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JP6271899B2 - 画像加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

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JP6271899B2 JP2013157622A JP2013157622A JP6271899B2 JP 6271899 B2 JP6271899 B2 JP 6271899B2 JP 2013157622 A JP2013157622 A JP 2013157622A JP 2013157622 A JP2013157622 A JP 2013157622A JP 6271899 B2 JP6271899 B2 JP 6271899B2
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Description

本発明は、発熱素子が紙幅方向に沿って多数並んだサーマルヘッドのような分割ヒータ系の画像加熱装置およびそれを搭載した画像形成装置に関する。
画像加熱装置としては、記録材(記録媒体:以下、用紙と記す)に形成された未定着トナー像を固着画像として定着する定着装置を挙げることができる。また、用紙に半定着又は定着済みのトナー像を再加熱することにより画像の表面光沢を調整する光沢度調整装置(画像改質装置)を挙げることができる。
画像形成装置は、例えば、電子写真画像形成方式、静電記録画像形成方式、磁気記録画像形成方式などの画像形成プロセスを用いて用紙にトナー像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ、それらの複合機能機、ワードプロセッサなどが含まれる。
用紙(記録材)は画像形成装置によってトナー像が形成されるシート状の部材であり、例えば、定型或いは不定型の普通紙、厚紙、封筒、葉書、シール、樹脂製シート、OHTシート、光沢紙等が含まれる。
画像加熱装置として、セラミックヒータやハロゲンヒータ系とは異なり、発熱素子が紙幅方向に沿って多数並んだサーマルヘッドのような分割ヒータ系の装置がある。サーマルヘッドをトナー定着に用いるものとして特許文献1が挙げられる。これは、印刷データに対応してトナーがある箇所(通紙部)の発熱素子をオンし、無い箇所(非通紙部)の発熱素子をオフするというものである。分割ヒータ系の場合、紙幅が狭い小サイズジョブのときは非通紙部に対向する発熱素子に給電する必要がない。これが分割ヒータを使用する特徴でもある。
特開平8−152807号公報
しかしながら、小サイズジョブに続いて大サイズジョブを実行する場合、小サイズ時に非通紙部となっていた領域の温度が中央に比べて低過ぎる状況になっている。従って、小サイズジョブ完了後、大サイズジョブ実行前に、上記の状況に起因する、画像不良、搬送不良、紙しわの発生を抑制するために、ここを加熱して温度分布を正常化する必要性に迫られ、そのための時間を要することになる。
また、
本発明は上記の課題に鑑みて提案されたものである。その目的とするところは、小サイズの記録材から大サイズの記録材への幅サイズ変更が行われた際にも、ダウンタイムなどによる生産性低下を招くことなく、画像不良搬送不良、紙しわが発生しない画像加熱処理を継続することを可能にすることにある。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、加熱回転体と、前記加熱回転体との間で画像を担持した記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成する加圧回転体と、前記加熱回転体を加熱する加熱体であって、前記加熱回転体の長手方向に沿って並んで配設されており個々に電力投入されて発熱する複数の発熱体を有する加熱体と、装置の立ち上げの際に前記複数の発熱体の全てに対する通電を開始し、装置に導入可能な最大幅サイズの記録材よりも幅が小さい記録材を連続して導入して加熱する際に、前記加熱回転体の記録材通過部に対応している部分の温度が所定の画像定着温度に保持されるように前記記録材通過部に対応している発熱体に投入する電力量を制御する共に、前記加圧回転体の記録材非通過部に対応している部分の温度と当該加圧回転体の記録材通過部に対応している部分の温度との差が±20℃の範囲に保持されるように前記記録材非通過部に対応している発熱体に投入する電力量を制御し、所定の設定枚数分の記録材の導入と加熱処理が終了したら前記複数の発熱体の全てに対する通電を停止させて装置をスタンバイ状態に保持する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明では、小サイズの記録材小サイズジョブ中に、本来なら、加熱の必要のない記録材非通過部に関しても所定に加熱しておく。これにより、小サイズの記録材から大サイズ記録材への紙幅変更が行われた際にも、ダウンタイムなどによる生産性低下を招くことなく、画像不良搬送不良、紙しわが発生しない画像加熱処理を継続することが可能となる。
参考例における定着装置の要部の拡大横断右側面模式図と制御系統のブロック図である。 (a)は定着装置の要部の途中部分省略の正面模式図、(b)はベルトの層構成を示す模式図である。 参考例における画像形成装置の構成略図である。 (a)はヒータの拡大横断面模式図、(b)はヒータ基板の一方面側(表面側)に具備させた発熱体とその発熱体に対する給電路の形成パータンを示した模式図である。 ヒータ基板の他方面側(表面側)の平面模式図である。 加熱時間とベルト温度の関係を示すグラフである。 参考例における制御における経過時間とベルト温度の関係を示すグラフである。 参考例における定着装置の制御フローチャート(その1)である。 参考例における定着装置の制御フローチャート(その2)である。 実施例1における実験において、定着装置のヒータに対して電力の投入開始からの経過時間と加圧ローラの温度の関係を示すグラフである。 加圧ローラの通紙部と非通紙部の熱膨張の形態を説明する模式図である。 実施例1における定着装置の制御フローチャート(その1)である。 実施例1における定着装置の制御フローチャート(その2)である。 実施例1における定着装置の制御フローチャート(その3)である。 実施例2の定着装置の構成説明図である。
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、実施例は、本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明は実施例にのみ限定されるものではなく本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
《参考例》
[画像形成部]
図3は画像加熱装置を、未定着画像を加熱加圧定着する定着装置として搭載した画像形成装置の一例の構成略図である。この画像形成装置1は、ホスト装置23(図1)から制御部(制御回路部)24に入力する画像情報に対応したトナー像を電子写真技術を用いてシート状の記録材(記録媒体:以下、用紙と記す)Pに形成することができるカラープリンタである。
2は画像形成部であり、用紙Pに画像を形成するための4つの画像形成ステーション3Y、3M、3C、3Kを有する。用紙Pは、給紙カセット19または20、もしくは手差しトレイ(マルチ給紙トレイ)21から給送されて、レジストローラ対22aを含む搬送機構22により搬送される。
各画像形成ステーションは、像担持体としての回転ドラム型の感光体4、帯電部材5、レーザスキャナ6、現像器7、一次帯電ブレード8、感光体クリーナ9を有する。画像形成ステーション3Y、3M、3C、3Kは、それぞれ、イエロ(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(K)色のトナー像を形成する。
更に、画像形成部2は中間転写ユニット10を有し、画像形成ステーション3Y、3M、3C、3Kから中間転写ベルト11に各色トナー像が重畳されて一次転写された合成トナー像を二次転写ローラ12により用紙Pに対して一括二次転写する。レジストローラ対22aは、用紙Pの先端部を一旦受け止めて、用紙Pが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、中間転写ベルト11上のトナー像と同期を取って、用紙Pを中間転写ベルト11と二次転写ローラ12との間に送り込む。以上の画像形成部2の動作やカラー画像形成プロセスは周知であるので詳細な説明は割愛する。
画像形成部2で未定着のトナー像が二次転写された用紙Pは定着装置40に送られ、トナー像が固着像として加熱加圧定着される。定着装置40を出た用紙Pは予めのモード選択に応じてフラッパ13により第1経路14側または第2経路15側に進路切り替えされる。第1経路14に導入された用紙Pは装置上面側のフェイスダウントレイ16に排出される。第2経路15に導入された用紙Pは装置側面側のフェイスアップトレイ17に排出される。
両面画像形成モードの場合は定着装置40を出た第1面画像形成済みの用紙Pは一旦第1経路14に導入されてからスイッチバック搬送されて第3の経路18に導入される。そして、再び搬送機構22を経由して画像形成部2に対して表裏反転された状態で再搬送される。
[定着装置]
(1)装置構成の概略説明
図1は本参考例における定着装置40の要部の拡大横断右側面模式図と制御系統のブロック図である。図2の(a)は定着装置40の要部の途中部分省略の正面模式図である。
ここで、定着装置40若しくはその構成部材に関して、正面側とは定着装置40を用紙入口側から見た面、背面側とはその反対側の面(用紙出口側)である。左右とは定着装置40を正面側から見て左(一端側)または右(他端側)である。本参考例の定着装置40においては、右側を駆動側、左側を非駆動側としている。
また、上流側と下流側は用紙搬送方向Xに関して上流側と下流側である。長手方向(幅方向)や用紙幅方向とは、用紙搬送路面において、用紙Pの搬送方向Xに直交する方向に実質平行な方向である。短手方向とは用紙搬送路面において、用紙Pの搬送方向Xに実質平行な方向である。
この定着装置40はベルト(フィルム)加熱方式、テンションレスタイプのオンデマンド定着装置であり、左右方向を長手とする横長の装置である。定着装置40は、大別して、加熱回転体としての可撓性を有する無端状のベルト(フィルム)43を含むベルトユニット41と、加圧回転体としての耐熱性で弾性を有する加圧ローラ(弾性ローラ)42と、を有する。
ベルトユニット41は、無端状のベルト43、加熱体(加熱源)としてのヒータ44、ヒータ44を固定して保持する保持部材としてのヒータホルダ45、加圧ステイ46、左右両端部側の端末部材(定着フランジ)47(L、R)などの組立て体である。
