まず、図1乃至図3を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照しながら駆動システム10について説明する。駆動システム10は、エンジン11と、第1クラッチCL1と、モータジェネレータ12と、自動変速機13と、デファレンシャル14と、ドライブシャフト15,15と、車輪16,16と、を有している。
エンジン11は、ガソリンを燃料とする内燃機関である。エンジン11は、エンジンコントローラ21から受信する制御信号に基づいて、スロットルバルブ(不図示)のバルブ開度等が制御される。エンジン11は、動力としてトルクを伝達するエンジン軸111を有している。
また、エンジン11には、その始動を補助するスタータ17が設けられている。このスタータ17は、スタータコントローラ22から受信する制御信号に基づいてトルクを発生させ、エンジン11の駆動の開始を補助する。
第1クラッチCL1は、エンジン11のエンジン軸111と、モータジェネレータ12の第1軸121との間に設けられている。第1クラッチCL1は、比例ソレノイドで作動油の流量及び圧力を連続的に制御できる湿式多板クラッチである。第1クラッチCL1は、第1クラッチコントローラ24から受信する制御信号に基づいて第1クラッチ油圧ユニット31のポンプ(不図示)によって作り出される制御油圧により、スリップ締結を含む締結及び開放が制御される。
モータジェネレータ12は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータである。モータジェネレータ12は、エンジン11側に延びる第1軸121と、自動変速機13側に延びる第2軸122と、を有している。第1軸121及び第2軸122は同期して回転するように設けられている。モータジェネレータ12は、モータジェネレータコントローラ25から受信する制御信号に基づいてインバータ34によって作り出される三相交流を印加することにより制御される。
モータジェネレータ12は、バッテリ32から電力の供給を受けることで回転駆動し、動力としてトルクを発生させる電動機として機能する。また、モータジェネレータ12は、ロータが第1軸121や第2軸122から受ける外力によって回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ32を充電させることもできる(以下、この動作状態を「回生」とも称する)。
バッテリ32とモータジェネレータ12との間における電力の授受は、コンバータ33及びインバータ34を介して行われる。コンバータ33は、直流電力の昇圧を行う変換器である。このコンバータ33は、コンバータコントローラ23から受信する制御信号に基づいて駆動する。また、インバータ34は、直流電力を交流電力に、又は、交流電力を直流電力に変換する変換器である。インバータ34は、モータジェネレータコントローラ25から受信する制御信号に基づいて駆動する。
第2クラッチCL2は、モータジェネレータ12の第2軸122と自動変速機13の車軸131との間に設けられている。第2クラッチCL2は、比例ソレノイドで作動油の流量及び圧力を連続的に制御できる湿式多板クラッチである。第2クラッチCL2は、第2クラッチコントローラ26から受信する制御信号に基づいて第2クラッチ油圧ユニット35のポンプ(不図示)によって作り出される制御油圧によって、スリップ締結を含む締結及び開放が制御される。
エンジンコントローラ21、スタータコントローラ22、コンバータコントローラ23、第1クラッチコントローラ24、モータジェネレータコントローラ25及び第2クラッチコントローラ26の各種コントローラは、いずれも総合コントローラ40から受信する制御信号に基づいて動作する。総合コントローラ40は、アクセル開度センサ(不図示)など、ハイブリッド車両HVの各部位に設けられる各種センサ(不図示)と通信可能に接続されている。総合コントローラ40は、各種センサから受信する信号に基づいて演算を行うとともに、その演算結果に基づいて各種コントローラに制御信号を送信する。具体的には、総合コントローラ40は、アクセル開度センサからトルク発生を命じる指令(以下、この指令を「トルク指令」と称する)を受信すると、エンジン11やモータジェネレータ12にトルクを発生させるための演算を行う。
自動変速機13は、複数の段階の変速比を、ハイブリッド車両HVの速度(以下、単に「車速」ともいう)やアクセル開度等に応じて自動的に切り替える変速機である。第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機13の各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。自動変速機13の車軸131は、デファレンシャル14、ドライブシャフト15,15を介して車輪16,16に連結されている。尚、無段変速機を備えた場合には、前後進切替機構に備えられたクラッチを第2クラッチCL2として使用すればよく、第2クラッチCL2の構成は特に限定されるものではない。
この駆動システム10は、第1クラッチCL1及び第2クラッチの締結・開放状態や、エンジン11及びモータジェネレータ12の駆動状態を切り替えることによって、ハイブリッド車両HVに種々の走行を行わせることが可能である。
まず、第1クラッチCL1を開放させる一方で、第2クラッチCL2を締結させることで、モータジェネレータ12が発生させるトルクのみによってハイブリッド車両HVを走行させることが可能である。また、第1クラッチCL1を締結させるとともに第2クラッチCL2を締結させた状態で、エンジン11及びモータジェネレータ12の双方又は一方によって発生させたトルクによってハイブリッド車両HVを走行させることが可能である。このように、エンジン11及びモータジェネレータ12の少なくとも一方によって発生させたトルクによってハイブリッド車両HVを走行させる駆動状態を「力行駆動」とも称する。
また、駆動システム10は、エンジン11及びモータジェネレータ12から車軸131に加速のためのトルクを伝達させることなく、ハイブリッド車両HVを慣性によって走行させることが可能である。このように、ハイブリッド車両HVが慣性によって走行している状態を「コースト走行」とも称する。
次に、図2及び図3を参照しながら、以上のように構成された駆動システム10を制御する総合コントローラ40の制御の例を説明する。図2は、エンジン11が発生させるトルクによって走行しているハイブリッド車両HVが、コースト走行に移行する際の車速等の変化を示している。
図2に示されるように、時刻t11までは、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をいずれも締結させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給してトルクを発生させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによって走行する。
時刻t11で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t11後も、エンジン11は慣性によって回転を継続する。
時刻t11で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が時刻t12にかけて急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t11では、インバータ34のスイッチング周波数を、それまでの5kHzから1.5kHzまで減少させる。
図3は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。
まず、総合コントローラ40は、ステップS101で、トルク指令がゼロであるか否かを判定する。トルク指令がゼロではないと判定した場合(S101:No)、すなわち、ハイブリッド車両HVに加速が要求されている場合、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、トルク指令がゼロであると判定した場合(S101:Yes)、すなわち、ハイブリッド車両HVに加速が要求されていない場合、総合コントローラ40はステップS102の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS102で、第2クラッチCL2を開放させる。具体的には、総合コントローラ40は、第2クラッチコントローラ26を介して第2クラッチ油圧ユニット35に制御信号を送信し、それまで第2クラッチ油圧ユニット35が第2クラッチCL2に印加していた制御油圧を解除させる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS103で、エンジン11が駆動中であるか否かを判定する。エンジン11が駆動中であると判定した場合(S103:Yes)、すなわち、エンジン11において燃料の燃焼が行われている場合は、総合コントローラ40はステップS104の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS104で、エンジン11への燃料の供給を停止する。燃料の供給を停止した後、エンジン11は慣性によって回転を継続する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS105で、インバータ34のスイッチング周波数を減少させる。さらに、総合コントローラ40は、ステップS106で、回転数が減少するエンジン11から第1クラッチCL1を介して伝達されるトルクによって、モータジェネレータ12に電力を発生させる。
一方、ステップS103で、エンジン11は駆動中ではないと総合コントローラ40が判定した場合(S103:No)、総合コントローラ40は、ステップS107の処理に進む。総合コントローラ40は、ステップS107で、インバータ34のスイッチング周波数を減少させる。
以上のように、第1実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVのコースト走行中に、エンジン11への燃料の供給を停止するとともに第1クラッチCL1を締結させる。そして、モータジェネレータ12によってエンジン11の回転の減速を行う。
また、この第1実施例では、ハイブリッド車両HVのコースト走行中にモータジェネレータ12によってエンジン11の回転の減速を行う場合について説明しているが、本発明はこれに限らず、エンジン11の回転の加速を行ってもよい。このように、モータジェネレータ12によってエンジン11の回転の加速又は減速を行うことで、エンジン11への燃料の供給によってエンジン11の回転の加速又は減速を行う場合に比べて、燃料の消費を抑制して燃費を向上させることができる。さらに、コースト走行中に速度の変更要求があった場合には、エンジン11の回転を迅速にハイブリッド車両HVの速度に対応するものにして、応答性を高めることが可能となる。
また、総合コントローラ40は、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、コースト走行前と比べてインバータ34のスイッチング周波数を減少させる。これにより、インバータ34における電力の消費を抑制し、ハイブリッド車両HVの燃費を向上させることが可能となる。尚、コースト走行中は第2クラッチCL2を開放させているため、車軸131側から入力される外乱は軽微なものとなる。したがって、インバータ34のスイッチング周波数を減少させて応答性が低下した場合にも、それに基づく悪影響は軽微なものとなる。
