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JP6270791B2 - 燃料電池用ガス拡散層 - Google Patents

燃料電池用ガス拡散層 Download PDF

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JP6270791B2 JP2015193237A JP2015193237A JP6270791B2 JP 6270791 B2 JP6270791 B2 JP 6270791B2 JP 2015193237 A JP2015193237 A JP 2015193237A JP 2015193237 A JP2015193237 A JP 2015193237A JP 6270791 B2 JP6270791 B2 JP 6270791B2
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Description

本発明は、膜電極接合体に積層される燃料電池用ガス拡散層及びその形成方法に関する。
固体高分子形燃料電池の燃料電池セルは、水素イオン伝導性を有する電解質膜の両面に触媒層を形成してなる膜電極接合体(MEA)と、当該膜電極接合体のそれぞれの触媒層の上に積層されたガス拡散層(燃料電池用ガス拡散層)とを有する構造となっている。それぞれのガス拡散層に対し反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)が供給されることで、発電が行なわれる。
触媒層は、カーボンに白金を担持させ更に電解質材料(アイオノマー)を含有させたものであり、供給された反応ガスにより発電反応を生じさせる電極層を構成する。膜電極接合体(MEA)のうち一方の面に形成された触媒層はアノード(燃料極)を構成し、他方の面に形成された触媒層はカソード(空気極)を構成する。
ガス拡散層は、反応ガスの拡散性を高めるために形成される層であって、反応ガスが触媒層の全体に均一に供給されるようにそれぞれの触媒層の上に配置されるものである。また、ガス拡散層は、触媒層から生成水及び加湿水を排出するための機能や、触媒層から電流を効率的に取り出すための機能をも担うものである。近年、これらガス拡散層の機能を更に向上させることを目的として、ガス拡散層のうち触媒層と接する側の面に導電性多孔質層を形成することが行われている。
この導電性多孔質層は、撥水性及び導電性を有する材料からなり、微細な孔が無数に形成された多孔質層である。従って、生成水及び加湿水の排水機能が向上することに加え、触媒層との接触面積が増加することにより、触媒層から電流を取り出す機能も向上する。このような導電性多孔質層を有するガス拡散層は、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスからなる拡散層基材の一方側の面上に、導電性材料と撥水性材料とを混合してなるペースト状の塗布材を塗布し、これを加熱して焼成することにより作成される。加熱された上記塗布材が、導電性多孔質層となる。
燃料電池セルは、膜電極接合体のそれぞれの触媒層に対してガス拡散層の導電性多孔質層を接触させ、2枚のガス拡散層で膜電極接合体を挟み込んだ状態とし、これをホットプレス等で接合することにより作成される。
導電性多孔質層と触媒層との密着性を考慮すれば、導電性多孔質層の空隙率は小さい方が望ましい。一方、導電性多孔質層のガス拡散性を考慮すれば、導電性多孔質層の空隙率は逆に大きい方が望ましい。このような互いに相反する要求を満たすために、下記特許文献1には、導電性多孔質層を二層構造とした上で、触媒層側の層では空隙率を小さくし、拡散層基材側の層では空隙率を大きくした導電性多孔質層が記載されている。このような構成とすることにより、導電性多孔質層と触媒層との密着性を向上させながら、導電性多孔質層全体のガス拡散性も向上させることが可能となる。
特開2009−016171号公報
ところで、拡散層基材として用いられるカーボンペーパー等は繊維質であるため、その表面からは多数の毛羽(カーボン繊維)が突出している。このような毛羽は、膜電極接合体をガス拡散層で挟みこんでホットプレスする際等において、膜電極接合体の電解質膜を損傷してしまう可能性があることが知られている。毛羽が電解質膜に突き刺さると、反応ガスのクロスリークが生じて燃料電池の発電性能が大幅に低下してしまう。また、アノードとカソードとの導通も生じ得る。
