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JP6488073B2 - ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置 - Google Patents

ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置 Download PDF

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Description

本発明は、ステージ装置、及び荷電粒子線装置に係り、特に反射ミラーにビームを照射することにより、ステージ位置を特定するステージ装置、及び当該ステージ装置を備えた荷電粒子線装置に関する。
半導体素子の微細化に伴い、製造装置のみならず、検査や評価装置にもそれに対応した高精度化が要求されている。通常、半導体ウェハ上に形成したパターンを評価したり、形成されたウェハの欠陥を検査するために、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す)が用いられており、特にパターンの形状寸法を評価するためには測長SEMが用いられる。
測長SEMは、ウェハ上に電子線を照射し、得られた二次電子信号を画像処理し、その明暗の変化からパターンのエッジを判別して寸法等を導き出す装置である。測長SEMには、ウェハ全域を観察、検査するために、ウェハ上の所望の個所をビームの照射位置に位置決めすることが可能なXYステージが設けられている。このXYステージは、例えば回転モータとボールねじによって駆動される方法やリニアモータを用いて駆動する方法がある。また、XY平面のみでなく、Z軸やZ軸まわりの回転運動などを行うステージが用いられる場合もある。
このXYステージは、ウェハの位置決めを正確に行うため、高精度にステージ位置の検出を行うことが必要であり、これにはレーザ干渉計と反射ミラーを用いる方法が知られている。
レーザ干渉計は、反射ミラーに対してレーザ光を照射し、反射波との干渉によって数十ピコメートオーダの分解能でステージ位置を検出するこができる。また、ウェハと同じ高さにおいて計測を行うことができるため、アッベ誤差が最小となり,測長SEMをはじめ多くの精密ステージの位置計測に広く利用されている。
測長SEMにおいては、ウェハの大口径化やウェハ検査手段の多様化に対応して、XYステージのストロークは増大することが要求されている。また、SEM以外のウェハ検査手段(例えば光学式顕微鏡など)を用いてウェハを観察する場合には、XYステージのストロークはさらに増大させる必要がある。
XYステージのストロークが増大した場合、ストローク全域においてレーザ光を反射させるためにストロークとともに反射ミラーの長尺化が必要となる。この場合、反射ミラー面の平面度の確保が困難となるとともに、長尺化による振動の増大が計測精度劣化の要因となる。さらには、長尺化した反射ミラーの可動領域を確保するため試料室自体を大型化する必要があり、製造・運搬コストの増大や、設置面積の拡大の原因となる。
特許文献1には、ミラーの大きさを最小必要限度に抑え、レーザによる位置決め範囲以外ではミラーを利用しない測長方式(例えばリニアスケール)によるステージ位置決めシステムに切り替える技術が開示されている。
特許第2556361号公報
特許文献1に開示された技術を測長SEM等の荷電粒子線装置に適用した場合、レーザ干渉計とリニアスケールを切り替えることにより反射ミラーを短くすることができるが、リニアスケールとレーザ干渉計が少なくとも高さ方向に関して異なる位置に取り付けられるため、アッベ誤差が生じる。すなわち、試料ステージの姿勢角(ピッチング、ローリング)によってレーザ干渉計とリニアスケール値の対応が一意に決まらず、結果として切替後の位置決め精度を十分に確保できない可能性がある。
