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JP6273889B2 - 難燃性ポリウレタンフォーム - Google Patents

難燃性ポリウレタンフォーム Download PDF

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JP6273889B2 JP2014029437A JP2014029437A JP6273889B2 JP 6273889 B2 JP6273889 B2 JP 6273889B2 JP 2014029437 A JP2014029437 A JP 2014029437A JP 2014029437 A JP2014029437 A JP 2014029437A JP 6273889 B2 JP6273889 B2 JP 6273889B2
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Description

本発明は、粉末状の難燃剤がポリオール中に混合されてから、長期の貯蔵期間がある場合においても、ポリウレタンフォーム成形時の発泡反応性の低下や難燃性の低下を抑制できるポリオール組成物を用いた難燃性ポリウレタンフォームに関する。
ポリウレタンフォームは主にイソシアネートとポリオールとの反応により製造され、車両・家具のクッション材や建築、貯蔵タンク、船舶等における断熱材や構造材等の幅広い用途に使用されている。従来、ポリウレタンフォームの難燃化には、リン酸エステルが主として使用されてきたが、リン酸エステルは可塑化作用があるため、ポリウレタンフォームの機械物性の低下や収縮を引き起こすという問題があった。そこで、リン酸エステルの使用量低減や、物性に悪影響を及ぼさない難燃剤への代替が求められている。
リン酸エステルに代わる難燃剤としては、赤燐やポリリン酸塩類を挙げることができ、比較的少量の配合により難燃化することが可能である。例えば、特許文献1では、ポリリン酸アンモニウムと赤燐を組み合わせた複合難燃剤による軟質ポリウレタンフォームの難燃化について開示されている。
ポリリン酸アンモニウムや赤燐は高い難燃性を示すものの、共にイソシアネートやポリオールに不溶の比重の大きな粉末である。粉末状の難燃剤を使用する場合、沈降や凝集により難燃剤が偏在化することを避け、難燃剤を添加する媒体中に均一に分散させることが、十分な難燃効果を得るための課題となる。特に使用するまでに長期の貯蔵期間がある場合は、粉末状の難燃剤の沈降や凝集により、均一な組成物が得られず、難燃性が低下するという課題がある。
また、特許文献2では赤燐とカーボンブラック、微粉シリカ、水添ヒマシ油ワックス、脂肪酸アミドワックス等の沈降防止剤との組み合わせによる難燃組成物をポリウレタン原料であるイソシアネート、ポリオールまたは難燃剤として用いられるリン酸エステル類に分散することにより、1か月という長期にわたって貯蔵しても赤燐粒子の沈降を抑制できることが開示されている。
しかしながら、カーボンブラックや微粉シリカのような微粉末状の沈降防止剤は、それ自身の分散不良により沈降防止の効果が不十分である。また、水添ヒマシ油ワックスや脂肪酸アミドワックスは、沈降防止性能の不足により、沈降防止の効果が不十分である。さらに、カーボンブラックや微粉シリカを用いる場合、使用量によりポリウレタンフォームの成形時の発泡反応性の低下や、ポリウレタンフォームの難燃性が低下する等の問題があり、可燃性物質である水添ヒマシ油ワックスや脂肪酸アミドワックスを用いる場合、ポリウレタンフォームの難燃性が低下する等の問題がある。
ポリオール組成物は調製された後に、1か月程度またはそれ以上の期間貯蔵される場合があるため、粉末状の難燃剤を用いる際には、沈降や凝集が起こらず、かつポリウレタンフォーム成形時の発泡反応性の低下やポリウレタンフォームの難燃性の低下を抑制できるポリオール組成物を用いた難燃性ポリウレタンフォームが望まれている。
特開平10−147623号公報 特開2012−219127号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、粉末状の難燃剤がポリオール中に混合されてから、長期の貯蔵期間がある場合においても、ポリウレタンフォーム成形時の発泡反応性の低下や難燃性の低下を抑制できるポリオール組成物を用いた難燃性ポリウレタンフォームを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリオール組成物中に難燃剤として赤燐を含有し、赤燐の沈降を抑制するためウレア誘導体を共存させることにより、難燃効果の高い赤燐を均一に分散し、赤燐の沈降や凝集を抑え、長期の貯蔵安定性に優れるばかりでなく、ポリウレタンフォームを成形する際の発泡反応性の低下や得られたポリウレタンフォームの難燃性の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は、
(1)赤燐、ウレア誘導体、ポリオール、イソシアネートを用いて得られる難燃性ポリウレタンフォームであって、該難燃性ポリウレタンフォームが、ポリオール100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲の赤燐及び0.001〜15重量部の範囲のウレア誘導体が用いられることで得られることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォームである。
(2)ウレア誘導体が脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(3)ポリオール100重量部中に、ポリエステルポリオールを10〜100重量部の範囲で含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(4)リン酸エステル類を含み、その含有量がポリオール100重量部に対して10〜150重量部の範囲であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(5)イソシアネートの含有量がポリオール100重量部に対して70〜500重量部の範囲であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(6)ポリオール、赤燐、ウレア誘導体を含有するポリオール組成物とイソシアネートを混合して、発泡成形して得ることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームの製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いる赤燐としては、未処理の赤燐や、市販の無機化合物及び/又は熱硬化性樹脂により被覆処理を施した赤燐等が挙げられる。特に限定されないが、取り扱いが容易であることから被覆処理を施した赤燐が好ましい。