また、総合コントローラ40は、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、モータジェネレータ12によってエンジン11を停止させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11を停止させるまでの間にモータジェネレータ12によって発生させた電力をバッテリ32に充電させる。これにより、ハイブリッド車両HVをコースト走行させるための慣性に影響を与えることなく電力を発生させ、燃費を向上させることが可能となる。
次に、図4及び図5を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図4に示されるように、総合コントローラ40は、時刻t21までは第1クラッチCL1を開放させるとともに、第2クラッチCL2を締結させた状態で、モータジェネレータ12のみによってトルクを発生させている。これにより、ハイブリッド車両HVは、モータジェネレータ12が発生させるトルクによって走行し、加速していく。
時刻t21で、総合コントローラ40は、スタータコントローラ22を介してスタータ17に制御信号を送信し、スタータ17を駆動させる。このスタータ17の補助を受けることで、それまで停止していたエンジン11が点火して駆動を開始し、その回転数が増加していく。
時刻t22で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させるトルクによる走行を開始する。
時刻t23で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t23後も、エンジン11は慣性によって回転を継続する。
時刻t23で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t23では、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を、それまでの5kHzから1.5kHzまで減少させる。
時刻t24で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させる。この時刻t24は、その後にエンジン11を停止させるまでの間に、第1クラッチ油圧ユニット31のポンプを駆動させて第1クラッチCL1の締結を維持させるために必要となる仕事量が、モータジェネレータ12によって発生させることができる電力と比べて小さくなったタイミングである。
時刻t25で、モータジェネレータ12の回転数がゼロとなると、総合コントローラ40は、インバータ34をシャットダウンする。一方、第1クラッチCL1の開放によってモータジェネレータ12における逆トルクが解消したことで、その後のエンジン11の回転数の減少は緩慢となり、時刻t25以降も回転を継続する。
ハイブリッド車両HVがコースト走行中の時刻t26で、総合コントローラ40がトルク指令を受けると、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させるとともに、モータジェネレータ12の回転数を増加させる。このとき、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を5kHzまで増加させる。
第1クラッチCL1を締結させることにより、モータジェネレータ12から第1軸121、第1クラッチCL1及びエンジン軸111を介してエンジン11にトルクが伝達され、エンジン11が駆動を開始する。すなわち、ハイブリッド車両HVがコースト走行中にトルク指令を受けた場合、モータジェネレータ12によってエンジン11の駆動の開始を補助させる。当該トルク指令の要求トルクは、所定の閾値以上のものである。
時刻t27で、エンジン11への燃料の供給が開始され、エンジン11が点火されてトルクを発生させ始めると、総合コントローラ40はモータジェネレータ12に供給する電力を減少させる。これにより、時刻t27以降、モータジェネレータ12が発生させるトルクが減少する。
時刻t28で、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによる走行を開始する。
図5は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、コースト走行に移行する際に総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。本フローチャートのステップS201からステップS206までに行われる処理は、前述した第1実施形態のフローチャート(図3参照)のステップS101からステップS206までに行われる処理と同様である。また、本フローチャートのステップS211で行われる処理は、前述した第1実施形態のフローチャートのステップS107で行われる処理と同様である。したがって、これらのステップについては、その説明を省略する。以下、ステップS207以降の処理について説明する。
総合コントローラ40は、ステップS207で、エンジン11を停止させるまでの間にモータジェネレータ12によって発生させることができる電力(回生電力)が、同じくエンジン11を停止させるまでの間に第1クラッチ油圧ユニット31のポンプを動作させて第1クラッチCL1の締結を維持させるために必要となる仕事量よりも大きいか否かを判定する。当該回生電力がポンプの仕事量よりも大きいと判定した場合(S207:Yes)、総合コントローラ40は、総合コントローラ40はステップS206の処理に戻り、回転数が減少するエンジン11から伝達されるトルクによってモータジェネレータ12に電力を発生させる。一方、当該回生電力がポンプの仕事量よりも大きくないと判定した場合(S207:No)、総合コントローラ40は、ステップS208の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS208で、第1クラッチCL1を開放させる。さらに、総合コントローラ40は、ステップS209で、モータジェネレータ12及びエンジン11を停止させ、ステップS210で、インバータ34をシャットダウンさせる。
以上のように、第2実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、モータジェネレータ12によってエンジン11の回転を減速させる。また、第1クラッチCL1の締結を継続させるために必要となる仕事量が、エンジン11を停止させるまでの間にモータジェネレータ12によって発生させることができる電力と比べて小さくなった場合は、第1クラッチを開放させる。
エンジン11を停止させるまでの回生電力が、第1クラッチCL1の締結を継続させるために必要となる仕事量と比べて小さくなった場合、その後第1クラッチCL1の締結を継続させてもエネルギ収支はマイナスとなって燃費の悪化をまねく。そこで、この態様によれば、エネルギ収支がプラスである間は第1クラッチCL1を締結させ、エンジン11の回転による回生電力を発生させる一方で、エネルギ収支がマイナスとなった以降は第1クラッチCL1を開放させて、ハイブリッド車両HVをコースト走行させることで、更なる燃費向上を図ることが可能となる。
また、この第2実施形態に係る総合コントローラ40によれば、モータジェネレータ12が停止した後にインバータ34を停止させる。これにより、インバータ34における電力の消費を抑制し、ハイブリッド車両HVの燃費を向上させることが可能となる。
また、この第2実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVがコースト走行中であってエンジン11を停止させた後に、ハイブリッド車両HVに対する加速要求があり、該加速要求に対応するエンジン11の回転数又はトルクが閾値以上である場合は、エンジン11の駆動を再開させるとともに、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をそれぞれ締結させる。
これにより、ハイブリッド車両HVに対する加速要求があり、その加速要求に対応するエンジン11の回転数又はトルクが閾値以上である場合、すなわち、ハイブリッド車両HVに対して大きな加速が求められる場合は、エンジン11の駆動を再開させ、迅速にエンジン11のトルクによる運転の開始に備えることができる。これにより、コースト走行の後に、モータジェネレータ12が発生させるトルクのみによる走行を経ることなく、エンジン11が発生させるトルクのみによる走行に即座に移行することが可能となる。
また、駆動システム10は、エンジン11の駆動の開始を補助するスタータ17を有している。ハイブリッド車両HVの速度が所定速度を下回る場合は、スタータ17の補助によってエンジン11の駆動を開始させる。ハイブリッド車両HVの速度が所定速度以上の場合は、スタータ17を用いることなく、モータジェネレータ12の補助によってエンジン11の駆動を開始させる。
これにより、ハイブリッド車両HVの速度が所定速度を下回る場合は、スタータ17が発生させる大きなトルクによって確実にエンジン11の駆動開始を補助させることができる一方で、ハイブリッド車両HVの速度が所定速度以上場合は、モータジェネレータ12に補助させることで小さな騒音でエンジン11の駆動を開始させることが可能となる。
次に、図6及び図7を参照しながら、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。図6は、ハイブリッド車両HVのコースト走行中に、エンジン11の駆動を開始させて、そのトルクによる走行に移行する際の車速等の変化を示している。
図6に示されるように、時刻t31までは、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給することなく、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2を開放させて、ハイブリッド車両HVをコースト走行させる。
時刻t31で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させるとともに、それまでシャットダウンさせていたインバータ34を、5kHzのスイッチング周波数で駆動させて、モータジェネレータ12への電力の供給を開始させる。これにより、モータジェネレータ12の回転数が増加してトルクが発生する。また、このトルクは第1軸121、第1クラッチCL1及びエンジン軸111を介してエンジン11に伝達され、エンジン11が回転を開始する。
時刻t32で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させるとともに、エンジン11への燃料の供給を開始させて点火させる。これにより、モータジェネレータ12の回転数が急速に増加するとともに、エンジン11がトルクを発生させる。
時刻t33で、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させる。これにより、モータジェネレータ12が発生させたトルクが、第2軸122及び第2クラッチCL2を介して車軸131に伝達され、ハイブリッド車両HVはモータジェネレータ12が発生させたトルクのみによる走行を開始する。
