JP6357137B2 - 通信制御方法、通信システム及び通信制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、制御局と基地局とは、有線または無線による通信を介して制御メッセージの送受信を行う。また、制御局と端末とは、直接的な無線通信あるいは基地局を介した間接的な無線通信により、制御メッセージの送受信を行う。
一般的に、電波として出力された信号同士が衝突(干渉)してしまうと、正常に信号を受信することができなくなる。そこで、制御局は、受信機にて信号同士の衝突が生じないように送信機の送信を制御する。
ブラインド型アダプティブアレーアンテナ技術による干渉波の除去は、一般に、他のシステムから受けた干渉波の除去に用いられる。また、ブラインド型アダプティブアレーアンテナ技術では、ハードウェアの構成によって、除去可能な干渉波の数が制限される場合がある。具体的には、ブラインド型アダプティブアレーアンテナ技術により同時に除去が可能な干渉波の数の上限は、アンテナの数に応じて決まり、アンテナの数よりも1つ少ない数が除去可能な干渉波の数の上限となる。
また、上記のように通信の割り当てを行うにあたり、送信機が宛先とする受信機が受ける干渉の状況によっては、送信機会を得やすい送信機と、送信機会を得にくい送信機とが生じる可能性がある。このような送信機間での送信機会の差が大きいと、ユーザが体感するサービス品質が著しく低下し、例えばユーザエクスペリエンスが低下する場合がある。
[通信システムの構成例]
図1は、本実施形態における通信システムの全体的な構成例を示している。同図に示すように、本実施形態における通信システムは、基地局100(通信装置の一例)と、端末装置200−1、200−2、200−3(通信装置の一例)と、制御局300(通信制御装置の一例)とを備える。
基地局100と制御局300は固定局であり、端末装置200−1、200−2、200−3は移動局である。
また、同図においては、1つの基地局100が示されているが、通信システムにおいて複数の基地局100が備えられてよい。
なお、端末装置200と制御局300とは、基地局100を介することなく、直接的に無線通信を行ってもよい。ただし、以降の説明においては、端末装置200と制御局300とが基地局100を介して無線通信を行う場合を例に挙げる。
また、端末装置200と制御局300との間の無線通信は、TDMA(Time Division Multiple Access)が適用される場合を例に挙げる。
ただし、本実施形態において適用される無線通信の方式は、TDMAに限定されるものではなく、例えば他の時分割多元接続による方式であってもよい。また、本実施形態は、例えば周波数分割多元接続による無線通信の方式にも適用可能である。
送信機101には、通信システムにおいて送信機を一意に示す送信機IDとして「T00」が付与される。受信機102には、通信システムにおいて受信機を一意に示す受信機IDとして「R00」が付与される。
送信機201−1には、送信機IDとして「T01」が付与される。受信機202−1には、受信機IDとして「R01」が付与される。
また、端末装置200−3は、送信機201−3、受信機202−3を備える。送信機201−3には、送信機IDとして「T03」が付与され、受信機202−3には、受信機IDとして「R03」が付与される。
また、基地局100の送信機101と、端末装置200の送信機201とで特に区別しない場合には、単に送信機と記載する。また、基地局100の受信機102と、端末装置200の受信機202とで特に区別しない場合には、単に受信機と記載する。
図2は基地局100の構成例を示している。同図に示す基地局100における送信機101は、外部通信インターフェース111及び信号送信部112を備える。
外部通信インターフェース111は、例えば光または電気信号による有線の通信、または無線通信により、制御局300から送信される信号を受信する。
信号送信部112は、端末装置200に対して無線通信により信号を送信するための処理を行う。信号送信部112は、信号蓄積部1121及び送信制御部1122を備える。
信号蓄積部1121は、端末装置200に送信すべき信号を蓄積(バッファリング)する。送信制御部1122は、信号蓄積部1121に蓄積されている信号の送信を制御する。
外部通信インターフェース121は、例えば光または電気信号による有線の通信、または無線通信により制御局300に信号を送信する。
信号受信部122は、端末装置200から無線通信により送信された信号を受信する処理を行う。信号受信部122は、干渉補償部1221、干渉波数検出部1222、及び比較対象値算出部1223を備える。
干渉波数検出部1222は、受信機102が他の通信システム(他システム)から受けている干渉波の数(干渉波数)を検出する。干渉波数は、干渉補償部1221が行う干渉波の除去処理の状況を監視して干渉波数を検出することができる。
比較対象値算出部1223は、比較対象値算出パラメータを取得する。比較対象値算出パラメータは、本実施形態における比較対象値の算出に用いられるパラメータであり、受信機102が受ける干渉波の状況に応じて変化する。また、本実施形態における比較対象値は、制御局300が送信機について送信の可否を決定する際に、受信機の除去可能干渉波残数との比較に用いられる値(閾値)である。そのうえで、比較対象値算出部1223は、取得された比較対象値算出パラメータを利用して比較対象値を算出する。
具体的に、通知部123は、干渉波数検出部1222により検出された干渉波数を通知する干渉波数通知メッセージを生成し、生成された干渉波数通知メッセージを、外部通信インターフェース121から制御局300に送信させる。
また、通知部123は、比較対象値算出部1223により算出された比較対象値を制御局300に通知する。即ち、通知部123は、比較対象値算出部1223により算出された比較対象値を通知する比較対象値通知メッセージを生成し、生成された比較対象値通知メッセージを、外部通信インターフェース121から制御局300に送信させる。
信号受信部122が端末装置200から受信し、制御局300に転送される受信信号は、受信信号の送信元の端末装置200から送信されたデータ信号と、干渉波数通知メッセージと、比較対象値通知メッセージとのうちの少なくとも1つを含む。受信信号の干渉波数通知メッセージにおいては、受信信号の送信元の端末装置200における受信機にて検出された他の通信システムからの干渉波数が示される。
送信制御部1122は、入力された基地局送信制御メッセージが指定する送信タイミングに従って送信トリガ信号を信号蓄積部1121に出力する。
制御局300から送信され、信号蓄積部1121に蓄積される信号は、宛先の端末装置200が受信すべきデータ信号と、宛先の端末装置200における送信機201の送信タイミングを指定する制御メッセージである端末送信制御メッセージとを含む。
