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JP6348264B2 - 車両の車体骨格構造 - Google Patents

車両の車体骨格構造 Download PDF

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JP6348264B2 JP2013178332A JP2013178332A JP6348264B2 JP 6348264 B2 JP6348264 B2 JP 6348264B2 JP 2013178332 A JP2013178332 A JP 2013178332A JP 2013178332 A JP2013178332 A JP 2013178332A JP 6348264 B2 JP6348264 B2 JP 6348264B2
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Description

本発明は、車両が前進走行中に、車体の一側部がわの前方に位置する何らかの物体に衝突(オフセット衝突)したとき、その衝撃力を効果的に緩和して車体の前部が局部的に大きくは変形しないようにするための車両の車体骨格構造に関するものである。
上記車両の車体骨格構造には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両の車体骨格構造は、それぞれ上下方向に延び、車体の幅方向で互いに対面して結合されるピラーアウタ、ピラーインナパネルを有する左右フロントピラーと、車体の幅方向に延び、上記左右フロントピラーの上下方向の各中途部に架設されるフロントカウルと、このフロントカウルから下方に向かって延出すると共に上記左右フロントピラーの各下部がわに架設されるダッシュパネルと、上記フロントカウルの各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって延出し、その後端部が上記各フロントピラーのピラーインナパネルの部分に結合される左右ブレースとを備えている。
そして、車両のオフセット衝突時に、その衝撃力が上記フロントカウルの車体の一側部がわの部分に与えられたときには、この一側部がわの部分は、車体の上記一側部に位置するフロントピラーをほぼ中心として後外側方に向かって回動変形しようとする。すると、この場合、上記一側部がわの部分に与えられた衝撃力は、上記ブレースとフロントピラーの上下方向の中途部とが順次担持して、上記回動変形が防止される。このようにして、オフセット衝突時に車体の前部が局部的に大きく変形することが防止され、乗員がより確実に保護されるようになっている。
特開2007−30720号公報
ところで、上記したようにオフセット衝突時には、その衝撃力は上記ブレースとフロントピラーの中途部とが順次担持して車体の前部が局部的に大きく変形することが防止されるようになっている。しかし、車両が軽自動車や小型車の場合、上記フロントピラーの上下方向の各部断面積を大きくするなどして、その剛性を大きくするには限度がある。
このため、上記したようにオフセット衝突時の衝撃力をフロントピラーの中途部が担持したとき、上記フロントピラーの中途部が車体の外側方に向かって屈曲変形するおそれを生じる。そして、このような屈曲変形が生じたとすると、これに連動して車体の前部が局部的に大きく変形しがちとなるが、これは乗員の保護上、好ましくない。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車両のオフセット衝突時に、その衝撃力を効果的に緩和して車体の前部が局部的に大きくは変形しないようにし、もって、乗員の保護がより確実に達成できるようにすることである。
請求項1の発明は、それぞれ上下方向に延び、車体2の幅方向で互いに対面して結合さ
れるピラーアウタ、ピラーインナパネル27,28を有する左右フロントピラー10と、
車体2の幅方向に延び、上記左右フロントピラー10の上下方向の各中途部に架設される
フロントカウル17と、このフロントカウル17から下方に向かって延出すると共に上記左右フロントピラー10の各下部がわに架設されるダッシュパネル18と、上記フロントカウル17および/もしくはダッシュパネル18の各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって延出し、その後端部が上記各フロントピラー10のピラーインナパネル28の部分に結合される左右ブレース20とを備えた車両の車体骨格構造において、
上記ピラーインナパネル28の部分に、車体2の内側方に向かって膨出する膨出部35