被覆処理に用いる無機化合物としては、金属の酸化物又は水酸化物等の金属塩が挙げられる。特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン、酸化銅(II)、酢酸銅、Co、MoO、MnO、V、Sb、PbO、Bi、CdO、NiO、AgO、Cr、CeO、PtO等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノ−ル樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
取り扱い性に優れた赤燐が得られることから、水酸化物や酸化物等の金属塩、熱硬化性樹脂等の被覆量としては、赤燐100重量部に対して1〜50重量部が好ましい。
また、被覆処理の際、必要に応じて重合触媒や水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又は水酸化チタン等の充填剤を共存させておくことができる。充填剤の添加量としては、赤燐100重量部に対して1〜35重量部が好ましい。このような充填剤の添加は、樹脂被覆層の機械的強度が向上すると共に赤燐特有の紫紅色に対する隠ぺい効果があり、用途拡大に寄与し得るので好ましい。
本発明に用いる赤燐としては市販のいずれの粒径の赤燐も使用できる。特に限定されないが、粒径100μm以下が好ましく、なかでも、スプレー発泡される工程やポンプで反応器に注入される工程を経る場合には20μm以下であることが好ましい。特に限定されないが、例えば、燐化学工業社製ノーバレッド120、ノーバエクセル140、日本化学工業社製ヒシガード等の市販品が挙げられ、これらの市販品をそのまま使用できる。
なお、本発明に用いるポリオール組成物では、赤燐を高濃度に含有させたマスターバッチを作製することができる。その場合、赤燐の含有量が高くなるに従い、経済性に優れるが、赤燐の含有量が一定量を超えると粘度が高く、十分な流動性が得られなくなる場合があり、取り扱い難くなる場合がある。
本発明に用いるポリオール組成物中の赤燐の添加量としては、ポリオール100重量部に対して0.5〜900重量部の範囲が好ましく、なかでも3〜700重量部の範囲がさらに好ましい。特に限定されないが、発泡時にポリオールを追加せずそのまま発泡に用いる場合は、赤燐の添加量としては、ポリオール100重量部に対して0.5〜40重量部の範囲が好ましく、赤燐以外の難燃剤や添加剤を100部以上含む濃厚溶液(マスターバッチ)の場合、赤燐の添加量としては、ポリオール100重量部に対して40〜900重量部用いることが好ましい。赤燐の添加量がポリオール100重量部に対して0.5重量部未満では燐含量が少ないため難燃化効果が低くなる場合がある。また、赤燐を高濃度に含む溶液を調製する場合には900重量部を超えると固形分の増加によるポリオール組成物の流動性の低下により取り扱い難くなる場合がある。
本発明のポリウレタンフォーム中の赤燐の添加量としては、ポリオール100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲であり、なかでも1〜15重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは赤燐の添加量は2〜15重量部の範囲である。ポリウレタンフォーム中、赤燐の添加量が0.5重量部未満では赤燐含量が小さいため難燃性が低く、20重量部を超えると赤燐自体の燃焼作用による難燃性の低下及びポリオール組成物中の固形分の増加によるポリウレタンフォーム成形時の流動性の低下により取り扱いが困難となる。
本発明では、赤燐に加え、その他難燃剤としてリン酸エステル類、ハロゲン含有有機化合物、無機化合物類等からなる市販の難燃剤を使用できる。特に限定されないが、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート、2,2−ビス(クロロメチル)−1,3−プロパンビス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、2,2−ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2−クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート、含ハロゲン系ホスフェートホスホネートオリゴマーエステル(大八化学工業社製CR−530、CR−570、CR−509等)、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリ2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ジエチルフェニルホスフォネート、ジメチルフェニルホスフォネート、レゾルシノールジフェニルホスフェート、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル、芳香族系リン酸オリゴマーエステル(レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート、大八化学工業社製CR−735等)等のハロゲン系リン酸エステル又は非ハロゲン系リン酸エステル及びそのオリゴマー、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物、炭酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、メラミン樹脂、クレー、三酸化アンチモン、亜鉛華、炭酸カルシウム等の無機化合物等が挙げられる。なかでも、難燃性の高さから、ハロゲン系リン酸エステル又は非ハロゲン系リン酸エステル及びそれらのオリゴマー、ポリリン酸アンモニウムが好ましい。さらに好ましくは、混合の容易性から、GPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000以下のハロゲン系リン酸エステル及びそのオリゴマー、又はGPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000以下の非ハロゲン系リン酸エステル及びそのオリゴマーである。これら難燃剤は一種又は二種以上混合して使用してもよい。
