以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る紙葉類取り出し装置1(以下、単に、取り出し装置1と称する)を備えた区分装置10の構成を示すブロック図である。図2は、図1の区分装置10に組み込まれた取り出し装置1を上方から見た平面図である。また、図3は、図2の取り出し装置1の動作を制御する制御系のブロック図である。
図1に示すように、区分装置10は、複数枚の紙葉類P(本実施形態では封書やはがきなどの郵便物)から各種情報(本実施形態では宛先などの区分情報)を順次読み取って区分集積するものであり、上述した取り出し装置1の他に、検知部2、区分部3、排除部4、読取部5、区分部6、および集積部7を有する。
紙葉類Pは、積層した状態で取り出し装置1に立位でセット(図2に示す状態)され、搬送路8上に1枚ずつ取り出される。搬送路8には、複数組の無端状の搬送ベルト8a、8b(搬送機構)(図2に一例を図示)が搬送路8を挟むように延設されており、紙葉類Pは搬送ベルト8a、8bに挟持されて搬送される。この際、2本の搬送ベルト8a、8bが重なった状態でローラに巻き付けられた部位が搬送ニップNとして機能し、ベルト8a、8bの間を通る紙葉類Pに搬送力を付与する。
搬送路8上に取り出された紙葉類Pは、検知部2へ搬送される。ここで当該紙葉類Pの重送、ショートギャップ、厚さ、高さなどを検出し、規定外の紙葉類Pが区分部3を介して、排除部4へ搬送される。それ以外の紙葉類Pは、区分部3を介してさらに下流の読取部5へと搬送される。読取部5は、当該紙葉類Pから宛先などの区分情報を読み取る。そして、読取部5を介して読み取った各種情報に基づいて、図示しない制御部が当該紙葉類Pの区分先を判別する。読取部5を通過した紙葉類Pは、制御部における判別結果に基づいて、区分部6を介してその搬送方向が振り分けられ、複数の集積部7の何れかに区分集積される。
次に、図2を参照して、第1の実施形態の取り出し装置1について詳細に説明する。
取り出し装置1は、立位で投入された複数枚の紙葉類Pをその重ね方向に移動させて移動方向先端にある紙葉類Pを取り出し位置11へ供給する供給機構12、取り出し位置11に供給された紙葉類Pを面方向に繰り出す繰り出し機構13、供給機構12を介して供給される紙葉類Pのうち重ね方向先端の紙葉類Pを取り出し位置11にPに向けて吸引する吸引機構14、取り出し位置11に供給された紙葉類Pに対して吸引機構14より取り出し方向上流側で紙葉類Pの取り出し動作や分離動作を補助する補助機構15、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pをさらに下流側へと送る送り機構16、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pに連れ出された2枚目以降の紙葉類Pを分離する分離機構17、分離機構17を通過した紙葉類Pを引き抜くことで1枚ずつに分離しつつ、さらに下流側の搬送路8へと搬送する引き抜き機構18、および、紙葉類Pを引き抜き機構18に対して押し付けるための押し付け機構19を有する。
供給機構12は、紙葉類Pの下端辺に当接してその重ね方向(矢印F方向)に移動させる2本のメインフロアベルト21、22を有する。また、供給機構12は、さらに、取り出し位置11の近傍に、取り出し位置11への紙葉類Pの供給状態を細かく制御するため、3本のサブフロアベルト23、24、25を有する。これら5本のベルトフロア21〜25は、それぞれ無端状に張設され、紙葉類Pの載置面に露出した部分が図示矢印F方向に走行する。
また、複数枚の紙葉類Pのうち移動方向(図示矢印F方向)後端にある紙葉類Pの面に接触する位置には、メインフロアベルト21と協働して矢印F方向に移動することで移動方向先端の紙葉類Pを取り出し位置11へ供給するバックアッププレート26が設けられている。バックアッププレート26は、一方のメインフロアベルト21と簡易的に接続され、メインフロアベルト21を駆動することによって矢印F方向に移動される。さらに、供給機構12は、重ねた状態で投入された複数枚の紙葉類Pの取り出し方向先端(図2で上端)を接触させてその移動をガイドするガイド27を有する。
繰り出し機構13は、チャンバ31、バルブ32、および真空ポンプ33(または相当品)を有する。チャンバ31と真空ポンプ33とをつなぐ配管の途中にあるバルブ32は、真空ポンプ33によって発生するチャンバ31内の負圧をオン(吸着)/オフ(非吸着)する。
また、繰り出し機構13は、少なくとも一部が取り出し位置11に沿って紙葉類Pの取り出し方向(矢印T方向)に走行する無端状の繰り出しベルト34、およびこの繰り出しベルト34を駆動するモータ35を有する。繰り出しベルト34は、図示しない多数の吸着孔を有し、複数のローラ36に巻回されて張設されている。
チャンバ31は、取り出し位置11に供給された紙葉類Pの面を接触させてその移動をガイドするガイド37の裏面側、すなわち取り出しベルト34およびガイド37を挟んで取り出し位置11に対向する位置に配置されている。チャンバ31の開口は、繰り出しベルト34の裏面に対向する。
しかして、モータ35を図示矢印方向に回転させて繰り出しバルブ32を開いて真空ポンプ33を作動させると、チャンバ31内に生じた負圧によって繰り出しベルト34の多数の吸着孔を介してベルト表面に負圧が作用し、取り出し位置11の紙葉類Pが繰り出しベルト34の表面に吸着され、繰り出しベルト34の走行によって当該紙葉類Pが矢印T方向に取り出される。
この際、搬送路8に近接した2つのローラ36、36間に掛け渡された繰り出しベルト34の部位が、取り出し位置11の紙葉類Pの表面に沿って走行するため、この部位が当該紙葉類Pの表面に面接触する。つまり、搬送路8に近接したローラ36、36間に距離を設けることで、紙葉類Pに繰り出しベルト34が接触する面積を比較的大きくすることができ、当該紙葉類Pに十分な搬送力を付与できる。
吸引機構14は、取り出し位置11に対してガイド37の裏面側に配置されたチャンバ41、およびチャンバ41内の空気を吸引するためのブロア42(または相当品)を有する。チャンバ41は、上述した繰り出し機構13と後述する補助機構15との間で、その開口部をガイド37の裏面に対向させる姿勢で取り出し位置11に隣接して配置される。また、ガイド37は、チャンバ41の開口幅に合わせて複数の吸引孔(図示せず)を有する。
補助機構15は、紙葉類Pの取り出し方向(矢印T方向)に沿って吸引機構14より上流側、すなわち図2中下方に配置されている。この補助機構15は、上述した繰り出し機構13とほぼ同じ構造を有するため、ここではその詳細な説明を省略する。
送り機構16は、図2で繰り出し機構13の上方、すなわち紙葉類Pの取り出し方向(矢印T方向)に沿って下流側で、かつ搬送路8を挟んで分離機構17に対向する側に配置されている。この送り機構16も、上述した繰り出し機構13とほぼ同じ構造を有するため、ここではその詳細な説明を省略する。
分離機構17は、取り出し位置11の下流側の搬送路8に対し、上述した繰り出し機構13と反対側で、送り機構16に対向する位置に設けられている。分離機構17は、繰り出し機構13によって吸着されて取り出された紙葉類Pに重なった状態で連れ出された2枚目以降の紙葉類Pがあった場合(紙葉類の重送)に、これら2枚目以降の紙葉類Pを取り出し方向(矢印T方向)とは逆方向に戻して1枚目の紙葉類Pと分離するよう機能する。
具体的には、分離機構17は、搬送路8上に取り出された紙葉類Pに接触して回転する比較的大径の分離ローラ71を有する。分離ローラ71は、分離アーム72の先端に回動自在に取り付けられ、分離アーム72の基端部に取り付けられたスプリング73により、所定の押圧力で搬送路8に押し付けられている。分離アーム72には図示しないストッパが設けられており、送り機構16の送りベルト64に分離ローラ71が接触せず、かつ最薄紙葉類Pが送りベルト64と分離ローラ71の間を通過可能な位置に分離ローラ71を保持せしめている。分離ローラ71は、タイミングベルト74を介して分離モータ75に接続されている。分離モータ75は、2枚目以降の紙葉類Pを取り出し方向(矢印T方向)とは逆方向に分離するよう、分離ローラ71に対して逆方向の分離力を付与している。