以下に、試料ステージがレーザ干渉計等の位置検出装置による位置検出可能領域から外れたとしても、試料ステージが当該位置検出可能領域に戻ってきたときに、高精度に位置検出装置による位置検出を可能とすることを目的とする試料ステージ、およびそれを用いた荷電粒子線装置を提案する。
上記目的を達成するための一態様として、以下に試料を搭載するための試料ステージと、当該試料ステージの位置を検出する第1の位置検出装置と、第2の位置検出装置と、を備えたステージ装置において、前記第1の位置検出装置は、前記試料ステージに設置される反射ミラーと、当該反射ミラーにレーザ光を照射することによって前記試料ステージの位置を検出するレーザ干渉計を含み、前記第2の位置検出装置は、前記レーザ干渉計が照射するレーザ光の光軸と前記第2の位置検出装置の測定軸とが略同一となるように配置され、前記第1の位置検出装置が検出する前記試料ステージの位置と前記第2の位置検出装置が検出する前記試料ステージの位置とは、略同一方向であり、前記第1の位置検出装置が検出可能なステージ移動範囲の一部に、前記試料ステージが位置するときに、前記第2の位置検出装置によって得られる位置検出結果に基づいて、前記第1の位置検出装置のオフセット量を調整する制御装置を備えたことを特徴とするステージ装置、およびそれを用いた荷電粒子線装置を提案する。
上記構成によれば、試料ステージがレーザ干渉計等の位置検出装置による位置検出可能領域から外れたとしても、試料ステージが当該位置検出可能領域に戻ってきたときに、高精度に位置検出装置による位置検出が可能となるため、ミラーの小型化と、高精度な位置検出の両立が可能となる。
荷電粒子線装置の構成断面図(実施例1)。 荷電粒子線装置(レーザ可視状態)の構成図上面図(実施例1)。 荷電粒子線装置(レーザ不可視状態)の構成図上面図(実施例1)。 荷電粒子線装置(切替状態)の構成図上面図(実施例1)。 荷電粒子線装置の検査処理を示すフローチャート(実施例1)。 荷電粒子線装置のレーザ値のリセット処理を示すフローチャート(実施例1)。 荷電粒子線装置の荷電粒子線装置の構成上面図(実施例2)。 荷電粒子線装置の荷電粒子線装置の構成側面図(実施例2)。 荷電粒子線装置(切替状態)の構成図上面図(実施例3)。
以下に説明する実施例は、主としてレーザ干渉計とリニアスケールを切替えて高精度なステージ位置の計測可能とするステージ装置、及び荷電粒子線装置に関するものである。
以下に説明する実施例では、主に、ベースと、当該ベースに対して移動可能な試料ステージと、当該試料ステージに設けられる反射ミラーと、当該反射ミラーにレーザ光を照射することによって前記試料ステージの位置を測定するためのレーザ干渉計と、前記試料ステージの位置を制御する制御装置とを備えたステージ装置、及び当該ステージを備えた荷電粒子線装置であって、前記ベースと前記試料ステージの距離の絶対量を計測する絶対位置検出装置と、前記レーザ干渉計及び前記絶対位置検出装置とは異なる第3の位置検出装置を備え、前記制御装置は、前記レーザ干渉計および前記絶対位置検出装置が検出可能な位置に前記試料ステージを位置決めするとともに、前記絶対位置検出装置によって計測される位置情報を用いて、前記レーザ干渉計のオフセット量を変更することを特徴とするステージ装置および荷電粒子線装置を提案する。
上記のような構成によれば、レーザ干渉計とリニアスケールを併用するステージ装置において、両者を高精度に切替え可能で,高精度なステージ位置の計測可能とするステージ装置を実現できる。
