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JP6415263B2 - 包装体用フィルム及び包装体 - Google Patents

包装体用フィルム及び包装体 Download PDF

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JP6415263B2 JP2014233680A JP2014233680A JP6415263B2 JP 6415263 B2 JP6415263 B2 JP 6415263B2 JP 2014233680 A JP2014233680 A JP 2014233680A JP 2014233680 A JP2014233680 A JP 2014233680A JP 6415263 B2 JP6415263 B2 JP 6415263B2
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Description

本発明は、包装体用フィルム及び包装体に関する。
近年、コーヒーや茶等を、食後や食間等の日常生活の中で飲む機会が増えてきた。
コーヒーや茶は、その味だけでなく、香り(臭気)が多くの人に好まれている。特に、焙煎直後のコーヒー豆やこれを挽いた粉砕体からは、コーヒー独特の臭気が強く感じられる。
コーヒー豆を焙煎すると、上記のようなコーヒー独特の臭気(コーヒー本来の臭気)とともに炭酸ガスが発生する。そのため、焙煎直後のコーヒー豆又はその粉砕体を包装体に充填して保管すると、保管中に、包装体が炭酸ガスにより膨らんだり、破裂したりするという問題があった。
かかる問題に対し、特許文献1、特許文献2には、ガス抜き弁が備えられた包装体が開示されている。
しかしながら、特許文献1、特許文献2の包装体に焙煎されたコーヒー豆を充填すると、ガス抜き弁から炭酸ガスが排出される際に、炭酸ガスとともにコーヒー本来の臭気も排出されてしまうという問題があった。
特開平8−258873号公報 特開平10−1181号公報
本発明は、炭酸ガスの吸着性に優れ、かつ、内容物の本来の臭気を維持できる包装体用フィルムを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の包装体用フィルムが、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明の包装体用フィルムは、以下の構成を有する。
[1]バリア材と、該バリア材の一方の面に設けられたシーラント材とを備え、前記シーラント材は、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトを含有するゼオライト含有層を備え、前記親水性ゼオライトは、Naイオンを有するゼオライト及び/又はCaイオンを有するゼオライトであり、前記ゼオライト含有層中、親水性ゼオライト/疎水性ゼオライトで表される質量比が5/5〜9/1であることを特徴とする、包装体用フィルム。
[2]前記シーラント材は、前記バリア材側から順にラミネート層と前記ゼオライト含有層とヒートシール層とが配されていることを特徴とする、[1]に記載の包装体用フィルム。
[3]焙煎されたコーヒー豆又はその粉砕体の包装用であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の包装体用フィルム。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の包装体用フィルムが製袋されてなる、包装体。
本発明の包装体用フィルムは、炭酸ガスの吸着性に優れ、かつ、内容物の本来の臭気を維持できる。
本発明の第一の実施形態にかかる包装体用フィルムの断面図である。 本発明の第二の実施形態にかかる包装体用フィルムの断面図である。
本発明の包装体用フィルムは、バリア材と、バリア材の一方の面に設けられたシーラント材とを備え、シーラント材は、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトを含有する。
以下、本発明の包装体用フィルムについて、実施形態を挙げて説明する。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかる包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。図1の包装体用フィルム1は、基材10と、バリア材20と、シーラント材30とがこの順で積層されたものである。即ち、包装体用フィルム1は、バリア材20と、バリア材20の一方の面に設けられたシーラント材30とを備える。
包装体用フィルム1の厚さは、特に限定されないが、例えば、40〜250μmが好ましく、50〜200μmがより好ましく、60〜150μmがさらに好ましい。上記下限値未満では、包装体用フィルム1の強度が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装体用フィルム1の柔軟性が低下して取り扱いが煩雑になるおそれがある。
