本発明は、増し折りの圧力を相殺する方向に圧力をかける減圧手段を設けたことを特徴とする。減圧手段は、枚数が少ない冊子を増し折りする際には加圧手段による増し折りの圧力を抑制することにより圧力を適正化し、枚数が多い冊子を増し折りする際には減圧手段が作用しないようにして加圧手段の加圧力で増し折りするようにした。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムSYのシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置PRの後段に第1及び第2のシート後処理装置1,2がこの順で連結されている。なお、本実施形態では、画像形成装置PRの後段にシート処理装置が配置されることからシート後処理装置と称している。
第1のシート後処理装置1は、画像形成装置PRからシートを1枚ずつ受け取り、順次重ね合わせ整合し、スタック部でシート束を作成するシート束作成機能を有するシート後処理装置である。第1のシート後処理装置1は、シート束排紙ローラ10から後段の第2のシート後処理装置2にシート束を排紙する。第2のシート後処理装置2は、搬送されてきたシート束を受け取り、中綴じ中折りを施す中綴じ製本装置である(本明細書では、第2のシート後処理装置について中綴じ製本装置とも称する)。
中綴じ製本装置2は製本した冊子(シート束)をそのまま排紙し、あるいはさらに後段の図示しないシート後処理装置に排紙する。画像形成装置PRは入力された画像データ、若しくは読み取った画像の画像データに基づいてシート状の記録媒体に可視画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。画像形成装置PRは、例えば電子写真方式、液滴射出方式など公知の方式のものであり、画像形成方式は何れでもよい。
同図において、中綴じ製本装置2は入口搬送路241、シートスルー搬送路242、及び中折り搬送路243を備えている。入口搬送路241のシート搬送方向最上流部には、入口ローラ201が設けられ、第1のシート後処理装置1の前記シート束排紙ローラ10から整合されたシート束が装置内に搬入される。なお、以下の説明では、シート搬送方向上流側を単に上流側と、シート搬送方向下流側を単に下流側と称す。
入口搬送路241の入口ローラの201の下流側には、分岐爪202が設けられている。この分岐爪202は図において水平方向に設置され、シート束の搬送方向をシートスルー搬送路242あるいは中折り搬送路243に分岐する。シートスルー搬送路242は、入口搬送路241から水平に延び、後段の図示しない処理装置若しくは排紙トレイにシート束を導く搬送路であり、シート束は上排紙ローラ203によって後段に排紙される。中折り搬送路243は分岐爪202から垂直下方に延び、シート束に対して中綴じ、中折り処理を行うための搬送路である。
中折り搬送路243は、中折りするための折りプレート215の上部でシート束を案内する束搬送ガイド板上207と、折りプレートの215の下部でシート束を案内する束搬送ガイド板下208を備えている。束搬送ガイド板207には、上部から束搬送ローラ上205、後端叩き爪221、束搬送ローラ下206が設けられている。後端叩き爪221は、図示しない駆動モータによって駆動される後端叩き爪駆動ベルト222に立設されている。後端叩き爪221は駆動ベルト222の往復回転動作により、シート束の後端を後述の可動フェンス側に叩き(押圧し)、シート束の整合動作を行う。また、シート束が搬入される際、及びシート束が中折りのための上昇する際には、束搬送ガイド板上207の中折り搬送路243から退避する(図1破線位置)。
符号294は後端叩き爪221のホームポジションを検出するための後端叩き爪HPセンサであり、中折り搬送路243から退避した図1破線位置(図2実線位置)をホームポジションとして検出する。後端叩き爪221は、このホームポジションを基準に制御される。
束搬送ガイド板下208には、上方から中綴じステープラS1、中綴じジョガーフェンス225、及び可動フェンス210が設けられている。束搬送ガイド板下208は束搬送ガイド板上207を通って搬送されてきたシート束を受け入れるガイド板である。幅方向には一対の前記中綴じジョガーフェンス225が設置され、下方にシート束先端が当接(支持)し、上下動可能に前記可動フェンス210が設けられている。
