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JP6354865B2 - オゾン生成装置 - Google Patents

オゾン生成装置 Download PDF

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JP6354865B2 JP2016574698A JP2016574698A JP6354865B2 JP 6354865 B2 JP6354865 B2 JP 6354865B2 JP 2016574698 A JP2016574698 A JP 2016574698A JP 2016574698 A JP2016574698 A JP 2016574698A JP 6354865 B2 JP6354865 B2 JP 6354865B2
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Description

本発明は、誘電体表面に沿って沿面放電を生じさせ、放電面に対向する空間中の酸素からオゾンを生成するオゾン生成装置に関するものである。
図6は、従来のオゾン生成装置100(例えば特許文献1乃至特許文献3参照。)の構成を説明する図である。オゾン生成装置100は、平板部101と、第1の平面導体104と、第2の平面導体105と、を備える。平板部101は、互いに積層して設けられた基層102と表層103とを有する。基層102は、アルミナなどのセラミック系の誘電体材料で構成される。表層103は、ガラスなどの誘電体材料で構成される。第1の平面導体104および第2の平面導体105は、基層102と表層103との界面に設けられている。また、第1の平面導体104は、平面視して櫛形であり、互いに平行する複数の放電部106を備える。第2の平面導体105は、第1の平面導体104と同様に櫛形であり、互いに平行する複数の放電部107を備える。放電部106と放電部107とは、間隔を開けて交互に並べられている。
このオゾン生成装置100では、放電部106と放電部107との間に交番電界が印加されることで、誘電体からなる表層103の表面(放電面)に沿って沿面放電が生じる。この沿面放電により、放電面に対向する空間中の酸素からオゾンが生成される。
特許第4220090号 特開平10−7405号公報 特開2014−58430号公報
上記のように構成されたオゾン生成装置では、沿面放電を安定して生じさせるために、高い駆動電圧が必要になる。したがって、オゾン生成装置の駆動電圧源に、大型の昇圧回路が必要になって、駆動電圧源のサイズが大きく、駆動電圧源のコストが高くなってしまう。
更には、このような高い駆動電圧が印加されるために、放電部に形状欠陥等があると、火花放電などの異常放電がおこりやすい。このような異常放電が生じると、オゾン生成装置が損傷を受けたり、劣化することがあった。
そこで、本発明は、駆動電圧を低電力化することができるオゾン生成装置の提供を目的とする。
本発明のオゾン生成装置は、沿面放電を生じる放電面を有する誘電体部と、前記放電面に対向させて前記誘電体部に設けた導体からなり、前記放電面に沿って並ぶ複数の放電部と、を備え、前記放電面は、前記複数の放電部の間に凹部が形成されている。
この構成では、放電部間に生じる電気力線が、放電面の凹部から誘電体部の外側に広がりやすくなる。このため、放電面の凹部近傍で電界強度が強まり、沿面放電が生じやすくなる。したがって、沿面放電が生じるために必要な駆動電圧を低電圧化することができる。
前記放電部が前記放電面に対向する方向を上側として、前記凹部の下面は前記放電部の下面以上の高さに設けられていることが好ましい。
この構成では、凹部の下面付近での電界強度(放電量)を大きくすることができ、沿面放電を生じさせるために必要な駆動電圧を低電圧化することができる。
前記放電部が前記放電面に対向する方向を上側として、前記凹部の下面は前記放電部の上面以上の高さに設けられていることが好ましい。
この構成でも、凹部の下面付近での電界強度(放電量)を大きくすることができ、沿面放電を生じさせるために必要な駆動電圧を低電圧化することができる。その上、凹部への酸素の供給と凹部からのオゾンの離脱とが容易化することから、オゾンの発生量を増やすことが可能になる。