赤燐以外の難燃剤を用いる場合、ポリオール組成物中のその他難燃剤の添加量としては、ポリオール100重量部に対して10〜1100重量部の範囲が好ましく、20〜950重量部の範囲がさらに好ましい。赤燐以外のその他難燃剤はポリオール組成物中に10重量部未満では難燃助剤としての効果が小さい。また赤燐を100重量部以上含むマスターバッチを調製する際に用いる場合においては、ポリオール100重量部に対して1100重量部を超えるとウレア誘導体の沈降防止効果が低下する傾向があり、十分な沈降防止ができなくなる場合がある。
また、ポリウレタンフォーム中のリン酸エステル類等のその他難燃剤の添加量としては、ポリオール100重量部に対して10〜150重量部の範囲が好ましく、20〜120重量部の範囲がさらに好ましい。赤燐以外のその他難燃剤はポリウレタンフォーム中に10重量部未満では難燃助剤としての効果が小さいことがある。また150重量部を超えると圧縮強度等の物性が悪化する場合がある。
本発明では、ウレア誘導体を含むことを特徴とする。ウレア誘導体は、分子構造中にウレア基(−NHCONH−基)を1つ以上有するもので、樹脂中または溶剤中において、イソシアネートとアミノ化合物又は水とを反応させて得られる形のいわゆる尿素系レオロジーコントロール剤が使用できる。このウレア誘導体は、代表的なチキソトロピー性を示す化合物であり、溶液中で非常に細かな針状結晶を形成することが知られている。チキソトロピー性は、ウレア誘導体がポリオールに分散、作用して三次元の網目構造を形成することで発現するものと推測されている。その結果、系内の粉末状の難燃剤の沈降や凝集を防止する効果を発現するものと推測される。このような、チキソトロピー性を発現して系のレオロジー特性を制御する尿素系の添加剤を尿素系レオロジーコントロール剤と称する。またウレア構造は耐熱性が高く、ポリウレタンフォームの難燃性の低下を誘発しない為、該用途に好適に使用できる。
ウレア誘導体に用いるイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、イソトリデカノール、ヘキシルデカノール、エチルヘキサノール、ブチルテトラグリコール等のモノオール、ポリオール、モノアミン、ポリアミン等との反応により得られるイソシアネート含有プレポリマーが挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)も包含される。なかでもポリオールに分散、作用して、チキソトロピー性が発現しやすいため、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソシアネート含有プレポリマーが好ましい。これらイソシアネートは一種又は二種以上混合して使用してもよい。イソシアネート含有プレポリマーとしては、クラリアント社製Polyglycol等のポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、イソトリデカノール、ヘキシルデカノール、エチルヘキサノール、ブチルテトラグリコール等のモノオール、ポリオール、モノアミン、ポリアミン等とイソシアネートとの反応物が挙げられる。
ウレア誘導体に用いるアミノ化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキルアミン、フェニルエチルアミン、アミノエタノール等のモノアミン、エチレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、トリジンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、リジンジアミン、トリフェニルメタントリアミン、テトラメチルキシレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、リジンエステルトリアミン、1,6,11−ウンデカントリアミン、1,8−ジアミノー4−アミノメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリアミン、ビシクロヘプタントリアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ハンツマン社製JEFFAMINE D,JEFFAMINE ED等のポリオキシアルキレンポリアミン、それらとイソシアネートとの反応によるアミノ基含有プレポリマーが挙げられる。なかでも、ポリオールに分散、作用してチキソトロピー性が発現しやすいため、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ハンツマン社製JEFFAMINE DやJEFFAMINE ED等のポリオキシアルキレンポリアミン、それらとイソシアネートとの反応によるアミノ基含有プレポリマーが好ましい。これらアミノ化合物は一種又は二種以上混合して使用してもよい。
ウレア誘導体の分子量としては、特に限定されないが、分子量が100未満ではチキソトロピー性の発現が小さい場合や難燃性が悪化する場合があり、分子量が70,000を超えると溶剤への溶解性等取り扱い性が悪化する場合があるため、数平均分子量が100〜70,000程度が好ましい。本発明に用いるウレア誘導体がポリマーである場合は、上記に列挙したポリマーを主鎖とし、その主鎖のみから構成されていてもよいし、その主鎖に対して種々の置換基、例えば、燐酸基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等が導入されていてもよい。このように置換基が導入される場合は、上記の主鎖に対する置換基の導入量は特に限定されない。ウレア誘導体の構造に関しても、レオロジーコントロール剤として使用できれば、特に限定されないが、例えば、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造、星型構造等が挙げられ、貯蔵安定性の点で、ブロック構造又はくし型構造が好ましい。これらのウレア誘導体としては、例えば、低分子ウレア、脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体、未変性のウレア誘導体が挙げられる。これらウレア誘導体は、一種又は二種以上混合して使用してもよい。