時刻t34で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させたトルクによる走行を開始する。
図7は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、エンジン11の点火を行う際に総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。尚、このフローチャートには、図6には表されていない駆動システム10の挙動に関する処理も含まれている。
まず、総合コントローラ40は、ステップS301で、ハイブリッド車両HVがコースト走行中であるか否かを判定する。ハイブリッド車両HVがコースト走行中ではないと判定した場合(S301:No)、総合コントローラ40は、ステップS312の処理に進み、スタータ17を用いてエンジン11の点火を行う。一方、ハイブリッド車両HVがコースト走行中であると判定した場合(S301:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS302の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS302で、トルク指令がゼロであるか否かを判定する。トルク指令がゼロであると判定した場合(S302:Yes)、すなわち、ハイブリッド車両HVに加速が要求されていない場合、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、トルク指令がゼロではないと判定した場合(S302:No)、すなわち、ハイブリッド車両HVに加速が要求されている場合、総合コントローラ40は、ステップS303の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS303で、インバータ34のシャットダウンを解除する。すなわち、それまでシャットダウンさせていたインバータ34の駆動を再開させる。このとき、インバータ34のスイッチング周波数は比較的低いもの(例えば1.5kHz)に設定される。
次に、総合コントローラ40は、ステップS304で、エンジン11の再点火が必要であるか否かを判定する。エンジン11の再点火が必要であると判定した場合(S304:Yes)、すなわち、トルク指令の要求トルクが大きく、ハイブリッド車両HVの走行にエンジン11のトルクが必要となる場合は、総合コントローラ40は、ステップS305の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS305で、第1クラッチCL1を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替える。
次に、総合コントローラ40は、ステップS306で、モータジェネレータ12によってエンジン11の回転数を増加させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を開始させ、点火させる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS307で、第1クラッチCL1を開放させ、インバータ34のスイッチング周波数を比較的低いもの(例えば1.5kHz)に切り替える。
次に、総合コントローラ40は、ステップS308で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS309で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて駆動を再開させる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS310で、第1クラッチCL1のモータジェネレータ12側の回転数に、第1クラッチCL1のエンジン11側の回転数が合うようにエンジン11を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS311で、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させるトルクによる走行を開始する。
一方、ステップS304で、エンジン11の再点火が必要ではないと判定した場合(S304:No)、総合コントローラ40は、ステップS313,S314の処理に進む。総合コントローラ40は、ステップS313で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。また、総合コントローラ40は、次のステップS314で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて駆動を再開させる。
以上のように、第3実施形態に係る総合コントローラ40によれば、エンジン11の駆動再開後であって、第2クラッチCL2の締結前に、第1クラッチCL1を開放してモータジェネレータ12の回転数を増加させるとともに、モータジェネレータ12の回転数がその際のハイブリッド車両HVの速度と対応するものとなった場合は、第2クラッチCL2を締結させる。
ハイブリッド車両HVに対する加速要求があった場合、それに対する応答性はエンジン11よりもモータジェネレータ12の方が高い。したがって、本発明では、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、ハイブリッド車両HVに対する加速要求があった場合でも、モータジェネレータ12によって迅速にハイブリッド車両HVの加速を開始させることが可能となる。
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明の第4実施形態について説明する。本第4実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図8に示されるように、総合コントローラ40は、時刻t41までは第1クラッチCL1を開放させるとともに、第2クラッチCL2を締結させた状態で、モータジェネレータ12のみによってトルクを発生させている。これにより、ハイブリッド車両HVは、モータジェネレータ12が発生させるトルクによって走行し、加速していく。
時刻t41で、総合コントローラ40は、スタータコントローラ22を介してスタータ17に制御信号を送信し、スタータ17を駆動させる。このスタータ17の補助を受けることで、それまで停止していたエンジン11が点火して駆動を開始し、その回転数が増加していく。
時刻t42で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させるトルクによる走行を開始する。
時刻t43で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t43後も、エンジン11は慣性によって回転を継続する。
時刻t43で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t43では、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を、それまでの5kHzから1.5kHzまで減少させる。
時刻t44で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1は締結を開放させる。この時刻t44は、その後にエンジン11を停止させるまでの間に、第1クラッチ油圧ユニット31のポンプを駆動させて第1クラッチCL1の締結を維持させるために必要となる仕事量が、モータジェネレータ12によって発生させることができる電力と比べて小さくなったタイミングである。
時刻t45で、モータジェネレータ12の回転数はゼロとなる。一方、第1クラッチCL1の開放によってモータジェネレータ12における逆トルクが解消したことで、その後のエンジン11の回転数の減少は緩慢となり、時刻t45以降も回転を継続する。
ハイブリッド車両HVがコースト走行中の時刻t46で、総合コントローラ40がトルク指令を受けると、総合コントローラ40は、スタータ17によってエンジン11の駆動を開始させるとともに、モータジェネレータ12の駆動を開始させる。これにより、エンジン11及びモータジェネレータ12が互いに独立して駆動する。そして、時刻t47で、エンジン11への燃料の供給開始と点火が行われ、エンジン11がトルクを発生させ始める。
時刻t48で、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させるとともに、インバータ34のスイッチング周波数を5kHzに増加させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、モータジェネレータ12が発生させるトルクによる走行を開始する。
時刻t49で、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させるトルクによる走行を開始する。また、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に供給する電力を減少させる。これにより、時刻t27以降、モータジェネレータ12が発生させるトルクは減少する。
図9は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、力行駆動を再開させる際の処理を示したフローチャートである。
まず、総合コントローラ40は、ステップS401で、ハイブリッド車両HVがコースト走行中であるか否かを判定する。ハイブリッド車両HVがコースト走行中ではないと判定した場合(S401:No)、総合コントローラ40は、ステップS414の処理に進み、スタータ17を用いてエンジン11の点火を行う。一方、ハイブリッド車両HVがコースト走行中であると判定した場合(S401:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS402の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS402で、トルク指令がゼロであるか否かを判定する。トルク指令がゼロであると判定した場合(S402:Yes)、すなわち、ハイブリッド車両HVに加速が要求されていない場合、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、トルク指令がゼロではないと判定した場合(S402:No)、すなわち、ハイブリッド車両HVに加速が要求されている場合、総合コントローラ40は、ステップS403の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS403で、現在のハイブリッド車両HVの速度が、設定された速度の下限値よりも小さいか否かを判定する。現在のハイブリッド車両HVの速度が、設定された速度の下限値よりも小さくないと判定した場合(S403:No)、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、現在のハイブリッド車両HVの速度が、設定された速度の下限値よりも小さいと判定した場合(S403:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS404の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS404で、エンジン11の再点火が必要であるか否かを判定する。エンジン11の再点火が必要であると判定した場合(S404:Yes)、すなわち、トルク指令の要求トルクが大きく、ハイブリッド車両HVの走行にエンジン11のトルクが必要となる場合は、総合コントローラ40は、ステップS405及びステップS407の並列処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS405で、スタータ17の補助によってエンジン11の駆動を開始させ、点火させてその回転数を増加させる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS406で、第1クラッチCL1のモータジェネレータ12側の回転数に、第1クラッチCL1のエンジン11側の回転数が合うようにエンジン11を制御する。