車体の前後方向に形成し、この膨出部35の中途部のみに上記ブレース20の後端部を結合し、上記膨出部35とは別体としてこの膨出部35の車体2の外側方近傍で車体2の前後方向に延び、上記フロントピラー10に結合される補強板32を設けたことを特徴とする車両の車体骨格構造である。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、それぞれ上下方向に延び、車体の幅方向で互いに対面して結合されるピラーアウタ、ピラーインナパネルを有する左右フロントピラーと、車体の幅方向に延び、上記左右フロントピラーの上下方向の各中途部に架設されるフロントカウルと、このフロントカウルから下方に向かって延出すると共に上記左右フロントピラーの各下部がわに架設されるダッシュパネルと、上記フロントカウルおよび/もしくはダッシュパネルの各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって延出し、その後端部が上記各フロントピラーのピラーインナパネルの部分に結合される左右ブレースとを備えた車両の車体骨格構造において、
上記ピラーインナパネルの部分に、車体の内側方に向かって膨出する膨出部を車体の前後方向に形成し、この膨出部の中途部のみに上記ブレースの後端部を結合し、上記膨出部とは別体としてこの膨出部の車体の外側方近傍で車体の前後方向に延び、上記フロントピラーに結合される補強板を設けており、次の効果が生じる。
即ち、車両の前進走行中でのオフセット衝突時に、初期段階において、その衝撃力がフロントカウルおよび/もしくはダッシュパネルの車体の一側部がわの部分に伝達されたときには、この一側部がわの部分は、車体の上記一側部に位置するフロントピラーをほぼ中心として後外側方に向かって回動変形しようとする。すると、上記一側部がわの部分の回動変形に連動して、上記ブレースはその長手方向に向かって後方移動させられ、この際、このブレースの後端部により、上記膨出部はその膨出方向とは逆の方向に向かって直ちにかつ円滑に押圧変形させられる。よって、その分、オフセット衝突の初期段階で、その衝撃力のエネルギーがある程度吸収される。
また、上記の場合、後方移動するブレースの後端部は上記補強板に圧接しがちとなるが、この補強板によって上記フロントピラーは補強されているため、このフロントピラーは上記ブレースの後端部からの圧接力に十分に対抗する。
次に、上記オフセット衝突の中、後期段階において、上記一側部がわの部分が更に回動変形し、上記ブレースがその長手方向に向かって更に後方移動させられると、上記膨出部のうち、上記ブレース後端部によって押圧変形させられた部分は、直ちにかつ円滑に上記補強板に圧接させられながら後方に向かって摺動させられ、これに伴い、上記膨出部の後部はその膨出方向に向かって盛り上がるよう屈曲変形させられる。よって、その分、オフセット衝突の中、後期段階で、その衝撃力のエネルギーが更に吸収される。
また、上記の場合、後方移動するブレースの後端部は上記補強板に圧接しながら後方に向かって摺動するため、上記フロントピラーが上記ブレースの後端部から車体の外側方に向かう大きい外力を与えられることは防止される。
この結果、オフセット衝突時の衝撃力は効果的に緩和されると共に、上記一側部がわの部分の回動変形に連動して上記フロントピラーが車体の外側方に向かって屈曲変形することは防止されることから、オフセット衝突時に、車体の上記一側部において、上記フロントピラーに対しその前方から直接的に伝達されてきた衝撃力は、そのまま車体の後部がわに伝達されて車体の各部に全体的に分散させられる。よって、オフセット衝突時に、車体の前部が局部的に大きく変形することは防止されて、乗員の保護がより確実に達成可能とされる。
また、上記したオフセット衝突時における乗員の確実な保護という効果は、上記フロントピラーの各部構造を工夫するなど簡単な構成で達成可能である。よって、その分、上記効果は、車体の生産性を良好に維持しつつ達成でき、極めて有益である。
図4の部分拡大断面図である。 車体内部から見た車体前部の簡略側面部分断面図である。 図2で示したものの斜視図である。 図2のIV−IV線矢視断面図である。 図1に相当する図で、作用説明図である。 図1に相当する図で、他の作用説明図である。
本発明の車両の車体骨格構造に関し、車両のオフセット衝突時に、その衝撃力を効果的に緩和して車体の前部が局部的に大きくは変形しないようにし、もって、乗員の保護がより確実に達成できるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
即ち、車両の車体骨格構造は、それぞれ上下方向に延び、車体の幅方向で互いに対面して結合されるピラーアウタ、ピラーインナパネルを有する左右フロントピラーと、車体の幅方向に延び、上記左右フロントピラーの上下方向の各中途部に架設されるフロントカウルと、このフロントカウルから下方に向かって延出すると共に上記左右フロントピラーの各下部がわに架設されるダッシュパネルと、上記フロントカウルおよび/もしくはダッシュパネルの各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって延出し、その後端部が上記各フロントピラーのピラーインナパネルの部分に結合される左右ブレースとを備える。
