以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「有機EL装置の概要」
実施形態1に係る有機EL装置100は、発光装置の一例であり、表示光の色純度を高めることができる光共振構造を有している。
まず、本実施形態に係る有機EL装置100の概要について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は有機EL装置の構成を示す概略平面図であり、図2は有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である、図3は発光画素の特徴部分を示す概略平面図である。
なお、図3では、発光画素の特徴部分を説明するために必要な構成要素が図示され、他の構成要素の図示は省略されている。また図3における二点鎖線は、発光画素20の輪郭を示している。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置100は、基板としての素子基板10、素子基板10の表示領域Eにマトリックス状に配置された複数の発光画素20B,20G,20R、複数の発光画素20B,20G,20Rを駆動制御する周辺回路であるデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路102、外部回路との電気的な接続を図るための外部接続用端子103などを備えている。
素子基板10の第1辺に沿って、複数の外部接続用端子103が配列されている。複数の外部接続用端子103と表示領域Eとの間には、データ線駆動回路101が設けられている。該第1辺と直交し互いに対向する他の第2辺、第3辺と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路104が設けられている。
以降、該第1辺に沿った方向をX方向、及び該第1辺と直交し互いに対向する他の2辺(第2辺、第3辺)に沿った方向をY方向として説明する。
なお、X方向は、本発明における「第1の方向」の一例であり、Y方向は、本発明における「第2の方向」の一例である。
有機EL装置100は、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bと、緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gと、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rとを有している。有機EL装置100では、X方向に配置された発光画素20Bと発光画素20Gと発光画素20Rとが表示単位Pとなって、フルカラーの表示が提供される。
さらに、発光画素20Bは画素電極31Bを有し、発光画素20Gは画素電極31Gを有し、発光画素20Rは画素電極31Rを有している。発光画素20B(画素電極31B)、発光画素20G(画素電極31G)、及び発光画素20R(画素電極31G)のそれぞれは、Y方向に並んで配置されている。
なお、画素電極31Bは本発明における「第1の画素電極」の一例であり、画素電極31Gは本発明における「第2の画素電極」の一例であり、画素電極31Rは本発明における「第3の画素電極」の一例である。
以降の説明では、発光画素20B,20G,20Rや画素電極31B,31G,31Rと称す場合と、これらをまとめて発光画素20や画素電極31と称す場合とがある。
Y方向には、同じ色の発光が得られる発光画素20が配置されている。つまり、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bは、Y方向に配置され、矩形状(ストライプ形状)をなしている。緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gは、Y方向に配置され、矩形状(ストライプ形状)をなしている。赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rは、Y方向に配置され、矩形状(ストライプ形状)をなしている。
X方向には、異なる色の発光が得られる発光画素20が、B,G,Rの順に繰り返して配置されている。なお、X方向における発光画素20の配置は、B,G,Rの順でなくてもよく、例えばR,G,Bの順であってもよい。
透光性の第1の絶縁層28が、外部接続用端子103の形成領域を除く素子基板10の略全面に設けられている。
透光性の第1の絶縁層28は、発光画素20B(画素電極31B)が配置される第1の領域28Bと、発光画素20G(画素電極31G)が配置される第2の領域28Gと、発光画素20R(画素電極31R)が配置される第3の領域28Rとを有し、それぞれの領域で第1の絶縁層28の層厚(膜厚)が異なる。詳細は後述するが、第2の領域28Gにおける第1の絶縁層28の膜厚は、第1の領域28Bにおける第1の絶縁層28の膜厚よりも大きくなっている。第3の領域28Rにおける第1の絶縁層28の膜厚は、第2の領域28Gにおける第1の絶縁層28の膜厚よりも大きくなっている。つまり、第1の絶縁層28の膜厚は、第1の領域28B、第2の領域28G、第3の領域28Rの順に大きくなっている。
第2の領域28Gは、本発明における「第1の平坦部」の一例である。第3の領域28Rは、本発明における「第2の平坦部」の一例である。
第1の領域28B、第2の領域28G及び第3の領域28Rは、Y方向に延在した矩形状(ストライプ形状)をなしている。
表示領域Eにおいて、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28RのX方向寸法は、発光画素20のX方向寸法と略同じ、つまり発光画素20のX方向の繰り返しピッチと略同じである。
Y方向において、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rは、表示領域Eよりも広くなっている。つまり、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域のY方向寸法は、表示領域EのY方向寸法よりも大きくなっている。なお、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28RのY方向寸法は、表示領域EのY方向寸法、つまり発光画素20が配置された領域の寸法と同じであってもよい。
第1の絶縁層28は、表示領域Eの周辺(第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28R以外の領域)にも設けられている。本実施形態では、表示領域Eの周辺に設けられた第1の絶縁層28の膜厚は、第3の領域28Rの第1の絶縁層28の膜厚と同じなっている。なお、表示領域Eの周辺に設けられた第1の絶縁層28の膜厚は、第1の領域28Bの第1の絶縁層28の膜厚、または第2の領域28Gの第1の絶縁層28の膜厚と同じであってもよい。さらに、表示領域Eの周辺に設けられた第1の絶縁層28は、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの第1の絶縁層28と異なる膜厚を有していてもよい。
なお、第1の領域28Bは本発明における「第1の層厚の部分」の一例であり、第2の領域28Gは本発明における「第2の層厚の部分」の一例であり、第3の領域28Rは本発明における「第3の層厚の部分」の一例である。
図2に示すように、素子基板10には、発光画素20に対応する信号線として、走査線11、データ線12、点灯制御線13、及び電源線14が設けられている。走査線11と点灯制御線13とはX方向に並行して延び、走査線駆動回路102(図1)に接続されている。データ線12と電源線14とはY方向に並行して延びている。データ線12は、データ線駆動回路101(図1)に接続されている。電源線14は、複数配置された外部接続用端子103のうちいずれかに接続されている。
走査線11とデータ線12との交点付近には、発光画素20の画素回路を構成する第1トランジスター21と、第2トランジスター22と、第3トランジスター23と、蓄積容量24と、有機EL素子30とが設けられている。
有機EL素子30は、陽極である画素電極31と、陰極である対向電極33と、これら電極の間に挟まれた発光層を含む発光機能層32とを有している。対向電極33は、複数の発光画素20に跨って設けられた共通電極である。対向電極33には、例えば電源線14に与えられる電源電圧Vddに対して低電位の、基準電位VssやGNDの電位などが与えられている。
第1トランジスター21及び第3トランジスター23は、例えばnチャネル型のトランジスターである。第2トランジスター22は、例えばpチャネル型のトランジスターである。
第1トランジスター21のゲート電極は走査線11に接続され、一方の電流端はデータ線12に接続され、他方の電流端は第2トランジスター22のゲート電極と、蓄積容量24の一方の電極とに接続されている。
第2トランジスター22の一方の電流端は、電源線14に接続されると共に蓄積容量24の他方の電極に接続されている。第2トランジスター22の他方の電流端は、第3トランジスター23の一方の電流端に接続されている。言い換えれば、第2トランジスター22と第3トランジスター23とは一対の電流端のうち1つの電流端を共有している。
第3トランジスター23のゲート電極は点灯制御線13に接続され、他方の電流端は有機EL素子30の画素電極31に接続されている。
第1トランジスター21、第2トランジスター22及び第3トランジスター23のそれぞれにおける一対の電流端は、一方がソースであり、他方がドレインである。
なお、第3トランジスター23は、本発明における「トランジスター」の一例である。
このような画素回路において、走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧水準がHiレベルになると、nチェネル型の第1トランジスター21がオン状態(ON)となる。オン状態(ON)の第1トランジスター21を介してデータ線12と蓄積容量24とが電気的に接続される。そして、データ線駆動回路101からデータ線12にデータ信号が供給されると、データ信号の電圧水準Vdataと電源線14に与えられた電源電圧Vddとの電位差が蓄積容量24に蓄積される。