また、総合コントローラ40は、ステップS407で、インバータ34のシャットダウンを解除する。すなわち、それまでシャットダウンさせていたインバータ34の駆動を再開させる。このとき、インバータ34のスイッチング周波数は比較的低いもの(例えば、1.5kHz)に設定される。
次に、総合コントローラ40は、ステップS408で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS409で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて駆動を再開させる。
ステップS405からステップS409の処理を終えた総合コントローラ40は、次に、ステップS413で、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させたトルクによる力行駆動での走行を開始する。
一方、ステップS404で、エンジン11の再点火が必要ではないと判定した場合(S404:No)、総合コントローラ40は、ステップS410,S411,412の処理に進む。総合コントローラ40は、ステップS410で、インバータ34のシャットダウンを解除する。すなわち、それまでシャットダウンさせていたインバータ34の駆動を再開させる。このとき、インバータ34のスイッチング周波数は比較的低いもの(例えば、1.5kHz)に設定される。また、総合コントローラ40は、次のステップS411で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。さらに、総合コントローラ40は、次のステップS412で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて駆動を再開させる。
以上のように、第4実施形態に係る総合コントローラ40によれば、駆動システム10は、エンジン11の駆動の開始を補助するスタータ17を有する。ハイブリッド車両HVがコースト走行中にハイブリッド車両HVに対する加速要求があった場合、第1クラッチCL1を開放させてスタータ17の補助によってエンジン11の駆動を開始させ、モータジェネレータ12の回転数を増加させる。そして、該モータジェネレータ12の回転数がその際のハイブリッド車両HVの速度と対応するものとなった場合に第2クラッチCL2を締結させる。
このように、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、モータジェネレータ12ではなく専用のスタータ17の補助を用いてエンジン11を駆動させることで、トルク指令に対し迅速にエンジン11の駆動を開始させることが可能となる。
次に、図10及び図11を参照しながら、本発明の第5実施形態について説明する。本第4実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図10は、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、エンジン11の駆動を開始させて、そのトルクによる走行に移行する際の車速等の変化を示している。クルーズコントロール走行では、総合コントローラ40は、ハイブリッド車両HVの車速が下限車速(閾値)を下回ることがないよう制御する。このクルーズコントロール走行中、総合コントローラ40は、その際の車速及び過去の車速に基づいて、所定時間経過後の車速の予測を行っている。
図10に示されるように、総合コントローラ40は、時刻t51まではエンジン11に燃料を供給することなく、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2を開放させて、ハイブリッド車両HVをコースト走行させている。
時刻t51で、予測した車速(予測車速)が下限車速を下回ると、総合コントローラ40がトルク指令を受け、第1クラッチCL1を締結させるとともに、モータジェネレータ12の回転数を増加させる。このとき、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を5kHzまで増加させる。
第1クラッチCL1を締結させることにより、モータジェネレータ12から第1軸121、第1クラッチCL1及びエンジン軸111を介してエンジン11にトルクが伝達され、エンジン11が駆動を開始する。すなわち、ハイブリッド車両HVがコースト走行中にトルク指令を受けた場合、モータジェネレータ12によってエンジン11の駆動の開始を補助させる。
時刻t52で、エンジン11への燃料の供給が開始され、エンジン11が点火されてトルクを発生させ始めると、総合コントローラ40はモータジェネレータ12に供給する電力を減少させる。これにより、時刻t52以降、モータジェネレータ12が発生させるトルクは漸減する。
時刻t53で、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによる走行を開始する。
図11は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、総合コントローラ40が力行駆動を再開させる際の処理を示したフローチャートである。
まず、総合コントローラ40は、ステップS501で、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さいか否かを判定する。ステップS501で、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さくないと判定した場合(S501:No)、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さいと判定した場合(S501:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS502の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS502で、インバータ34のシャットダウンを解除する。すなわち、それまでシャットダウンさせていたインバータ34の駆動を再開させる。このとき、インバータ34のスイッチング周波数は比較的低いもの(例えば、1.5kHz)に設定される。
次に、総合コントローラ40は、ステップS503で、エンジン11の再点火が必要であるか否かを判定する。エンジン11の再点火が必要であると判定した場合(S503:Yes)、すなわち、トルク指令の要求トルクが大きく、ハイブリッド車両HVの走行にエンジン11のトルクが必要となる場合は、総合コントローラ40は、ステップS504の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS504で、第1クラッチCL1を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば5kHz)に切り替える。
次に、総合コントローラ40は、ステップS505で、モータジェネレータ12によってエンジン11の回転数を増加させ、エンジン11への燃料の供給を開始させ、点火させる。すなわち、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12によってエンジン11の駆動の開始を補助させる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS506で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS507で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて力行駆動を再開させる。
一方、ステップS503で、エンジン11の再点火が必要ではないと判定した場合、総合コントローラ40は、ステップS508,S509の処理に進む。総合コントローラ40は、ステップS508で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。また、総合コントローラ40は、ステップS509で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて駆動を再開させる。
以上のように、第5実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、その際の速度及び過去の速度に基づいて所定時間経過後の速度を予測する。そして、予測した速度が所定範囲の下限値を下回る場合は、エンジン11の駆動を開始させるか、又は、モータジェネレータ12の回転数を増加させる。
これにより、コースト走行中にクルーズコントロール走行を行っている場合に、ハイブリッド車両HVの速度が低下して所定範囲から逸脱しそうになった場合にも、迅速に速度を増加させることができる。
次に、図12及び図13を参照しながら、本発明の第6実施形態について説明する。本第4実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図12に示されるように、時刻t61までは、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をいずれも締結させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給してトルクを発生させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによって走行する。
時刻t61で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t61後も、エンジン11は慣性によって回転を継続する。
時刻t61で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が時刻t62にかけて急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t61では、インバータ34のスイッチング周波数を、それまでの5kHzから1.5kHzまで減少させる。
時刻t62で、モータジェネレータ12の回転数が閾値である第1クラッチ切り離し回転数を下回ると、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させる。これにより、エンジン11とモータジェネレータ12の間におけるトルクの伝達が遮断される。さらに、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に電力を供給し、その回転数を増加させる。