<基材>
基材10は、樹脂製フィルム、紙、及びこれらの積層体等が挙げられる。
樹脂製フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリオレフィン、二軸延伸ナイロン等のポリアミド(PA)等、及びこれらの積層体が挙げられる。中でも、PET、ポリプロピレン(PP)、PAが好ましく、二軸延伸PET、OPP、PAがより好ましい。
積層体としては、上記樹脂製フィルム同士の積層体が挙げられる。
この基材10は、その表面や層間に印刷が施されていてもよい。
基材10の厚さは、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。上記下限値未満では、包装体用フィルム1の強度が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装体用フィルム1の柔軟性が損なわれ、取り扱いが煩雑になるおそれがある。
<バリア材>
バリア材20は、内容物の臭気の透過を抑制する役割を有する。バリア材20としては、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔、二軸延伸PET、エチレン−ビニルアルコール重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)等、従来、バリア材として用いられている樹脂製フィルム、前記樹脂製フィルムにアルミニウム等の金属又はシリカが蒸着された蒸着フィルム、及びこれらの積層体が挙げられる。バリア材20としては、アルミニウム(Al)箔、EVOH、Al蒸着フィルムが好ましい。
バリア材20のガス透過度は、5cm/(m・atm・24h)[=4.93cm/(m・MPa・24h)]以下が好ましく、1cm/(m・atm・24h)[=0.987cm/(m・MPa・24h)]以下がより好ましい。上記上限値以下であれば、内容物の臭気がより失われにくくなる。ガス透過度は、JIS K7126のモコン法により求められる。
バリア材20の厚さは、材質や構成等を勘案して決定される。バリア材20として金属箔を用いる場合、バリア材20の厚さは、例えば、6〜20μmが好ましく、7〜12μmがより好ましい。上記下限値未満では、ガスバリア性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装体用フィルム1の柔軟性が損なわれ、取り扱いが煩雑になるおそれがある。
バリア材20として樹脂製フィルムを用いる場合、バリア材20の厚さは、例えば、10〜30μmが好ましく、12〜15μmがより好ましい。上記下限値未満では、ガスバリア性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装体用フィルム1の柔軟性が損なわれ、取り扱いが煩雑になるおそれがある。
<シーラント材>
シーラント材30は、バリア材20側から順に、ラミネート層32と、ゼオライト含有層34と、ヒートシール層36とが配された積層体である。
≪ラミネート層≫
ラミネート層32は、主にシーラント材30とバリア材20との接着性を高める役割を有する。
ラミネート層32を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状LDPE(LLDPE)、MDPE、HDPE、PP等のポリオレフィン、EVOH、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、アイオノマー等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ラミネート層32の厚さは、5〜50μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。上記下限値未満では、バリア材20に対するシーラント材30の接着強度が低下するおそれがあり、上記上限値超では、包装体用フィルム1が厚くなりすぎて、柔軟性が損なわれるおそれがある。
≪ゼオライト含有層≫
ゼオライト含有層34は、ゼオライトを含有する樹脂フィルムであり、内容物から生じた炭酸ガスを吸着する。
ゼオライト含有層34を構成する樹脂としては、ラミネート層32を構成する樹脂と同様のものが挙げられる。
ゼオライト含有層34に含まれるゼオライトは、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトであり、前記親水性ゼオライトは、Naイオンを有するゼオライト及び/又はCaイオンを有するゼオライトであり、前記ゼオライト含有層中の親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトの質量比は、親水性ゼオライト/疎水性ゼオライトで表される質量比で5/5〜9/1である。
ゼオライト含有層34は、Naイオンを有する親水性ゼオライト及び/又はCaイオンを有する親水性ゼオライトと、疎水性ゼオライトとを、所定の質量比で含有することで、炭酸ガスを選択的に吸着できる。そのため、内容物から生じる炭酸ガスを選択的に吸着でき、かつ内容物の本来の臭気を良好に維持できる。