以下に説明する実施例は、測長SEMのような荷電粒子線装置およびそれに適用可能な高精度ステージ装置に関するものである。以下、実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施例における荷電粒子線装置の構成断面図である。図1において、試料室1内に固定されたベース7上には、2つのYリニアガイド14y、15yを介してY方向(紙面奥行き方向)に自由に移動できるYテーブル5が配置されるとともに、Yリニアモータ16yがベース7とYテーブル5間にY方向に相対的に推力を発生させるように配置される。Yテーブル上には、2つのXリニアガイド14x、15x(図示せず)を介してX方向に自由に移動できるXテーブル4が配置されるとともに、Xリニアモータ16x(図示せず)がYテーブル5とXテーブル4間にX方向に推力を発生させるように配置される。これにより、Xテーブル4は、ベース7および試料室1に対してXY方向に自由に移動することが可能となる。
Xテーブル4上にはウェハ2が配置される。なお、ウェハ2の配置には機械的拘束力または静電気力等の保持力を備えたウェハ保持機構が用いる。試料室1上には、天板8およびカラム3が配置される。カラム3には、電子線によって二次電子像を生成するための電子光学系が備えられている。また、天板8には、ウェハ2を低倍率で観察するための光学顕微鏡9が配置される。
ベース7にはYリニアスケール12yがY方向に配置され、それと対向するようにYリニアスケール検出器13yがYテーブル5に配置される。このYリニアスケール(12y、13y)(Y方向の第3の位置検出装置)は、Yテーブル5とベース7のY方向の相対変位量(以下、Yスケール値と呼ぶ)を計測する。同様に、Yテーブル5には、Xリニアスケール12xが配置され、それと対向するようにXリニアスケール検出器13xがXテーブル4に配置される。このXリニアスケール(12x、13x)(X方向の第3の位置検出装置)は、Xテーブル4とYテーブル5のX方向の相対変位量(以下、Xスケール値と呼ぶ)を計測する。以上の構成により、Xテーブル4とベース7とのXY方向それぞれの相対変位量を計測することが可能となる。
Xテーブル4上にはXミラー11xが配置され、試料室1の側面には、Xレーザ干渉計10xが配置される(X方向の第1の位置検出装置)。Xレーザ干渉計10xは、Xミラー11xに対してレーザ光を照射し、その反射光を用いて試料室1とXテーブル4のX方向の相対変位量(以下、Xレーザ値と呼ぶ)を計測する。ここで、Xミラー11xは、YZ平面に鏡面を持ち、Y方向に長い棒状の形状をしており、Yテーブル5がY方向に移動した際にもレーザ光を反射することができる。また、レーザ光はウェハ2の上面(測定面)とZ方向の高さが概ね一致するように配置される。Y方向についても同様に、Yレーザ干渉計10y(Y方向の第1の位置検出装置、図示せず)およびYミラー11y(図示せず)によって試料室1とXテーブル4のY方向の相対変位量(以下、Yレーザ値と呼ぶ)を計測することができる。
ここで、Xレーザ値およびXスケール値は、ともに試料室1に対するXテーブル4のX方向の相対変位量を示しているが、アッベ誤差によって両者は正確には一致しない。すなわち、Xレーザ値とXスケール値の測定位置はZ方向にオフセットを持っているため、テーブルの移動や振動によってXテーブル4の姿勢角が変化する際にアッベ誤差を生じる。同様に、Yレーザ値およびYスケール値についてもアッベ誤差が生じる。
制御装置6には、演算処理部、モータ駆動用アンプ等が含まれている。制御装置6は、XY方向のレーザ値およびスケール値を入力として、リニアモータの駆動電流を制御することによってステージをXY方向に駆動し、所望の位置に位置決めを行う。ここで、リニアモータの制御方法は、PID制御等を用いることが可能である。
以上の構成により、ウェハ2を試料室1に対してXY平面で移動し、カラム3によって二次電子像を生成することができる。
Xテーブル4上には、X絶対スケール17xが配置され、試料室1には、X絶対スケール検出器18xが配置される(X方向の第2の位置検出装置)。ここで、X絶対スケール17xは、ウェハ2の測定面およびXレーザ干渉計10xのレーザ光とZ方向高さが概ね一致するように配置される。Y方向に関しても同様にY絶対スケール17yおよびY絶対スケール検出器18y(Y方向の第2の位置検出装置、ともに図示せず)が配置される。絶対スケールの詳細な配置および使用方法は後述する。なお、本実施例では絶対スケール検出器(18x、18y)は試料室2に配置したが、ベース、天板、カラム等に配置することも可能である。