ベルト43は用紙Pに熱を伝達する部材であり、左右方向に長い、全体的に可撓性を有する円筒状(筒状、エンドレス)の部材である。図2の(b)は本参考例におけるベルト43の層構成を示す模式図である。このベルト43は、円筒状の基材層43aと、その基材層43aの外周面に形成された弾性層43bと、その弾性層43bの外周面に形成された表層としての離型層43cと、基材層43aの内周面に形成された内面コート層43dと、の4層複合構造である。
基材層43aは、クイックスタート性を向上させるために、厚さとして100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性材料を使用できる。例えば、SUS、ニッケルなどの金属ベルトを使用できる。本参考例では、厚さが30μm、直径が25mmの円筒状のニッケル金属ベルトを用いた。
弾性層43bは、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、厚さとしては1000μm以下、好ましくは500μm以下のゴム材料を使用できる。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。本参考例では、ゴム硬度10度(JIS−A)、熱伝導率1.3W/m・K、厚さ300μmのシリコーンゴムを用いた。
離型層43cは厚さ100μm以下、好ましくは20〜70μmのフッ素樹脂材料を使用できる。たとえば、例えばフッ素樹脂層としては、例えばPTFE、FEP、PFAなどが挙げられる。本参考例では、厚さ30μmのPFAチューブを用いた。
内面コート層43dは、ヒータ44と接するため耐熱性を持つ樹脂層を使用できる。例えば、エンジニアリングプラスティックなどが挙げられる。具体的には、ポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、ポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が挙げられる。また、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)、四フッ化エチレン/パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)などが挙げられる。本参考例ではポリイミドを用い、発色層を形成した後に、ワニス状態の原材料溶液を基材に塗布して焼成することで10μmのポリイミド内面層を形成した。
ヒータ44、ヒータホルダ45、加圧ステイ46は何れも左右方向に長い部材である。ベルト43は、ヒータ44を固定して保持させたヒータホルダ45と加圧ステイ46との組立体にルーズに外嵌されている。端末部材47(L、R)はベルト43の一端側と他端側において加圧ステイ46の一端部と他端部に対して装着されている。
ヒータ44は本参考例においてはセラミックヒータである。このヒータ44は、細長薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備させた通電を受けて発熱する発熱体(通電発熱抵抗体層)と、を基本構成とするもので、発熱体に対する通電により急峻な立ち上がり特性で昇温する低熱容量のヒータである。このヒータ44のより具体的な構造については(3)項で詳述する。
ヒータホルダ45は耐熱樹脂製の成形品であり、外面中央部に長手に沿ってヒータ嵌め込み溝が形成されている。ヒータ44はその溝に嵌め込まれて固定して保持されている。ヒータホルダ45はヒータ44を保持すると共にヒータホルダ45と加圧ステイ46に外嵌されているベルト43の回転ガイド部材(バックアップ部材)として機能する。
加圧ステイ46は剛性を有する部材であり、樹脂製のヒータホルダ45の裏面側に押し当てることでヒータホルダ45に長手強度を持たせ、かつヒータホルダ45を矯正させるための部材である。本参考例においては加圧ステイ46は横断面下向きU字型またはコの字型の金属型材である。
端末部材47(L、R)は、それぞれ、左右対称形状の耐熱樹脂性の成形品であり、ベルト43の回転時のヒータホルダ長手に沿う移動(スラスト移動)の規制およびベルト端部の内周面をガイドしてベルト周方向の形状を規制する役目をする。
即ち、端末部材47(L、R)は、ベルト43のスラスト移動を規制する第一規制部としての、ベルト端面を受け止めるための鍔座部47aを有する。また、ベルト端部に内嵌してベルト端部内面をガイドする第二規制部としての内面ガイド部47bを有する。内面ガイド部47bは、ベルト43が駆動回転体としての加圧ローラ42の回転に従動して回転する際に横断面形状がほぼ楕円形状になるそのほぼ楕円形状をベルト43が維持するようにベルト端部内面をガイドする。
加圧ローラ42は、SUSや鉄等の芯金(ローラ基体:パイプ材)42aと、その芯金周りに同心一体にローラ状に成形した弾性材層42bと、さらにその外周面を被覆した離型層(表層)42cと、を有する複合層構成の弾性ローラである。弾性材層42bは例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム、あるいはシリコーンゴムの発泡体である。
本参考例の加圧ローラ42は、外径20mmのSUSのローラ状の芯金42a上に、厚さ5mm、体積膨張率は1.05×10−3−1のシリコーンゴム層42bを設けることで、外径30mmになっている。加圧ローラ42は左右両端部側の回転中心軸部42dが、それぞれ、定着装置枠体(フレーム)の左右の側板48(L、R)間に軸受部材(ベアリング)49(L、R)を介して回転可能に保持されて配設されている。
駆動側である右側の軸部42dにはドライブギアGが同心一体に配設されている。このギアGに対して制御部24により制御される駆動手段(モータ)Mの駆動力が動力伝達機構(不図示)を介して伝達される。これにより、加圧ローラ42は駆動回転体として図1において矢印R42の反時計方向に所定の周速度にて回転駆動される。
一方、ベルトユニット41は、ヒータホルダ45のヒータ配設部側を下向きにして、加圧ローラ42の上側に加圧ローラ42に対して実質平行に配列して、左右の側板48(L、R)間に配設されている。より詳しくは、ベルトユニット41の左右の端末部材47(L、R)にそれぞれ設けられている縦方向のガイド溝部47dが左右の側板48(L、R)にそれぞれ設けられた縦方向のガイドスリット48aに係合している。
これにより、左右の端末部材47(L、R)は、それぞれ、左右の側板48(L、R)に対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。即ち、ベルトユニット41が左右の側板48(L、R)に対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。ベルトユニット41のヒータホルダ45のヒータ配設部がベルト43を介して加圧ローラ42に対向している。
そして、左右の端末部材47(L、R)の受圧部47cがそれぞれ左右の加圧機構50(L、R)により所定の押圧力で加圧される。即ち、ベルトユニット41が加圧ローラ42に対して所定の押圧力で加圧される。これにより、ヒータホルダ45のヒータ配設部と加圧ローラ42とがベルト43を挟んで弾性材層42bの弾性に抗して相互当接して押圧され、ベルト43と加圧ローラ42との間に短手方向において所定幅のニップ部Nが形成される。
左右の加圧機構50(L、R)は例えば加圧バネや加圧カムなどを有する機構である。ヒータ44はヒータホルダ45のニップ部Nに対応する部位にヒータホルダ長手方向に位置している。本参考例の定着装置40において、ヒータ44とヒータホルダ45がベルト43の内面と接触するニップ形成部材である。そして、加圧ローラ42がベルト43を介してニップ形成部材44・45と共にニップ部Nを形成する。このように、ベルト43の内側にヒータ44を有し、ヒータ44と加圧ローラ42とがベルト43を挟んで圧接してニップ部Nが形成されている。
(2)定着動作
定着装置40の定着動作は次のとおりである。制御部24は、所定の制御タイミングで駆動手段Mを起動する。この駆動手段Mから回転駆動伝達系(不図示)を介して加圧ローラ42に回転駆動力が伝達される。これにより、加圧ローラ42が矢印R42の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
加圧ローラ42が回転駆動されることで、ニップ部Nにおいてベルト43に加圧ローラ42との摩擦力で回転トルクが作用する。これにより、ベルト43が、その内面がヒータ44の表面に密着して摺動しながら、ヒータホルダ45と加圧ステイ46の外回りを加圧ローラ42の速度とほぼ対応した速度で矢印R43の時計方向に従動回転する。ベルト43の内面には半固形状潤滑剤が塗工されており、ニップ部Nにおけるヒータ44およびヒータホルダ45の外面とベルト43の内面との摺動性を確保している。
このように、加圧ローラ42はベルト43を駆動するとともにベルト43と協働してニップ部Nを形成する駆動回転体である。
また、制御部24は電力供給部(電源部)25からヒータ44に対する通電を開始する。電力供給部25からヒータ44への電力供給は、ベルトユニット41の左右部に装着されている一端側と他端側の電気コネクタ51(L、R)を介してなされる。この通電によりヒータ44は急速に昇温する。その昇温が、ヒータ44の裏面側(上面)に設けられたサーミスタTH(1〜5)によって検知される。サーミスタTHはA/Dコンバータ26を介して制御部24に接続されている。ベルト43はヒータ44が通電により発熱することでニップ部Nにおいて加熱される。
制御部24はサーミスタTHからの出力を所定の周期でサンプリングしており、このように得られた温度情報を温度制御に反映させる構成となっている。つまり、制御部24はサーミスタTHの出力をもとにヒータ44の温調制御内容を決定し、電力供給部25によって、ヒータ44の通紙部に対応する部分の温度が目標温度(所定の設定温度)となるようにヒータ44への通電を制御する。
上記の定着装置40の制御状態において、画像形成部2側から未定着トナー像を担持した用紙Pが定着装置40側に搬送され、ニップ部Nに導入される。用紙Pはニップ部Nで挟持搬送される過程でヒータ44の熱がベルト43を介して付与される。未定着トナー像はヒータ44の熱とニップ部Nの圧力によって用紙Pの面に固着像として溶融定着される。ニップ部Nを出た用紙Pはベルト43から曲率分離して定着装置40から排出搬送されていく。制御部40は、プリント動作が終了すると定着動作終了の指示により、電力供給部25からヒータ44への給電を停止させ、また、駆動手段Mを停止させる。
図2の(a)において、Aはヒータ44の最大発熱領域幅である。Bは定着装置40に通紙可能な用紙Pの最大通紙幅であり、ヒータ44の最大発熱領域幅Aと同じ幅或いは少し小さい幅である。ベルト43と加圧ローラ42とで形成されるニップ部Nの全長域(=加圧ローラ42の長さ)はヒータ44の最大発熱領域幅Aよりも少し大きい幅である。
本参考例の定着装置40においては、用紙Pの搬送は、用紙幅中心のいわゆる中央基準搬送でなされる。即ち、装置に通紙使用可能な大小いかなる幅サイズの用紙Pも、用紙Pの幅方向中央部がベルト43の長手方向中央部(ヒータ44の最大発熱領域幅Aの中央部)を通過することになる。