脂肪酸変性ウレアとしては、分子構造中にウレア基を1つ以上有し、脂肪酸及び/又は脂肪酸との反応で得られる骨格を1つ以上有する尿素系レオロジーコントロール剤が挙げられる。脂肪酸変性に用いられる脂肪酸としては、水酸基数や2重結合数、炭素数等に限定されず、市販のいずれの脂肪酸も使用することができる。また変性構造は、ウレア誘導体の末端及び/又は分子内いずれに構造を有していても良い。特に限定されないが、例えば、脂肪酸変性ウレアとしては、
次の式:
R−O−CO−NH−R’,−NH−CO−NH−R’’,−NH−CO−NH−R’,−NH−CO−OR
(式中、RはC2n+1−及びC2m+1(C2pO)−から選ばれ、nは4〜22の整数であり、mは1〜18の整数であり、pは2〜4の整数であり、rは1〜10の整数であり、R’は
Figure 0006273889
から選ばれ、R’’は
Figure 0006273889
から選ばれる)構造を有するウレア誘導体が挙げられる。
変性ウレアとしては、ウレア基を1つ以上有する主鎖に対して共重合または置換基が導入されている化合物が挙げられる。なかでも、ポリオールに分散、作用してチキソトロピー性が発現しやすいため、複数のウレア基を有するウレアウレタン化合物が好ましく、ウレア基とウレア基との間の連結部分に変性ウレタン構造を有し、化合物の末端に連結部分の変性ウレタン構造よりも極性が強い変性ウレタン構造を有して成るウレアウレタン化合物がさらに好ましい。
高分子ウレア誘導体としては、ウレア基を1つ以上有し、GPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜70,000のウレア誘導体が挙げられる。なかでも、ポリオールに分散、作用してチキソトロピー性が発現しやすいため、ウレア基を2つ以上有し、GPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量3,000〜70,000の化合物が好ましい。特に限定するものではないが、例えば、高分子ウレア誘導体としては、
次の式:
Figure 0006273889
(式中、Tは、−C−CH−C−、−C(−CH)−、−CH−C−CH−、−(CH−、−C(−CH−CH−等のC1〜C20のアルキルやアリール、又は少なくとも1つ以上のアミド基又はウレア基又はウレタン基を有するオリゴマー構造であり、R、Rは、分岐又は非分岐の、C4〜C32のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C2〜C20のアルキニル、C3〜C20のシクロアルキル、C5〜C12のアリール又はアルキル置換アリール、C2m+1(O−C2n−等のポリオキシアルキレンモノアルキル、C2m+1(O−C2n−(O−CH(C)−CH−、Q−C−(CH−(O−C2n−(O−CH(C)−CH−C2m+1(O−C2n−(O−CH(C)−CH−(OOC−C2v−、Q−C−(CH−(O−C2n−(O−CH(C)−CH−(OOC−C2v−、C4〜C32のヒドロキシアルキル、C4〜C32のカルボキシアルキル、−C2mC(=O)R−、−C2mCOOR−、−C2mC(=O)NR−又は−C2mOC(=O)NR−ラジカルから選ばれ、ラジカルには未置換のものや置換基を有しても良く、アミノ基及び/又はカルボキシル基には、それらの塩や4級構造を有しても良い。RやRは、水素、分岐又は非分岐のC1〜C32のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C2〜C20のアルキニル、C3〜C20のシクロアルキル、C3〜C20のシクロアルケニル、C5〜C12のアリール又はアルキル置換アリール、C1〜C32のアルコキシアルキル又はC1〜C32のアシロキシアルキルから選ばれ、mは0−32であり、nは2−4であり、xは0−100であり、uは0−100であり、vは1−22であり、pは0−100であり、sは0−1であり、上記(O−C2n)の部分はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基、エチレンオキシ基とブチレンオキシ基等2種または3種以上の基であってもよく、Qは、H、C1〜C12のアルキル又は−Cから選ばれ、R、Rは、分岐又は非分岐のC4〜C22のアルキレン、C3〜C18のアルケニレン、C2〜C20のアルキニレン、C3〜C20のシクロアルキレン、C3〜C20のシクロアルケニレン、C5〜C12のアリーレン又はアリールアルキレンラジカルから選ばれ、Rは、分岐又は非分岐のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、C4〜C22のアルキレン、C3〜C18のアルケニレン、C2〜C20のアルキニレン、C3〜C20のシクロアルキレン、C3〜C20のシクロアルケニレン、C5〜C12のアリーレン又はアリールアルキレンラジカルから選ばれ、A、X、Y、Zは、−O−又は−NR10でR10がH、分岐又は非分岐の、C1〜C32のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C2〜C20のアルキニル、C3〜C20のシクロアルキル、C2〜C20のアルケニル、C5〜C12のアリール又はアリールアルキルラジカルから選ばれる。)構造を有するウレア誘導体が挙げられる。
また、本発明に用いるウレア誘導体は、単独で固体、液体のいずれの状態をとるものであってもよいが、製造工程で容易に添加することができるという観点から液状であることが好ましい。
本発明に用いるウレア誘導体としては、特に限定されないが、少量で均一分散が可能で沈降防止性能が高いことから、脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体が好ましい。特に限定されないが、例えば、ビックケミー社製BYK−410、BYK−415、BYK−420、BYK−430等の市販品が挙げられ、これらの市販品をそのまま使用できる。