なお、本実施例では、案内機構としてリニアガイドを用いたがその他の案内機構(例えば、流体軸受けや磁性軸受けなど)を用いることも可能である。また、駆動機構としてリニアモータを用いたが例えば、ボールねじや圧電アクチュエータ等,真空中で使用可能なアクチュエータを用いることも可能である。
図2は、本実施例における荷電粒子線装置の上面構成図で,レーザ可視状態となるテーブル位置配置である。
レーザ干渉計10xおよび10yのレーザ光は、ミラー11xおよび11yに照射されており、ウェハ2のXY座標はスケール値およびレーザ値で共に計測可能である。
図中の位置P1は、レーザ干渉計10xおよび10yから照射されるレーザ光の交点であり、カラム3の中心(二次電子画像を取得するための電子線が照射される位置)がP1と一致するようにカラム3が配置される。これにより、ウェハのZ軸まわりの姿勢変化(ヨーイング)に対するアッベ誤差無く測定点(電子線照射位置)の位置情報をレーザ値によって計測できる。ウェハ2の全面をカラム3によって観察するために必要なXY方向それぞれのテーブルのストロークは図中Rx1、Ry1の範囲である。
位置P2は、光学顕微鏡9による観察可能な位置である。通常、カラム3内の電子光学系の大きさの制約により、P2はP1と同位置に配置することは困難であり、オフセットを持った位置となる。ウェハ2の全面を光学顕微鏡9によって観察するために必要なXY方向それぞれのテーブルのストロークは図中Rx2、Ry2の範囲である。なお、本実施例ではSEM以外の検出手段として光学顕微鏡を用いるが、ウェハの観察やセンシングのためのその他の検出手段やセンサを用いる場合においても本構成は有効である。
ここで、SEM観察時にはウェハ2の位置情報を正確に(アッベ誤差なく)検出することが必要であるため、レーザ値を用いてステージの位置決めを行うことは必須である。一方、光学顕微鏡9はSEMと比較して低倍率であるため、高精度なレーザ値を用いずにスケール値を用いてステージを位置決めしても十分な画像精度を保証できる。すなわち、例えばX方向に関しては、Rx1の範囲はXレーザ値を用い、Rx2のRx1以外の範囲はXスケール値を用いる構成がよい。以上より、本実施例では、Rx1の範囲をカバーするようにYミラー11yの長さを決め、Ry1の範囲をカバーするようにXミラー11xの長さが決定するようにすることで、必要最小限のミラー長となる。
図2では、レーザ値およびスケール値を共に得られるため、制御装置6では、両者を用いてリニアモータ(16x、16y)の駆動電流を決定することが望ましい。また、絶対スケール(17x、17y)と絶対スケール検出器(18x、18y)は離れた位置にいるため位置検出を行うことはできない状態である。
図3は、本実施例における荷電粒子線装置の上面構成図であり,レーザ不可視状態となるテーブル位置配置である。レーザ干渉計10xおよび10yのレーザ光は、ミラー11xおよび11yに照射されていないため、ウェハ2のXY座標はスケール値のみで計測可能である。そのため、制御装置6では、スケール値のみを用いてリニアモータ(16x、16y)の駆動電流を制御する。また、絶対スケール(17x、17y)と絶対スケール検出器(18x、18y)は離れた位置にいるため位置検出を行うことはできない状態である。
図4は、本実施例における荷電粒子線装置の上面構成図であり,切替状態となるテーブル位置配置である。レーザ干渉計10xおよび10yのレーザ光は、ミラー11xおよび11yに照射されており、ウェハ2のXY座標はスケール値およびレーザ値で共に計測可能である。さらに、X絶対スケール17xとX絶対スケール検出器18xおよびY絶対スケール17yとY絶対スケール検出器18yはそれぞれ対向しており、試料室1に対するXテーブル4のXY方向の物理的位置(以下、絶対スケール値)を正確に計測することができる。