中綴じステープラS1はシート束の中央部を綴じるステープラである。可動フェンス210はシート束の先端部を支持した状態で上下方向に移動し、シート束の中央位置を中綴じステープラS1に対向する位置に位置させ、その位置でステープル処理、すなわち中綴じが行われる。可動フェンス210は可動フェンス駆動機構210aによって支持されるともに、図示上方の可動フェンスHPセンサ292位置から最下方位置まで移動可能である。シート束の先端が当接する可動フェンス210の可動範囲は、中綴じ製本装置2の処理可能な最大サイズから最小サイズまで処理可能なストロークが確保されている。なお、可動フェンス駆動機構210aとしては、例えばラックアンドピニオン機構が使用される。
束搬送ガイド板上207と下208との間、すなわち中折り搬送路243のほぼ中央部には折りプレート215、折りローラ対230、増し折りローラユニット260、及び下排紙ローラ231が設けられている。増し折りローラユニット260は折りローラ対230及び下排紙ローラ231の間の排紙搬送路を挟んで上下に増し折りローラが配置されている。折りプレート215は、図示水平方向に往復動可能であり、折り動作を行う際の動作方向には、折りローラ対230のニップが位置し、その延長上に排紙搬送路244が設置されている。下排紙ローラ231は、排紙搬送路244の最下流に設けられ、後段に折り処理されたシート束を排紙する。
束搬送ガイド板上207の下端側には、シート束検知センサ291が設けられ、中折り搬送路243に搬入され、中折り位置を通過するシート束の先端を検知する。また、排紙搬送路244には、折り目部通過センサ293が設けられ、中折りされたシート束の先端を検知し、シート束の通過を認識する。
大略、図1に示すように構成された中綴じ製本装置2では、図2ないし図6の動作説明図に示すようにして中綴じ及び中折り動作が行われる。すなわち、画像形成装置PRの図示しない操作パネルから中綴じ中折りが選択されると、当該中綴じ中折りが選択されたシート束SBは、分岐爪202の反時計方向の偏倚動作により中折り搬送路243側に導かれる。なお、分岐爪202はソレノイドによって駆動される。なお、ソレノイドに代えてモータ駆動でもよい。
中折り搬送路243内に搬入されたシート束SBは、入口ローラ201と束搬送ローラ上205によって中折り搬送路243を下方に搬送される。そして、シート束検知センサ291によって通過が確認された後、図2に示すように束搬送ローラ下206によって可動フェンス210にシート束SBの先端が突き当たる位置まで搬送される。その際、画像形成装置PRからのシートサイズ情報、ここでは、各シート束SBの搬送方向のサイズ情報に応じて可動フェンス210は異なる停止位置で待機している。このとき、図2では、束搬送ローラ下206はニップにシート束SBを挟持し、後端叩き爪221はホームポジション位置に待機している。
この状態で、図3に示すように束搬送ローラ下206の挟持圧が解除され(矢印a方向)、可動フェンス210にシート束先端が当接し、後端がフリーになった状態でスタックされると、後端叩き爪221が駆動され、シート束SBの後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う(矢印c方向)。
次いで、中綴じジョガーフェンス225によって幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)の揃え動作が、また、可動フェンス210と後端叩き爪221により搬送方向の揃え動作がそれぞれ実行される。これにより、シート束SBの幅方向及び搬送方向の整合動作が完了する。このとき、シートのサイズ情報、シート束の枚数情報、シート束厚み情報によって、後端叩き爪221、中綴じジョガーフェンス225の押し込み量を最適の値に変更し整合する。
また、束の厚みがあると搬送路内の空間が減少するため、一度の整合動作では整合しきれないケースが多い。そこで、このような場合には、整合回数を増加させる。これにより、より良い整合状態を実現することができる。さらに、上流側でシートを順次重ね合わせる時間はシート枚数が多ければ多いほど増加するので、次のシート束SBを受け入れるまでの時間が長くなる。その結果、整合回数を増加してもシステムとして時間の損失はないことから、効率的に良好な整合状態を実現できる。したがって、上流の処理時間に応じ、整合回数を制御することも可能である。
なお、前記可動フェンス210の待機位置は、通常、シート束SBの中綴じ位置が中綴じステープラS1の綴じ位置に対向する位置に設定される。この位置で整合すると、可動フェンス210をシート束SBの中綴じ位置に移動させることなく、スタックされた位置でそのまま綴じ処理が可能となるからである。そこで、この待機位置でシート束SBの中央部に中綴じステープラS1のステッチャを矢印b方向に駆動し、クリンチャとの間で綴じ処理が行われ、シート束SBは中綴じされる。