特に、上記特許文献1に記載された導電性多孔質層は、拡散層基材に接触する部分の空隙率が大きいために拡散層基材側から毛羽が侵入しやすく、当該毛羽が導電性多孔質層を貫通して電解質膜に到達してしまう可能性が高い。このように、従来の燃料電池用ガス拡散層では、導電性多孔質層と触媒層との密着性、及び、導電性多孔質層のガス拡散性を十分に向上させようとすると、毛羽に対する耐久性が損なわれるという問題を有するものであった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性多孔質層と触媒層との密着性、及び、導電性多孔質層のガス拡散性を十分なものとしながら、毛羽に対する耐久性を損なうことのない燃料電池用ガス拡散層、及び、その形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池用ガス拡散層は、シート状に形成された拡散層基材の一方側の面上に導電性多孔質層を形成してなり、前記導電性多孔質層を膜電極接合体の触媒層に接触させた状態で前記膜電極接合体に対して積層される燃料電池用ガス拡散層であって、前記導電性多孔質層は、前記膜電極接合体との積層方向に沿った空隙率の分布が均一となるように形成され、前記膜電極接合体との積層方向に沿った密度が均一である多孔質状の導電性部材と、前記導電性部材の内部全体に分散配置された撥水性部材と、を有しており、前記導電性部材の表面のうち、前記撥水性部材で被覆されずに露出している表面が占める割合を露出率と定義したときに、前記導電性多孔質層のうち前記触媒層側における前記露出率は、前記導電性多孔質層のうち前記拡散層基材側における前記露出率よりも高いことを特徴としている。
本発明に係る燃料電池用ガス拡散層は、シート状に形成された拡散層基材の一方側の面上に導電性多孔質層を形成した構成となっており、当該導電性多孔質層は、多孔質状の導電性部材と、当該導電性部材の内部全体に分散配置された撥水性部材とを有している。具体的には、導電性部材が多孔質の骨材を形成しており、当該骨材の表面の一部を、分散配置された撥水性部材が被覆した状態となっている。このような構成により、導電性多孔質層は導電性及び撥水性を有する多孔質層となっている。
導電性部材は、膜電極接合体との積層方向、すなわち、拡散層基材の表面と垂直な方向に沿った空隙率の分布が均一となるように形成されている。このため、導電性多孔質層においては、他の層よりも大きな空隙が分布しているような層が形成されず、導電性多孔質層の全体で毛羽の侵入が防止される。また導電性部材は、膜電極接合体との積層方向に沿った密度が均一となるように形成されている。
一方、導電性多孔質層の空隙は、導電性多孔質層のガス拡散性(ガス透過性)を十分に確保し得る程度の大きさとする必要がある。その結果、上記のように空隙率の分布を全体で均一とした場合においては、触媒層側の空隙率が従来のもの(例えば、上記特許文献1に記載のもの)よりも高くなってしまうため、触媒層と導電性多孔質層との密着性が低下してしまうことが懸念される。
そこで本発明では、導電性多孔質層における撥水性部材の状態を拡散層基材側と触媒層側とで異ならせることにより、触媒層と導電性多孔質層との密着性を確保している。すなわち、導電性部材の表面のうち撥水性部材で被覆されずに露出している表面が占める割合を露出率と定義したときに、導電性多孔質層のうち触媒層側における露出率が、導電性多孔質層のうち拡散層基材側における露出率よりも高くなっている。
本発明者らの検討によれば、触媒層と導電性多孔質層とは、触媒層に含有されたアイオノマーと、導電性多孔質層の導電性部材(例えばカーボン)との間に働く親和力によって結合(密着)することが判明している。本発明では、導電性多孔質層のうち触媒層側、すなわち、拡散層基材とは反対側の表面近傍では上記露出率が高く、導電性部材の表面(多孔質を形成する骨材の表面)が多く露出しているため、上記親和力が大きくなっている。その結果、導電性多孔質層と触媒層との密着性が十分に向上する。
以上のように、本発明に係る燃料電池用ガス拡散層では、導電性多孔質層と触媒層との密着性、及び、導電性多孔質層のガス拡散性を十分なものとしながら、毛羽に対する耐久性も十分に確保される。