走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧水準がLowレベルになると、nチェネル型の第1トランジスター21がオフ状態(OFF)となり、第2トランジスター22のゲート・ソース間電圧Vgsは、電圧水準Vdataが与えられたときの電圧に保持される。また、走査信号YiがLowレベルになった後に、点灯制御線13に供給される点灯制御信号Vgiの電圧水準がHiレベルとなり、第3トランジスター23がオン状態(ON)となる。そうすると、第2トランジスター22のゲート・ソース電圧Vgs、つまり蓄積容量24に保持された電圧に応じた電流が、電源線14から第2トランジスター22及び第3トランジスター23を経由して、有機EL素子30に供給される。
有機EL素子30は、有機EL素子30を流れる電流の大きさに応じて発光する。有機EL素子30を流れる電流は、蓄積容量24に保持された電圧(データ線12の電圧水準Vdataと電源電圧Vddとの電位差)、及び第3トランジスター23がオン状態になる期間の長さによって変化し、有機EL素子30の発光輝度が規定される。つまり、データ信号における電圧水準Vdataの値により、発光画素20において画像情報に応じた輝度の階調性を与えることができる。
なお、本実施形態において、発光画素20の画素回路は、3つのトランジスター21,22,23を有することに限定されず、例えばスイッチング用トランジスターと駆動用トランジスターとを有する構成(二つのトランジスターを有する構成)としてもよい。また画素回路を構成するトランジスターは、nチャネル型のトランジスターでもよいし、pチャネル型のトランジスターでもよいし、nチャネル型のトランジスター及びpチャネル型のトランジスターの双方を備えるものであってもよい。また、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターは、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスターであってもよいし、薄膜トランジスターであってもよいし、電界効果トランジスターであってもよい。
また、走査線11、データ線12以外の信号線である点灯制御線13、電源線14の配置は、トランジスターや蓄積容量24の配置により左右され、これに限定されるものではない。
本実施形態では、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターとして、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスターを採用している。
「発光画素の特徴部分」
次に、図3を参照して、発光画素20の特徴部分の概要を説明する。
図3に示すように、発光画素20は、中継電極106と、画素電極31と、第2の絶縁層29とを有している。発光画素20では、中継電極106と、画素電極31と、第2の絶縁層29とが順に積層されている(図5、図6参照)。第2の絶縁層29は、画素電極31の一部を露出させる開口29B,29G,29Rを有している。青色(B)の発光が得られる発光画素20Bは、画素電極31Bと中継電極106Bと開口29Bとを有している。緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gは、画素電極31Gと中継電極106Gと開口29Gとを有している。赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rは、画素電極31Rと中継電極106Rと開口29Rとを有している。
以降の説明では、中継電極106B,106G,106Rと称す場合と、これらをまとめて中継電極106と称す場合とがある。
なお、中継電極106は、本発明における「導電層」の一例である。中継電極106Bは本発明における「第1の導電層」の一例であり、中継電極106Gは本発明における「第2の導電層」の一例であり、中継電極106Rは本発明における「第3の導電層」の一例である。
発光画素20B,20G,20Rのそれぞれは、平面視で矩形状となっており、長手方向がY方向に沿って配置されている。同様に、画素電極31B,31G,31Rも、平面視で矩形状となっており、長手方向がY方向に沿って配置されている。
同図に示すように、中継電極106は、矩形状の発光画素20の短い一辺に沿って配置され、平面視で少なくとも一部が画素電極31と重なるように設けられている。詳細は後述するが、中継電極106は、画素電極31と第3トランジスター23とを電気的に接続する配線の一部である。換言すれば、画素電極31は、中継電極106を介して第3トランジスター23に接続されている。つまり、中継電極106が設けられた領域がコンタクト領域となる。
第2の絶縁層29は、画素電極31の周縁部を覆い、隣り合う画素電極31同士を電気的に絶縁する役割を有している。上述したように、第2の絶縁層29は、画素電極31の一部を露出させる開口29B,29G,29Rを有している。第2の絶縁層29で露出された部分の画素電極31、つまり開口29B,29G,29Rで露出された画素電極31が発光機能層32に接し、発光機能層32に電流を供給し、発光機能層32を発光させる。このため、第2の絶縁層29に設けられた開口29B,29G,29Rが、発光画素20B,20G,20Rの発光領域となる。このように、第2の絶縁層29は、発光画素20の発光領域を規定する役割も有している。
なお、本願発明において、画素電極31は、発光領域(開口29B,29G,29R)において発光機能層32に接して有機EL素子30の電極として機能する電極部位と、トランジスターや配線と接続するコンタクト領域において電極部位と中継電極106とを接続する導電層として機能する導電部位とを少なくとも有している。
詳細は後述するが、本実施形態の発光画素20は、発光領域(開口29B,29G,29R)とコンタクト領域(中継電極106B,106G,106R)との間の距離DYを小さくすることができる構成を有している。すなわち、発光領域(開口29B,29G,29R)を広くし、発光機能層32で発せられる光の光度を高めることができる構成を有している。この点が、発光画素20の特徴部分である。
「発光画素の断面構造」
次に、発光画素20の断面構造について、図4乃至図8を参照して説明する。
図4は、図3のA−A’線に沿った概略断面図、つまり発光領域を規定する第2の絶縁層の開口が設けられた領域の概略断面図である。図5は、図3のB−B’線に沿った概略断面図、つまり画素電極と第3トランジスターとが電気的に接続された領域の概略断面図である。図6は、図3のC−C’線に沿った概略断面図、つまり赤色(R)の発光が得られる発光画素の概略断面図である。図7は、図3のD−D’線に沿った概略断面図、つまり緑色(G)の発光が得られる発光画素の概略断面図である。図8は、図3のE−E’線に沿った概略断面図、つまり青色(B)の発光が得られる発光画素の概略断面図である。
なお、図4は、画素回路のうち、第1トランジスター21及び第2トランジスター22や、第1トランジスター21及び第2トランジスター22に関連する配線などを示し、第3トランジスター23の図示を省略している。図5は、画素回路のうち、第3トランジスター23や第3トランジスター23に関連する配線などを示し、第1トランジスター21及び第2トランジスターの図示を省略している。図6乃至図8では、第2トランジスター22及び第3トランジスター23や、第2トランジスター22及び第3トランジスター23に関連する配線などを示し、第1トランジスター21の図示を省略している。
最初に、図4を参照して、発光領域を規定する第2の絶縁層29の開口29B,29G,29Rが設けられた領域の断面構造について説明する。
図4に示すように、有機EL装置100は、素子基板10、封止基板70、及び素子基板10と封止基板70とで挟持された樹脂層71などを有している。
封止基板70は、透光性の絶縁基板であり、石英基板やガラス基板などを使用することができる。封止基板70は、表示領域Eに配置された有機EL素子30が傷つかないように保護する役割を有し、表示領域Eよりも広く設けられている。樹脂層71は、素子基板10と封止基板70とを接着する役割を有し、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などを使用することができる。
素子基板10は、画素回路(第1トランジスター21、第2トランジスター22、第3トランジスター23、蓄積容量24、有機EL素子30)、封止層40、カラーフィルター50などを有している。
発光画素20で発せられた光は、カラーフィルター50を透過して封止基板70の側から射出される。つまり、有機EL装置100は、トップエミッション構造となっている。有機EL装置100がトップエミッション構造であることから、素子基板10の基材10sには、透明な石英基板やガラス基板だけでなく、不透明なセラミック基板や半導体基板を用いることができる。本実施形態では、基材10sには、半導体基板、例えばシリコン基板を使用している。
基材10sには、半導体基板にイオンを注入することによって形成されたウェル部10wと、ウェル部10wとは異なる種類のイオンをウェル部10wに注入することにより形成されたアクティブ層であるイオン注入部10dとが設けられている。ウェル部10wは、発光画素20におけるトランジスター21,22,23のチャネルとして機能する。イオン注入部10dは、発光画素20におけるトランジスター21,22,23のソース・ドレインや配線の一部として機能する。
イオン注入部10dやウェル部10wが形成された基材10sの表面を覆うように、絶縁膜10aが設けられている。絶縁膜10aは、トランジスター21,22,23のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜10aの上には、例えばポリシリコンなどの導電膜からなるゲート電極22gが設けられている。ゲート電極22gは、第2トランジスター22のチャネルとして機能するウェル部10wに対向するように配置されている。他の第1トランジスター21や第3トランジスター23でも、同様にゲート電極が設けられている。
ゲート電極22gを覆うように、第1層間絶縁膜15が設けられている。第1層間絶縁膜15には、例えば第1トランジスター21のドレインや第2トランジスター22のゲート電極22gに至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第1層間絶縁膜15の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、例えば第1トランジスター21のドレイン電極21dと第2トランジスター22のゲート電極22gとに接続される配線が設けられている。