可動フェンス210は可動フェンスHPセンサ292からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪221は後端叩き爪HPセンサ294からのパルス制御により位置決めされる。可動フェンス210及び後端叩き爪221の位置決め制御は、中綴じ製本装置2の制御回路2aのCPU2bによって実行される。
図3の状態で中綴じされたシート束SBは、図4に示すように束搬送ローラ下206の加圧が解除された状態で可動フェンス210の上方移動に伴って中綴じ位置(シート束SBの搬送方向の中央位置)が折りプレート215に対向する位置まで移送される。この位置も可動フェンスHPセンサ292の検出位置を基準に制御される。
図4の位置にシート束SBが達すると、図5に示すように折りプレート215が折りローラ対230のニップ方向に移動し、シート束SBの綴じられたステープル針近傍のシート束SBに対して略直角方向から当接し、前記ニップ側に押し出す。シート束SBは折りプレート215により押されて折りローラ対230のニップへと導かれ、予め回転していた折りローラ対230のニップに押し込まれる。折りローラ対230は、ニップに押し込まれたシート束SBを加圧し、搬送する。この加圧搬送動作によりシート束SBの中央に折りが施され、簡易製本されたシート束SBが形成される。図5は、シート束SBの折り目部SB1の先端が折りローラ対230のニップに挟持され、加圧されているときの状態を示す。
図5の状態で中央部が2つ折りされたシート束SBは、図6に示すようにシート束SBとして折りローラ対230によって搬送され、さらに下排紙ローラ231に挟持されて後段に排出される。このとき、シート束SB後端が折り目部通過センサ293に検知されると、折りプレート215及び可動フェンス210はホームポジションに、束搬送ローラ下206は加圧状態にそれぞれ復帰し、次のシート束SBの搬入に備える。また、次のジョブが同サイズ同枚数であれば、可動フェンス210は再び図2の位置に移動し、待機するようにしてもよい。なお、これらの制御も前記制御回路2aのCPU2bによって実行される。
図7は増し折りローラユニットと折りローラ対を示す要部正面図、図8は図7を左側からみた要部側面図である。増し折りローラユニット260は、折りローラ対230と下排紙ローラ231との間の排紙搬送路244に設置され、ユニット移動機構263、案内部材264及び押圧機構265を備えている。ユニット移動機構263は図示しない駆動源及び駆動機構により案内部材264に沿って増し折りユニット260を図示奥行き方向(シート搬送方向に対して直交する方向)に往復移動させる。押圧機構265は上下方向から圧を加え、シート束SBを押圧する機構であり、増し折りローラ/上ユニット261、増し折りローラ/下ユニット262を備えている。
増し折りローラ/上ユニット261は、ユニット移動機構263に対して支持部材265bによって上下方向に移動可能に支持され、増し折りローラ/下ユニット262は押圧機構265の支持部材265bの下端に移動不能に取り付けられている。増し折りローラ/上ユニット261の上側増し折りローラ261aは、下側増し折りローラ262aに対して圧接可能となっており、両者のニップ間にシート束SBを挟んで加圧する。加圧力は増し折りローラ/上ユニット261を弾性力で加圧する第1の加圧手段としての加圧ばね265cによって付与される。そして、加圧状態で後述のようにシート束SBの幅方向(図8矢印D1方向)に移動し、折り目部SB1に対して増し折りを実行する。
図9は案内部材264の詳細を示す図である。案内部材264は増し折りローラユニット260をシート束SBの幅方向に案内する案内経路270を備え、当該案内経路270には、
1) 往移動時に押圧機構265を押圧解除状態で案内する第1の案内経路271
2) 往移動時に押圧機構265を押圧状態で案内する第2の案内経路272
3) 往移動時に押圧手265を押圧解除状態から押圧状態に切り替える第3の案内経路273
4) 復移動時に押圧機構265を押圧解除状態で案内する第4の案内経路274
5) 復移動時に押圧機構265を押圧状態で案内する第5の案内経路275
6) 復移動時に押圧機構265を押圧解除状態から押圧状態に切り替える第6の案内経路276
の6つの経路が設定されている。
