JP6382019B2 - 航空機 - Google Patents
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Description
その計測装置は、機体に設けられて機外へと延びるアームに固定することで、機外に設置することができる。
アームが機体を貫通していると、機内の与圧を保持するため、アームと機体との間の気密を確保する必要がある。そのため、アームと機体との間をシール部材で封止し、シール部材を受け部材に固定する。
本発明における「開口」には、種々の用途のために機体に予め用意された窓や扉などの開口そのもの、あるいは、そういった開口を塞ぐパネル部材と置き換えることが可能な代替部材に用意された開口、さらには、貫通部材を機体に貫通させるために機体の改修により形成された開口を含めて、機体が有するあらゆる開口が含まれる。
また、「開口」は、機内と機外とを連通させるものであり、この開口を介して貫通部材が機体を内外に貫通する。
そのため、空力荷重により貫通部材が変形することで貫通部材と開口形成部材とが相対変位するに際して、シールは、単純支持された側においてスライド変位する。これによって、貫通部材から開口形成部材に直接的に荷重が入るのを避けることができ、貫通部材と開口形成部材との間の気密を保持することができる。
上記のように開口形成部材にサポートを設けると、貫通方向に直交または略直交する方向に沿って受け部をサポートのフランジとして開口形成部材に容易に設けることができる。そして、これらのフランジに沿ってシールをスライドさせることで、貫通部材から、開口形成部材や機体へと荷重が入力されないようにすることができる。
また、本発明における貫通部材は、機外において物理量を検知する検知装置と、装置に一体化された部材と、を有するように構成することができる。
さらに、本発明における貫通部材は、機外において物理量を検知する検知装置の一部として構成されていてもよい。
かかる検知装置は、機体への着氷状況を把握するために用いることができる。
また、本発明における検知装置は、総圧および静圧のうち、少なくとも総圧を検知するものとすることができる。かかる検知装置は、ピトー管を含んで構成することができる。総圧は、飛行時にピトー管の前方の開口から押し込まれる空気の圧力に相当する。ピトー管は、少なくとも前方の開口を有する。第2実施形態のように、静圧孔を有していないピトー管121と、別途設けられた静圧孔を有する装置(第2実施形態ではトレーリングコーン装置が該当)とを用いることにより、航空機の対気速度に対応する動圧を取得するように構成することもできるし、前方の開口および静圧孔の双方を有するピトー管によって総圧と静圧とを検知することにより、動圧を得ることもできる。
そこで、本発明の鉄道車両は、構体が有する開口を介して構体を内外に貫通し、構体の外に突出する貫通部材と、開口を形成する開口形成部材と貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、シールを貫通部材と開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、を備え、貫通部材および開口形成部材は、シールを受ける受け部をそれぞれ有し、受け部はいずれも、間隙を挟んで間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、シールは、貫通部材の受け部および開口形成部材の受け部のうちの一方のみに固定されていることを特徴とする。
〔第1実施形態〕
図1(a)に示すように、航空機10は、胴体11と、胴体11の左右に設けられる主翼12,12と、垂直尾翼13および水平尾翼14とを備える。主翼12,12の各々に、エンジン15,15が支持される。
また、「上」は、航空機10の機体の上側を意味し、「下」は、航空機10の機体の下側を意味するものとする。
機体(特に主翼12)への着氷による空力性能の低下を避けるため、着氷状況をモニタリングし、氷を融解させるなどの装置の性能を確認する必要がある。
計測装置20を設置するため、窓16は、アクリル樹脂等から形成された既設の樹脂パネルを窓代替部材である窓上部8Aおよび窓下部8B(図5)に置き換えて構成される。キャビン18に設けられた他の窓17には、樹脂パネルが設置されている。
窓16のより具体的な構成については後述する。
計測装置20による計測値は、計測装置20に設けられた図示しない電線を介して機内の制御装置へと送信される。機体の複数の箇所には、着氷量を計測する装置や気圧を計測する装置が設けられている。