次に、第1層間絶縁膜15や、第1層間絶縁膜15の上の配線を覆うように、第2層間絶縁膜16が設けられている。第2層間絶縁膜16には、第1層間絶縁膜15の上に設けられた配線に至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第2層間絶縁膜16の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、例えば蓄積容量24の一方の電極24aと第2トランジスター22のゲート電極22gとを電気的に接続させるコンタクト部が設けられている。また、蓄積容量24の一方の電極24aと同層にデータ線12が設けられている。データ線12は、図4では図示省略された中継電極(配線)によって、第1トランジスター21のソースに接続されている。
図示を省略するが、少なくとも蓄積容量24の一方の電極24aを覆う誘電体層が設けられている。また、蓄積容量24の他方の電極24bが、誘電体層を挟んで、蓄積容量24の一方の電極24aに対向して設けられている。これにより、これら一対の電極24a,24bと誘電体層とによって、蓄積容量24が形成されている。
蓄積容量24を覆うように、第3層間絶縁膜17が設けられている。第3層間絶縁膜17には、例えば蓄積容量24の他方の電極24bや第2層間絶縁膜16上に形成された配線に至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第3層間絶縁膜17の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、電源線14や中継電極14c(図5参照)などが設けられている。本実施形態では、電源線14及び中継電極14cは、光反射性と導電性とを兼ね備えた導電材料、例えばアルミニウムやアルミニウム合金などで構成されている。電源線14及び中継電極14cの膜厚は、概略100nmである。
電源線14は、表示領域Eの略全面に設けられ、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに開口を有している。電源線14の開口の中に、中継電極14cが設けられている。電源線14は、トランジスター21,22,23の上方で、画素電極31に対向するように配置されている。発光領域(開口29B,29G,29R)で発した光は、電源線14で反射される。
電源線14は、本発明における「光反射層」の一例である。
なお、発光領域(開口29B,29G,29R)で発した光を反射する光反射層を、画素電極31ごとに島状に設ける構成であってもよい。
電源線14の上には、第1絶縁膜25と、第2絶縁膜26と、第3絶縁膜27とが、順に積層されている。第1絶縁膜25、第2絶縁膜26、及び第3絶縁膜27は、光透過性を有する絶縁材料で構成されている。本実施形態では、第1絶縁膜25が窒化シリコンで構成され、第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27が酸化シリコンで構成されている。第1絶縁膜25の膜厚は、概略50nmである。第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27の膜厚は、概略60nm〜70nmである。
第1絶縁膜25は、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bと、緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gと、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rとに設けられている。第2絶縁膜26は、緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gと、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rとに設けられている。第3絶縁膜27は、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rに設けられている。
第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と、第2絶縁膜26と、第3絶縁膜27とで構成される。
詳しくは、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bの第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25で構成され、膜厚Bd1を有している。そして、発光画素20Bにおいて、膜厚Bd1を有する第1の絶縁層28は、中継電極106Bと画素電極31Bとを接続するコンタクト領域を除き、開口29B(発光領域)からコンタクト領域に至るように設けられている。また、膜厚Bd1を有する第1の絶縁層28は、Y方向に並ぶ複数の発光画素20Bに跨って設けられている。また、換言すると、第1の領域28Bには、Y方向に並ぶ開口29B(発光領域)が複数設けられている。また、第1の領域28B内に中継電極106Bと画素電極31Bとを接続するコンタクト領域が設けられている。図5に示すように、当該コンタクト領域において、画素電極31Bは中継電極106Bに直接接している。
緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gの第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26とで構成され、膜厚Gd1を有している。そして、発光画素20Gにおいて、膜厚Gd1を有する第1の絶縁層28は、中継電極106Gと画素電極31Gとを接続するコンタクト領域を除き、開口29G(発光領域)からコンタクト領域に至るように設けられている。膜厚Gd1を有する第1の絶縁層28は、Y方向に並ぶ複数の発光画素20Gに跨って設けられている。また、換言すると、第2の領域28Gには、Y方向に並ぶ開口29G(発光領域)が複数設けられている。また、第2の領域28G内に中継電極106Gと画素電極31Gとを接続するコンタクト領域が設けられている。図5に示すように、当該コンタクト領域において、画素電極31Gはコンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続されている。
赤色(G)の発光が得られる発光画素20Gの第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26と第3絶縁膜27とで構成され、膜厚Rd1を有している。そして、発光画素20Rにおいて、膜厚Rd1を有する第1の絶縁層28は、中継電極106Rと画素電極31Rとを接続するコンタクト領域を除き、開口29R(発光領域)からコンタクト領域に至るように設けられている。膜厚Rd1を有する第1の絶縁層28は、Y方向に並ぶ複数の発光画素20Rに跨って設けられている。また、換言すると、第3の領域28Rには、Y方向に並ぶ開口29R(発光領域)が複数設けられている。第3の領域28R内に中継電極106Rと画素電極31Rとを接続するコンタクト領域が設けられている。図5に示すように、当該コンタクト領域において、画素電極31Rはコンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続されている。
このため、発光画素20Bの第1の絶縁層28(膜厚Bd1)、発光画素20Gの第1の絶縁層28(膜厚Gd1)、発光画素20Rの第1の絶縁層28(膜厚Rd1)の順に厚くなっている。
換言すれば、第1絶縁膜25で構成された第1の絶縁層28、つまり発光画素20Bが配置された領域の第1の絶縁層28が、第1の領域28Bに対応する。第1絶縁膜25と第2絶縁膜26とで構成された第1の絶縁層28、つまり発光画素20Gが配置された領域の第1の絶縁層28が、第2の領域28Gに対応する。第1絶縁膜25と第2絶縁膜26と第3絶縁膜27とで構成された第1の絶縁層28、つまり発光画素20Rが配置された領域の第1の絶縁層28が、第3の領域28Rに対応する。
なお、膜厚Bd1は、本発明における「第1の層厚」の一例である。膜厚Gd1は、本発明における「第2の層厚」の一例である。膜厚Rd1は、本発明における「第3の層厚」の一例である。
画素電極31は、第1の絶縁層28の上に島状に設けられ、第1の絶縁層28を挟んで電源線14に対向する。詳しくは、画素電極31Bは膜厚Bd1の第1の絶縁層28の上に島状に設けられ、画素電極31Gは膜厚Gd1の第1の絶縁層28の上に島状に設けられ、画素電極31Rは膜厚Bd1の第1の絶縁層28の上に島状に設けられている。画素電極31は、光透過性を有し、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性材料で形成され、発光機能層32に正孔を供給するための電極となる。画素電極31の膜厚は、概略100nmである。
画素電極31の周縁部を覆うように、第2の絶縁層29が設けられている。第2の絶縁層29は、例えば酸化シリコンで構成され、各画素電極31R,31G,31Bのそれぞれを絶縁している。第2の絶縁層29の膜厚は、概略60nmである。第2の絶縁層29には、開口29B,29G,29Rが設けられている。開口29B,29G,29Rが設けられた領域が、発光画素20の発光領域となる。なお、第2の絶縁層29は、有機材料、例えばアクリル系の感光性樹脂を用いて形成してもよい。
画素電極31及び第2の絶縁層29を覆うように、発光機能層32と、対向電極33と封止層40とが、順に積層されている。
発光機能層32は、画素電極31の側から順に積層された正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層などを有している。画素電極31から供給される正孔と、対向電極33から供給される電子とが有機発光層で結合し、発光機能層32が発光する(光を発する)。発光機能層32の膜厚は、概略110nmである。