図10及び図11は図9の要部を拡大して示す図である。図10及び図11に示すように第3の案内経路273と第2の案内経路272の交点、及び第6の案内経路276と第5の案内経路275の交点にはそれぞれ第1の経路切り替え爪277及び第2の経路切り替え爪278が設置されている。第1の経路切り替え爪277は図11に示すように第3の案内経路273から第2の案内経路272へ切り替え可能、第2の経路切り替え爪278は第6の案内経路276から第5の案内経路275へは切り替え可能である。しかし、前者では第2の案内経路272から第3の案内経路273への切り替え、後者では第5の案内経路275から第6の案内経路276への切り替えは不能となっている。すなわち、逆方向には切り替えられないように構成されている。なお、図11における矢印はガイドピン265aの移動軌跡を示している。
また、押圧機構265が案内経路270に沿って移動するのは、押圧機構265のガイドピン265aが案内経路270内にゆるみばめ状態で移動可能に嵌合しているからである。すなわち、案内経路270がカム溝として機能し、ガイドピン265aがこのカム溝に沿って移動する間に位置を変えるカムフォロワとして機能する。
図12ないし図22は、本実施形態における増し折りローラユニットによる増し折り動作の動作説明図である。
図12は折りローラ230にて折られたシート束SBが予め設定された増し折り位置まで搬送されて停止し、増し折りローラユニット260が待機位置にいる状態を表している。この状態が増し折り動作の初期位置である。
初期位置(図12)から増し折りローラユニット260が図示右方向(矢印D2方向)に往移動を開始する(図13)。その際、増し折りローラユニット260内の押圧機構265は、ガイドピン265aの作用により案内部材264の案内経路270に沿って移動する。動作開始直後は第1の案内経路271に沿って移動する。その際、増し折りローラ対261a,262aは押圧解除状態にある。ここで、押圧解除状態とは増し折りローラ261a,262aとシート束SBは接触しているがほとんど圧力がかかっていない状態、または増し折りローラ261a,262aとシート束SBとが離れている状態を表している。
シート束SBの中央付近で第3の案内経路273にかかると(図14)、押圧機構265は第3の案内経路273に沿って下降を開始し、第1の経路切り替え爪277を押しのけて第2の案内経路272に入る(図15)。このとき、押圧機構265は増し折りローラ/上ユニット261を押圧している状態となり、増し折りローラ/上ユニット261はシート束SBに当接し、押圧状態となる。
押圧したままの状態で増し折りローラユニット260はさらに矢印D2方向に移動する(図16)。その際、第2の経路切り替え爪278は逆方向へは移動できないので、第6の案内経路276に案内されることなく、第2の案内経路272に沿って移動し、シート束SBを抜け、往移動の最終位置に位置する(図17)。ここまで移動すると、押圧機構265のガイドピン265aは第2の案内経路272から上部の第4の案内経路274に移行する。その結果、第2の案内経路272の上面によるガイドピン265aの位置規制が解除されるので、上側折り増しローラ261aは下側折り増しローラ262aから離れ、押圧解除状態となる。
次いで、ユニット移動機構263によって増し折りローラユニット260は復移動を開始する(図18)。復移動では、押圧機構265は第4の案内経路274に沿って図示左方向(矢印D3方向)に移動する。この移動により押圧機構265が第6の案内経路276に至ると(図19)、ガイドピン265aが第6の案内経路276の形状に沿って下方向に押され、押圧機構265は押圧解除状態から押圧状態に移行する(図20)。
そして、第5の案内経路275に入ると、完全な押圧状態になり、第5の案内経路275を矢印D3方向にそのまま移動して(図21)、シート束SBを抜ける(図22)。
このようにして増し折りローラユニット260を往復移動させてシート束SBに増し折りを施す。その際、シート束SBの中央部から一方への増し折りを開始し、シート束SBの一方の端部SB2を抜ける。その後、増し折りしたシート束SBの上を通り、シート束の中央部から他方への折り増しを開始し、他方の端部SB2を抜けるという動作によって増し折りを行う。
このように動作させると、折り増しを開始するとき、あるいは一方を抜けた後、他方に戻るとき、シート束SBの端部SB2にシート束SBの外側から増し折りローラ対261a,262aが接触することも、加圧することもない。言い換えれば、シート束SBの端部SB2を端部の外側から通過するときには増し折りローラユニット260は押圧解除状態にある。そのため、シート束SBの端部SB2へのダメージは発生しない。また、シート束SBの中央部付近から端部SBにかけて増し折りするので、増し折り時のシート束SBを接触して走行する距離が短くなり、しわ等の原因になる縒れも蓄積され難い。そのため、シート束SBの折り目部(背)SB1を増し折りする際にシート束SBの端部SB2にダメージが生じることがなく、縒れの蓄積による折り目部SB1及びその近傍の捲れやしわの発生も抑制することができる。