また本発明に係る燃料電池用ガス拡散層は、導電性多孔質のうち拡散層基材側におけるヤング率は、導電性多孔質層のうち触媒層側におけるヤング率よりも高いことを特徴とする。
このように、導電性多孔質層のヤング率が厚さ方向に傾斜しているため、燃料電池セルに振動が加わった際に導電性多孔質層に生じる歪みは一様とならず、拡散層基材側とその反対側とで異なる大きさとなる。具体的には、燃料電池セルに振動が加わって導電性多孔質層にせん断方向の力が加わった際、ヤング率の大きい拡散層基材側では当該方向に小さな歪みが生じ、ヤング率の小さいカソード電極側では当該方向に大きな歪みが生じる。すなわち、導電性多孔質層は、拡散層基材側の近傍よりもカソード電極側の近傍の方がせん断方向に大きく変異し、これにより毛羽に対して折り曲げるような力が働く。その結果、導電性多孔質層の内部において毛羽が切断され、毛羽が膜電極接合体に到達することが抑制される。このように、カソード側ガス拡散層は、毛羽を内部で切断する機能を有している。
本発明によれば、導電性多孔質層と触媒層との密着性、及び、導電性多孔質層のガス拡散性を十分なものとしながら、毛羽に対する耐久性を損なうことのない燃料電池用ガス拡散層、及び、その形成方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である燃料電池用ガス拡散層を含む燃料電池セルの断面図である。 図1に示した燃料電池セルの製法を説明するための分解図である。 燃料電池用ガス拡散層の内部で、毛羽が切断される様子を模式的に説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である燃料電池用ガス拡散層を含む燃料電池セルの断面図である。燃料電池セル1は、所謂平板型の高分子電解質型燃料電池(PEFC)であって、平面視矩形に形成されている。図1に示したように、燃料電池セル1は、膜電極接合体10と、一対のガス拡散層20と、一対のセパレータ30とを備えている。
膜電極接合体10は、水素イオン伝導性を有する電解質膜11の両面に、それぞれカソード電極12a、アノード電極12bを有しており、所謂MEAと称されるものである。カソード電極12a及びアノード電極12bはいずれも、カーボン粒子に白金微粒子を担持させ、更に電解質(アイオノマー)を含有させた触媒層(電極層)として、電解質膜11の両面に形成されている。カソード電極12aは酸化剤ガス(例えば空気)と反応する触媒層であり、アノード電極12bは燃料ガス(例えば水素)と反応する触媒層である。
ガス拡散層20は、反応ガスの拡散性を高めるための層であって、膜電極接合体10を両面から挟み込むように配置される。すなわち、燃料電池セル1は、カソード側ガス拡散層20aとアノード側ガス拡散層20bとからなる二つのガス拡散層20を有している。電解質膜11のカソード電極12aにはカソード側ガス拡散層20aが積層され、電解質膜11のアノード電極12bにはアノード側ガス拡散層20bが積層される。
これら二つのガス拡散層20は、いずれも、カーボンペーパーからなる拡散層基材(22a、22b)の一方側の面上に、導電性及び撥水性を有する材料で形成された導電性多孔質層(21a、21b)を備えた構成となっている。ガス拡散層20は、導電性多孔質層(21a、21b)側の面を膜電極接合体10側に向けて配置されている。このため、導電性多孔質層21aがカソード電極12aに接した状態となっており、導電性多孔質層21bがアノード電極12bに接した状態となっている。ガス拡散層20は、反応ガスの拡散性を高める機能の他、膜電極接合体10側から生成水及び加湿水を排出するための機能や、カソード電極12a及びアノード電極12bから電流を効率的に取り出すための機能をも担っている。このガス拡散層20の具体的な構成や製造方法については、後に詳しく説明する。
セパレータ30は、燃料電池セル1の最も外側に配置された導電性の層であり、カーボンにより形成されている。セパレータ30は、カソード側ガス拡散層20aに隣接して配置されるカソード側セパレータ30aと、アノード側ガス拡散層20bに隣接して配置されるアノード側セパレータ30bとからなるが、これらは互いに同一の形状となっている。