前記オゾン生成装置は、繰り返しのパターンと循環する位相差とを有するN(N≧3)相の駆動電圧を出力する駆動電圧源を備え、前記複数の放電部は、それらの並び順に従い第n(1≦n≦N)相目の駆動電圧が前記駆動電圧源から入力されることが好ましい。この構成では、放電面近傍で電界強度が配列方向に沿って循環するように変化する。これにより、放電面近傍の気体が電界強度の影響を受けて配列方向に移動するようになる。このため、凹部への酸素の供給と凹部からのオゾンの離脱が促進され、オゾン生成量を増やすことができる。
本発明のオゾン生成装置は、板状の第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の第1面に設けられる一対の内部平面導体と、前記一対の内部平面導体を覆って設けられる第2の誘電体層と、を備え、前記一対の内部平面導体は、引出部と、前記引出部から連なる複数の放電部と、をそれぞれ有し、前記第2の誘電体層は、前記第1面に対向する面とは反対側の第2面に、且つ、前記第1面を平面視して前記複数の放電部と重なる位置に、凸部が設けられる。
前記凸部は、前記第2面に、且つ、前記第1面を平面視して前記複数の放電部を覆うように設けられていることが好ましい。
一方の内部平面導体の放電部と他方の内部平面導体の放電部とは、前記第1の誘電体層の面方向に沿って交互に配置されていることが好ましい。
前記凸部の厚みは、10μmより厚く、前記一方の内部平面導体の放電部と前記他方の内部平面導体の放電部との間の最も狭いギャップ部分の幅よりも薄いことが好ましい。
本発明のオゾン生成装置によれば、放電面の凹部近傍で電界強度が強まるため、沿面放電が生じやすくなる。これにより、駆動電圧を低電圧化することが可能になり、駆動電圧源の小型化や低コスト化、オゾン生成装置の信頼性の向上を図ることができる。
図1(A)は本発明の第1の実施形態に係るオゾン生成装置10の斜視図である。図1(B)は、オゾン生成装置10の平面導体形成面14を示す分解平面図である。 図2は、オゾン生成装置10の側面断面図である。 図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係るオゾン生成装置10における凹部15および凸部16の近傍に生じる電気力線を模式的に示す拡大側面図である。図3(B)は、比較のために、従来のオゾン生成装置における平坦面に生じる電気力線を模式的に示す拡大側面図である。 図4は、オゾン生成装置10の製造方法の一例のフローチャートを示す図である。 図5(A)は、オゾン生成装置60の電気接続図である。図5(B)は、駆動電圧V〜Vの時間波形図である。 図6は、従来のオゾン生成装置100の構成を説明する図である。
≪第1の実施形態≫
図1(A)は本発明の第1の実施形態に係るオゾン生成装置10の斜視図である。オゾン生成装置10は、板状であって、例えば、長さ5mm、幅5mm、厚み500μmである。
オゾン生成装置10は、誘電体部11と、一対の内部平面導体と、駆動電圧源31と、を備える。一対の内部平面導体は、具体的には、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bである。
誘電体部11は、誘電体からなり、天面11Aと底面11Bとを有する板状である。誘電体部11は、天面11A側の第2の誘電体層12と底面11B側の第1の誘電体層13とを備え、第2の誘電体層12と第1の誘電体層13とを積層して構成されている。第1の誘電体層13において第2の誘電体層12側の面が、平面導体形成面14(本発明における「第1の誘電体層の第1面」に相当する。)である。また、第2の誘電体層12において平面導体形成面14に対向する面とは反対側の面、すなわち天面11Aが本発明における「第2の誘電体層の第2面」に相当する。
第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bは、誘電体部11の内部、第2の誘電体層12と第1の誘電体層13との間に設けられており、具体的には平面導体形成面14に設けられている。