(3)ヒータ
図4の(a)はヒータ44の拡大横断面模式図、(b)はヒータ基板44aの一方面側(表面側)に具備させた発熱体44b(1〜5)とその発熱体に対する給電路44cの形成パータンを示した模式図である。
このヒータ44はセラミックヒータである。ヒータ44は、細長い薄板状のヒータ基板44aと、そのヒータ基板44aの一方面側に長手に沿って形成されている発熱体44b(1〜5)およびその発熱体44bに対する給電路44cと、その上に形成されている表面保護層44dと、を有する。また、ヒータ基板44aの他方面側(裏面側)に配設されているヒータ温度検知部材(接触式温度計)としてのサーミスタTH(1〜5)を有する。
本参考例において、ヒータ44は表面保護層44d側がニップ部Nにおいてベルト43の内面に対向する側であり、表面保護層44d側を外側にしてヒータホルダ45の溝部に嵌め込まれてヒータホルダ45に保持されている。
ヒータ基板44aは例えばアルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミックス材料である。発熱体44bは例えばAg/Pd(銀パラジウム)、TaN、RuO等の通電発熱抵抗体材料をスクリーン印刷等でパターン形成して焼成した層(発熱抵抗体層)である。給電路44cは例えばAgペースト等の導電性材料をスクリーン印刷等でパターン形成して焼成した層(導電層)である。表面保護層44dは例えば耐熱ガラス等の耐熱性・電気絶縁性材料をスクリーン印刷等でパターン形成して焼成した層(電気絶縁層)である。
発熱体44bは、ベルト43の長手方向に沿って並んで配設されており個々に電力投入されて発熱する複数の発熱体(発熱素子:以下、個別発熱体と記す)44b−1、44b−2、44b−3、44b−4、44b−5の集合(列)で構成されている。本参考例においては、図4の(b)のように、発熱体44bは長手方向の一端側から他端側にかけて第1から第5の5つの個別発熱体44b−1、44b−2、44b−3、44b−4、44b−5の集合で構成されている。
隣接する個別発熱体は幅1mm程度の絶縁隙間αを介して離間させてある。各絶縁隙間αは用紙Pの搬送方向Xに対して斜めに形成して、用紙搬送方向Xにおいて各個別発熱体間の発熱領域をオーバーラップさせてある。これにより、用紙搬送方向Xにおいて各発熱体間の発熱領域の連続性を確保している。
本参考例において、第1〜第5の個別発熱体44b−1、44b−2、44b−3、44b−4、44b−5の長手方向の発熱幅は表1に示すとおりである。なお、各個別発熱体の発熱幅は、各個別発熱体の短手方向中央部における長手方向寸法としている。
発熱体44bに対する給電路44cは、各個別発熱体に対してそれぞれ独立に通電と供給電力を制御して、各個別発熱体の発熱領域の全長域をそれぞれ所定の制御電力にて発熱させることができるような電路パターンとしてある。本参考例においては、制御部24により電力供給部25が制御されて、ヒータ44の一端部側の共通電極44c−6と、他端部側の個別電極44c−1〜44c−5との間において独立して給電と供給電力量の制御がなされる。
共通電極44c−6と電力供給部25との電気的接続はリード線25aと一端側の電気コネクタ51Lを介してなされる。また、各個別電極44c−1〜44c−5と電力供給部25との電気的接続はリード線25aと他端側の電気コネクタ51Lを介してなされる。
具体的には、共通電極44c−6と第1の個別電極44c−1との間に電力供給がされることで、第1の個別発熱体44b−1の発熱領域の全長域が供給電力量に対応した発熱量にて発熱する。共通電極44c−6と第2の個別電極44c−2との間に電力供給がされることで、第2の個別発熱体44b−2の発熱領域の全長域が供給電力量に対応した発熱量にて発熱する。共通電極44c−6と第3の個別電極44c−3との間に電力供給がされることで、第3の個別発熱体44b−3の発熱領域の全長域が供給電力量に対応した発熱量にて発熱する。
また、共通電極44c−6と第4の個別電極44c−4との間に電力供給がされることで、第4の個別発熱体44b−4の発熱領域の全長域が供給電力量に対応した発熱量にて発熱する。共通電極44c−6と第5の個別電極44c−5との間に電力供給がされることで、第5の個別発熱体44b−5の発熱領域の全長域が供給電力量に対応した発熱量にて発熱する。
図4の(b)において、Sは用紙Pの中央通紙基準線(仮想線)である。この中央通紙基準線Sは第3の個別発熱体44b−3の発熱幅のほぼ中央部に対応している。この第3の個別発熱体44b−3の発熱領域の発熱幅はA5サイズ用紙の縦送り幅(A5縦サイズ(A5R):146mm)にほぼ対応している。
第2、第3、第4の3つの個別発熱体44b−2、44b−3、44b−4の発熱領域を合わせた発熱幅はA4サイズ用紙の縦送り幅(A4縦サイズ(A4R):210mm)にほぼ対応している。そして、第1〜第5の5つの個別発熱体44b−1〜44b−5の発熱領域を合わせた発熱幅はA4サイズ用紙の横送り幅(A4横サイズ:297mm)にほぼ対応している。
本参考例では定着装置40に通紙可能(導入可能)な用紙Pの最大幅サイズ(最大通紙幅)がA4横サイズである。そして、第1〜第5の5つの各個別発熱体44b−1〜44b−5の各発熱領域を合わせた全体の発熱幅がヒータ44の最大発熱領域幅Aであり、最大幅サイズの用紙の幅サイズであるA4横サイズにほぼ対応している。
本参考例では、後述するように、定着装置40に通紙される用紙Pの大小の幅サイズに応じて通紙部(記録材通過部)に対応する個別発熱体と非通紙部(記録材非通過部)に対応する個別発熱体とに対する給電と供給電力量を選択的に切り替える制御構成である。
サーミスタTHは、図5のように、ヒータ基板44aの他方面側において、上記の第1〜第5の5つの個別発熱体44b−1〜44b−5にそれぞれ対応する位置にヒータ基板44aに接触させて第1〜第5の合計5つ(TH1〜TH5)が配設されている。
第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5は、それぞれ、ヒータ44の第1〜第5の個別発熱体44b−1〜44b−5に対応する部分の温度を検知してその温度検知情報(検出結果)を制御部24の温度制御手段部(温度制御機能部)にフィードバックする。制御部24は各サーミスタTH1〜TH5の温度検知情報に基づいて対応する個別発熱体が存在しているヒータ部分ごとにそれぞれ目標温度となるように各個別発熱体に対する投入電力を制御する。
(4)ベルト温度と立ち上がり時間の関係
次に、ベルト43の温度と、目標温度到達までの時間の関係について実験を行った。本実験では、図1、2、4に示されるような定着装置40を用いた。動作条件としては、ベルト回転速度を248mm/s、加圧力を総圧で314N(32kgf)、ヒータ44への投入電力を、全ての個別発熱体44b−1〜44b−5の5つを合わせて800Wとした。また、到達目標温度をサーミスタTH1〜TH5の検知するヒータ温度(ベルト裏面温度:以下、ベルト温度と記す)において180℃(所定の第1の温度)とした。本参考例においてベルト温度180℃は画像定着温度である。
図6に、本実験における電力の投入開始からの経過時間とベルト温度の関係を示す。このように、ベルト温度が100℃の場合では、目標温度(180℃)まで5秒で到達し、130℃の場合は3秒で到達することが確認された。
(5)端部の補助加熱状態と定着後の画像グロスの関係
次に、端部の補助加熱状態と定着後の画像グロスの関係について実験を行った。ここで、端部とは、ヒータ44の最大発熱領域幅Aにおいて、最大通紙幅Bの用紙(最大サイズ用紙)よりも幅が小さい用紙(小サイズ用紙)を通紙したときの非通紙部に対応するヒータ部分もしくはベルト部分である。用紙の搬送が中央基準搬送でなされる場合は、小サイズ用紙の通紙部の両側部にそれぞれ(最大通紙幅B−小サイズ用紙通紙幅)/2の幅の非通紙部が生じる。用紙が最大サイズ用紙の場合はヒータ44には非通紙部は生じない。
また、端部の補助加熱とは次のとおりである。即ち、小サイズ用紙の通紙において通紙部に対応する個別発熱体に電力供給して通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度を所定の目標温度に加熱する。そして、非通紙部に対応する個別発熱体にも所定に電力を投入する制御をして非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)も所定の温度(前記第1の温度よりも低い所定の第2の温度)に加熱することである。
定着後の画像グロスとは、小サイズ用紙の通紙後にそれよりも幅が大きい大サイズ用紙の通紙をしたときに、大サイズ用紙において先の小サイズ用紙の通紙部に対応している定着画像部分と非通紙部に対応している定着画像部分との画像グロス状態である。
本実験では、図1、2、4に示されるような定着装置40を用いた。動作条件としては、ベルト回転速度を248mm/s、加圧力を総圧で314N(32kgf)、ベルト43の目標温度を180℃とした。
次に、ヒータ44の通電状態について説明する。本実験では、まず目標温度の180℃までは、第1〜第5の全ての個別発熱体44b−1〜44b−5に電力を合計で800W印加し、ベルト43の加熱を行った。即ち、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域(ベルト43の最大通紙幅対応領域)を180℃まで昇温させた。
その後、小サイズ用紙である148mm幅の用紙(A5縦サイズ)を用いてプリント動作する際には、その用紙の通紙部に位置する第3の発熱体44b−3に400Wの電力を印加する。そして、この第3の発熱体44b−3の発熱幅に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度を180℃で温調する。
一方、その用紙の非通紙部に対応している第1、第2、第4、第5の発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する電力投入は次の3つのケースにしてそれぞれのケースの場合における定着後の画像グロスを調べた。
ケース1:非通紙部に対応している個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する電力投入をそれぞれ0Wとした場合(電力を投入しない場合)である。
ケース2:非通紙部に対応している発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する電力投入をそれぞれ25Wとした場合である。
ケース3:非通紙部に対応している発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する電力投入をそれぞれ50Wとした場合である。