ウレア誘導体のポリオール組成物中の添加量としては、0.01〜15重量部の範囲であることが好ましく、なかでも0.1〜12重量部の範囲がさらに好ましく、0.1〜10重量部の範囲が特に好ましく、0.5〜7重量部の範囲が最も好ましい。ウレア誘導体が0.01重量部未満では赤燐の沈降や凝集が発生することがあるため、十分な沈降防止効果が得られないことがあり、15重量部より多い場合にはポリオール組成物の流動性が大幅に低下し、取り扱い難くなる場合がある。
また、ポリウレタンフォーム中のウレア誘導体の添加量としては、ポリウレタンフォーム中にポリオール100重量部に対して0.001〜15重量部の範囲である。なかでも0.002〜12重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.005〜10重量部の範囲である。ポリウレタンフォーム中、ウレア誘導体が0.001重量部未満では赤燐の沈降や凝集が発生するため、難燃剤の分散不良によりポリウレタンフォームとした時の難燃性が低下し、15重量部より多いとフォーム成形時のポリオール組成物の流動性が低下し、取り扱いが困難になる。
本発明に用いるウレア誘導体は、ポリオール組成物中への分散性を向上させる目的で有機溶媒等を使用できる。特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、エチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、二硫化炭素等の硫化物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら有機溶媒は、一種又は二種以上混合して使用してもよい。
本発明に用いるポリオールとしては、ポリウレタンの製造に用いられる市販のポリオール等が挙げられる。特に限定されないが、例えば、アルキレンオキシドの開環重合等により得られるポリエーテルポリオール類、ポリエーテルポリオール中でビニルモノマーをラジカル重合して得られるポリマーポリオール類、多価アルコールと多価カルボン酸類との重縮合により得られるポリエステルポリオール類、多価アルコール類と多価カルボン酸類とアミノアルコール類との重縮合により得られるポリエステルアミドポリオール類、ラクトン類の開環重合により得られるポリラクトンポリオール類、多価アルコール類とカーボネート類との重縮合により得られるポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール及びその水素添加物類、ポリイソプレンポリオール及びその水素添加物類、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、大豆油やひまし油等の天然油系ポリオール類、ハロゲン及び/又はリン系ポリオール、フェノール系ポリオール等が挙げられる。なかでも、難燃性に優れるため、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ハロゲン及び/又はリン系ポリオール、フェノール系ポリオールが好ましい。これらポリオールは、一種又は二種以上混合して使用してもよい。
ポリエステルポリオール類としては、二塩基酸と多価アルコールより誘導される化合物が挙げられる。特に限定されないが、例えば、アジピン酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、リノシール酸、ジメチルテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートから誘導されるポリエステルポリオール等が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート系廃棄物、ジメチルテレフタレート系プロセス廃棄物、ナイロン系廃棄物、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールの廃棄物、フタル酸系ポリエステルの廃棄物より製造されたポリエステルポリオールも含む。また、ε−カプロラクトン、メチルバレロラクトン等の環状エステルの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール等も挙げられる。ポリエステルポリオールのなかでも、難燃性が高いため、芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。ポリオール中のポリエステルポリオールの割合としては、ポリオールとウレア誘導体が相互作用し、チキソトロピー性が発現しやすいため、ポリオール100重量部中、10〜100重量部であることが好ましく、なかでも20〜90重量部の範囲がさらに好ましい。
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミン、シュークロース、アミノアルコール、ジエチレングリコール等の開始剤に対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオール化合物等が挙げられる。ポリオール中のポリエーテルポリオールの割合としては、多いと難燃性が低下する場合があるため、ポリオール100重量部に対して70重量部以下が好ましい。
ハロゲン及び/又はリン系ポリオールとしては、例えば、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られる含ハロゲンポリオール、ブロモ化ペンタエリスリトール/シュークロース系ポリオール、テトラブロモフタル酸ポリエステル等のハロゲン系ポリオール、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン系ポリオール等が挙げられる。ポリオール中のハロゲン及び/又はリン系ポリオールの割合としては、多いと発泡反応性が低下する場合があるため、ポリオール100重量部に対して70重量部以下の範囲が好ましい。
フェノール系ポリオールとしては、例えば、フェノール、又はノニルフェノール、アルキルフェノール等のフェノール誘導体をホルムアルデヒドとジエタノールアミン等の2級アミンやアンモニア、1級アミン等を用いてマンニッヒ変性し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるマンニッヒ系ポリオール等が挙げられる。ポリオール中のフェノール系ポリオールの割合としては、多いと難燃性が低下する場合があるため、ポリオール100重量部に対して、70重量部以下の範囲が好ましい。