図3を参照して端末装置200の構成例について説明する。同図の端末装置200における送信機201は、外部通信インターフェース211及び信号送信部212を備える。
外部通信インターフェース211は、有線または無線による通信を介して、下位ネットワーク400から送信されるデータ信号を受信する。
信号蓄積部2121は、基地局100に送信すべき送信信号を蓄積する。具体的に、信号蓄積部2121は、外部通信インターフェース211から転送されたデータ信号と、通知部2123により生成された干渉波数通知メッセージと、同じ通知部2123により生成された比較対象値通知メッセージとの少なくともいずれか1つを含む送信信号を蓄積する。
通知部2123は、受信機202における干渉波数検出部2222により検出された干渉波数を基地局100に通知する。このために、通知部2123は、干渉波数検出部2222により検出された干渉波数を通知する干渉波数通知メッセージを生成し、生成された干渉波数通知メッセージを信号蓄積部2121にて蓄積させる。
また、通知部2123は、受信機202における比較対象値算出部224により算出された比較対象値を基地局100に通知する。このために、通知部2123は、比較対象値算出部224により算出された比較対象値を通知する比較対象値通知メッセージを生成し、生成された比較対象値通知メッセージを信号蓄積部2121にて蓄積させる。
外部通信インターフェース221は、有線または無線による通信を介して、下位ネットワーク400に対して、信号弁別部2224から出力されるデータ信号を送信する。
干渉波数検出部2222は、受信機102が他の通信システムから受けている干渉波数を検出する。干渉波数検出部2222は、検出した干渉波数を、送信機201の信号送信部212における通知部2123に出力する。
比較対象値算出部2223は、受信機202が受ける干渉波の状況に応じた比較対象値算出パラメータを取得する。そのうえで、比較対象値算出部2223は、取得された比較対象値算出パラメータを利用して比較対象値を算出する。比較対象値算出部2223は、算出した比較対象値を通知部2123に出力する。
そこで、信号弁別部2224は、基地局100から受信した信号がデータ信号と送信制御メッセージのいずれであるのかを弁別する。
信号弁別部2224は、受信した信号がデータ信号であると弁別した場合、弁別したデータ信号を外部通信インターフェース221に出力する。これにより、データ信号は、下位ネットワーク400に送信される。
一方、信号弁別部2224は、受信した信号が送信制御メッセージであると弁別した場合、弁別した送信制御メッセージを送信機201の送信制御部2122に出力する。
送信制御部2122は、信号弁別部2224から入力された送信制御メッセージが指定する送信タイミングに従って送信トリガ信号を信号蓄積部2121に出力する。
図4を参照して、制御局300の構成例について説明する。同図の制御局300は、受信部301、送信割当部302、送信機制御部303、記憶部304及び送信部305を備える。
受信部301は、基地局100から有線または無線により送信される信号を受信する。
本実施形態の送信割当部302は、干渉波数取得部321、干渉関係情報取得部322、比較対象値取得部323、送信可否判定部324及び送信履歴情報更新部325を備える。
基地局100は、自身が備える受信機102にて検出された干渉波数を示す干渉波数通知メッセージを制御局300に送信する。また、基地局100は、各端末装置200から送信された干渉波数通知メッセージを中継して制御局300に送信する。端末装置200から送信される干渉波数通知メッセージは、端末装置200における受信機202にて検出された干渉波数を示す。
干渉波数取得部321は、上記のように受信機IDと対応付けた干渉波数を、記憶部304の干渉状況情報記憶部342が記憶する干渉状況情報に含めて記憶させる。
つまり、予め定めたパイロット信号を送信装置のそれぞれから順次送信させ、各受信機はパイロット信号が受信されたか否かを検出する。これにより、各受信機において各送信機から送信された電波の検出状況が特定される。
なお、パイロット信号の送信の指示は、干渉関係情報取得部322の制御に応じて、送信機制御部303がパイロット信号の送信を指示する制御メッセージ(パイロット信号送信要求)を生成し、送信部305から宛先の通信装置(基地局100または端末装置200)に対して送信させることによって実現される。
宛先の通信装置が基地局100である場合、基地局100の送信機101は、パイロット信号送信要求の受信に応じて各端末装置200に対してブロードキャストまたはマルチキャストでパイロット信号を送信する。
また、宛先の通信装置が端末装置200である場合、パイロット信号送信要求は、基地局100を中継して端末装置200の受信機202にて受信され、信号弁別部2224から送信機201の送信制御部2122に渡される。送信機201は、パイロット信号送信要求が送信制御部2122に渡されると、基地局100と、他の各端末装置200に対してブロードキャストまたはマルチキャストでパイロット信号を送信する。端末装置200へのパイロット信号の送信は、基地局100を中継して行われる。
上記のように1つの通信装置(基地局100または端末装置200)から送信されたパイロット信号は、通信距離や電波状況などの関係から、必ずしも全ての他の通信装置(基地局100または端末装置200)に到達しない場合がある。
また、端末装置200にてパイロット信号が受信できた場合、受信されたパイロット信号は受信機202にて受信される。受信機202は、パイロット信号の受信に応じて、パイロット信号が受信されたことを示すパイロット信号受信応答を制御局300に送信する。
即ち、制御局300における干渉関係情報取得部322は、パイロット信号の送信を通信装置ごとに順次行わせたうえで、パイロット信号の送信ごとに得られるパイロット信号受信応答の返送状況を収集する。これにより、干渉関係情報取得部322は、自通信システムにおける送信機101、201及び受信機102、202間の干渉関係を特定することができる。干渉関係情報取得部322は、特定した干渉関係を示す干渉関係情報を生成する。
同図においては、送信機101、201と受信機102、202との各組み合わせについて、電波の検出の有無が示されている。同図においては、送信機をそれぞれ送信機ID(図1)により示し、受信機102、202をそれぞれ受信機ID(図1)により示している。