評価方法は、以下に記す通りである。まず、小サイズ用紙としてCS−680(日本製紙(株)社製)のA5サイズ紙(148mm×210mm)を長手方向が148mm(A5縦サイズ)となるような方向で連続して50枚通紙した。その後、大サイズ用紙として、未定着トナーを1.2mg/cmを載せたCS−680(日本製紙(株)社製)のA4サイズ用紙(210mm×297mm)を長手方向が297mm(A4横サイズ)となるような方向で通紙した。
得られた定着処理後の画像の60グロスをハンディ型光沢度計(日本電色工業(株)社製)を用いて計測し、用紙幅方向の中央部と端部のグロス値が同程度になるまでに必要な端部の加熱時間を比較した。その結果を示すと表2の通りとなる。なお、用紙幅方向の中央部と端部とは大サイズ用紙において先の小サイズ用紙の通紙部に対応している部分と非通紙部に対応している部分である。
図7に、端部(非通紙部)の加熱条件と目標温度到達後のベルト43の温度推移を示したグラフである。中央部(先の小サイズ用紙の通紙部に対応しているベルト部分)は180℃で一定であり、非通紙部はその非通紙部に対応する個別発熱体への印加電力によって、一定となる温度が異なった。
非通紙部の個別発熱体への電力印加を行わない場合、ベルト端部の温度は室温である25℃まで低下していき、25W電力印加した場合は100℃、50W電力印加した場合は130℃で一定となった。これら一定となる温度が異なるため、電力印加が無しの場合は次にその非通紙部を目標温度180℃まで昇温する為に必要な時間は10秒となり、25W、50W印加して補助加熱した場合はそれぞれ5秒、3秒となる。即ち、非通紙部を補助加熱した場合は、次に、その非通紙部を目標温度まで昇温させるための必要時間が短縮していることが確認できた。
用紙のサイズ切り替え時における生産性の観点から、必要時間は3秒程度が望ましい。従って、非通紙部の個別発熱体へ50Wの電力を投入することで、サイズ切り替え時の目標となる必要時間となることが確認できた。
(6)用紙のサイズ切り替えと補助加熱制御
図8(A)と図8(B)は本参考例における、用紙のサイズ切り替えと補助加熱制御を含む定着装置動作制御のフローチャートである。以下、ステップ毎に説明する。この定着装置動作制御は制御部24が実行する。
S100:画像形成開始信号に基づいて画像形成部2の画像形成動作が開始される。
S101:定着装置40については、所定の制御タイミングで、加圧ローラ42の回転駆動が開始される。また、第1〜第5の全ての個別発熱体44b−1〜44b−5に対する通電が開始されて(長手全域ヒータON)、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域が180℃(第1の温度)まで昇温される。
本参考例においては、長手中央部の第3の個別発熱体44b−3には400Wの電力が印加される。その他の第1、第2、第4、第5の個別発熱体43b−1、43b−2、43b−4、43b−5にはそれぞれ100Wの電力が印加される。そして、各個別発熱体に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度がそれぞれ180℃に昇温して温調されるように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を含む温調系統により各個別発熱体に対する供給電力が個々に制御される。
S102:使用される用紙のサイズ検知がなされる。用紙のサイズ検知は、例えば、ホスト装置23から制御部24に使用される用紙情報が入力することでなされる。あるいは、画像形成装置1の操作部27から制御部24に使用者が選択指定した用紙情報が入力することでなされる。あるいは、給紙部から給紙された用紙サイズを自動検知する手段(不図示)から制御部24に検知サイズ情報が入力することでなされる。
本参考例においては、便宜上、装置にサイズ切り換えされて使用される用紙の幅は、A5縦サイズ(幅148mm)、A4縦サイズ(210mm)、A4横サイズ(297mm)の3種としている。A4横サイズが大サイズ用紙幅、A5縦サイズとA4縦サイズがそれぞれ4横サイズの大サイズ用紙幅に対して小サイズ用紙幅である。
使用される用紙サイズがA5縦サイズの場合はステップS103へ移行する。それ以外の幅サイズの用紙の場合は図8(B)のフローチャートへ移行する
S103:用紙サイズがA5縦サイズの場合は、その用紙の通紙部に対応している第3の個別発熱体層44b−3に400Wの電力が印加されて通紙部のベルト温度が目標温度180℃に維持されるように温調される。
非通紙部に対応している第1、第2、第4、第5の個別発熱体層44b−1、44b−2、44b−4、44b−5にはそれぞれ50Wの電力が印加されるように電力制御が行なされて非通紙部に対応しているベルト部分が補助加熱される。
S104:この定着装置40の制御状態においてA5縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S105:画像形成装置の可動途中での用紙のサイズ切り替えが監視されている。
S106:用紙サイズが引き続きA5縦サイズであればステップS108へ移行する。用紙サイズがA4縦サイズに切り替えられた場合にはステップS207へ移行する。用紙サイズがA4横サイズに切り替えられた場合にはステップS307へ移行する。
S108:用紙サイズが引き続きA5縦サイズであればその用紙の通紙と定着処理が継続される。
S109:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S110:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S207:ステップS106でA4縦にサイズ切り替えされた場合には、その用紙の通紙部に対応している第2、第3、第4の個別発熱体層44b−2、44b−3、44b−4に対して所定の電力が印加される。そして、通紙部のベルト温度が目標温度180℃に維持されるように温調される。本参考例においては第3の個別発熱体層44b−3には400Wの電力が印加され、第2と第4の個別発熱体層44b−2、44b−4にはそれぞれ100Wの電力が印加される。
非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体層44b−1、44b−5にはそれぞれ50Wの電力が印加されるように電力制御が行なされて非通紙部に対応するベルト部分が補助加熱される。
S208:この定着装置40の制御状態において用紙の通紙と定着処理が開始される。
S209:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S210:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S307:ステップS106でA4横サイズにサイズ切り替えされた場合には、この用紙は最大通紙幅Bの用紙であるから、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域が180℃まで昇温されて温調される。本参考例においては、長手中央部の第3の個別発熱体44b−3には400Wの電力が印加される。その他の第1、第2、第4、第5の個別発熱体43b−1、43b−2、43b−4、43b−5にはそれぞれ100Wの電力が印加される。
そして、各個別発熱体に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度がそれぞれ180℃に昇温して温調されるように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を含む温調系統により各個別発熱体に対する供給電力が個々に制御される。
S308:この定着装置40の制御状態において用紙の通紙と定着処理が開始される。
S309:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S310:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S102:図8(B)を参照して、図8(A)のステップS102において用紙サイズがA4縦サイズの場合はステップS403へ移行する。また、A4横サイズの場合はステップS608へ移行する。
S403:A4縦サイズの場合はその用紙の通紙部に対応している第2、第3、第4の個別発熱体層44b−2、44b−3、44b−4に対して所定の電力が印加されて通紙部のベルト温度が目標温度180℃に維持されるように温調される。本参考例においては第3の個別発熱体層44b−3には400Wの電力が印加され、第2と第4の個別発熱体層44b−2、44b−4にはそれぞれ100Wの電力が印加される。
非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体層44b−1、44b−5にはそれぞれ50Wの電力が印加されるように電力制御が行なされて非通紙部のベルト部分が補助加熱される。
S404:この定着装置40の制御状態においてA4縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S405:画像形成装置の可動途中での用紙のサイズ切り替えが監視されている。
S406:用紙サイズが引き続きA4縦サイズであればステップS408へ移行する。用紙サイズがA4横サイズに切り替えられた場合にはステップS507へ移行する。
S408:用紙サイズが引き続きA4縦サイズであればその用紙の通紙と定着処理が継続される。
S409:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S410:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S507:ステップS106でA4横サイズにサイズ切り替えされた場合には、この用紙は最大通紙幅Bの用紙であるから、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域が180℃まで昇温されて温調される。本参考例においては、長手中央部の第3の個別発熱体44b−3には400Wの電力が印加される。その他の第1、第2、第4、第5の個別発熱体43b−1、43b−2、43b−4、43b−5にはそれぞれ100Wの電力が印加される。
そして、各個別発熱体に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度がそれぞれ180℃に昇温して温調されるように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を含む温調系統により各個別発熱体に対する供給電力が個々に制御される。
S508:この定着装置40の制御状態において用紙の通紙と定着処理が開始される。
S509:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S510:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S608:図8(A)のステップS102において用紙サイズがA4横サイズの場合にはステップS101の定着装置40の制御状態においてA4横サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S609:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S610:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
