JP6370698B2 - 抗微生物剤 - Google Patents
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Description
本発明の抗微生物剤は、チタン化合物を含む抗微生物剤であって、チタン化合物として平均短径が50nm以下、平均アスペクト比(長径/短径)が1.5以上の結晶性ルチル型酸化チタンを含むことを特徴とする。尚、本発明の結晶性ルチル型酸化チタンには、窒素や硫黄等のアニオンをドープした酸化チタンや、鉄化合物等の遷移金属化合物を担持した酸化チタンは含まれない。
本発明の結晶性ルチル型酸化チタンの平均短径は50nm以下(例えば5〜50nm、好ましくは5〜30nm、特に好ましくは5〜20nm)である。
<比表面積測定条件>
測定原理:定容法(ブランク補正型)
検出法:相対圧力(圧力トランスデューサーによる圧力検出とサミスタによるマニホールド温度検出から理想気体での注入ガス量を計算)
吸着ガス:窒素ガス
セルサイズ:スモールペレットセル(セル容量:1.8cm3、ステム外径:9mm)
測定項目:P/P0(相対圧、P0:飽和蒸気圧)=0.1、0.2、0.3の吸着側3点
Ti(OR1)tX4-t (1)
(式中、R1は炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。tは0〜3の整数を示す)
<サンプル調製方法>
1.少量(耳かきサイズのスパチュラに半分程度)の結晶性ルチル型酸化チタンを9mLのガラス製サンプル瓶に入れ、エタノールを7mL入れ、超音波洗浄器にて超音波を5分間かけてエタノール中に分散させエタノール分散液を得る。
2.得られたエタノール分散液をガラス製スポイドで1滴取り、SEM用試料台の上に落として自然乾燥させた後、30秒間白金蒸着を行う。
<測定方法>
電界放出型走査電子顕微鏡(商品名「FE-SEM JSM-6700F」、日本電子(株)製、加速電圧:15kV、WD:約3mm、倍率:20万倍)を使用して結晶粒子をランダムに観察し、代表的な3カ所を抽出し、抽出されたSEM写真全体の中で、見た目に極端に大きく又は小さくなく、平均的な大きさの粒子を中心に輪郭がはっきりしている粒子30個を抽出してOHPシートに写し、それらの粒子について、画像解析ソフトウェア(商品名「WinROOF Version5.6」、三谷商事(株)製)を用いて各短径(最大長径に直交する幅)を求め、それらの値を平均して平均短径とした。また、同様の方法で平均長径(最大長径)を求め、これらの比(平均長径/平均短径)を平均アスペクト比とした。
(粗酸化チタン懸濁液の調製)
室温(25℃)にて、四塩化チタン水溶液(Ti濃度:16.5重量%±0.5重量%、塩素イオン濃度:31重量%±2重量%、東邦チタニウム(株)製)をTi濃度が5.6重量%になるように純水で希釈した。希釈後の四塩化チタン水溶液5650gを容量10Lのタンタルライニングのオートクレーブに入れ密閉した。熱媒を用い、2時間かけて上記オートクレーブ内温度を140℃まで昇温した。その後、撹拌所要動力(Pv値)220W/m3で撹拌しつつ、温度:140℃、圧力:その温度における蒸気圧の条件下で10時間保持した後、熱媒を冷却することにより、オートクレーブを40℃以下まで冷却した。オートクレーブ内温度が40℃以下になったことを確認して、粗酸化チタン懸濁液5650gを取り出した。
得られた粗酸化チタン懸濁液を純水で3倍に希釈し、撹拌速度300rpmにて撹拌混合して、中空糸型限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行った。濾過処理を経て得られた濃縮液は再度仕込みタンクに循環し、透過液のpHが4.0になるまで繰り返し濾過処理に付した。尚、pHはpH試験紙を使用して測定した。
この間、1時間に1回の割合で0.1MPaの圧力、2kg/minの流速で1分間逆洗浄を実施した。この逆洗浄により膜通過した洗浄水は仕込みタンクに循環した。その後、純水の仕込みを停止し、酸化チタン濃度を濃縮させて酸化チタン懸濁液(ロッド状の結晶性ルチル型酸化チタン含有量:10重量%)を得、これを抗微生物剤とした。
得られた抗微生物剤について、下記方法で大腸菌に対する抗菌性を評価したところ、暗所保管4時間後に抗菌活性値4.7であった。また、バクテリオファージQβに対する抗ウイルス性は、暗所保管2時間後に抗ウイルス活性値5.2であった。