親水性ゼオライトは、SiO/Alで表されるモル比(以下、SiO/Al比ということがある)が5未満のものである。親水性ゼオライトのSiO/Al比は、1〜4.9が好ましく、1〜3がより好ましい。上記下限値は、ゼオライトにおける理論上のSiO/Al比の最低値である。上記上限値以下であれば、炭酸ガスの吸着性がより高まりやすくなる。
親水性ゼオライトは、Naイオンを有するゼオライト(Na型ゼオライト)及び/又はCaイオンを有するゼオライト(Ca型ゼオライト)である。本発明においては、親水性ゼオライトとして、Naイオンを有するゼオライト及び/又はCaイオンを有するゼオライトを用いることで炭酸ガスの吸着性を高めている。
なお、ゼオライトは、SiOのSiの一部がAlで置換された構造を有しており正の電荷が不足している。ゼオライトは、この正の電荷を補うために置換可能なカチオンを有している。前記カチオンとして、Naイオンを有するものがNa型ゼオライト、Caイオンを有するものがCa型ゼオライト、Kイオンを有するものがK型ゼオライトである。
これらNa型、Ca型、K型ゼオライトは、例えば、これらの金属イオンが含まれる水溶液中にゼオライトを投入しイオン交換することで得られる。また、これらNa型、Ca型、K型ゼオライトは、モレキュラーシーブ等の商品名でそれぞれ市販されており市場から容易に入手できる。
本発明においては、これらNa型、Ca型、K型ゼオライトの中から、親水性ゼオライトとして、Na型ゼオライト及び/又はCa型ゼオライトを用いることで炭酸ガスの吸着性を高めている。
親水性ゼオライト中の結晶水の量(結晶水量)は、親水性ゼオライト1モル当たり100モル以上が好ましく、150モル以上がより好ましい。前記下限値以上であれば、炭酸ガスの吸着性が高まりやすくなる。
親水性ゼオライトとしては、例えば、モレキュラーシーブ(商品名、ユニオン昭和株式会社製)、ゼオラム(商品名、東ソー株式会社製)等が挙げられる。
親水性ゼオライトの平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、5〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが特に好ましい。上記下限値未満では、ゼオライト含有層34を設ける際に、親水性ゼオライトが二次凝集して粒子径が大きくなりやすく、この二次凝集した粒子がゼオライト含有層34を破損して、ゼオライト含有層34を設けた効果が低下するおそれがある。上記上限値超では、親水性ゼオライトの粒子径が大きすぎて、親水性ゼオライトがゼオライト含有層34を破損して、ゼオライト含有層34を設けた効果が低下するおそれがある。
親水性ゼオライトの平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積標準のメジアン径である。
疎水性ゼオライトは、SiO/Alで表されるモル比が5以上のものである。疎水性ゼオライトのSiO/Al比は、8以上が好ましく、40以上がより好ましく、80以上がさらに好ましい。前記下限値以上の疎水性ゼオライトを、親水性ゼオライトと併用すると、炭酸ガスの選択吸着性をより高め、内容物の本来の臭気を維持しやすくなる。
親水性ゼオライトのSiO/Al比と疎水性ゼオライトのSiO/Al比とは、5以上異なることが好ましく、40以上異なることがより好ましい。上記下限値以上であれば、炭酸ガスの選択吸着性を高めやすくなり、内容物の本来の臭気を維持しやすくなる。
疎水性ゼオライトが有するカチオンは、特に限定されないが、Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン等が挙げられる。
疎水性ゼオライト中の結晶水の量(結晶水量)は、親水性ゼオライト1モル当たり50モル以下が好ましく、30モル以下がより好ましい。
疎水性ゼオライトとしては、例えば、疎水性モレキュラーシーブ(商品名、ユニオン昭和株式会社製)、ハイシリカゼオライト(商品名、東ソー株式会社製)等が挙げられる。
疎水性ゼオライトの平均粒子径は、親水性ゼオライトの平均粒子径と同様である。
ゼオライト含有層34中、親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトとの合計量(ゼオライト含有量)は、10〜70質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。ゼオライト総含有量が上記下限値以上であれば、炭酸ガスの吸着性をより高めやすくなる。ゼオライト総含有量が上記上限値以下であれば、ゼオライト含有層を欠損なく形成しやすい。
親水性ゼオライト/疎水性ゼオライトで表される質量比(以下、「親水/疎水比」ということがある)は、5/5〜9/1であり、5/5〜8/2がより好ましく、5/5〜7/3がさらに好ましい。親水/疎水比が前記の範囲であると、炭酸ガスの選択吸着性が高められ、内容物の本来の臭気を維持しやすくなる。
ゼオライト含有層34の厚さは、10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましく、40〜60μmがさらに好ましい。上記の好ましい範囲であると、炭酸ガスの吸着性が高まりやすくなる。
