性の大きな最上階トラ
ス10,中間トラス20を、外周躯体3の外周柱4との
間に設け、これら最上階トラス10,中間トラス20
に、アンボンドブレースダンパーからなるラチス材9を
組み込む構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高層ビル等に用
いて好適な制振躯体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、近年、ビル等の建築物の
躯体には高い制振性能が要求されており、このために各
種ダンパー装置や補強材等を組み込んだ免震・制振構造
が多種開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術は、通常のラーメン躯体構造を対象としたものがほ
とんどである。このような技術では、特に鉄筋コンクリ
ート造のビルやコンクリート製の耐震壁を備えた超高層
ビル等、水平剛性の高い構造を適用した構造物において
は、有効に制振効果を発揮できないという問題がある。
これは、構造物の水平剛性が高いと層間変位が小さくな
るために、従来用いられているダンパー等では変位エネ
ルギーを有効に吸収できず、地震時の応答低減効果を思
うように得られないからである。
【0004】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、耐震壁を備えた構造物等においても有効に
制振性能を向上させることのできる制振躯体構造を提供
することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
高い剛性を有して上下方向に連続するコア部を備えた躯
体に、曲げ剛性の大きな梁部材が、前記コア部の頂部ま
たは中間部と、前記躯体の外周部または他のコア部との
間に架設され、さらに前記コア部の曲げ変形を曲げ戻す
ためのダンパーが前記梁部材に具備されていることを特
徴としている。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の制
振躯体構造において、前記梁部材がトラス構造とされ、
前記ダンパーが前記トラス構造の梁部材のラチス材とし
て組み込まれていることを特徴としている。
【0007】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の制振躯体構造において、前記ダンパーがアンボン
ドブレースダンパーであることを特徴としている。
【0008】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
のいずれかに記載の制振躯体構造において、前記梁部材
の端部近傍の柱に、該柱の軸方向の変位を減衰する鉛直
ダンパーが組み込まれてなることを特徴としている。
【0009】請求項5に係る発明は、請求項1ないし4
のいずれかに記載の制振躯体構造において、前記ダンパ
ーが、前記躯体の他の部分が完成した後に組み込まれた
ものであることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る制振躯体構造
の第一および第二の実施の形態について、図1ないし図
5を参照して説明する。
【0011】[第一の実施の形態]まず、ここでは、本
発明に係る制振躯体構造を、例えば中心部にコア部を備
えたビルに適用する場合の例を用いて説明する。
【0012】図1および図2に示すように、ビル1の躯
体は、中心部に位置するコアウォール(コア部)2と、
その外周側に位置する外周躯体3とから構成されてい
る。
【0013】コアウォール2は、鉄筋コンクリート造か
らなるいわゆる耐震壁で、ビル1の基礎部分から最上部
まで連続する筒状とされている。
【0014】また、外周躯体3は、ビル1の外周部に位
置する外周柱(柱)4および外周梁5(図2参照)と、
これら外周柱4,外周梁5とコアウォール2との間に架
設された中間梁6とから構成されている。そして、外周
柱4は、鋼管充填コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリー
ト造、または鉄骨造等とされ、外周梁5は鉄骨造または
鉄骨鉄筋コンクリート造等、中間梁6は通常の鉄骨造等
とされている。
【0015】図1に示したように、このようなビル1の
最上階部には、上下の中間梁6,6間に、束材7とラチ
ス材8,9とを組み込むことによって形成されたトラス
構造の最上階トラス(梁部材)10が設けられている。
【0016】このとき、コアウォール2の上方部分に配
置されたラチス材8には、通常のブレース材と同様、普
通高張力鋼材が用いられている。
【0017】そして、コアウォール2と外周柱4との間