時刻t63で、モータジェネレータ12の回転数が目標回転数に達するまで増加すると、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12への電力供給を停止し、モータジェネレータ12によるトルク発生を停止させる。この目標回転数は、その際のハイブリッド車両HVの速度、又は、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行をする際の速度と対応するものとなるように設定されている。
図13は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ステップS601からステップS608までに行われる処理は、前述した第2実施形態のフローチャート(図5参照)のステップS201からステップS208までに行われる処理と同様である。また、本フローチャートのステップS613で行われる処理は、前述した第2実施形態のフローチャートのステップS211で行われる処理と同様である。したがって、これらのステップについては、その説明を省略する。以下、ステップS609以降の処理について説明する。
総合コントローラ40は、ステップS609で、車速と、自動変速機13のギア比とに基づいて、モータジェネレータ12の目標回転数を算出する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS610で、モータジェネレータ12の目標回転数が、モータジェネレータ12が弱め界磁制御を要しない回転数の最高値より小さいか否かを判定する。モータジェネレータ12の回転数が増加すると、逆起電力の発生により、弱め界磁制御を要することになる。すなわち、このステップS610では、モータジェネレータ12の目標回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値よりも小さいか否かを判定する。モータジェネレータ12の目標回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値よりも小さいと判定した場合(S610:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS612の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS612で、モータジェネレータ12の回転数を目標回転数に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。
一方、ステップS610で、モータジェネレータ12の目標回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値よりも小さくないと判定した場合(S610:No)、総合コントローラ40は、ステップS613の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS613で、モータジェネレータ12の回転数を、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。
以上のように、第6実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、モータジェネレータ12によってエンジン11の回転を減速させることでモータジェネレータ12の回転数が閾値を下回った場合は、第1クラッチCL1を開放させ、モータジェネレータ12の回転数を増加させて目標回転数とする。
これにより、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、エンジン11の回転を減速させる一方で、モータジェネレータ12の回転数は閾値以上となるように維持される。これにより、燃費を向上させつつ、ハイブリッド車両HVに対する加速要求があった場合にも、モータジェネレータ12によって迅速に加速を開始させることが可能となる。
また、第6実施形態に係る総合コントローラ40によれば、目標回転数を、その際のハイブリッド車両HVの速度、又は、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行をする際の速度と対応するものとなるように設定する。
これにより、ハイブリッド車両HVがコースト走行中に、総合コントローラ40がトルク指令を受けた場合にも、迅速に第2クラッチCL2を締結させてハイブリッド車両HVの加速を開始させることが可能となる。
次に、図14及び図15を参照しながら、本発明の第7実施形態について説明する。本第7実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図14に示されるように、時刻t71までは、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をいずれも締結させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給してトルクを発生させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによって走行する。
時刻t71で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t71後も、エンジン11は慣性により回転を継続する。
時刻t71で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が時刻t72にかけて急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t71では、インバータ34のスイッチング周波数を、それまでの5kHzから1.5kHzまで減少させる。
時刻t72で、モータジェネレータ12の回転数が閾値である第1クラッチ切り離し回転数を下回ると、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させる。これにより、エンジン11とモータジェネレータ12の間におけるトルクの伝達が遮断される。さらに、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に電力を供給し、その回転数を増加させる。
時刻t73で、モータジェネレータ12の回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の上限に達するまで増加すると、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に供給する電力を減少させ、モータジェネレータ12が発生させるトルクを減少させる。これにより、時刻t74まで、モータジェネレータ12の回転数は、弱め界磁制御を要しない範囲に維持される。
時刻t74で、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に供給する電力を減少させる。時刻t74以降、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12の回転数を、目標回転数近傍となるに維持する。この目標回転数は、その際のハイブリッド車両HVの速度、又は、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行をする際の速度と対応するものとなるように設定されている。
図15は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ステップS701からステップS709までに行われる処理は、前述した第6実施形態のフローチャート(図13参照)のステップS601からステップS609までに行われる処理と同様である。また、本フローチャートのステップS713で行われる処理は、前述した第2実施形態のフローチャートのステップS612で行われる処理と同様である。したがって、これらのステップについては、その説明を省略する。以下、ステップS710以降の処理について説明する。
総合コントローラ40は、ステップS710で、モータジェネレータ12の目標回転数が、モータジェネレータ12が弱め界磁制御を要しない回転数の最高値より小さいか否かを判定する。この弱め界磁制御を要しない回転数の最高値とは、コンバータ33による直流電力の昇圧を行わない条件におけるものである。モータジェネレータ12の回転数が増加すると、逆起電力の発生により、弱め界磁制御を要することになる。すなわち、このステップS710では、モータジェネレータ12の目標回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値よりも小さいか否かを判定する。モータジェネレータ12の目標回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値よりも小さいと判定した場合(S710:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS711の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS711で、モータジェネレータ12の回転数を目標回転数に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS712で、コンバータ33による直流電力の昇圧を停止する。これにより、モータジェネレータ12の回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の上限や、自動変速機13のギア比に基づく目標回転数を超えないように設定している。
一方、ステップS710で、モータジェネレータ12の目標回転数が、弱め界磁制御を要しない範囲の最高値よりも小さくないと判定した場合(S710:No)、総合コントローラ40は、ステップS714の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS714で、モータジェネレータ12の回転数を、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。この弱め界磁制御を要しない回転数の最高値とは、コンバータ33による直流電力の昇圧を行わない条件におけるものである。ステップS713の処理を終えた総合コントローラ40は、前述したステップS712の処理に進む。
以上のように、第7実施形態に係る総合コントローラ40によれば、目標回転数を、予め設定された上限値を超えないように設定する。
これにより、モータジェネレータ12における逆起電力の発生を抑制し、弱め界磁制御を要しない範囲で動作させることができる。したがって、モータジェネレータ12等における損失や発熱を抑制することが可能となる。
次に、図16及び図17を参照しながら、本発明の第8実施形態について説明する。本第8実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図16に示されるように、時刻t81までは、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をいずれも締結させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給してトルクを発生させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによって走行する。
