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JP2011225295A - 紙葉類処理装置 - Google Patents

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JP2011225295A
JP2011225295A JP2010094184A JP2010094184A JP2011225295A JP 2011225295 A JP2011225295 A JP 2011225295A JP 2010094184 A JP2010094184 A JP 2010094184A JP 2010094184 A JP2010094184 A JP 2010094184A JP 2011225295 A JP2011225295 A JP 2011225295A
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祐輔 三ツ谷
Yoshihiko Naruoka
良彦 成岡
Komei Hiramitsu
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Abstract

【課題】この発明は、重送紙葉類を確実に分離できる紙葉類処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】取り出し装置は、集積状態から取り出された郵便物に連れ出された2通目以降の郵便物に取り出し方向と逆方向の分離力を付与して分離する分離機構5’を有する。この分離機構は、回転の途中で2通目以降の郵便物に対向する複数の吸着孔65を有する外側ドラム66と、この外側ドラムの内側で同軸に回転可能に設けられ、回転の途中で吸着孔に重なる複数の通気孔63を有する内側ドラム64と、2通目以降の郵便物に対向した吸着孔およびこの吸着孔に重なった通気孔を介して空気を吸引して外側ドラムの周面に当該郵便物を吸着させるポンプと、を有する。制御装置76は、外側ドラムと内側ドラムを関連付けて回転させ、2通目以降の郵便物に十分な分離力を作用させる。
【選択図】 図12

Description

本発明の実施形態は、集積した複数枚の紙葉類を1枚ずつ取り出す紙葉類処理装置に関する。
従来、紙葉類処理装置として、集積した複数枚の紙葉類を集積方向一端の紙葉類から順に1枚ずつ取り出す取り出し部を備えた装置が知られている。この取り出し部は、上記一端の紙葉類に接触して回転する取り出しローラを有し、この取り出しローラが複数の吸着孔を有する。そして、複数の吸着孔を介して空気を吸引して取り出しローラの外周面に紙葉類を吸着させ、取り出しローラの回転によって当該紙葉類をその面方向に取り出す。
このように、一端の紙葉類に取り出しローラを接触させて当該紙葉類をその面方向に取り出す場合、集積した2枚目の紙葉類が当該紙葉類とともに連れ出されてしまう場合がある。このような“重送”を防止するため、一般に、取り出し部の下流側には、重なって取り出された紙葉類を分離する分離部が設けられている。
分離部は、例えば、取り出し方向と逆方向に回転する力が加えられた分離ローラを有する。分離ローラは、紙葉類を搬送する搬送路を挟んで、取り出し部の反対側に設けられる。分離ローラには、複数の吸着孔が設けられており、これら複数の吸着孔を吸引することで、分離ローラの外周面に紙葉類が吸着される。つまり、2枚重なった紙葉類(重送紙葉類)が分離部を通過すると、分離ローラに接触する側の2枚目の紙葉類が逆方向に戻されて1枚目の紙葉類と分離される。
特開2008−280139号公報
しかし、分離ローラの吸着孔は、分離ローラの回転方向に沿って一定の間隔で設けられているため、分離ローラの回転位置によって、分離部を通過する紙葉類に十分な分離力を与えられない場合がある。
この発明の目的は、重送紙葉類を確実に分離できる紙葉類処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の実施形態の紙葉類処理装置は、集積方向一端の紙葉類に接触して回転する取り出し機構と、この取り出し機構によって取り出された紙葉類に連れ出された2枚目以降の紙葉類に取り出し方向と逆方向の分離力を付与して分離する分離機構と、を有する。分離機構は、回転の途中で2枚目以降の紙葉類に対向する複数の吸着孔を有する外側回転体と、この外側回転体の内側でこの外側回転体と同軸に回転可能に設けられ、回転の途中で吸着孔に重なる複数の通気孔を有する内側回転体と、2枚目以降の紙葉類に対向した吸着孔およびこの吸着孔に重なった通気孔を介して空気を吸引して外側回転体の周面に当該紙葉類を吸着させる吸引装置と、外側回転体と内側回転体を関連させて回転させる制御装置と、を有する。
図1は、この発明の実施の形態に係る郵便物処理装置を示すブロック図である。 図2は、図1の処理装置に組み込まれた取り出し装置を示す平面図である。 図3は、図2の取り出し装置の取り出し機構の要部の構成を部分的に拡大して示す部分拡大斜視図である。 図4は、図3の構成から取り出しベルトを取り除いた状態を示す部分拡大斜視図である。 図5は、図2の取り出し装置に組み込まれた吸着機構の要部を部分的に拡大して示す部分拡大斜視図である。 図6は、図2の取り出し装置に組み込まれた分離機構の要部の構成を部分的に拡大して示す部分拡大断面図である。 図7は、図6の構成を破断線VII-VIIに沿って切断した部分拡大断面図である。 図8は、搬送路を介して1通の郵便物が搬送されている状態における分離ローラおよび郵便物の挙動を説明するための部分拡大断面図である。 図9は、搬送路上に取り出された1通の郵便物が折れ曲がった状態を示す部分拡大断面図である。 図10は、分離ドラムに対向する吸着用のチャンバを追加した取り出し装置を示す平面図である。 図11は、搬送路を介して2通の郵便物が重なった状態で搬送されている状態における分離ドラムおよび郵便物の挙動を説明するための部分拡大断面図である。 図12は、この発明の第1の実施の形態に係る分離機構を示す概略斜視図である。 図13は、図12の分離機構の内側ドラムの通気孔と外側ドラムの吸着孔を重ねた状態の斜視図(a)、および断面図(b)である。 図14は、図13の外側ドラムおよび内側ドラムを僅かに回転させた状態の斜視図(a)、および断面図(b)である。 