紙葉類Pの取り出し方向Tに沿って分離機構17の下流側には、搬送路8に沿って搬送される紙葉類Pの1面側をガイドするガイド76が設けられている。搬送路8を挟んで反対側の上述したガイド37と当該ガイド76との間の隙間は、この取り出し装置1で処理される紙葉類Pのうち最も厚い紙葉類Pが通過可能な値に設計されている。
引き抜き機構18は、図2で送り機構16の上方、すなわち紙葉類Pの取り出し方向(矢印T方向)に沿って下流側に配置されている。引き抜き機構18は、チャンバ81、およびブロア82(または相当品)を有する。チャンバ81とブロア82をつなぐ配管の途中には、負圧をオン/オフするバルブは設けられておらず、この部分(バルブ)が繰り出し機構13と異なる構造である。他については、上述した繰り出し機構13とほぼ同じ構造であるため、その詳細な説明は省略するが、ブロア82は送り機構16のポンプ63より流量が多く、ベルト84の孔はベルト64の孔より開口面積が大きいため、引き抜き機構18による搬送力は送り機構16による搬送力より大きくなっている。
なお、引き抜き機構18は、本実施形態の構造に限らず、搬送路8に沿って回転する引き抜きローラ(図示せず)を有するものであっても良い。この場合、引き抜きローラは、例えば、摩擦係数の比較的大きなゴムローラであっても良く、搬送路8を通過中の紙葉類Pの表面に摩擦力を作用させて、後述する押し付け機構19と協働して、当該紙葉類Pを引き抜いて搬送するよう機能する。いずれにしても、引き抜き機構18は、その上流側に配置された各機構13、15、16より僅かに速い速度で紙葉類Pを搬送し、上流側の機構から紙葉類Pを引き抜く。
押し付け機構19は、搬送路8を間に挟んで引き抜き機構18の反対側に配置されている。押し付け機構19は、紙葉類Pを引き抜き機構18に押し付けるための押し付けローラ91を有する。押し付けローラ91は、取り出し方向(矢印T方向)に対して正逆両方向に自在に回転可能なように押し付けアーム92の先端に取り付けられている。また、押し付けローラ91は、材質が弾性体(例えば、内層がスポンジ、外層が天然ゴムの2層構造)で、引き抜きベルト84よりも柔らかい材質である。これにより、紙葉類Pに押し付ける部分が変形し、紙葉類Pを挟持する際の面積を稼いでいる。押し付けアーム92の基端部は押し付けモータ93に接続されており、この押し付けモータ93を駆動することで、押し付けローラ91を搬送路8に対して離接させることができる。
また、この取り出し装置1は、取り出し位置11から搬送路8上に取り出された紙葉類Pの通過を検出する7つのセンサ94、95、96、97、98、99、100を有する。各センサ94〜100は、紙葉類Pが通過する搬送路8を挟むように発光部および受光部を有し、その光軸を紙葉類Pが遮ることをもって当該紙葉類Pの通過を検出する。
なお、補助機構15のチャンバ51と繰り出し機構13のチャンバ31との間の距離、繰り出し機構13のチャンバ31と送り機構16のチャンバ61との間の距離、送り機構16のチャンバ61と引き抜き機構18のチャンバ81との間の距離、および引き抜き機構18のチャンバ81と搬送路8の搬送ニップNとの間の距離は、当該区分装置10で処理対象となる紙葉類Pのうち搬送方向に沿った長さが最も短い最小紙葉類Pの長さよりも短く設定されている。これにより、最小紙葉類Pであっても、各機構の間で受け渡し搬送が可能となり、最小紙葉類Pが途中で吸着搬送されずに滞留するような不具合を防止できる。
図3に示すように、上述した取り出し装置1の制御系は、上述した7つのセンサ94〜100による検出結果に基づいて、各機構12、13、14、15、16、17、18、19を動作制御するコントローラ101(制御部)を有する。コントローラ101には、繰り出し機構13のモータ35、繰り出し機構13のバルブ32、補助機構15のモータ55、補助機構15のバルブ52、送り機構16のモータ65、送り機構16のバルブ62、および引き抜き機構18のモータ85が接続されている。
上記構造の取り出し装置1は、基本的に、以下のように動作する。
つまり、この取り出し装置1では、供給機構12のフロアベルト上にセットされた紙葉類Pが、供給機構12によって図中矢印F方向に送られ、供給方向先端の紙葉類Pが吸引機構14によって取り出し位置11に寄せられる。このように、取り出し位置11に吸引機構14を設けることで、供給機構12により送られる1枚目の紙葉類Pを素早く取り出し位置11に配置できる。
取り出し位置11に引き寄せられた紙葉類Pは、繰り出し機構13の繰り出しベルト34の表面に吸着され、この状態で繰り出しベルト34からの搬送力を受けて取り出し方向(矢印T方向)に取り出される。このとき、補助機構15の補助ベルト54を介して当該紙葉類Pに対して負圧が作用され、繰り出し機構13による取り出し動作が補助される。
このようにして搬送路8上に取り出された紙葉類Pは、7つのセンサ94〜100を介してその通過を検出されながら、送り機構16によってさらに下流側へと送られる。このとき、分離機構17の分離ローラ71により取り出し方向(矢印T方向)と逆方向の分離力が付与され、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pに連れ出された2枚目以降の紙葉類Pが、その場に停止あるいは逆方向に戻されて1枚目の紙葉類Pと分離される。
送り機構16によりさらに下流側に送られた紙葉類Pは、引き抜き機構18と押し付け機構19との間で挟持され、送り機構16から引き抜かれる。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)が所定の間隔から外れている場合には、それを補正するように引き抜き機構18の引き抜きモータ85を駆動制御する。こうして、紙葉類Pを1枚ずつに分離しつつ、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔に保っている。
さらに、引き抜き機構18で引き抜かれた紙葉類Pは、搬送路8を規定している搬送ベルト8a、8bのニップNに送り込まれ、搬送路8を介して下流側の処理部2〜7へ搬送されて処理される。
次に、上述した取り出し装置1の第1の動作例について、図4のフローチャートを参照して説明する。
コントローラ101は、一連の取り出し動作の準備として、吸引機構14のブロア42、引き抜き機構18のブロア82、引き抜き機構18のモータ85、繰り出し機構13のポンプ33、補助機構15のポンプ53、および送り機構16のポンプ63をON(駆動)にする(ステップS1)。
ステップS1により取り出し準備が整ったら、コントローラ101は、供給機構12を動作制御して複数枚の紙葉類Pを取り出し位置11に順に供給する(ステップS2)。
紙葉類Pが取り出し位置11に到達すると、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をON(吸着)、モータ35をON(駆動)とし、取り出し位置11の紙葉類Pを下流側の送り機構16へと繰り出す(ステップS3)。
その後、繰り出し機構13のベルト34により紙葉類Pは吸着搬送され、送り機構16への到達、つまりセンサ96の光軸を紙葉類Pの先端が遮ったことを検知すると(ステップS4;YES)、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をOFF(非吸着)、モータ35をOFF(停止)にして、繰り出し機構13による紙葉類Pの繰り出し動作を停止する(ステップS5)。