制御装置は、計測装置20から送信された水滴の直径および単位体積あたりの水滴の質量、他の計測装置から送信された着氷量および気圧などを適宜に用いることにより、着氷の有無や氷の成長状況を含む着氷状況を継続的にモニタリングする。制御装置は、着氷状況に基づいて、機体に付着した氷を熱で融解させる装置の性能を確認する。
加えて、計測装置20を機体に取り付けることによって航空機10の全体の空力特性に影響を及ぼすことのないように、さらに、計測装置20と他の装置とが空力的に干渉しないように、計測装置20の適切な設置位置を選定する。
計測装置20に設けられた電線は、エンドリブ37に形成された開口370からアーム30の内部に引き込まれ、下側のスキン32に沿って配線される。リブ35,36には、それぞれ、電線を通す開口350,360が形成されている。
下側のスキン32は、基端30B側で2つのパネル32A,32Bに分割されている。大きい方のパネル32Bを取り外して、電線を敷設することができる。
後桁34の機内側の端部にも、窓16の内側で支持装置50に結合される結合部44が設けられている。
これらの一対の結合部43,44は、スキン31,32の機内端部311,321(図3(b))に対してより機内側へと突出している(図3(a))。
結合部44にも、上記の孔431,432と同様の2つの孔441,442が形成されている。
結合部43,44は、各々に形成された上記の2つの孔にそれぞれ挿通されるピン57,58(図2)で、支持装置50に設けられる一対の結合部と結合される。アーム30および支持装置50の結合部同士が2つのピン57,58で結合されることにより、アーム30が支持装置50に固定される。
シール固定部45は、図3(b)に示すように、上下に配置される一対の部品45U,45Dから構成される。
電線引出部46に形成された開口460を介して機内へと電線が引き出され、制御装置に接続される。開口460の周縁部と電線との間の隙間はフィッティング461及び図示しないシールにより封止される。
アーム30および計測装置20への被雷に備え、アーム30は、図示しないボンディングジャンパにより胴体11のフレームに接地されている。
さらに、飛行時にアーム30に揚力が働く。アーム30は断面翼形に形成されているので、揚力が大である。
シートレール51,52は、キャビン18内で前後方向に平行に延びており、キャビン18の床に設置されている。
シートレール51,52には、図示しない固定具により座席が固定される。シートレール51,52の各々には、その固定具を係合することが可能な多数の係合部53(孔)が長さ方向において所定間隔で形成されている。適宜な係合部53を選択することにより、座席位置の調整が可能である。
架台60は、アーム30から入力される空力荷重をシートレール51,52へと伝達する。その全空力荷重は、十分な剛性を有するシートレール51,52によって負荷されることとなる。
骨組600を構成する2本の第1支柱61,61は、窓16の直下の一方のシートレール51から窓16の正面に向けて立ち上がっている。同じく骨組600を構成する2本の第2支柱62,62は、他方のシートレール52から窓16の正面に向けて傾斜して立ち上がっている。アーム30から入力された空力荷重は、主として、これらの第1支柱61,61、第2支柱62,62および上端部60Aに位置する天板55を介してシートレール51,52へと伝達される。
骨組600は、第1支柱61,61および第2支柱62,62の他に、複数の縦補強材64と、複数の横補強材65と、支柱61,61,62,62をシートレール51,52に固定するテンション部材63と、アーム30の基端30Bの結合部43,44に結合される一対の結合部材67,68とを備えている。
4枚の側板66は、架台60の四方の側壁を形成しており、支柱61,61,62,62の隣り合うもの同士を連結している。天板55は、架台60の上壁を形成しており、支柱61,61,62,62を連結している。これらの側板66および天板55は、架台60の壁の面内せん断力を受け持ち、骨組600を補強する。架台60は、アーム30から入力される荷重に対して変形せずに形状を留める。
テンション部材63は、第1支柱61,61および第2支柱62,62の各々の下端に固定される部品63Aからなる。テンション部材63は、シートレール51,52上の適切な係合部53に着脱可能に固定される。