図15は、図12の内側ドラムと外側ドラムを展開して重ねた状態で示した動作説明図である。 図16は、図15の各状態における内側ドラムと外側ドラムの経時的な速度変化を示すグラフである。 図17は、図12の分離機構による分離力を調節した状態の斜視図(a)、および断面図(b)である。 図18は、図17の外側ドラムおよび内側ドラムを僅かに回転させた状態の斜視図(a)、および断面図(b)である。 図19は、図12の内側ドラムと外側ドラムを展開して重ねた状態で示した動作説明図である。 図20は、図19の各状態における内側ドラムと外側ドラムの経時的な速度変化を示すグラフである。 図21は、この発明の第2の実施の形態に係る分離機構の要部を示す斜視図(a)、および断面図(b)である。 図22は、図21の外側ドラムおよび内側ドラムを僅かに回転させた状態の斜視図(a)、および断面図(b)である。 図23は、図21の内側ドラムと外側ドラムを展開して重ねた状態で示した動作説明図である。 図24は、図23の各状態における内側ドラムと外側ドラムの経時的な速度変化を示すグラフである。
1…取り出し装置、5’、5”…分離機構、61…チャンバ、61a…開口、62…円筒体、63…通気孔、630…特定の通気孔、631…次の列の通気孔、64…内側ドラム、65…吸着孔、650…特定の吸着孔、651…次の列の吸着孔、66…外側ドラム。
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る郵便物処理装置100(以下、単に、処理装置100と称する)の概略ブロック図を示してある。この処理装置100は、本発明の紙葉類処理装置として機能する取り出し装置1を有する。また、処理装置100は、この取り出し装置1の他に、判別部102、リジェクト部104、スイッチバック部106、および集積部108を有する。なお、この処理装置100で処理する紙葉類は郵便物であるが、被処理媒体(すなわち紙葉類)は郵便物に限るものではない。
郵便物は、集積状態で取り出し装置1にセットされ、取り出し装置1を後述するように動作することで、搬送路101上に1枚ずつ取り出される。搬送路101には、複数組の図示しない無端状の搬送ベルトが搬送路101を挟むように延設されており、郵便物は、搬送ベルトに挟持されて搬送される。
搬送路101上に取り出された郵便物は、判別部102を通過され、ここで当該郵便物から各種情報が読み取られる。判別部102では、読み取った各種情報に基づいて、郵便物の搬送姿勢や区分先などを判別する。特に、判別部102では、郵便物に書かれてある郵便番号や住所などの宛先情報を読み取って区分先を判別する。
判別部102を通過された郵便物は、ゲートG1を介してその搬送方向が振り分けられる。つまり、判別部102でリジェクトすべき郵便物であることが判別された郵便物は、ゲートG1を介してリジェクト部104へ搬送され、それ以外の郵便物は、ゲートG1を介して集積部108に向けて搬送される。
このとき、当該郵便物の搬送方向を逆転させる必要があることを判別部102で判別した場合、当該郵便物がゲートG2を介してスイッチバック部106へ送り込まれ、ここで搬送方向が逆転される。搬送方向を逆転する必要のない郵便物は、ゲートG2を介してスイッチバック部106を迂回され、集積部108へと搬送される。
搬送路101を介して集積部108へ送り込まれた郵便物は、判別部102における判別結果に従って図示しない区分集積ポケットに区分集積される。各区分集積ポケットに区分集積される郵便物は、天地が揃った状態で集積される。
図2には、取り出し装置1を上方から見た平面図を示してある。
この取り出し装置1は、複数通の郵便物Pを重ねた状態で投入する投入部2、投入された複数通の郵便物Pをその重ね方向に移動させて移動方向先端にある郵便物Pを後述する取り出し位置20へ供給する供給機構(後述する)、取り出し位置20に供給された郵便物Pをその面方向に送って後述する搬送路10上に取り出す取り出し機構3、投入部2を介して投入された郵便物Pのうち先端の郵便物Pを取り出し位置20に向けて吸引する吸引機構4、取り出し位置20から取り出される郵便物Pに連れ出されてしまった2通目以降の郵便物Pを分離する分離機構5、取り出し位置20に供給された郵便物Pの取り出し方向(図中下方)上流側に配置された補助機構6、および分離機構5を通過した郵便物Pを取り出し速度より少し速い速度で引き抜いて下流側へ搬送する搬送機構7を有する。
また、この取り出し装置1は、投入部2の一端にある取り出し位置20から搬送路10上に取り出された郵便物Pの通過を検知する2つのセンサ11a、11b、および複数の搬送ガイド12〜18を有する。2つのセンサ11a、11bは、それぞれ、郵便物Pが通過する搬送路10を挟むように発光部および受光部を有する。そして、各センサ11a、11bの発光部から受光部に向かう光路を郵便物Pが遮ることをもって当該郵便物Pの通過を検知する。また、複数の搬送ガイド12〜18は、郵便物Pの端辺や面を接触させてその移動や搬送をガイドする。
投入部2には、複数通の郵便物Pが重ねられた状態で且つ立位でまとめて投入される。投入部2の底には、各郵便物Pの下端辺を当接せしめてその重ね方向(図中矢印F方向)に移動させる2本のフロアベルト8a、8bが配設されている。また、複数通の郵便物Pのうち移動方向後端にある郵便物Pに接触する位置には、一方のフロアベルト8bに簡易的に接続されて協働して矢印F方向に移動することで移動方向先端の郵便物Pを取り出し位置20へ供給するバックアッププレート9が配設されている。すなわち、これら2本のフロアベルト8a、8bおよびバックアッププレート9が本発明の供給機構として機能する。
なお、搬送ガイド18は、矢印F方向に沿って投入部2の一側を規定する位置に延設され、各郵便物Pの取り出し方向先端辺を案内する。また、搬送ガイド12、13、14は、投入部2の一端側の取り出し位置20に沿って並べて配置されており、矢印F方向に供給された移動方向先端の郵便物Pを取り出し位置20に停止させるよう機能するとともに、取り出し位置20から取り出される郵便物Pの片面に接触して案内するよう機能する。