の範囲に配置されたラチス材(ダンパー)9は、互いに
隣接する束材7,7間に例えば略ハ字状に配設されてい
る。
【0018】図3に示すように、各ラチス材9は、以下
のようにしてダンパー機能を有したものとなっている。
すなわち、ラチス材9は、例えばfy=10(N/mm
2)程度の極軟鋼からなる断面視十字状の鋼材12が、
その両端部を同じく極軟鋼からなるガセットプレート1
3,14を介して中間梁6及び束材7に接合され、この
鋼材12の中間部が所定長にわたって断面ロ字状の鋼管
15内に挿通され、さらにこの鋼管15内には、鋼材1
2の周囲に鉄筋(図示なし)が配筋されるとともにコン
クリート(図示なし)が充填された構成となっている。
そして、鋼材12の端面には、例えば粘弾性体や、ネオ
プレーンゴム製のスポンジ等からなる減衰材17が貼着
されており、これによって鋼材12と、周囲のコンクリ
ート,鉄筋(図示なし),及び鋼管15とは、アンボン
ド状態とされている。このようにして、ラチス材9は、
いわゆるアンボンドブレースダンパーを形成した構成と
なっている。
【0019】このラチス材9は、鋼材12が軸線方向に
伸縮変形しようとしたときに、アンボンド状態となって
いる周囲のコンクリートとの間で鋼材12の軸線方向に
沿った相対変位が生じることとなり、この相対変位が減
衰材17によって減衰されるようになっている。したが
って、ラチス材9は、鋼材12の軸線方向に作用する力
に対してダンパー効果を有した構成となってる。
【0020】また、図1に示したように、ビル1の中間
階にも、上下の中間梁6,6間に、束材7と、アンボン
ドブレースダンパーからなるラチス材9とが設けられ
た、最上階トラス10と同様の構成の中間階トラス(梁
部材)20が配置されている。
【0021】このような構成のビル1では、地震等によ
り強大な外力が作用した場合に、コアウォール2の頂部
及び中間部において、外周柱4との間に架設されたトラ
ス構造からなる強固な最上階トラス10及び中間階トラ
ス20によって、やじろべえの原理でコアウォール2に
曲げ戻しを与え、コアウォール2の水平変位を抑えてバ
ランスをとるようになっている。このときに、最上階ト
ラス10,中間階トラス20に入力された外力は、アン
ボンドブレースダンパーからなるラチス材9によって減
衰されるようになっている。そして、各ラチス材9が減
衰力を発揮すると、最上階トラス10,中間階トラス2
0は全断面が塑性化し、地震による振動エネルギーを吸
収するようになっている。
【0022】ところで、上記したようなビル1を構築す
るに際しては、アンボンドブレースダンパーからなるラ
チス材9を、他の部分の組立が完了した後に組み付ける
ようにする。
【0023】これには、先ず、コアウォール2を形成す
ると共に、外周躯体3を、ラチス材9以外の、中間梁
6、束材7、ラチス材8等を先行して組み上げる。
【0024】そして、これらコアウォール2と、ラチス
材9以外の外周躯体3とに、これらの自重等による長期
荷重が導入された後、最上階トラス10及び中間階トラ
ス20を形成すべき所定の位置にラチス材9を組み付け
る。
【0025】これにより、各ラチス材9には長期荷重が
作用せず、地震や風等の外力による短期荷重のみが作用
する構成となる。
【0026】上述したビル1の制振躯体構造では、コア
ウォール2の頂部,中間部に、トラス構造からなる曲げ
剛性の大きな最上階トラス10,中間階トラス20が、
外周躯体3の外周柱4との間に設けられ、これら最上階
トラス10,中間階トラス20には、アンボンドブレー
スダンパーからなるラチス材9が組み込まれた構成とな
っている。このような制振躯体構造により、地震等の発
生時には、最上階トラス10,中間階トラス20によっ
てコアウォール2に曲げ戻しをかけて曲げ変形を緩和す
るとともに、各ラチス材9で地震等による振動エネルギ
ーを吸収することができ、高い制振効果を得ることがで
きる。したがって、ビル1が、曲げ変形が卓越する超高
層、超々高層ビル等であっても、制振効果を有効に発揮
して地震時等の応答低減効果を上げることができる。そ
して、このように超高層、超々高層ビルの制振性能を高
めることにより、従来よりも矮小な土地への構築が可能
となり、土地の有効活用が可能となる。
【0027】また、このように高い制振効果を有したビ
ル1の躯体は、従来通常の耐震構造と比較して、躯体を
構成する部材の断面を小さくすることができ、これによ
りコストを低減することが可能となる。
【0028】しかも、上記制振躯体構造は、外観上、従
来のコア部を有した躯体に、例えばトラス構造からなる
曲げ剛性の大きな最上階トラス10、中間階トラス20
を形成するため、ラチス材9等を組み込むのみでよいの