時刻t81で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t81後も、エンジン11は慣性により回転を継続する。
時刻t81で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が時刻t82にかけて急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t81では、総合コントローラ40は、コンバータ33によって昇圧される電圧を、それまでの600Vから減少させ始める。
時刻t82で、モータジェネレータ12の回転数が閾値である第1クラッチ切り離し回転数を下回ると、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させる。これにより、エンジン11とモータジェネレータ12の間におけるトルクの伝達が遮断される。さらに、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に電力を供給し、その回転数を増加させる。このとき、コンバータ33によって昇圧される電圧は、220Vまで低下している。
時刻t83で、モータジェネレータ12の回転数が、弱め界磁制御を要しない回転数の上限に達するまで増加すると、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に供給する電力を減少させ、モータジェネレータ12が発生させるトルクを減少させる。これにより、時刻t84まで、モータジェネレータ12の回転数は、弱め界磁制御を要しない範囲に維持される。
時刻t84で、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に供給する電力を低下させる。時刻t84以降、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12の回転数を、目標回転数近傍となるに維持する。この目標回転数は、その際のハイブリッド車両HVの速度、又は、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行をする際の速度と対応するものとなるように設定されている。
図17は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ステップS801からステップS813までに行われる処理は、前述した第7実施形態のフローチャート(図15参照)のステップS701からステップS713までに行われる処理と同様であるため、その説明を省略する。以下、ステップS814以降の処理について説明する。
総合コントローラ40は、ステップS810で、モータジェネレータ12の目標回転数が、モータジェネレータ12が弱め界磁制御を要しない回転数の最高値より小さくないと判定した場合(S810:No)、ステップS814の処理に進む。
総合コントローラ40は、ステップS814で、ハイブリッド車両HVがエコモードで走行中であるか否かを判定する。ハイブリッド車両HVは、コースト走行中の走行モードとして、燃費を優先させるエコモードと、燃費よりも加速要求に対する応答性を優先させる高応答モードとを有している。ハイブリッド車両HVがエコモードで走行していると判定した場合(S814:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS815の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS815で、モータジェネレータ12の回転数を、弱め界磁制御を要しない回転数の最高値に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。この弱め界磁制御を要しない回転数の最高値とは、コンバータ33による直流電力の昇圧を行わない条件におけるものである。ステップS815の処理を終えた総合コントローラ40は、ステップS816の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS816で、コンバータ33による直流電力の昇圧を停止する。
一方、ステップS814で、ハイブリッド車両HVがエコモードで走行していないと判定した場合(S814:No)、総合コントローラ40は、ステップS817の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS817で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数を合わせたときに、システム効率が最大となるようにコンバータ33に昇圧を行わせる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS818で、モータジェネレータ12の回転数を、目標回転数に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。
以上のように、第8実施形態に係る総合コントローラ40によれば、駆動システム10は、バッテリ32とインバータ34との間に設けられて電力の昇圧を行うコンバータ33を有し、モータジェネレータ12の回転数を増加させる際はコンバータ33を停止させる。
これにより、前述したエコモードのように、燃費向上を優先する運転を行う際は、コンバータによる電力の消費を抑制し、燃費の向上に寄与することが可能となる。
次に、図18及び図19を参照しながら、本発明の第9実施形態について説明する。本第9実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図18に示されるように、時刻t91までは、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をいずれも締結させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給してトルクを発生させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによって走行する。
時刻t91で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料の供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131にトルクが伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t91後も、エンジン11は慣性により回転を継続する。
時刻t91で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が時刻t92にかけて急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t91では、コンバータ33によって昇圧される電圧を、それまでの600Vから減少させ始める。
時刻t92で、モータジェネレータ12の回転数が閾値である第1クラッチ切り離し回転数を下回ると、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させる。これにより、エンジン11とモータジェネレータ12の間におけるトルクの伝達が遮断される。さらに、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に電力を供給し、その回転数を増加させる。また、総合コントローラ40は、コンバータ33によって昇圧される電圧を高めるように駆動させる。
時刻t93で、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12への電力の供給を停止し、モータジェネレータ12によるトルク発生を停止させる。
図19は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ステップS901からステップS916までに行われる処理は、前述した第8実施形態のフローチャート(図17参照)のステップS801からステップS816までに行われる処理と同様であるため、その説明を省略する。以下、ステップS917以降の処理について説明する。
総合コントローラ40は、ステップS914で、ハイブリッド車両HVがエコモード走行中ではないと判定した場合(S914:No)、ステップS917の処理を実行する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS917で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数を合わせたときに、システム効率が最大となるよりも電圧よりも高く昇圧させるように、コンバータ33を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS918で、モータジェネレータ12の回転数を、目標回転数に合わせるようにモータジェネレータ12を制御する。
以上のように、第9実施形態に係る総合コントローラ40によれば、駆動システム10は、バッテリ32とインバータ34との間に設けられて電力の昇圧を行うコンバータ33を有し、コンバータ33は、バッテリ32から放電されてインバータ34に供給される電力の電圧が、目標回転数に対応する値よりも大きくなるように昇圧させる。
これにより、ハイブリッド車両HVがコースト走行中にトルク指令を受けた場合にも、コンバータ33によって予め昇圧させておいた電力を供給し、迅速にモータジェネレータ12を目標回転数まで加速させてトルクを発生させることが可能となる。
次に、図20乃至図22を参照しながら、本発明の第10実施形態について説明する。本第10実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図20に示されるように、時刻t101までは、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2をいずれも締結させる。また、総合コントローラ40は、エンジン11に燃料を供給してトルクを発生させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11が発生させるトルクによって走行する。
時刻t101で、総合コントローラ40は、エンジン11への燃料供給を停止してエンジン11を停止させるとともに、第2クラッチCL2を開放させる。これにより、自動変速機13の車軸131に動力が伝達されなくなり、ハイブリッド車両HVは慣性によって走行するコースト走行を開始する。時刻t101後も、エンジン11は慣性により回転を継続する。
時刻t101で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させたままとする。これにより、慣性によるエンジン11の回転がモータジェネレータ12に伝達され、モータジェネレータ12において逆トルクが発生する。この逆トルクにより、エンジン11の回転数が時刻t102にかけて急速に減少する。また、モータジェネレータ12は、この回転によって電力を発生させ、当該電力はコンバータ33及びインバータ34を介してバッテリ32に充電される。さらに、時刻t91では、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を1.5kHzまで減少させ、コンバータ33によって昇圧される電圧を、それまでの600Vから減少させ始める。