取り出し機構3は、チャンバ21、ガイド14、および真空ポンプ22(または相当品)を有する。また、取り出し機構3は、少なくとも一定領域の部位が取り出し位置20に沿って図中矢印T1方向(郵便物Pの取り出し方向)に走行する無端状の取り出しベルト23、およびこの取り出しベルト23を駆動するモータ24を有する。取り出しベルト23は、少なくともその一部が、取り出し位置20および取り出し位置20から連続する搬送路10(101)に沿って図中矢印T1方向に走行するように、複数のローラ25に巻回されて張設されて位置決めされている。
ガイド14は、取り出しベルト23の内側でベルトを挟んで取り出し位置20に対向する位置に配置されている。チャンバ21は、ガイド14の裏面側、すなわち取り出しベルト23およびガイド14を挟んで取り出し位置20に対向する位置に配置されている。取り出しベルト23は、図3に部分的に拡大して示すように、多数の吸着孔23aを有する。また、ガイド14は、図4に示すように、取り出しベルト23の走行方向(すなわち郵便物Pの取り出し方向)T1に沿って延びた細長い複数本のスリット14aを有する。
しかして、真空ポンプ22を動作させてチャンバ21内を真空引きすると、ガイド14に対向したチャンバ21の開口(図示せず)、ガイド14の複数本のスリット14a、および矢印T1方向に走行する取り出しベルト23の多数の吸着孔23aを介して、取り出し位置20に供給された郵便物Pに対して負圧(図中矢印S1)が作用され、当該郵便物Pが取り出しベルト23の表面に吸着されて取り出しベルト23の走行に伴って取り出し位置20から搬送路10上へ取り出される。
この際、真空ポンプ22による矢印S1方向の吸着力は、取り出しベルト23に吸着された1枚目の郵便物Pを取り出し方向T1に繰り出す搬送力が、少なくとも、1枚目の紙葉と2枚目の紙葉との間に働く摩擦力より大きくなるように設定される。この取り出し機構3は、基本的には、取り出し位置20の郵便物Pを1枚ずつ分離して搬送路10上へ繰り出すが、複数枚重なった状態で搬送路10上に繰り出されたもの(以下、このような状態を“重送”と称する)に関しては後述する分離機構5によって1枚ずつに分離する。
吸引機構4は、取り出し位置20に対して搬送ガイド13の裏面側に配置されたチャンバ26、およびチャンバ26内の空気を吸引するためのブロアー27(または相当品)を有する。チャンバ26は、上述した取り出し機構3と後述する補助機構6との間で、その図示しない開口部をガイド13の裏面に対向させる姿勢で取り出し位置20に隣接して配置される。また、ガイド13は、図5に部分的に拡大して示すように、チャンバ26の開口の幅に合わせて複数の孔13aを有する。
しかして、ブロアー27を動作させてチャンバ26内の空気を吸引すると、ガイド13の複数の孔13aを介して図中矢印B1方向に空気流が生じ、投入部2に投入された複数通の郵便物Pのうち取り出し位置20に最も近い郵便物Pが取り出し位置20に向けて吸引される。取り出し位置20に吸引された郵便物Pが取り出された後は、次の郵便物Pが取り出し位置20に向けて吸引される。
つまり、この吸引機構4を設けることで、次に取り出す郵便物Pを素早く取り出し位置20へ供給することができ、供給機構8、9による矢印F方向の供給力を弱くしても1通目の郵便物Pだけは常に安定して取り出し位置20へ素早く供給することができる。これにより、上述した取り出し機構3による郵便物Pの取り出し動作を速めることができる。
分離機構5は、取り出し位置20の下流側(図2中下方)に延びた搬送路10に対し、上述した取り出し機構3と反対側に設けられている。この分離機構5は、搬送路10を介して搬送される郵便物Pに対して取り出し機構3と反対側から負圧を作用させつつ郵便物Pの取り出し方向と逆方向の分離トルクを付与する。つまり、この分離機構5を動作させることで、取り出し位置20から取り出される郵便物Pに2通目以降(3通以上重なって取り出される場合もある)の郵便物Pが連れ出された場合であっても、上述した負圧および分離トルクによってこの2通目以降の郵便物Pが停止され、或いは逆方向に戻されて、1通目の郵便物Pと分離されることになる。
より詳細には、分離機構5は、図6に部分的に拡大して示すように、郵便物Pの取り出し方向T1に沿って正逆両方向に回転可能に設けられた分離ドラム31を有する。本実施の形態の分離ドラムは、後述するように、2重構造を有しているが、ここでは参考例として、1つの分離ドラム31を有する構造について説明する。
この分離ドラム31は、図7に示すように、搬送路10に対して固定的に取り付けられた回転軸、すなわち後述するチャンバ33を有する円筒体32に対してベアリング34を介して回転可能に取り付けられ、その内周面と外周面を連絡するように貫通した多数の吸着孔31aを有する。分離ドラム31は、略円筒形の金属材料などの剛体により形成されており、その外周面が搬送路10に近接して対向する位置に位置決め配置されている。
なお、回転軸としての円筒体32は、負圧を発生させるためのチャンバ33を有し、このチャンバ33の開口33aが搬送路10に向かう姿勢で位置決めされて固設されている。図7は、図6の破断線VII-VIIに沿った断面図である。
また、分離機構5は、図2に示すように、分離ドラム31を正逆両方向に所望するトルクで回転させるためのACサーボモータ35、およびこのモータ35による駆動力を分離ドラム31に伝達するための無端状のタイミングベルト36を有する。タイミングベルト36は、モータ35の回転軸に固設されたプーリ35aおよび分離ドラム31の回転軸31b(図7参照)に固設された図示しないプーリに巻回されて張設されている。さらに、分離機構5は、分離ドラム31を回転可能に取り付けた円筒体32のチャンバ33に配管38を介して接続された真空ポンプ37(または相当品)を有する。
しかして、真空ポンプ37を動作させてチャンバ33内を真空引きすると、チャンバ33の開口33a、および分離ドラム31の多数の吸着孔31aのうち開口33aに対向した特定の吸着孔310を介して、搬送路10を通過する郵便物Pの表面に負圧(図中矢印S2)が作用され、分離ドラム31の外周面に当該郵便物Pが吸着される。この際、分離ドラム31が回転している場合には、分離ドラム31の外周面に吸着された郵便物Pにも分離ドラム31の回転方向に沿った分離力が与えられる。なお、以下の説明では、分離ドラム31の吸着孔310を介して郵便物Pに負圧を作用させる領域を分離エリアAsと称する。