本発明に用いるポリオールとしては、ポリマー末端、分岐鎖末端等に少なくとも1個の水酸基を有していればよい。特に限定されないが、ポリウレタン原料としては、ポリウレタンフォームを成形した際に良好な成形性や強度等の物性が発現しやすいため、なかでも水酸基価1〜1000(mgKOH/g)が好ましく、さらに好ましくは10〜800(mgKOH/g)の範囲である。なお、水酸基価はJIS K1557の方法などに従って算出できる。
本発明に用いるポリオール組成物としては、その他添加剤として発泡剤、整泡剤等を含むこともできる。
発泡剤としては、市販の物理的発泡剤及び/又は化学的発泡剤等を使用できる。特に限定されないが、例えば、物理的発泡剤としては、クロロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロオレフィン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロオレフィン類、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、塩化メチレン等の低沸点のハロゲン系ハイドロカーボン類、ペンタン、シクロペンタン等のハイドロカーボン類、空気、窒素、二酸化炭素等の気体又は低温液体等が挙げられる。化学発泡剤としては、水、有機酸、硼酸等の無機酸類、アルカリ炭酸塩類、環状カーボネート類、ジアルキルカーボネートが挙げられ、また、ポリウレタン原料と反応または熱等により分解してガスを発生させるもの等が挙げられる。
なかでも、オゾン破壊係数(ODP)が小さく、温暖化係数(GWP)が小さいことから、HCFO−1233zd、そのトランス異性体、HCFO−1233xf、ジクロローフッ化プロペン等のハイドロクロロフルオロオレフィン類、HCFC−141b等のハイドロクロロフルオロカーボン類等、ODPがゼロ、小さいGWPを持つため、HFO−1234zf、E−HFO−1234ze、Z−HFO−1234ze、HFO−1234yf、E−HFO−1255ye、Z−HFO−125ye、E−HFO−1336mzz、Z−HFO−1336mzz、HFO−1438mzz等のハイドロフルオロオレフィン類、HFC−134a,HFC−245、HFC−236、HFC−356、HFC−365mfc、HFC−227ea等のハイドロフルオロカーボン類、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン等のハイドロカーボン類等、又は水が好ましい。
発泡剤の添加量としては、多いと強度が低下する場合があり、少ないと必要以上にフォーム密度が高くなり、原料使用量が増え不経済となるため、ハイドロクロロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロオレフィン類、ハイドロフルオロカーボン類の場合、ポリオール100重量部に対して75重量部以下、ハイドロカーボン類の場合30重量部以下、水の場合0.3〜15重量部の範囲が好ましい。
整泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられる市販の整泡剤等が挙げられる。特に限定されないが、例えば、整泡剤としては、界面活性剤が挙げられ、有機シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤等の有機シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。特に限定されないが、例えば、東レ・ダウコーニング社製SZ−1328、SZ−1642、SZ−1720、エボニック デグサ ジャパン社製B8481、B8443、B8465、B8486、B8466、B8450等の市販品が挙げられる。整泡剤の添加量としては、気泡構造やサイズが安定しやすいため、ポリオール100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いるポリオール組成物は、例えば、赤燐、ウレア誘導体及び必要に応じてその他の難燃剤や添加剤等をポリオールに分散し使用できるものである。
添加する順番や方法は任意であり、特に限定されないが、例えば、赤燐、ポリオール、ウレア誘導体、その他の難燃剤や添加剤の順に添加することができる。
上記ポリオール組成物の調製方法としては、ポリウレタン原料が均一に分散される様々な分散方法を挙げることができる。分散に用いる攪拌機としては、汎用攪拌機、ディスパー分散機、ディゾルバー、ニーダー等を使用できるが、本発明に使用されるウレア誘導体は分散性向上の目的で予め有機溶媒中に溶解させて使用されることが多いため、汎用撹拌機で十分に均一分散が可能である。
本発明に用いるポリオール組成物は、イソシアネートとの反応によりポリウレタンフォームを製造することができ、例えば、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等の製造に好適に用いることができる。
本発明に用いるイソシアネートとしては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物が使用できる。特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有プレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)も包含される。
本発明に用いるイソシアネートの添加量としては、少ないと強度が低下する場合があり、多いと成形性が悪化する場合があるため、ポリオール100重量部に対して70〜500重量部の範囲が好ましい。特に限定されないが、物性と成形性を両立しやすいため、ポリウレタンフォーム製品を製造する場合はポリオール100重量部に対して70〜120重量部、イソシアヌレート変性ポリウレタンフォームを製造する場合はポリオール100重量部に対して120〜500重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは、ポリウレタンフォーム製品を製造する場合はポリオール100重量部に対して80〜110重量部、イソシアヌレート変性ポリウレタンフォームを製造する場合はポリオール100重量部に対して250〜500重量部の範囲である。