テンション部材63は、アーム30から支柱61,61,62,62を介して伝わる引張荷重・圧縮荷重に対して、各部品63Aに荷重を分担しながら抵抗し、支柱61,61,62,62をシートレール51,52に確実に固定する。そうすることで、空力荷重を支柱61,61,62,62を介してシートレール51,52へと十分に伝達することが担保される。
結合部材68は、天板55から窓16に向けて突出する結合受部604を有する。その結合受部604に上下方向に並ぶ2つの孔にそれぞれ挿通されるピン57,58(図2)により、結合受部604と結合部44(図3(a))とが結合される。ピン57,58は、いずれも前後方向に沿って配置され、結合受部604および結合部44に対して着脱可能に設けられる。
結合部材67は、結合受部604と同様の結合受部603を有する。その結合受部603に上下方向に並ぶ2つの孔にそれぞれ挿通されるピン57,58(図2)により、結合受部603と結合部43(図3(a))とが結合される。
アーム30および計測装置20に加えられる空力荷重は、結合部43,44および結合受部603,604を介して架台60に入力される。
そして、架台60、シートレール51,52、アーム30、および窓代替部材が、相互にファスナで着脱可能に結合されており、しかも、窓のパネル交換と同様に、クリップを用いて窓代替部材を本来の樹脂パネルに置き換えることができるので、機体を元の状態に容易に回復させることができる。
上述のように、計測装置20の取り付けにあたり機体を改修しないので、改修に伴う復元作業は発生しない。
以上より、計測装置20の設置のために要していた大規模な改修、および改修に伴う復元の作業を撤廃し、労力、コスト、作業時間を大幅に削減することができる。
窓16は、図4、図5および図6に示すように、金属パネル85と、金属パネル85の機内側の面に設けられた図示しない補強材と、金属パネル85の機内側の面から立ち上がる上サポート81および下サポート82とを備える。
金属パネル85は、図示しない複数のクリップ(図11のクリップ804参照)を用いて、胴体11のスキンに形成された窓枠88(図4)に機内側から固定される。金属パネル85の外周と、窓枠88の内周との間は、ゴム製のガスケット87(図2)により封止される。これらのクリップおよびガスケット87は、窓17に設けられるものと同様である。
すると、図6に示すように、金属パネル85にはパネル開口84が形成され、上サポート81および下サポート82の内側にはサポート開口83が形成される。アーム30は、これらのパネル開口84およびサポート開口83を介して窓16を貫通している。
上サポート81および下サポート82の各々の機内側には、図5及び図6に示すように、サポート開口83の外側に拡がるフランジ81F,82Fが形成されている。サポート開口83内において、フランジ81F,82Fの内周と、シール固定部45の外周との間に、所定の寸法の間隙S2(図6)が全周に亘り設定されている。これらのフランジ81F,82Fは、シール固定部45の機内側の面と、間隙S2を挟んで面一に配置されている。
フランジ81F,82Fは、シール固定部45と共に、シール71を受けるシール受け部として機能する。上述のように上サポート81および下サポート82を箱形に設けることにより、アーム30の軸方向に直交する方向に沿ってシール71を受けるシール受け部を上サポート81および下サポート82のフランジ81F,82Fとして窓16の部材に容易に設けることができる。そして、後述するように、これらのフランジ81F,82Fに沿ってシール71をスライドさせることで、アーム30から窓16へと荷重が入力されないようにすることができる。
気密保持部70は、図4および図6に示すように、間隙S2を封止するシール71と、シール71を押さえるリテーナ72とを備える。シール71およびリテーナ72は、間隙S2を挟んで配置されたシール固定部45とフランジ81F,82Fとに沿って延在している。
シール71には、適宜なゴム系材料を用いることができる。本実施形態のシール71は、難燃性を有するクロロプレンゴムから形成されている。
リテーナ72のフランジ81F,82Fに重ねられる部分は、図7(a)、(b)に示すように、シール固定部45に重ねられる部分に対し、機外側に向けて少し傾斜しており、シール71をフランジ81F,82Fへと確実に押し付ける。
ところが、特にフライト開始直後など、飛行高度の上昇により機外の気圧が急激に下がると、シール71がずれて、シール71とシール固定部45およびフランジ81F,82Fとの間に隙間が生じやすい。それを未然に防いで機内の与圧を保持するために、シール71をリテーナ72によりシール固定部45およびフランジ81F,82Fに押さえている。