カソード側セパレータ30aのうち拡散層基材22aと接する面には、断面が矩形の溝31aが複数本、互いに平行に並ぶように形成されている。これらの溝31aは、拡散層基材22aに対して酸化剤ガスを外部から共有するための流路である。同様に、アノード側セパレータ30bのうち拡散層基材22bと接する面には、断面が矩形の溝31bが複数本、互いに平行に並ぶように形成されている。これらの溝31bは、拡散層基材22bに対して燃料ガスを外部から共有するための流路である。
図1には、一つの燃料電池セル1(単セル)のみを示したが、実際の燃料電池装置においては複数の燃料電池セル1が積層され、セパレータ30を介して互いに電気的に直列接続された状態(セルスタック)となる。一つの燃料電池セル1の発電電圧は約1V程度であるが、上記のように複数の燃料電池セル1を直列接続することにより、数百Vの高電圧を出力することが可能となる。このように、セパレータ30は、複数の燃料電池セル1を電気的に接続する役割と、各燃料電池セル1に対して反応ガスを供給する役割とを担っている。尚、互いに隣接するカソード側セパレータ30aとアノード側セパレータ30bとの間には、燃料電池セル1を冷却するための冷媒流路を形成してもよい。
以上のような構成の燃料電池セル1を製作する方法について、図2を参照しながら簡単に説明する。図2は、燃料電池セル1の製法を説明するための分解図である。図2に示したように、まず、電解質膜11にカソード電極12a及びアノード電極12b形成した状態の膜電極接合体10と、カソード側ガス拡散層20aと、アノード側ガス拡散層20bとがそれぞれ個別に作成される。
その後、膜電極接合体10のカソード電極12aに対して導電性多孔質層21aを当接させ、膜電極接合体10のアノード電極12bに対して導電性多孔質層21bを当接させた状態とする。すなわち、膜電極接合体10をその両面から、カソード側ガス拡散層20aとアノード側ガス拡散層20bとで挟みこんだ状態とする。
この状態でホットプレス処理を行い、カソード側ガス拡散層20a、膜電極接合体10、及びアノード側ガス拡散層20bを接合して一体化する。その後、これをカソード側セパレータ30aとアノード側セパレータ30bとで挟みこむ。尚、燃料電池セル1単体の状態では、セパレータ30とガス拡散層20との接合は特に行われない。これらは、複数の燃料電池セル1を積層してセルスタックを構成した状態で、全体を積層方向に沿って圧縮するように保持することにより固定される。
次に、カソード側ガス拡散層20aの具体的な製造方法について説明する。尚、アノード側ガス拡散層20bについては、その構造及び製造方法はカソード側ガス拡散層20aとほぼ同じであるため、説明を省略する。
まず、導電性多孔質層21aの原料として、導電性材料と撥水性材料とを混合してなるペースト状の塗布材を準備する(準備工程)。本実施例では、導電性材料としてカーボン粒子を用い、撥水性材料として繊維状のPTFE樹脂を用いた。これらに溶媒を加えて十分に混合し、カーボン粒子及びPTFE樹脂が均一に分散した状態の塗布材を得る。
続いて、カーボンペーパーである拡散層基材22aを準備し、その一方の面上に上記塗布材を塗布する(塗布工程)。塗布材は、塗布後の厚さが全体で均一となるように塗布され、拡散層基材22aの面上に被焼成層が形成される。被焼成層は、後の焼成工程において加熱されることにより、導電性多孔質層21aとなる層である。
塗布工程で形成された被焼成層は、上記のように厚さが均一であり、カーボン粒子及びPTFE樹脂が一様に分散した状態となっている。すなわち、被焼成層の表面に沿った方向においても、厚さ方向においても、カーボン粒子及びPTFE樹脂のそれぞれの密度の分布が一様な状態となっている。
その後、片側表面に被焼成層が形成された状態の拡散層基材22aを加熱炉内に投入し、全体を加熱する(焼成工程)。加熱によって被焼成層(塗布材)の溶媒が抜け、カーボン粒子が立体的な網目構造の骨材となり多孔質層を形成する。PTFE樹脂は、上記多孔質層の内部に分散配置された状態となり、分散したそれぞれのPTFE樹脂が骨材(カーボン)の一部を被覆した状態となる。
焼成工程では、全体を一様な温度で加熱するのではなく、被焼成層の両面で温度差がある状態を維持しながら加熱する。具体的には、被焼成層のうち拡散層基材22aと接する部分の温度が、被焼成層のうち拡散層基材22aとは反対側の表面の温度よりも高温である状態を維持しながら加熱する。