≪ヒートシール層≫
ヒートシール層36としては、従来公知の材質が挙げられ、例えば、ラミネート層32と同様のものが挙げられる。ヒートシール層36は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。
また、例えば、ヒートシール層36は、イージーピール性を有してもよい。イージーピール性を有するヒートシール層36としては、相分離をする凝集剥離タイプ及び被着体との界面で剥離する界面剥離タイプ等のいずれの剥離タイプでもよい。
ヒートシール層36の厚さは、材質等を勘案して決定され、例えば、5〜130μmが好ましく、5〜90μmがより好ましく、10〜60μmがさらに好ましく、10〜50μmが特に好ましく、20〜50μmが最も好ましい。上記の好ましい下限値未満では、ヒートシール強度が低下するおそれがある。上記の好ましい上限値超では、炭酸ガスの吸着性が低下するおそれがある。
<包装体用フィルムの製造方法>
包装体用フィルム1は、従来公知の製造方法に準じて製造される。
包装体用フィルム1の製造方法の一例について、以下に説明する。
本実施形態の包装体用フィルム1の製造方法は、基材10を得る工程(基材製造工程)と、シーラント材30を得る工程(シーラント材製造工程)と、基材10とバリア材20とシーラント材30とを積層する工程(積層工程)とを備える。
基材製造工程で基材10を得る方法は、基材10の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
シーラント材製造工程でシーラント材30を得る方法は、シーラント材30の材質や構成等に応じて、従来公知の方法から選択される。
シーラント材30を得る方法としては、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を用いた共押出法によって、ラミネート層32とゼオライト含有層34とヒートシール層36との積層体であるシーラント材30を得る方法が挙げられる。
積層工程で基材10とバリア材20とシーラント材30とを積層する方法としては、例えば、基材10とバリア材20とシーラント材30とを重ね、これを押圧しつつ加熱する方法が挙げられる。この際、各材の間に接着剤を塗布してもよい。
<包装体>
本実施形態の包装体は、本実施形態の包装体用フィルム1が用いられたものである。包装体としては、例えば、包装体用フィルム1のヒートシール層36同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋、これらのチャック付き袋等が挙げられる。
また、例えば、包装体としては、開口部を有する容器本体と、包装体用フィルム1からなる蓋体とを備え、容器本体の開口部周縁にヒートシール層36を当接し、包装体用フィルム1を容器本体にヒートシールした容器が挙げられる。この場合の容器本体の材質としては、特に限定されず、例えば、PET、金属、紙等が挙げられる。
本実施形態の包装体用フィルムによれば、Naイオン及び/又はCaイオンを含む親水性ゼオライトと、疎水性ゼオライトとを、所定の質量比で含有するゼオライト含有層を備えるため、炭酸ガスを選択的に吸着でき、内容物の本来の臭気を維持できる。
このため、本実施形態の包装体用フィルムは、コーヒー(コーヒー豆)、緑茶や紅茶等の茶(茶葉)、味噌等、保管中に炭酸ガスを発生する飲料や食品等の包装用として好適である。特に、炭酸ガスの選択吸着性に優れ、内容物の本来の臭気が維持される点から、焙煎されたコーヒー豆又はその粉砕体の包装用として好適である。
さらに、本発明の包装体用フィルムから製袋されてなる包装体によれば、上記の飲料や食品等を包装して保管した場合でも、保管中に発生する炭酸ガスが該包装体用フィルムに吸着・吸収され、その結果、炭酸ガスによる包装体の膨らみ等の変形や破裂を抑制できる。さらにまた、保管中の飲料や食品の本来の臭気が維持されるため、保管後に包装体を開封した際に、飲料や食品の本来の臭気が充分に感じられる。
加えて、本発明の包装体用フィルムから製袋されてなる包装体は、ガス抜き弁を備える必要がないため生産性に優れ安価に製造でき、かつ、保管中の棚等においてガス抜き弁のための余分なスペースや包装体が変形することにより生じる余分なスペースを省略でき保管性に優れる。
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかる包装体用フィルムについて、図面を参照して説明する。図2の包装体用フィルム100は、バリア材120と、シーラント材30とがこの順で積層されたものである。即ち、包装体用フィルム100は、バリア材120と、バリア材120の一方の面に設けられたシーラント材30とを備える。
本実施形態において、第一の実施形態と異なる点は、バリア材120が基材を兼ねている点である。