ここで、シール固定部45とフランジ81F,82Fとの両方にシール71およびリテーナ72を固定していると、空力荷重によりアーム30が変形した際にアーム30から窓16へと荷重が入力されてしまう。それによってシール71が間隙S2からずれたり、過度に変形してシール固定部45やフランジ81F,82Fから浮いたり、窓上部8Aおよび窓下部8Bや窓枠88が破損したりすることで気密が失われることを未然に防ぐために、シール固定部45のみにシール71を固定している。つまり、シール71は、一端側でシール固定部45に固定され、他端側ではフランジ81F,82Fにより単純支持されている。
以上をまとめると、機外の気圧降下時にシール71による気密を確保する必要があるとともに、空力荷重によりアーム30が変形した際に、アーム30から窓16に荷重を伝達しないで、アーム30と窓16との間の気密を確保する必要がある。そのため、窓16とアーム30との間に上述の間隙S1,S2を設定し、間隙S2を封止するシール71をリテーナ72で窓16とアーム30とに押圧するとともに、シール71を片側で固定している。
例えば、図7(a)および(b)は、シール71の上端および下端を示しており、シール71がシール固定部45の変位に追従するように、フランジ81F,82Fに沿って下方に向けてスライドする様子を示している(破線の矢印参照)。
このようにシール71をフランジ81F,82Fに沿ってスライド変位させることで、アーム30から窓16に直接的に荷重が入るのを避けることができる。
また、計測装置20は、アーム30の下側や上側に設けることもできる。
計測装置20を機体の表面から離す必要がなければ、アーム30が窓16から長く突出している必要はなく、窓16の機外側の表面の近くでアーム30に計測装置20を設けることも許容される。
次に、本発明の第2実施形態について、図8〜図13を参照して説明する。
図8(a)に示す本実施形態の航空機10には、飛行試験にあたり、ピトー装置120が設けられる。ピトー装置120は、キャビン18の窓16から機外へと突出している。
ピトー装置120は、垂直尾翼の上端から後方に曳かれる図示しないトレーリングコーン装置と共に、飛行試験において航空機10の正確な対気速度を求めるために設けられており、その役目を終えたならば、機体から取り外される。
ピトー装置120およびトレーリングコーン装置は、図示しないエアデータシステムの演算装置に接続されている。
航空機10の機体には、飛行試験に限らず、航空機10の飛行時に常時用いられる図示しないピトー装置が設けられている。そのピトー装置は、航空機10の標準設備として機体に常設されている。
ピトー装置120は、被雷に備えて、図示しないボンディングジャンパにより胴体11のフレームに接地されている。
また、ピトー装置120は、ピトー管121への氷の付着を防ぐヒーターを内蔵している。
ピトー管121の内部には、開口121Aから圧力検知部122へと通じる経路が形成されている。
一方、上述したトレーリングコーン装置は、静圧を測定する。
上述したエアデータシステムの演算装置は、ピトー装置120により測定される総圧と、トレーリングコーン装置により測定される静圧とに基づいて、動圧および対気速度を算出する。
すなわち、総圧と静圧との圧力差は、ベルヌーイの式(1)より、動圧Pdを示す。
圧力検知部122は、ピトー管121の基端側と、固定部123とを結ぶ。圧力検知部122は、固定部123から、窓16の面外方向かつ前方に向けて延び、ピトー管121の基端側に連続する。
できるだけ気流の乱れが少ないところにピトー管121が配置されるように、窓代替部材8上の適宜な位置に固定部123が配置される。
窓代替部材8は、複数のクリップ804を用いて、窓枠88に機内側から固定される。クリップ804は、スキン153に固定された図示しないブラケットに固定される。窓代替部材8と窓枠88との間は、ゴム製のガスケット87により封止される。
底部125Aには、電線引出部123Aおよび総圧計測用配管123Bが通される挿通孔125Dが厚み方向に貫通して形成されている。シーリング125Fにより、挿通孔125Dと外気とが隔てられているので、電線および配管の貫通する箇所における気密が保持されている。