また、紙葉類Pが送り機構16に到達すると、コントローラ101は、送り機構16のバルブ62をON(吸着)、モータ65をON(駆動)とし、紙葉類Pをさらに下流側の引き抜き機構18へと繰り出す(ステップS6)。なお、ステップS5の処理とステップS6の処理は略同時に実施されるため、ステップS5の処理をステップS6の処理の後に実施しても良い。
その後、送り機構16のベルト64により紙葉類Pは吸着搬送され、引き抜き機構18への到達、つまりセンサ99を紙葉類Pの先端が遮ったことを検知すると(ステップS7;YES)、コントローラ101は、送り機構16のバルブ62をOFF(非吸着)、モータ65をOFF(停止)にし、送り機構16による紙葉類Pの繰り出し動作を停止する(ステップS8)。
引き抜き機構18に到達した紙葉類Pは、引き抜き機構18のベルト84により吸着搬送され、さらに下流側の搬送路8へと搬送される(ステップS9)。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔にするため、コントローラ101は、センサ100で検出した情報に基づいて、引き抜き機構18のモータ85を駆動制御する。
コントローラ100は、供給機構12に投入された紙葉類Pが無くなるまで上述したステップS1〜S9の処理を繰り返し(ステップS10;YES)、全ての紙葉類Pを取り出した後(ステップS10;NO)、処理を終了する。
以上のように、第1の動作例によると、繰り出し機構13の繰り出しベルト34を取り出し位置11に供給された紙葉類Pの表面に比較的広い面積で接触させることができるため、取り出し位置11にある紙葉類Pを繰り出し機構13で確実に吸着搬送できる。同様に、送り機構16の送りベルト64、および引き抜き機構18の引き抜きベルト84も、比較的広い面積で当該紙葉類Pの表面を吸着せしめるため、当該紙葉類Pに強い搬送力を与えることができる。
また、当該紙葉類Pが送り機構16に到達すると、繰り出し機構13を動作させないようにするため、2枚目以降の紙葉類Pを繰り出し機構13のベルト34で繰り出すことがない。さらに、当該紙葉類Pが引き抜き機構18に到達すると、送り機構16を動作させないようにするため、繰り出し不良などにより重送となってしまった2枚目以降の紙葉類Pを送り機構16のベルト64で送ることがない。
つまり、第1の動作例によると、大きさ・厚さ・重さが大きく異なる紙葉類Pが混在していた場合であっても、全ての紙葉類Pを安定した状態で取り出すことができる。
次に、上述した取り出し装置1の第2の動作例について、図5のフローチャートを参照して説明する。
コントローラ101は、一連の取り出し動作の準備として、吸引機構14のブロア42、引き抜き機構18のブロア82、引き抜き機構18のモータ85、繰り出し機構13のポンプ33、補助機構15のポンプ53、および送り機構16のポンプ63をON(駆動)にする(ステップS11)。
ステップS11により取り出し準備が整ったら、コントローラ101は、供給機構12を動作制御して複数枚の紙葉類Pを取り出し位置11に順に供給する(ステップS12)。
紙葉類Pが取り出し位置11に到達すると、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をON(吸着)、モータ35をON(駆動)とし、紙葉類Pをさらに下流側の送り機構16へと繰り出す(ステップS13)。
このとき、繰り出し機構13によって当該紙葉類Pが正常に取り出されれば、センサ94、95を介して所定のタイミングで当該紙葉類Pの先端通過が検知され、取り出し開始から所定時間経過後に、当該紙葉類Pが、搬送遅れがほぼ無い状態で取り出し方向下流側の送り機構16に到達する(ステップS14;NO)。
しかし、例えば、比較的大きい紙葉類Pや、比較的厚い紙葉類Pや、比較的重い紙葉類Pを取り出す場合、ステップS13で繰り出し機構13を動作させただけでは、当該紙葉類Pを正常に取り出すことが難しい場合がある。このように、紙葉類Pが正常に取り出されない場合、当該紙葉類Pに搬送遅れを生じてしまう可能性がある。
このため、コントローラ101は、このような搬送遅れが生じたことを、センサ94、95を介して検出したとき(ステップS14;YES)、補助機構15のバルブ52をON(吸着)にするとともに、モータ55をON(駆動)にし、繰り出し機構13と補助機構15とを協働させるようにしている(ステップS15)。これにより、当該紙葉類Pに対してより大きな搬送力を与えることができ、当該紙葉類Pの繰り出しを安定させることができる。
この後、繰り出し機構13のベルト34および補助機構15のベルト54に紙葉類Pが吸着されて取り出し位置11から取り出されると、コントローラ101は、センサ96を介して当該紙葉類Pの搬送方向先端が送り機構16へ到達したか否かを判断する(ステップS16)。そして、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pの先端がセンサ96に達したことを検知すると(ステップS16;YES)、コントローラ101は、補助機構15のバルブ52をOFF(非吸着)、モータ55をOFF(停止)とする(ステップS17)。また、コントローラ101は、同時に、繰り出し機構13のバルブ32をOFF(非吸着)、モータ35をOFF(停止)とする(ステップS18)。これにより、繰り出し機構13と補助機構15による紙葉類Pの繰り出し動作が停止される。
上述したように、紙葉類Pが送り機構16に到達すると、コントローラ101は、送り機構16のバルブ62をON(吸着)、モータ65をON(駆動)とし、紙葉類Pをさらに下流側の引き抜き機構18へと繰り出す(ステップS19)。
このとき、送り機構16によって当該紙葉類Pが正常に搬送されれば、センサ97、98を介して所定のタイミングで当該紙葉類Pの先端通過が検知され、所定時間経過後に、当該紙葉類Pが、搬送遅れがほぼ無い状態で取り出し方向下流側の引き抜き機構18に到達する(ステップS20;NO)。
しかし、例えば、比較的大きい紙葉類Pや、比較的厚い紙葉類Pや、比較的重い紙葉類Pを送り機構16で送る場合、ステップS19で送り機構16を動作させただけでは、当該紙葉類Pを正常に送ることが難しい場合がある。このように、紙葉類Pが正常に送られない場合、当該紙葉類Pに搬送遅れを生じてしまう可能性がある。
このため、コントローラ101は、このような搬送遅れが生じたことを、センサ97、98で検出したとき(ステップS20;YES)、繰り出し機構13のバルブ32をON(吸着)にするとともに、モータ35をON(駆動)にし、送り機構16と繰り出し機構13とを協働させるようにしている(ステップS21)。これにより、当該紙葉類Pに対してより大きな搬送力を与えることができ、当該紙葉類Pを安定して送ることができる。
送り機構16で紙葉類Pを送る場合、当該紙葉類Pは搬送方向に移動している。このため、停止している紙葉類Pを繰り出す繰り出し機構13と比較して、送り機構16の方が紙葉類Pを送り易く、繰り出し機構13だけで繰り出しできなかった紙葉類Pであっても、送り機構16であれば送ることができる可能性が高い。しかし、ステップS21で送り機構16と繰り出し機構13を協働させたときに当該紙葉類Pをうまく送れない場合には、さらに補助機構15を動作させてもよい。
いずれにしても、送り機構16のベルト64、および繰り出し機構13のベルト34に紙葉類Pが吸着されて下流側へと送られると、コントローラ101は、センサ99を介して当該紙葉類Pの搬送方向先端が引き抜き機構18へ到達したか否かを判断する(ステップS22)。そして、当該紙葉類Pの先端がセンサ99の光軸を遮ったことを検知すると(ステップS22;YES)、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をOFF(非吸着)、モータ35をOFF(停止)とする(ステップS23)。また、コントローラ101は、同時に、送り機構16のバルブ62をOFF(非吸着)、モータ65をOFF(停止)とする(ステップS24)。これにより、送り機構16と繰り出し機構13による紙葉類Pの送り動作が停止される。