有機発光層は、赤色、緑色、及び青色の光成分を有する光を発する。有機発光層は、単層で構成してもよいし、複数の層(例えば、電流が流れると主に青色で発光する青色発光層と、電流が流れると赤色と緑色を含む光を発する黄色発光層)で構成してもよい。
対向電極33は、発光機能層32に電子を供給するための共通電極である。対向電極33は、発光機能層32を覆って設けられ、例えばMgとAgとの合金などで構成され、光透過性と光反射性とを有している。対向電極33の膜厚は、概略10nm〜30nmである。対向電極33の構成材料(MgとAgとの合金など)を薄膜化することで、光反射性の機能に加えて光透過性の機能を付与することができる。
対向電極33の上には、封止層40が配置されている。封止層40は、発光機能層32や対向電極33の劣化を抑制するパッシベーション膜であり、発光機能層32や対向電極33への水分や酸素の侵入を抑制している。封止層40は、対向電極33の側から順に積層された第1封止層41と緩衝層42と第2封止層43とで構成され、有機EL素子30(表示領域E)を覆い、素子基板10の略全面に設けられている。なお、封止層40には、外部接続用端子103端子(図1参照)を露出させる開口(図示省略)が設けられている。
第1封止層41は、例えば公知技術のプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成されたシリコン酸窒化物で構成され、水分や酸素に対して高いバリア性を有している。第1封止層41の膜厚は、概略200nm〜400nmである。第1封止層41を構成する材料は、上述したシリコン酸窒化物の他に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、及び酸化チタンなどの金属酸化物などを使用することができる。
緩衝層42は、熱安定性に優れた例えばエポキシ系樹脂や塗布型の無機材料(シリコン酸化物など)などで構成されている。緩衝層42の膜厚は、第1封止層41の膜厚よりも大きく、概略1000nm〜5000nmである。緩衝層42は、第1封止層41の欠陥(ピンホール、クラック)や異物などを被覆し、緩衝層42における第2封止層43側の面は、対向電極33側の面に比べ平坦な面を形成する。
第2封止層43は、例えば公知技術のプラズマCVD法などを用いて形成されたシリコン酸窒化物で構成される。第2封止層43の膜厚は、概略300nm〜700nmである。第2封止層43は、第1封止層41と同じ材料で構成され、水分や酸素に対して高いバリア性を有している。
封止層40の上には、発光画素20B,20G,20Rに対応した着色層50B,50G,50Rが設けられている。換言すれば、封止層40の上には、着色層50B,50G,50Rで構成されるカラーフィルター50が設けられている。ここで、カラーフィルター50は、封止層40の上に積層して設けられている。
次に、図5を参照して、画素電極31と第3トランジスター23とが電気的に接続された部分(コンタクト部)の断面構造について説明する。
図5に示すように、基材10sには、第3トランジスター23のソースとして機能するイオン注入部10dが設けられている。イオン注入部10d(基材10s)は、絶縁膜10aと第1層間絶縁膜15とで覆われている。第1層間絶縁膜15及び絶縁膜10aには、第3トランジスター23のイオン注入部10dに至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第1層間絶縁膜15の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、第3トランジスター23のソース電極23s及び当該ソース電極23sに接続される配線が設けられている。
第1層間絶縁膜15及びソース電極23sに接続される配線は、第2層間絶縁膜16で覆われている。第2層間絶縁膜16には、ソース電極23sに接続される配線に至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第2層間絶縁膜16の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、第2層間絶縁膜16の上に配線が設けられている。第2層間絶縁膜16は、第3層間絶縁膜17で覆われている。第3層間絶縁膜17には、第2層間絶縁膜16の上に設けられた配線に至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第3層間絶縁膜17の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、第3層間絶縁膜17の上に電源線14及び中継電極14cが設けられている。
上述したように、電源線14は、表示領域Eの略全面に設けられ、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに開口を有している。中継電極14cは、電源線14の開口の中に、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに島状に設けられている。また、中継電極14cは、画素電極31と第3トランジスター23とを電気的に接続する配線の一部をなす。
電源線14及び中継電極14cを覆うように、第1絶縁膜25が設けられている。第1絶縁膜25には、中継電極14cの一部を露出させるコンタクトホール61CTが設けられている。コンタクトホール61CT内を少なくとも被覆し、第1絶縁膜25の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、第1絶縁膜25の上に中継電極106が設けられている。中継電極106は、コンタクトホール61CTを介して中継電極14cに、接続されている。中継電極106は、画素電極31と第3トランジスター23とを電気的に接続する配線の一部をなす。
中継電極106は、遮光性の導電材料、例えば窒化チタンで構成される。中継電極106の膜厚は、概略50nmである。中継電極106は、平面視で電源線14の開口を覆うように、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに島状に設けられている。換言すれば、中継電極106は、発光機能層32で発した光が、電源線14の開口を通過してトランジスター21,22,23に入射しないように設けられている。すなわち、中継電極106は、発光機能層32で発した光の入射を遮り、トランジスター21,22,23の誤動作を抑制する役割も有している。
画素電極31は、平面視で中継電極106と重なるように設けられている。上述したように、発光画素20Bには中継電極106Bと画素電極31Bとが設けられ、発光画素20Gには中継電極106Gと画素電極31Gとが設けられ、発光画素20Rには中継電極106Rと画素電極31Rとが設けられている。
発光画素20Bにおいて、画素電極31Bは中継電極106Bに直接接している。
発光画素20Gにおいて、中継電極106Gと画素電極31Gとの間には、第2絶縁膜26が設けられている。第2絶縁膜26には、中継電極106Gの一部を露出させるコンタクトホール28CT1が設けられている。画素電極31Bは、コンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続されている。
発光画素20Rにおいて、中継電極106Rと画素電極31Rとの間には、中継電極106Rの側から順に第2絶縁膜26と第3絶縁膜27とが設けられている(積層されている)。第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27には、中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2が設けられている。画素電極31Rは、コンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続されている。
なお、コンタクトホール28CT1は、本発明における「第1のコンタクトホール」の一例である。コンタクトホール28CT2は、本発明における「第2のコンタクトホール」の一例である。
このように、中継電極14cと中継電極106との間に配置される絶縁膜は、発光画素20B、20G,20Rのそれぞれで共通(第1絶縁膜25)である。さらに、電源線14と画素電極31との間に配置される第1の絶縁層28の膜厚は、発光画素20B、20G,20Rのそれぞれで異なっている。詳しくは、発光画素20Bでは、電源線14と画素電極31との間に、第1絶縁膜25で構成される膜厚Bd1の第1の絶縁層28が配置されている。発光画素20Gでは、電源線14と画素電極31との間に、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26とで構成される膜厚Gd1の第1の絶縁層28が配置されている。発光画素20Rでは、電源線14と画素電極31との間に、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26とで第3絶縁膜27とで構成される膜厚Rd1の第1の絶縁層28が配置されている。
ここで、本実施形態では、第1絶縁膜25が窒化シリコンで構成され、第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27が酸化シリコンで構成されている。そして、中継電極14cと中継電極106との間に配置される絶縁膜を窒化シリコンとすることで、酸化シリコンで構成される第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27を加工する際に、第1絶縁膜25に対するエッチングの選択比を確保できるため加工精度を向上させることができるとともに、中継電極14cと画素電極31とを確実に接続することができる。
第1の領域28Bでは、膜厚Bd1の第1の絶縁層28(第1絶縁膜25)の上に画素電極31Bが設けられ、画素電極31Bは中継電極106Bに直接接している。第2の領域28Gでは、膜厚Gd1の第1の絶縁層28(第1絶縁膜25と第2絶縁膜26)の上に画素電極31Gが設けられ、画素電極31Gはコンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続されている。第3の領域28Rでは、膜厚Rd1の第1の絶縁層28(第1絶縁膜25と第2絶縁膜26と第3絶縁膜27)の上に画素電極31Rが設けられ、画素電極31Rはコンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続されている。
