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JP6461049B2 - サンルーフ用給電構造及びサンルーフユニット - Google Patents

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Description

本発明は、車体とサンルーフの一方から他方に給電を行うサンルーフ用給電構造及びサンルーフユニットに関する。
車両のサンルーフへの電源供給については、種々の構造が従来より提案されている。特許文献1では、図20〜図23に示すように、フラット電線Wと、車体側に固定された第1余長吸収ガイドケース100と、サンルーフ側に固定された第2余長吸収ガイドケース101とを備えている、フラット電線Wは、一端が車体側に接続され、他端がサンルーフ側に接続され、サンルーフの移動に追従できる長さを有する。フラット電線Wには、図23に示すように、曲げられると直線状に戻るように弾性部材102が配置されている。
サンルーフの閉位置では、図20に示すように、第1余長吸収ガイドケース100と第2余長吸収ガイドケース101が折り重なる位置となる。この状態では、第1余長吸収ガイドケース100と第2余長吸収ガイドケース101内に、フラット電線Wが折り畳まれるようにして配策される。これによって、フラット電線Wの余長が吸収される。
サンルーフの開位置では、図21に示すように、第1余長吸収ガイドケース100と第2余長吸収ガイドケース101が離間する位置となる。この状態では、フラット電線Wがその弾性部材102の直線状に戻る特性より直線状に配策される。
サンルーフのチルトアップ位置では、図22に示すように、第2余長吸収ガイドケース101が一端側を持ち上げた状態で、第1余長吸収ガイドケース100と第2余長吸収ガイドケース101が折り重なり合う位置となる。この状態では、図22に示すように、第1余長吸収ガイドケース100と第2余長吸収ガイドケース101内に、フラット電線Wが緩い状態で折り畳まれるようにして配策される。これによって、フラット電線Wの余長が吸収される。
特開2011−151906号公報
しかしながら、前記従来例のサンルーフ用給電構造では、車体側に第1余長吸収ガイドケース100を取り付け、サンルーフ側に第2余長吸収ガイドケース101を取り付ける必要があるため、取り付け作業が面倒であるという問題があった。また、車体側にサンルーフ用給電構造の余長吸収部品を設けるため、車体側に余長吸収部品の設置スペースを確保する必要がある。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、取り付けが簡単であり、且つ、車体側に余長吸収部品の設置スペースを確保する必要がないサンルーフ用給電構造及びサンルーフユニットを提供することを目的とする。
本発明は、車体側に固定されたレール部材と、前記レール部材に沿って車両前後方向に移動するスライダと、前記スライダに支持されて前記車体の天井パネルの内側を移動軌跡として移動して、前記天井パネルの開口部を開閉するサンルーフとを備え、前記車体と前記サンルーフの一方から他方への給電を行うサンルーフ用給電構造において、一端が前記車体側に接続され、他端が前記サンルーフ側に接続された電線と、前記電線の余長部分を巻き取る余長吸収機構とを備え、前記余長吸収機構は、前記サンルーフよりも車両前後方向の後方位置で前記サンルーフと共に移動自在に設けられたサンルーフ用給電構造及びサンルーフユニットである。
本発明によれば、サンルーフ側に余長吸収機構を取り付ければ、車体側には余長吸収部品の取り付けの必要がないため、取り付けが簡単である。また、余長吸収機構は、サンルーフ側に設ければ良いため、車体側に余長吸収部品の設置スペースを設ける必要がない。更に、余長吸収機構は、サンルーフよりも車両前後方向の後方位置でサンルーフと共に移動自在に設けられるため、天井パネルの開口部より露出することがなく、雨、塵埃等の異物が内部に入り込むことによる不具合を極力防止できる。
本発明の第1実施形態を示し、サンルーフ装置の平面図(サンルーフが開位置と閉位置の間の位置)である。 本発明の第1実施形態を示し、サンルーフ装置の一部斜視図である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)はサンルーフが閉位置に位置する状態を示す概略側面図、(b)はサンルーフがチルトアップ位置に位置する状態を示す概略側面図、(c)はサンルーフが開位置に位置する状態を示す概略側面図である。 本発明の第1実施形態を示し、リアスライダとレール部材の断面図(図1のA−A線断面図に相当)である。 本発明の第1実施形態を示し、リアスライダとレール部材を上方から見た図である。 