一方、ACサーボモータ35は、基本的に、分離ドラム31に対して常に取り出し方向と逆方向(図中矢印T2方向)の一定の分離トルクを付与するように分離ドラム31を駆動制御する。この分離トルクは、搬送路10を介して搬送される郵便物Pが1枚である場合、この1枚の郵便物Pを吸着せしめた分離ドラム31が搬送方向に沿って当該郵便物Pに連れ回ることのできる程度に設定され、且つ複数枚の郵便物Pが重なった状態で搬送路10上に取り出された場合には分離ドラム31側の2通目以降の郵便物Pを停止または逆方向に戻して1通目の郵便物Pと分離できる程度に設定されている。
つまり、図8に示すように、取り出し位置20から1通の郵便物Pが正常に取り出されて搬送路10を介して搬送されている状態では、取り出し機構3によって当該郵便物Pに付与される順方向(矢印T1方向)の搬送力F1の方が、逆方向(矢印T2方向)の分離トルクを与えられた分離ドラム31によって当該郵便物Pに付与される逆方向の分離力F2より大きくなり、当該郵便物Pが順方向T1に搬送されるとともに、分離ドラム31は当該郵便物Pに連れ回り、或いは停止し、或いは取り出し方向とは逆方向に空回りする。
分離ドラム31が逆方向に空回りする場合、一定の分離トルクを与え続けると回転速度が徐々に速くなって郵便物Pの取り出しに悪影響を及ぼす可能性があるため、本参考例では、分離ドラム31の逆転速度に上限を設けてある。具体的には、郵便物Pの取り出し速度より絶対値が小さい上限速度に設定してある。
本実施の形態では、当該郵便物Pが取り出しベルト23に吸着する位置、すなわちチャンバ21が取り出し位置20に対向した位置より取り出し方向T1下流側に離間した位置に分離ドラム31が対向した分離エリアAsがあるため、チャンバ21による負圧S1を分離ドラム31による負圧S2より十分に強くしても1通だけで搬送される郵便物Pが分離ドラム31側に引き付けられて接触する可能性が高い。
この場合、例えば、当該郵便物Pが比較的腰の弱い薄い郵便物Pであると、図9に示すように、分離ドラム31による逆方向への戻し力が当該郵便物Pに過剰に作用して、図示のように当該郵便物Pに折れを生じてしまう可能性がある。このため、図10に示すように、取り出しベルト23の内側で分離ローラ31(分離エリアAs)に対向する位置にチャンバ41を追加して、さらにこのチャンバ41を真空引きするための真空ポンプ42を追加することが望ましい。このように、分離エリアAsに対向する位置で取り出しベルト23に向かう方向の負圧S3を郵便物Pに作用させることで、上述した図9のような折れの問題を解消できる。
一方、図11に示すように、2通の郵便物Pが重なった状態で取り出し位置20から搬送路10上に取り出された場合、取り出しベルト23に近い側の1通目の郵便物P1が取り出し機構3から上述した搬送力F1を付与されて順方向T1に搬送され、分離ドラム31に近い側の2通目の郵便物P2が分離ドラム31から上述した逆方向T2の分離力F2を付与される。このとき、2通の郵便物P1、P2の間には、互いに相反する方向に摩擦力F3、F4が作用される。この摩擦力F3、F4は、2通の郵便物P1、P2が互いに接触している状態では発生するが、両者が離れている場合にはゼロとなる。
いずれにしても、2通の通便物P1、P2に作用する搬送力F1、F2は、両者の間に発生する摩擦力F3、F4の最大値より十分に大きな値に設定されているため、逆方向の分離力F2が与えられた2通目の郵便物P2は、取り出し方向T1とは逆方向T2に戻されて、1通目の郵便物P1と分離される。
以上のように、分離ドラム31を金属ドラムにより形成して、搬送路10上に取り出された郵便物Pに分離トルクを付与するとともに郵便物Pに負圧を作用させるようにすることで、従来のゴムローラを使用した分離ローラと比較して、ローラ(ドラム)の使用寿命を大幅に延長でき、分離性能を長期に亘って良好に維持でき、郵便物Pの処理速度を速めることに対応でき、スループットを高めることができる。なお、1通の郵便物Pだけが取り出されている状態では、分離ドラム31が空回りする可能性が高いことから、複数通の郵便物Pが重なった状態で取り出されている場合(重送)以外は、分離ドラム31に付与する分離トルクをゼロにしても良い。
図2に戻って、吸引機構4の図中上方、すなわち郵便物Pの取り出し方向T1に沿って取り出し機構3の上流側に配置された補助機構6は、上述した分離機構5と略同じ構造を有する。すなわち、補助機構6は、郵便物Pの取り出し方向T1に沿って正逆両方向に回転可能に設けられた補助ローラ51を有する。
補助ローラ51は、取り出し位置20に対向して固定的に設けられた回転軸、すなわち内部にチャンバ(図示せず)を有する円筒体53に対して回転可能に取り付けられ、その内周面と外周面を連絡するように貫通した多数の吸着孔52を有する。また、補助ローラ51は、略円筒形の金属材料などの剛体により形成されており、その外周面が取り出し位置20に対向する位置に位置決め配置されている。なお、回転軸としての円筒体53は、負圧を発生させるためのチャンバを有し、このチャンバの開口(図示せず)が取り出し位置20に向かう姿勢で位置決めされて固設されている。
また、補助機構6は、補助ローラ51を正逆両方向に所望するトルクで回転させるためのACサーボモータ55、およびこのモータ55による駆動力を補助ローラ51に伝達するための無端状のタイミングベルト56を有する。タイミングベルト56は、モータ55の回転軸に固設されたプーリ55aおよび補助ローラ51の回転軸に固設された図示しないプーリに巻回されて張設されている。さらに、補助機構6は、補助ローラ51を回転可能に取り付けた円筒体53のチャンバに配管58を介して接続された真空ポンプ57(または相当品)を有する。そして、配管58の途中には、負圧をオン/オフするための電磁バルブ59が取り付けられている。
しかして、この補助機構6は、基本的に、補助ローラ51を正逆両方向に所望する速度で回転および停止させるとともに、真空ポンプ57による負圧をオン/オフさせることで、郵便物Pの取り出し動作および分離動作をサポートする。
例えば、取り出し位置20に供給された郵便物Pを取り出し機構3によって取り出すときに、補助機構6によって当該郵便物Pの取り出し方向後端側に負圧を作用せしめて補助ローラ51周面に吸着し、補助ローラ51を順方向T1に回転して当該郵便物Pの取り出しをサポートする。これにより、例えば重量が比較的重い大物の郵便物Pを取り出す際に、通常の郵便物Pを取り出すときより大きく安定した搬送力を与えることができ、郵便物Pの取り出し動作を安定させることができる。