同図において「電波検出有り」は、当該「電波検出有り」に対応付けられている送信機と受信機との組み合わせにおいて、送信機から送信された電波が受信機にて検出されたことを示している。具体的に、上記のパイロット信号を用いる手法のもとでは、「電波検出有り」は、当該「電波検出有り」に対応付けられている送信機と受信機との組み合わせにおいて、送信機から送信されたパイロット信号が受信機にて受信された場合に対応する。従って、この場合の「電波検出有り」に対応する受信機は、対応の送信機から送信されたパイロット信号に対応するパイロット信号受信応答を送信している。
一方、「電波検出無し」は、当該「電波検出無し」に対応付けられている送信機と受信機との組み合わせにおいて、送信機から送信された電波が受信機にて検出されなかったことを示している。具体的に、上記のパイロット信号を用いる手法のもとでは、「電波検出無し」は、当該「電波検出無し」に対応付けられている送信機と受信機との組み合わせにおいて、送信機から送信されたパイロット信号が受信機にて受信されなかった場合に対応する。従って、この場合の「電波検出無し」に対応する受信機は、対応の送信機から送信されたパイロット信号に対応するパイロット信号受信応答を送信していない。
即ち、同図の場合の受信機102は、送信機101、送信機101、201−1、201−2、201−3のうちの2以上から同時に送信が行われると、電波の干渉が発生するという干渉関係を有する。
即ち、同図の場合の受信機202−1は、送信機101、201−1から同時に送信が行われると電波の干渉が発生するという干渉関係を有する。
即ち、同図の場合の受信機202−2は、送信機101、201−1、201−2のうちの2以上から同時に送信が行われると、電波の干渉が発生するという干渉関係を有する。
即ち、同図の場合の受信機202−3は、送信機101、201−3から同時に送信が行われると電波の干渉が発生するという干渉関係を有することが示されている。
また、同図に示した干渉関係は一例である。また、干渉関係は、電波状況や移動局である端末装置200の位置などに応じて変化する。このため、干渉関係情報取得部322は、例えば予め定められた一定時間ごとに、上記のパイロット信号の送信を伴う干渉関係特定のための動作を自通信システムにおいて実行させ、干渉関係情報を更新する。
基地局100は、自身が備える受信機102にて算出された比較対象値を示す比較対象値通知メッセージを制御局300に送信する。また、基地局100は、各端末装置200から送信された比較対象値通知メッセージを中継して制御局300に送信する。端末装置200から送信される比較対象値通知メッセージは、端末装置200における受信機202にて算出された比較対象値を示す。
比較対象値取得部323は、上記のように受信機IDと対応付けた比較対象値を、記憶部304の比較対象値情報記憶部343が記憶する比較対象値情報に含めて記憶させる。
送信可否判定部324は、過去の送信機会が少ない送信機から順に送信を許可すべきか否かの判定を行う。
また、送信可否判定部324は、判定対象の送信機ごとに、この判定対象の送信機が送信を行った場合に受信機が除去可能な干渉波数の残数である除去可能干渉波残数を、干渉波数と干渉関係情報とに基づいて算出する。そして、送信可否判定部324は、既に送信を許可すべきと判定された送信機が宛先とする受信機(受信確定受信機)ごとの除去可能干渉波残数と、判定対象の送信機が宛先とする受信機の除去可能干渉波残数とのいずれもが比較対象値以上であるとの条件を満たす場合に送信を許可すべきと判定する。
一方、送信可否判定部324は、上記の条件を満たさない場合に送信を許可すべきでないと判定する。つまり、送信可否判定部324は、受信確定受信機の除去可能干渉波残数と、判定対象の送信機が宛先とする受信機の除去可能干渉波残数とのうちの少なくともいずれか1つが比較対象値未満である場合に、判定対象の送信機について送信を許可すべきでないと判定する。
なお、送信機会の導出に利用される送信履歴情報は、記憶部304の送信履歴情報記憶部341に記憶されている。
送信割当部302により送信が許可された送信機は、後述の送信機制御部303により送信される制御メッセージに応じて送信を実行する。即ち、送信履歴情報更新部325が、送信可否判定部324による送信可否判定の結果に応じて送信履歴情報を更新するということは、送信が許可された送信機が送信を行ったことに応じて送信履歴情報を更新することに相当する。
具体的に、送信機制御部303は、送信可否判定部324により或る1つの判定対象の送信機について送信を許可すべきことが判定されると、送信許可を示す制御メッセージ(送信許可メッセージ)を生成し、送信部305から判定対象の送信機に送信させる。送信許可メッセージには、例えば送信に割り当てた時間(送信時間)と、送信に際して割り当てたスロット(割当スロット)が示されている。なお、送信時間と割当スロットについては、送信可否判定部324が決定すればよい。
判定対象の送信機は、受信された送信許可メッセージが指定する送信時間と割当スロットにより送信を行う。
一方、送信可否判定部324により判定対象の送信機について送信を許可すべきでない(送信待機)と判定された場合には、送信許可メッセージの送信を行わない。これにより、判定対象の送信機は、送信許可メッセージを受信しないことから、送信を待機した状態を維持する。
このように、送信機制御部303は、送信許可メッセージを送信することによって、送信機に送信を実行させ、送信許可メッセージを送信しないことによって送信機が送信を行うことなく待機状態となるように制御することができる。
送信履歴情報記憶部341は、送信履歴情報を記憶する。送信履歴情報は、送信機(送信機101、201)の各々がこれまでに行った送信における送信時間と割当スロット数とを含む。
送信履歴情報更新部325は、送信可否判定部324が送信を許可すべきと判定した送信機について決定した送信時間と割当スロットとに基づいて、送信時間と割当スロット数を取得する。そして、取得した送信時間と割当スロット数とを、送信可否判定部324により送信を許可すべきと判定された送信機に対応付けて送信履歴情報に新規に含める。このようにして、送信履歴情報記憶部341が記憶する送信履歴情報が更新される。
図7は、除去可能最大干渉波数情報の内容例を示している。同図の除去可能最大干渉波数情報は、受信機102、202ごとに対応する受信機IDに、除去可能最大干渉波数を対応付けて格納する構造である。
1つの受信機の除去可能最大干渉波数は、前述のようにブラインド型アダプティブアレーアンテナ技術を採用する場合には、受信機が受信に用いるアンテナの数に応じて決まる。具体的には、除去可能最大干渉波数は、アンテナの数をnで表した場合、n−1となる。つまり、除去可能最大干渉波数は、受信機が受信に用いるアンテナの数から1を減算した数に等しい。
除去可能最大干渉波数情報は、例えば受信機102、202ごとの除去可能最大干渉波数が既知である場合には、予め干渉状況情報記憶部342に記憶しておくようにすればよい。