本発明の第1実施形態を示し、フロントスライダとレール部材を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態を示し、フロントスライダとレール部材の断面図(図1のB−B線断面図に相当)である。 本発明の第1実施形態を示し、余長吸収機構の斜視図である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)は一方の分割ケース体を外した余長吸収機構の側面図、(b)は余長吸収機構の縦断面図である。 本発明の第2実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の斜視図である。 本発明の第2実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の後面図である。 本発明の第2実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の側面図である 本発明の第3実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の斜視図である。 本発明の第3実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の平面図である。 本発明の第3実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の側面図である。 本発明の第4実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の斜視図である。 本発明の第4実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の平面図である。 本発明の第4実施形態を示し、余長吸収機構の取り付け状態の側面図である。 本発明の第4実施形態を示し、(a)はサンルーフが閉位置における、余長吸収機構の平面図、(b)はサンルーフが開位置における、余長吸収機構の平面図である。 従来例を示し、サンルーフが開位置における、サンルーフ用給電構造の斜視図である。 従来例を示し、サンルーフが閉位置における、サンルーフ用給電構造の斜視図である。 従来例を示し、サンルーフがチルトアップ位置における、サンルーフ用給電構造の斜視図である。 従来例のフラット電線の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図9には、本発明にかかるサンルーフ用給電構造の第1実施形態が示されている。以下、説明する。
図3に示すように、車体1の天井パネル2には、開口部3が設けられている。この開口部3がサンルーフユニット10によって開閉される。
サンルーフユニット10は、図1、図3等に示すように、開口部3の車幅方向の両側部に配置された一対のレール部材11と、開口部3の車両前部側に配置され、一対のレール部材11の前端にそれぞれ連結された前方フレーム15と、一対のレール部材11に沿って移動する一対のフロントスライダ21、一対のリアスライダ23及び一対のミドルスライダ25と、一対のミドルスライダ25に支持された可動体であるサンルーフ30と、サンルーフ30に移動力を作用させる一対の駆動ベルト40と、駆動ベルト40の移動源であるアクチュエータ49と、ディフレクタ50と、フラット電線Wと、フラット電線Wの余長部分を巻き取る余長吸収機構70とを備えている。
図1、図2、図4等に示すように、各レール部材11は、例えばアルミニューム合金より形成されている。各レール部材11には、その幅方向にスライドガイド路12とベルトガイド路13と排水路14が配置されている。スライドガイド路12とベルトガイド路13と排水路14は、レール部材11の長手方向に沿って延設されている。
車幅方向の左右に位置するベルトガイド路13は、スライドガイド路12の車幅方向の外側に位置する。車幅方向の左右に位置する排水路14は、ベルトガイド路13の車幅方向の外側に位置する。車幅方向の左右に位置する排水路14は、サンルーフ30の左右両側と天井パネル2との各隙間の真下に位置し、上記隙間から落下する水等を受ける。排水路14は、上面側が開放された凹溝形状である。各レール部材11の排水路14の車両後端位置には、排水キャップ18が取り付けられている(図1に示す)。排水キャップ18には、排水ホース(図示せず)が接続される。
前方フレーム15は、例えば合成樹脂材より形成されている。前方フレーム15には、2本のベルト配策路16と左右一対の排水路17とが設けられている。各ベルト配策路16は、各レール部材11のベルトガイド路13に連続している。各排水路17は、各レール部材11の排水路14に連続している。前方フレーム15の各排水路17の車両前端位置には、排水キャップ(図示せず)が接続される。排水キャップには、排水ホース(図示せず)が接続される。