また、取り出し機構3によって1通目の郵便物Pを取り出している状態で、当該郵便物Pの取り出し方向後端が補助ローラ51に干渉しない位置まで抜けた後、次に取り出し位置20に供給される2通目の郵便物Pの後端側を補助ローラ51に吸着せしめて逆方向のトルクを付与してブレーキをかけることもでき、上述した分離機構5と協働して郵便物Pの重送を防止できる。この場合、補助ローラ51に付与する逆方向のトルクを制御するとともにブレーキをかける時間を制御することで、取り出し位置20から搬送路10上に取り出す郵便物Pのギャップやピッチをコントロールすることもできる。
ところで、上述した取り出し装置1において、郵便物Pを確実に分離して1通ずつ取り出すためには、分離機構5は、1通目の郵便物Pに連れ出された2通目以降の郵便物Pに対して、安定した分離力を継続して付与する必要がある。しかし、図6で説明した参考例の分離ドラム31を用いた場合、その回転位置によって、十分な分離力を与えることができない場合がある。
つまり、図6に図示した状態、すなわち分離ドラム31の特定の吸着孔310が分離エリアAsとチャンバ33をつなぐ位置に回転された姿勢から、分離ドラム31が逆方向T2に僅かに回転すると、分離エリアAsに次に対向する別の吸着孔311がチャンバ33の開口33aに重なって、この別の吸着孔311を介してチャンバ33内に空気が流入してしまう。この時点で、分離対象の郵便物Pは、特定の吸着孔310によって分離ドラム31の周面に吸着されているため、チャンバ33内に空気が流入すると、チャンバ33内の圧力が昇圧されて、吸着力が弱められてしまう。
このように、分離ドラム31による吸着力が弱められてしまうと、分離対象の郵便物Pに対して安定した十分な分離力を継続して付与できなくなり、分離不良を生じてしまう場合がある。特に、比較的重い郵便物Pを分離する場合には、このような不具合が顕著になる。なお、このような不具合は、分離ドラム31の回転方向に沿った吸着孔31a同士の間隔が狭くなるほど起こり易くなる。
このため、本実施の形態では、分離機構5の分離ドラム31を2重構造とし、上述した不所望な空気の流入を防ぐ工夫をした。以下、2重構造の分離ドラムを備えた本発明の第1の実施の形態の分離機構5’について、図12乃至図14を参照して説明する。
図12に示すように、分離機構5’は、内部にチャンバ61(図13b、14b参照)を有する円筒体62の外側に同軸に重ねて配置した内側ドラム64(内側回転体)および外側ドラム66(外側回転体)を有する。これら内側ドラム64と外側ドラム66が協働して上述した参考例の分離ドラム31と同様に機能する。
内側ドラム64の内径は、円筒体62の外径より僅かに大きくされており、内側ドラム64が円筒体62に対して回転可能となっている。また、外側ドラム66の内径は、内側ドラム64の外径より僅かに大きくされており、外側ドラム66が内側ドラム64に対して独立して回転可能となっている。
円筒体62のチャンバ61は、ここでは図示を省略した上述した配管38を介して真空ポンプ37に接続されており、真空ポンプ37によって真空引きされる。なお、この円筒体62は、チャンバ61の開口61a(図13、14参照)が分離エリアAsに対向する姿勢で搬送路10に近接して固設されている。
内側ドラム64は、複数の通気孔63を有し、外側ドラム66は、複数の吸着孔65を有する。複数の通気孔63は、内側ドラム64の軸方向に等間隔で並んだ列を回転方向に等間隔で複数列並べてマトリックス状に整列配置されている。また、複数の吸着孔65も、外側ドラム66の軸方向に等間隔で並んだ列を回転方向に等間隔で複数列並べてマトリックス状に整列配置されている。本実施の形態では、通気孔63と吸着孔65は同じ数だけ設けられている。言い換えると、各ドラム64、66を図12に示す位置に回転させると、全ての通気孔63が全ての吸着孔65に重なるようになっている。つまり、外側ドラム66の回転方向に沿った吸着孔65のピッチは、内側ドラム64の回転方向に沿った通気孔63のピッチより僅かに大きい。
また、分離機構5’は、内側ドラム64を正逆両方向に所望する速度で回転させる駆動モータ72、外側ドラム66を内側ドラム64とは独立して正逆両方向に所望する速度で回転させる駆動モータ74、およびこれら2つの駆動モータ72、74を駆動制御する制御装置76を有する。駆動モータ72は、無端状の駆動ベルト73を介して内側ドラム64に接続され、駆動モータ74は、無端状の駆動ベルト75を介して外側ドラム66に接続されている。なお、各駆動モータ72、74は、その回転位置を高精度にコントロールできるACサーボモータであり、制御装置76は、所望するタイミングで所望する回転位置に所望する速度で各ドラム64、66を回転させることができる。
しかして、真空ポンプ37によってチャンバ61が真空引きされて、内側ドラム64および外側ドラム66が図13(a)および図13(b)に示す位置に回転されると、特定の通気孔630がチャンバ61の開口61aに重ねられるとともに、特定の吸着孔650が開口61aに重ねられ、分離エリアAs付近の空気が孔650、630、および開口61aを介してチャンバ61内に吸引される。この状態で、分離エリアAsにある分離対象の郵便物Pに比較的大きな吸着力が作用され、外側ドラム66の周面に当該郵便物Pが比較的強い力で吸着される。また、このとき、外側ドラム66が逆方向T2に回転していると、当該郵便物Pに十分な分離力が付与される。
そして、この後、図13(a)および図13(b)に示す状態から、外側ドラム66が逆方向T2に僅かに回転されて分離対象の郵便物Pが僅かに戻され始めると、図14(b)に示すように、内側ドラム64が外側ドラム66に対して僅かに位相を遅らせて(減速されて)逆方向T2に回転される。これにより、外側ドラム66の逆転によって次に分離エリアAsに対向する次の列の吸着孔651(別の吸着孔)がチャンバ61の開口61aに連通することを防止でき、これら別の吸着孔651を介してチャンバ61内に空気が流入する不具合を防止できる。つまり、このように内側ドラム64の位相を遅らせて回転することで、チャンバ61が昇圧してしまう不具合を防止でき、当該郵便物Pに十分な分離力を継続して付与することができる。