図1(B)は、オゾン生成装置10の平面導体形成面14を示す分解平面図である。
第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bは、それぞれ平面視して櫛状である。具体的には、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bは、複数の放電部22A,22Bと、引出部23A,23Bと、を備える。第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bの幅は、例えば50μmである。また、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bの厚みは、例えば10μmである。
複数の放電部22A,22Bは、線路状に延びて互いに平行する。引出部23A,23Bは、複数の放電部22A,22Bの一端間を接続して延び、所定の引出位置まで引き出されている。放電部22Aと放電部22Bとは、それぞれが延びる方向(延伸方向)に対して直交する方向(配列方向)に、交互に並んでいる。言い換えると、放電部22Aと放電部22Bとは、第1の誘電体層13の面方向に沿って交互に配置されている。また、隣接する放電部22Aと放電部22Bとの間には、配列方向に所定の幅を有するギャップ部分24が設けられている。ギャップ部分24の幅は、例えば50μmである。
このように構成された第1の内部平面導体21Aと第2の内部平面導体21Bとの間には、図1(A)に示す駆動電圧源31から駆動電圧が印加される。これにより、放電部22Aと放電部22Bとの間には交番電界が生じることになる。この交番電界は、誘電体部11の内部だけでなく、誘電体部11の天面11A側の外部にも拡がり、誘電体部11の天面11A近傍での電界強度がある程度以上になることで、誘電体部11の天面11Aに沿って沿面放電が生じることになる。そして、誘電体部11の天面11Aに対向する空間中に含まれる酸素からオゾンが生成されることになる。
ここで、誘電体部11のより詳細な構成について図1(A)と図2とを参照して説明する。図2は、オゾン生成装置10の側面断面図である。
誘電体部11を構成する底面側の第1の誘電体層13は一様な厚みで構成している。一方、誘電体部11を構成する天面側の第2の誘電体層12は、薄肉部と厚肉部とを有するように構成している。なお、第2の誘電体層12の厚肉部および薄肉部での厚みは、いずれも第1の誘電体層13の厚みよりも薄くなっている。
第2の誘電体層12が薄肉部と厚肉部とを有するため、誘電体部11の天面11A、すなわち第2の誘電体層12の表面には、凹部15と凸部16とが形成される。凹部15と凸部16は、図1に示すように放電部22A,22Bの延伸方向と同方向に平行して延び、また、図2に示すように放電部22A,22Bの配列方向と同じ方向に交互に並んでいる。
複数の凸部16は、厚み方向から視て(平面導体形成面14を平面視して)、放電部22A,22Bを覆っており、放電部22Aまたは放電部22Bと厚み方向において重なる。そのため、複数の凸部16の配置間隔は、放電部22A,22Bの配置間隔と略一致している。なお、略一致するとは、複数の凸部16が、放電部22Aまたは放電部22Bと厚み方向に重なっていることをいう。一方、複数の凹部15の配置間隔も放電部22A,22Bの配置間隔と略一致しているが、複数の凹部15は、放電部22Aおよび放電部22Bとは厚み方向に重ならず、放電部22Aと放電部22Bとの間のギャップ部分24のみと厚み方向に重なる。
図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係るオゾン生成装置10における凹部15および凸部16の近傍に生じる電気力線を模式的に示す拡大側面図である。図3(B)は、比較のために、従来のオゾン生成装置における平坦面に生じる電気力線を模式的に示す拡大側面図である。