また、レーザ光および絶対スケールの測定方向が一致するように配置され,その直線上にウェハ2の測定点が来るように配置する。そのため,図中に示したように絶対スケールはXテーブル上の反射ミラー11の反対側に配置されることが望ましい。このように配置することにより,レーザ値と絶対スケールの位置情報およびウェハ2の測定点の間にアッベ誤差を生じず,正確な位置計測が可能となる。一方、レーザ干渉計は相対的な変位量を計測するため、基準位置を決めることで物理的な距離を求めることができるものの、レーザ干渉計単体でそれを実現することはできない。また、リニアスケール(12、13)は絶対スケールを用いたとしても、アッベ誤差の影響によって生じる誤差を除去することができない。
以上のように、図4に示したステージ位置(以下、切替位置と呼ぶ)において、絶対スケール値を用いてレーザ値の基準位置を正確に設定(オフセット調整)できれば、それ以後レーザ光の有効範囲内において高精度な位置計測をすることができる。
図5は、本実施例における荷電粒子線装置の検査処理を示すフローチャートである。処理S501でステージをウェハ交換位置に移動させる。なお、本実施例ではウェハ交換位置を示していないが、レーザ光の可視・不可視に関わらずステージの可動範囲内において任意に設定できる。
処理S502では、搬送用ロボット等を用いてウェハを試料室内のXテーブル上のウェハ支持部に配置すると共に保持機構によって保持する。処理S503では、光学顕微鏡での可視範囲に移動する。ここで、ステージ制御はスケール値のみを用いて行う。
処理S504では、光学顕微鏡を用いたアライメント処理を行う。ここで、アライメント処理では、ステージ移動と光学顕微鏡での撮像を複数回行い、得られた画像からウェハの搭載位置や角度の補正を行う。処理S505では、後述するレーザ値のリセット処理を行い、スケール値のみを用いた制御からレーザ値を用いた制御に切り替える。
処理S506では、予め登録されたウェハ上の測定点へステージを移動させる。 処理S507では、SEM画像を取得し、測長処理を行う。ここでは、測定点の位置を正確に検出するアドレッシング処理やフォーカス合わせ処理、高倍率画像取得処理などをSEM画像を用いて行う。
処理S508では、予め登録された測定点を全点検査したかどうかを判断する。 処理S509では、ステージをウェハ交換位置に移動させる。処理S510では、保持機構を解除するとともに、搬送用ロボット等を用いてウェハを試料室から搬出する。処理S511では、オフセット調整が必要か否かを判別する。ここで、オフセット調整の要否の判断には、経過時間を用いて一定時間が経過した場合に必要と判断する方法や、前回オフセット調整時から温度計を用いて温度変化を計測して閾値を超えた場合に必要と判断する方法が有効である。処理S512では、処理S505と同様にレーザ値のリセット処理を行い,オフセット量を調整する。
図6は、本実施例におけるレーザ値のリセット処理を示すフローチャートである。なお、説明のため数式はX方向のみを示すが、Y方向についても全く同様に計算することができる。
処理S601では、ステージを所定の切替位置へ移動する。この時、制御装置6はスケール値のみを用いて制御を行う。処理S602では、X方向のレーザ値Lx、スケール値Sx、絶対スケール値Axを取得し、積算値SLx、SSx、SAxに加算する。
処理S603では、予めきめられた規定回数Nが終了したかを判別する。処理S604では、まず、数1、数2、及び数3によってN回の平均レーザ値ALx、スケール値ASx、絶対スケール値AAxを算出する。ここで平均回数Nを大きくすることによりノイズ成分を除去し、ナノメートルオーダの精度で計測することが可能であるが、大きくしすぎると計測時に時間を要することになるため、概ね数十ミリ秒〜1秒程度が望ましい。
ALx=SLx/N (数1)
ASx=SSx/N (数2)
AAx=SAx/N (数3)