あるいは、受信機102、202のそれぞれが所定のタイミングで自己の除去可能最大干渉波数を制御局300に通知する。そのうえで、制御局300が、通知された除去可能最大干渉波数を利用して、干渉状況情報記憶部342に除去可能最大干渉波数情報を記憶させるようにしてもよい。
図8は、比較対象値情報記憶部343が記憶する比較対象値情報の内容例を示している。同図の比較対象値情報は、受信機(受信機102、202)ごとに対応する受信機IDに、比較対象値を対応付けて格納する構造である。比較対象値は、制御局300が受信した比較対象値通知メッセージに基づくものであり、比較対象値情報に格納される受信機IDが示す受信機において算出された比較対象値を示す。
図9のフローチャートは、本実施形態の通信システムにおける受信機102、202が干渉波数の検出と通知とに関して実行する処理手順例を示している。なお、ここでは、基地局100における受信機102を例に挙げて説明する。
受信機102において、干渉波数検出部1222は、検出タイミングに至るのを待機する(ステップS101−NO)。検出タイミングとしては、例えば、フレームまたはスロット(タイムスロット)に基づく一定時間間隔とされればよい。
検出タイミングに至ると(ステップS101−YES)、干渉波数検出部1222は、現在において他システムから受けている干渉波数を検出する。(ステップS102)。
通知部123は、ステップS102により検出された干渉波数を示す干渉波数通知メッセージを生成し、生成した干渉波数通知メッセージが制御局300に送信されるように制御を実行する(ステップS103)。
受信機102において、比較対象値算出部1223は、比較対象値算出パラメータを取得するための処理を実行する(ステップS201)。
次に、比較対象値算出部1223は、ステップS201により取得された比較対象値算出パラメータを利用して比較対象値を算出する(ステップS202)。
通知部123は、ステップS202により算出された比較対象値を示す比較対象値通知メッセージを生成し、生成した干渉波数通知メッセージが制御局300に送信されるように制御を実行する(ステップS203)。
本実施形態における比較対象値算出パラメータは、受信エラー率である。
送信機は、割り当てが行われたスロットを使用して送信を行うが、例えば予期しない干渉の影響などにより、送信したスロットが受信機にて正常に受信されることなく受信エラーとなる場合がある。受信エラー率は、このような受信エラーの頻度を示す。受信エラー率は、受信機が受ける干渉波の状況に応じて変化するパラメータの1つである。
まず、比較対象値算出部1223は、予め定めた単位期間としてのt秒間ごとにおいて、受信エラーとなったスロット数(受信エラースロット数)を検出する。ここで、スロットの長さをs秒とすると、t秒の単位期間において割り当てられるスロット数NSTは、t/sにより表される。そのうえで、受信エラースロット数をNRIとすると、受信エラー率RIは、以下の式1により表される。
RI=NRI/NST=NRI×s/t・・・(式1)
即ち、比較対象値算出部1223は、t秒間の単位期間において受信エラースロット数NRIを検出したうえで、上記の式1を利用して、受信エラー率RIを算出する。このようにして、比較対象値算出部1223は、ステップS201として、t秒間の単位期間ごとに受信エラー率RIを取得する。
なお、比較対象値Mの初期値については、各種の条件を考慮して所定値が設定されればよい。また、式2においてa、bは、それぞれ正の整数による定数であって、比較対象値に対するステップ量である。
即ち、(RI>RITH1)が成立する場合、受信エラー率RIが相当に高く、受信機側が受けている干渉が高い。そこで、この場合には、比較対象値を前回よりも高く設定することにより比較対象値についてマージンを与えるようにしている。これにより、送信機について送信が許可される条件が厳しくなる。この結果、送信を行う送信機が少なくなって干渉波の発生が抑制され、受信機において除去可能な干渉波の残数に余裕が生じる可能性も高くできることとなり、通信の安定性の維持を図ることができる。
(RITH2<RI≦RITH1)が成立する場合、受信エラー率RIは標準的である。そこで、この場合には、比較対象値について前回と同じ値を維持することとしている。
(RI≦RITH2)が成立する場合、受信エラー率RIは相当に低く、例えば受信機が受けている干渉が少ない状況である。そこでこの場合には、比較対象値を前回よりも低く設定することで、送信機について送信が許可される条件が緩くなり、多くの送信機により送信が行われる。これにより、ユーザ多重による周波数利用効率を高めていくことができる。
制御局300における干渉関係情報取得部322は、自通信システムにおける干渉関係を示す干渉情報を取得する(ステップS301)。このため、干渉関係情報取得部322は、例えば前述のように、送信機101、201から順次パイロット信号を送信させ、パイロット信号の送信ごとに応じて受信機から返送されるパイロット信号受信応答を収集する。そして、干渉関係情報取得部322は、パイロット信号受信応答の収集結果から、干渉関係を特定し、特定した干渉関係を示す干渉関係情報により、干渉状況情報記憶部342が記憶する干渉状況情報に含まれる干渉関係情報(図5に例示)を更新する。
また、ステップS301の処理を開始するにあたり、干渉関係情報取得部322は、干渉状況更新タイマをリセットした状態から計時をスタートさせる。
送信可否判定は、送信可否判定部324が行う。送信可否判定とは、送信可否判定部324が、送信機101、201ごとに、順次、送信を許可すべきか否かについて判定する処理である。
送信を許可すべきか否かについての判定は、判定対象の送信機が送信を行った場合に推定される受信機102、202の干渉状況に基づいて行われる。受信機102、202の干渉状況は、ステップS301に対応して更新された干渉関係情報と、ステップS302に対応して更新された干渉波数情報とを利用して推定される。
また、送信を許可すべきか否かを判定するにあたっては、ステップS303に対応して更新された比較対象値と、受信機の除去可能干渉波残数との比較が行われる。
また、送信を許可すべきか否かを判定するにあたっての判定対象となる送信機の順序は、送信履歴情報に基づいて、これまでの送信機会が少ない順に従って決定される。つまり、送信機ごとについての送信を許可すべきか否かの判定は、送信機会の少ない送信機を優先させた順で行われる。
また、送信機制御として、送信機制御部303は、判定対象の送信機について、送信可否判定部324により送信を許可すべきでない(送信を待機すべき)ことが判定された場合には送信許可メッセージを送信しない。これにより、判定対象の送信機について送信を待機した状態とすることができる。