図1、図2、図3等に示すように、一対のフロントスライダ21及び一対のリアスライダ23は、車両前後方向FRの同じ位置で左右のレール部材11のスライドガイド路12にスライド自在に配置されている。一対のミドルスライダ25は、その車両前端側に回転支持孔(特に、符号を付さず)を有すると共に長手方向に細長いカム孔25bを有している。各ミドルスライダ25の車両前端側の回転支持孔には、フロントスライダ21の回転ピン21aが挿入されている。各ミドルスライダ25の各細長いカム孔25bには、リアスライダ23のカムピン23aが挿入されている。一対のミドルスライダ25は、一対のフロントスライダ21に対して車両前後方向FRの移動では一体に移動し、一対のリアスライダ23に対してはカムピン23aのカム孔25b内での位置に応じて車両前後方向FR及び車両上下方向TBに移動する。このようなスライダ機構によって、サンルーフ30は、図3(a)に示すように開口部3を塞ぐ閉位置と、図3(b)に示すように開口部3の前方を閉じ、開口部3の後方を開くチルトアップ位置と、図3(c)に示すように開口部3を開放する開位置に変移できる。
図1に示すように、サンルーフ30は、一対のミドルスライダ25に取り付けられている。サンルーフ30は、透明なガラス体と調光パネルが少なくとも積層された積層パネル体(特に、符号を付さず)を有する。調光パネルは、電圧が印加されない状態では不透明状態であり、電圧の印加時にはその印加電圧レベルに応じて透明度を可変させる。調光パネルには、車体1側から給電される。この給電構造については、下記で説明する。
各駆動ベルト40は、合成樹脂製である。各駆動ベルト40は、長尺状で、断面形状が縦長の長方形である。各駆動ベルト40の一面には、長手方向に連続して歯部40aが設けられている。各駆動ベルト40は、前方フレーム15のベルト配策路16及び一対のレール部材11のベルトガイド路13に配置されている。各駆動ベルト40は、前方フレーム15のベルト配策路16の領域では、ベルトカバー46で、且つ、レール部材11のベルトガイド路13の領域では、ベルト包囲壁(特に、符号を付さず)で容易に座屈(撓み変形)しないように覆われている。これにより、一対の駆動ベルト40は、サンルーフ30を車両前方から後方に押し出すときでも、所定の軌跡でのみ移動するようになっている。
一対の駆動ベルト40は、その一端側が一対のリアスライダ23に固定され(一方の駆動ベルト40は、一方のリアスライダ23に、他方の駆動ベルト40は、他方のリアスライダ23に固定され)、その他端側が何の部材にも固定されていない。つまり、自由端とされている。
アクチュエータ49(図1に示す)は、前方フレーム15の車両幅方向のほぼ中央位置に固定されている。アクチュエータ49の一対の出力ギア部(図示せず)が一対の駆動ベルト40の歯部40aにそれぞれ噛み合っている。一対の出力ギア部は、互いに逆方向で回転する。これにより、一対の駆動ベルト40は、互いに逆方向に移動し、一対のリアスライダ23は、車両前後方向FRの同位置を同期して移動する。
ディフレクタ50は、ディフレクタ本体51とこのディフレクタ本体51の左右両端に回転自在に支持された一対の揺動アーム52とを備えている。ディフレクタ本体51は、天井パネル2の開口部3の前方端で、開口部3の車体幅方向の全域に亘って配置されている。ディフレクタ本体51は、前端側が円弧状に形成されている。これにより、開口部3の開口時にあって、外部からの強い風が開口部3より車室内に直接入り込まないようになっている。
一対の揺動アーム52は、一対のレール部材11に回転自在に支持されている。ディフレクタ本体51は、一対の揺動アーム52の移動によって、天井パネル2の開口部3より下方に位置する待機位置(図3(a)、(b)の位置)と開口部3より天井パネル2上に突出する風避け位置(図3(c)の位置)の間で変移自在であり、ねじりバネ53のバネ力によって風避け位置側に付勢されている。ディフレクタ本体51は、フロントスライダ21のスライド軌跡上に位置し、フロントスライダ21が図3(a)の閉位置及び図3(b)のチルトアップ位置では、一対の揺動アーム52がフロントスライダ21からの押圧力を受けてねじりバネ53のバネ力に抗して待機位置に位置する。ディフレクタ本体51は、フロントスライダ21が図3(c)の開位置では、一対の揺動アーム52がフロントスライダ21からの押圧力を受けずにねじりバネ53のバネ力によって風避け位置に位置する。
次に、駆動ベルト40とリアスライダ23の固定構造について説明する。図4、図5に詳しく示すように、リアスライダ23は、樹脂ブロック26とこれに嵌合された絶縁製の金属ブラケット27とにより構成されている。樹脂ブロック26の箇所がスライドガイド路12に配置されている。樹脂ブロック26には嵌合突部26aが1箇所、金属ブラケット27には嵌合突部27aが2箇所設けられている。金属ブラケット27の2つの嵌合突部27aは、樹脂ブロック26の嵌合突部26aの車両前後方向FRの両側位置に配置されている。駆動ベルト40の一端側には、各嵌合突部26a,27aに対応する位置に嵌合孔44が開口されている。樹脂ブロック26と金属ブラケット27の嵌合突部26a,27aが駆動ベルト40の各嵌合孔44に嵌合されることによって、駆動ベルト40とリアスライダ23が連結されている。
