JP6485005B2 - 立体物造形装置 - Google Patents
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Description
このような立体物造形装置において、カラーの立体物を造形するために、複数の色の液体により形成された複数の色のドットにより、立体物を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
立体物を構成するドットのサイズが均一である場合、立体物の色彩は、ドット毎の色の組み合わせにより表現される。この場合、隣り合う2つのドット間での色の変化が大きくなり粒状感が顕在化してしまうという問題や、立体物の色彩がドットのサイズとドットを形成するための液体の色数とに依存するため立体物の濃淡を十分に表現できなくなるという問題がある等、本来表現すべき色彩を正確に表現できない場合が存在した。
また、この態様によれば、単位構造体の集合として造形層を形成するため、造形層の厚さを均一化し、本来造形すべき正確な形状の立体物を造形することができる。
本実施形態では、立体物造形装置として、樹脂エマルジョンを含むレジンインクや、紫外線硬化型インク等の、硬化性インク(「液体」の一例)を吐出して立体物Objを造形する、インクジェット式の立体物造形装置を例示して説明する。
以下、図1乃至図9を参照しつつ、本実施形態に係る立体物造形装置1を具備する立体物造形システム100の構成について説明する。
図1に示すように、立体物造形システム100は、インクを吐出し、吐出したインクにより形成されるドットにより所定の厚さΔZの造形層LYを形成し、造形層LYを積層することで立体物Objを造形する立体物造形装置1と、立体物造形装置1が造形する立体物Objを構成する複数の造形層LYの各々の形状及び色彩を定める造形層データFDを生成するホストコンピューター9と、を備える。
図1に示すように、ホストコンピューター9は、ホストコンピューター9の各部の動作を制御するCPU(図示省略)と、ディスプレイ等の表示部(図示省略)と、キーボードやマウス等の操作部91と、ホストコンピューター9の制御プログラム、立体物造形装置1のドライバープログラム、及び、CAD(computer aided design)ソフト等のアプリケーションプログラムを記憶する情報記憶部(図示省略)と、立体物造形装置1が造形すべき立体物Objの形状及び色彩を指定する形状データDatを生成する形状データ生成部92と、形状データDatに基づいて造形層データFDを生成する造形データ生成部93と、を備える。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、形状データDatは、少なくとも立体物Objの外部形状を特定可能な情報を含むものであればよい。例えば、形状データDatは、立体物Objの外部形状や色彩に加えて、立体物Objの内部形状や材料等を指定するものであってもよい。
形状データDatとしては、例えば、AMF(Additive Manufacturing File Format)、または、STL(Standard Triangulated Language)等のデータ形式を例示することができる。
なお、以下では、立体物Objが、Q層の造形層LYを積層させることで造形される場合を想定する(Qは、Q≧2を満たす自然数)。また、以下では、第q層の造形層LYを、造形層LY[q]と称し、第q層の造形層LY[q]の形状及び色彩を定める造形層データFDを、造形層データFD[q]と称する(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)。
図2(A)及び(B)に示すように、造形データ生成部93は、所定の厚さΔZを有する造形層LY[1]〜LY[Q]の形状及び色彩を定める造形層データFD[1]〜FD[Q]を生成するために、まず、形状データDatの示す三次元の形状を所定の厚さΔZ毎にスライスすることで、造形層LY[1]〜LY[Q]と1対1に対応する断面体データLdat[1]〜Ldat[Q]を生成する。ここで、断面体データLdatとは、形状データDatの示す三次元の形状をスライスして得られる断面体の形状及び色彩を示すデータである。但し、断面体データLdatは、形状データDatの示す三次元の形状をスライスしたときの断面の形状を含むデータであればよい。
なお、図2(A)は、第1層の造形層LY[1]に対応する断面体データLdat[1]を例示し、図2(B)は、第2層の造形層LY[2]に対応する断面体データLdat[2]を例示している。
また、以下では、立体物Objを構成する造形層LYの構成要素であって、1個のボクセルVxに対応して形成された、所定体積を有する所定の厚さΔZの構成要素を、単位造形体と称することがある。詳細は後述するが、単位造形体は、1または複数のドットにより構成される。換言すれば、単位造形体とは、1個のボクセルVxを満たすように形成された、1または複数のドットである。すなわち、本実施形態において、造形層データFDは、各ボクセルVxに、1または複数のドットを形成すべきことを指定する。