シート束SBの端部SB2の外側から増し折りローラ対261a,262aが当該端部SB2上に乗り上げないようにするには次のようにする。すなわち、増し折りローラユニット260が往移動時に押圧を解除した状態でシート束上を移動する距離をLa、復移動時に押圧を解除した状態でシート束を移動する距離をLbとしたとき、シート束の幅方向の長さLと、前記距離La,Lbとの関係が、
L>La+Lb
であることが必須である(図12〜図14、図17〜図19)。
また、前記距離La及びLbを略同一に設定し、シート束SBの幅方向の中央部付近で押圧を開始するようにすることが望ましい(図16、図20)。
なお、本実施形態における増し折りローラユニット260では、増し折りローラ/下ユニット262を用意して増し折りローラ対261a,262aによって増し折りを行っている。これに対し、増し折りローラ/下ユニット262を削除し、増し折りローラ/上ユニット261と、それに対向するような当接面を有する図示しない受け部材を設け、両者間で押圧するように構成してもよい。
さらに、本実施形態における増し折りローラユニット260は、増し折りローラ/上ユニット261は上下に可動に構成し、増し折りローラ/下ユニット262は上下方向には不動に構成している。これに対し、増し折りローラ/下ユニット262も上下方向に可動に構成することもできる。このように構成すると、上下のローラ261a,262aが増し折り位置に対して対称に接離動作するので、増し折り位置がシート束SBの厚みに関係なく一定となり、さらに傷等のダメージを抑制することができる。
図23は加圧ばね265cに加えて減圧ばね251を設けた本実施形態に係る増し折りローラユニット260の増し折り時の動作を示す動作説明図である。同図(a)は待機状態を示す図、同図(b)は加圧ばね265cによる増し折り動作時の動作を示す図、同図(c)は加圧ばね265cと減圧ばね251による増し折り動作時の動作を示す図である。減圧ばね251は加圧ばね265cによる加圧力を小さくする機能を有する第2の加圧手段であり、板ばねから構成されている。板ばねの一端は増し折りローラ/下ユニット262の一部、例えば上面に固定されている。減圧ばね251の板ばね形状は、側面視コの字形であり、他端側が自由端251aとなっている。
図23(a)の待機時の状態は図7及び図8の状態に対応する。この場合、減圧ばね251の自由端251aは、増し折りローラ/上ユニット261には触れていない。図23(b)は枚数が多いシート束SBを増し折りしている状態を示している。減圧ばね251は、この場合も増し折りローラ/上ユニット261に触れていない。図23(c)は枚数が少ないシート束SBを増し折りしている状態を示している。減圧ばね251は、増し折りローラ/上ユニット261のローラ軸261a1に当たって弾性変形し、ローラ軸261a1に対して上方向に荷重をかけている(加圧している)。このようにシート束SBのシート枚数が少ない場合だけ減圧ばね251が増し折りローラ/上ユニット261に突き当たり、上方向に加圧する、言い換えれば、加圧ばね265cの加圧力を減圧するように作用する。このときのシート枚数と増し折り時の荷重との関係は図24に示す特性図のようになる。
本実施形態では、増し折りローラ/上ユニット261を押す加圧ばね265cは圧縮ばねからなるので、増し折り荷重はシート束SBの枚数若しくはシート束SBの厚さに対して線形の比例状態で変化する。シート枚数が少ない場合には、増し折りローラ/上ユニット261の加圧力を弱めないと折り目への加傷、あるいはステープル針へのダメージが懸念される。これに対処するために、シート枚数が少ないときは圧力を弱く、多いときは圧力を大きくなるように構成するとよい。このような圧力関係に加圧ばね265cを構成するには、ばね定数を極端に大きくする必要がある。
しかし、ばね定数を大きくすると誤差による影響を受けやすくなるため、加圧ばね265cの構成に無理が出る。これに対して、図23に示すように減圧ばね251を設置し、上記グラフのように増し折り荷重を調整することにより枚数に応じた適切な押圧力で増し折りが可能になる。図24では点線部分を含む一直線で示した部分が加圧ばね265cのみの増し折り特性であり、一直線状の部分から途中で折れた折れ線状の部分を有する実線が加圧ばね265cと減圧ばね251とを備えたときの増し折り特性である。