これに対し、図13の状態から、外側ドラム66と同じ回転角度で内側ドラム64を回転させてしまうと、上述した参考例の分離ドラム31を用いた場合と同じことになり、別の吸着孔651が別の通気孔631を介してチャンバ61に連通してしまうことになる。このため、本実施の形態では、内側ドラム64の回転速度を外側ドラム66に対して変化させて、次の列の吸着孔651がチャンバ61に連通しないようにした。
ここで、上述した内側ドラム64の制御動作について、図15および図16を参照してより詳細に説明する。なお、本実施の形態では、図16に示すように、外側ドラム66を一定速度で回転させる一方で、内側ドラム64を加減速回転させるようにした。つまり、この場合、制御対象は内側ドラム64だけとなる。図15には、内側ドラム64および外側ドラム66をそれぞれ平面状に展開した動作説明図を示してあり、図16には、図15の各状態に対応して、内側ドラム64の回転速度の経時変化を示したグラフを示してある。
図15(a)には、内側ドラム64の特定の通気孔630がチャンバ61の開口61aに重なって、外側ドラム66の特定の吸着孔650が開口61aに重なった瞬間を示してある。この瞬間における内側ドラム64の回転速度は、図16に状態aとして示すように、外側ドラム66の回転速度と一致している。
この後、分離対象の郵便物Pが逆方向に戻されて、外側ドラム66が僅かに矢印T2方向に一定速度で逆転すると、図15(b)に示すように、次の列の別の吸着孔651が開口61aに僅かに重なる。このとき(図15aの状態から図15bの状態へ移るとき)、制御装置76は、内側ドラム64の位相を遅らせて(減速させて)逆転させる。このため、図15(b)の時点で、次の列の通気孔631が開口61aに重なることはない。つまり、図15(b)の状態で、チャンバ61の内部圧力が昇圧されることはない。
この後、外側ドラム66がさらに一定速度で逆転されると、今度は、遅らせた位相を戻すように内側ドラム64が逆方向に加速され、図15(c)の状態を経て、図15(d)の状態まで回転され、外側ドラム66と内側ドラム64の位相が逆転される。つまり、図15(b)の状態から図15(d)の状態まで、内側ドラム64は常に逆方向に加速されており、図15(d)の状態では、外側ドラム66より内側ドラム64の回転速度の方が速くなっている。
なお、図15(c)の状態では、特定の通気孔630と特定の吸着孔650がともに開口61aに部分的に重なっており、且つ、内側ドラム64の次の列の通気孔631が開口61aに重なっていないため、チャンバ61内の圧力はまだ昇圧されていない。一方、図15(d)の状態では、次の列の通気孔631と次の列の吸着孔651がともに開口61aに部分的に重なっており、且つ内側ドラム64の特定の通気孔630が開口61aに重なっていないため、次の列の通気孔631と次の列の吸着孔651を介して、分離対象の郵便物Pに十分な分離力が付与された状態となっている。
つまり、本実施の形態で説明した回転制御では、図15(c)の状態から図15(d)の状態に至る僅かな時間の間だけチャンバ61内に空気が流入して昇圧されることになる。しかし、この時間はほんの一瞬であり、チャンバ61内の圧力が大きく変化する程のものではない。
これに対し、内側ドラム64の回転速度を外側ドラム66に追従させて一定速度にした場合、図15(b)の状態で既にチャンバ61内の圧力が昇圧され始め、図15(d)の状態になってもまだ内部圧力が上昇し続けることになる。つまり、本実施の形態のように、内側ドラム64の回転速度を可変制御することで、チャンバ61内の負圧を継続的に維持できることが分かる。
以上のように、本実施の形態によると、比較的強い吸着力を比較的長い時間持続することができ十分な分離力を付与することができる分離機構5’を提供でき、分離対象となる郵便物Pに対して安定した分離力を継続して付与することができる。これにより、郵便物Pを複数通重なった状態で取り出してしまう“重送”の発生率を低くすることができ、処理装置全体としての処理能力を向上させることができる。
次に、上述した第1の実施形態の分離機構5’を用いて、分離対象の郵便物Pに対する分離力を所望する値にコントロールする方法について、図17乃至図20を参照してその一例を説明する。郵便物Pに対する分離力は、外側ドラム66を逆方向に回転させることによって生出されるもので、外側ドラム66の周面に郵便物Pを吸着させる吸着力に略比例する。つまり、分離力をコントロールするためには、チャンバ61内に吸引する空気の流量をコントロールすれば良い。
分離対象の郵便物Pに最大の吸着力を作用させる場合、上述したように内側ドラム64と外側ドラム66を図13に示す位置に回転させて特定の通気孔630と特定の吸着孔650をチャンバ61の開口61aにぴったり重ねる。この状態で、特定の通気孔630および特定の吸着孔650を介して多量の空気をチャンバ61内に流入することができ、分離対象の郵便物Pに対して最大の分離力を付与することができる。
しかし、このように最大の分離力を分離対象の郵便物Pに付与すると、この郵便物Pがはがきのように薄くて軽い郵便物である場合、分離力が強すぎて、郵便物Pに折れなどを生じる不具合が考えられる。特に、分離対象の媒体が郵便物Pではなく、紙幣などのさらに薄い媒体であるような場合には、破れや切れなど破損の虞もある。つまり、分離対象の種類に応じて、分離機構5’による分離力は、適切な値に設定することが望ましい。
本実施の形態の分離機構5’で、分離対象の郵便物Pに対する吸着力をコントロールして当該郵便物Pに作用させる分離力をコントロールする場合、例えば、図17に示すように、内側ドラム64の特定の通気孔630をチャンバ61の開口61aに対してずらす方法が考えられる。或いは、内側ドラム64の回転位置を調節する代りに外側ドラム66の回転位置を調節して特定の吸着孔650をずらすようにしても良い。これにより、特定の通気孔630および特定の吸着孔650を介してチャンバ61内に流入する空気の量を調節することができ、吸着力を所望する大きさにでき、分離力を所望する大きさにコントロールできる。