次に、車体1側からサンルーフ30への給電構造について説明する。図1、図8等に示すように、サンルーフ用給電構造は、レール部材11に沿って配策されたフラット電線Wと、フラット電線Wの配策経路の途中に配置され、フラット電線Wの余長部分を吸収する余長吸収機構70とを備えている。
フラット電線Wは、その一端側のコネクタC1が車体1側のコネクタ(図示せず)に、他端側のコネクタC2がサンルーフ側のコネクタ(図示せず)にそれぞれ接続されている。フラット電線Wは、フレキシブルなフラットケーブルである。フラット電線Wは、絶縁層の外周が更に保護層(図示せず)で被覆されている。
余長吸収機構70は、図3に示すように、サンルーフ30側に固定されている。具体的には、ミドルスライダ25の後端にリンク部材69を介して連結されている。リンク部材69は、ミドルスライダ25と余長吸収機構70の双方に回転自在に支持されている。これにより、ミドルスライダ25の後端の上下移動によって搖動する。余長吸収機構70は、サンルーフ30よりも車両前後方向FRの後方位置に配置され、サンルーフ30と共に移動自在に設けられている。余長吸収機構70は、ミドルスライダ25に支持されて車体1の天井パネル2の内側を移動軌跡として移動する。
余長吸収機構70は、図8、図9に詳しく示すように、ケース71と、ケース71内に収容された回転体80と、ケース71内に配置された付勢手段である渦巻きバネ89とを有する。
ケース71は、レール部材11にスライド自在に支持されている。ケース71は、両側面が閉塞された大略円筒形であり、互いに組み付けされた2つの分割ケース体72,73より構成されている。分割ケース体72には、回転体80を回転自在に支持する回転支持軸72bが設けられている。分割ケース体73には、回転支持軸72bの先端を支持する回転支持孔73bが設けられている。ケース71は、回転支持軸72bの軸方向に、図9(a)、(b)に示すように、電線収容部(余長電線収容部74及びねじれ阻止用電線収容部75)とバネ収容部76に区分けされている。余長電線収容部74とねじれ阻止用電線収容部75は、回転支持軸72bの軸方向の同じ位置で、余長電線収容部74が内周側に、ねじれ阻止用電線収容部75が外周側にそれぞれ配置されている。
余長電線収容部74には、サンルーフ30に接続されたフラット電線W側が引き出される第1電線口74aが設けられている。ねじれ阻止用電線収容部75には、サンルーフ30に接続されるフラット電線W側が引き出される第2電線口75aが設けられている。
第1電線口74aは、分割ケース体72の外周壁に設けられている。第2電線口75aは、分割ケース体73の回転支持軸72bのスリット72cと回転支持孔73bより形成されている。
回転体80は、一体部材により形成されている。回転体80は、分割ケース体72の内周径より若干だけ小さい円周状の回転ガイド円周壁85と、この回転ガイド円周壁85に対して回転支持軸72bの軸方向にシフトした位置に設けられた電線巻き取り円周壁86と、回転ガイド円周壁85と電線巻き取り円周壁86を連結する側壁87と、側壁87の中心に開口され、回転支持軸72bが貫通する回転ガイド孔88とを有する。回転ガイド円周壁85が分割ケース体72の内周壁に、回転ガイド孔88が分割ケース体72の回転支持軸72bにそれぞれガイドされることによって、回転体80がケース71(分割ケース体72,73)に回転自在に支持されている。
回転体80の電線巻き取り円周壁86には、内周側のねじれ阻止用電線収容部75と外周側の余長電線収容部74の間を連通するスリット86aが形成されている。
車体1側に接続されるフラット電線Wは、余長電線収容部74側よりスリット86aに挿入されている。車体1側のフラット電線Wは、電線巻き取り円周壁86に巻き付け可能とされた状態で第1電線口74aよりケース外部に引き出されている。
スリット86aに挿入され、固定されたフラット電線Wは、スリット86aよりねじれ阻止用電線収容部75側に引き出されている。引き出されたフラット電線Wは、ねじれ阻止用電線収容部75内で余長電線収容部74の巻き取り方向(車体1側のフラット電線Wの巻き付け方向)とは逆向きに巻き付けされ、その先端側が第2電線口75aよりケース外部に引き出されている。第2電線口75aは、回転支持軸72bのスリット72cと回転支持孔73bより形成されている。
ねじれ阻止用電線収容部75内の渦巻き状の電線長さは、フラット電線Wの少なくとも余長吸収寸法を渦巻き形態の変更(巻きが緩めの渦巻きと巻きがきつめの渦巻き)で吸収できる長さに設定されている。