バリア材120は、第一の実施形態における基材10とバリア材20とを兼ねる材質である。バリア材120としては、PET、OPP、CPP、HDPE、MDPE等、第一の実施形態における基材10と同様の樹脂製フィルムに、アルミニウム等の金属又はシリカが蒸着された蒸着フィルムが挙げられる。中でも、バリア材120としては、金属蒸着フィルムが好ましく、アルミニウム蒸着フィルムが好ましい。金属蒸着フィルムであれば、内容物の臭気がより失われにくくなる。
バリア材120の厚さは、第一の実施形態における基材10の厚さと同様である。
包装体用フィルム100の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用できる。例えば、バリア材120として蒸着フィルムを得、バリア材120の蒸着面とラミネート層32とが当接するように、バリア材120とシーラント材30とを重ね、これを押圧しつつ加熱する方法が挙げられる。
本実施形態によれば、包装体用フィルムを薄肉化できるため、柔軟性のさらなる向上を図れる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、シーラント材がラミネート層を備えるが、本発明はこれに限定されず、ラミネート層を省略し、ゼオライト含有層がラミネート層を兼ねてもよい。ただし、バリア材とシーラント材との接着性をより高める観点からは、ラミネート層を備えることが好ましい。
上述の実施形態では、ヒートシール層を備えるが、本発明はこれに限定されず、ヒートシール層を省略し、ゼオライト含有層がヒートシール層を兼ねてもよい。ただし、ヒートシール強度をより高める観点からは、ヒートシール層を備えることが好ましい。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した材料は下記のとおりである。
(使用材料)
<基材>
・PA:ナイロン、ハーデンフィルム N1102(商品名)、東洋紡株式会社製。
・Al蒸着PET:VM−PET(商品名)、東レフィルム加工株式会社製。
<バリア材>
・Al蒸着PET:VM−PET(商品名)、東レフィルム加工株式会社製。
・EVOH:エバール(商品名)、クラレ株式会社製。
<シーラント材>
・PE:LLDPE、リックス(商品名)、東洋紡株式会社製。
<ゼオライト>
・親水性ゼオライトa:モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=10μm、Naイオン、SiO/Al比=2.3、結晶水量=240モル、ユニオン昭和株式会社製。
・親水性ゼオライトb:モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=10μm、Caイオン、SiO/Al比=2.3、結晶水量=240モル、ユニオン昭和株式会社製。
・親水性ゼオライトc:モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=10μm、Kイオン、SiO/Al比=3、結晶水量=21モル、ユニオン昭和株式会社製。
・疎水性ゼオライト:疎水性モレキュラーシーブ(商品名)、平均粒子径=10μm、Naイオン、SiO/Al比=50、結晶水量=16モル、ユニオン昭和株式会社製。
(実施例1〜11、比較例1〜4)
<実施例1〜11、比較例2〜4>
表1の構成に従い、実施例1〜11及び比較例2〜4の包装体用フィルムを製造した。シーラント材は、各層の構成原料が共押出機により成形されたものである。ラミネート層がバリア材と当接するように基材とバリア材とシーラント材とを重ね、これを押圧(0.4MPa)しつつ加熱(55℃)して、実施例1〜11及び比較例2〜4の包装体用フィルムを得た。
なお、実施例2においては、基材のPETが最外層となるように配置した。実施例1〜2、実施例5〜11及び比較例2〜4においては、バリア材のPETが基材と当接するように配置した。
<比較例1>
バリア材を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、包装体用フィルムを製造した。この際、ラミネート層が基材と当接するように基材とシーラント材とを配置した。
(評価方法)
各例で得られた包装体用フィルムを用い、200mm×300mmの平袋を作製した。
次いで、コーヒー豆を焙煎し、焙煎後のコーヒー豆を、23℃、湿度50%RHにおいて1時間静置した。静置後のコーヒー豆500gを上記の平袋に入れ密封してサンプルとした。
このサンプルを23℃で8時間保管した。
保管後のサンプルについて、膨らみ度、臭気の強さ、コーヒー本来の臭気の残存性を下記のように評価した。評価結果を表1に示す。
<膨らみ度>
上記保管後の袋の膨らみの度合いを目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
[膨らみ度の評価基準]
◎:保管前と比較して、変化がほとんど認められない。
○:保管前と比較して、僅かな膨らみが認められる。
△:保管前と比較して、膨らみが認められる。
×:保管前と比較して、大きな膨らみが認められる。
××:保管中に袋が破裂した。
<臭気の強さ及びコーヒー本来の臭気の残存性>