なお、この場合においても、上記のように所望する大きさに調節した分離力をできるだけ長い時間持続させるため、図17(b)に示す状態から内側ドラム64と外側ドラム66を回転させる際には、図18(b)に示すように、内側ドラム64の外側ドラム66に対する回転位置をコントロールする。つまり、この場合においても、上述した第1の実施形態と同様に、特定の吸着孔650が分離対象の郵便物Pを吸着している状態で、次の列の吸着孔651がチャンバ61の開口61aに連通することのないように、内側ドラム64の回転速度を制御する。
具体的には、例えば、図19および図20に一例を示すように内側ドラム64を回転制御する。図19(a)〜(g)には、内側ドラム64および外側ドラム66をそれぞれ平面状に展開した動作説明図を示してあり、図20には、図19の各状態に対応して、内側ドラム64の回転速度の経時変化を示したグラフを示してある。なお、ここでも、外側ドラム66は一定の周速度で回転させているため、制御対象は内側ドラム64だけとなる。
図19(a)には、外側ドラム66の特定の吸着孔650の全部がチャンバ61の開口61aに重なって、内側ドラム64の特定の通気孔630が開口61aに部分的に重なった瞬間を示してある。この瞬間における内側ドラム64の回転速度は、図20に状態aとして示すように、外側ドラム66の回転速度と一致している。また、このとき、内側ドラム64は外側ドラム66に対して僅かに位相を遅らせた状態で回転している。
つまり、図19(a)に示す状態では、外側ドラム66の特定の吸着孔650に対して内側ドラム64の特定の通気孔630がずれた状態で開口61aに重なっているため、上述した図15(a)の状態と比較して、チャンバ61内に吸引される空気の流量は少なくなっている。よって、この状態で外側ドラム66(および内側ドラム64)が逆方向に回転すると、上述した第1の実施の形態と比較して少し弱い分離力が郵便物Pに作用されることになる。
つまり、このとき、外側ドラム66の特定の吸着孔650に対する内側ドラム64の特定の通気孔630の重なり具合を調節することにより、空気の流量を制御でき、郵便物Pに付与する分離力をコントロールできる。
図19(a)に示す状態から、分離対象の郵便物Pが外側ドラム66の周面に吸着されて逆方向に戻されて、外側ドラム66が僅かに矢印T2方向に一定速度で逆転すると、図19(b)、および図20の状態bで示すように、内側ドラム64も同じ速度で逆方向に回転される。つまり、図20の状態aから状態bに至る間、内側ドラム64は、外側ドラム66と同じ周速で逆回転される。このとき、特定の吸着孔650に対する特定の通気孔630の重なり具合も維持されるため、郵便物Pに対する吸着力、すなわち当該郵便物Pに付与される分離力も所望する値に維持される。
そして、この後、図20の状態b〜cに示すように内側ドラム64が逆方向に加速回転され、図19(c)のように外側ドラム66の回転に少し追い付いた状態になる。この時点で、外側ドラム66の次の列の吸着孔651は既に部分的にチャンバ61の開口61aに重なっているものの、位相が遅れた状態で回転している内側ドラム64の次の列の通気孔631はまだ開口61aに重なっていない。つまり、図19(c)の状態までは、チャンバ61の内部圧力が昇圧されることはなく、分離力は略同じ大きさに維持されている。
これに対し、図19(c)の状態のとき、外側ドラム66の次の列の吸着孔651に内側ドラム64の次の列の通気孔631がぴったり重なっていると、上述した参考例の分離ドラム31を用いた場合と同様に、次の列の吸着孔651および次の列の通気孔631を介してチャンバ61内に空気が流入してしまい、チャンバ61内の圧力が昇圧されてしまう。つまり、ここでも、内側ドラム64の位相を遅らせることで、このような空気漏れの問題を防止していることが分かる。
図19(c)の状態から外側ドラム66がさらに一定速度で逆転されると、今度は内側ドラム64が減速され、図19(d)(e)の状態を経て、外側ドラム66より遅い周速まで減速されて、図19(f)の状態に至る。図19(f)の状態は、チャンバ61の開口61aが次の列の吸着孔651と次の列の通気孔631に対向している以外、図19(a)の状態と同じである。また、図19(g)の状態は、図19(b)の状態に相当する。
以上のように、上述した制御方法を採用すると、分離対象の郵便物Pに付与する分離力を所望する値にコントロールでき、このように所望する値に調節した分離力を比較的長い時間持続させることができる。これにより、分離対象となる媒体の種類に合わせた適切な分離力を付与できる分離機構5’を提供でき、郵便物Pを複数通重なった状態で取り出してしまう“重送”の発生率を低くすることができ、処理装置全体としての処理能力を向上させることができる。
図21および図22には、この発明の第2の実施の形態に係る分離機構5”の要部の構造を示してある。図21(a)には、複数の吸着孔65を外側ドラム66の回転方向に沿ってできるだけ近付けて配置するように千鳥配置した構造の斜視図を示してあり、図21(b)には、図21(a)の構造の断面図を示してある。また、図22(a)、22(b)には、図21(a)、21(b)の状態から、それぞれ、内側ドラム64および外側ドラム66を僅かに逆転させた状態を示してある。
本実施の形態の分離機構5”は、外側ドラム66の吸着孔65の数を増やして千鳥配置し、且つそれに合せて内側ドラム64の通気孔63を千鳥配置した以外、上述した第1の実施の形態の分離機構5’と同じ構造を有する。よって、ここでは、第1の実施の形態と同様に機能する構成要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、この分離機構5”は、上述した第1の実施の形態の分離機構5’と同様に動作するため、その詳細な動作説明についても省略する。
図21、22に示すように吸着孔65(通気孔63)を千鳥配置した場合、図23にも展開図を示すように、各ドラム64、66の回転方向に沿った孔のピッチが第1の実施の形態より狭くなる。このため、上述したように、第1の実施の形態の分離機構5’よりさらにチャンバ61内の圧力が昇圧され易くなる。つまり、各ドラム64、66を僅かに逆転させただけで、次の列の吸着孔651および通気孔631がチャンバ61の開口61aに対向するため、チャンバ61内に空気が流入し易くなっている。