上記ピラーインナパネルの部分に、車体の内側方に向かって膨出する膨出部が形成され、この膨出部に上記ブレースの後端部が結合される。上記膨出部とは別体としてこの膨出部の車体の外側方近傍で車体の前後方向に延び、上記フロントピラーに結合される補強板が設けられる。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図1〜4において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記前方に向かっての車両1の車体2の幅方向をいうものとする。
車両1は、板金製の上記車体2と、この車体2の前、後部に不図示のサスペンションにより懸架されるそれぞれ左右一対の前車輪3および不図示の後車輪とを備えている。上記車体2は、その幅方向の中央を通る中央線を基準として左右対称形とされる。
車体2は、その下部を構成し車体2の前後方向に延びる左右サイドメンバ6と、これら左右サイドメンバ6の各前端部同士を結合するラジエータサポート7と、上記左右サイドメンバ6の前後方向の各部同士を結合する不図示のクロスメンバとを備えている。
また、車体2は、この車体2の左右各側部において、この車体2の前側部を構成して上下方向に延び、その下端部が上記サイドメンバ6がわに結合されるフロントピラー10と、このフロントピラー10の上下方向の中途部から前方に向かって突設されるエプロンメンバ11と、上記サイドメンバ6の前部とエプロンメンバ11の突出部との間に架設され、上記前車輪3の前部がわをその上方から覆うと共に上記サスペンションを介し上記前車輪3を支持するサスペンションタワー12と、このサスペンションタワー12の後部に連設されて上記前車輪3の後部をその上方から覆うホイールハウス13と、上記サイドメンバ6の前端部、上記エプロンメンバ11の前端部、および上記サスペンションタワー12の前部を互いに結合させる結合パネル14とを備えている。
また、車体2は、この車体2の上面部を構成し、上記左右フロントピラー10の各上端部に架設される不図示のルーフパネルと、車体2の幅方向に延び、上記左右フロントピラー10の上下方向の各中途部に架設され、これら各中途部を結合させるフロントカウル17と、このフロントカウル17から下方に向かって延びると共に車体2の幅方向に延びて上記左右フロントピラー10の各下部がわに架設されるダッシュパネル18とを備えている。この場合、このダッシュパネル18の左右各側端縁部は上記各フロントピラー10の下部に直接もしくは間接に結合される。
また、車体2は、上記ダッシュパネル18の下端縁部から車体2の後方に向かって延び、上記左右サイドメンバ6上に支持されるフロアパネル19と、上記フロントカウル17の左右各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって直線的に延出し、その後端部が上記各フロントピラー10に結合される左右ブレース20とを備えている。
車体2の左右各側部において、上記フロントピラー10の上下方向の中途部、エプロンメンバ11の後端部、およびフロントカウル17の側端部はスポット溶接S1,S2により互いに結合される。また、上記エプロンメンバ11、サスペンションタワー12の上端部、フロントカウル17の側端部、およびダッシュパネル18は互いに結合される。
上記サイドメンバ6、ラジエータサポート7、フロントピラー10、エプロンメンバ11、サスペンションタワー12、結合パネル14、フロントカウル17、およびブレース20は、車体2の骨格部材を構成している。そして、上記サイドメンバ6、ラジエータサポート7、エプロンメンバ11、サスペンションタワー12、結合パネル14、フロントカウル17、およびダッシュパネル18で囲まれた空間がエンジンルーム23とされる。また、上記フロントピラー10、ホイールハウス13、フロントカウル17、ダッシュパネル18、およびフロアパネル19で囲まれた空間が乗員の居住域である車室24とされる。
上記フロントピラー10は、車体2の幅方向で互いに対面するピラーアウタ、ピラーインナパネル27,28を有している。上記ピラーアウタパネル27は、その上下方向の各部断面が車体2の内側方に向かって開くハット形状とされる。一方、上記ピラーインナパネル28は、その上下方向の各部断面が車体2の前後方向に直線的に延びる平板形状とされる。そして、上記ピラーアウタ、ピラーインナパネル27,28は、その各前、後端縁部がスポット溶接S2,S3によって互いに結合され、剛性の大きい中空閉断面構造とされる。