つまり、送信履歴情報更新部325は、前述のように、判定対象の送信機について送信を許可すべきことが送信可否判定部324により判定されると、判定対象の送信機の送信履歴を送信履歴情報に新規に含めるように更新する。前述のように、1回の送信機の送信に応じた送信履歴には、送信可否判定部324により決定され、送信許可メッセージに含められる送信時間と割当スロットの数(割当スロット数)が含まれる。
タイマ時間が満了していなければ(ステップS305−NO)、ステップS302〜S304の処理が再度行われる。つまり、ステップS302による干渉波数の取得と、ステップS303による比較対象値の取得と、ステップS304による送信可否判定、送信機制御及び送信履歴情報の更新は、タイマ時間が満了するまでの間、ループ処理として繰り返し実行される。
そして、タイマ時間が満了すると(ステップS305−YES)、ステップS301に処理が戻される。これにより、干渉関係情報を更新したうえで送信可否判定が行われる。
前述のように、通信システムにおける干渉関係は、移動局である端末装置200の位置や電波状況などに応じて時間経過に応じて変化する。そこで、一定時間(タイマ時間)ごとに干渉関係情報を更新したうえで送信可否判定を行うようにすることで、送信可否判定部324は、現在の通信システムの状況に応じて適切に送信可否判定を行うことができる。
まず、送信可否判定部324は、判定対象としての送信機の選択回数を示す変数jに初期値である「1」を代入する(ステップS401)。
S(j)=i・・・(式3)
式3は、j番目の判定対象が送信機iであることを示す。なお、iは送信機に付与された番号を示す。一例として、iとしての番号には送信機IDを使用できる。
送信機会を示す指標値は、これまでに送信機が送信を行ったときの送信時間についての積算値とすることができる。送信可否判定部324は、送信機が送信を行ったときの送信時間を、送信履歴情報記憶部341が記憶する送信履歴情報から取得することができる。
また、送信機会を示す指標値は、一定期間までの過去における送信時間の移動平均値とすることができる。
送信機会を示す指標値は、一定期間までの過去における送信データ量の移動平均値とすることができる。
具体例として、図5に例示した干渉関係のもとで、送信機iが送信機201−1(送信機ID=T01)である場合の受信機xは、送信機201−1からの電波が到達する受信機102(受信機ID=R00)、受信機202−1(受信機ID=R01)、受信機202−2(受信機ID=R02)である。
また、除去可能干渉波残数Na xは、受信機xが除去可能な干渉波数の残数である。
Na x=Na x−1・・・(式4)
即ち、送信機iが送信を行った場合には、送信機iの電波が受信機xに到達して干渉波数を1つ増加させることになる。そして、受信機xは、送信機iからの干渉波を除去することになる。そこで、式4により受信機xの除去可能干渉波残数Na xについて1つ減少させているものである。
除去可能干渉波残数Na xの初期値は、受信機xの除去可能最大干渉波数から、受信機xにて検出されている干渉波数を減算することによって得られる。即ち、送信可否判定部324は、干渉状況情報記憶部342が記憶する除去可能最大干渉波数情報と干渉波数情報とを利用して除去可能干渉波残数Na xの初期値を得ることができる。
ここで、送信機iが宛先とする受信機yは、ステップS403にて除去可能干渉波残数Na xが算出された受信機xのうちの1つである。
受信機yにとって送信機iから送信される信号は所望信号であり、干渉波として除去する必要がない。しかし、ステップS403において、受信機yについても除去可能干渉波残数が減算されている。そこで、ステップS404において送信可否判定部324は、以下の式5により受信機yの除去可能干渉波残数Na yを算出する。
Na y=Na x+1・・・(式5)
つまり、式5によっては、ステップS403により減算した除去可能干渉波残数Naxについて、減算される前の値に戻すことにより除去可能干渉波残数Na yが求められる。
ここで、受信確定機とは、ステップS402〜S412の処理をループしていく過程において送信を許可すべきと判定された送信機が宛先とする受信機である。
しかし、送信要求先の送信機について送信不可と判定された受信機(即ち、受信が行われない受信機)については、正常な受信を維持するために送信機を制御する必要性がないことから、受信機除去可能干渉波残数Naに余裕が無くとも特に問題が無い。
そこで、本実施形態のように、受信確定機に限定して受信機除去可能干渉波残数Naを利用することで、受信確定機ではない受信機の除去可能干渉波残数Naが送信機の可否判定結果に影響を及ぼすことが無くなる。これにより、ステップS405における判定精度を向上させることが可能となる。
そこで、この場合の送信可否判定部324は、送信機iの送信を許可すべきと判定する(ステップS406)。
また、送信可否判定部324は、同じステップS406において、送信を許可すべきと判定した送信機iが宛先とする受信機yを、受信確定機として設定する。
また、送信履歴情報更新部325は、ステップS406による判定に応じて、送信履歴情報を更新する(ステップS408)。具体的に、送信履歴情報更新部325は、送信が許可された送信機に対応して送信可否判定部324により決定された送信時間と割当スロットの数(割当スロット数)とを送信機iと対応付けた送信履歴情報を送信履歴情報記憶部341に新規に記憶させる。これにより、ステップS407により送信された送信許可メッセージに応答して送信機iが行うこととなる送信の結果が送信履歴情報に反映される。
そこで、この場合の送信可否判定部324は、送信機iの送信を待機すべきと判定する(ステップS409)。
ステップS409により送信機iの送信を待機すべきと判定された場合、ステップS407、S408の処理はスキップされる。これにより、送信機iは送信許可メッセージを受信しないために送信を待機した状態を維持する。また、送信機iについての送信履歴情報の更新も行われない。
また、ステップS409により送信機iの送信を待機すべきと判定された場合、送信機iによる送信は行われない。ここで、先のステップS403にて算出された受信機xごとの除去可能干渉波残数Na xは、送信機iが送信を行った場合を仮定した場合の値である。このために、ステップS409により送信機iの送信を待機すべきと判定され、送信機iが送信を行わないこととなったのであれば、除去可能干渉波残数Na xをステップS403により算出される前の値に戻しておく必要がある。
仮に、除去可能干渉波残数Na xの値を戻さずに以降のステップS402〜S412のループ処理を実行したとすると、ステップS403により算出される除去可能干渉波残数Na xに誤差が生じることから、受信機yの除去可能干渉波残数Na yについても誤差が生じる。この結果、ステップS405による判定にも誤りが生じてしまう。