本実施形態では、被焼成層のうち拡散層基材22aと接する部分の温度を、PTFE樹脂の融点である327℃よりも高い状態に維持しながら加熱した。また、被焼成層のうち拡散層基材22aとは反対側の表面の温度を、327℃よりも低い状態に維持しながら加熱した。このような温度差を維持しながらの加熱は、加熱炉内において例えば被焼成層の一面側(拡散層基材22a側)にのみヒータを配置したり、被焼成層の他面側(拡散層基材22aとは反対側)を冷却したりすることにより行うことができる。
上記のような焼成工程を経て形成される導電性多孔質層21aは、空隙率の分布については全体で略同一となっている。換言すれば、多孔質の骨材であるカーボンの密度が、全体で略均一となっている。同様に、導電性多孔質層21aの内部に分散配置されたPTFE樹脂の密度も、全体で略均一となっている。
一方、導電性多孔質層21aにおけるPTFE樹脂の状態については、拡散層基材22a側とその反対側(カソード電極12a側)とで異なるものとなる。すなわち、比較的高温に維持される拡散層基材22a側では、PTFE樹脂が溶融して粘度が低い状態となる結果、骨材であるカーボンの表面の多くがPTFE樹脂で覆われる。これに対し、比較的低温に維持されるカソード電極12a側では、PTFE樹脂の粘度はさほど低下しないためにPTFE樹脂の流動性が低く、骨材であるカーボンの表面の多くがPTFE樹脂で覆われずに露出した状態となる。
ここで、骨材であるカーボンの表面のうちPTFE樹脂で被覆されずに露出している表面が占める割合を露出率と定義する。上記のように、導電性多孔質層21aのうちカソード電極12a側(拡散層基材22aとは反対側)における露出率が、導電性多孔質層21aのうち拡散層基材22a側における露出率よりも高くなっている。
上記のように、導電性多孔質層21aの両面で露出率を異ならせた効果について説明する。本発明者らの検討によれば、カソード電極12aと導電性多孔質層21aとは、カソード電極12aに含有されたアイオノマーと、導電性多孔質層21aの骨材を成すカーボンとの間に働く親和力によって結合(密着)することが判明している。本実施形態では、導電性多孔質層21aのうちカソード電極12a側、すなわち、拡散層基材22aとは反対側の表面近傍では上記露出率が高く、カーボン(骨材)の表面が多く露出しているため、上記親和力が大きくなっている。その結果、導電性多孔質層21aとカソード電極12aとの密着性が十分に向上している。
本実施形態では、導電性多孔質層21aの空隙率が全体で(少なくとも厚さ方向には)一様となっており、特にカソード電極12aの近傍における空隙率が他の部分よりも小さくなっているわけではない。このため、導電性多孔質層21aのガス拡散性を確保するためにある程度の(高い)空隙率を確保していることに鑑みれば、カソード電極12aと導電性多孔質層21aとの接触面積は、従来よりも小さい状態となっている。しかし、本実施形態では上記のように露出率を調整することで、カソード電極12aと導電性多孔質層21aとの密着性を十分に確保している。
一方、導電性多孔質層21aの空隙率は全体で(少なくとも厚さ方向には)一様となっているため、特に拡散層基材22aの近傍における空隙率が他の部分よりも大きくなっているわけではない。このため、カーボンクロスである拡散層基材22aから導電性多孔質層21aに毛羽が浸入することが抑制されている。
以上のように、本実施形態に係るカソード側ガス拡散層20aでは、導電性多孔質層21aとカソード電極12aとの密着性、及び、導電性多孔質層21aのガス拡散性を十分なものとしながら、毛羽に対する耐久性十分に確保している。
本実施形態に係るカソード側ガス拡散層20aは、万が一導電性多孔質層21aの内部に毛羽が侵入した場合であっても、当該毛羽を切断し、膜電極接合体10に到達することを抑制する機能を有している。これについて、図3を参照しながら説明する。図3は、カソード側ガス拡散層20aの内部で、毛羽が切断される様子を模式的に説明するための図である。