また、図23に示した加圧ローラユニット260では、減圧ばね251が増し折りローラ/上ユニット261のローラ軸261a1に当接する位置は一定である。これに対し、図25に示すように調整機構250を設け、減圧ばね251の上下方向の位置を調整可能とすると、ローラ軸261a1に当接する位置を変えることができる。その結果、シート束SBのシート枚数と増し折り荷重の関係を変化させることができる。なお、図25は調整機構を備えた減圧ばねの構成を示す図である。
図25において、調整機構250は、例えば、駆動モータ252、減速機構253、ねじ部材254及び連結部材255から基本的に構成されている。駆動モータ252は増し折りローラ/下ユニット262に支持部材256を介して一体に取り付けられている。減速機構253は駆動モータ252のモータ軸の回転を減速してねじ部材254に伝達する。連結部材255は減圧ばね251と一体に接合され、ねじ部材254のねじ部分が連結部材255の雌ねじ部に挿入される。これによりねじ部材254が回転すると、回転方向に応じて連結部材255を昇降させ、これと一体に減圧ばね251が昇降する。
この調整は、例えば、シート枚数情報、紙厚情報、紙種情報の1つまたは複数の条件によって自動的に行う構成にする。また、ユーザーの意思でも調整できるよう、操作パネルPRc(図26参照)上から調整量を変更できるように構成することも可能である。
図26は、本実施形態における画像形成システムSYの制御構成を示すブロック図である。
図26において、画像形成装置PR、第1のシート後処理装置1及び中綴じ製本装置2は、それぞれCPU_PRb,1b,2b、RAM、ROM及びI/Oインターフェイス等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路PRa,1a,2aを備えている。第1のシート後処理装置1のCPU1bには、画像形成装置PRのCPU_PRbあるいは操作パネルPRcの各スイッチ等、及び図示しない各用紙検知センサからの信号が通信インターフェイス1cを介して入力される。同様に中綴じ製本装置2のCPU2bには、第1のシート後処理装置のCPU1bからの信号あるいは画像形成装置PRからの信号が通信インターフェイス2cを介して入力される。
中綴じ製本装置2のCPU2bは、画像形成装置PR側から入力された信号に基づいて予め設定された制御を実行する。さらに、CPU2bは、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御する。なお、前記制御は、図示しないROMあるいはハードディスクHD等に格納されたプログラムコードをCPU2bが読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
前記増し折り動作及び前記駆動モータ256の制御は前記プログラムに基づいて実行される。中綴じ製本装置2では、画像形成装置PRから送信されてくるシート枚数情報、紙厚情報、紙種情報の1つまたは複数の情報に基づいて自動的に減圧ばね251の位置を最適な荷重の位置に移動させる。移動の位置は、例えば図24の特性では、シート束SBのシート枚数に応じて適切な増し折り荷重を設定すればよい。そのため、中折り製本装置2のROMに図24の特性をテーブル化して記憶しておき、画像形成装置PR側から送信されてくる例えばシート枚数から増し折り荷重を参照すれば、最適な荷重を設定することができる。
この荷重調整をユーザーの意思によって行う場合には、画像形成装置PRの操作パネルPRcから調整量を入力し、あるいは選択すると、その情報が中折り製本装置2のCPU2bに伝達されるようにする。CPU2bは、自動で行う場合とは異なり、入力された調整量に対応する増し折り荷重を設定し、その高さに減圧ばね251を移動させる。これによりユーザーの意思に応じた増し折り荷重で増し折りを行うことができる。
さらに、本実施形態では、調整機構250はシート幅方向に移動する増し折りローラユニット260の増し折りローラ/下ユニット262に搭載されているので、増し折りローラユニットとシート束との幅方向の相対位置関係によって調整することも可能である。例えばステープル周辺部だけ弱めに加圧し、その他の部分は強めに加圧することによりステープルを挟み込んだ結果起こりうるシート束ダメージを回避しつつ良好な折り目を得ることができる。
