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JP6242066B2 - 減速機群の製造方法 - Google Patents

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JP6242066B2 JP2013075251A JP2013075251A JP6242066B2 JP 6242066 B2 JP6242066 B2 JP 6242066B2 JP 2013075251 A JP2013075251 A JP 2013075251A JP 2013075251 A JP2013075251 A JP 2013075251A JP 6242066 B2 JP6242066 B2 JP 6242066B2
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Description

本発明は、減速機群の製造方法、特に、偏心揺動型の減速機のシリーズにおける減速機群の製造方法に関する。
特許文献1に、偏心揺動型の減速機が開示されている。この減速機は、内歯歯車と、該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車と、を備え、さらに該外歯歯車を偏心揺動させる偏心体を備えている。偏心体と外歯歯車との間には、偏心体軸受が配置されている。外歯歯車は、偏心体に案内されて偏心揺動しながら内歯歯車に内接噛合し、内歯歯車と外歯歯車の相対回転が、該外歯歯車を貫通しているピン部材を介して出力として取り出される構成とされている。
この種の減速機は、ユーザの多様な要求を満たすために、伝達トルク(出力トルク、ピークトルク、定格トルク等の概念を含む)の大小により規定される複数の枠番(大小区分)が設定され、各枠番において減速比の異なる複数の減速機の一群が「シリーズ」として用意されるのが一般的である。
特開2011−247364号公報(図1)
このような減速機のシリーズにおいて、枠番および減速比の異なる1台1台の減速機毎に部品を専用設計すると、部品点数の増加を招いてしまう。そこで、従来のシリーズにおいては、同一枠番では、減速比の高低の如何に関わらず、共通の部品を使用することにより、部品点数の増加を抑制していた。しかしながら、この場合、低減速比側の減速機の強度を考慮して設計された部品が使用されることとなるため、高減速比側の減速機において
は、本来発揮できるはずの動力伝達性能を十分に発揮できていなかった。
本発明は、このような問題を緩和するためになされたものであって、シリーズ全体の構築コストを抑制しつつ、シリーズに属する各減速機の動力伝達性能をより向上できる減速機群の製造方法を提供することをその課題としている。
本発明は、伝達トルクの大小により規定される複数の枠番を有し、各枠番に減速比の異なる複数の減速機を有する減速機のシリーズにおける減速機群の製造方法であって、前記減速機は、内歯歯車、該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車、該外歯歯車を偏心揺動させる偏心体、および該偏心体と前記外歯歯車との間に設けられた偏心体軸受を備える偏心揺動型の減速機とされ、前記複数の枠番として、第1枠番と、該第1枠番よりも伝達トルクの大きい減速機が含まれる第2枠番と、を有し、前記第1枠番に属する減速機として、第1減速機と、該第1減速機よりも高減速比の第2減速機と、を製造し、前記第2枠番に属する減速機として、第3減速機と、該第3減速機よりも高減速比の第4減速機と、を製造し、前記第1減速機の前記偏心体軸受よりも径が大きい前記偏心体軸受を使用して前記第2減速機を製造し、前記第3減速機の前記偏心体軸受よりも径が大きい前記偏心体軸受を使用して前記第4減速機を製造し共通の前記偏心体軸受を使用して前記第2減速機および前記第3減速機を製造する構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明においては、この種の偏心揺動型の減速機では、同一の枠番であっても、偏心体と外歯歯車との間に配置されている偏心体軸受に関しては、減速比が大きくなるほど該偏心体軸受に係るトルクが大きくなる(許容トルク上厳しくなる)ことに着目している。この視点に立ち、本発明では、低減速比の減速機と高減速比の減速機とで径の異なる偏心体軸受を使用することとし、一方、特定の枠番における高減速比の減速機用の偏心体軸受を、当該特定の枠番よりも大きい枠番の低減速比の減速機用の偏心体軸受として使用するようにしている。