上記フロントピラー10は、上記ピラーアウタパネル27の後部内に挿入されるフロントピラー10の補強用の補強パネル29を有している。この補強パネル29は、その上下方向の各部断面が車体2の内側方に向かって開くハット形状とされる。上記フロントピラー10の各構成パネル27〜29の各後端縁部はスポット溶接S3により互いに結合される。また、上記ピラーアウタパネル27と補強パネル29との各前後方向の中途部はスポット溶接S4により互いに結合される。また、上記ピラーインナパネル28の前後方向の中途部と上記補強パネル29の前端縁部とはスポット溶接S5により互いに結合される。
上記フロントピラー10は、上記ピラーアウタパネル27の上下方向の中途部における前部内にフロントピラー10の補強用のバルクヘッドとして挿入される前補強板31と、上記補強パネル29の上下方向の中途部内にフロントピラー10の補強用のバルクヘッドとして挿入される後補強板32とを備えている。上記ピラーアウタパネル27と前補強板31とはスポット溶接S6,S7により互いに結合される。また、上記補強パネル29と後補強板32とはスポット溶接S4,S8により互いに結合される。
上記ピラーインナパネル28の上下方向の中途部に、車体2の内側方に向かって膨出する上下一対の膨出部35,35が形成される。これら各膨出部35は、それぞれ車体2の前後方向に直線的に延びるビードとされ、上記ピラーインナパネル28の幅方向(車体2の前後方向)のほぼ全体にわたり形成される。一方、前記フロントカウル17の後部を構成する後面板37の後面にはスポット溶接S9,S10により支持板38が結合される。前記ブレース20の前端部は、上記支持板38に上下一対の締結具40,40により結合され、つまり、上記支持板38を介し上記フロントカウル17に結合される。一方、上記ブレース20の後端部は上記上下各膨出部35にそれぞれ他の締結具41により結合される。
上記エプロンメンバ11、フロントカウル17、ブレース20、前、後補強板31,32、各膨出部35、および支持板38は、上下方向で同じところに位置させられる。また、車体2の平面視(図4)で、上記サスペンションタワー12の上端後部における外周面のほぼ接線A上に上記ブレース20が配置される。
前記前、後補強板31,32は、上記膨出部35が形成されたピラーインナパネル28とは別体に設けられる。そして、上記前、後補強板31,32のそれぞれ車体2の内側方の端面31a,32aは、上記各膨出部35,35の車体2の外側方近傍に位置して車体2の前後方向に直線的に延びている。
なお、上記ブレース20の前端部は上記フロントカウル17に直接結合してもよく、この結合はスポット溶接によるものであってもよい。また、上記ブレース20の後端部は上記フロントピラー10のピラーインナパネル28にスポット溶接により結合してもよい。また、上記膨出部35は単一でもよく、3本以上でもよく、また、車体2の側面視で円形や楕円形状であってもよい。
また、上記ブレース20は、図2中一点鎖線で示すように、ダッシュパネル18の各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって延出し、その後端部が上記各フロントピラー10のピラーインナパネル28の膨出部35に結合されるものであってもよい。また、上記ブレース20の前端部は上記フロントカウル17とダッシュパネル18とに跨るよう結合させてもよい。
そして、車両1の前進走行中でのオフセット衝突時には、その衝撃力Fは、図2〜4中、矢印Bで示すように、車体2の一側部において、ラジエータサポート7、サイドメンバ6、結合パネル14、およびエプロンメンバ11を順次通して上記フロントピラー10に対しその前方から直接的に伝達され、更に、このフロントピラー10から車体2の後部がわに伝達されて車体2の各部に全体的に分散される。
また、その一方、上記衝撃力Fは、上記した結合パネル14から上記サスペンションタワー12、フロントカウル17および/もしくはダッシュパネル18、ブレース20、およびフロントピラー10に順次伝達されることがある。ここで、上記衝撃力Fによって、サスペンションタワー12の上部における車体2の内側部が、図4図示の前記接線Aに沿うよう回動など移動して、上記衝撃力Fを上記ブレース20に伝達する場合には、このブレース20はその長手方向に向かう軸方向力として衝撃力Fを大きい値のままで上記フロントピラー10に伝達しがちとなる。このため、このフロントピラー10は、上記ブレース20を介して上記衝撃力Fを強固に担持できるが、その反面、この衝撃力Fによって車体2の外側方に向かって容易に屈曲させられがちとなる。そして、このようにフロントピラー10が屈曲させられると、このフロントピラー10に伝達されてきた衝撃力Fは、このフロントピラー10から車体2の後部がわへの伝達が阻害されることとなる。