本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)シート束SBを折る折りプレート215及び折りローラ対230(折り手段)と、折られたシート束SBの折り目部SB1を、シート束SBの厚み方向に押圧し、増し折りする押圧機構265(押圧手段)と、押圧機構265をシート束SBの幅方向に往復移動させるユニット移動機構263(移動手段)と、を備えた中綴じ製本装置2(シート処理装置)において、押圧機構265による加圧力を当該押圧機構265の上側増し折りローラ261a(押圧手段)の位置に応じて減圧する減圧ばね251(減圧手段)を備えたので、生産性を落とすことなく上側増し折りローラ261aの位置に応じて適切な荷重で増し折りをすることができる。
なお、上側増し折りローラ261aの位置は押圧するシート束PBを押圧する位置であり、押圧するシート束SBの厚さに応じて変化する。そこで、この厚さの変化に応じて(例えば厚さが薄い場合には大きく、厚さが厚い場合には小さく)減圧するようにした。これにより、減圧ばね251で減圧した加圧ばね265aの加圧力により適切な荷重で増し折りをすることができる。このように、増し折りするシート束のシート束の厚さに適した圧力をかけるため、シート束の厚さ若しくは枚数にかかわらず増し折り回数は1回で済み、生産性に影響しない構成とすることができる。
(2)前記押圧機構265(押圧手段)が、増し折り方向に加圧する加圧ばね265c(第1の加圧手段)と、増し折り方向と反対方向に加圧する減圧ばね251(第2の加圧手段)と、を含み、シート束SBが予め設定された厚みより厚い場合に、加圧ばね265c(第1の加圧手段)により加圧し、シート束SBが予め設定された厚み以下の場合に、加圧ばね265cによる加圧状態下で減圧ばね251(第2の加圧手段)が前記反対方向に加圧して減圧するので、枚数条件が異なるシート束に対しても生産性を落とすことなく、簡単な構成で十分な増し折り効果を得ることができる。
(3)前記減圧は、押圧機構265の上側折り増しローラ261aのローラ軸261a1(押圧手段)が減圧ばね251(第2の加圧手段)に突き当たり、減圧ばね251が弾性変形することにより行われるので、簡単な構成で増し折り荷重を減圧することができる。
(4)前記押圧機構265の上側折り増しローラ261aのローラ軸261a1(押圧手段)が減圧ばね251(第2の加圧手段)に突き当たる位置を調整する調整機構250(調整手段)を備えたので、突き当たる位置を変化させて加圧ばね265cによる加圧力を調整できる。これにより、シート束条件に適した加圧力で増し折りが可能となり、シート束SBの折り品位の向上を図ることができる。
(5)前記調整機構250(調整手段)は、搬送されてくるシートの枚数情報、紙厚情報及び紙種情報のうちの少なくとも1つの条件に基づいて前記調整を行うので、シート束条件に適した圧力を自動的に調整することが可能となり、シート束SBの折り品位の向上を図ることができる。
(6)前記調整機構250(調整手段)は、ユーザーが操作可能な操作パネルPRc(操作手段)からの指示により前記調整を行うので、ユーザーの意思にあわせて圧力を調整することが可能となり、シート束SBの折り品位の向上を図ることができる。
(7)前記減圧ばね251(第2の加圧手段)は、移動可能な押圧機構265(押圧手段)に設置され、シート束SBの幅方向に往復移動するので、簡易的な構造で幅方向に移動しながら減圧作用を行うことができる。
(8)前記調整機構250(調整手段)は、押圧機構265(押圧手段)とシート束SBの幅方向の相対位置によって突き当たる位置を調整するので、例えば、ステープルの位置など、特定の場所だけ圧力を弱めるように調整することが可能となり、シート束SBの折り品位の向上を図ることができる。
(9)前記(1)ないし(8)の中綴じ製本装置2(シート処理装置)と画像形成装置PRとを備えた画像形成システムSYによれば、前記(1)ないし(8)に記載した効果を奏する画像形成システムとすることができる。
(10)シート束SBを折る折りプレート215及び折りローラ対230(折り手段)と、折られたシート束SBの折り目部SB1を、シート束SBの厚み方向に押圧し、増し折りする押圧機構265(押圧手段)と、押圧機構265をシート束SBの幅方向に往復移動させるユニット移動機構263(移動手段)と、を備えた中綴じ製本装置2(シート処理装置)におけるシート束SBの増し折り方法において、押圧機構265による加圧力を当該押圧機構265の上側増し折りローラ261a(押圧手段)の位置に応じて減圧して増し折りするので、生産性を落とすことなく押圧するシート束SBの厚さに応じて適切な荷重で増し折りをすることができる。
なお、前記実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。