これにより、低減速比側の減速機の強度を考慮して設計しつつ、高減速比側の減速機においても、本来発揮できるはずの動力伝達性能を十分に発揮させることができる。
本発明によれば、シリーズ全体の構築コストを抑制しつつ、シリーズに属する各減速機の動力伝達性能をより向上できる減速機群の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態の一例に係る偏心揺動型の減速機のシリーズの代表的な例を示す構成図 図1のシリーズの小枠番、低減速比の減速機の構成例を示す断面図 図1のシリーズの要部を抽出して示す部分拡大断面図 図1のシリーズの(A)小枠番、高減速比、および(B)大枠番、低減速比の主要部の軸断面を模式化して示した断面図
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態の一例に係る偏心揺動型の減速機のシリーズについて詳細に説明する。
この種の偏心揺動型の減速機のシリーズでは、伝達トルクの大小に対応して設定される枠番が複数規定され、該複数の枠番毎に、複数の減速比の減速機が用意されている。図1は、本発明の実施形態の一例に係る偏心揺動型の減速機のシリーズの代表的な例を示す構成図であり、大小2つの枠番において、高低2つの減速比の減速機が用意されている。この4つの減速機は、本減速機のシリーズを構成する1台1台の減速機に相当している。ここでは、便宜上、小枠番に「a」、大枠番に「b」、低減速比に「L」、高減速比に「H」の識別符号を与え、「小枠番、低減速比」の減速機を「小低減速機12aL」、「小枠番、高減速比」の減速機を「小高減速機12aH」、「大枠番、低減速比」の減速機を「大低減速機12bL」、「大枠番、高減速比」の減速機を「大高減速機12bH」と呼称することによって区別することとする。また、同様に、特定の減速機の特定の部材に着目するときは、適宜、番号の末尾に「aL」、「aH」、「bL」、「bH」の符号を付すこととする。
本発明における「伝達トルクの大小により規定される枠番」は、「同一の減速比で、減速機の出力トルク、ピークトルク、あるいは定格トルク等の各種伝達トルクの概念のうちのいずれか一つに着目したときの大小区分」を意味している。すなわち、減速比が同一ならば、着目した特定の伝達トルクの種類に関わらず、枠番の異なる減速機は、同じ傾向の大小関係があり、この傾向は減速機の大きさ(寸法)の大小関係とも一致している(大小関係の逆転はない)。
各減速機12は、細かな部分で異なるところはあるものの、基本的な減速機構は、共通している。したがって、図2を用いて、代表して小枠番a、低減速比Lの小低減速機12aLをベースにしてシリーズに属する減速機12の基本的な構成を説明する。
先ず、概略から説明すると、この小低減速機12aLは、偏心揺動型の減速機と称されるもので、内歯歯車14aLと、該内歯歯車14aLに内接噛合する外歯歯車16aLと、を備え、さらに該外歯歯車16aLを偏心揺動させる偏心体34aLを備えている。偏心体34aLと外歯歯車16aLとの間には、偏心体軸受40aLが配置されている。外歯歯車16aLは、偏心体34aLに案内されて偏心揺動しながら内歯歯車14aLに内接噛合し、内歯歯車14aLと外歯歯車16aLの相対回転が、該外歯歯車16aLを貫通しているピン部材22aLを介して出力として取り出される構成とされている。
以下、入力側から順に説明してゆく。
入力軸18aLは、キー30aLを介して図示せぬモータと連結可能である。また、入力軸18aLには、別のキー32aLを介して2つの偏心体34aLが一体化されている。各偏心体34aLの外周は、入力軸18aLの軸心(後述する内歯歯車や出力軸の軸心と同じ)O1aLに対して偏心量δaLだけ、偏心している。2つの偏心体34aLの偏心位相は180度である。なお、この小低減速機12aLは低減速比の減速機であるため、偏心量δaLは、かなり大きな値となっている。