引き抜き機構18に到達した紙葉類Pは、引き抜き機構18のベルト84により吸着搬送され、さらに下流側の搬送路8へと搬送される(ステップS25)。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔にするため、コントローラ101は、センサ100で検出した情報に基づいて、引き抜き機構18のモータ85を駆動制御する。
コントローラ100は、供給機構12に投入された紙葉類Pが無くなるまで上述したステップS11〜S25の処理を繰り返し(ステップS26;YES)、全ての紙葉類Pを取り出した後(ステップS26;NO)、処理を終了する。
以上のように、第2の動作例によると、取り出し位置11にある紙葉類Pを繰り出し機構13だけで吸着搬送できない場合でも、補助機構15を動作させることで、当該紙葉類Pを確実に繰り出すことができる。この場合、補助機構15も、比較的広い面積で当該紙葉類Pの表面に補助ベルト54を接触させることができるため、当該紙葉類Pに対して十分な搬送力を与えることができる。また、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pを送り機構16だけで送れない場合も、繰り出し機構13を動作させることで、当該紙葉類Pを確実に送ることができる。
また、当該紙葉類Pが送り機構16に到達すると、繰り出し機構13および補助機構15を動作させないようにするため、2枚目以降の紙葉類Pを繰り出し機構13のベルト34、および補助機構15のベルト54で繰り出すことがない。さらに、当該紙葉類Pが引き抜き機構18に到達すると、送り機構16と繰り出し機構13とを動作させないようにするため、2枚目以降の紙葉類Pを送り機構16のベルト64、および繰り出し機構13のベルト34で送ることがない。
このため、第2の動作例によると、大きさ・厚さ・重さが大きく異なる紙葉類が混在していた場合であっても、全ての紙葉類Pを安定した状態で取り出すことができる。
次に、図6を参照して、第2の実施形態の取り出し装置1’について説明する。
第2の実施形態の取り出し装置1’は、上述した第1の実施形態の取り出し装置1の送り機構16を無くした構造を有する。また、送り機構16を無くした分、繰り出し機構13、吸引機構14、および補助機構15を、取り出し方向下流側へと若干シフトさせている。具体的には、例えば、繰り出し機構13のチャンバ31が供給機構12にセットされる紙葉類Pの取り出し方向先端に対向している。さらに、分離機構17の構造も第1の実施形態のものと若干異なる。それ以外の構造は、上述した第1の実施形態の取り出し装置1と略同じ構造であるため、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、補助機構15のチャンバ51と繰り出し機構13のチャンバ31との間の距離、繰り出し機構13のチャンバ31と引き抜き機構18のチャンバ81との間の距離、および引き抜き機構18のチャンバ81と搬送路8の搬送ニップNとの間の距離は、当該区分装置10で処理対象となる紙葉類Pのうち搬送方向に沿った長さが最も短い最小紙葉類Pの長さよりも短く設定されている。これにより、最小紙葉類Pであっても、各機構の間で受け渡し搬送が可能となり、最小紙葉類Pが途中で吸着搬送されずに滞留するような不具合を防止できる。
第2の実施形態の取り出し装置1’は、基本的に、以下のように動作する。
つまり、この取り出し装置1’では、供給機構12のフロアベルト上にセットされた紙葉類Pが、供給機構12によって図中矢印F方向に送られ、供給方向先端の紙葉類が吸引機構14によって取り出し位置11に寄せられる。このように、取り出し位置11に吸引機構14を設けることで、供給機構12により送られる1枚目の紙葉類Pを素早く取り出し位置11に配置できる。
取り出し位置11に引き寄せられた紙葉類Pは、繰り出し機構13の取り出しベルト34の表面に吸着され、この状態で取り出しベルト34からの搬送力を受けて取り出し方向(矢印T方向)に取り出される。このとき、補助機構15の補助ベルト54を介して当該紙葉類Pに対して負圧が作用され、繰り出し機構13による取り出し動作が補助される。
このようにして搬送路8上に取り出された紙葉類Pは、5つのセンサ96〜100を介してその通過を検出される。このとき、当該紙葉類Pには、分離機構17の分離ローラ71により取り出し方向(矢印T方向)と逆方向の分離力が付与され、取り出し位置11から取り出された2枚目以降の紙葉類Pが、その場に停止あるいは逆方向に戻されて1枚目の紙葉類Pと分離される。
繰り出し機構13によって取り出し位置11から繰り出された紙葉類Pは、引き抜き機構18と押し付け機構19との間で挟持されて引き抜かれる。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)が所定の間隔から外れている場合には、それを補正するように引き抜き機構18の引き抜きモータ85を駆動制御する。こうして、紙葉類Pを1枚ずつに分離しつつ、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔に保っている。
さらに、引き抜き機構18で引き抜かれた紙葉類Pは、搬送路8を規定している搬送ベルト8a、8bのニップNに送り込まれ、搬送路8を介して下流側の処理部2〜7へ搬送されて処理される。
次に、上述した取り出し装置1’の第1の動作例について、図7のフローチャートを参照して説明する。
コントローラ101は、一連の取り出し動作の準備として、吸引機構14のブロア42、引き抜き機構18のブロア82、引き抜き機構18のモータ85、繰り出し機構13のポンプ33、および補助機構15のポンプ53をON(駆動)にする(ステップS31)。
ステップS31により取り出し準備が整ったら、コントローラ101は、供給機構12を動作制御して複数枚の紙葉類Pを取り出し位置11に順に供給する(ステップS32)。
紙葉類Pが取り出し位置11に到達すると、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をON(吸着)、モータ35をON(駆動)とし、取り出し位置11の紙葉類Pを下流側へ繰り出す(ステップS33)。
その後、繰り出し機構13のベルト34により紙葉類Pは吸着搬送され、引き抜き機構18への到達、つまりセンサ99の光軸を紙葉類Pの先端が遮ったことを検知すると(ステップS34;YES)、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をOFF(非吸着)、モータ35をOFF(停止)にして、繰り出し機構13による紙葉類Pの繰り出し動作を停止する(ステップS35)。
このようにして、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pは、引き抜き機構18のベルト84に吸着されて繰り出し機構13から引き抜かれ、さらに下流側の搬送路8へと搬送される(ステップS36)。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔にするため、コントローラ101は、センサ100で検出した情報に基づいて、引き抜き機構18のモータ85を駆動制御する。
コントローラ100は、供給機構12に投入された紙葉類Pが無くなるまで上述したステップS31〜S36の処理を繰り返し(ステップS37;YES)、全ての紙葉類Pを取り出した後(ステップS37;NO)、処理を終了する。
以上のように、第1の動作例によると、繰り出し機構13のベルト34を取り出し位置11に供給された紙葉類Pの表面に比較的広い面積で接触させることができ、当該紙葉類Pを繰り出し機構13で確実に吸着搬送できる。また、当該紙葉類Pが引き抜き機構18に到達すると、繰り出し機構13を動作させないようにするため、2枚目以降の紙葉類Pを繰り出し機構13のベルト34で繰り出すことがない。