図3(A)と図3(B)とに示すいずれの場合にも、放電部22Aと放電部22Bとの間に交番電界が印加されると、放電部22Aと放電部22Bとの間を繋ぐ複数の電気力線が発生する。これらの電気力線は、誘電体部11の内部において、放電部22Aと放電部22Bとの互いに対向する端面付近から、ギャップ部分24に向かって配列方向に生じる。これらの電気力線は、放電部22A,22Bの端面近傍では高い密度で集中するが、放電部22A,22Bの端面から離れるに従って密度が低下し、厚み方向にも広がる。
このため、図3(A)に示すように、ギャップ部分24に対向する位置に凹部15が設けられていると、放電部22A,22Bから生じる電気力線のうち、比較的多くの電気力線が、凹部15を介して誘電体部11の外部にまで広がる。一方、図3(B)に示すように、誘電体部11が凹部15および凸部16の無い平坦状である場合には、放電部22A,22Bから生じる電気力線のうち、比較的少ない電気力線しか、誘電体部11の外部に広がらない。
したがって、図3(A)に示すように凹部15が設けられている場合には、凹部15の近傍で電界強度が著しく高まる。これにより、凹部15の表面に沿って安定して沿面放電が生じる。これにより、気体中に含まれる酸素からオゾンが効率よく生成されることになる。
上記の効果は、出願人が行った、図3(A)に示す本発明の第1の実施形態に係る凹凸状のオゾン生成装置のサンプルと、図3(B)に示す従来例に係る平坦状のオゾン生成装置のサンプルとを用いた実機試験においても確認されている。
具体的には、放電部22A,22Bにそれぞれ位相が180°異なる交番電圧を印加し、その電圧を徐々上昇させ、それぞれのサンプルが如何なる電圧で放電開始(基板表面の発光)を行うか確認した。その結果、従来例に係る平坦状のオゾン生成装置のサンプルで600Vであった放電開始電圧が、本発明の第1の実施形態に係る凹凸状のオゾン生成装置のサンプルでは540Vにまで低下することを確認している。
また、同一の駆動電圧(600V)で、これらのオゾン生成装置のサンプルをそれぞれ6リットルの容器内で3分間駆動させ、そのオゾン濃度をオゾン濃度測定器(荏原実業製)で測定したところ、従来例に係る平坦状のオゾン生成装置のサンプルで23.8ppmであったオゾン濃度が、本発明の第1の実施形態に係る凹凸状のオゾン生成装置のサンプルでは29.8ppmまで向上することを確認している。
このように本実施形態に係るオゾン生成装置10では、放電部22A,22Bの間のギャップ部分24に凹部15を設けることで、凹部15の近傍に生じる電界強度を著しく高くすることができ、放電部22A,22Bに印加する駆動電圧を低電圧化しても、沿面放電を生じさせてオゾンを生成することができる。したがって、駆動電圧源31の定格を低電圧化することができ、駆動電圧源31のコストダウンが可能になる。また、従来のように電極微細化を行うことなく駆動電圧を低電圧化することができるため、オゾン生成装置10の製造工程において、電極微細化に伴うショートや断線、火花放電などの各種問題が発生することがなく、オゾン生成装置10の信頼性を高められる。
なお、出願人は、凸部16の厚みCと凹部15の深さDとに関する検証も、実機試験において行った。
凸部16の厚みC(放電部22A,22Bから第2の誘電体層12の表面までの厚み)は、図3(A)に示すように、凸部のうち最も厚い箇所の厚みのことである。凸部16の厚みCは、例えば25μmである。凸部16の厚みCに関する検証の結果、凸部16の厚みCは、少なくとも第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21B間の最も狭いギャップ部分24の幅よりも薄いことが望ましい。この厚みCがギャップ部分24の幅よりも大きいと、凹部15から外部に電気力線が拡がりにくくなって、凹部15を設けることによる駆動電圧の低電圧化の効果が損なわれてしまうことが確認された。また、凸部16の厚みCは10μmよりも厚いことが望ましく、これよりも薄いと電圧を印加した際に絶縁破壊が起こり、信頼性が低下しやすくなってしまうことが確認された。すなわち、凸部16の厚みCは、10μmより厚く、一方の内部平面導体の放電部と他方の内部平面導体の放電部との間の、最も狭いギャップ部分の幅よりも薄いことが望ましい。