次に、レーザ値およびスケール値のオフセット量を数4及び数5によって算出する。
OfsLx=ALx−AAx+Px (数4)
OfsSx=ASx−AAx+Px (数5)
ここで、OfsLxはXレーザ値のオフセット量、OfsSxはXスケール値のオフセット量、Pxは切替位置の座標であり、切替位置のX座標がPxとなるようにオフセット量が算出される。
処理S605では、得られたオフセット量を用いて、レーザ値を用いた位置制御への切替えを行う。数4及び数5で算出されたオフセット量を用いて、制御に用いる位置情報PosLx,PosLyは数6、及び数7で算出される。
PosLx=Lx−OfsLx (数6)
PosSx=Sx−OfsSx (数7)
なお、図6で示した切替手順は、図5で示した検査処理中のみならず、任意のタイミングで実行することが可能である。例えば、SEM画像と光学顕微鏡画像を見比べながらパターン観察を行うような場合には、SEM画像取得前に切替処理を行うことができる。
以上のように構成したステージ装置および荷電粒子線装置によれば、レーザ干渉計とリニアスケールを併用することによりミラーや試料室の大きさを最小限に抑えることができると同時に、レーザ値とスケール値を高精度に切替えて使用することができる。さらに、熱膨張等によって生じるウェハの位置決め誤差を抑制することができる。
なお、本実施例では、試料室とXテーブルの物理的位置関係を決定するために絶対スケールを用いたが、同様に物理位置を計測できるセンサ、例えば静電容量やレーザ、超音波、磁気等を用いるセンサを用いることも可能である。また、新たなセンサを用いず、SEM像もしくは光学顕微鏡画像を用いて物理位置関係を決定する方法も有効である。また、これらのセンサ、手段を複数併用することによりさらなる精度向上が期待できる。
以上、本実施例によれば、レーザ干渉計による位置検出装置が検出可能なステージ移動範囲の一部に、試料ステージが位置するときに、試料ステージの位置を検出することが可能な絶対位置検出器による位置検出を行うことによって、レーザ干渉計の位置検出精度を補償しているため、レーザ干渉計による位置検出範囲外にステージが位置することになっても、高い位置検出精度を維持することが可能となる。この結果、レーザ干渉計に要する反射ミラーの長さを短くしつつ、高精度な位置決めを行うことが可能となる。
図7は、本実施例における荷電粒子線装置の構成上面図、図8は、本実施例における荷電粒子線装置の構成側面図である。図7および図8において、図1〜4と同じ番号で示される部材については、同様の構成・機能を有するため説明を省略する。
図7および図8では、X絶対スケール17xはXテーブル4上でXミラー11x側の端に配置され、X絶対スケール検出器18xはXレーザ干渉計10xの近傍に配置されている。同様にYレーザ干渉計10yとY絶対スケール17yは、Yミラー11y側に配置され、Y絶対スケール検出器18yはYレーザ干渉計10yの近傍に配置されている。このように配置した場合、レーザ光と絶対スケールのZ方向高さにわずかに差が生じるため、わずかにアッベ誤差を生じる。しかしながら、スケール値と比較すると非常に小さなアッベ誤差に抑えられるため、本実施構成においてもレーザ値とスケール値を高精度に切替える効果が期待できる。
図9は、本実施例における荷電粒子線装置の上面構成図であり,切替状態となるテーブル位置配置である。図9において、図2と同じ番号で示される部材については、同様の構成・機能を有するため説明を省略する。
図9では、Xテーブル4上のX方向端面付近にX押し当て部材301xを備え、それに対向する位置に試料室1の内壁にX被押し当て部材302xが配置されている。同様に、Xテーブル4上にY押し当て部材301y、試料室1にY被押し当て部材302yが配置されている。
スケール値とレーザ値のオフセット調整を行う場合、リニアモータ(16x、16y)によって押し当て部材301を被押し当て部材302に押し当て、一定の推力を発生させた状態で、レーザ値のオフセット量を算出する。