そこで、ステップS409により送信機iの送信を待機すべきと判定された場合、送信可否判定部324は、除去可能干渉波残数Na xについて、ステップS403により算出される前の値に戻す(ステップS410)。このためには、送信可否判定部324は、現在の除去可能干渉波残数Naxについて例えばデクリメント(Na x=Na x−1)を行えばよい。
次に、送信可否判定部324は、ステップS411によりインクリメントされた変数jが、送信機の総数Nより大きいか否かについて判定する(ステップS412)。具体的に、図1に示す本実施形態の通信システムの構成のもとでは、送信機の総数Nは「4」である。
ここで、送信可否判定には、自通信システムにおける送信機と受信機との間の干渉関係と、受信機にて検出された干渉波数とが利用される。これにより、本実施形態の通信システムにおいては、各受信機が受ける干渉波数が除去可能最大干渉波数を越えないようにしながら、除去可能な干渉波数の余剰を送信機の送信に利用するという、ユーザ多重が可能になる。
また、本実施形態では、図12のステップS405における除去可能最大干渉波数との比較に用いる比較対象値について、受信エラー率を利用して求めている。受信エラー率には受信機が受ける干渉状況が反映されており、受信機が受ける干渉状況は時間経過に応じて変化する。即ち、本実施形態における比較対象値は、受信機が受ける干渉状況の時間変動に応じて動的に求められている。これにより、本実施形態においては、例えば比較対象値を固定値とした場合と比較して、受信機が受ける干渉状況の時間変動に追従するようにして適切な送信割り当てを行うことが可能になる。
また、本実施形態では、上記のように送信割り当てを行うにあたり、送信履歴情報に基づいて送信機会の少ない送信機から優先的に送信リソースを割り当てていくようにされていることから、送信機間の送信機会の均等化を図ることが可能になる。このようにして、本実施形態においては、通信システムにおける周波数利用効率を高めることが可能になる。
以下に説明する第2実施形態以降の各実施形態においては、基地局100の受信機102と端末装置200の受信機202とが取得する比較対象値算出パラメータが第1実施形態と異なる。これに伴い、受信機102、202が比較対象値算出パラメータを利用して比較対象値を算出する処理も第1実施形態と異なる。
受信機102の比較対象値算出部1223は、k番目の割当スロットにおける他システムからの干渉波数の最大値NIkを取得する。このために、比較対象値算出部1223は、k番目の割当スロットに対応する期間において干渉波数検出部1222により検出される干渉波数のうちの最大値を、最大値NIkとして取得すればよい。
そのうえで、比較対象値算出部1223は、過去のt秒間(一定期間の一例)における最大値NIkのうちの最大値を、期間内最大値NItとして取得する。また、比較対象値算出部1223は、現在において自己が受けている他システムからの干渉波数(現干渉波数NIG)を、干渉波数検出部1222から取得する。
本実施形態においては、上記のように取得される期間内最大値NItが比較対象値算出パラメータである。
Mk+1=NIt−NIG・・・(式6)
即ち、本実施形態における比較対象値算出部1223は、期間内最大値NItから現干渉波数NIGを減算することにより、比較対象値Mk+1を算出する。
また、比較対象値算出部1223は、ステップS201により比較対象値算出パラメータとして取得された期間内最大値NItと現干渉波数NIGとを利用して、上記の式6により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを制御局300に送信する(ステップS203)。
また、比較対象値算出部2223は、ステップS201により比較対象値算出パラメータとして取得された期間内最大値NItと現干渉波数NIGとを利用して、上記の式6により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部2123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを、基地局100を経由して制御局300に送信する(ステップS203)。
同様に、本実施形態における比較対象値算出パラメータの1つである現干渉波数NIGも、受信機における干渉状況の時間的変化に応じて動的に求められるパラメータである。
本実施形態の場合にも、ステップS405において受信確定機と受信機yの除去可能干渉波残数Na yの全てが比較対象値M以上であると判定された場合には、送信機iが送信を行ったとしても、通信システムにおける各受信機は干渉波を除去して適正に所望信号を受信できる状態にあると推定できる。
一方、ステップS405において、受信確定機のそれぞれについて算出された除去可能干渉波残数Naと受信機yの除去可能干渉波残数Na yとのうちの少なくともいずれか1つが比較対象値M未満であった場合には、除去可能最大干渉波数を越える数の干渉波を受けてしまう受信機が存在する可能性の高いことが推定される。
従って、本実施形態のように求められる比較対象値を利用することによっても、先の第1実施形態と同様に、干渉状況の時間的変動に対して動的に追従して適切に送信割り当てを行うことが可能である。
続いて、第3実施形態について説明する。本実施形態における基地局100の受信機102は、以下のように比較対象値算出パラメータの取得と比較対象値の算出とを行う。
上記のように取得されたt秒間における複数の最大値NIkは、例えば、出現頻度について或る分布を有する。この場合において、例えばt秒間における複数の最大値NIkのうちの最大値の出現頻度が非常に小さいような状況となる可能性もある。この場合、最大値NIkのうちの最大値は瞬時的に出現するので、通信に与える影響はほぼ無視してよいことになる。このような考え方によれば、通信に与える影響が大きいのは、出現頻度が一定以上の範囲において、最も大きい値を有する最大値NIkということになる。
そこで、比較対象値算出部1223は、t秒間における複数の最大値NIkのうちから、出現頻度が予め定めたx%(衝突率許容量に対応する)以下のものを除外する。次に、比較対象値算出部1223は、除外されずに残った最大値NIkにおける最大値(頻度対応最大値NIt(x%))を比較対象値算出パラメータとして取得する。このようにして、本実施形態においては、t秒間において出現頻度が一定以上の範囲において最も大きい値を有する最大値NIkが比較対象値算出パラメータの1つとして取得される。
また、比較対象値算出部1223は、もう1つの比較対象値算出パラメータとして、現干渉波数NIGについても取得する。