渦巻きバネ89は、バネ収容部76内に配置されている。渦巻きバネ89は、その外周端89a(図8に示す)が回転体80に掛止され、その内周端89b(図8に示す)が回転支持軸72bに掛止されている。渦巻きバネ89は、車体1側のフラット電線Wを巻き取る方向に回転体80、ひいては電線巻き取り円周壁86を付勢している。
また、分割ケース体72は、一方のレール部材11にスライド自在に支持されている。
上記構成において、アクチュエータ49が駆動すると、一対の駆動ベルト40がその一端側では車両前後方向FRの同じ位置となるよう移動し、図3に示すような3パターンの位置にサンルーフ30を変移させることができる。
サンルーフ30のスライド方向の移動過程にあって、フラット電線Wの余長部分を増やすサンルーフ30の移動時(例えば、図3(a)のサンルーフ30の閉位置から図3(c)の開位置への移動時)には、渦巻きバネ89のバネ力によって回転体80が回転し、フラット電線Wの余長部分が巻き取り部82に巻き取られる。サンルーフ30のスライド方向の移動過程にあって、フラット電線Wの余長部分を減らすサンルーフ30の移動時(例えば、図3(c)のサンルーフ30の開位置から図3(a)の閉位置への移動時)には、渦巻きバネ89のバネ力に抗して回転体80が回転し、フラット電線Wの余長部分が巻き取り部82より引き出される。これにより、フラット電線Wの余長以外の部分を直線状の配策状態を維持しつつ、フラット電線Wの余長を確実に吸収できる。
このようなサンルーフ30のスライド移動過程における余長吸収機構70内では、車体1側のフラット電線Wが巻き取られる方向の回転体80の回転では、ねじれ阻止用電線収容部75のフラット電線Wがその巻き付け数を少なくする方向に巻き形態を変移する。車体1側のフラット電線Wが引き出される方向の回転体80の回転では、ねじれ阻止用電線収容部75のフラット電線Wがその巻き付け数を多くする方向に巻き形態を変移する。このようにねじれ阻止用電線収容部75のフラット電線Wがその巻き形態を変更するだけであり、ねじれ阻止用電線収容部75から引き出されるフラット電線Wの箇所にはねじれ(回転)が発生しない。
このようにして、3パターンのサンルーフ30の変移にあって、車体1側の電源からは、フラット電線Wを介してサンルーフ30に常に給電される。
以上説明したように、サンルーフ30側に余長吸収機構70を取り付ければ、車体側には余長吸収部品の取り付けの必要がないため、取り付けが簡単である。また、余長吸収機構70は、サンルーフ30側に設ければ良いため、車体1側に余長吸収部品の設置スペースを設ける必要がない。更に、余長吸収機構70は、サンルーフ30よりも車両前後方向の後方位置でサンルーフ30と共に移動自在に設けられるため、天井パネル2の開口部3より露出することがなく、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構70の内部に入り込むことによる不具合を極力防止できる。
余長吸収機構70は、フラット電線Wの途中の巻き付け方向の切換箇所より可動体(サンルーフ30)側のフラット電線Wを巻き取る巻き取り部82を有する回転体80と、回転体80を可動体(サンルーフ30)側のフラット電線Wの巻き付け方向に付勢する渦巻きバネ89と、前記切換箇所より固定部(車体1)側のフラット電線Wを、巻き取り部82のフラット電線Wの巻き付け方向とは逆方向の巻き付け方向で巻き付けされた箇所を収容するねじれ阻止用電線収容部75とを有する。このような構成であるため、そして、例えば、固定部(車体1)側に余長吸収機構70を取り付ければ、可動体(サンルーフ30)側には部品取り付けの必要がないため、取り付けが簡単である。余長吸収機構70には、フラット電線Wを巻き取る回転体80と、回転体80を付勢する付勢手段である渦巻きバネ89と、回転体80の巻き付け方向とは逆向きでフラット電線Wを巻き付けるねじれ阻止用電線収容部75を設け、これらはいずれも回転中心を中心に配置する構成であるため、コンパクトに構成できる。
余長吸収機構70には、回転体80と、回転体80を付勢する渦巻きバネ89を配置するだけであるため、構造が簡単である。以上より、取り付けが簡単で、しかも、構造も極力単純化できる可動体用給電構造を提供できる。
回転体80は、回転軸81と巻き取り部82を有し、回転軸81及び巻き取り部82に形成されたスリット83にフラット電線Wの巻き付け方向の前記切換箇所が挿入され、スリット83より引き出される車体1側のフラット電線Wとスリット83より引き出されるサンルーフ30側のフラット電線Wが互いに異なる巻き付け方向である。従って、サンルーフ30のスライド移動にあって、ねじれ阻止用電線収容部75のフラット電線Wがその巻き形態を変更するだけであり、ねじれ阻止用電線収容部75から引き出されるフラット電線Wの箇所にはねじれ(回転)が発生しない。ねじれによるフラット電線Wの破損、導通不良等を防止でき、フラット電線Wの耐久性、接続信頼性を維持できる。フラット電線Wの巻き付け方向の切換箇所をスリット83に挿入して、フラット電線Wの巻き付け方向を切り換えるため、簡単な構成でフラット電線Wの巻き付け方向を切り換えできる。