ガラス板(50mm×50mm×1mm)表面に、抗微生物剤をチタン化合物が25mg/25cm2となるようにスプレーガンを用いて塗布し、自然乾燥することにより抗微生物剤層を形成したものを試験片(=抗微生物剤塗工ガラス板)として使用して、抗菌性、抗ウイルス性試験を行った。
上記試験片を用いて、日本工業規格JIS R 1752:2013「ファインセラミックス−可視光応答形光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」に基づく方法で暗所のみで試験を行い、大腸菌の生菌数を測定することにより評価した。
まず、抗微生物剤層に、紫外線強度が1mW/cm2となるように(トプコン社製紫外線強度計「UVR−2」に同社製受光部「UD−36」を取り付けて測定)、ブラックライトを用いて紫外線を17時間照射した。
次に、抗微生物剤層に大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)の菌液(生菌数:2.0×105個)を接種し、被覆フィルムを載せて密着させ、これを室温(25±5℃)、暗所で4時間保存し、試験片1個当たりの生菌数を測定した。試験片を3つ用いて同時に前記測定を行い、これら3つの生菌数の平均値で評価を行った。
抗微生物剤未塗工ガラス板についても同様の操作を行い、生菌数を測定した。
抗菌活性値は以下の式で求めた。抗菌活性値が2以上であれば、一般的に抗菌活性を発現しているといえる。
抗菌活性値=log(Nb0/Nb)
Nb0:抗微生物剤未塗工ガラス板での生菌数の平均値
Nb:抗微生物剤塗工ガラス板での生菌数の平均値
暗所保管4時間後の生菌数が少ないものほど、大腸菌の抗菌性が高いと言える。
上記試験片を用いて、日本工業規格JIS R 1756:2013「ファインセラミックス−可視光応答形光触媒材料の抗ウイルス性試験方法−バクテリオファージQβ」に基づく方法で暗所のみで試験を行い、バクテリオファージ感染価を測定することにより評価した。
まず、抗微生物剤層に、紫外線強度が1mW/cm2となるように(トプコン社製紫外線強度計「UVR−2」に同社製受光部「UD−36」を取り付けて測定)、ブラックライトを用いて紫外線を24時間照射した。
次に、抗微生物剤層にバクテリオファージQβ(Escherichia coli phage Qβ NBRC20012)の試験液(バクテリオファージ感染価:1.0×106pfu)を接種し、被覆フィルムを載せて密着させ、これを室温(25±5℃)、暗所で2時間保存後、活性ファージを大腸菌に感染させることにより、試験片1個当たりのバクテリオファージ感染価を測定した。尚、試験片を3つ用いて同時に行い、これら3つのバクテリオファージ感染価の平均値で評価を行った。
抗微生物剤未塗工ガラス板についても同様の操作を行い、バクテリオファージ感染価を測定した。
抗ウイルス活性値は以下の式で求めた。抗ウイルス活性値が2以上であれば、一般的に抗ウイルス活性を発現しているといえる。
抗ウイルス活性値=log(Nv0/Nv)
Nv0:抗微生物剤未塗工ガラス板でのバクテリオファージ感染価の平均値
Nv:抗微生物剤塗工ガラス板でのバクテリオファージ感染価の平均値
暗所保管2時間後のバクテリオファージ感染価が少ないものほど、抗ウイルス性、すなわち光触媒活性が高いと言える。
Claims (3)
- 下記チタン化合物を含む暗所用抗微生物剤。
チタン化合物:平均短径が50nm以下、平均アスペクト比(長径/短径)が1.5以上、比表面積が60m 2 /g以上の結晶性ルチル型酸化チタン(アニオンをドープした酸化チタン及び遷移金属化合物を担持した酸化チタンを除く)を暗所用抗微生物剤に含まれる全チタン化合物の50重量%を超えて含む - 結晶性ルチル型酸化チタンが結晶面(110)及び結晶面(111)を有するルチル型酸化チタン及び/又は結晶面(110)、結晶面(111)及び結晶面(001)を有するルチル型酸化チタンである請求項1に記載の暗所用抗微生物剤。
- 下記チタン化合物と分散媒を含む暗所塗布用抗微生物剤。
チタン化合物:平均短径が50nm以下、平均アスペクト比(長径/短径)が1.5以上、比表面積が60m 2 /g以上の結晶性ルチル型酸化チタン(アニオンをドープした酸化チタン及び遷移金属化合物を担持した酸化チタンを除く)を暗所塗布用抗微生物剤に含まれる全チタン化合物の50重量%を超えて含む
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