Mk+1=NIt(x%)−NIG・・・(式7)
即ち、本実施形態における比較対象値算出部1223は、頻度対応最大値NIt(x%)から現干渉波数NIGを減算することにより、比較対象値Mk+1を算出する。
また、比較対象値算出部1223は、ステップS201により比較対象値算出パラメータとして取得された頻度対応最大値NIt(x%)と現干渉波数NIGとを利用して、上記の式7により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを制御局300に送信する(ステップS203)。
また、比較対象値算出部2223は、ステップS201により比較対象値算出パラメータとして取得された頻度対応最大値NIt(x%)と現干渉波数NIGとを利用して、上記の式7により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部2123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを、基地局100を経由して制御局300に送信する(ステップS203)。
続いて、第4実施形態について説明する。本実施形態においては、比較対象値算出パラメータとして以下の3つが用いられる。まず、1つは、現干渉波数NIGである。また、もう1つは、先の第2実施形態において取得される期間内最大値NItと、先の第3実施形態において取得される頻度対応最大値NIt(x%)とのうちのいずれかである。さらにもう1つの比較対象値算出パラメータは、他システムにおいて衝突回避機能を有する干渉源の数(衝突回避干渉源数)である。
ここで、干渉源とは、自通信システムの受信機に干渉を与える送信機である。従って、衝突回避機能を有する干渉源とは、他システムにおいて自通信システムの受信機に干渉を与える送信機のうちで、衝突回避機能を有する通信方式に従って送信を行うようにされた送信機である。
具体的に、比較対象値算出部1223は、t秒間におけるデータ受信中の期間における他システムからの干渉波ごとの到来方向とエネルギーとを検出し、同じt秒間においてデータを受信していない期間における他システムからの干渉波ごとの到来方向とエネルギーとを検出する。
このように検出を行うことで、干渉波ごとの到来方向とエネルギーとにより、データ受信中の期間において到来した他システムの干渉源(送信機)と、データを受信していない期間において到来した他システムの干渉源とを特定できる。
そのうえで、比較対象値算出部1223は、データ受信中の期間においては一度も到来していないが、データを受信していない期間において到来した干渉源について特定する。比較対象値算出部1223は、このように同定した干渉源の数を、衝突回避干渉源数NCtとして取得する。
Mk+1=NIt−(NIG+NCt)・・・(式8)
即ち、この場合の比較対象値算出部1223は、期間内最大値NItから、現干渉波数NIGに加えて、衝突回避干渉源数NCtをさらに減算することによって比較対象値Mk+1を算出する。
Mk+1=NIt(x%)−(NIG+NCt)・・・(式9)
即ち、この場合の比較対象値算出部1223は、頻度対応最大値NIt(x%)から、現干渉波数NIGに加えて、衝突回避干渉源数NCtをさらに減算することによって比較対象値Mk+1を算出する。
次に、比較対象値算出部1223は、ステップS201により取得された3つの比較対象値算出パラメータを利用して、上記の式8または式9により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを制御局300に送信する(ステップS203)。
比較対象値算出部2223は、ステップS201により取得された3つの比較対象値算出パラメータを利用して、上記の式8または式9により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部2123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを、基地局100を経由して制御局300に送信する(ステップS203)。
続いて、第5実施形態について説明する。第5実施形態においては、他システムからの干渉波数の最大値の出現パターンについて学習を行い、学習に従って推定した干渉波数の最大値を比較対象値参照パラメータの1つとして取得する。
比較対象値算出部1223は、行列NMtkを利用して学習を行い、次の(k+1番目の)割当スロットのタイミングにおける干渉波数の最大値(推定最大値NIPk+1)を求める。一例として、比較対象値算出部1223は、行列NMtkの取り得る組みあわせごとの発生頻度を求め、求められた発生頻度に従って、推定最大値NIPk+1を推定することができる。
なお、上記の手法は一例であって、比較対象値算出部1223が行う学習及び推定最大値NIPk+1の推定の手法については、特に限定されるものではない。
また、本実施形態の比較対象値算出部1223は、現干渉波数NIGについても比較対象値参照パラメータとして取得する。
Mk+1=NIPk+1−NIG・・・(式10)
即ち、本実施形態における比較対象値算出部1223は、推定最大値NIPk+1から現干渉波数NIGを減算することにより、比較対象値Mk+1を算出する。
次に、比較対象値算出部1223は、ステップS201により比較対象値算出パラメータとして取得された推定最大値NIPk+1と現干渉波数NIGとを利用して、上記の式10により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを制御局300に送信する(ステップS203)。
比較対象値算出部2223は、ステップS201により比較対象値算出パラメータとして取得された推定最大値NIPk+1と現干渉波数NIGとを利用して、上記の式10により比較対象値Mk+1を算出する(ステップS202)。
そして、通知部2123は、ステップS202により算出された比較対象値Mk+1を示す比較対象値通知メッセージを、基地局100を経由して制御局300に送信する(ステップS203)。
なお、本実施形態は、例えば端末装置200の位置が或る程度固定的であるなどして、1つの受信機が受ける干渉波の出現パターンが一定範囲で安定しているような通信環境において有効である。
例えば、第1実施形態の場合であれば、受信機は受信エラー率RIを制御局300に送信し、制御局300が受信された受信エラー率RIを利用して式2により比較対象値を算出するように構成できる。あるいは、受信機は割当スロットごとの受信の成功、エラーを示す受信結果データを制御局300に送信し、制御局300が、受信された受信結果データに基づいて比較対象値算出パラメータである受信エラー率RIを算出するとともに、比較対象値を算出するように構成することもできる。