車体1側のフラット電線Wが巻き取り部82に巻き付けされて収容される余長電線収容部74と、サンルーフ30側のフラット電線Wが巻き付け状態で収容されるねじれ阻止用電線収容部75とは、回転軸81の軸方向のシフトした位置で、互いに隣り位置に設定されている。従って、余長吸収機構70のコンパクト化を図ることができる。
特に、この第1実施形態では、余長のフラット電線Wを収容する余長電線収容部74とフラット電線Wのねじれを阻止するためのフラット電線Wを収容するねじれ阻止用電線収容部75が、回転体80の軸方向の同じ位置で、且つ、内周側と外周側の互いに隣り位置に配置されているため、余長吸収機構70の幅方向の寸法(回転体80の軸方向の寸法)が短い。
(第2実施形態)
図10〜図12には、本発明の第2実施形態が示されている。この第2実施形態のサンルーフユニット10Aは、前記第1実施形態と比較して、水受け部材60が付加されている。
水受け部材60は、開口部3の後端側で、開口部3の車体幅方向の全域に亘って配置されている。水受け部材60は、一対のレール部材11にスライド自在に支持されたスライド部(図示せず)と、このスライド部に支持され、水受け溝(図示せず)を有する水受け本体62と、水受け本体62の車幅方向の両端に固定された一対のアーム部63とを有する。水受け本体62の水受け溝(図示せず)には、一対のレール部材11の排水路14の真上位置に排水口(図示せず)がそれぞれ形成されている。一対のアーム部63の先端は、ミドルスライダ25に回転自在に支持されている。水受け部材60は、ミドルスライダ25の車両前後方向FRの移動及びミドルスライダ25の後端の上下動に追従して移動する。
水受け部材60の水受け本体62は、サンルーフ30が閉位置(図3(a)の位置)では、開口部3の後端位置に位置し、サンルーフ30と天井パネル2との隙間から落下する水等を受ける。水受け本体62は、サンルーフ30がチルトアップ位置(図3(b)の位置)では、開口部3の後端位置に位置し、開口部3より落下する水等を受ける。水受け本体62は、サンルーフ30が開位置の位置(図3(c)の位置)では、天井パネル2の内側の退避位置に位置する。水受け本体62で受けた水等は、排水口(図示せず)よりレール部材11の排水路14に落下し、レール部材11の排水路14をその前端又は後端へと流れ、排水キャップ18、(図示せず)を介して排水ホース(図示せず)によって外部に排水される。
余長吸収機構70は、図10、図12に示すように、前記第1実施形態と同様に、サンルーフ30側に固定されているが、前記第1実施形態と異なり、水受け部材60の水受け本体62にリンク部材69を介して連結されている。リンク部材69は、水受け本体62と余長吸収機構70の双方に回転自在に支持されている。これにより、水受け本体62の揺動によっても連結状態が保持される。余長吸収機構70は、水受け本体62よりも車両前後方向FRの後方位置に配置されるため、前記第1実施形態の位置より更に車両前後方向FRの後方に位置する。余長吸収機構70は、水受け本体62に支持されて車体1の天井パネル2の内側を移動軌跡として移動する。
余長吸収機構70の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
この第2実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、サンルーフ30側に余長吸収機構70を取り付ければ、車体側には余長吸収部品の取り付けの必要がないため、取り付けが簡単である。また、余長吸収機構70は、サンルーフ30側に設ければ良いため、車体1側に余長吸収部品の設置スペースを設ける必要がない。更に、余長吸収機構70は、サンルーフ30よりも車両前後方向の後方位置でサンルーフ30と共に移動自在に設けられるため、天井パネル2の開口部3より露出することがなく、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構70の内部に入り込むことによる不具合を極力防止できる。
特に、この第2実施形態では、天井パネル2の開口部3より離れた位置に余長吸収機構70が位置し、且つ、水受け部材60の後に隠れるように配置されるため、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構70の内部に入り込むことによる不具合を有効に防止できる。
(第3実施形態)
図13〜図15には、本発明の第3実施形態が示されている。この第3実施形態のサンルーフユニット10Bは、前記第2実施形態と同様に水受け部材60を有する。この水受け部材60の水受け本体62の後壁に余長吸収機構70が一体に固定されている。