時刻t102で、モータジェネレータ12の回転数が所定値まで低下すると、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を開放させる。これにより、エンジン11とモータジェネレータ12の間におけるトルクの伝達が遮断される。さらに、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に電力を供給し、その回転数を増加させる。また、コンバータ33によって昇圧される電圧を、高めるように駆動させる。
時刻t103で、モータジェネレータ12の回転数が目標回転数に達すると、総合コントローラ40は、インバータ34をシャットダウンさせ、モータジェネレータ12への電力の供給を停止する。時刻t103後も、モータジェネレータ12は慣性により回転を継続する。
時刻t104で、モータジェネレータ12の回転数が、目標回転数からΔNだけ低下すると、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12に電力を供給させる。この電力は、コンバータ33によって昇圧されるとともに、インバータ34のスイッチング周波数を1.5kHzまで増加させて駆動させることでモータジェネレータ12に供給される。これにより、モータジェネレータ12の回転数が増加する。
時刻t105で、モータジェネレータ12の回転数が再度目標回転数に達すると、総合コントローラ40は、インバータ34をシャットダウンさせ、モータジェネレータ12への電力の供給を停止する。
以降、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12の回転数が目標回転数からΔNだけ乖離した場合はインバータ34を駆動させる一方で、モータジェネレータ12の回転数が目標回転数に達した場合はインバータ34をシャットダウンする。このように、インバータ34を間欠的に駆動させることで、モータジェネレータ12の回転数が目標回転数近傍に維持される。
図21及び図22は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、総合コントローラ40によって行われる処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ステップS1001からステップS1012までに行われる処理は、前述した第8実施形態のフローチャート(図17参照)のステップS801からステップS812までに行われる処理と同様である。また、本フローチャートは、ステップS1016からステップS1020までに行われる処理は、前述した第8実施形態のフローチャート(図17参照)のステップS814からステップS818までに行われる処理と同様である。したがって、これらのステップについては、その説明を省略する。以下、ステップS1013以降の処理について説明する。
総合コントローラは、ステップS1013で、インバータ34をシャットダウンさせ、モータジェネレータ12への電力の供給を停止する。この後、モータジェネレータ12は慣性により回転を継続する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1014で、目標回転数とモータジェネレータ12の回転数との乖離量(差分)が、閾値よりも大きいか否かを判定する。目標回転数とモータジェネレータの回転数との乖離量が、閾値よりも大きくないと判定した場合(S1014:No)、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、目標回転数とモータジェネレータの回転数との乖離量が、閾値よりも大きいと判定した場合(S1014:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS1021の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1021で、インバータ34を再起動させる。これにより、モータジェネレータ12への電力の供給が再開され、モータジェネレータ12の回転数が増加する。ステップS1021の処理を終えた総合コントローラ40は、ステップS1010の処理に戻る。
以上のように、第10実施形態に係る総合コントローラ40によれば、モータジェネレータ12の回転数が目標回転数に達した場合はインバータ34を停止させ、モータジェネレータ12の回転数と目標回転数との乖離量が所定値以上となった場合は、モータジェネレータ12の回転数を目標回転数に近づけるようにインバータ34を駆動させる。
これにより、ハイブリッド車両HVのコースト走行中に、モータジェネレータ12の回転数を目標回転数近傍となるに維持し、トルク指令を受けた場合にも、モータジェネレータ12によって迅速にハイブリッド車両HVを加速させることができる。また、インバータ34を間欠的に駆動するため、モータジェネレータ12の回転数を維持することによる電力消費を軽減することが可能となる。
次に、図23及び図24を参照しながら、本発明の第11実施形態について説明する。本第11実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図23は、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、モータジェネレータ12の回転数を増加させて、そのトルクによる走行に移行する際の車速等の変化を示している。クルーズコントロール走行では、総合コントローラ40は、ハイブリッド車両HVの車速が下限車速(閾値)を下回ることがないよう制御する。このクルーズコントロール走行中、総合コントローラ40は、その際の車速及び過去の車速に基づいて、所定時間経過後の車速の予測を行っている。
図23に示されるように、総合コントローラ40は、時刻t111まではエンジン11に燃料を供給することなく、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2を開放させて、ハイブリッド車両HVをコースト走行させている。
時刻t111で、予測した車速(予測車速)が下限車速を下回ると、総合コントローラ40がトルク指令を受け、第1クラッチCL1及び第2クラッチを開放させたまま、時刻t112にかけてモータジェネレータ12の回転数を増加させる。時刻t112におけるモータジェネレータ12の回転数は、その際のハイブリッド車両HVの車速に対応するものとなる。
時刻t113で、ハイブリッド車両HVの実車速が下限車速を下回ると、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を5kHzに増加させる。これにより、モータジェネレータ12が発生させるトルクが増加する。また、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させる。これにより、モータジェネレータ12が発生させるトルクが車軸131に伝達され、ハイブリッド車両HVの車速が増加する。
図24は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、総合コントローラ40が力行駆動を再開させる際の処理を示したフローチャートである。
まず、総合コントローラ40は、ステップS1101で、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限値よりも小さいか否かを判定する。予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さくないと判定した場合(S1101:No)、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さいと判定した場合(S1101:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS1102の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1102で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1103で、ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さいか否かを判定する。ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さくないと判定した場合(S1103:No)、総合コントローラ40は、ステップS1102の処理に戻る。一方、ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さいと判定した場合(S1103:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS1104の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1104で、第2クラッチCL2を締結させる。また、インバータ34を、そのスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に設定して駆動再開させ、処理を終了する。
以上のように、第11実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、現在の速度及び過去の速度に基づいて所定時間経過後の速度を予測するとともに、予測した速度が所定範囲の下限値を下回る場合は、モータジェネレータ12の回転数を増加させるとともに第2クラッチCL2を締結させる。
これにより、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、クルーズコントロール走行中に、ハイブリッド車両HVの速度が下限値を下回ると予想される場合は、予めモータジェネレータ12の回転数を増加させておくことで、実際のハイブリッド車両HVの速度が下限値を下回った場合にも、迅速にハイブリッド車両HVの加速を開始させることが可能となる。
次に、図25及び図26を参照しながら、本発明の第12実施形態について説明する。本第12実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図25は、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、モータジェネレータ12の回転数を増加させて、そのトルクによる走行に移行する際の車速等の変化を示している。クルーズコントロール走行では、総合コントローラ40は、ハイブリッド車両HVの車速が下限車速(閾値)を下回ることがないよう制御する。このクルーズコントロール走行中、総合コントローラ40は、その際の車速及び過去の車速に基づいて、所定時間経過後の車速の予測を行っている。
図25に示されるように、総合コントローラ40は、時刻t121まではエンジン11に燃料を供給することなく、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2を開放させて、ハイブリッド車両HVをコースト走行させている。