これにより、新たなセンサを用いることなく、試料室1とXテーブル4の物理的位置関係を拘束することにより高精度なオフセット量の調整を行うことが可能である。
なお、押し当て部材301および被押し当て部材302は、弾性の高い部材(例えばバネ状の金属やゴムや樹脂材料)を用いることも有効である。
また、図9に置いては、押し当て部材および被押し当て部材はXY方向にそれぞれ1個ずつ配置したが、複数配置する方法や面接触として連続部材で押し当てる方法も可能である。さらに、押し当て部材301を用いず、例えばXステージの側面を押し当てる方法も可能である。
1 試料室
2 ウェハ
3 カラム
4 Xテーブル
5 Yテーブル
6 制御装置
7 ベース
8 天板
9 光学顕微鏡
10 レーザ干渉計
11 ミラー
12 リニアスケール
13 リニアスケール検出器
14、15 リニアガイド
16 リニアモータ
17 絶対スケール
18 絶対スケール検出器

Claims (22)

  1. 試料を搭載するための試料ステージと、当該試料ステージの位置を検出する第1の位置検出装置と、第2の位置検出装置と、を備えたステージ装置において、
    前記第1の位置検出装置は、前記試料ステージに設置される反射ミラーと、当該反射ミラーにレーザ光を照射することによって前記試料ステージの位置を検出するレーザ干渉計を含み、
    前記第2の位置検出装置は、前記レーザ干渉計が照射するレーザ光の光軸と前記第2の位置検出装置の測定軸とが略同一となるように配置され、
    前記第1の位置検出装置が検出する前記試料ステージの位置と前記第2の位置検出装置が検出する前記試料ステージの位置とは、略同一方向であり、
    前記第1の位置検出装置が検出可能なステージ移動範囲の一部に、前記試料ステージが位置するときに、前記第2の位置検出装置によって得られる位置検出結果に基づいて、前記第1の位置検出装置のオフセット量を調整する制御装置を備えたことを特徴とするステージ装置。
  2. 請求項1において、
    前記第2の位置検出装置は、前記試料ステージが配置されるベースと前記試料ステージの距離の絶対量を計測する絶対位置検出装置であることを特徴とするステージ装置。
  3. 請求項2において、
    前記絶対位置検出装置は、前記試料ステージ上に配置されることを特徴とするステージ装置。
  4. 請求項1において、
    前記試料ステージは、前記第1の位置検出装置が検出可能なステージ移動範囲外に、移動可能に構成されていることを特徴とするステージ装置。
  5. 請求項において、
    前記制御装置は、前記第1の位置検出装置が検出可能なステージ移動範囲外に、前記試料ステージが移動した後に、前記オフセット量を調整することを特徴とするステージ装置。
  6. 請求項1に記載のステージ装置を備えた荷電粒子線装置。
  7. ベースと、当該ベースに対して移動可能な試料ステージと、当該試料ステージに設けられる反射ミラーと、当該反射ミラーにレーザ光を照射することによって前記試料ステージの位置を測定するためのレーザ干渉計と、前記試料ステージの位置を制御する制御装置とを備えたステージ装置において、
    前記ベースと前記試料ステージの距離の絶対量を計測する絶対位置検出装置と、前記レーザ干渉計及び前記絶対位置検出装置とは異なる第3の位置検出装置を備え、
    前記試料ステージは、前記反射ミラーに前記レーザ光が照射されない位置まで移動可能に構成され、
    前記制御装置は、前記反射ミラーに前記レーザ光が照射されない位置に前記試料ステージが位置している場合に、前記第3の位置検出装置を用いて前記試料ステージの位置を制御し、前記レーザ干渉計および前記絶対位置検出装置が検出可能な位置に前記試料ステージを位置決めするとともに、前記絶対位置検出装置によって計測される位置情報を用いて、前記レーザ干渉計のオフセット量を変更することを特徴とするステージ装置。