図8(A)、図8(B)に示されるように定着装置40を制御した場合の用紙のサイズ切り替え時の必要時間をまとめると、表3の通りとなる。
このように、本参考例の制御を用いることによって、用紙のサイズ切り替えに対する必要時間が3秒となることが確認できた。
(7)比較例との比較
次に、本参考例と比較例との比較を行った。動作条件としては、ベルト回転速度を248mm/s、加圧力を総圧で314N(32kgf)、ベルトの目標温度を180℃とした。
評価方法としては、小サイズ用紙として、CS−680(日本製紙(株)社製)のA5サイズ用紙(148mm×210mm)を長手方向が148mm(A5縦サイズ)となるような方向で50枚通紙した。その後、大サイズ用紙として、未定着トナーを1.2mg/cmを載せたCS−680(日本製紙(株)社製)のA4サイズ用紙(210mm×297mm)を長手方向が297mm(A4横サイズ)となるような方向で通紙した。
評価としては、ハンディ型光沢度計(日本電色工業(株)社製)を用いて60グロスを計測し、用紙幅方向の中央部と端部のグロス値が同程度になるまでに必要な端部の加熱時間を比較した。
用紙幅方向の中央部と端部とは大サイズ用紙において先の小サイズ用紙の通紙部に対応している部分と非通紙部に対応している部分である。
比較例1の定着装置:本参考例の定着装置40において、ヒータ44として最大発熱領域幅Aの全長域が単一の発熱体からなるヒータを用い、端部に冷却用ファン(非通紙部冷却用ファン)を配設した定着装置である。そして、小サイズ用紙の連続プリントによって非通紙部が昇温した場合は、冷却用のファンで所定温度まで低下するまでベルトを冷却する装置となっている。
比較例2の定着装置:本参考例の定着装置40において、小サイズ用紙の通紙の場合は非通紙部に対応する個別発熱体への電力投入を行わないように制御している。即ち、本参考例の定着装置40において、端部(非通紙部)の補助加熱を行わない場合である。
以上の本参考例、比較例1、比較例2における、用紙サイズ変更時の必要時間(非通紙部を目標温度まで昇温させるための時間)は表4の通りとなる。中央部温度は小サイズ用紙通紙時の通紙部に対応するベルト部分の温度、端部温度は非通紙部に対応するベルト部分の温度である。
比較例1では、非通紙部が高温になった場合に長期の冷却が必要となるため、用紙サイズの変更時の必要時間は大幅に伸びた。
比較例2では、非通紙部は25℃で維持されるが、その温度から次に目標温度である180℃まで昇温する為には初期の立ち上げ時間と同程度の10秒かかり、必要時間が伸びてしまった。
これに対し、本参考例では、非通紙部に対応している個別発熱体に、ベルトの温度が比較例2よりは高く目標温度(第1の温度)よりは低い一定温度(第2の温度)で維持される。そのため、その温度(第2の温度)から次に目標温度(第1の温度)である180℃まで昇温する為に必要な時間は短縮していることが確認できた。
このように、小サイズ用紙から大サイズ用紙に紙幅変更が行われた際にも、ダウンタイムなどによる生産性低下を招くことなく、画像不良や用紙搬送不良が発生しない定着処理を継続することが可能となった。
《実施例1》
本実施例1は加圧ローラ42の熱膨張に起因する課題を解消するものである。即ち、小サイズ用紙を通紙した場合に、加圧ローラの通紙部(記録材通過部)に対応する部分には用紙を介して熱が伝わり昇温する。これに対して、非通紙部(記録材非通過部)に対応するヒータ部分の発熱を行わない装置構成においては、加圧ローラの非通紙部に対応する部分加熱が行われないため昇温がほとんど起こらない。
加圧ローラ42の弾性層42bは加熱によって膨張するため、通紙部に対応するローラ部分のみが膨張して、非通紙部に対応するローラ部分ではほとんど膨張しない。中央基準で通紙を行う定着装置においては、加圧ローラ42の通紙部の中央部のみが加熱され膨張し、非通紙部の両端部では膨張は発生しない。従って加圧ローラ42は中央部が両端部より太いクラウン形状に近い形状となってしまう。
一般に、加圧ローラ42はニップ領域を充分に得るために、弾性層42bの厚みを大きく設定している。弾性層42bの厚みが大きいほど、膨張も大きくなり、より顕著なクラウン形状となってしまう。この状態で大サイズ用紙を通紙すると、その用紙の中央領域の搬送速度が両端部領域より早くなってしまう。特に小サイズ用紙を大量に通紙した直後に、薄紙の大サイズ用紙を通紙した場合には、薄紙の大サイズ用紙は紙の剛性が小さいことと、中央部と両端部の搬送速度の違いから、紙シワが発生してしまう場合があった。
これに対し、小サイズ用紙を通紙した後は、加圧ローラ42の温度差が小さくなり、膨張によるクラウン形状が収まるまで次のジョブを受け付けないことで対応は可能である。しかしながら、加圧ローラ42の弾性層42bは厚みが大きい事から、体積が多く、熱容量が大きいので、冷めるのに長い時間を必要とする。長い待ち時間が発生することによって、定着装置の生産性が非常に低下するという問題が発生してしまう。
本実施例1および後述する実施例2、3は上記のような加圧ローラ42の熱膨張に起因する課題を解消するものである。本実施例1において画像形成装置1の構成と定着装置40の構成は参考例のものと同様であるから再度の説明は省略する。
(1)通紙部と非通紙部の加圧ローラ温度の関係
用紙サイズを変えて通紙した時の加圧ローラ42の温度推移、小サイズ用紙通紙時の加圧ローラ42の長手中央部(通紙部)と端部(非通紙部)の温度の関係について実験を行った。本実験では参考例における定着装置40を用いた。動作条件としては、ベルト回転速度を248mm/s、加圧力を総圧で314N(32kgf)、ヒータ44への投入電力を、全ての個別発熱体44b−1〜44b−5の5つを合わせて800Wとした。また、到達目標温度をサーミスタT1〜TH5の検知する定着ベルト裏面温度(以下、ベルト温度)において180℃とした。
図9に、本実験において定着装置40のヒータ44に対して電力の投入開始からの経過時間と加圧ローラ42の温度の関係を示す。図9の(a)は最大サイズ用紙であるA4横サイズの用紙(幅297mm)の通紙時の温度推移である。第1〜第5の個別発熱体層44b−1〜44b−5のすべてに通電を行う。第1と第5の個別発熱体層44b−1、44b−5にはそれぞれ120W、第2と第4の個別発熱体層44b−2、44b−4にはそれぞれ80W、第3の個別発熱体層44b−3には400Wの通電を行っている。
最大サイズ用紙の通紙の場合はヒータ44の最大発熱領域Aの全長域が通紙部であり、非通紙部は生じない。最大サイズ用紙の通紙領域では加圧ローラ温度は用紙P、ベルト43を介してヒータ44により加熱されて昇温する。そして、200秒程度で約80℃に到達する。この場合は、加圧ローラ42の長手中央部と端部の温度がほぼ同じため、加圧ローラ42の膨張量も中央部と端部で変わらない。
そして、図10の(a)に模式的に示すように、通紙前に実線だった加圧ローラ形状は、通紙によって破線のように変わっている。熱膨張によって加圧ローラ径は大きくなっているが、中央部と端部で温度差がないため、外形形状に変化はない。
図9の(b)は小サイズ用紙通紙時に、その用紙の通紙部に対応する個別発熱体にのみ電力供給し、非通紙部に対応する個別発熱体には電力供給をしなかった場合の加圧ローラ長手中央部と端部の温度推移である。具体的には、A4縦サイズの用紙(幅210mm)を通紙した場合である。この用紙の通紙部に対応している第2、第3、第4の3つの個別発熱体34b−2、34b−3、34b−4のみに通電を行い、非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体34b−1、34b−5には通電を行わない場合である。
第3の個別発熱体34b−3には400W、第2と第4の個別発熱体34b−2、34b−4にはそれぞれ80W、第1と第5の個別発熱体34b−1、34b−5にはそれぞれに0Wの通電を行っている。
加圧ローラ42の通紙部に対応する中央部では、加圧ローラ温度は用紙P、ベルト43を介してヒータ44により加熱されて昇温する。200秒程度で約80℃に到達する。加圧ローラ42の非通紙部に対応する端部ではヒータ34によって加熱されないため昇温しない。この場合は加圧ローラ42の中央部と端部で温度が大きく異なるため、加圧ローラ42の熱膨張量が中央部と端部で変わってくる。
そして、図10の(b)に模式的に示すように、通紙前に実線だった加圧ローラ形状は、通紙によって破線のように変化する。体積膨張率は1.05×10−3−1、温度差65℃、弾性層42bの厚みが5mmの場合、外径差は約0.5mmとなる。加圧ローラ42の中央部の方が端部より半径が約0.5mm大きくなっている。
これにより、ニップ部Nにおいて幅方向の中央部の方が端部より用紙搬送速度が速くなる。従ってこの状態の加圧ローラ42で薄紙の大サイズ用紙を通紙した場合には、薄紙の大サイズ用紙の剛性が小さいことと、の中央部と両端部の搬送速度の違いから、紙シワが発生してしまう場合がある。
また、ベルト43も弾性層43bを有するため、温度が上がることで膨張する。しかしながら、ベルト43の弾性層43bの厚みは300μmで有り、加圧ローラ42の弾性層42bの厚みは5mmで有ることから、その膨張量は1/10程度であるため、紙しわは発生しない。すなわち、ベルト43よりも加圧ローラ42の方が加熱時の膨張量が大きい。
図9の(c)は小サイズ用紙通紙時に、非通紙部に対応する個別発熱体にも通電をした場合の加圧ローラ長手中央部と端部の温度推移である。温度推移である。具体的には、図9の(b)の場合と同様に、A4縦サイズの用紙を通紙した場合である。そして、この用紙の通紙部に対応している第2、第3、第4の3つの個別発熱体34b−2、34b−3、34b−4だけでなく、非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体34b−1、34b−5にも通電をした場合である。
加圧ローラ42の通紙部である中央部では、加圧ローラは用紙P、ベルト43を介してヒータ44により加熱されて昇温する。200秒程度で約80℃に到達する。非通紙部に対応している端部では、この非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5からベルト43を介した加熱により昇温する。加圧ローラ42の通紙部領域は用紙Pとベルト43を介して発熱体により加熱されるが、非通紙領域はベルト43を介してのみの加熱のとなるため、非通紙領域は少ない電力で昇温する。