ブラケット本体125の環状の側壁は、図13に示すように、窓代替部材8のパネル開口802の周壁803の内側に配置される機外側側壁125Bと、機外側側壁125Bにおける外径に対して周壁803の先端を超えた位置で拡径された機内側側壁125Cとに区分されている(図13)。
機外側側壁125Bの外周部と、周壁803の内周部との間には、所定の寸法の間隙S3が設定されている。
機内側側壁125Cの外周部と、周壁803の外周部とは、周壁803の先端と機内側側壁125Cの端部との間に位置する間隙S4を挟んで略面一に配置されている。
本実施形態におけるシール受け部である周壁803の外周部および機内側側壁125Cの外周部のいずれも、図13に示すように、間隙S4を挟んで、間隙S4の一方側と他方側とを結ぶ方向(白抜き矢印参照)に沿って配置されている。間隙S4は、周壁803の先端と機内側側壁125Cの端部とが対向することで形成されている。間隙S4を形成する一方の部材である周壁803と、間隙S4を形成する他方の部材である機内側側壁125Cとを結ぶ方向が、間隙S4の一方側と他方側とを結ぶ方向であり、ピトー装置120が窓代替部材8を貫通する貫通方向に相当する。したがって、周壁803の外周部および機内側側壁125Cの外周部は、ピトー装置120の貫通方向に沿って配置されている。
結合フランジ126と面材164との間には、必要に応じてシム127(図12)を介装するとよい。
支持構造150を構成するフレーム151,151は、窓16を間に挟んで前後に配置されている。また、同じく支持構造150を構成し、フレーム151,151に直交するストリンガ152,152も、窓16を間に挟んで上下に配置されている。なお、ストリンガ152,152の間に配置されるストリンガ152´は、窓16の位置で分断されている。
フレーム151,151およびストリンガ152,152は、窓16を四方から取り囲むように配置されている。
ベース161は、窓16に沿って配置される面材164と、面材164の機内側の面と、機外側の面とにそれぞれ設けられる複数のサポート165とを有する。
ピトー装置120からピトーブラケット124を介して荷重伝達部材160に入力された空力荷重は、荷重伝達部材160によりフレーム151およびストリンガ152へと伝達され、フレーム151およびストリンガ152により負荷される。
複数のサポート165は、それぞれ断面逆T字状に形成され、横方向(前後方向)に延びる横サポート165Aと、概ね縦方向(上下方向)に延びる縦サポート165Bとからなる。
ピトー装置120には、ピトー管121および圧力検知部122の空気抵抗により、後方かつ機内側へと向かう荷重が加えられる。また、ピトー管121および圧力検知部122に少なからず働く揚力と抗力により、上下方向に荷重も加えられる。
そういった荷重が合成された空力荷重に耐える剛性を確保するとともに、ベース161を固定することのできるフレーム151またはストリンガ152の位置にまで荷重が十分に伝達されるように、各サポート165の向きが定められている。
ベース161には、後述するリテーナ92を取り付ける作業を行うための孔161Bが形成されている。
また、ベース161は、窓代替部材8の取付の調整が必要な場合に、窓代替部材8に設けられるクリップ804(図9)を固定しているファスナを調整できるように、クリップ804の位置を切り欠いた形状に形成されている。
縦固定部材166は、面材164の機外側に配置され、面材164とフレーム151とに図示しないファスナで締結されている。フレーム151への応力集中を避けるため、縦固定部材166は、面材164からフレーム151に向けて広がった形状をしている。
前方に位置する縦固定部材166は、図示しない配管との干渉を避けるため、複数に分割されている。
また、ピトーブラケット124、荷重伝達部材160、およびフレーム151・ストリンガ152が、相互にファスナで着脱可能に結合されており、しかも、窓のパネル交換と同様に、クリップを用いて窓代替部材8を本来の樹脂パネルに置き換えることができるので、機体を元の状態に容易に回復させることができる。
シール91は、帯板状に形成されており、窓代替部材8の周壁803の外周部と、ピトーブラケット124の機内側側壁125Cの外周部とに、全周に亘り巻かれている。
シール91には、適宜なゴム系材料を用いることができる。本実施形態のシール71は、難燃性を有するクロロプレンゴムから形成されている。
ところで、間隙S4を封止するシール91には、機内の与圧と機外の外気圧との圧力差が作用する。機内の与圧を保持するため、シール91により間隙S4が隙間なく封止されている必要がある。