第1の領域28Bに設けられた画素電極31B、第2の領域28Gに設けられた画素電極31G、及び第3の領域28Rに設けられた画素電極31Rは、第2の絶縁層29で覆われている。さらに、第2の絶縁層29の上には、発光機能層32と、対向電極33と、封止層40と、カラーフィルター50とが順に設けられている(積層されている)。
次に、図6乃至図8を参照して、発光画素20におけるY方向の断面構造について説明する。
図6乃至図8に示すように、基材10sには、第2トランジスター22と第3トランジスター23とが共用するウェル部10wが設けられている。当該ウェル部10wには、3つのイオン注入部10dが設けられている。3つのイオン注入部10dのうち中央側に位置するイオン注入部10dは、第2トランジスター22と第3トランジスター23とが共用するドレイン22d(23d)として機能するものである。当該ウェル部10wを覆う絶縁膜10aが設けられる。そして、絶縁膜10aの上には、例えばポリシリコンなどの導電膜からなるゲート電極22g,23g(第2トランジスター22のゲート電極22g、第3トランジスター23のゲート電極23g)が設けられている。ゲート電極22g,23gのそれぞれは、中央側のイオン注入部10dと端側のイオン注入部10dとの間のウェル部10wにおけるチャネルとして機能する部分に対向するように配置されている。
次に、第2トランジスター22のゲート電極22gは、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16とを貫通するコンタクトホールによって、第2層間絶縁膜16上に設けられた蓄積容量24の一方の電極24aに接続されている。第2トランジスター22のソース電極22sは、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16と第3層間絶縁膜17とを貫通するコンタクトホールによって、第3層間絶縁膜17上に設けられた電源線14に接続されている。
第3トランジスター23のゲート電極23gは、第1層間絶縁膜15を貫通するコンタクトホールによって、第1層間絶縁膜15上に設けられた点灯制御線13に接続されている。第1層間絶縁膜15上には、点灯制御線13以外に走査線11が設けられている。走査線11は、図5には図示されていないコンタクトホールを経由して、第1トランジスター21のゲートに接続されている。
第3トランジスター23のソース電極23sは、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16と第3層間絶縁膜17とを貫通するコンタクトホールによって、第3層間絶縁膜17上に設けられた中継電極14cに接続されている。中継電極14cは、第1絶縁膜25で覆われ、コンタクトホール25CTを介して、第1絶縁膜25の上に設けられた中継電極106に接続されている。
発光画素20Rでは、画素電極31Rが、第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27に設けられたコンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続されている。
図6のように、第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27は、コンタクトホール28CT2を介して画素電極31Rと中継電極106Rとが接続されるコンタクト領域を除いて発光画素20Rに設けられている。第1絶縁膜25は、コンタクトホール25CTを介して中継電極106Rと中継電極14cとが接続されるコンタクト領域を除いて発光画素20Rに設けられている。コンタクトホール28CT2、中継電極106R、コンタクトホール25CTは、本発明における「第3接続部」の一例である。第3接続部は、第3の領域28R(第3の層厚の部分)に設けられている。第3接続部は、第1絶縁膜25、第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27により囲まれている。そして、第3の領域28R(第3の層厚の部分)には、開口29R(発光領域)がY方向に並んでいる。また、第1絶縁膜25、第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27は、第3接続部の間を埋めるように設けられている。したがって、開口29R(発光領域)とコンタクト領域との間には第1の絶縁層28による段差がなく、段差がある場合と比して発光領域(開口29R)とコンタクト領域(中継電極106G)との間の距離DYを小さくできる。換言すると、開口29R(発光領域)を図6の右側のコンタクト領域に近づけることが可能である。さらに、開口29R(発光領域)を図6の左側のコンタクト領域にも近づけることが可能である。したがって、開口29R(発光領域)を大きくすることができる。
発光画素20Gでは、画素電極31Gが、第2絶縁膜26に設けられたコンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続されている。
図7のように、第2絶縁膜26は、コンタクトホール28CT1を介して画素電極31Gと中継電極106Gとが接続されるコンタクト領域を除いて発光画素20Gに設けられている。また、第1絶縁膜25は、コンタクトホール25CTを介して中継電極106Gと中継電極14cとが接続される領域を除いて発光画素20Gに設けられている。コンタクトホール28CT1、中継電極106G、コンタクトホール25CTは、本発明における「第2接続部」「第4接続部」の一例である。第2接続部及び第4接続部は、第2の領域28G(第2の層厚の部分)に設けられている。第2接続部及び第4接続部は、第1絶縁膜25及び第2絶縁膜26により囲まれている。そして、第2の領域28G(第2の層厚の部分)には、開口29G(発光領域)がY方向に並んでいる。また、第1絶縁膜25及び第2絶縁膜26は、第2接続部と第4接続部との間を埋めるように設けられている。したがって、開口29G(発光領域)とコンタクト領域との間には第1の絶縁層28による段差がなく、段差がある場合と発光領域(開口29G)とコンタクト領域(中継電極106G)との間の距離DYを小さくできる。換言すると、開口29G(発光領域)を図7の右側のコンタクト領域に近づけることが可能である。さらに、開口29G(発光領域)を図7の左側のコンタクト領域にも近づけることが可能である。したがって、開口29G(発光領域)を大きくすることができる。
発光画素20Bでは、画素電極31Bが中継電極106Bに直接接している。
図8のように、コンタクトホール25CTを介して中継電極106Bと中継電極14cとが接続されるコンタクト領域を除き、第1絶縁膜25が設けられている。コンタクトホール25CT、中継電極106Bは、本発明における「第1接続部」の一例である。第1接続部は、第1の領域(第1の層厚の部分)に設けられている。第2接続部は、第1絶縁膜25、第1絶縁膜25及び第2絶縁膜26により囲まれている。そして第1の領域(第1の層厚の部分)には、開口29B(発光領域)がY方向に並んでいる。また、第1絶縁膜25は、第1接続部の間を埋めるように設けられている。したがって、開口29B(発光領域)とコンタクト領域との間には第1の絶縁層28による段差がなく、段差がある場合と比して発光領域(開口29B)とコンタクト領域(中継電極106G)との間の距離DYを小さくできる。換言すると、開口29B(発光領域)を図8の右側のコンタクト領域に近づけることが可能である。さらに、開口29R(発光領域)を図8の左側のコンタクト領域にも近づけることが可能である。したがって、開口29B(発光領域)を大きくすることができる。
画素電極31の上には、第2の絶縁層29と、発光機能層32と、対向電極33と、封止層40と、カラーフィルター50とが順に積層されている。
「光共振構造」
発光領域(開口29B,29G,29R)には、光反射性を有する電源線14と、第1の絶縁層28と、画素電極31と、発光機能層32と、光反射性と光透過性とを有する対向電極33とが積層されている。かかる構成によって、発光機能層32で発した光を電源線14と対向電極33との間で往復させ(反射し)、特定波長の光を共振させる。これにより特定波長の光が他の波長領域に比べて強められ、有機EL素子30から出射する。さらに、特定波長の光は、電源線14から対向電極33に向かう方向、つまり封止基板70から表示光として射出される。このように、有機EL装置100は、電源線14と第1の絶縁層28と画素電極31と発光機能層32と対向電極33とで構成される光共振構造を有し、特定波長の光を選択的に強めて、発光画素20から発する光の色純度を高める構成を有している。
以下に光共振構造の概要を説明する。
第1の絶縁層28は、電源線14と対向電極33との間の光路長(光学的な距離)を調整する役割を有し、第1の絶縁層28の膜厚に応じて共振波長が変化するようになっている。詳しくは、電源線14から対向電極33までの光学的な距離をD、反射層での反射における位相シフトをφL、対向電極33での反射における位相シフトをφU、定在波のピーク波長をλ、整数をmとすると、光学的な距離Dは、下記の数式(1)を満たすようになっている。
D={(2πm+φL+φU)/4π}λ・・・(1)
発光画素20B,20G,20Rの光共振構造における光学的な距離Dは、B,G,Rの順に大きくなり、電源線14と画素電極31との間に配置された第1の絶縁層28の膜厚を異ならせることによって調整されている。
図6に示すように、発光画素20Rでは、電源線14と画素電極31Rとの間に配置される第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26と第3絶縁膜27とで構成され、膜厚Rd1を有している。図7に示すように、発光画素20Gでは、電源線14と画素電極31Gとの間に配置される第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26とで構成され、膜厚Gd1を有している。図8に示すように、発光画素20Bでは、電源線14と画素電極31Bとの間に配置される第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25で構成され、膜厚Bd1を有している。このため、第1の絶縁層28の膜厚は、発光画素20B(膜厚Bd1)<発光画素20G(膜厚Gd1)<発光画素20R(膜厚Rd1)の順に大きくなる。このため、光学的な距離Dも、発光画素20B<発光画素20G<発光画素20Rの順に大きくなる。