しかし、この場合においても、図24に示すように、内側ドラム64を加減速させる周期を短くすることで、チャンバ61内の圧力が昇圧されてしまう不具合を少なくすることができる。また、仮に、孔63、65を千鳥配置することで、チャンバ61内に空気が流入する時間が長くなったとしても、ドラム64、66の回転方向に沿ってピッチを狭めて孔63、65を形成しているため、次の列の孔631、651を介して直ぐに郵便物Pに分離力を与えることができ、負圧が大きく変動してしまうことがない。
また、逆に、各ドラム64、66の回転方向に沿った孔63、65のピッチを広げることで、特定の孔630、650を介して郵便物Pを吸着している状態で、次の列の孔631、651がチャンバ61の開口61aに対向してしまう現象を無くすこともできる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
例えば、上述した実施の形態では、外側ドラム66を一定速度で回転させて内側ドラム64を加減速させる場合について説明したが、これに限らず、内側ドラム64を一定速度で回転して外側ドラム66の回転速度を制御するようにしても良い。また、内側ドラム64の回転速度と外側ドラム66の回転速度を双方ともコントロールするようにしても良い。

Claims (9)

  1. 重ねられた複数枚の紙葉類のうち集積方向一端の紙葉類に接触して回転することで当該紙葉類をその面方向に取り出す取り出し機構と、
    この取り出し機構によって取り出された紙葉類に連れ出された2枚目以降の紙葉類に取り出し方向と逆方向の分離力を付与して分離する分離機構と、を有し、
    上記分離機構は、
    上記逆方向に回転する途中で上記連れ出された紙葉類に対向する複数の吸着孔を有する外側回転体と、
    この外側回転体の内側でこの外側回転体と同軸に回転可能に設けられ、回転の途中で上記吸着孔に重なる複数の通気孔を有する内側回転体と、
    上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔およびこの吸着孔に重なった上記通気孔を介して空気を吸引して上記外側回転体の周面に上記連れ出された紙葉類を吸着させる吸引装置と、
    上記外側回転体と内側回転体を関連付けて回転させる制御装置と、
    を有する紙葉類処理装置。
  2. 上記制御装置は、上記外側回転体の上記逆方向への回転によって上記連れ出された紙葉類に次に対向する別の吸着孔を介して上記吸引している空気が漏れないように、上記内側回転体の位相をずらして回転させる請求項1に記載の紙葉類処理装置。
  3. 上記制御装置は、上記外側回転体を一定速度で上記逆方向に回転させるとともに、上記内側回転体を加減速回転させる請求項2に記載の紙葉類処理装置。
  4. 上記制御装置は、上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔と上記通気孔との重なり具合を調節して上記連れ出された紙葉類に作用せしめる分離力を調節するように、上記外側回転体と内側回転体を回転させる請求項1に記載の紙葉類処理装置。
  5. 重ねられた複数枚の紙葉類のうち集積方向一端の紙葉類に接触して回転することで当該紙葉類をその面方向に取り出す取り出し機構と、
    この取り出し機構によって取り出された紙葉類に連れ出された2枚目以降の紙葉類に取り出し方向と逆方向の分離力を付与して分離する分離機構と、を有し、
    上記分離機構は、
    上記逆方向に回転する途中で上記連れ出された紙葉類に対向する複数の吸着孔を有する外側回転体と、
    この外側回転体の内側でこの外側回転体と同軸に回転可能に設けられ、回転の途中で、上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔に重なる複数の通気孔を有する内側回転体と、
    この内側回転体の内側に配置され、互いに重なった上記吸着孔および通気孔を介して上記外側回転体の外部に連通するチャンバと、
    このチャンバを真空引きして上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔およびこの吸着孔に重なった上記通気孔を介して空気を吸引し、上記外側回転体の周面に上記連れ出された紙葉類を吸着させる吸引装置と、
    上記外側回転体と内側回転体を関連付けて回転させる制御装置と、
    を有する紙葉類処理装置。
  6. 上記制御装置は、上記外側回転体の周面に上記連れ出された紙葉類を吸着させた状態で、該外側回転体の上記逆方向への回転によって上記連れ出された紙葉類に次に対向する別の吸着孔が上記チャンバに連通しないように、上記内側回転体の位相をずらして回転させる請求項5に記載の紙葉類処理装置。
  7. 上記制御装置は、上記外側回転体を一定速度で上記逆方向に回転させるとともに、上記内側回転体を上記逆方向に加減速回転させる請求項6に記載の紙葉類処理装置。
  8. 上記制御装置は、上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔と上記通気孔との重なり具合を調節して上記連れ出された紙葉類に作用せしめる分離力を調節するように、上記外側回転体と内側回転体を回転させる請求項5に記載の紙葉類処理装置。
  9. 重ねられた複数枚の紙葉類のうち集積方向一端の紙葉類に接触して回転することで当該紙葉類をその面方向に取り出す取り出し機構と、
    この取り出し機構によって取り出された紙葉類に連れ出された2枚目以降の紙葉類に取り出し方向と逆方向の分離力を付与して分離する分離機構と、を有し、
    上記分離機構は、
    上記逆方向に回転する途中で上記連れ出された紙葉類に対向する吸着孔を有する外側回転体と、
    この外側回転体の内側でこの外側回転体と同軸に回転可能に設けられ、回転の途中で、上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔に少なくとも部分的に重なる通気孔を有する内側回転体と、
    上記連れ出された紙葉類に対向した吸着孔およびこの吸着孔に少なくとも部分的に重なった上記通気孔を介して空気を吸引して上記外側回転体の周面に上記連れ出された紙葉類を吸着させる吸引装置と、
    上記吸着孔に対する上記通気孔の重なり具合を調節するように上記外側回転体および内側回転体を回転させる制御装置と、
    を有する紙葉類処理装置。
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