凹部15の深さDは、図3(A)に示すように、厚み方向において、第2の誘電体層の最も厚い部分と、第2の誘電体層の最も薄い部分との間の距離、すなわち、第2の誘電体層の最も厚い部分と、第2の誘電体層の最も薄い部分との差である。言い換えると、凹部15の深さDは、図2に示す平面導体形成面14から天面11Aまでの厚みが最も厚い部分と、平面導体形成面14から天面11Aまでの厚みが最も薄い部分との間の距離である。凹部15の深さDは、例えば10μmである。
凹部15の深さDがそれぞれ10μm、25μm、50μmであるオゾン生成装置のサンプルを用意し、放電部22A,22Bにそれぞれ位相が180°異なる交番電圧を印加し、その電圧を徐々に上昇させ、それぞれのサンプルが如何なる電圧で放電開始(基板表面の発光)を行うか確認した。その結果、深さDが10μmであるサンプルでは600V、深さDが25μmであるサンプルでは500V、深さDが50μmであるサンプルでは438Vとなり、凹部15の深さDが深いほど、放電開始電圧が低下する傾向が得られた。これは、平面導体形成面14の近傍では、放電部22A,22Bに挟まれるために電界強度が最も強まるためと考えられる。
また、同一の駆動電圧(600V)で、これらのオゾン生成装置のサンプルをそれぞれ6リットルの容器内で3分間駆動させ、そのオゾン濃度をオゾン濃度測定器(荏原実業製)で測定した。その結果、凹部15の深さDが10μmであるサンプルでは29.8ppmとなり、深さDが25μmであるサンプルでは32.3ppmとなり、深さDが50μmであるサンプルでは15.3ppmとなり、凹部15の深さDが、第2の誘電体層12の表面から平面導体形成面14に到達する深さ(25μm)を超えて深くなると、オゾン濃度が低下してしまう傾向も確認された。
これは、凹部15の深さDが深くなりすぎると、凹部15の内部の空間で発生するプラズマやオゾンが凹部15の内部にとどまって、凹部15への酸素の供給とオゾンの離脱が生じにくくなるためと考えられる。したがって、凹部15の深さDは、第2の誘電体層12の表面から平面導体形成面14に到達する深さを超えない範囲で、深くすることが好ましいと考えられる。すなわち、凹部15の深さDは、0μmよりも深く、第2の誘電体層12の表面から平面導体形成面14までの深さ以下であることが望ましい。
次に、オゾン生成装置10の製造方法の一例について説明する。図4は、オゾン生成装置10の製造工程の一例のフローチャートを示す図である。
オゾン生成装置10の製造では、まず、シート形成工程を行う(S1)。シート形成工程では、例えば、誘電体粉末、溶剤、分散剤、バインダ等を混合することによって、誘電体スラリーを得る。そして、後に第2の誘電体層12,第1の誘電体層13となる誘電体グリーンシートを、ドクターブレード等を用いて作製する。
なお、この工程で形成する誘電体シートは、一度に複数のオゾン生成装置10を製造するために、単体のオゾン生成装置10のサイズよりも大判に形成することが望ましい。また、誘電体シートの材料は、Al、SiO、ZrO、各種ガラス、BaTiOなどの酸化物、LTCCのようなガラスと酸化物フィラーの混合物、または、エポキシやポリイミドなどの樹脂等、高い絶縁性を持つものであればどのようなものであってもよい。ただし、放電時に発生するプラズマの影響で誘電体部11が極めて高温になる恐れがあるために、熱に対する安定性の面からは酸化物であることが望ましい。また、第2の誘電体層12,第1の誘電体層13の材料は、互いに同じであっても、互いに異なっていても良いが、第2の誘電体層12,第1の誘電体層13で線膨脹率の差が大きいと、放電時の膨張と収縮によって誘電体部11が劣化する恐れがある。このため、第2の誘電体層12,第1の誘電体層13の材料は互いに同質または線膨張率が近いことが望ましい。
次に、オゾン生成装置10の製造では、導体形成工程を行う(S2)。導体形成工程では、必要に応じて層間接続導体を形成し、その後、後に第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bとなる導体ペーストのパターンを、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷する。