しかし、上記構成によれば、上記オフセット衝突時に、上記フロントカウル17および/もしくはダッシュパネル18と上記ブレース20とを通し上記フロントピラー10に衝撃力Fが伝達される場合であっても、このフロントピラー10が容易に屈曲することは下記する作用によって防止される。
即ち、上記オフセット衝突の初期段階において、その衝撃力Fがフロントカウル17および/もしくはダッシュパネル18の車体2の一側部がわの部分45に伝達されたときには、図5で示すように、この一側部がわの部分45は、車体2の上記一側部に位置するフロントピラー10をほぼ中心として後外側方に向かって回動変形Cしようとする。すると、上記一側部がわの部分45の回動変形Cに連動して、上記ブレース20はその長手方向に向かって後方移動Dさせられ、この際、このブレース20の後端部により、上記膨出部35はその膨出方向とは逆の方向に向かって直ちにかつ円滑に押圧変形させられる。よって、その分、オフセット衝突の初期段階で、その衝撃力Fのエネルギーがある程度吸収される。
また、上記の場合、後方移動するブレース20の後端部は上記後補強板32に圧接しがちとなるが、この後補強板32によって上記フロントピラー10は補強されているため、このフロントピラー10は上記ブレース20の後端部からの圧接力に十分に対抗する。
次に、上記オフセット衝突の中、後期段階において、図6で示すように、上記一側部がわの部分45が更に回動変形Cし、上記ブレース20がその長手方向に向かって更に後方移動Dさせられると、上記膨出部35のうち、上記ブレース20後端部によって押圧変形させられた部分は、直ちにかつ円滑に上記後補強板32の端面32aに圧接させられながら後方に向かって摺動させられ、これに伴い、上記膨出部35の後部はその膨出方向に向かって盛り上がるよう屈曲変形させられる。よって、その分、オフセット衝突の中、後期段階で、その衝撃力Fのエネルギーが更に吸収される。
また、上記の場合、後方移動するブレース20の後端部は上記後補強板32に圧接しながら後方に向かって摺動するため、上記フロントピラー10が上記ブレース20の後端部から車体2の外側方に向かう大きい外力を与えられることは防止される。
この結果、オフセット衝突時の衝撃力Fは効果的に緩和されると共に、上記一側部がわの部分45の回動変形Cに連動して上記フロントピラー10の上下方向の中途部が車体2の外側方に向かって屈曲変形することは防止されることから、オフセット衝突時に、車体2の上記一側部において、ラジエータサポート7、サイドメンバ6、結合パネル14、およびエプロンメンバ11を順次通して上記フロントピラー10に対しその前方から直接的に伝達されてきた衝撃力Fは、そのまま車体2の後部がわに伝達されて車体2の各部に全体的に分散させられる。よって、オフセット衝突時に、車体2の前部が局部的に大きく変形することは防止されて、乗員の保護がより確実に達成可能とされる。
また、上記したオフセット衝突時における乗員の確実な保護という効果は、上記フロントピラー10の各部構造を工夫するなど簡単な構成で達成可能である。よって、その分、上記効果は、車体2の生産性を良好に維持しつつ達成でき、極めて有益である。
1 車両
2 車体
6 サイドメンバ
10 フロントピラー
11 エプロンメンバ
12 サスペンションタワー
17 フロントカウル
18 ダッシュパネル
20 ブレース
27 ピラーアウタパネル
28 ピラーインナパネル
29 補強パネル
31 補強板
31a 端面
32 補強板
32a 端面
35 膨出部
37 後面板
38 支持板
40 締結具
41 締結具
45 一側部がわの部分
A 接線
C 回動変形
D 後方移動
S スポット溶接

Claims (1)

  1. それぞれ上下方向に延び、車体の幅方向で互いに対面して結合されるピラーアウタ、ピ
    ラーインナパネルを有する左右フロントピラーと、車体の幅方向に延び、上記左右フロントピラーの上下方向の各中途部に架設されるフロントカウルと、このフロントカウルから下方に向かって延出すると共に上記左右フロントピラーの各下部がわに架設されるダッシュパネルと、上記フロントカウルおよび/もしくはダッシュパネルの各側部からそれぞれ後方かつ外側方の傾斜方向に向かって延出し、その後端部が上記各フロントピラーのピラーインナパネルの部分に結合される左右ブレースとを備えた車両の車体骨格構造において、
    上記ピラーインナパネルの部分に、車体の内側方に向かって膨出する膨出部を車体の前後方向に形成し、この膨出部の中途部のみに上記ブレースの後端部を結合し、上記膨出部とは別体としてこの膨出部の車体の外側方近傍で車体の前後方向に延び、上記フロントピラーに結合される補強板を設けたことを特徴とする車両の車体骨格構造。
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