つまり、第1の動作例によると、大きさ・厚さ・重さが大きく異なる紙葉類が混在している場合であっても、全ての紙葉類Pを安定した状態で取り出すことができる。
次に、上述した取り出し装置1’の第2の動作例について、図8のフローチャートを参照して説明する。
コントローラ101は、一連の取り出し動作の準備として、吸引機構14のブロア42、引き抜き機構18のブロア82、引き抜き機構18のモータ85、繰り出し機構13のポンプ33、および補助機構15のポンプ53をON(駆動)にする(ステップS41)。
ステップS41により取り出し準備が整ったら、コントローラ101は、供給機構12を動作制御して複数枚の紙葉類Pを取り出し位置11に順に供給する(ステップS42)。
紙葉類Pが取り出し位置11に到達すると、コントローラ101は、繰り出し機構13のバルブ32をON(吸着)、モータ35をON(駆動)とし、取り出し位置11の紙葉類Pを下流側へ繰り出す(ステップS43)。
このとき、繰り出し機構13によって当該紙葉類Pが正常に取り出されれば、センサ96、97を介して所定のタイミングで当該紙葉類Pの先端通過が検知され、取り出し開始から所定時間経過後に、当該紙葉類Pが、搬送遅れがほぼ無い状態で取り出し方向下流側の引き抜き機構18に到達する(ステップS44;NO)。
しかし、例えば、比較的大きい紙葉類Pや、比較的厚い紙葉類Pや、比較的重い紙葉類Pを取り出す場合、ステップS43で繰り出し機構13を動作させただけでは、当該紙葉類Pを正常に取り出すことが難しい場合がある。このように、紙葉類Pが正常に取り出されない場合、当該紙葉類Pに搬送遅れを生じてしまう可能性がある。
このため、コントローラ101は、このような搬送遅れが生じたことを、センサ96、97を介して検出したとき(ステップS44;YES)、補助機構15のバルブ52をON(吸着)にするとともに、モータ55をON(駆動)にし、繰り出し機構13と補助機構15とを協働させるようにしている(ステップS45)。これにより、当該紙葉類Pに対してより大きな搬送力を与えることができ、当該紙葉類Pの繰り出しを安定させることができる。
この後、繰り出し機構13のベルト34および補助機構15のベルト54に紙葉類Pが吸着されて取り出し位置11から取り出されると、コントローラ101は、センサ99を介して当該紙葉類Pの搬送方向先端が引き抜き機構18へ到達したか否かを判断する(ステップS46)。そして、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pの先端がセンサ99に達したことを検知すると(ステップS46;YES)、コントローラ101は、補助機構15のバルブ52をOFF(非吸着)、モータ55をOFF(停止)とする(ステップS47)。また、コントローラ101は、同時に、繰り出し機構13のバルブ32をOFF(非吸着)、モータ35をOFF(停止)とする(ステップS48)。これにより、繰り出し機構13と補助機構15による紙葉類Pの繰り出し動作が停止される。
このようにして、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pは、引き抜き機構18のベルト84に吸着されて繰り出し機構13から引き抜かれ、さらに下流側の搬送路8へと搬送される(ステップS49)。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔にするため、コントローラ101は、センサ100で検出した情報に基づいて、引き抜き機構18のモータ85を駆動制御する。
コントローラ100は、供給機構12に投入された紙葉類Pが無くなるまで上述したステップS41〜S49の処理を繰り返し(ステップS50;YES)、全ての紙葉類Pを取り出した後(ステップS50;NO)、処理を終了する。
以上のように、第2の動作例によると、取り出し位置11にある紙葉類Pを繰り出し機構13だけで吸着搬送できない場合でも、補助機構15を動作させることで、当該紙葉類Pを確実に繰り出すことができる。また、当該紙葉類Pが引き抜き機構18に到達すると、繰り出し機構13および補助機構15を動作させないようにするため、2枚目以降の紙葉類Pを繰り出し機構13のベルト34、および補助機構15のベルト54で繰り出すことがない。
このため、第2の動作例によると、大きさ・厚さ・重さが大きく異なる紙葉類が混在していた場合であっても、全ての紙葉類Pを安定した状態で取り出すことができる。
次に、上述した取り出し装置1’の第3の動作例について、図9のフローチャートを参照して説明する。この動作例では、取り出し位置11の紙葉類Pを取り出す際に、まず初めに補助機構15を動作させるようにした。
コントローラ101は、一連の取り出し動作の準備として、吸引機構14のブロア42、引き抜き機構18のブロア82、引き抜き機構18のモータ85、繰り出し機構13のポンプ33、および補助機構15のポンプ53をON(駆動)にする(ステップS51)。
ステップS51により取り出し準備が整ったら、コントローラ101は、供給機構12を動作制御して複数枚の紙葉類Pを取り出し位置11に順に供給する(ステップS52)。
紙葉類Pが取り出し位置11に到達すると、コントローラ101は、補助機構15のバルブ52をON(吸着)、モータ55をON(駆動)とし、取り出し位置11の紙葉類Pを下流側へ繰り出す(ステップS53)。
このとき、補助機構13によって当該紙葉類Pが正常に取り出されれば、センサ96、97を介して所定のタイミングで当該紙葉類Pの先端通過が検知され、取り出し開始から所定時間経過後に、当該紙葉類Pが、搬送遅れがほぼ無い状態で取り出し方向下流側の引き抜き機構18に到達する(ステップS54;NO)。
しかし、例えば、比較的大きい紙葉類Pや、比較的厚い紙葉類Pや、比較的重い紙葉類Pを取り出す場合、ステップS53で補助機構15を動作させただけでは、当該紙葉類Pを正常に取り出すことが難しい場合がある。このように、紙葉類Pが正常に取り出されない場合、当該紙葉類Pに搬送遅れを生じてしまう可能性がある。
このため、コントローラ101は、このような搬送遅れが生じたことを、センサ96、97を介して検出したとき(ステップS54;YES)、繰り出し機構13のバルブ32をON(吸着)にするとともに、モータ35をON(駆動)にし、繰り出し機構13と補助機構15とを協働させるようにしている(ステップS55)。これにより、当該紙葉類Pに対してより大きな搬送力を与えることができ、当該紙葉類Pの繰り出しを安定させることができる。
この後、繰り出し機構13のベルト34および補助機構15のベルト54に紙葉類Pが吸着されて取り出し位置11から取り出されると、コントローラ101は、センサ99を介して当該紙葉類Pの搬送方向先端が引き抜き機構18へ到達したか否かを判断する(ステップS56)。そして、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pの先端がセンサ99に達したことを検知すると(ステップS56;YES)、コントローラ101は、補助機構15のバルブ52をOFF(非吸着)、モータ55をOFF(停止)とする(ステップS57)。また、コントローラ101は、同時に、繰り出し機構13のバルブ32をOFF(非吸着)、モータ35をOFF(停止)とする(ステップS58)。これにより、繰り出し機構13と補助機構15による紙葉類Pの繰り出し動作が停止される。
このようにして、取り出し位置11から取り出された紙葉類Pは、引き抜き機構18のベルト84に吸着されて繰り出し機構13から引き抜かれ、さらに下流側の搬送路8へと搬送される(ステップS59)。このとき、紙葉類P間のピッチ(あるいはギャップ)を所定の間隔にするため、コントローラ101は、センサ100で検出した情報に基づいて、引き抜き機構18のモータ85を駆動制御する。
コントローラ100は、供給機構12に投入された紙葉類Pが無くなるまで上述したステップS51〜S59の処理を繰り返し(ステップS60;YES)、全ての紙葉類Pを取り出した後(ステップS60;NO)、処理を終了する。