図9の(c)において、実線は加圧ローラ長手中央部の温度推移、一点鎖線は非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5のそれぞれに30Wを通電した場合の加圧ローラ42の端部の温度推移である。二点鎖線は非通紙部に対応している第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5のそれぞれに60Wを通電した場合の端部の温度推移である。
第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5に60W通電した場合は、中央部の昇温に対し、端部がそれ以上の昇温をする。従って端部が中央部以上に熱膨張し、図10の(c)に模式的に示すように、通紙前に実線だった加圧ローラ形状は、通紙によって破線のように変化する。体積膨張率は1.05×10−3−1、温度差80℃、弾性層42bの厚みが5mmの場合、外径差は約0.6mmとなる。これにより、ニップ部幅方向において中央部の方が端部より用紙Pの搬送速度が遅くなる。
従って、この状態の加圧ローラ42で薄紙の大サイズ用紙を通紙した場合には、薄紙の大サイズ用紙の剛性が小さいことと、ニップ部幅方向の中央部と両端部の用紙搬送速度の違いから、紙後端部の挙動が不安定になる。そして、ニップ部突入前に用紙がベルト43と接触してしまい、画像不良に至る場合がある。
第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5に30W通電した場合は、加圧ローラ長手中央部の昇温に対し、端部がほぼ同様の昇温をする。この場合は、加圧ローラ長手中央部の温度(通紙部に対応している部分の温度)と端部の温度(非通紙部に対応している部分の温度)がほぼ同じため、加圧ローラの熱膨張量も中央部と端部で変わらない。
そして、図10の(a)に模式的に示すように、通紙前に実線だった加圧ローラ形状は、通紙によって破線のように変わっている。熱膨張によって加圧ローラ径は大きくなっているが、加圧ローラ長手中央部と端部で温度差がないため、外形形状に変化はない。従って、この状態の加圧ローラで薄紙の大サイズ用紙を通紙した場合には、紙シワも画像不良も発生しない。
(2)加圧ローラの中央−端部の温度差と薄紙通紙時の紙シワ、画像不良の関係
次に、加圧ローラ42の中央(通紙部)−端部(非通紙部)の温度差と薄紙通紙時の紙シワ、画像不良の関係について実験を行った。本実験では、参考例における定着装置40を用いた。動作条件としては、ベルト回転速度を248mm/s、加圧力を総圧で314N(32kgf)、ベルト43の目標温度を180℃とした。
評価方法は、以下に記す通りである。まず、小サイズ用紙として、CS−680(日本製紙(株)社製)のA4サイズの用紙(210mm×297mm)を長手方向が210mm(A4縦サイズ)となるような方向で150枚通紙する。通紙が終了したら直ちに大サイズ用紙としての薄紙を通紙する。その大サイズ用紙としてはOKプリンス上質52.3gsm(王子製紙(株)社製)のA3サイズ(297mm×420mm)を長手方向が297mm(A4横サイズ)となるようなるような方向で5枚通紙する。
小サイズ用紙としてのCS−680の通紙時の加圧ローラ端部(非通紙部)の温度を変化させたときに、大サイズ用紙としてのOKプリンス上質52.3gsmの5枚が紙シワや画像不良が発生するかを確認する。
次に、ヒータ44の通電状態について説明する。本実験では、上記の小サイズ用紙(A4縦サイズ)の通紙時に、第2、第4の個別発熱体44b−2、444b−4にそれぞれ80W、第3の個別発熱体44b−3に400W通電する。
非通紙部に対応している第1、第5の個別発熱体44b−1、44b−5には、それぞれ、0W(電力印加なし)、10W、20W、30W、40W、50W、60Wを印加した。その結果を表5に示す。
加圧ローラ42の長手方向の(中央部温度)−(端部温度)が+20℃を超えると紙しわが発生し、−20℃を超えると画像不良が発生することが確認できた。したがって加圧ローラ42の(中央部温度)−(端部温度)を±20℃の範囲に入れることで、紙しわも画像不良も防止することが確認できた。したがって、ヒータ44の非通紙部に対応している第1、第5の個別発熱体44b−1、44b−5には30W程度の電力供給が望ましい。
即ち、制御部24は、最大幅サイズの用紙よりも幅が小さい用紙を連続して導入して加熱する際に、加圧ローラ42の記録材非通過部に対応している部分の温度が所定の第3の温度に保持されるように記録材非通過部に対応している個別発熱体に印加する電力量を制御する。第3の温度は、加圧ローラ42の記録材通過部に対応している部分の温度にほぼ対応している温度である。もしくは、第3の温度と加圧ローラ42の記録材通過部に対応している部分の温度との差は±20℃の範囲である。
(3)用紙のサイズ切り替えとヒータの加熱制御
図11(A)、図11(B)、図11(C)は本実施例1における、用紙のサイズ切り替えとヒータの加熱制御を含む定着装置動作制御のフローチャートである。以下、ステップ毎に説明する。この定着装置動作制御は制御部24が実行する。
S100:画像形成開始信号に基づいて画像形成部2の画像形成動作が開始される。
S101:使用される用紙の幅サイズ検知がなされる。用紙の幅サイズ検知は、参考例の図8(A)のステップS102で説明した事項と同様である。また、本実施例1においても、サイズ切り換えされて使用される用紙の幅は、A4横サイズ(幅297mm:以下、A4サイズと記す)、A4縦サイズ(幅210mm)、A5縦サイズ(幅148mm)の3種としている。
用紙がA4横サイズの場合はステップS102へ移行する。A4縦サイズの場合は図1
1(B)のフローチャートへ、A5縦サイズの場合は図11(C)のフローチャートに移
行する。
S102:用紙サイズがA4横サイズの場合は、定着装置40については、所定の制御タイミングで、加圧ローラ42の回転駆動が開始される。また、第1〜第5の全ての個別発熱体44b−1〜44b−5に対する通電が開始されて(長手全域ヒータON)、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域が180℃まで昇温される。
本実施例1においては、長手中央部の第3の個別発熱体44b−3には400Wの電力が印加される。第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5にはそれぞれ120W、第2と第4の個別発熱体44b−2、44b−4にはそれぞれ80Wの電力が印加される。そして、各個別発熱体に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度がそれぞれ180℃に昇温して温調されるように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を含む温調系統により各個別発熱体に対する供給電力が個々に制御される。
S103:この定着装置40の制御状態においてA4横サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S104:画像形成装置の可動途中での用紙のサイズ切り替えが監視されている。用紙サイズが引き続きA4横サイズであればステップS105へ移行する。用紙サイズがA4縦サイズ用紙にサイズ切り替えされた場合にはステップS205へ移行する。用紙サイズがA5縦サイズ用紙にサイズ切り替えされた場合にはステップS305へ移行する。
S105:用紙サイズが引き続きA4横サイズであればその用紙の通紙と定着処理が継続される。
S108:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S109:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S205:ステップS104でA4縦サイズにサイズ切り替えされる。
S206:ヒータ44に対する電力供給に関しては、第3の個別発熱体44b−3には400W、第2と第4の個別発熱体44b−2、44b−4にはそれぞれ80W、第1と第5の個別発熱体4b−1、44b−5にはそれぞれ30Wの電力が印加される。
そして、通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度が180℃に昇温して温調されるように、サーミスタTH2〜TH4を含む温調系統により個別発熱体44b−2〜44b−4に対する供給電力が個々に制御される。非通紙部に対応する個別発熱体4b−1、44b−5に対する供給電力は120Wから30Wに低減されることで、非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)、加圧ローラ部分の温度の上昇が抑制される。
S207:この定着装置40の制御状態においてA4縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S104、S105、S108、S109、S999:所定の設定枚数分のA4縦サイズの用紙の通紙と定着処理が終了する。所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S305:ステップS104でA5縦サイズにサイズ切り替えされる。
S306:ヒータ44に対する電力供給に関しては、通紙部に対応する第3の個別発熱体44b−3には400Wが印加される。非通紙部に対応する第1、第2、第4、第54の個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5にはそれぞれ30Wの小電力が印加される。
そして、通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度が180℃に昇温して温調されるように、サーミスタTH3を含む温調系統により個別発熱体44b−3に対する供給電力が制御される。非通紙部に対応する個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する供給電力は小電力の30Wにされることで、非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)、加圧ローラ部分の温度の上昇が抑制される。
S307:この定着装置40の制御状態においてA5縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S104、S105、S108、S109、S999:所定の設定枚数分のA5縦サイズの用紙の通紙と定着処理が終了する。所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S101:図11(B)を参照して、図11(A)のステップS101において用紙サイズがA4縦サイズの場合にはステップS402に移行する。
S402:用紙サイズがA4縦サイズの場合は、定着装置40については、定着装置40については、所定の制御タイミングで、加圧ローラ42の回転駆動が開始される。ヒータ44に対する電力供給に関しては、第3の個別発熱体44b−3には400W、第2と第4の個別発熱体44b−2、44b−4にはそれぞれ80W、第1と第5の個別発熱体4b−1、44b−5にはそれぞれ30Wの電力が印加される。