ところが、特にフライト開始直後など、飛行高度の上昇により機外の気圧が急激に下がると、シール91がずれて、シール91と周壁803や機内側側壁125Cとの間に隙間が生じやすい。それを未然に防いで機内の与圧を保持するために、シール91をリテーナ92により周壁803および機内側側壁125Cに押さえている。
ここで、周壁803と機内側側壁125Cとの両方にシール91およびリテーナ92を固定していると、空力荷重がピトー装置120に負荷された際に窓16へと荷重が入力されてしまう。それによってシール91が間隙S4からずれたり、過度に変形して周壁803や機内側側壁125Cから浮いたり、窓代替部材8や窓枠88が破損したりすることで気密が失われることを未然に防ぐために、機内側側壁125Cのみにシール91を固定している。つまり、シール91は、一端側で機内側側壁125Cに固定され、他端側では周壁803により単純支持されている。
以上をまとめると、機外の気圧降下時にシール91による気密を確保する必要があるとともに、空力荷重によりピトー装置120が変形した際に、ピトー装置120から窓16に荷重を伝達しないで、ピトー装置120と窓16との間の気密を確保する必要がある。そのため、窓16とピトー装置120との間に上述の間隙S3,S4を設定し、間隙S4を封止するシール91をリテーナ92で窓16とピトー装置120とに押圧するとともに、シール91を片側で固定している。
このようにシール91を周壁803に沿ってスライド変位させることで、ピトー装置120から窓16に直接的に荷重が入るのを避けることができる。
第1実施形態のアーム30や第2実施形態のピトーブラケット124のサイズに適合する大きさの窓や扉が存在する場合は、窓や扉の開口そのものにアーム30やピトーブラケット124を通すことができる。その場合、窓や扉の代替部材を用いる必要はない。そして、窓や扉の開口の周縁部とアーム30やピトーブラケット124の外周部との間をシールで封止し、リテーナによりシールを押圧するとよい。
窓や扉の代替部材を用いなくても、スキンに予め形成された開口である窓や扉を利用することにより、スキンの内側で縦横に走っている構造部材を欠損させることがないので、貫通部材を機体に容易に取り付けることができ、また、貫通部材を取り外した後の機体の復元も容易である。
11 胴体
12 主翼
13 垂直尾翼
14 水平尾翼
15 エンジン
16,17 窓
18 キャビン
20 計測装置(検知装置)
30 アーム(貫通部材)
30A 先端(第1部位)
30B 基端(第2部位)
31,32 スキン
32A,32B パネル
33 前桁
34 後桁
35,36 リブ
37 エンドリブ
38 前縁
39 後縁
43,44 結合部
45 シール固定部(受け部)
45U,45D 部品
46 電線引出部
47 収容空間
50 支持装置
51,52 シートレール
53 係合部
55 天板
57,58 ピン
60 架台
60A 上端部
61,61 第1支柱
62,62 第2支柱
63 テンション部材
63A 部品
64 縦補強材
65 横補強材
66 側板
67,68 結合部
69 枠体
70 気密保持部
71 シール
72 リテーナ
73 ファスナ
8 窓代替部材(開口形成部材)
8A 窓上部(窓代替部材、開口形成部材)
8B 窓下部(窓代替部材、開口形成部材)
81 上サポート
81F フランジ(受け部)
82 下サポート
82F フランジ(受け部)
83 サポート開口(開口)
84 パネル開口
85 金属パネル
87 ガスケット
88 窓枠
90 気密保持部
91 シール
92 リテーナ
93 ファスナ
120 ピトー装置(検知装置、貫通部材)
121 ピトー管
121A 開口
122 圧力検知部
123 固定部
123A 電線引出部
123B 総圧計測用配管
123C ファスナ
124 ピトーブラケット(貫通部材)
125 ブラケット本体
125A 底部
125B 機外側側壁
125C 機内側側壁(環状部)
125D 挿通孔
125E 凸部
125F シーリング
126 結合フランジ
126A ファスナ
127 シム
150 支持構造
151 フレーム
152 ストリンガ
153 スキン
160 荷重伝達部材
161 ベース
161A ベース開口
161B 孔
162 固定部材
164 面材
165 サポート
165A 横サポート
165B 縦サポート
166 縦固定部材
167 横固定部材
311,321 機内端部
350,360 開口
370 開口
371 フランジ