余長吸収機構70は、一方のレール部材11の上方位置ではなく、一対のレール部材11の間の位置で固定されている。つまり、余長吸収機構70は、サンルーフ30と共に移動するが、レール部材11上をスライド移動しない。従って、レール部材11より移動抵抗を受けない。余長吸収機構70は、水受け本体62に支持されて車体1の天井パネル2の内側を移動軌跡として移動する。
余長吸収機構70の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
この第3実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、サンルーフ30側に余長吸収機構70を取り付ければ、車体側には余長吸収部品の取り付けの必要がないため、取り付けが簡単である。また、余長吸収機構70は、サンルーフ30側に設ければ良いため、車体1側に余長吸収部品の設置スペースを設ける必要がない。更に、余長吸収機構70は、サンルーフ30よりも車両前後方向の後方位置でサンルーフ30と共に移動自在に設けられるため、天井パネル2の開口部3より露出することがなく、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構70の内部に入り込むことによる不具合を極力防止できる。
特に、この第3実施形態では、前記第2実施形態と同様に、天井パネル2の開口部3より離れた位置に余長吸収機構70が位置し、且つ、水受け部材60の後壁に隠れるように配置されるため、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構70の内部に入り込むことによる不具合を有効に防止できる。
(第4実施形態)
図16〜図19には、本発明の第4実施形態が示されている。この第4実施形態のサンルーフユニット10Cは、前記第3実施形態と同様に、水受け部材60を有する。そして、前記第3実施形態と同様に、この水受け部材60の水受け本体62の後壁に余長吸収機構90が一体に固定されている。つまり、余長吸収機構90は、サンルーフ30と共に移動するが、レール部材11上をスライド移動しない。余長吸収機構90は、水受け本体62に支持されて車体1の天井パネル2の内側を移動軌跡として移動する。
余長吸収機構90は、前記1〜3実施形態と異なる構成である。以下、説明する。
余長吸収機構90は、余長配策部91と、余長配策部91内に配置された可動ガイド部材92と、可動ガイド部材92に付勢力を作用させる付勢手段であるコイルバネ93とを有する。
余長配策部91は、レール部材11の長手方向(車両前後方向FR)とは異なる方向、具体的には直交する方向がフラット電線Wの余長部分の配策方向として配置されている。余長配策部91は、フラット電線Wの余長部分を配策可能な収容長さを有する。
可動ガイド部材92は、余長配策部91内で、フラット電線Wの余長部分の配策方向に移動自在に配置されている。可動ガイド部材92は、その先端側の面が半円弧面として形成されている。可動ガイド部材92の半円弧面には、レール部材11の経路より余長配策部91内に引き込まれたフラット電線Wが掛け渡されている。このようにフラット電線Wの余長部分が可動ガイド部材92によって掛け渡されることによって、可動ガイド部材92は、フラット電線Wの余長部分を一定の経路に沿って配策するようガイドする。
コイルバネ93は、余長配策部91にフラット電線Wの余長部分を引き込む方向に可動ガイド部材92を付勢する。
上記構成において、アクチュエータ49が駆動すると、一対の駆動ベルト40がその一端側では車両前後方向FRの同じ位置となるよう移動し、3パターン(図3参考)の位置にサンルーフ30を変移させることができる。
サンルーフ30のスライド方向の移動過程にあって、フラット電線Wの余長部分を増やすサンルーフ30の移動時(例えば、図19(a)のサンルーフ30の閉位置から図19(b)の開位置への移動時)には、コイルバネ93のバネ力によってフラット電線Wの余長部分を余長配策部91内に引き込む。サンルーフ30のスライド方向の移動過程にあって、フラット電線Wの余長部分を減らすサンルーフ30の移動時(例えば、図19(b)のサンルーフ30の開位置から図19(a)の閉位置への移動時)には、コイルバネ93のバネ力に抗してフラット電線Wの余長部分を余長配策部91より送り出す。これにより、フラット電線Wの余長以外の部分を直線状の配策状態を維持しつつ、フラット電線Wの余長を確実に吸収できる。
このようにして、3パターンのサンルーフ30の変移にあって、車体1側の電源からは、フラット電線Wを介してサンルーフ30に常に給電される。
この第4実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、サンルーフ30側に余長吸収機構90を取り付ければ、車体側には余長吸収部品の取り付けの必要がないため、取り付けが簡単である。また、余長吸収機構90は、サンルーフ30側に設ければ良いため、車体1側に余長吸収部品の設置スペースを設ける必要がない。更に、余長吸収機構90は、サンルーフ30よりも車両前後方向の後方位置でサンルーフ30と共に移動自在に設けられるため、天井パネル2の開口部3より露出することがなく、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構70の内部に入り込むことによる不具合を極力防止できる。