で、構造計画、建築計画上の特別な制約を受けることな
く、容易に実現可能である。
【0029】さらに、トラス構造の最上階トラス10,
中間階トラス20に組み込まれたラチス材9がダンパー
機能を有した構成となっている。元々トラス構造におけ
るラチスは応力を有効に受ける部材であり、このような
ラチス材9にダンパー機能を付与することによって、振
動を効率よく減衰することができる。しかもピストンや
回転ピン機構等の可動部がないため、(フリクションロ
スによる)エネルギーロスがほとんどなく、この点にお
いても効率よく減衰効果を発揮することができる。
【0030】加えて、ラチス材9がアンボンドブレース
ダンパーで構成されているので、ダンパーを単純な構造
とすることができ、低コストで製作が可能で、しかも現
場における取付施工も極めて容易に行うことができる。
【0031】さらに加えて、ラチス材9が、ビル1の躯
体の他の部分が完成した後に組み込まれたものである構
成となっている。これにより、ラチス材9には長期荷重
が作用せず、地震等の発生時にのみ短期荷重が作用する
ようになっている。これにより、ラチス材9における振
動減衰効果を効率的に発揮することができる。加えて、
長期荷重が作用していないラチス材9は、メンテナンス
や、地震後の復帰等のための交換等に際し、ジャッキア
ップや荷重の盛り替えが不要であり、作業を容易かつ安
全に行うことが可能となる。
【0032】しかも、このようなラチス材9を、特に最
上部の最上階トラス10に設けることにより、これをビ
ル1の他の部分に配置する場合に比較して、メンテナン
ス・交換等の作業を容易に行うことができる。
【0033】[第二の実施の形態]次に、本発明に係る
制振躯体構造の第二の実施の形態として、例えば、曲げ
剛性の大きな梁部材の近傍に鉛直ダンパーを追加した場
合の例を用いて説明する。以下に説明する第二の実施の
形態において、前記第一の実施の形態と共通する構成に
ついては同符号を付し、その説明を省略する。
【0034】図4に示すように、ビル21は、中央部に
コアウォール2が設けられ、その外周側に外周躯体3が
設けられ、最上階部には、コアウォール2と外周躯体3
の外周柱4との間に最上階トラス(梁部材)22が設け
られた構成となっている。
【0035】最上階トラス22は、上下の中間梁6,6
間に、束材7とラチス材9とを組み込むことによって形
成されており、アンボンドブレースダンパーからなるラ
チス材9は束材7,7間で例えばX字状に組まれてい
る。
【0036】さらに、最上階トラス22の端部の直下部
分に位置する外周柱4には、鉛直ダンパー24が組み込
まれている。図5に示すように、鉛直ダンパー24は、
例えばfy=10(N/mm2)程度の極軟鋼からなり
外周柱4と同一断面形状を有したダンパー材25が、ジ
ョイントプレート26によって外周柱4の一部として組
み込まれた構成となっている。
【0037】このような鉛直ダンパー24においては、
最上階トラス22の端部と、外周柱4との間における鉛
直方向の相対変位を、極軟鋼からなる履歴エネルギー吸
収型のダンパー材25で吸収して減衰することができる
ようになっている。
【0038】上述したビル21の制振躯体構造によれ
ば、前記第一の実施の形態におけるビル1(図1参照)
の制振躯体構造と同様の効果が得られるのはもちろんの
こと、さらに最上階トラス22の端部の直下部分に鉛直
ダンパー24が組み込まれた構成となっているので、鉛
直ダンパー24によって鉛直方向の振動が効率よく吸収
され、前記効果がより顕著なものとなる。
【0039】なお、上記第二の実施の形態において、鉛
直ダンパー24を、最上階トラス22の端部の直下部分
に組み込む構成としたが、これを、最上階トラス22の
端部の壁に組み込む構成としてもよい。
【0040】また、上記第一または第二の実施の形態に
おいて、本発明に係る制振躯体構造を適用した例として
挙げたビル1やビル21の構成については、上記のもの
に限定する意図はなく、他の構成を適宜採用することが
可能である。
【0041】例えば、最上階トラス10,22に、アン
ボンドブレースダンパーからなるラチス材9を、ハ字
型,X字型に組み込む構成としたが、これを図6に示す
ビル1’のように、ノ字型に組み込むようにしてもよ
い。また、ラチス材9として組み込むダンパーとして、
アンボンドブレースダンパーではなく、例えば粘弾性体
のせん断粘性抵抗を利用した各種粘弾性体ダンパーや、
粘性帯の粘性抵抗を利用した各種粘性体ダンパーを組み
込むようにしてもよい。
【0042】さらには、アンボンドブレースダンパーか
らなるラチス材9に代えて、図7に示すように、ビル3
1の最上階トラス(梁部材)32,中間階トラス(梁部