  8. 請求項において、
    前記第3の位置検出装置は、前記試料ステージの全ての可動範囲において位置検出可能であるように構成されることを特徴とするステージ装置。
  9. 請求項において、
    前記絶対位置検出装置の測定方向は、前記レーザ光の光軸と概ね一致するように配置されることを特徴とするステージ装置。
  10. 請求項において、
    前記絶対位置検出装置は、前記試料ステージ上の前記反射ミラーとは異なる面に配置されることを特徴とするステージ装置。
  11. 請求項7において、
    前記制御装置は、前記試料ステージの移動時に前記オフセット量の変更を行うか否かを判断することを特徴とするステージ装置。
  12. 請求項1において、
    前記制御装置は、前記試料ステージの移動前の座標が前記レーザ干渉計の測定範囲外であり、移動後の目標座標が前記レーザ干渉計の測定範囲内でありかつ移動後に荷電粒子線の照射を行う場合に前記オフセット量の変更を行うことを特徴とするステージ装置。
  13. 請求項1において、
    前記制御装置は、前記オフセット量の変更を実施してからの経過時間を記憶し、前記試料ステージが前記レーザ干渉計の測定範囲内において、前記経過時間が閾値を超えた場合に前記オフセット量の変更を行うことを特徴とするステージ装置。
  14. 請求項1において、
    前記制御装置は、前記試料ステージの温度を計測する温度計を備え、
    前記試料ステージが前記レーザ干渉計の測定範囲内において、前記試料ステージの温度が閾値を超えた場合に前記オフセット量の変更を行うことを特徴とするステージ装置。
  15. 請求項において、
    前記絶対位置検出装置は、絶対値出力型リニアスケールを用いることを特徴とするステージ装置。
  16. 請求項において、
    前記絶対位置検出装置は、静電容量変位計を用いることを特徴とするステージ装置。
  17. 請求項8において、
    前記絶対位置検出装置は、光学顕微鏡によって得られる画像情報を用いることを特徴とするステージ装置。
  18. 請求項において、
    前記絶対位置検出装置は、荷電粒子線を用いて得られる画像情報を用いることを特徴とするステージ装置。
  19. 請求項記載のステージ装置を備えた荷電粒子線装置。
  20. ベースと、当該ベースに対して移動可能な試料ステージと、当該試料ステージに設けられる反射ミラーと、当該反射ミラーにレーザ光を照射することによって前記試料ステージの位置を測定するためのレーザ干渉計と、前記試料ステージの位置を制御する制御装置とを備えたステージ装置において、
    前記試料ステージの位置を特定するための前記レーザ干渉計とは異なる第3の位置検出装置と、前記ベースと前記試料ステージの距離の絶対量を拘束する絶対位置拘束装置とを備え、
    前記試料ステージは、前記反射ミラーに前記レーザ光が照射されない位置まで移動可能に構成され、
    前記制御装置は、前記反射ミラーに前記レーザ光が照射されない位置に前記試料ステージが位置している場合に、前記第3の位置検出装置を用いて前記試料ステージの位置を制御し、前前記レーザ干渉計および前記絶対位置拘束装置によって前記試料ステージが拘束されるように試料ステージを制御するとともに、前記絶対位置拘束装置によって前記試料ステージが拘束されている状態での前記レーザ干渉計の位置情報を用いて、前記レーザ干渉計のオフセット量を変更することを特徴とするステージ装置。
  21. 請求項2において、
    前記試料ステージは、押し当て部材を備え、前記ベースは、被押し当て部材を備え、前記絶対位置拘束装置は、前記押し当て部材を前記被押し当て部材に押し当てることによって拘束を行うことを特徴とするステージ装置。
  22. 請求項2記載のステージ装置を備えた荷電粒子線装置。
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