時刻t121で、予測した車速(予測車速)が下限車速を下回ると、総合コントローラ40がトルク指令を受け、第1クラッチCL1及び第2クラッチを開放させたまま、時刻t122にかけてモータジェネレータ12の回転数を増加させる。時刻t122におけるモータジェネレータ12の回転数は、その際のハイブリッド車両HVの車速に対応するものとなる。
時刻t122で、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を5kHzに増加させるとともに、第2クラッチCL2を締結させる。
時刻t123で、ハイブリッド車両HVの実車速が下限車速を下回ると、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12のトルクを増加させる。これにより、モータジェネレータ12が発生させるトルクが車軸131に伝達され、ハイブリッド車両HVの車速が上昇する。
図26は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが一定の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、総合コントローラ40が力行駆動を再開させる際の処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ステップS1201及びステップS1202で行われる処理は、前述した第11実施形態のフローチャート(図24参照)のステップS1101及びステップS1102と同様であるため、その説明を省略する。以下、ステップS1203以降の処理について説明する。
総合コントローラ40は、ステップS1203で、第2クラッチCL2を締結させるとともに、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替える。これにより、ハイブリッド車両HVの車速が上昇する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1204で、ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さいか否かを判定する。ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さくないと判定した場合(S1204:No)、総合コントローラ40は、ステップS1202の処理に戻る。一方、ハイブリッド車両HVの実車速が、下限値よりも小さいと判定した場合(S1204:No)、総合コントローラ40は、ステップS1205の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1205で、モータジェネレータ12が発生させるトルクによるハイブリッド車両HVの力行駆動を再開させる。
以上のように、第12実施形態に係る総合コントローラ40によれば、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、現在の速度及び過去の速度に基づいて所定時間経過後の速度を予測するとともに、予測した速度が所定範囲の下限値を下回る場合は、モータジェネレータ12の回転数を増加させるとともに第2クラッチを締結させる。
これにより、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、クルーズコントロール走行中に、ハイブリッド車両HVの速度が下限値を下回ると予想される場合は、予めモータジェネレータ12の回転数を増加させておくとともに、実際のハイブリッド車両HVの速度が下限値を下回った場合にはモータジェネレータ12のトルクによって迅速にハイブリッド車両HVの加速を開始させることが可能となる。
次に、図27及び図28を参照しながら、本発明の第13実施形態について説明する。本第13実施形態は、駆動システム10の総合コントローラ40において行われる処理が前述した実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて、重複する説明は適宜省略する。
図27は、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが所定範囲内の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、エンジン11及びモータジェネレータ12の駆動を開始させて、そのトルクによる走行に移行する際の車速等の変化を示している。クルーズコントロール走行では、総合コントローラ40は、ハイブリッド車両HVの車速が下限車速(閾値)を下回ることがないよう制御する。このクルーズコントロール走行中、総合コントローラ40は、その際の車速及び過去の車速に基づいて、所定時間経過後の車速の予測を行っている。
図27に示されるように、総合コントローラ40は、時刻t131まではエンジン11に燃料を供給することなく、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2を開放させて、ハイブリッド車両HVをコースト走行させている。
時刻t131で、予測した車速(予測車速)が下限車速を下回ると、総合コントローラ40がトルク指令を受け、第1クラッチCL1及び第2クラッチを開放させたまま、時刻t132にかけてモータジェネレータ12の回転数を増加させる。時刻t132におけるモータジェネレータ12の回転数は、その際のハイブリッド車両HVの車速に対応するものとなる。また、それまで停止していたエンジン11への燃料の供給を開始させ、点火させる。
時刻t132で、総合コントローラ40は、第2クラッチCL2を締結させる。このとき、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を5kHzに増加させる。
時刻t133で、ハイブリッド車両HVの実車速が下限車速を下回ると、総合コントローラ40は、モータジェネレータ12が発生させるトルクを増加させる。これにより、ハイブリッド車両HVが加速を開始する。
時刻t134で、総合コントローラ40は、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、ハイブリッド車両HVは、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させるトルクによって走行する力行駆動を開始する。
図28は、以上のような挙動を示す駆動システム10において、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、ハイブリッド車両HVが一定の速度で走行するクルーズコントロール走行中に、総合コントローラ40が力行駆動を再開させる際の処理を示したフローチャートである。
まず、総合コントローラ40は、ステップS1301で、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さいか否かを判定する。予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さくないと判定した場合(S1301:No)、総合コントローラ40は、処理を終了する。一方、予測した所定時間経過後のハイブリッド車両HVの車速が、下限車速よりも小さいと判定した場合(S1301:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS1302の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1302で、エンジン11の再点火が必要であるか否かを判定する。エンジン11の再点火が必要であると判定した場合(S1302:Yes)、すなわち、トルク指令の要求トルクが大きく、ハイブリッド車両HVの走行にエンジン11のトルクが必要となる場合は、総合コントローラ40は、ステップS1303及びステップS1306の並列処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1303で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1304で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば5kHz)に切り替える。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1305で、ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さいか否かを判定する。ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さくないと判定した場合(S1305:No)、総合コントローラ40は、ステップS1306の処理に留まる。一方、ハイブリッド車両HVの実車速が、下限車速よりも小さいと判定した場合(S1305:Yes)、総合コントローラ40は、ステップS1306の処理に進む。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1306で、ハイブリッド車両HVの力行駆動を再開させる。
一方、総合コントローラ40は、ステップS1307で、スタータ17の補助によってエンジン11の駆動を開始させ、点火させてその回転数を増加させる。
次に、総合コントローラ40は、ステップS1308で、第1クラッチCL1のモータジェネレータ12側の回転数に、第1クラッチCL1のエンジン11側の回転数が合うようにエンジン11を制御する。
ステップS1306及びステップS1308の処理を終えた、総合コントローラ40は、次に、ステップS1312で、第1クラッチCL1を締結させる。これにより、エンジン11及びモータジェネレータ12が発生させるトルクによる力行駆動が行われる。
一方、ステップS1302で、エンジン11の再点火が必要ではないと判定した場合(S1302:No)、総合コントローラ40は、ステップS1309,S1310,S1311の処理に進む。総合コントローラ40は、ステップS1309で、第2クラッチCL2の車軸131側の回転数に、第2クラッチCL2のモータジェネレータ12側の回転数が合うようにモータジェネレータ12を制御する。また、総合コントローラ40は、次のステップS1310で、第2クラッチCL2を締結させる。さらに、総合コントローラ40は、インバータ34のスイッチング周波数を比較的高いもの(例えば、5kHz)に切り替えて駆動を再開させる。また、総合コントローラ40は、次のステップS1311で、モータジェネレータ12が発生させるトルクのみによる力行駆動を再開させる。
以上のように、第13実施形態に係る総合コントローラ40によれば、駆動システム10は、エンジン11の駆動の開始を補助するスタータ17を有し、予測した速度が所定範囲の下限値を下回り、且つ、モータジェネレータ12の動力のみではハイブリッド車両HVを所定範囲内の速度で走行させることができない場合は、エンジンの駆動を開始させる。
これにより、ハイブリッド車両HVのコースト走行中であって、クルーズコントロール走行中に、ハイブリッド車両HVの速度が下限値を下回ると予想される場合は、予めモータジェネレータ12の回転数を増加させておくとともに、実際のハイブリッド車両HVの速度が下限値を下回った場合には、エンジン11及びモータジェネレータ12のトルクによって迅速にハイブリッド車両HVの加速を開始させることが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。