図3(A)に示したように、カソード側ガス拡散層20aには、拡散層基材22aから毛羽50(カーボン繊維)が突き刺さった状態となることがある。このような毛羽50の侵入は、燃料電池セル1を製作する際のホットプレス時に生じる場合の他、燃料電池セル1を搭載した燃料電池装置の使用時において、外部から加えられた振動により生じる場合もある。図3(A)のように拡散層基材22a側(図3における上方側)から毛羽50が突き刺さった状態が続くと、当該毛羽50が膜電極接合体10側(図3における下方側)に向けて進行し、が膜電極接合体10を損傷してしまう可能性があるために好ましくない。
本実施形態に係るカソード側ガス拡散層20aは、既に説明したように、焼成工程において温度差がついた状態を維持しながら加熱されている。その結果、導電性多孔質層21aのうち高温に維持されていた拡散層基材22側(図3における上方側)は、そのヤング率が比較的大きくなっている。一方、導電性多孔質層21aのうち低温に維持されていたカソード電極12a側(図3における下方側)は、そのヤング率が比較的小さくなっている。
このように、導電性多孔質層21aのヤング率が厚さ方向に傾斜しているため、燃料電池セル1に振動が加わった際に導電性多孔質層21aに生じる歪みは一様とならず、拡散層基材22a側とその反対側とで異なる大きさとなる。具体的には、燃料電池セル1に振動が加わって導電性多孔質層21aにせん断方向の力(図3で、矢印AR1及び矢印AR2で示した方向の力)が加わった際、ヤング率の大きい拡散層基材22a側では当該方向に小さな歪みが生じ、ヤング率の小さいカソード電極12a側では当該方向に大きな歪みが生じる。すなわち、導電性多孔質層21aは、拡散層基材22a側(図3における上方側)の近傍よりもカソード電極12a側(図3における下方側)の近傍の方がせん断方向(図3における左右方向)に大きく変異し、これにより毛羽50に対して折り曲げるような力が働く。その結果、図3(B)に示したように、導電性多孔質層21aの内部において毛羽50が切断され、毛羽50が膜電極接合体10に到達することが抑制される。このように、本実施形態に係るカソード側ガス拡散層20aは、毛羽50を内部で切断する機能を有している。
本実施形態に係るカソード側ガス拡散層20aは、焼成工程において温度差がついた状態を維持することにより、導電性多孔質層21aにおける露出率を拡散層基材22a側とその反対側とで異ならせている。厚さ方向に沿って露出率を異ならせるための方法としては上記のような方法に限られず、様々な方法を採用することができる。
例えば、露出率が互いに異なる焼成済みの導電性多孔質層21aを複数枚用意し、これらを拡散層基材22の上部に重ねて配置した状態でホットプレスすることにより、カソード側ガス拡散層20aを形成してもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1:燃料電池セル
10:膜電極接合体
11:電解質膜
12a:カソード電極
12b:アノード電極
20:ガス拡散層
20a:カソード側ガス拡散層
20b:アノード側ガス拡散層
21a,21b:導電性多孔質層
22,22a,22b:拡散層基材
30:セパレータ
30a:カソード側セパレータ
30b:アノード側セパレータ
31a,31b:溝
50:毛羽

Claims (2)

  1. シート状に形成された拡散層基材の一方側の面上に単層の導電性多孔質層を形成してなり、前記導電性多孔質層を膜電極接合体の触媒層に接触させた状態で前記膜電極接合体に対して積層される燃料電池用ガス拡散層であって、
    前記導電性多孔質層は、
    前記膜電極接合体との積層方向に沿った空隙率の分布が均一となるように形成され、前記膜電極接合体との積層方向に沿った密度が均一である多孔質状の導電性部材と、
    前記導電性部材の内部全体に分散配置された撥水性部材と、を有しており、
    前記導電性部材の表面のうち、前記撥水性部材で被覆されずに露出している表面が占める割合を露出率と定義したときに、
    前記導電性多孔質層のうち前記触媒層側における前記露出率は、前記導電性多孔質層のうち前記拡散層基材側における前記露出率よりも高いことを特徴とする燃料電池用ガス拡散層。
  2. 前記導電性多孔質のうち前記拡散層基材側におけるヤング率は、前記導電性多孔質層のうち前記触媒層側におけるヤング率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用ガス拡散層。
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