詳しくは、発光画素20Rでは、共振波長(輝度が最大となるピーク波長)が610nmとなるように、光学的な距離Dが設定されている。同じく、発光画素20Gでは、共振波長(輝度が最大となるピーク波長)が540nmとなるように、光学的な距離Dが設定されている。発光画素20Bでは、共振波長(輝度が最大となるピーク波長)が470nmとなるように、光学的な距離Dが設定されている。
上記ピーク波長を実現するため、ITOなどの透明導電膜からなる画素電極31B,31G,31Rの膜厚を概略100nmとし、発光機能層32の膜厚を概略110nmとし、上記数式(1)においてm=1として、反射層と対向電極33との間の第1の絶縁層28の膜厚を算出すると、発光画素20Rでは170nm、発光画素20Gでは115nm、及び発光画素20Bでは50nmとなる。すなわち、発光画素20R(第3の領域28R)における第1の絶縁層28の膜厚Rd1は概略170nm、発光画素20G(第2の領域28G)における第1の絶縁層28の膜厚Gd1は概略115nm、発光画素20B(第1の領域28B)における第1の絶縁層28の膜厚Bd1は概略50nmとなる。このような第1の絶縁層28が形成されるように、第1絶縁膜25、第2絶縁膜26、及び第3絶縁膜27の膜厚が調整されている。
その結果、発光画素20Rから610nmをピーク波長とする赤色(R)の光が発せられ、発光画素20Gから540nmをピーク波長とする緑色(G)の光が発せられ、発光画素20Bから470nmをピーク波長とする青色(B)の光が発せられる。
このように、本実施形態に係る有機EL装置100では、上述した光共振構造によって発光画素20から発する光の色純度を高め、鮮やかな表示を提供することができる。
図6に示すように、発光画素20Rでは、開口29Rが設けられた領域が発光領域となり、中継電極106Rが設けられた領域がコンタクト領域となる。画素電極31Rは、発光領域及びコンタクト領域に跨って配置されている。画素電極31Rが配置された領域の第1の絶縁層28の膜厚はRd1であるので、光学的な距離Dも一定になっている。このため、発光領域(開口29R)を広くし、発光領域(開口29R)とコンタクト領域(中継電極106R)との間の距離DYを小さくしても、発光領域における光学的な距離Dは一定であり、610nmをピーク波長とする赤色(R)の光が発せられる。すなわち、発光領域から発する光のピーク波長を維持して、赤色(R)の光の光度を高めることができる。
図7に示すように、発光画素20Gでは、開口29Gが設けられた領域が発光領域となり、中継電極106Gが設けられた領域がコンタクト領域となる。画素電極31Gは、発光領域及びコンタクト領域に跨って配置されている。画素電極31Gが配置された領域の第1の絶縁層28の膜厚はGd1であるので、光学的な距離Dも一定になっている。このため、発光領域(開口29G)を広くし、発光領域(開口29R)とコンタクト領域(中継電極106G)との間の距離DYを小さくしても、発光領域における光学的な距離Dは一定であり、540nmをピーク波長とする緑色(G)の光が発せられる。すなわち、発光領域から発する光のピーク波長を維持して、緑色(G)の光の光度を高めることができる。
図8に示すように、発光画素20Bでは、開口29Bが設けられた領域が発光領域となり、中継電極106Bが設けられた領域がコンタクト領域となる。画素電極31Bは、発光領域及びコンタクト領域に跨って配置されている。画素電極31Bが配置された領域の第1の絶縁層28の膜厚はBd1であるので、光学的な距離Dも一定になっている。このため、発光領域(開口29B)を広くし、発光領域(開口29B)とコンタクト領域(中継電極106B)との間の距離DYを小さくしても、発光領域における光学的な距離Dは一定であり、470nmをピーク波長とする青色(B)の光が発せられる。すなわち、発光領域から発する光のピーク波長を維持して、青色(B)の光の光度を高めることができる。
例えば、公知技術(特開2009−134067号公報)では、発光領域における光学的な距離とコンタクト領域における光学的な距離とが異なり、発光領域とコンタクト領域との間に、異なる光学的な距離の境界を有している。仮に、当該境界を越えて発光領域を広くすると、発光領域に光学的な距離が異なる部分が生じ、発光領域からピーク波長が異なる光が発せられ、発光領域から発する光の色純度が悪くなる。このため、公知技術では、当該境界を越えて発光領域を広くすることが難しい。
本実施形態では、発光領域とコンタクト領域との間で光学的な距離Dは一定であるので、公知技術と比べて発光領域を広くし、発光領域から発する光の光度を高めることができる。
このように、本実施形態に係る有機EL装置100では、明るく鮮やかな表示を提供することができる。
なお、発光機能層32の発光に悪影響がない範囲で、発光領域(開口29B、29G、29R)を広くすることができる。例えば、発光機能層32の発光に悪影響がないのであれば、コンタクト領域(中継電極106B,106G,106R)の少なくとも一部に重なるように、発光領域(開口29B、29G、29R)を広げてもよい。
「有機EL装置の製造方法」
次に、図9乃至図11を参照して、有機EL装置100の製造方法を説明する。図9は、有機EL装置の製造方法を示す工程フローである。図10及び図11は、図5に対応し、図9に示す各工程を経た後の有機EL装置の状態を示す概略断面図である。なお、図10及び図11では、素子基板10における電源線14よりも下層に設けられた画素回路や配線の図示を省略している。
図9に示すように、有機EL装置100を製造する工程は、光反射層としての電源線14を形成する工程(ステップS1)と、第1絶縁膜25を形成する工程(ステップS2)と、中継電極106を形成する工程(ステップS3)と、第2絶縁膜26を形成する工程(ステップS4)と、第2絶縁膜26をエッチングする工程(ステップS5)と、第3絶縁膜27を形成する工程(ステップS6)と、第3絶縁膜27をエッチングする工程(ステップS7)と、画素電極31を形成する工程(ステップS8)と、を含んでいる。
ステップS1では、図10(a)に示すように、例えばスパッタ法でアルミニウムやアルミニウム合金などを概略100nmの膜厚で成膜し、これをパターニングして光反射層としての電源線14と、中継電極14cとを形成する。上述したように、電源線14は、表示領域Eの略全面に形成され、発光機能層32を発光させる電流の供給源、及び発光機能層32で発した光を反射する光反射層となる。電源線14は、発光画素20の中に開口を有し、当該開口の中に中継電極14cが設けられている。つまり、電源線14は複数の発光画素20に跨って設けられ、中継電極14cは複数の発光画素20のそれぞれに島状に設けられている。
ステップS2では、図10(b)に示すように、例えばプラズマCVD法で窒化シリコンを概略50nmの膜厚で成膜し、これをパターニングして、中継電極14cの一部を露出させるコンタクトホール25CTを有する第1絶縁膜25を形成する。
ステップS3では、図10(c)に示すように、例えばスパッタ法で窒化チタンを概略50nmの膜厚で成膜し、これをパターニングして中継電極106を形成する。中継電極106は、平面視で電源線14の開口を覆うように形成され、コンタクトホール25CTを介して中継電極14cに接続されている。
ステップS4では、例えばプラズマCVD法で酸化シリコンを概略60nm〜70nm膜厚で成膜し、図10(d)に示すように、第1絶縁膜25及び中継電極106を覆う第2絶縁膜26を形成する。
続いて、ステップS5で、図11(a)に示すように、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチング法で第2絶縁膜26の一部をエッチング除去して、開口C1を形成する。つまり、開口C1に対応した第1の領域28B及び第2の領域28Gは、第2絶縁膜26が設けられておらず、開口C1が形成されていない第3の領域28Rには第2絶縁膜26が設けられている。ここで、第3の領域28Rの中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2を形成する。
ここで、第1絶縁膜25が窒化シリコンで構成され、第2絶縁膜26が酸化シリコンで構成されているため、第1絶縁膜25と第2絶縁膜26との間にエッチング時の選択比がある。第1の領域28B及び第2の領域28Gの発光領域に対応した領域では、第1絶縁膜25が露出したところで、エッチング速度が遅くなり、理想的にはエッチングがストップする。また、第3の領域28Rのコンタクト領域では、コンタクトホール28CT2が形成され、中継電極106Rの表面が露出したところで、エッチング速度が遅くなり、理想的にはエッチングがストップする。同様に、第1の領域28B及び第2の領域28Gのコンタクト領域では、中継電極106B及び中継電極106Gの表面が露出しその周囲では第1絶縁膜25が露出したところで、エッチング速度が遅くなり、理想的にはエッチングがストップする。
続いて、ステップS6では、図11(b)に示すように、例えばプラズマCVD法で酸化シリコンを概略60nm〜70nm膜厚で成膜し、第3絶縁膜27を形成する。ここで、第3絶縁膜27は、第1の領域28B及び第2の領域28Gの発光領域に対応した領域では、第1絶縁膜25上に積層され、第1の領域28B及び第2の領域28Gのコンタクト領域では、中継電極106B及び中継電極106Gの表面に積層される。また、第3の領域28Rの発光領域に対応した領域では、第2絶縁膜26上に積層され、第3の領域28Rのコンタクト領域では、中継電極106R及び第2絶縁膜26上に積層される。即ち、第3絶縁膜27は第2絶縁膜26に設けられたコンタクトホール28CT2内に形成される。