そして、立体物造形装置1は、図2(E)に示すように、造形層データFD[1]〜FD[Q]に基づいて形成される造形層LY[1]〜LY[Q]を順番に積層させることで、立体物Objを造形する。
このため、本実施形態に係る造形データ生成部93は、図2に示すように、形状データDatの指定する形状が中空形状であるか否かに関わらず、立体物Objの内部の一部または全部が中実となるように、造形層データFDを生成する。
そこで、本実施形態では、造形層データFDが、立体物Objの他に、立体物Objを造形する際に必要となる支持部の形状を定めるデータを含むこととする。すなわち、造形層データFD[q]は、第q層に形成される支持部の形状をボクセルVxの集合として表したデータを含む。つまり、本実施形態において、造形層LY[q]には、第q層に形成すべき立体物Objの他に、第q層に形成すべき支持部も含むこととする。
本実施形態に係る造形データ生成部93は、断面体データLdatまたは形状データDatに基づいて、ボクセルVxqの形成のために支持部を設ける必要があるか否かを判定する。そして、造形データ生成部93は、当該判定の結果が肯定である場合には、立体物Objの他に支持部が設けられるような造形層データFDを生成する。
なお、支持部は、立体物Objの造形後に容易に除去することのできる材料、例えば、水溶性のインクで構成されることが好ましい。
次に、図1に加え図3を参照しつつ、立体物造形装置1について説明する。図3は、立体物造形装置1の内部構造の概略を示す斜視図である。
以下では、硬化ユニット61が紫外線の光源である場合を想定し、硬化ユニット61が造形台45の+Z方向に位置する場合を想定して説明する。
本実施形態では、立体物Objを造形するための5色の造形用インクとして、有彩色インクであるシアン(CY)、マゼンタ(MG)、及び、イエロー(YL)のインクと、無彩色インクであるホワイト(WT)、及び、クリアー(CL)のインクと、を想定する。ここで、クリアー(CL)のインクとは、少なくとも有彩色インクよりも透明度の高いインクである。
なお、各インクカートリッジ48は、キャリッジ41に搭載される代わりに、立体物造形装置1の別の場所に設けられるものであってもよい。
また、位置変化機構7は、昇降機構駆動モーター71を駆動するためのモータードライバー75と、キャリッジ駆動モーター72を駆動するためのモータードライバー76と、キャリッジ駆動モーター73を駆動するためのモータードライバー77と、硬化ユニット駆動モーター74を駆動するためのモータードライバー78と、を備える。
具体的には、制御部6は、まず、ホストコンピューター9から供給される造形層データFDを記憶部60に格納する。次に、制御部6は、造形層データFD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、ヘッドユニット3の動作を制御して吐出部Dを駆動させるための駆動波形信号Com及び波形指定信号SIを含む各種信号を生成し、これら生成した信号を出力する。また、制御部6は、造形層データFD等の記憶部60に格納されている各種データに基づいて、モータードライバー75〜78の動作を制御するための各種信号を生成し、これら生成した信号を出力する。
なお、駆動波形信号Comはアナログの信号である。このため、制御部6は、図示省略したDA変換回路を含み、制御部6が備えるCPU等において生成されるデジタルの駆動波形信号を、アナログの駆動波形信号Comに変換したうえで、出力する。
これにより、制御部6は、造形台45上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整し、造形台45上に形成されたドットを硬化させて造形層LYを造形し、更に、造形した造形層LYの上に新たな造形層LYを積層させていくことで、形状データDatに対応する立体物Objを形成する造形処理の実行を制御する。
以下では、記録ヘッド30に設けられるM個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。また、以下では、記録ヘッド30に設けられるM個の吐出部Dのうちm段の吐出部Dを、吐出部D[m]と表現する場合がある(mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。また、以下では、駆動信号生成部31が生成する駆動信号Vinのうち、吐出部D[m]を駆動するための駆動信号Vinを駆動信号Vin[m]と表現する場合がある。
なお、駆動信号生成部31の詳細については、後述する。
次に、図4乃至図6を参照しつつ、記録ヘッド30と、記録ヘッド30に設けられる吐出部Dと、について説明する。
圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301の電位が所定の基準電位VSSに設定され、上部電極302に駆動信号Vinが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み(変位し)、その結果、圧電素子300が振動する。
ここで、ノズル列Ln-CYに属するノズルNは、シアン(CY)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-MGに属するノズルNは、マゼンタ(MG)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-YLに属するノズルNは、イエロー(YL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-WTに属するノズルNは、ホワイト(WT)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-CLに属するノズルNは、クリアー(CL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-SPに属するノズルNは、支持用インクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNである。
また、各ノズル列Lnにおいて、ノズルN間の間隔(ピッチ)は、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
次に、図7乃至図9を参照しつつ、駆動信号生成部31の構成及び動作について説明する。
図7に示すように、駆動信号生成部31は、シフトレジスタSR、ラッチ回路LT、デコーダーDC、及び、トランスミッションゲートTGからなる組を、記録ヘッド30に設けられたM個の吐出部Dと1対1に対応するように、M個有する。以下では、駆動信号生成部31及び記録ヘッド30が備えるこれらM個の組を構成する各要素を、図において上から順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。
このうち、波形指定信号SI[m]は、吐出部D[m] からのインクの吐出の有無、及び、吐出されるインク量を、上位ビットb1及び下位ビットb2の2ビットで規定する。具体的には、波形指定信号SI[m]は、吐出部D[m]に対して、大ドットに相当する量のインクの吐出、中ドットに相当する量のインクの吐出、小ドットに相当する量のインクの吐出、または、インクの非吐出、のうち、いずれか1つを指定する。
制御部6は、駆動信号生成部31に対して、単位期間Tuが開始されるよりも前のタイミングで波形指定信号SI[m]を供給する。そして、制御部6は、駆動信号生成部31の各ラッチ回路LTに対して、単位期間Tu毎に波形指定信号SI[m]がラッチされるように、ラッチ信号LATを供給する。
この図に示すように、m段のデコーダーDCは、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(1、1)であれば、制御期間Ts1〜Ts3において選択信号Sel[m]をHレベルに設定し、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(1、0)であれば、制御期間Ts1、Ts2において選択信号Sel[m]をHレベルに設定し、制御期間Ts3において選択信号Sel[m]をLレベルに設定し、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(0、1)であれば、制御期間Ts1において選択信号Sel[m]をHレベルに設定し、制御期間Ts2、Ts3において選択信号Sel[m]をLレベルに設定し、波形指定信号SI[m]の示す内容が(b1、b2)=(0、0)であれば、制御期間Ts1〜Ts3において選択信号Sel[m]をLレベルに設定する。
m段のトランスミッションゲートTGは、m段のデコーダーDCから出力される選択信号Sel[m]がHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。各トランスミッションゲートTGの一端には、駆動波形信号Comが供給される。m段のトランスミッションゲートTGの他端は、m段の出力端OTNに電気的に接続されている。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、トランスミッションゲートTGがオンからオフに切り替わるタイミング(つまり、制御期間Ts1〜Ts3の開始及び終了のタイミング)における駆動波形信号Comの電位を基準電位V0としている。このため、トランスミッションゲートTGがオフする場合、吐出部D[m]の圧電素子300が有する容量等により、出力端OTNの電位は基準電位V0に維持されることになる。以下では、説明の便宜上、トランスミッションゲートTGがオフする場合には、駆動信号Vin[m]の電位が基準電位V0に維持されることとして説明する。