そして、通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度が180℃に昇温して温調されるように、サーミスタTH2〜TH4を含む温調系統により個別発熱体44b−2〜44b−4に対する供給電力が個々に制御される。非通紙部に対応する個別発熱体4b−1、44b−5に対する供給電力は小電力の30Wとされることで、非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)、加圧ローラ部分の温度の上昇が抑制される。
S403:この定着装置40の制御状態においてA4縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S404:画像形成装置の可動途中での用紙のサイズ切り替えが監視されている。用紙サイズが引き続きA4縦サイズであればステップS405へ移行する。用紙サイズがA4横サイズに切り替えられた場合にはステップS505へ移行する。用紙サイズがA5縦サイズに切り替えられた場合にはステップS605へ移行する。
S405:用紙サイズが引き続きA4縦サイズであるときはその用紙の通紙と定着処理が継続される。
S408:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。
S409:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S505:ステップS404でA4横サイズにサイズ切り替えされる。
S506:ヒータ44に対する電力供給に関しては、第1〜第5の全ての個別発熱体44b−1〜44b−5に対する通電が開始されて(長手全域ヒータON)、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域が180℃まで昇温される。
本実施例1においては、長手中央部の第3の個別発熱体44b−3には400Wの電力が印加される。第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5にはそれぞれ120W、第2と第4の個別発熱体44b−2、44b−4にはそれぞれ80Wの電力が印加される。そして、各個別発熱体に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度がそれぞれ180℃に昇温して温調されるように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を含む温調系統により各個別発熱体に対する供給電力が個々に制御される。
S507:この定着装置40の制御状態においてA4横サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S404、S405、S408、S409、S999:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S605:ステップS404でA5縦サイズにサイズ切り替えされる。
S606:ヒータ44に対する電力供給に関しては、通紙部に対応する第3の個別発熱体44b−3には400Wが印加される。非通紙部に対応する第1、第2、第4、第54の個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5にはそれぞれ30Wの小電力が印加される。
そして、通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度が180℃に昇温して温調されるように、サーミスタTH3を含む温調系統により個別発熱体44b−3に対する供給電力が制御される。非通紙部に対応する個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する供給電力は小電力の30Wにされることで、非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)、加圧ローラ部分の温度の上昇が抑制される。
S607:この定着装置40の制御状態においてA5縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S404、S405、S408、S409、S999:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S101:図11(C)を参照して、図11(A)のステップS101において用紙サイズがA5縦サイズの場合にはステップS702に移行する。
S702:用紙サイズがA5縦サイズの場合は、定着装置40については、所定の制御タイミングで、加圧ローラ42の回転駆動が開始される。通紙部に対応する第3の個別発熱体44b−3には400W、非通紙部に対応する第1、第2、第4、第54の個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5にはそれぞれ30Wの小電力が印加される。
そして、通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度が180℃に昇温して温調されるように、サーミスタTH3を含む温調系統により個別発熱体44b−3に対する供給電力が制御される。非通紙部に対応する個別発熱体44b−1、44b−2、44b−4、44b−5に対する供給電力は小電力の30Wにされることで、非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)、加圧ローラ部分の温度の上昇が抑制される。
S703:この定着装置40の制御状態において通紙されたA5縦サイズ用紙の定着処理が開始される。
S704:画像形成装置の可動途中での用紙のサイズ切り替えが監視されている。用紙サイズが引き続きA5縦サイズであればステップS705へ移行する。用紙がA4横サイズに切り替えられた場合にはステップS805へ移行する。用紙がA4縦サイズに切り替えられた場合にはステップS905へ移行する。
S705:用紙サイズが引き続きA5縦サイズであるときはその用紙の通紙と定着処理が継続される。
S708:所定の設定枚数分の用紙の通紙と定着処理が終了する。
S709:所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。
S999:画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S805:ステップS404でA4横サイズにサイズ切り替えされる。
S806:ヒータ44に対する電力供給に関しては、第1〜第5の全ての個別発熱体44b−1〜44b−5に対する通電が開始されて(長手全域ヒータON)、ヒータ44の最大発熱領域幅Aの全長域が180℃まで昇温される。
本実施例1においては、長手中央部の第3の個別発熱体44b−3には400Wの電力が印加される。第1と第5の個別発熱体44b−1、44b−5にはそれぞれ120W、第2と第4の個別発熱体44b−2、44b−4にはそれぞれ80Wの電力が印加される。そして、各個別発熱体に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度がそれぞれ180℃に昇温して温調されるように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を含む温調系統により各個別発熱体に対する供給電力が個々に制御される。
S807:この定着装置40の制御状態においてA4横サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S704、S705、S708、S709、S999:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
S905:ステップS704でA4縦サイズにサイズ切り替えされる。
S906:ヒータ44に対する電力供給に関しては、第3の個別発熱体44b−3には400W、第2と第4の個別発熱体44b−2、44b−4にはそれぞれ80W、第1と第5の個別発熱体4b−1、44b−5にはそれぞれ30Wの電力が印加される。
そして、通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)の温度が180℃に昇温して温調されるように、サーミスタTH2〜TH4を含む温調系統により個別発熱体44b−2〜44b−4に対する供給電力が個々に制御される。非通紙部に対応する個別発熱体4b−1、44b−5に対する供給電力は120Wから30Wに低減されることで、非通紙部に対応するヒータ部分(ベルト部分)、加圧ローラ部分の温度の上昇が抑制される。
S907:この定着装置40の制御状態においてA4縦サイズの用紙の通紙と定着処理が開始される。
S704、S705、S708、S709、S999:所定の設定枚数分の通紙と定着処理が終了する。所定の制御タイミングで第1〜第5の全ての個別発熱体層44b−1〜44b−5に対する通電が停止され(ヒータOFF)、また加圧ローラ42の駆動も停止される。画像形成装置1は次の画像形成ジョブの開始信号が入力するまで、スタンバイ状態に保持される。
小サイズ用紙であるA4縦サイズやA5縦サイズの用紙を連続して長時間通紙する場合に、加圧ローラ端部(非通紙部)の温度が上がりすぎる場合があるので、その場合には所定の比率で、電力供給をOFF/ONすると良い。
また、最大サイズ用紙の通紙時は加圧ローラ端部の温度は中央部と同じになっているため、最大サイズ用紙から小サイズ用紙に切り替えた直後に端部の温度が上がり過ぎる場合がある。これに対しては、最大サイズ用紙から小サイズ用紙に切り替えた最初の所定の時間、ヒータ44の非通紙部に対応する個別発熱体に対する供給電力を減らすと良い。
本実施例1の制御を用いることによって、加圧ローラ中央部温度−端部温度を±20℃の範囲に入れることが可能となる。従って、加圧ローラ42の通紙部と非通紙部の温度差が緩和されるまで待ち時間を設けることなしに、紙しわも画像不良も防止することが可能となる。
(4)比較例との比較
次に、本実施例1と比較例の比較を行った。動作条件としては、ベルト回転速度を248mm/s、加圧力を総圧で314N(32kgf)、ベルト43の目標温度を180℃とした。
評価方法は、以下に記す通りである。まず、小サイズ用紙としてCS−680(日本製紙(株)社製)のA4サイズの用紙(210mm×297mm)を長手方向が210mm(A4縦サイズ)となるような方向で150枚通紙する。通紙が終了したら加圧ローラ中央部温度(通紙部温度)−端部温度(非通紙部温度)が±20℃の範囲に入るまでの時間を計測する。薄紙大サイズ紙を通紙時に紙シワや画像不良を発生させないためには、この時間を待ち時間として設ける必要がある。
比較例1の定着装置:本実施例1の定着装置40において、ヒータ44として最大発熱領域幅Aの全長域が単一の発熱体からなるヒータを用いた。