以上のように、第3の動作例によると、取り出し位置11にある紙葉類Pを補助機構15だけで吸着搬送できない場合でも、繰り出し機構13を動作させることで、当該紙葉類Pを確実に繰り出すことができる。また、当該紙葉類Pが引き抜き機構18に到達すると、繰り出し機構13および補助機構15を動作させないようにするため、2枚目以降の紙葉類Pを繰り出し機構13のベルト34、および補助機構15のベルト54で繰り出すことがない。
なお、第2の実施形態の取り出し装置1’は、繰り出し機構13のチャンバ31が取り出し位置に供給された紙葉類Pの取り出し方向先端に対向する位置にあるため、供給機構12にセットされた紙葉類Pの先端がガイド27に沿っていない場合(先端不揃い状態)、繰り出し機構13のチャンバ31で取り出し位置11の紙葉類Pを吸着させることが難しい場合がある。このため、上述した第3の動作例のように、補助機構15のチャンバ51を最初に動作させることで、先端不揃い状態の紙葉類Pであっても安定して取り出すことができる。
すなわち、第3の動作例によると、大きさ・厚さ・重さが大きく異なる紙葉類が混在していた場合であっても、全ての紙葉類Pを安定した状態で取り出すことができる。
以上説明したように、「吸着ベルト+バルブ+駆動モータ」という構成の繰り出し機構を紙葉類Pの取り出し方向に沿って複数設けることで、大きくて重い紙葉類でも確実に吸着搬送ができ、かつ2枚目以降の紙葉類が繰り出されるのを抑制することができる。これにより、定形外の紙葉類Pを処理する区分装置のように取り扱いレンジが広く、大きさ・厚さ・重さが大きく異なる紙葉類が混在していても、安定した状態で紙葉類を取り出すことができる。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の紙葉類取り出し装置によれば、比較的広い面積で紙葉類Pの表面に接触して吸着せしめるベルト搬送を紙葉類の取り出し方向に沿って複数配置したため、比較的サイズの大きい紙葉類や比較的重い紙葉類を安定して取り出しできる。
図10は、第3の実施形態に係る紙葉類取り出し装置(以下、単に、取り出し装置と称する)の要部の構造を示す概略図である。
第3の実施形態に係る取り出し装置は、送り機構16のポンプ63(圧力制御手段)の吸気口(図示せず)とチャンバ61をつないだ吸気管102、ポンプ63の排気口(図示せず)とチャンバ61をつないだ送気管104、および吸気管102および送気管104の途中に配置した1つのバルブ62’(開閉弁)を有する。本実施形態のバルブ62’は吸気管102および送気管104を交互に開閉する。バルブ62’の詳細な構造については後に詳述する。これ以外の構造は、上述した第1の実施形態の取り出し装置1と略同じであるため、ここでは第1の実施形態の取り出し装置1と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
以下、図10乃至図12の動作説明図、および図13のフローチャートを参照して、本実施形態の取り出し装置の動作例について説明する。
紙葉類Pの取り出しを開始する前の準備動作として、コントローラ101は、モータ75を付勢して分離ローラ71に逆方向の分離力T2を付与し、送り機構16のポンプ63および引き抜き機構18のブロア82を付勢し、送り機構16のモータ65および引き抜き機構18のモータ85を付勢してベルト64、84を取り出し方向に走行させる。このとき、コントローラ101は、吸気管102を閉じて(吸気OFF)送気管104を開く(噴出しON)状態にバルブ62’を切り換えておく。
そして、紙葉類Pの取り出しを開始する際に、コントローラ101は、上述した第1の実施形態と同様の取り出し処理を実施して、取り出し位置11の紙葉類Pを搬送路8上に取り出す(図13、ステップS1)。つまり、供給機構12、取り出し機構13、吸引機構14、および補助機構15を動作させて複数枚の紙葉類Pのうち取り出し位置11に供給された紙葉類Pを搬送路8上へ取り出す。ステップS1の取り出し処理によって搬送路8上に取り出された紙葉類P1は、送り機構16へ送り込まれる。
このとき、コントローラ101は、センサ94の出力を監視して、搬送路8上に取り出された紙葉類P1の先端がセンサ94で検出された時点(ステップS2;YES、図10の状態)で、送り機構16の吸気管102を開いて(吸気ON)送気管104を閉じる(噴出しOFF)ようにバルブ62’を切り換える(ステップS3)。これにより、送り機構16による搬送力T1を当該紙葉類P1に与えることができる状態になる。
この状態で、送り機構16のベルト64から紙葉類Pに与えることのできる搬送力T1(搬送路8に沿って紙葉類Pに作用する力)は、分離機構17のローラ71によって紙葉類Pに与えることのできる逆方向の分離力T2(ローラ71の接線方向に沿って紙葉類Pに作用する力)より十分に大きく設定されているため、送り機構16と分離機構17との間を通過する紙葉類Pが1枚である場合、或いは通過する紙葉類Pが無い場合、ローラ71はベルト64に連れ回って取り出し方向Tに回転することになる。
一方、複数枚の紙葉類Pが重なったまま送り機構16と分離機構17との間に送り込まれると(例えば図11の状態)、送り機構16側の紙葉類P1がベルト64に吸着されて取り出し方向Tに送られて、分離機構17側の紙葉類P2がローラ71によって停止され、両者がさしみ状にずらされる。これにより、重なった状態(重送状態)の複数枚の紙葉類Pが分離される。
いずれにしても、ステップS3でバルブ62’を切り換えた後、紙葉類P1が送り機構16と分離機構17との間に送り込まれると、コントローラ101は、センサ99の出力を監視して、紙葉類P1の先端がセンサ99に到達した時点(ステップS4;YES、図11の状態)で、送り機構16の吸気管102を閉じて(吸気OFF)送気管104を開く(噴出しON)ようにバルブ62’を切り換える(ステップS5)。これにより、送り機構16のベルト64によって紙葉類P1に与えられていた搬送力T1を瞬時に消失させることができ、分離機構17のローラ71による分離力T2を送り機構16による搬送力T1より相対的に大きくできる。
つまり、送り機構16のチャンバ61を真空引きしていた吸気管102を閉じると同時に、送気管104を介してポンプ63の排気をチャンバ61内へ送り込むことにより、チャンバ61内の気圧を瞬時に大気圧に近付けることができ、ベルト64の表面に生じていた負圧による吸着力を瞬時に無くすことができる。
なお、図11に示す状態(センサ99の出力が暗の状態)で、紙葉類P1の先端が引き抜き機構18のベルト84と押し付け機構19のローラ91との間に挟み込まれているため、当該紙葉類P1には、送り機構16によって与えられていた搬送力T1より大きい搬送力T3が引き抜き機構18によって与えられることになり、送り機構16による搬送力T1を消失させても当該紙葉類P1の搬送に影響はない。
この状態から、紙葉類P1がさらに搬送されて、当該紙葉類P1の後端がローラ71を抜けると、例えば図11に示すように2枚目の紙葉類P2が1枚目の紙葉類P1によって連れ出されていた場合、当該紙葉類P2には、分離機構17による分離力T2だけが作用することになる。つまり、この場合、送り機構16による搬送力T1が消失されているため、1枚目の紙葉類P1に続いて2枚目の紙葉類P2が搬送されてしまうことがなく、2枚目の紙葉類P2を確実に分離することができ、1枚目の紙葉類P1との間にギャップを形成できる。
一方、センサ99を介して紙葉類P1の先端を検出した時点(ステップS4;YES)で、当該紙葉類P1に重なって連れ出された紙葉類Pが無い場合、2枚目の紙葉類P2は取り出し位置11に停止しているため、次にステップS1の取り出し処理が実行されるまで取り出されることはなく、1枚目の紙葉類P1と2枚目の紙葉類P2は正常に分離される。なお、紙葉類P1、P2間のギャップやピッチは、上述した第1の実施形態で説明したように制御可能であるため、ここではギャップやピッチの制御はしない。