図9に例示するように、ラッチ信号LATは、パルス波形Pls-Lを含み、当該パルス波形Pls-Lにより単位期間Tuが規定される。また、チェンジ信号CHは、パルス波形Pls-Cを含み、当該パルス波形Pls-Cにより単位期間Tuが制御期間Ts1〜Ts3に区分される。また、図示は省略するが、制御部6は、単位期間Tu毎に、波形指定信号SIを、クロック信号CLKに同期させて、駆動信号生成部31に対してシリアルで供給する。
また、本実施形態において、駆動波形信号Comの電位は、各制御期間Tsの開始または終了のタイミングにおいて、基準電位V0に設定される。
よって、駆動信号生成部31が、単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に供給する駆動信号Vin[m]は、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1、1)であれば、波形PL1〜PL3を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1、0)であれば、波形PL1及びPL2を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0、1)であれば、波形PL1を有する信号となり、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0、0)であれば、基準電位V0に設定された信号となる。
このため、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0,1)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が1つの波形PL(PL1)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該1つの波形PLに基づいて小程度の量のインクが吐出され、吐出されたインクにより小ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1,0)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が2つの波形PL(PL1、PL2)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該2つの波形PLに基づいて小程度の量のインクが2度吐出され、当該2度にわたり吐出された小程度の量のインクが合体することで、中ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(1,1)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が3つの波形PL(PL1〜PL3)を有する場合、吐出部D[m]からは、当該3つの波形PLに基づいて小程度の量のインクが3度吐出され、当該3度にわたり吐出された小程度の量のインクが合体することで、大ドットが形成される。
一方、単位期間Tuにおいて、波形指定信号SI[m]の示す値が(b1、b2)=(0,0)であり、吐出部D[m]に供給される駆動信号Vin[m]が波形PLを有さず基準電位V0に保たれる場合、吐出部D[m]からインクは吐出されず、当該ドットは形成されない(非記録となる)。
また、本実施形態では、以上の説明からも明らかなように、中ドットは小ドットの2倍のサイズであり、大ドットは小ドットの3倍のサイズである。
次に、図10乃至図14を参照しつつ、立体物造形システム100が実行する造形処理について説明する。
図10は、造形処理を実行する場合における立体物造形システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、造形データ生成部93は、造形処理が開始されると、形状データ生成部92が出力した形状データDatに基づいて、造形層データFD[1]〜FD[Q]を生成する(S110)。
その後、制御部6は、層の番号を示す変数qに「1」を設定する(S120)。次に、制御部6は、造形データ生成部93が生成した造形層データFD[q]を取得する(S130)。また、制御部6は、造形台45が、第q層の造形層LY[q]を形成するための位置に移動するように、昇降機構駆動モーター71を制御する(S140)。
なお、造形層LY[q]を形成するための位置とは、ヘッドユニット3から吐出されたインクが、造形層データFD[q]の指定するドット形成位置(ボクセルVxq)に対して、正確に着弾可能な位置であれば、どのような位置であってもよい。例えば、ステップS140において、造形層LY[q]とヘッドユニット3とのZ軸方向の間隔が一定となるように、造形台45の位置を制御してもよい。この場合、制御部6は、例えば、造形層LY[q]を形成した後から、造形層LY[q+1]を形成するまでの間に、造形台45を所定の厚さΔZだけ−Z方向に移動させればよい。