材)33に、極軟鋼(極低降伏点鋼)からなる制振壁
(ダンパー)34を組み込む構成としてもよい。
【0043】さらに、ビル1やビル21には、コア部と
して鉄筋コンクリート造のコアウォール2を備える構成
としたが、上下方向に連続しかつ互い剛性を有するので
あれば、他の構成であってもよい。例えば、図8に示す
ように、ビル41のコア部42として、ビル41の中央
部にのみラチス材(ダンパー)43を組み込んむように
してもよい。もちろんこの場合のラチス材43の形態
は、ハ字型に限らず,X字型,ノ字型等であってもよ
い。
【0044】また、例えばコア部は中央部だけでなく、
図9に示すように、ビル51の両端部に、二本一対の鉄
筋コンクリート造のコアウォール(コア部)52,52
を設ける構成とし、これらコアウォール52,52間
に、極軟鋼からなる制振壁やアンボンドブレースダンパ
ーからなるラチス材9等を組み込んだ最上階トラス(梁
部材)53を設けるようにしてもよい。もちろん、この
ビル51の場合も、鉄筋コンクリート造のコアウォール
52に代えて、図10に示すビル51’のように、ラチ
ス材(ダンパー)54を組み込んだコア部55,55を
設けるようにしてもよい。
【0045】また、ビル1,1’,31には、最上階ト
ラス10,32だけでなく、中間階トラス20,33を
備える構成としたが、必要十分な制振性能を得ることが
できるのであれば、中間階トラス20,33を廃した構
成としてもよい。逆に、ビル21,41,51,51’
に中間階トラスを設ける構成としてもよい。もちろん、
ビル1,1’,21,31,41,51,51’におい
て、中間階トラスを複数階に設置するようにしてもよ
い。
【0046】加えて、前記第一または第二の実施の形態
の構成や、上記に挙げた他の例等については、適宜組み
合わせることが可能であるのは言うまでもない。
【0047】これ以外にも、例えばダンパーとして組み
込んだラチス材9の、累積吸収エネルギーの測定と、総
エネルギー吸収能とを比較してモニタリングすることに
より、ラチス材9の交換時期を設定することもできる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
振躯体構造によれば、コア部を備えた躯体に、曲げ剛性
の大きな梁部材が、コア部の頂部または中間部と、躯体
の外周部または他のコア部との間に架設され、さらにコ
ア部の曲げ変形を曲げ戻すためのダンパーが梁部材に具
備された構成となっている。このような制振躯体構造に
より、地震等の発生時には、梁部材によってコア部に曲
げ戻しをかけて変形を緩和するとともに、梁部材に備え
たダンパーにより地震等による振動エネルギーを吸収す
ることができ、高い制振効果を発揮することができる。
したがって、このような制振躯体構造を、アスペクト比
が大きく、曲げ変形が卓越する超高層、超々高層ビル等
に適用することにより、制振効果を有効に発揮して地震
時等の応答低減効果を上げることができ、土地の有効活
用が可能となる。そして、このように高い制振効果を有
した躯体は、従来通常の耐震構造と比較して、躯体を構
成する部材の断面を小さくすることができ、これにより
コストを低減することが可能となる。しかも、上記制振
躯体構造は、外観上、従来のコア部を有した躯体に、例
えばトラス構造等からなる曲げ剛性の大きな梁部材とダ
ンパーとを組み込むのみでよいので、構造計画、建築計
画上の特別な制約を受けることなく、容易に実現可能で
ある。
【0049】また、請求項2に係る制振躯体構造によれ
ば、梁部材がトラス構造とされ、前記ダンパーが前記ト
ラス構造の梁部材のラチス材として組み込まれた構成と
なっている。このようにダンパーをトラス架構のラチス
材に組み込むことにより、振動を効率よく減衰すること
ができる。しかもピストンや回転ピン機構等の可動部が
ないため(フリクションロスによる)エネルギーロスが
ほとんどなく、この点においても効率よく減衰効果を発
揮することができる。ところで、本発明に係る制振躯体
構造と同様の効果を上げることを目的として、例えば、
コア部に曲げ戻しをかけるために設けた曲げ剛性の大き
な梁部材と、躯体の外周部の柱との間にダンパーを挿入
することも考えられるが、このような構成では、外壁と
屋根スラブとの間に相対変形が生じるために、これに対
応したエキスパンジョン・ジョイントや目地などが必要
となり、建物の意匠性が損なわれるという問題がある。
これに対し、上記したようにダンパーをトラス構造の梁
部材のラチス材として組み込むことにより、前記のよう
な問題は何ら生じない。
【0050】請求項3に係る制振躯体構造によれば、ダ
ンパーがアンボンドブレースダンパーである構成となっ