ステップS5でバルブ62’を切り換えた後、コントローラ101は、センサ97の出力を監視して、1枚目の紙葉類P1の後端が送り機構16と分離機構17との間を抜けた時点(ステップS6;YES、図12の状態)で、次の紙葉類Pの取り出し処理(ステップS1)に移行する。このとき、コントローラ101は、取り出し位置11に次に取り出す紙葉類があることを条件に(ステップS7;YES)、ステップS1の処理に移行して次の紙葉類Pの取り出し動作を実行し、次に取り出す紙葉類Pが無い場合に(ステップS7;NO)全ての動作を終了する。
以上のように、本実施形態によると、上述した第1および第2の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、分離機構17に対向した送り機構16によって紙葉類Pに与える搬送力T1をON/OFF制御することにより、重送が生じた場合の分離を確実にでき、紙葉類間のギャップを確実に形成できる。特に、本実施形態によると、先行する紙葉類P1の後端が分離機構17を抜けた後に、送り機構16による搬送力T1を生じさせるようにしたため、先行する紙葉類P1につながって次の紙葉類P2が搬送される不具合(ギャップが殆ど無い状態)を防止でき、連続して取り出した紙葉類同士の間に確実にギャップを形成できる。このため、本実施形態の取り出し装置を用いると、取り出された紙葉類P間のギャップが一定の長さより短くなるショートギャップを無くすことができ、区分部3、6における区分ミスによるリジェクトを防止することができる。
ところで、上述した送り機構16に組み込まれたバルブ62’は、図14および図15に例示したロータリーバルブ62’であっても良い。このロータリーバルブ62’は、図14に拡大して示すように、送り機構16のチャンバ61とポンプ63の吸気口をつないだ吸気管102、およびポンプ63の排気口とチャンバ61をつないだ送気管104の途中に設けられている。
図15に構造を簡略化した概略図を示すように、このロータリーバルブ62’は、略円板形状の第1部材112、第2部材114、遮蔽板116、および遮蔽板116を回転させるためのモータ118を有する。第1部材112、第2部材114、および遮蔽板116は、略同じ直径を有し、遮蔽板116を第1部材112と第2部材114との間に挟んで同軸に重ねて配置し、円柱形のケース(図14のみ図示)内に収容配置している。第1部材112の中心には、モータ118の回転軸118aを回転可能に挿通するための図示しない軸受孔が設けられており、軸受孔に挿通された回転軸118aの先端が遮蔽板116の中心に固設されている。
第1部材112は、空気の吸引方向に沿って上流側、すなわちチャンバ61側の吸気管102を接続するための流通孔112a(ここでは図示せず)、および空気の排出方向に沿って下流側の送気管104を接続するための流通孔112b(ここでは図示せず)を有する。2つの流通孔112a、112bは、第1部材112の中心から離間した同一円周上にその中心が位置するように配置され、第1部材112の中心角にして互いに45度ずれた位置に配置されている。
第2部材114は、空気の吸引方向に沿って下流側、すなわちポンプ63側の吸気管102を接続するための流通孔114a、および空気の排出方向に沿って上流側の送気管104を接続するための流通孔114bを有する。2つの流通孔114a、114bは、第2部材114の中心から離間した同一円周上にその中心が位置するように配置され、第2部材114の中心角にして互いに45度ずれた位置に配置されている。
つまり、第1部材112の2つの流通孔112a、112b、および第2部材114の2つの流通孔114a、114bは、互いに重なる位置に設けられている。言い換えると、第1部材112の流通孔112aと第2部材114の流通孔114aが同軸に重なり、第1部材112の流通孔112bと第2部材114の流通孔114bが同軸に重なるように、第1および第2部材112、114が互いに位置合わせされてケース内に取り付けられている。
遮蔽板116は、互いに位相を90度づつ異ならせた4つの開口部116aを同一円周上に等間隔に並んで有する。各開口部116aの開口形状および開口面積は、第1および第2部材112、114の各流通孔全体をカバーする形状および大きさに設定されている。よって、コントローラ101の制御に基づいてモータ118を付勢して遮蔽板116を回転させると、互いに重なった流通孔112a、114aを選択的に開閉でき、且つ互いに重なった流通孔112b、114bを選択的に開閉できる。
本実施形態では、第1および第2部材112、114それぞれの2つの流通孔112a、112b(114a、114b)の位相を45度異ならせて配置し、遮蔽板116の4つの開口部116aの位相を90度異ならせて配置したため、遮蔽板116を一定方向に45度回転させる度に吸気管102および送気管104を交互に開閉させることができる。
例えば、遮蔽板116を図16に示す位置に回転させると、流通孔112a、114aが連通して吸気管102を介して空気の流通が可能となり、チャンバ61内が真空引きされる。このとき、もう一組の流通孔112b、114bが遮蔽板116によって閉じられて、チャンバ61内へ空気を送り込むための送気管104が塞がれる。
また、遮蔽板116を図17に示す位置に回転させると、流通孔112b、114bが連通して送気管104を介して空気の流通が可能となり、チャンバ61内に空気が送り込まれる。このとき、もう一組の流通孔112a、114aが遮蔽板116によって閉じられて、チャンバ61内を真空引きするための吸気管102が塞がれる。
上記ロータリーバルブ62’は、第1部材112の流通孔112a、112bの個数や位置、第2部材114の流通孔114a、114bの個数や位置、遮蔽板116の開口部116aの個数などを任意に設定可能であり、2本の流路を所望するタイミングで瞬時に開閉することができる。
次に、第4の実施形態に係る取り出し装置について、図18乃至図20を参照して説明する。なお、この取り出し装置は、分離機構17の構造が異なる以外、上述した第3の実施形態の取り出し装置と略同じ構造を有するため、ここでは、第3の実施形態と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態の取り出し装置の分離機構17’は、搬送路8を搬送される紙葉類Pに対して取り出し方向Tと逆方向の分離力を付与するための負圧チャンバ122を有する。負圧チャンバ122には、吸気管を介してポンプ124が接続されている。負圧チャンバ122が送り機構16に対向する側の端部には、図示しない開口部が設けられており、この開口部を介して空気を吸引することによって紙葉類Pを吸着せしめ、紙葉類Pの搬送を停止させる方向のトルクを付与する。
負圧チャンバ122は、アーム128の先端に取り付けられており、アーム128の基端に取り付けられたスプリング126の付勢力によって対向する送り機構16に向けて押圧される。つまり、負圧チャンバ122の開口部が設けられた端部が送り機構16のベルト64に圧着されている。
この分離機構17’は、負圧チャンバ122とポンプ124をつなぐ吸気管の途中にバルブを持たず、負圧のON/OFF制御をしていない。つまり、本実施形態においても、分離機構17’に対向する送り機構16のバルブ62’を第3の実施形態と同様に切り換え制御することで第3の実施形態と同様の効果を奏することができる。