381,391 機内端部
431,432 孔
441,442 孔
451 上端
452 下端
460 開口
600 骨組
603,604 結合受部
721〜724 部品
801 パネル
802 パネル開口(開口)
803 周壁
804 クリップ
811 固定部
821 固定部
S1〜S4 間隙
Claims (10)
- 機体が有する開口を介して前記機体を内外に貫通し、前記機体の外に突出する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定されている、
ことを特徴とする航空機。 - 機体が有する開口を介して前記機体を内外に貫通する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定され、
前記開口形成部材は、
前記機体が備える窓の窓枠に本来の窓パネルに代えて設けられる窓代替部材である、
ことを特徴とする航空機。 - 前記開口形成部材は、
形成する前記開口の周縁部から、前記貫通部材が前記機体を貫通する貫通方向に沿って機内側に立ち上がるサポートと、
前記サポートに設けられる前記受け部としてのフランジと、を有し、
前記フランジと、前記貫通部材の前記受け部とは、前記間隙を挟んで前記貫通方向に対して直交または略直交する方向に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の航空機。 - 機体が有する開口を介して前記機体を内外に貫通する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定され、
前記開口形成部材は、
形成する前記開口の周縁部から、前記貫通部材が前記機体を貫通する貫通方向に沿って機内側に立ち上がる周壁を有し、
前記貫通部材は、
前記周壁の先端との間に前記間隙を挟んで配置される環状部を有し、
前記開口形成部材の前記受け部としての前記周壁の外周部と、前記貫通部材の前記受け部としての前記環状部の外周部とは、前記貫通方向に沿って配置されている、
ことを特徴とする航空機。 - 機体が有する開口を介して前記機体を内外に貫通する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定され、
前記貫通部材は、
機外に位置する第1部位と、
機内に位置する第2部位と、を有し、
前記第1部位に、物理量を検知する検知装置が設けられる、
ことを特徴とする航空機。 - 機体が有する開口を介して前記機体を内外に貫通する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定され、
前記貫通部材は、
機外において物理量を検知する検知装置と、
前記検知装置に一体化された部材と、を有する、
ことを特徴とする航空機。 - 機体が有する開口を介して前記機体を内外に貫通する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定され、
前記貫通部材は、
機外において物理量を検知する検知装置の一部である、
ことを特徴とする航空機。 - 前記検知装置は、
機外の大気に含まれる水滴についての物理量を検知する、
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の航空機。 - 前記検知装置は、
総圧および静圧のうち、少なくとも総圧を検知する、
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の航空機。 - 鉄道車両の構体が有する開口を介して前記構体を内外に貫通し、前記構体の外に突出する貫通部材と、
前記開口を形成する開口形成部材と前記貫通部材との間に設定された間隙を封止するシールと、
前記シールを前記貫通部材と前記開口形成部材とに対して押さえるリテーナと、
を備え、
前記貫通部材および前記開口形成部材は、
前記シールを受ける受け部をそれぞれ有し、
前記受け部はいずれも、前記間隙を挟んで前記間隙の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿って配置され、
前記シールは、
前記貫通部材の前記受け部および前記開口形成部材の前記受け部のうちの一方のみに固定されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
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