その後、制御部6は、変数qが「q≧Q」を充足するか否かを判定し(S160)、判定結果が肯定である場合には、立体物Objの造形が完了したと判定して造形処理を終了させ、一方、判定結果が否定である場合には、変数qに1を加算した上で、処理をステップS130に進める(S170)
造形層データFD[q]に対応する造形層LY[q]を形成するようにしてもよい。
図11は、各ボクセルVxに対応して設けられる単位造形体を構成するドットについて説明するための説明図である。
例えば、図11に示す例では、造形層LY[1]において、形状データDatの示す色彩が再現されるように、造形層データFD[1]が、造形層LY[1]に属する6個のボクセルVx1(Vx1-1〜Vx1-6)に対して形成すべきドットの配置及びサイズを指定する場合を例示している。より具体的には、造形層データFD[1]は、造形層LY[1]に属する6個のボクセルVx1(Vx1-1〜Vx1-6)のうち、ボクセルVx1-1にマゼンタ(MG)の小ドットを形成し、ボクセルVx1-3にシアン(CY)の中ドットを形成し、ボクセルVx1-4にイエロー(YL)の大ドットを形成し、ボクセルVx1-6にマゼンタ(MG)の小ドット及びシアン(CY)の小ドットを形成し、ボクセルVx1-2及びVx1-5には、有彩色インクからなるドットを形成しないような、ドットの配置及びサイズを指定する場合を例示している。
具体的には、制御部6は、各単位造形体が、1個の大ドット、1個の中ドット及び1個の小ドットの組み合わせ、または、3個の小ドットの組み合わせ、のいずれかにより形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する。すなわち、造形層データFD[q]は、各ボクセルVxに形成すべきドットとして、1個の大ドット、1個の中ドット及び1個の小ドットの組み合わせ、または、3個の小ドットの組み合わせ、のいずれかを指定する。
なお、形状データDatの指定する色彩を再現するために必要とされる有彩色インクからなるドットだけでは、各ボクセルVxに単位造形体を形成することができず、造形層LY[q]が所定の厚さΔZとならない場合がある。このため、造形層データFD[q]は、有彩色インクからなるドットだけで単位造形体を形成できないボクセルVxにおいて、有彩色インクからなるドットの他に、無彩色インクからなるドットが形成されるように、ドットの配置及びサイズを指定する。これにより、各ボクセルVxをインク(ドット)で充填し、各ボクセルVxに単位造形体を形成することができる。
例えば、図11に示す例では、有彩色インクからなるドットだけではボクセルVxを満たせなかった部分に対して、クリアー(CL)等の無彩色インクによるドットを形成している。具体的には、ボクセルVx1-1〜Vx1-6のうち、有彩色インクからなるドットだけでは単位造形体を形成できないボクセルVxである、ボクセルVx1-1、Vx1-2、Vx1-3、Vx1-5、Vx1-6において、各ボクセルVxを満たすようにクリアーインクによるドットを形成する。これにより、ボクセルVx1-1、Vx1-2、Vx1-3、Vx1-5、Vx1-6においても、単位造形体が形成される。
以下、本実施形態に係る造形層LY[q]の形成方法の利点を明確化するために、図12に示す対比例1と、図13に示す対比例2と、について説明する。
対比例1では、ボクセルVxを充填するようにドットを形成せず、単位造形体が形成されないボクセルVxが存在することになる。このため、対比例1では、図12(A)に示すように、造形層LY[1]の上面に凹凸が生じる。この結果、対比例1では、図12(B)に示すように、造形層LY[2]を、本来形成すべき位置に形成することができない。すなわち、対比例1では、立体物Objの形状を正確に造形することができない。
これに対して、本実施形態では、図11及び図14(A)に示すように、造形層LY[1]に対応する全てのボクセルVx1に単位造形体を形成することで、造形層LY[1]を所定の厚さΔZとする。このため、本実施形態では、図14(A)に示すように、造形層LY[1]の上面を平坦化することができ、図14(B)に示すように、造形層LY[2]を、本来形成すべき位置に形成することが可能となる。これにより、本実施形態では、立体物Objの形状を正確に造形することが可能となる。
対比例2のうち、図13(A)は、図11に示すボクセルVx1-1〜Vx1-6に形成される有彩色インクからなるドットを、大ドットに置き換える場合を示している。図13(A)では、複数の有彩色インクの間におけるインク量の比率が、図11に示す場合と異なるため、形状データDatの示す色彩を正確に再現できない。