ている。これにより、ダンパーを単純な構造とすること
ができ、低コストで製作が可能で、しかも現場における
取付施工も極めて容易に行うことができる。
【0051】請求項4に係る制振躯体構造によれば、梁
部材の近傍の柱に鉛直ダンパーが組み込まれた構成とな
っている。これにより、鉛直方向の振動エネルギーを効
率よく吸収することができ、上記効果をより一層顕著な
ものとすることができる。
【0052】請求項5に係る制振躯体構造によれば、ダ
ンパーが、躯体の他の部分が完成した後に組み込まれた
ものである構成となっている。これにより、ダンパーに
は、躯体に常時作用している自重等の長期荷重が作用せ
ず、地震等の発生時にのみ短期荷重がダンパーに作用す
るようになっている。これにより、ダンパーにおける振
動減衰効果を効率的に発揮することができる。加えて、
長期荷重が作用していないダンパーは、メンテナンス
や、地震後の復帰等のための交換等に際し、ジャッキア
ップや荷重の盛り替えが不要であり、作業を容易かつ安
全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る制振躯体構造の第一の実施の形
態を示す図であって、前記制振躯体構造を適用したビル
を示す立断面図である。
【図2】 図1の平断面図である。
【図3】 前記ビルに適用したダンパーを示す立面図で
ある。
【図4】 本発明に係る制振躯体構造の第二の実施の形
態を示す図であって、前記制振躯体構造を適用したビル
を示す立断面図である。
【図5】 前記ビルに適用した鉛直ダンパーを示す立面
図である。
【図6】 本発明に係る制振躯体構造を適用したビルの
他の一例を示す立断面図である。
【図7】 本発明に係る制振躯体構造を適用したビルの
さらに他の一例を示す立断面図である。
【図8】 本発明に係る制振躯体構造を適用したビルの
さらに他の一例を示す立断面図である。
【図9】 本発明に係る制振躯体構造を適用したビルの
さらに他の一例を示す立断面図である。
【図10】 本発明に係る制振躯体構造を適用したビル
のさらに他の一例を示す立断面図である。
【符号の説明】
2,52 コアウォール(コア部) 4 外周柱(柱) 9,43,54 ラチス材(ダンパー) 10,22,32,53 最上階トラス(梁部材) 20,33 中間階トラス(梁部材) 24 鉛直ダンパー 34 制振壁(ダンパー) 42,55 コア部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 富博 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高い剛性を有して上下方向に連続するコ
    ア部を備えた躯体に、曲げ剛性の大きな梁部材が、前記
    コア部の頂部または中間部と、前記躯体の外周部または
    他のコア部との間に架設され、さらに、前記コア部の曲
    げ変形を曲げ戻すためのダンパーが前記梁部材に具備さ
    れていることを特徴とする制振躯体構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制振躯体構造において、
    前記梁部材がトラス構造とされ、前記ダンパーが前記ト
    ラス構造の梁部材のラチス材として組み込まれているこ
    とを特徴とする制振躯体構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の制振躯体構造に
    おいて、前記ダンパーがアンボンドブレースダンパーで
    あることを特徴とする制振躯体構造。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の制
    振躯体構造において、前記梁部材の端部近傍の柱に、該
    柱の軸方向の変位を減衰する鉛直ダンパーが組み込まれ
    てなることを特徴とする制振躯体構造。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の制
    振躯体構造において、前記ダンパーが、前記躯体の他の
    部分が完成した後に組み込まれたものであることを特徴
    とする制振躯体構造。
JP9089708A 1997-04-08 1997-04-08 制振躯体構造 Pending JPH10280725A (ja)

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JP9089708A JPH10280725A (ja) 1997-04-08 1997-04-08 制振躯体構造

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