比較例2の定着装置:比較例1の定着装置の端部に冷却用のファンを配設した定着装置を用いた。そして、小サイズ用紙の連続プリントによって非通紙部が昇温した場合は、冷却用のファンで所定温度まで低下するまでベルト43を冷却する。
比較例3の定着装置:本実施例1のような複数の個別発熱体を持ったヒータを有する定着装置を用い、小サイズ用紙の通紙の場合は非通紙部に対応する個別発熱体への電力投入を行わないように制御する。
これら本実施例1と比較例1〜3の定着装置における、必要電力量と用紙サイズの変更時の必要時間を表6にまとめると、以下の通りとなる。
比較例1では非通紙部も加熱することから、必要電力量が増えるとともに、加圧ローラ端部(非通紙部)の温度が下がるまで待ち時間が発生するため、用紙サイズの変更時の必要時間は大幅に伸びた。
比較例2では端部冷却を行うため、加圧ローラ42も端部(非通紙部)の昇温が発生せず、用紙サイズの変更時の必要時間は発生しない。しかしながら、非通紙部も加熱すること、及び、加熱された端部を冷却することから、必要電力が増大した。
比較例3では非通紙部を加熱しないため、必要電力量は少ないが、加圧ローラ中央部の温度が下がるまで待ち時間が発生するため、用紙サイズの変更時の必要時間は大幅に伸びた。
このように、小サイズ用紙から大サイズ用紙への紙幅変更が行われた際にも、ダウンタイムなどによる生産性低下を招くことなく、紙シワや画像不良が発生しない定着処理を低い電力量で継続することが可能となった。
《実施例2》
次に、本発明にかかる第2の実施例について説明する。本実施例2は、参考例や実施例1における定着装置40において、ヒータ44の各個別発熱体44b−1〜44b−5の温度制御用の第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を加圧ローラ42に対して配設した構成である。
即ち、図12の模式図に示すように、第1〜第5のサーミスタTH1〜TH5を、ヒータ44の第1〜第5の各個別発熱体44b−1〜44b−5の発熱領域A44b−1〜A44b−5に対応するローラ部分の表面にそれぞれ接触させて配設したものである。そして、各サーミスタTH1〜TH5で各個別発熱体44b−1〜44b−5の発熱領域A44b−1〜A44b−5に対応するローラ部分の温度を計測し、その検出結果を制御部24の温度制御手段部にフィードバックする構成となっている。
定着装置40の動作は実施例1と同様であるが、本実施例2においては、小サイズ用紙の通紙時において、加圧ローラ42の非通紙部(記録材非通過部)も通紙部(記録材通過部)とほぼ同じ温度になるように制御される。即ち、小サイズ用紙の通紙時における非通紙部に対応する個別発熱体への供給電力は、加圧ローラ42の通紙部に対応するサーミスタの検知温度と非通紙部に対応するサーミスタの検知温度の差分がほぼ0になるように制御される。従って、加圧ローラ42の温度は、小サイズ用紙の通紙時において、加圧ローラ42の全域、即ち、通紙部も非通紙部とほぼ同じ温度になるように制御される。
加圧ローラ42の通紙部の温度は、通紙される紙種(接触熱抵抗、熱伝導率、熱容量等)や画像を形成するトナー量、通紙枚数等によって変わってくる。また、非通紙部の温度も投入する電力を同じにしても、環境温度、通紙開始時の加圧ローラの温度等によって変わってくる。
しかしながら、本実施例2においては、通紙される紙種や環境温度等の条件が変わっても、加圧ローラ42は全域が中央部と同じ温度になるように制御される。そのため、小サイズ用紙から大サイズ用紙への紙幅変更が行われた際にも、ダウンタイムなどによる生産性低下を招くことなく、紙シワや画像不良が発生しない定着処理を低い電力量で継続することが可能となった。
《実施例3》
次に、本発明にかかる第3の実施例について説明する。本実施例3では、実施例1または2と同じ定着装置40を用いる。そして、実施例1に記載の定着装置40の制御モードを第1の制御モードとする。即ち、小サイズ用紙の通紙の場合に、加圧ローラ42の通紙部(記録材通過部)に対応する部分の温度と非通紙部(記録材非通過部)に対応する部分の温度との差を±20℃の範囲に入れるようにヒータ44の非通紙部に対応する個別発熱体への供給電力を制御する。この制御モードを第1の制御モードとする。
また、実施例1において非通紙部を加熱しない比較例3の制御モード、即ち、小サイズ用紙の通紙の場合は非通紙部に対応する個別発熱体への電力を投入しないように制御する制御モードを第2制御モードとする。
本実施例3においては、上記の第1の制御モードと第2の制御モードのいずれかを使用者が選択可能となっている。第1の制御モード第2の制御モードの選択は、ホスト装置23の操作部、あるいは画像形成装置の操作部27(図1)のモード選択部を使用者が操作して制御部24に対して予めの選択指示が可能となっている。
第2の制御モードは待ち時間が発生するが、必要電力量を減らすことが可能である。従って、電力量を減らし省エネ性能を高めたい使用者は非通紙部を加熱しない第2の制御モードを選択でき、生産性を重視する使用者は実施例1に記載の第1の制御モードを選択できるようにした。またプリンタ時とコピー時で制御を切り替えても良い。
《その他の事項》
1)加熱回転体43はローラ体の形態であってもよい。また、加熱回転体43は複数の懸架部材間に懸回張設されて回動駆動されるエンドレスベルトの形態であってもよい。
2)加熱回転体43を加熱体44により外部加熱する装置構成にすることもできる。
3)加圧回転体42はエンドレスベルトの形態にすることもできる。
4)加熱体44は、個々の個別発熱体を電磁誘導で発熱させる構成のもの、ニクロム線により発熱させる構成のもの、ハロゲンヒータや赤外線ランプを用いて発熱させる構成のものにすることも可能である。
5)用紙搬送を片側基準にした装置構成にすることもできる。
6)本発明における画像加熱装置には、未定着トナー像(顕画剤像、現像剤像)を加熱して固着画像として定着又は仮定着する装置の他に、定着されたトナー像を再加熱してつや等の表面性を改質する装置も包含される。
7)画像形成装置の画像形成部は電子写真方式に限られない。静電記録方式や磁気記録方式の画像形成部であってもよい。また、転写方式に限られず、記録材に対して直接方式でトナー像を形成する構成のものであってもよい。
8)実施例において定着装置40は、実施例の電子写真プリンタ以外の画像形成装置、カラー複写機、ファクシミリ、カラープリンタ、これらの複合機等で実施されてもよい。即ち、実施例の定着装置及び電子写真プリンタは、上述した構成部材の組み合わせには限定されず、それぞれの代替部材で一部又は全部を置き換えた別の実施形態で実現してもよい。
9)本実施例において、大サイズ用紙の定着を行った後に小サイズ用紙の定着を行う場合は、本実施例に示されるような定着装置の動作を行わなくても良い。
10)本実施例において、加熱源の動作のオンオフは断続的に行っても良い。
11)本実施例において、ユーザーがこの動作を行わないよう定着装置を操作した場合は、本実施例に示すような動作を行わないようにしても良い。
40・・画像加熱装置、43・・加熱回転体、42・・加圧回転体、44・・加熱体、44b−1〜44b−5・・複数の発熱体、24・・制御部、P・・記録材

Claims (10)

  1. 加熱回転体と、
    前記加熱回転体との間で画像を担持した記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成する加圧回転体と、
    前記加熱回転体を加熱する加熱体であって、前記加熱回転体の長手方向に沿って並んで配設されており個々に電力投入されて発熱する複数の発熱体を有する加熱体と、
    装置の立ち上げの際に前記複数の発熱体の全てに対する通電を開始し、装置に導入可能な最大幅サイズの記録材よりも幅が小さい記録材を連続して導入して加熱する際に、前記加熱回転体の記録材通過部に対応している部分の温度が所定の画像定着温度に保持されるように前記記録材通過部に対応している発熱体に投入する電力量を制御する共に、前記加圧回転体の記録材非通過部に対応している部分の温度と当該加圧回転体の記録材通過部に対応している部分の温度との差が±20℃の範囲に保持されるように前記記録材非通過部に対応している発熱体に投入する電力量を制御し、所定の設定枚数分の記録材の導入と加熱処理が終了したら前記複数の発熱体の全てに対する通電を停止させて装置をスタンバイ状態に保持する制御部と、
    を有することを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記制御部は、予めの選択指示に基づいて、前記加圧回転体の記録材非通過部に対応している部分の温度と当該加圧回転体の記録材通過部に対応している部分の温度との差が±20℃の範囲に保持されるように前記記録材非通過部に対応している発熱体に投入する電力量を制御する第1の制御モードと、当該発熱体に対して電力を投入しない第2の制御モードと、を選択的に実行することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 前記加圧回転体の記録材非通過部に対応している部分の温度が当該加圧回転体の記録材通過部に対応している部分の温度に対応する温度に保持されるように前記記録材非通過部に対応している発熱体に投入する電力量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像加熱装置。
  4. 前記加熱回転体よりも前記加圧回転体の方が加熱時の膨張量が大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像加熱装置。
  5. 前記複数の発熱体の各発熱領域を合わせた全体の発熱幅が前記加熱体の最大発熱領域幅であり、前記最大幅サイズの記録材の幅サイズにほぼ対応していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像加熱装置。
  6. 前記加熱回転体が可撓性を有する無端状のベルトであり、前記ベルトの内側に前記加熱体を有し、前記加熱体と前記加圧回転体とが前記ベルトを挟んで圧接して前記ニップ部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像加熱装置。
  7. 前記加圧回転体が回転駆動されることで、前記ベルトが前記加熱体に対して摺動しながら従動回転することを特徴とする請求項6に記載の画像加熱装置。
  8. 前記加熱体は保持部材に固定して保持されていることを特徴とする請求項6または7に記載の画像加熱装置。
  9. 前記加圧回転体は弾性ローラであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像加熱装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載の画像加熱装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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