上記保管後の袋を開封し、その際に感じる臭気の強さと、コーヒー本来の臭気の残存性を、パネラー5名が下記判断基準により採点した。パネラー5名の採点結果の平均値を下記評価基準に分類して評価した。
[臭気の強さの判断基準]
4点:非常に強い臭気を感じる。
3点:やや強い臭気を感じる。
2点:弱い臭気を感じる。
1点:臭気を僅かに感じる。
0点:臭気を全く感じない。
[臭気の強さの評価基準]
◎:3点以上。
○:2点以上3点未満。
△:1点以上2点未満。
×:1点未満。
[コーヒー本来の臭気の残存性の判断基準]
4点:本来の臭気が弱まらずに残存している。
3点:本来の臭気がやや弱まっている。
2点:本来の臭気が半分程度に弱まっている。
1点:本来の臭気が非常に弱まっている。
0点:本来の臭気を感じない。
[コーヒー本来の臭気の残存性の評価基準]
◎:3点以上。
○:2点以上3点未満。
△:1点以上2点未満。
×:1点未満。
(総合評価)
上記「膨らみ度」、「臭気の強さ」、「コーヒー本来の臭気の残存性」の評価結果に基づき、各例の包装体用フィルムを下記のように分類して総合評価した。総合評価がA〜Cのものを合格とした。
A:上記「膨らみ度」、「臭気の強さ」及び「コーヒー本来の臭気の残存性」の各評価において、評価結果がすべて「◎」のもの。
B:上記「膨らみ度」、「臭気の強さ」及び「コーヒー本来の臭気の残存性」の各評価において、評価結果が、1つ以上「○」であり、かつ、「△」、「×」及び「××」がないもの。
C:上記「膨らみ度」、「臭気の強さ」及び「コーヒー本来の臭気の残存性」の各評価において、評価結果が、1つが「△」であり、かつ、「×」及び「××」がないもの。
D:上記「膨らみ度」、「臭気の強さ」及び「コーヒー本来の臭気の残存性」の各評価において、評価結果が、2つ以上「△」であるか、又は、1つ以上「×」若しくは「××」であるもの。
Figure 0006415263
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜11は、総合評価が「A」〜「C」であった。
一方、バリア材を有さない包装体用フィルム(比較例1)を用いた場合、保管後の袋に臭気が残存せず、コーヒー本来の臭気が感じられなかった。
ゼオライト含有層に含まれる親水性ゼオライトと疎水性ゼオライトの質量比(親水/疎水比)が、本発明の下限値未満の包装体用フィルム(比較例2)を用いた場合、炭酸ガスの吸着性が不充分であり、保管後の袋が大きく膨らんだ。これは、ゼオライト含有層の疎水性が高くなりすぎ、炭酸ガスを充分に吸着、吸収できないためと考えられる。
ゼオライト含有層の「親水/疎水比」が、本発明の上限値を超える包装体用フィルム(比較例3)を用いた場合、炭酸ガスの吸着性が不充分であり、保管後の袋が膨らんだ。これは、ゼオライト含有層の親水性が高くなりすぎ、ゼオライト含有層に炭酸ガスよりも水蒸気(水分子)や窒素ガスが優先的に吸着、吸収され、その結果、炭酸ガスの吸着量が低下したためと考えられる。さらに、比較例3の包装体用フィルムを用いた場合、コーヒー本来の臭気の残存性が充分でなかった。これは、ゼオライト含有層に、コーヒー本来の臭気(臭気成分)が吸着、吸収されたためと考えられる。
ゼオライト含有層に含まれる親水性ゼオライトの金属イオンがカリウムイオンである包装体用フィルム(比較例4)を用いた場合、炭酸ガスの吸着性が不充分であり、保管中に袋が破裂した。これは、カリウムイオンを含む親水性ゼオライトは、該ゼオライト中の細孔が小さく、炭酸ガスを吸着、吸収できないためと考えられる。なお、比較例4については、保管中に袋が破裂したため保管後の「臭気の強さ」及び「コーヒー本来の臭気の残存性」についての評価は行わなかった。
以上の結果から、本発明を適用することで、炭酸ガスの吸着性に優れ、かつ、内容物の本来の臭気を維持できることが確認できた。
1、100 包装体用フィルム
20、120 バリア材
30 シーラント材
34 ゼオライト含有層

Claims (4)

  1. バリア材と、該バリア材の一方の面に設けられたシーラント材とを備え、
    前記シーラント材は、親水性ゼオライト及び疎水性ゼオライトを含有するゼオライト含有層を備え、
    前記親水性ゼオライトは、Naイオンを有するゼオライト及び/又はCaイオンを有するゼオライトであり、
    前記ゼオライト含有層中、親水性ゼオライト/疎水性ゼオライトで表される質量比が5/5〜9/1であることを特徴とする、包装体用フィルム。
  2. 前記シーラント材は、前記バリア材側から順にラミネート層と前記ゼオライト含有層とヒートシール層とが配されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装体用フィルム。
  3. 焙煎されたコーヒー豆又はその粉砕体の包装用であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の包装体用フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体用フィルムが製袋されてなる、包装体。
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