本発明の難燃性ポリウレタンフォーム製造に使用される触媒としては、ポリウレタンの製造に用いられる市販の触媒等が挙げられる。特に限定されないが、例えば、3級アミン類、4級アンモニウム塩類、金属触媒等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”’,N”’−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン等のアミン化合物類、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、5−ジメチルアミノ−3−メチル−1−ペンタノール等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム有機酸塩類、ヒドロキシアルキル系4級アンモニウム有機酸塩類が挙げられ、具体的には、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムギ酸塩、テトラエチルアンモニウム酢酸塩、テトラエチルアンモニウムギ酸塩、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等が挙げられる。
金属触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンアセテート等の錫触媒、オクチル酸鉛等の鉛触媒、ネオデカン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛触媒、オクタン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス等のビスマス触媒、酢酸カリウムやオクチル酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカリウム塩等が挙げられる。
これら触媒の添加量としては、少ないと発泡遅延が発生し生産性が低下する場合があり、多いと発泡が不均一となりフォーム物性が不安定となる場合があるため、ポリオール100重量部に対して3級アミン類では0.01〜15重量部、4級アンモニウム塩類では0.05〜10重量部、金属触媒では0.05〜10重量部の範囲が好ましい。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法としては、スラブ発泡、モールド発泡、注入発泡、スプレー発泡、パネル発泡等の公知の製造方法が挙げられる。
本発明により得られるポリウレタンフォームのコア密度としては、10〜100kg/mの範囲であることが好ましい。100kg/mを超えるとコストが高く実用に耐えられない場合があり、コア密度が10kg/m未満では、強度特性等が劣るものとなる場合がある。
本発明により得られるポリウレタンフォームの酸素指数としては、難燃性が求められる用途での使用に耐えうるため、29以上が好ましい。
本発明に用いるポリウレタン原料の混合、分散の工程としては、赤燐、ウレア誘導体、ポリオール、その他の難燃剤、添加剤等、全てのポリウレタン原料を一度の操作で混合、分散することができる。また赤燐を高濃度で含有するポリオール組成物(マスターバッチ)を調製する場合等では、所望の濃度で添加して混合、分散したものを他の成分に再び混合、分散して用いることもできる。
本発明の方法により製造されるポリウレタンフォームとしては、軟質ポリウレタンフォームや半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォームが一般に用いられる種々の用途に使用できる。なかでも、難燃性等の特長が発揮されやすいため、難燃性ポリウレタンフォームが一般に用いられる用途が好ましく、特に限定されないが、例えば、建築、土木関係の断熱材や構造材、電気機器関係では、冷凍庫、冷蔵庫、冷凍ショーケース等の断熱材、プラントや船舶関係では、LPG、LNGタンカーやパイプラインの断熱材、車両関係では、保冷庫や保冷車の断熱材等の用途が挙げられる。また寝具や自動車等のシート、クッション材、吸音材、制振材、工事用床材等の用途にも使用できる。
本発明によれば、赤燐がポリオール中に混合されてから、1か月以上貯蔵される場合においても、粉末状の難燃剤の沈降が起こらず、ポリウレタンフォーム成形時の発泡反応性の低下や成形したポリウレタンフォームの難燃性の低下を抑制できるポリオール組成物を用いた難燃性ポリウレタンフォームを提供することができる。
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
<発泡評価用ポリオール組成物の調製>
ガラス瓶に所定量のポリオールと難燃剤、ウレア誘導体を加え、プライミクス社製ディスパーを用いて1500rpmで5分間撹拌し、ポリオール組成物を得た。このポリオール組成物は、室内の暗所にてフタで密閉し、貯蔵した。
<発泡評価>
所定量のポリオール組成物と触媒、水、整泡剤を発泡評価当日にプライミクス社製ディスパーを用いて1500rpmで5分間撹拌、発泡直前に水以外の発泡剤を加えて撹拌、最後にイソシアネートを加えた。室温下(20〜25℃)、40℃に加温した2Lのポリエチレン製カップにポリウレタン原料混合物を注ぎ、フリー発泡(原料液温度:20±1℃、攪拌速度:3800rpm、撹拌時間7秒間)させた。
<分析条件>
次に述べる方法にて、発泡反応性(クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイム)、フォーム成形物のコア密度、難燃性(酸素指数)を測定し、フォーム外観を評価した。
<発泡反応性の評価>
クリームタイム(CT):発泡開始時間であり、ポリウレタン原料混合物が発泡開始する時間を目視にて測定した。
ゲルタイム(GT):樹脂形成時間であり、細い棒状物を発泡フォーム中に突っ込み引き抜くときに糸引き現象が起こる時間を測定した。
ライズタイム(RT):発泡フォームの上昇が停止する98%の高さに達した時間をレーザー変位計LK−2500、LK−500(共にキーエンス社製)を用いて測定した。
<フォームのコア密度>
2Lのポリエチレン製カップ内でフリー発泡させたフォームの中心部を70mm×70mm×150mmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を測定した。
<難燃性の評価項目>
酸素指数:ポリウレタンフォームをASTMD2863−77に準じて、OXYGENINDEXER(東洋精機社製)を用いて、実施した。