ステップS7では、図11(c)に示すように、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチング法で、開口C1内において酸化シリコン(第3絶縁膜27)をエッチング除去し、開口C1の中に開口C2を形成する。つまり、開口C2は、第3絶縁膜27に設けられている。開口C2の第1の絶縁層28では、電源線14の上に第1絶縁膜25が積層され、膜厚Bd1を有している。開口C2が形成されていない部分の開口C1の第1の絶縁層28では、電源線14の上に第1絶縁膜25と第2絶縁膜26が積層され、膜厚Gd1を有している。よって、開口C2が、第1の領域28Bとなる。また、開口C2が形成されていない部分の開口C1には、電源線14の上に第1絶縁膜25と第2絶縁膜26とが積層され、膜厚Gd1を有している。よって、開口C2が形成されていない部分の開口C1が第2の領域28Gとなる。開口C1が形成されていない領域の第1の絶縁層28では、電源線14の上に第1絶縁膜25と第2絶縁膜26と第3絶縁膜27とが積層され、膜厚Rd1を有している。よって、開口C1が形成されていない領域が、第3の領域28Rとなる。また、開口C1が、第1の領域28B及び第2の領域28Gに対応する。
また、ステップS7では、同時に、第2の領域28Gの中継電極106Gの一部を露出させるコンタクトホール28CT1、及び第3の領域28Rの中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2を形成する。
ここで、第1絶縁膜25が窒化シリコンで構成され、第3絶縁膜27が酸化シリコンで構成されているため、第1絶縁膜25と第3絶縁膜27との間にエッチング時の選択比がある。第1の領域28Bの発光領域に対応した領域では、第1絶縁膜25が露出したところで、エッチング速度が遅くなり、理想的にはエッチングがストップする。
第3の領域28Rのコンタクト領域では、コンタクトホール28CT2が形成されて中継電極106Rの表面が露出し、第2の領域28Gのコンタクト領域では、コンタクトホール28CT1が形成されて中継電極106Gの表面が露出したところで、エッチング速度が遅くなり、理想的にはエッチングがストップする。同様に、第1の領域28Bのコンタクト領域では、中継電極106Bの表面が露出しその周囲では第1絶縁膜25が露出したところで、エッチング速度が遅くなり、理想的にはエッチングがストップする。
ステップS8では、図11(d)に示すように、例えばスパッタ法でITOを概略100nmの膜厚で成膜し、これをパターニングして、画素電極31を形成する。第1の領域28Bでは、中継電極106Bに直接接する画素電極31Bが形成されている。第2の領域28Gでは、コンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続された画素電極31Gが形成されている。第3の領域28Rでは、コンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続された画素電極31Rが形成されている。
その後、発光画素20の発光領域を規定する第2の絶縁層29を形成するステップ、発光機能層32を形成するステップ、対向電極33を形成するステップを有する。
上記製造方法によって、本実施形態に係る有機EL装置100を、安定して製造することができる。
(実施形態2)
「有機EL装置の概要」
図12は、図4に対応し、実施形態2に係る有機EL装置の構成を示す概略断面図、すなわち発光領域を規定する第2の絶縁層の開口が設けられた領域の概略断面図である。図13は、図5に対応し、実施形態2に係る有機EL装置の構成を示す他の概略断面図、すなわち画素電極と第3トランジスターとが電気的に接続された領域の概略断面図である。
以下、図12及び図13を参照して、本実施形態に係る有機EL装置200の概要を、実施形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る有機EL装置200は、第1の絶縁層28の構成が実施形態1と異なり、他の構成は実施形態1と同じである。
図12に示すように、第1の絶縁層28は、光反射層としての電源線14と画素電極31との間に配置された光学的な距離の調整層である。第1の絶縁層28は、電源線14の側から順に積層された第1絶縁膜25と有機絶縁層61とで構成されている。
第1絶縁膜25は、実施形態1と同じ構成を有しており、概略50nmの膜厚の窒化シリコンである。
有機絶縁層61は、第1絶縁膜25の側から順に積層された第1有機絶縁膜61aと第2有機絶縁膜61bとで構成されている。第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bはアクリル樹脂で構成され、実施形態1における第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27(酸化シリコン)と略同じ屈折率を有している。このため、第1有機絶縁膜61aは、実施形態1における第2絶縁膜26と同じ膜厚、つまり同じ光学的な距離(屈折率と膜厚との積)を有している。第2有機絶縁膜61bは、実施形態1における第3絶縁膜27と同じ膜厚、つまり同じ光学的な距離(屈折率と膜厚との積)を有している。具体的には、第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bの膜厚は、それぞれ概略60nm〜70nmである。
第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bは、光透過性を有する樹脂であればよく、上述したアクリル樹脂の他に、ポリエステル、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、ポリシロキサン、その他有機珪素化合物などを使用することができる。
第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bの屈折率が、実施形態1における第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27の屈折率と異なる場合は、実施形態1における第2絶縁膜26及び第3絶縁膜27と光学的な距離が略同じになるように、第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bの膜厚を調整する必要がある。
有機絶縁層61は、第1有機絶縁膜61aが配置された部分62と、第1有機絶縁膜61aと第2有機絶縁膜61bとが配置(積層)された部分63とを有している。発光画素20Bの第1の絶縁層28、つまり第1の領域28Bの第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25で構成され、膜厚Bd1(概略50nm)を有している。発光画素20Gの第1の絶縁層28、つまり第2の領域28Gの第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と第1有機絶縁膜61a(第1有機絶縁膜61aが配置された部分62の有機絶縁層61)とで構成され、膜厚Gd1(概略115nm)を有している。発光画素20Rの第1の絶縁層28、つまり第3の領域28Rの第1の絶縁層28は、第1絶縁膜25と、第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61b(第1有機絶縁膜61aと第2有機絶縁膜61bとが配置された部分63の有機絶縁層61)とで構成され、膜厚Rd1(概略170nm)を有している。このように、第1有機絶縁膜61aが配置された部分62は、第2の領域28Gに対応する。第1有機絶縁膜61aと第2有機絶縁膜61bとが配置された部分63は、第3の領域28Rに対応する。
第1有機絶縁膜61aが配置された部分62は、本発明における「第1の平坦部」の一例であり、以降、第1の平坦部62と称す。第1有機絶縁膜61aと第2有機絶縁膜61bとが配置された部分63は、本発明における「第2の平坦部」の一例であり、以降、第2の平坦部63と称す。
かかる構成によって、発光機能層32で発した光を電源線14と対向電極33との間で往復させ、特定波長の光を共振させて(増幅させて)、特定波長の光を封止基板70から表示光として射出させることができる。その結果、発光画素20Rから610nmをピーク波長とする赤色(R)の光が発せられ、発光画素20Gから540nmをピーク波長とする緑色(G)の光が発せられ、発光画素20Bから470nmをピーク波長とする青色(B)の光が発せられる。
「コンタクト部の概要」
次に、図13を参照して、画素電極31と第3トランジスター23とが電気的に接続された部分(コンタクト部)の概要を説明する。
図13に示すように、発光画素20Bでは、画素電極31Bは中継電極106Bに直接接し、実施形態1と同じ構成を有している。
発光画素20Gでは、中継電極106Gと画素電極31Gとの間に、第1有機絶縁膜61a(第1の平坦部62の有機絶縁層61)が設けられている。第1有機絶縁膜61aには、中継電極106Gの一部を露出させるコンタクトホール28CT1が設けられている。画素電極31Gは、コンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続されている。
発光画素20Rでは、中継電極106Rと画素電極31Rとの間に、第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61b(第2の平坦部63の有機絶縁層61)が設けられている。第1有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bには、中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2が設けられている。画素電極31Rは、コンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続されている。
本実施形態においても、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれで、光学的な距離の調整層である第1の絶縁層28の膜厚は一定であるため、公知技術(特開2009−134067号公報)と比べて発光領域(開口29B,29G,29R)を広くすることができるという実施形態1と同様の効果を得ることができる。
「有機EL装置の製造方法」
次に、図14乃至図16を参照して、有機EL装置200の製造方法を説明する。図14は、有機EL装置の製造方法を示す工程フローである。図15及び図16は、図10及び図11に対応し、図14に示す各工程を経た後の有機EL装置の状態を示す概略断面図である。