また、対比例2のうち、図13(B)は、図11におけるドットサイズを3倍にすることで、図11において1個の各ボクセルVxに形成されるドットを、3個のボクセルVxに形成する場合を示している。図13(B)では、形状データDatの示す色彩を正確に表現することは可能であるが、図11に示す場合と比較して解像度が低下する。
これに対して、本実施形態では、図11及び図14(A)に示すように、造形層LY[1]を、小ドット、中ドット、及び、大ドットの3種類のサイズのドットを用いて形成する。このため、形状データDatの示す色彩を高階調で正確に表現することができるとともに、高い解像度で色味(模様)を表現することが可能となる。
以上において説明したように、本実施形態における立体物造形システム100は、有彩色インクからなるドットと、無彩色インクからなるドットと、を含む複数サイズのドットを用いることで、造形層LY[q]を所定の厚さΔZの単位造形体の集合として形成する。
このため、本実施形態に係る立体物造形システム100は、形状データDatの示す色彩を高階調で正確に再現するとともに、形状データDatの示す形状を正確に再現した立体物Objを造形することができる。
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
上述した実施形態において、立体物造形装置1は、造形用インクを硬化させて形成された造形層LYを積層することで立体物Objを造形するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、層状に敷き詰められた粉体を、硬化性の造形用インクにより固めることで造形層LYを形成し、形成された造形層LYを積層することで立体物Objを造形するものであってもよい。
この場合、立体物造形装置1は、造形台45上に粉体を所定の厚さΔZで敷き詰めるための粉体層形成部(図示省略)と、立体物Objの形成後に、立体物Objを構成しない粉体(造形用インクにより固められた粉体以外の粉体)を廃棄するための粉体廃棄部(図示省略)と、を備えればよい。なお、以下では、第q層に設けられる粉体の層を、粉体層PW[q]と称する。
ステップS150を実行しない点と、ステップS151、S152、S153を実行する点と、を除き、図10に示す実施形態に係るフローチャートと同様である。
図15に示すように、本変形例に係る制御部6は、粉体層形成部が粉体層PW[q]を形成するように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(S151)。
また、本変形例に係る制御部6は、造形層データFD[q]に基づいて、粉体層PW[q]にドットを形成して造形層LY[q]を形成するように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する。(S152)。具体的には、制御部6は、まず、造形層データFD[q]に基づいて、粉体層PW[q]に対して、造形用インクまたは支持用インクを吐出させるように、ヘッドユニット3の動作を制御する。次に、制御部6は、粉体層PW[q]に対して吐出されたインクにより形成されたドットを硬化させることで、粉体層PW[q]のうち、ドットが形成された部分の粉体を固めるように、硬化ユニット61の動作を制御する。これにより、粉体層PW[q]の粉体がインクにより固められ、造形層LY[q]を形成することができる。
また、本変形例に係る制御部6は、立体物Objが造形された後、立体物Objを構成しない粉体を廃棄するように粉体廃棄部の動作を制御する(S153)。
このうち、図16(A)及び(B)は、図2(A)及び(B)と同様、断面体データLdat[1]及びLdat[2]を例示している。本変形例においても、形状データDatをスライスすることで断面体データLdat[q]を生成し、断面体データLdat[q]から造形層データFD[q]を生成し、そして、造形層データFD[q]に基づいて形成されたドットにより造形層LY[q]を形成する。
以下、図16(C)乃至(F)を参照しつつ、本変形例に係る造形層LY[q]の形成について、造形層LY[1]及びLY[2]を例示して説明する。
次に、制御部6は、図16(D)に示すように、粉体層PW[1]内に造形層LY[1]が形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する(上述したステップS152参照)。
具体的には、制御部6は、まず、造形層データFD[1]に基づいてヘッドユニット3の動作を制御することで、粉体層PW[1]にインクを吐出させてドットを形成する。次に、制御部6は、粉体層PW[1]に形成したドットを硬化させるように、硬化ユニット61の動作を制御することで、ドットが形成されている部分の粉体を固め、造形層LY[1]を形成する。