また、第2実施形態の場合であれば、受信機は比較対象値算出パラメータとして取得された期間内最大値NItと、現干渉波数NIGとを制御局300に送信し、制御局300が受信された期間内最大値NItと干渉波数NIGとを利用して式6により比較対象値を算出するように構成することができる。あるいは、受信機は割当スロットごとの干渉波数を制御局300に通知し、制御局300は、通知された割当スロットごとの干渉波数を利用して、期間内最大値NItと、現干渉波数NIGとを取得し、比較対象値を算出するように構成することもできる。
Claims (8)
- 通信制御装置と、無線通信を行う複数の送信機及び複数の受信機とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、
前記受信機が、前記通信システム以外の他システムから受ける干渉波数を検出する干渉波数検出ステップと、
前記通信制御装置が、前記送信機及び前記受信機における干渉関係を示す干渉関係情報を取得する干渉関係情報取得ステップと、
前記受信機または前記通信制御装置が、受信機が受ける干渉波の状況に応じて変化する干渉波状況パラメータに基づいて比較対象値を算出する比較対象値算出ステップと、
前記通信制御装置が、過去の送信機会が少ない送信機から順に送信を許可すべきか否かの判定を行うものであり、判定対象の送信機ごとに、前記判定対象の送信機が送信を行った場合に受信機が除去可能な干渉波数の残数である除去可能干渉波残数を、前記干渉波数と前記干渉関係情報とに基づいて算出し、既に送信を許可すべきと判定された送信機が宛先とする受信機ごとの除去可能干渉波残数と、前記判定対象の送信機が宛先とする受信機の除去可能干渉波残数とのいずれもが前記比較対象値以上であるとの条件を満たす場合に送信を許可すべきと判定し、前記条件を満たさない場合に送信を許可すべきでないと判定する送信可否判定ステップと
を有する通信制御方法。 - 前記比較対象値算出ステップは、
受信機に送信されたスロットのうちで受信に失敗したスロットの数に基づく受信エラー率を前記干渉波状況パラメータとして取得し、前記受信エラー率と予め定められた閾値との比較結果に応じた定数をこれまでの比較対象値に加算または減算することで比較対象値を算出する
請求項1に記載の通信制御方法。 - 前記比較対象値算出ステップは、
現干渉波数を検出する時点よりも前の一定期間において受信機に割り当てられた割当スロットごとに検出される干渉波数のうちの最大値である期間内最大値と、前記検出する時点に対応して検出された現干渉波数とを前記干渉波状況パラメータとして取得し、前記期間内最大値から前記現干渉波数を減算することにより前記比較対象値を算出する
請求項1に記載の通信制御方法。 - 前記比較対象値算出ステップは、
現干渉波数を検出する時点よりも前の一定期間において受信機に割り当てられた複数の割当スロットごとに検出される干渉波数の最大値であるスロット単位干渉波数最大値のうちから予め定められた出現頻度以下のものを除外したスロット単位干渉波数最大値のうちの頻度対応最大値と、前記検出する時点に対応して検出された現干渉波数とを前記干渉波状況パラメータとして取得し、前記頻度対応最大値から前記現干渉波数を減算することにより前記比較対象値を算出する
請求項1に記載の通信制御方法。 - 前記比較対象値算出ステップは、
受信機が受信中のときに他システムから受ける干渉波数と受信中でないときに他システムから受ける干渉波数とに基づいて求められる、他システムにおいて衝突回避機能を有する干渉源数をさらに前記干渉波状況パラメータとして取得し、前記干渉源数をさらに減算して前記比較対象値を算出する
請求項3又は4に記載の通信制御方法。 - 前記比較対象値算出ステップは、
現干渉波数を検出する時点よりも前の一定期間において受信機に割り当てられた複数の割当スロットごとに検出される干渉波数の最大値であるスロット単位干渉波数最大値の出現パターンに基づいて推定される、次の割当スロットにおける推定スロット単位干渉波数最大値と、前記検出する時点に対応して検出された現干渉波数とを前記干渉波状況パラメータとして取得し、前記推定スロット単位干渉波数最大値から前記現干渉波数を減算することにより前記比較対象値を算出する
請求項1に記載の通信制御方法。 - 通信制御装置と、無線通信を行う複数の送信機及び複数の受信機とを備える通信システムであって、
前記受信機において、前記通信システム以外の他システムから受ける干渉波数を検出する干渉波数検出部と、
前記通信制御装置において、前記送信機及び前記受信機における干渉関係を示す干渉関係情報を取得する干渉関係情報取得部と、
前記受信機または前記通信制御装置において、受信機が受ける干渉波の状況に応じて変化する干渉波状況パラメータを利用して比較対象値を算出する比較対象値算出部と、
前記通信制御装置において、過去の送信機会が少ない送信機から順に送信を許可すべきか否かの判定を行うものであり、判定対象の送信機ごとに、前記判定対象の送信機が送信を行った場合に受信機が除去可能な干渉波数の残数である除去可能干渉波残数を、前記干渉波数と前記干渉関係情報とに基づいて算出し、既に送信を許可すべきと判定された送信機が宛先とする受信機ごとの除去可能干渉波残数と、前記判定対象の送信機が宛先とする受信機の除去可能干渉波残数とのいずれもが前記比較対象値以上であるとの条件を満たす場合に送信を許可すべきと判定し、前記条件を満たさない場合に送信を許可すべきでないと判定する送信可否判定部と
を備える通信システム。 - 無線通信を行う複数の送信機及び複数の受信機を備える通信システムにおける通信制御装置であって、
前記受信機により検出され、前記通信システム以外の他システムから受ける干渉波の数について前記受信機が検出した干渉波数を取得する干渉波数取得部と、
前記送信機及び前記受信機における干渉関係を示す干渉関係情報を取得する干渉関係情報取得部と、
受信機が受ける干渉波の状況に応じて変化する干渉波状況パラメータを利用して比較対象値を算出された比較対象値を取得する比較対象値取得部と、
過去の送信機会が少ない送信機から順に送信を許可すべきか否かの判定を行うものであり、判定対象の送信機ごとに、前記判定対象の送信機が送信を行った場合に受信機が除去可能な干渉波数の残数である除去可能干渉波残数を、前記干渉波数と前記干渉関係情報とに基づいて算出し、既に送信を許可すべきと判定された送信機が宛先とする受信機ごとの除去可能干渉波残数と、前記判定対象の送信機が宛先とする受信機の除去可能干渉波残数とのいずれもが前記比較対象値以上であるとの条件を満たす場合に送信を許可すべきと判定し、前記条件を満たさない場合に送信を許可すべきでないと判定する送信可否判定部と
を備える通信制御装置。
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