<フォーム外観の評価>
得られたフォームの着色の均一性から赤燐難燃剤の分散性を目視にて評価した。
フォームの着色が均一:○
フォームの着色が不均一:×
表1、表2及び表3に記載の原料としては、それぞれ以下のものを使用した。
ポリオールA:二塩基酸として無水フタル酸、多価アルコールとしてジエチレングリコールからなるフタル酸系ポリエステルポリオール(OH価=327mgKOH/g)
ポリオールB:フェノール系ポリオール(OH価=354mgKOH/g)
難燃剤A:燐化学工業社製 赤燐(商品名:ノーバレッド 120UFA)
難燃剤B:アクゾノーベル社製 トリス(クロロプロピル)ホスフェート(商品名:FYROL PCF)
マスターバッチ組成物A:ポリオールA60部、ポリオールB40部、整泡剤A3部、難燃剤A690部、難燃剤B900部、ウレア誘導体A1.1部混合したポリオール組成物
マスターバッチ組成物B:ポリオールA60部、ポリオールB40部、整泡剤A3部、難燃剤A690部、難燃剤B900部混合したポリオール組成物
ウレア誘導体A:ビックケミー社製 脂肪酸変性ウレア(商品名:BYK−410)
ウレア誘導体B:ビックケミー社製 高分子ウレア誘導体(商品名:BYK−415)
ウレア誘導体C:ビックケミー社製 変性ウレア(商品名:BYK−420)
沈降防止剤A:東ソーシリカ社製 ゲルタイプ微粉シリカ(商品名:NIPGEL AZ−204)
沈降防止剤B:三菱化学社製 カーボンブラック(商品名:MA220、粒子径55nm、pH2.9)
沈降防止剤C:楠本化成社製 脂肪酸アミドワックス(商品名:ディスパロン A603−20X)
発泡剤A:日本ソルベイ社製 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(商品名:ソルカンHFC−365mfc)
整泡剤A:東レ・ダウコーニング社製 シリコーン系界面活性剤(商品名:SZ−1627)
触媒A:東ソー社製 4級アンモニウム触媒(商品名:TOYOCAT−TRV)
触媒B:東ソー社製 3級アミン触媒(商品名:TOYOCAT−TMF)
触媒C:東ソー社製 トリエチレンジアミン33重量%エチレングリコール溶液(商品名:TEDA−L33)
イソシアネート:日本ポリウレタン工業社製 ポリメリックMDI(商品名:MR−100、NCO含量=30.9%)
参考例1〜5の結果を表1に、実施例1〜11の結果を表2に、比較例1〜11の結果を表3に示す。
Figure 0006273889
Figure 0006273889
Figure 0006273889
参考例1〜5
表1に示す配合に従い、ウレア誘導体を用いず、ガラス瓶に所定量のポリオールと難燃剤を加え、その直後に水、触媒、整泡剤、発泡剤を混合、ポリオール組成物を得た。調製した当日に、イソシアネートを加えて発泡し、発泡反応性や難燃性等の評価を行った。
いずれも発泡の遅延等は無く、フォーム外観も均一であった。また、高い難燃性を示す事が分かった。
実施例1〜10
表2に示す配合に従い、ウレア誘導体を用いて、ポリオールと難燃剤を混合したポリオール組成物を貯蔵し、参考例と同様の評価を行った。
いずれも発泡の遅延等は無く、フォーム外観も均一であった。また、参考例と比較して同等の高い難燃性を示す事が分かった。
実施例11
高濃度の赤燐含有ポリオール組成物であるマスターバッチ組成物を用いた場合においても、ウレア誘導体を添加することにより、発泡の遅延等は無く、フォーム外観も均一であった。また、高い難燃性を示す事が分かった。
比較例1〜4
表3に示す配合に従い、ウレア誘導体や沈降防止剤を用いずポリオール組成物を調製後1か月貯蔵し、実施例と同様の評価を行った。
いずれも発泡の遅延等は無かったが、貯蔵時に発生した赤燐の固着物が良分散せずフォーム外観が不均一であり、ウレア誘導体を用いた実施例と比較して、赤燐が偏在化することで大幅に難燃性が低下する事が分かった。
比較例5〜10
ウレア誘導体の代わりに種々の沈降防止剤を用いてポリオール組成物を調製後1か月貯蔵し、実施例と同様の評価を行った。
比較例5〜7のように沈降防止剤の量が多いとフォーム外観は均一であるが難燃性が大幅に低下し、比較例8〜10のように沈降防止剤量が少ないとフォーム外観が不均一となり、難燃性が大幅に低下することが分かった。
よって、ウレア誘導体の代わりに種々の沈降防止剤を用いる場合、当該沈降防止剤の含有量を問わず難燃性が大幅に低下することが確認された。
比較例11
表3に示す配合に従い、高分子ウレア誘導体を多量に用いて、実施例と同様の評価を行ったが、プレミックスの粘度が高く短時間で増粘し、ゲル化するため、発泡が困難であった。

Claims (5)

  1. 赤燐、ウレア誘導体、ポリオール、イソシアネートを用いて得られる難燃性ポリウレタンフォームであって、該難燃性ポリウレタンフォームが、ポリオール100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲の赤燐及び0.001〜15重量部の範囲のウレア誘導体が用いられ
    前記ウレア誘導体が脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体から選択される少なくとも1種であることで得られることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
  2. ポリオール100重量部中にポリエステルポリオールを10〜100重量部の範囲で含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
  3. リン酸エステル類を含み、その含有量がポリオール100重量部に対して10〜150重量部の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
  4. イソシアネートの含有量がポリオール100重量部に対して70〜500重量部の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
  5. ポリオール、赤燐、ウレア誘導体を含有するポリオール組成物とイソシアネートを混合して、発泡成形して得ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームの製造方法。
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