なお、この工程で利用する導体ペーストの材料は、誘電体部11に対して積層可能な材料であればどのような材料であってもよく、例えば誘電体部11が酸化物材料からなる場合には、導体ペーストの主材料として、Cu、Ag、Pd、Pt、Wを採用したり、または、RuOの抵抗ペーストを採用したりするとよい。
次に、オゾン生成装置10の製造では、積層工程を行う(S3)。積層工程では、導体ペーストのパターンを形成した誘電体グリーンシートを重ね、圧力をかけることで、未焼成の導体ペーストのパターンと誘電体グリーンシートとを積層した積層体を作製する。
次に、オゾン生成装置10の製造では、焼成工程を行う(S4)。焼成工程では、例えば、未焼成の積層体を、所定の温度プロファイルとなるように焼成する。これにより、誘電体部11と第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bとの積層体を作製する。
そして、オゾン生成装置10の製造では、凹部形成工程を行う(S5)。凹部形成工程では、焼成された積層体の第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21B間のギャップ部分24に対向する位置をダイシング等の工法で研削して凹部15を形成する。
以上の製造方法により、本実施形態のオゾン生成装置10は製造することができる。なお、導体ペーストのパターンを形成した誘電体グリーンシ−トを積層してから焼成する上記のプロセスの他にも、本実施形態のオゾン生成装置10は適宜のプロセスで製造することができる。例えば、焼成基板上に導体ペーストの印刷と誘電体ペーストの印刷を行うようなプロセスや、第1の誘電体層13と第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bとの焼成後に、第2の誘電体層12となるグリーンシートの積層や、誘電体ペーストの印刷を行うようなプロセスを採用することもできる。
また、凹部15や凸部16の形成方法としては、焼成後の誘電体部11に溝を切削するような形成方法に限られず、その他の形成方法を用いることもできる。例えば、未焼成の積層体に対して溝を切削する方法や、未焼成の積層体に対して圧力によって凹部を形成する方法、薄い誘電体シートを複数積み重ねて凸部16を形成する方法、誘電体ペーストを印刷することで凸部16を形成する方法など、適宜の方法を採用することができる。また、凹部15や凸部16の断面形状についても、矩形状や波状など適宜の形状を採用することもできる。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態に係るオゾン生成装置60について説明する。
図5(A)は、オゾン生成装置60の電気接続図である。
本実施形態に係るオゾン生成装置60は、誘電体部61と複数の放電部62と駆動電圧源63とを備えている。誘電体部61は、前述の実施形態の構成と同様、凹部および凸部を有する構成である。
複数の放電部62は、例えば4組に組み分けし、各組の放電部62を誘電体部61に順に並べるように構成している。そして、駆動電圧源63は、組数と同じ4相の駆動電圧V〜Vを出力するよう構成し、各放電部62には組番号に対応する相番号の駆動電圧V〜Vが入力されるよう構成している。
図5(B)は、駆動電圧V〜Vの時間波形図である。駆動電圧V〜Vは、相番号の順に位相差90°とした矩形波の交番電圧となっている。したがって、駆動電圧V〜Vは、相番号の順に位相差が循環する関係になっている。
このように構成されているために本実施形態に係るオゾン生成装置60においては、凹部および凸部の近傍での電界強度の分布が、放電部62の配列方向に沿って循環するように変化する。これにより、凹部および凸部の近傍で電界強度の影響を受けて空間中の気体が移動し、凹部への酸素の供給と凹部からのオゾンの離脱が促進される。このことにより、凹部をより深くして駆動電圧を低電圧化しても、オゾン濃度の低下を抑制できる。また、気体の流れが生じることで、ほこり等が放電面に吸着しにくくなり、オゾン生成装置60の信頼性も向上する。