各偏心体34aLの外周には、該偏心体34aLの軸方向両端に形成された鍔部の間に挟まれて偏心体軸受40aLが装着されており、該偏心体軸受40aLを介して外歯歯車16aLが揺動可能に組み込まれている。すなわち、この小低減速機12aLでは、入力軸18aLが、外歯歯車16aLを揺動させる偏心体軸を構成している。このタイプは、偏心体軸が内歯歯車の軸心O1の位置に1本のみ設けられていることから、「センタクランクタイプ」と称されている。なお、入力軸18aLは、後述するキャリヤ体(フランジ部材)60aLと入力側カバー体82aLによって入力軸軸受94aL、95aLを介して回転自在に支持されている。
なお、前記偏心体軸受40aLは、この例では、専用の内外輪を備えておらず、転動体を構成するころ41aLと、該ころ41aLを整列・保持するリテーナ42aLとで構成されている。換言するならば、偏心体軸受40aLの外輪は外歯歯車16aLが兼用し、内輪は偏心体34aLが兼用している。なお、後述する「偏心体軸受の径」という用語は、この明細書では、転動体(この例ではころ41aL)の外径を指している。
入力軸(偏心体軸)18aLは、外歯歯車16aLを、偏心揺動させながら内歯歯車14aLに内接噛合させている。内歯歯車14aLは、本実施形態では、ケーシング50aLと一体化された内歯歯車本体52aLと、該内歯歯車本体52aLに支持された支持ピン54aLと、該支持ピン54aLに回転自在に外嵌され、該内歯歯車14aLの内歯を構成する外ローラ56aLとで構成されている。内歯歯車14aLの内歯の数(外ローラ56aLの数)は、外歯歯車16aLの外歯の数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
前述したように、外歯歯車16aLには、貫通孔20aLが設けられており、該貫通孔20aLをピン部材22aLが貫通している。この実施形態では、ピン部材22aLは、円柱状の内ピン24aLと該内ピン24aLに外嵌された摺動促進部材26aLとで構成されている。外歯歯車16aLの貫通孔20aLとピン部材22aL(の摺動促進部材26aL)の外周との間には、偏心体34aLの偏心量δaLの2倍に相当する隙間が確保されている。
外歯歯車16aLの軸方向側部には、キャリヤ体(フランジ部材)60aLが設けられている。前記ピン部材22aLの内ピン24aLは、キャリヤ体60aLに設けられた圧入孔62aLに圧入され、該キャリヤ体60aLと一体化されている。キャリヤ体60aLには、肉厚の筒部64aLが一体形成されている。筒部64aLの負荷側端部の内周には、出力軸66aLがスプライン係合部68aLを介して連結されている。なお、筒部64aLと出力軸66aLの軸方向の連結・位置決めは、プレート70aLとボルト72aLによって行われている。筒部64aLと出力軸66aLは、一体化されることによって大型の出力体74aLを構成している。出力体74aLは、負荷側出力軸受76aLおよび反負荷側出力軸受78aLにてケーシング50aLに支持されている。
ケーシング50aLは、この例では、ケーシング本体80aL、および該ケーシング本体80aLの軸方向両側に設けられた入力側カバー体82aLおよび出力側カバー体84aLとで構成されている。出力側カバー体84aLには、脚部86aLが取り付けられ、図示せぬ床面、あるいは相手機械面に据付可能である。なお、符号88aLは負荷側出力軸受76aLの抜け止めおよび位置決めを行うためのブッシュ、符号90aLは、オイルシールである。
シリーズ構築のための工夫に係る構成については、後に触れるとして、この小低減速機12aLの減速作用について、先に説明しておく。なお、この減速作用は、図1に掲げたシリーズ中の全減速機12に共通である。
入力軸18aLが回転すると、該入力軸18aLと一体化されている偏心体34aLが回転し、偏心体軸受40aLを介して外歯歯車16aLが揺動しながら内歯歯車14aLに内接噛合する。この結果、外歯歯車16aLと内歯歯車14aLとの噛合位置が順次ずれてゆく現象が発生する。外歯歯車16aLの歯数は、内歯歯車14aLの歯数(外ローラ56aLの個数)よりも1だけ小さく設定されているため、外歯歯車16aLは入力軸18aLが1回回転する毎に(固定状態にある)内歯歯車14aLに対して1歯分だけ周方向の位相がずれてゆく(自転する)ことになる。この自転の成分がピン部材22aL(摺動促進部材26aLおよび内ピン24aL)を介してキャリヤ体60aLに伝達され、該キャリヤ体60aLと一体化されている出力軸66aLに伝達される。外歯歯車16aLの揺動成分は、ピン部材22aLの摺動促進部材26aLと貫通孔20aLとの間の隙間によって吸収される。