その後、制御部6は、図16(E)に示すように、粉体層PW[1]及び造形層LY[1]の上に、所定の厚さΔZの粉体層PW[2]を形成するように粉体層形成部を制御する。さらに、制御部6は、図16(F)に示すように、造形層LY[2]が形成されるように、立体物造形装置1の各部の動作を制御する。
このように、制御部6は、造形層データFD[q]に基づいて、粉体層PW[q]内に造形層LY[q]を形成し、当該造形層LY[q]を積層させていくことで、立体物Objを造形する。
上述した実施形態において、吐出部Dから吐出されるインクは、紫外線硬化型インク等の硬化性インクであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂等からなるインクであってもよい。
この場合、インクは、吐出部Dにおいて加熱された状態で吐出されることが好ましい。すなわち、本変形例に係る吐出部Dは、キャビティ320に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることでキャビティ320内に気泡を生じさせてキャビティ320内部の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式の吐出であることが好ましい。
また、この場合、吐出部Dから吐出されたインクは外気により冷却されて硬化するため、
立体物造形装置1は、硬化ユニット61を具備しなくてもよい。
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形装置1が吐出可能なドットのサイズは、小ドット、中ドット、及び、大ドットの3種類であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形装置1が吐出可能なドットのサイズは2種類以上あればよい。
この場合、以下の式(1)を満たす非負の整数α1、α2、…、αKの組み合わせが少なくとも2通り存在すればよい。
(A)第1の組み合わせ: 整数α1が「1」であり、且つ、整数α2、…、αKが全て「0」である。
(B)第2の組み合わせ: KがK≧3を満たすことを前提として、2≦j1<j2≦Kを満たす自然数j1及びj2について、整数αj1及びαj2が「1」以上である。
(C)第3の組み合わせ: 2≦j3≦Kを満たす自然数j3に対応する整数αj3が「2」以上であり、且つ、それ以外のj≠j3なる整数αjが全て「0」である。
第1の組み合わせは、K種類のドットのうち最大のサイズSD1が、ボクセルVxのサイズSVXと略同じであることを示す。
第2の組み合わせは、ボクセルVxが、1個または2個以上のサイズSDj1のドットと、1個または2個以上のサイズSDj2のドットと、を含む複数のドットにより形成可能であることを示す。
第3の組み合わせは、ボクセルVxが、複数個のサイズSDj3のドットにより形成可能であることを示す。
なお、本変形例において、ドットの各サイズSD1、SD2、…、SDKと、ボクセルVxのサイズSVXと、が最小のサイズSDKの整数倍のサイズであることが好ましい。
上述した実施形態及び変形例において、造形データ生成部93はホストコンピューター9に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、造形データ生成部93は立体物造形装置1に設けられるものであってもよい。例えば、造形データ生成部93は、制御部6が制御プログラムに従って動作すること実現される機能ブロックとして実装されてもよい。
立体物造形装置1が造形データ生成部93を備える場合、立体物造形装置1は、外部のホストコンピューター9から供給される形状データDatに基づいて造形層データFDを生成し、更に、生成した造形層データFDに基づいて立体物Objを造形することができる。
上述した実施形態及び変形例において、立体物造形システム100は形状データ生成部92を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、立体物造形システム100が形状データ生成部92を含まずに構成されてもよい。
つまり、立体物造形システム100は、立体物造形システム100の外部から供給される形状データDatに基づいて、立体物Objを造形するものであればよい。
上述した実施形態及び変形例において、駆動波形信号Comは、波形PL1〜PL3を有する信号であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動波形信号Comは、複数サイズのドットに対応する量のインクを吐出部Dから吐出させることが可能な波形を有する信号であれば、どのような信号であってもよい。例えば、駆動波形信号Comは、互いに異なる形状の2つの波形を含むものであってもよい。また、駆動波形信号Comは、インクの種類に応じて異なる波形としてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、波形指定信号SI[m]のビット数は2ビットであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、波形指定信号SI[m]のビット数は、吐出部Dから吐出されたインクにより形成されるドットのサイズの種類数に応じて、適宜定めればよい。