図14に示すように、有機EL装置200を製造する工程は、光反射層としての電源線14を形成する工程(ステップS11)と、第1絶縁膜25を形成する工程(ステップS12)と、中継電極106を形成する工程(ステップS13)と、第1有機絶縁膜61aを形成する工程(ステップS14)と、第2有機絶縁膜61bを形成する工程(ステップS15)と、画素電極31を形成する工程(ステップS16)と、を含んでいる。
なお、ステップS11は実施形態1におけるステップS1と同じであり、ステップS12は実施形態1におけるステップS2と同じであり、ステップS13は実施形態1におけるステップS3と同じであり、ステップS16は実施形態1におけるステップS9と同じである。
ステップS11では、図15(a)に示すように、電源線14及び中継電極14cを形成する。
ステップS12では、図15(b)に示すように、中継電極14cの一部を露出させるコンタクトホール25CTを有する第1絶縁膜25を形成する。
ステップS13では、図15(c)に示すように、平面視で中継電極14cと重なるように中継電極106を形成する。
ステップS14では、図16(a)に示すように、例えば感光性アクリル樹脂を塗布し、熱処理(プリベーク)、露光、現像、硬化処理などを施し、第1絶縁膜25及び中継電極106を覆う第1有機絶縁膜61aを形成する。感光性アクリル樹脂は、ネガタイプのレジストであり、露光された部分が硬化し、未露光の部分が現像液に溶解する。第1有機絶縁膜61aは、第2の領域28Gから第3の領域28Rまでの領域65に形成され、中継電極106Gの一部を露出させるコンタクトホール28CT1と、中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2aとを有している。
ステップS15では、図16(b)に示すように、ステップS14と同じ材料(感光性アクリル樹脂)を塗布し、熱処理(プリベーク)、露光、現像、硬化処理などを施し、第2有機絶縁膜61bを形成する。第2有機絶縁膜61bは、第3の領域28Rの第1有機絶縁膜61aの上に形成される。つまり、第1有機絶縁膜61aの上に第2有機絶縁膜61bを積層して、第2の平坦部63を形成する。第2有機絶縁膜61bが積層されていない部分の第1有機絶縁膜61aが、第1の平坦部62となる。
また、第2有機絶縁膜61bは、中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2bを有している。第1有機絶縁膜61aに設けられたコンタクトホール28CT2aと、第2有機絶縁膜61bに設けられたコンタクトホール28CT2bとで、中継電極106Rの一部を露出させるコンタクトホール28CT2が形成される。
ステップS16では、図16(c)に示すように、中継電極106Bに直接接する画素電極31Bを第1の領域28Bに形成し、コンタクトホール28CT1を介して中継電極106Gに接続された画素電極31Gを第2の領域28Gに形成し、コンタクトホール28CT2を介して中継電極106Rに接続された画素電極31Rを第3の領域28Rに形成する。
本実施形態では、実施形態1の第2絶縁膜26に対応する第1有機絶縁膜61a、及び実施形態1の第3絶縁膜27に対応する第2有機絶縁膜61bは、ネガレジスト(感光性アクリル樹脂)を用いたフォトリソプロセスで形成されているので、実施形態1の第2絶縁膜26や第3絶縁膜27を形成するために必要な成膜やエッチングなどの工程が省略されている。従って、実施形態1と比べて、第1の絶縁層28の製造工程が簡略化され、有機EL装置200の生産性を向上し、有機EL装置200の製造コストを低減することができる。
(実施形態3)
「電子機器」
図17は、電子機器の一例としてのヘッドマウントディスプレイの概略図である。
図17に示すように、ヘッドマウントディスプレイ1000は、左右の目に対応して設けられた2つの表示部1001を有している。観察者Mはヘッドマウントディスプレイ1000を眼鏡のように頭部に装着することにより、表示部1001に表示された文字や画像などを見ることができる。例えば、左右の表示部1001に視差を考慮した画像を表示すれば、立体的な映像を見て楽しむこともできる。
表示部1001には、実施形態1の有機EL装置100あるいは実施形態2の有機EL装置200が搭載されている。有機EL装置100及び有機EL装置200は、光共振構造を有しているので、発光画素20B,20G,20Rで発せられる光の色純度が高められている。さらに、有機EL装置100及び有機EL装置200では、発光領域(開口29B,29G,29R)が広くなっているので、明るく鮮やかな表示が提供される。従って、明るく鮮やかな表示のヘッドマウントディスプレイ1000を提供することができる。
なお、上記有機EL装置100または上記有機EL装置200が搭載される電子機器は、ヘッドマウントディスプレイ1000に限定されない。例えば、ヘッドアップディスプレイや、デジタルカメラの電子ビューファインダー、携帯型情報端末、ナビゲーターなどの表示部を有する電子機器に搭載してもよい。さらに、表示部に限定されず、本発明を照明装置や露光装置にも適用することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う発光装置及び該発光装置が搭載された電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)図18は、変形例1に係る有機EL装置の構成を示す概略平面図である。同図に示すように、本変形例に係る有機EL装置300では、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rは、X方向に延在した矩形状をなしている。このように、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rは、Y方向に延在した矩形状(実施形態1)に限定されず、例えばX方向に延在した矩形状であってもよい。
なお、変形例1に係る有機EL装置において、Y方向は、本発明における「第1の方向」の一例であり、X方向は、本発明における「第2の方向」の一例である。X方向には、同じ色の発光が得られる発光画素20が配置されている。つまり、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bは、X方向に配置され、矩形状(ストライプ形状)をなしている。緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gは、X方向に配置され、矩形状(ストライプ形状)をなしている。赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rは、X方向に配置され、矩形状(ストライプ形状)をなしている。Y方向には、異なる色の発光が得られる発光画素20が、B,G,Rの順に繰り返して配置されている。なお、Y方向における発光画素20の配置は、B,G,Rの順でなくてもよく、例えばR,G,Bの順であってもよい。
(変形例2)図19は、変形例2に係る有機EL装置の構成を示す概略平面図である。同図に示すように、本変形例に係る有機EL装置400では、発光画素20GがY方向に沿って配置され、発光画素20Bと発光画素20RとはY方向に沿って交互に配置され、二つの発光画素20Gと一つの発光画素20Bと一つの発光画素20Rとで表示単位Pが構成されている。このように、四つの発光画素20で表示単位Pを構成することによって、三つの発光画素20で表示単位Pを構成する場合と比べて、より細かい表示が可能になる。
発光画素20Gが配置される第2の領域28Gは、Y方向に延在した矩形状をなしている。第1の領域28Bは発光画素20Bと略同じ形状を有し、第3の領域28Rは発光画素20Rと同じ形状を有している。第1の領域28B及び第3の領域28Rは、Y方向に沿って交互に配置されている。
上述したように、発光画素20Bが配置される領域が第1の領域28Bとなり、発光画素20Gが配置される領域が第2の領域28Gとなり、発光画素20Rが配置される領域が第3の領域28Rとなる。このため、第1の領域28B、第2の領域28G及び第3の領域28Rの配置は、発光画素20B,20G,20Rの配置に対応して変化する。
例えば、発光画素20B,20G,20Rがストライプ配置を有していれば、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの配置は、実施形態1や実施形態2に示すような配置(図1、図18参照)となる。例えば、発光画素20B,20G,20Rがジグザグ配置を有していれば、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの配置も、ジグザグ配置となる。
(変形例3)有機絶縁層61は、二つの有機絶縁膜(第1有機絶縁膜61a、第2有機絶縁膜61b)で構成されることに限定されず、一つの有機絶縁膜で構成されてもよい。例えば、ポジ型の感光性樹脂に、多階調の露光マスクを用いて領域毎に異なる露光量の多階調露光を施し、膜厚の異なる領域(第1の平坦部62、第2の平坦部63、コンタクトホール28CT1,28CT2)を一括形成する方法で、有機絶縁層61を形成してもよい。ポジ型の感光性樹脂としては、例えば感光材(ナフトキノンジアジド置換化合物など)が分散されたアルカリ可溶性樹脂(ノボラック系樹脂など)などを使用することができる。有機絶縁層61を一つの有機絶縁膜で形成することによって、生産性を高めることができる。また、有機絶縁層61を、三つ以上の有機絶縁膜で構成してもよい。
(変形例4)第2有機絶縁膜61a及び第2有機絶縁膜61bは、ネガレジスト(感光性樹脂)を用いたフォトリソプロセスで形成することに限定されない。例えば、印刷法やインクジェット法などの方法で形成してもよい。同様に、変形例3に係る有機絶縁層61も、印刷法やインクジェット法などの方法で形成してもよい。
(変形例5)第1絶縁膜25は、有機材料で構成してもよい、つまり、第1の絶縁層28の全てを有機材用で構成してもよい。例えば、第1絶縁膜25を、実施形態2と同じ有機材料(感光性アクリル樹脂)を使用したフォトリソプロセスで形成してもよい。第1絶縁膜25を構成する材料を無機材料(窒化シリコン)から有機材料(感光性アクリル樹脂)に変更し、フォトリソプロセスだけでパターニングすることで、生産性を高めることができる。