なお、本実施形態では、駆動電圧V〜Vとしてパルス波信号を用いる例を示したが、駆動電圧V〜Vは、その他にも正弦波信号や矩形波信号をと用いることも可能である。パルス波信号や矩形波信号を用いれば、正弦波信号を用いる場合よりも、放電が開始される電圧を低電圧化することができ、より好ましい。また、本実施形態では、駆動電圧の相数を4とする例を示したが、駆動電圧の相数は3以上であれば任意の整数を採用することができる。また、本実施形態では、各駆動電圧で同じパターン波形となる例を示したが、各駆動電圧のパターン波形は同じでなくても良い。例えば振幅や繰り返しの周期が相違する駆動電圧を用いるようなこともできる。
なお、上述の実施形態では、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bの幅は、例えば50μmであるが、10μm以上200μm以下であればよい。より好ましくは、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bの幅は、30μm以上100μm以下であればよい。これは、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bの幅が100μm以下であれば、低電圧での駆動に適するため、より高い効果が得られるからである。また、第1の内部平面導体21A,第2の内部平面導体21Bの幅が30μmを下回ると、製造上配線形成の難易度が上昇し、歩留まりが悪くなるためである。
なお、上記した各実施形態はあくまで例示であり、本発明の作用効果は特許請求の範囲の構成であれば、どのような構成であっても得ることができる。また、各実施形態に開示した構成は、どのように組み合わせてもよい。
10…オゾン生成装置
11…誘電体部
11A…天面
11B…底面
12…第2の誘電体層
13…第1の誘電体層
14…平面導体形成面
15…凹部
16…凸部
21A…第1の内部平面導体
21B…第2の内部平面導体
22A,22B…放電部
23A,23B…引出部
24…ギャップ部分
31…駆動電圧源

Claims (8)

  1. 沿面放電を生じる放電面を有する誘電体部と、
    前記放電面に対向させて前記誘電体部に設けた導体からなり、前記放電面に沿って並ぶ複数の放電部と、
    を備え、
    前記放電面は、前記複数の放電部の間に凹部が形成されている、
    オゾン生成装置。
  2. 前記放電部が前記放電面に対向する方向を上側として、前記凹部の下面は前記放電部の下面以上の高さに設けられている、
    請求項1に記載のオゾン生成装置。
  3. 前記放電部が前記放電面に対向する方向を上側として、前記凹部の下面は前記放電部の上面以上の高さに設けられている、
    請求項1または請求項2に記載のオゾン生成装置。
  4. 繰り返しのパターンと循環する位相差とを有するN(N≧3)相の駆動電圧を出力する駆動電圧源を更に備え、
    前記複数の放電部は、それらの並び順に従い第n(1≦n≦N)相目の駆動電圧が前記駆動電圧源から入力される、
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のオゾン生成装置。
  5. 板状の第1の誘電体層と、
    前記第1の誘電体層の第1面に設けられる一対の内部平面導体と、
    前記一対の内部平面導体を覆って設けられる第2の誘電体層と、
    を備え、
    前記一対の内部平面導体は、引出部と、前記引出部から連なる複数の放電部と、をそれぞれ有し、
    前記第2の誘電体層は、前記第1面に対向する面とは反対側の第2面に、且つ、前記第1面を平面視して前記複数の放電部と重なる位置に、凸部が設けられる、オゾン生成装置。
  6. 前記凸部は、前記第2面に、且つ、前記第1面を平面視して前記複数の放電部を覆うように設けられている、請求項5に記載のオゾン生成装置。
  7. 一方の内部平面導体の放電部と他方の内部平面導体の放電部とは、前記第1の誘電体層の面方向に沿って交互に配置されている、請求項5または6に記載のオゾン生成装置。
  8. 前記凸部の厚みは、10μmより厚く、前記一方の内部平面導体の放電部と前記他方の内部平面導体の放電部との間の最も狭いギャップ部分の幅よりも薄い、請求項7に記載のオゾン生成装置。
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