すなわち、図18に示すように、取り出し位置11から取り出された紙葉類P1の先端がセンサ94を通過すると、コントローラ101は、バルブ62’を図16の状態に切り換えて、吸気ON/噴出しOFFにする。そして、紙葉類P1の先端がセンサ99を通過した時点で、コントローラ101は、バルブ62’を図17の状態に切り換えて、吸気OFF/噴出しONにする。さらに、コントローラ101は、紙葉類P1の後端がセンサ97を通過した時点で、次に取り出す紙葉類Pがあることを条件に、バルブ62’を図16の状態に切り換えて、吸気ON/噴出しOFFにする。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述した実施形態では、取り出し位置11に対向して紙葉類Pの取り出し方向下流側に繰り出し機構13を配置し、上流側に補助機構15を配置した場合について説明したが、これに限らず、繰り出し機構13を上流側に配置して補助機構15を下流側に配置しても良い。また、吸引機構14は、取り出し位置11に対向していれば良く、必ずしも繰り出し機構13と補助機構15の間に配置する必要はない。
また、上述した実施形態では、スプリング73を用いて分離機構17のローラ71を送り機構16のベルト64に向けて付勢し、スプリング126を用いて分離機構17’の負圧チャンバ122を送り機構16のベルト64に向けて付勢した場合について説明したが、スプリングの代りにモータなど他の付勢機構を用いても良い。
また、上述した実施形態では、引き抜き機構18の構成をベルト84を用いた吸着搬送機構とした場合について説明したが、これに限らず、ローラ対を用いた機構を用いても良い。
また、上述した実施形態では、引き抜き機構18のモータ85を制御して紙葉類P間のギャップやピッチをコントロールする場合について説明したが、これに限らず、例えば、第3の実施形態或いは第4の実施形態で説明した送り機構16のバルブ62’の切り換えタイミングを制御することで紙葉類間のギャップやピッチをコントロールすることもできる。
さらに、上述した第3および第4の実施形態では、圧力制御手段として1つのポンプ63を用いた場合について説明したが、これに限らず、チャンバ61に接続した吸気管102にポンプ63を接続して、ポンプ63とは別に送気管104を介して図示しない送気装置を接続しても良い。また、開閉弁として吸気管102および送気管104の途中に1つのロータリーバルブ62’を設けた場合について説明したが、これに限らず、それぞれの空気の流路に別々のバルブを設けても良い。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
取り出し位置に供給された紙葉類を吸着せしめてその面方向に走行する繰り出しベルトと、
この繰り出しベルトに吸着されて上記取り出し位置から取り出された紙葉類をその取り出し方向に沿って引き抜く引き抜き機構と、
この引き抜き機構で引き抜かれた紙葉類の上記取り出し方向に沿った先端をニップに受け入れてさらに搬送する搬送機構と、
上記取り出し位置に供給された紙葉類を吸着せしめて上記取り出し方向に走行することで、上記繰り出し機構による当該紙葉類の取り出し動作を補助する補助ベルトと、
を有する紙葉類取り出し装置。
[2]
上記取り出し位置の紙葉類が上記繰り出しベルトで正常に取り出されない場合に、上記補助ベルトに当該紙葉類を吸着させて当該補助ベルトを上記取り出し方向に走行させる制御部をさらに有する[1]の紙葉類取り出し装置。
[3]
上記引き抜き機構は、上記繰り出しベルトに吸着されて上記取り出し位置から取り出された紙葉類を吸着せしめて上記取り出し方向に走行する引き抜きベルトを有する[1]の紙葉類取り出し装置。
[4]
上記繰り出しベルトによって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を吸着せしめて上記取り出し方向に走行して、当該紙葉類を上記引き抜き機構へ送る送りベルトをさらに有する[1]の紙葉類取り出し装置。
[5]
上記繰り出しベルトによって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を上記送りベルトが上記引き抜き機構へ正常に送れない場合に、上記繰り出しベルトに当該紙葉類を吸着させて当該繰り出しベルトを上記取り出し方向に走行させる制御部をさらに有する[4]の紙葉類取り出し装置。
[6]
上記制御部は、上記送りベルトが上記引き抜き機構へ当該紙葉類を正常に送れない場合、上記補助ベルトに当該紙葉類を吸着させて当該補助ベルトを上記取り出し方向に走行させる[5]の紙葉類取り出し装置。
[7]
取り出し位置に供給された紙葉類をその面方向に走行する繰り出しベルトに吸着させて上記取り出し位置から取り出し、
上記取り出し位置から取り出された紙葉類を引き抜き機構でその取り出し方向に引き抜いて下流側の搬送機構へ送り、
上記取り出し位置の紙葉類が上記繰り出しベルトで正常に取り出されない場合に、上記取り出し位置に沿って上記取り出し方向に走行する補助ベルトに当該紙葉類を吸着させて当該補助ベルトを上記取り出し方向に走行させる、
紙葉類取り出し方法。
[8]
上記引き抜き機構は、上記取り出し方向に走行する引き抜きベルトに当該紙葉類を吸着させて当該紙葉類を引き抜く、[7]の紙葉類取り出し方法。
[9]
上記繰り出しベルトに吸着されて上記取り出し位置から取り出された紙葉類を送りベルトに吸着させて当該送りベルトを上記取り出し方向に走行させ、当該紙葉類を上記引き抜き機構へ送る、[7]の紙葉類取り出し方法。
[10]
上記繰り出しベルトによって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を上記送りベルトが上記引き抜き機構へ正常に送れない場合に、上記繰り出しベルトに当該紙葉類を吸着させて当該繰り出しベルトを上記取り出し方向に走行させる、[9]の紙葉類取り出し方法。
[11]
上記繰り出しベルトによって上記取り出し位置から取り出された紙葉類を上記送りベルトが上記引き抜き機構へ正常に送れない場合に、上記補助ベルトに当該紙葉類を吸着させて当該補助ベルトを上記取り出し方向に走行させる、[10]の紙葉類取り出し方法。
[12]
集積した紙葉類をその重ね方向に移動して移動方向先端の紙葉類を取り出し位置へ供給する供給機構と、
上記取り出し位置へ供給された紙葉類に接触して回転することで当該紙葉類をその面方向に繰り出す繰り出し機構と、
この繰り出し機構による紙葉類の繰り出し方向下流側の搬送路に沿って配置され、上記繰り出し機構が接触した当該紙葉類の表面に負圧を作用させて吸着しながら上記繰り出し方向に回転し、上記繰り出し機構によって上記搬送路上に繰り出された紙葉類を上記繰り出し方向にさらに搬送する送り機構と、
上記搬送路を間に挟んで上記送り機構に対向する側に配置され、上記搬送路を介して搬送される紙葉類に連れ出される2枚目以降の紙葉類に対して上記繰り出し方向と逆方向の分離力を与える分離機構と、
上記繰り出し方向に沿って上記送り機構より下流側に配置され、上記送り機構と上記分離機構との間を通過する紙葉類を引き抜いて上記搬送路に沿って上記繰り出し方向へさらに搬送する引き抜き機構と、
上記繰り出し機構によって繰り出された紙葉類が上記引き抜き機構へ送り込まれた後に、上記負圧を消失させて上記送り機構による搬送力を消失させるように、上記送り機構を制御する制御部と、
を有する紙葉類取り出し装置。
[13]
上記制御部は、上記引き抜き機構によって引き抜かれた紙葉類の繰り出し方向後端が上記送り機構と上記分離機構との間を抜けた後に、上記負圧を生じさせて上記送り機構による搬送力を生じさせるように、上記送り機構を制御する[12]の紙葉類取り出し装置。
[14]
上記送り機構は、上記搬送路に対向した開口を有するチャンバ、吸着孔を有するとともに上記開口に対向して上記搬送路に沿って上記繰り出し方向に走行するベルト、吸気管を介して上記チャンバを真空引きするとともに送気管を介して上記チャンバ内に空気を送り込む圧力制御手段、および上記吸気管および上記送気管を開閉する開閉弁を有し、
上記制御部は、上記負圧を消失させて上記送り機構による搬送力を消失させる際に、上記吸気管を閉じるとともに上記送気管を開くように、上記開閉弁を切り換える[12]の紙葉類取り出し装置。
[15]
上記制御部は、上記負圧を生じさせて上記送り機構による搬送力を生じさせる際に、上記吸気管を開くとともに上記送気管を閉じるように、上記開閉弁を切り換える[14]の紙葉類取り出し装置。