特に、この第4実施形態では、前記第2、3実施形態と同様に、天井パネル2の開口部3より離れた位置に余長吸収機構90が位置し、且つ、水受け部材60の後壁に隠れるように配置されるため、雨、塵埃等の異物が余長吸収機構90の内部に入り込むことによる不具合を有効に防止できる。
余長配策部91は、レール部材11の長手方向とは異なる方向がフラット電線Wの余長部分の配策方向として配置され、可動ガイド部材92は、フラット電線Wの余長部分の配策方向に移動するよう構成されている。従って、フラット電線Wの余長吸収方向がレール部材11の長手方向以外であればどの方向でも設置できるため、余長吸収機構90の設置自由度が高い。
(本発明の適用例など)
前記実施形態では、サンルーフ30が調光パネルを有し、調光パネルに給電する場合を説明したが、サンルーフ30への挟み込みを防止するため、サンルーフ30にタッチセンサを設け、このタッチセンサに給電する場合にも本発明は適用できる。タッチセンサが物等を検出した場合には、サンルーフ30の駆動モータを反転させる制御を行う。サンルーフ30側の給電対象としては、サンルーフ30に搭載された照明(LED照明)も考えられる。
前記各実施形態では、電線は、フラット電線Wであるため、巻き取りや渦巻き形態の形成が容易である。しかし、電線は、その形態を問わず、断面が丸側のケーブルであっても良い。
前記第1〜4実施形態の余長吸収機構70,90は、横置きとされて回転軸方向が垂直方向で、フラット電線Wのフラット面が垂直向き(縦向き)に引き出されているが、縦置きとされて回転軸方向が水平方向で、フラット電線Wのフラット面が水平向き(横向き)に引き出されるるようにしても良く、それ以外の向きであっても良い。
本発明は、可動ガラスに替わりソーラーパネルを採用した場合、ソーラーパネル(可動体)から車体1側への給電にも利用できる。
W フラット電線(電線)
1 車体
2 天井パネル
3 開口部
10,10A〜10C サンルーフユニット
11 レール部材
21 フロントスライダ
23 リアスライダ
25 ミドルスライダ
30 サンルーフ
60 水受け部材
70,90 余長吸収機構

Claims (6)

  1. 車体側に固定されたレール部材と、
    前記レール部材に沿って車両前後方向に移動するスライダと、
    前記スライダに支持されて前記車体の天井パネルの内側を移動軌跡として移動して、前記天井パネルの開口部を開閉するサンルーフとを備え、前記車体と前記サンルーフの一方から他方への給電を行うサンルーフ用給電構造において、
    一端が前記車体側に接続され、他端が前記サンルーフ側に接続された電線と、
    前記電線の余長部分を巻き取る余長吸収機構とを備え、
    前記余長吸収機構は、前記サンルーフよりも車両前後方向の後方位置で前記サンルーフと共に移動自在に設けられたことを特徴とするサンルーフ用給電構造。
  2. 請求項1に記載のサンルーフ用給電構造であって、
    前記余長吸収機構は、前記レール部材にスライド自在に配置されたことを特徴とするサンルーフ用給電構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のサンルーフ用給電構造であって、
    前記余長吸収機構は、前記サンルーフ側に揺動自在なリンク部材を介して連結されたことを特徴とするサンルーフ用給電構造。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサンルーフ用給電構造であって、
    前記サンルーフの車両前後方向の後端には、水受け部材が連結されており、
    前記余長吸収機構は、前記水受け部材より車両前後方向の後方位置に配置されたことを特徴とするサンルーフ用給電構造。
  5. 請求項4記載のサンルーフ用給電構造であって、
    前記余長吸収機構は、前記水受け部材に一体に固定されたことを特徴とするサンルーフ用給電構造。
  6. 車体側に取り付けられるレール部材と、前記レール部材に沿って車両前後方向に移動するスライダと、前記スライダに支持されて前記車体の天井パネルの内側を移動軌跡として移動し、前記車体の天井パネルの開口部を開閉するサンルーフと、一端が前記車体側に接続され、他端が前記サンルーフ側に接続される電線と、前記サンルーフよりも車両前後方向の後方位置で前記サンルーフ側に固定され、前記電線の余長部分を巻き取る余長吸収機構とを備えたことを特徴とするサンルーフユニット。
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