Claims (6)
- 第1の色及び第2の色を含む複数の色の液体を吐出可能であって、
吐出された当該液体により
第1サイズの第1ドット、第2サイズの第2ドット及び第3サイズの第3ドットを含む、複数サイズのドットを形成可能なヘッドユニットと、
前記ドットを硬化させる硬化ユニットと、
を備え、
硬化した前記ドットを用いて形成された所定の厚さの造形層を積層させることで立体物を造形する立体物造形装置であって、
前記第2サイズは、前記第3サイズよりも小さく、
前記第3サイズは、前記第1サイズよりも小さく、
前記造形層は、
所定体積の単位造形体の集合として形成され、
前記単位造形体は、
1つの前記第1ドット、または、複数の前記第2ドットから形成可能である、
ことを特徴とする立体物造形装置。 - 第1の色及び第2の色を含む複数の色の液体を吐出可能であって、
吐出された当該液体により
第1サイズの第1ドット、第2サイズの第2ドット及び第3サイズの第3ドットを含む、複数サイズのドットを形成可能なヘッドユニットと、
前記ドットを硬化させる硬化ユニットと、
を備え、
硬化した前記ドットを用いて形成された所定の厚さの造形層を積層させることで立体物を造形する立体物造形装置であって、
前記第2サイズは、前記第3サイズよりも小さく、
前記第3サイズは、前記第1サイズよりも小さく、
前記造形層は、
所定体積の単位造形体の集合として形成され、
前記単位造形体は、
1または複数の前記第2ドット及び1または複数の前記第3ドットを含む複数のドットから形成可能である、
ことを特徴とする立体物造形装置。 - 第1の色及び第2の色を含む複数の色の液体を吐出可能であって、
吐出された当該液体により
第1サイズの第1ドット、第2サイズの第2ドット及び第3サイズの第3ドットを含む、複数サイズのドットを形成可能なヘッドユニットと、
前記ドットを硬化させる硬化ユニットと、
前記ヘッドユニットからの液体の吐出を制御する制御部と、
を備え、
硬化した前記ドットを用いて形成された所定の厚さの造形層を積層させることで立体物を造形する立体物造形装置であって、
前記第2サイズは、前記第3サイズよりも小さく、
前記第3サイズは、前記第1サイズよりも小さく、
前記制御部は、
前記造形層を、
所定体積の単位造形体の集合として形成し、
前記単位造形体を、
1つの前記第1ドット、または、複数の前記第2ドットにより形成するように、
前記ヘッドユニットからの液体の吐出を制御可能である、
ことを特徴とする、立体物造形装置。 - 第1の色及び第2の色を含む複数の色の液体を吐出可能であって、
吐出された当該液体により
第1サイズの第1ドット、第2サイズの第2ドット及び第3サイズの第3ドットを含む、複数サイズのドットを形成可能なヘッドユニットと、
前記ドットを硬化させる硬化ユニットと、
前記ヘッドユニットからの液体の吐出を制御する制御部と、
を備え、
硬化した前記ドットを用いて形成された所定の厚さの造形層を積層させることで立体物を造形する立体物造形装置であって、
前記第2サイズは、前記第3サイズよりも小さく、
前記第3サイズは、前記第1サイズよりも小さく、
前記制御部は、
前記造形層を、
所定体積の単位造形体の集合として形成し、
前記単位造形体を、
1または複数の前記第2ドット及び1または複数の前記第3ドットを含む複数のドットにより形成するように、
前記ヘッドユニットからの液体の吐出を制御可能である、
ことを特徴とする、立体物造形装置。 - 第1の色及び第2の色を含む複数の色の液体を吐出可能であって、
吐出された当該液体により
第1サイズの第1ドット、第2サイズの第2ドット及び第3サイズの第3ドットを含む、複数サイズのドットを形成可能なヘッドユニットと、
前記ドットを硬化させる硬化ユニットと、
前記ヘッドユニットからの液体の吐出を制御する制御部と、
を備え、
硬化した前記ドットを用いて形成された所定の厚さの造形層を積層させることで立体物を造形する立体物造形装置であって、
前記第2サイズは、前記第3サイズよりも小さく、
前記第3サイズは、前記第1サイズよりも小さく、
前記制御部は、
前記造形層を、
所定体積の単位造形体の集合として形成し、
前記単位造形体を、
1つの前記第1ドットにより形成するように、
前記ヘッドユニットからの液体の吐出を制御可能である、
ことを特徴とする、に記載の立体物造形装置。 - 前記第1の色は、有彩色であり、
前記第2の色は、無彩色である、
ことを特徴とする、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の立体物造形装置。
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