次に、本実施形態に係るシリーズの構成(図1に掲げた4台の減速機12の各部材の関係)について詳細に説明する。なお、以降の説明では、構造と作用が不離一体の関係にあるため、理解を容易にするため、構成と作用を同時に説明してゆく。
なお、本実施形態においては、「減速機のシリーズ」を、「同一の系列と謳われてラインナップされている減速機の一群であって、動力伝達に係る各部材の形状が基本的に相似形とされている減速機構を有し、伝達トルク(定格トルク、許容トルク等の概念を含む)、および減速比が互いに異なっている減速機の一群」と捉えている。
したがって、本実施形態では、例えば、中実の偏心揺動型の減速機と中空の偏心揺動型の減速機同士のように、減速機中の減速機構の部分の構成自体が相似形となっていない減速機同士は、同一のシリーズに属する減速機の概念に含まない。
また、例えば、旧シリーズに属する減速機とその改良型の新シリーズに属する減速機のように、「同一の系列と謳われてラインナップされていない(経時的に別系列の)減速機同士」は、本実施形態に係る同一のシリーズに属する減速機の概念に含まない。これは、旧シリーズと改良型の新シリーズの間においては、形状が同一、または類似の部材が使用されることもあるが、シリーズ全体の伝達トルク増強等のために、シリーズに含まれる減速機に共通した構造上の改変が加えられるからである。
逆に、一部の減速機、例えば特定の枠番における特定の減速機だけ軸受の種類、オイルシールの種類、あるいはボルトの連結構造等が異なったり、他の一部の部材のみ形状が完全な相似形となっていなかったりすることがあるが、この場合は、「同一の系列と謳われてラインナップされている減速機の一群」である限り、本実施形態では、同一のシリーズの概念に含まれる。
上記説明において、「各部材の形状が基本的に相似形とされている減速機構を有し」とされていたのは、このような、ごく一部の部材または一部の部材の一部のみが非相似形とされている場合を含むという趣旨である。
図3の(A)は、図1における小低減速機12aLの要部、(B)は、小高減速機12aHの要部、(C)は、大低減速機12bLの要部をそれぞれ示している。また、図4(A)(B)は、それぞれ小高減速機12aH、および大低減速機12bLの軸断面を模式化して示した断面図である。
図3において、偏心体軸受40に着目する。前述したように、偏心体軸受40は、偏心体34と外歯歯車16との間に設けられ、この実施形態では、「ころ」にて形成されている。前述したように、「偏心体軸受の径」は、転動体の外径を指しているため、偏心体軸受が、ころで構成されているときは、「偏心体軸受の径」とは、ころ(転動体)の外径のことである。因みに、偏心体軸受が、ボールで構成されている場合には、ボール(転動体)の外径が偏心体軸受の径に相当する。
従来の小低減速機(12aL)と小高減速機(12aH)においては、(枠番が「小」で、同一であることから、同一(合同)の偏心体軸受(40)が使用されていた。しかしながら、小低減速機(12aL)は、低減速比であることから、外歯歯車(16aL)の歯数が少なく、モジュールが大きいため、それに合わせて偏心量(δaL)が大きい。そのため、外歯歯車(16aL)の揺動(径方向の動き)の範囲が大きく、外歯歯車(16aL)に大きな内径の貫通孔(20aL)が形成されることになる。その結果、外歯歯車(16aL)の貫通孔(20aL)と偏心体軸受(40aL)用の孔との間の寸法、あるいは外歯歯車(16aL)の貫通孔(20aL)と歯底までの寸法が小さくなる傾向があり、外歯歯車(16aL)の強度を確保するために、偏心体軸受(40aL)の径を大きく確保しにくいという問題があった。
一方、小高減速機(12aH)では、高減速比であることから、このような外歯歯車(16aH)の強度の問題は小さく、偏心体軸受(40aH)の径をより大きくできるにも拘わらず、実際には偏心体軸受(40aH)の径は小低減速機(12aL)の偏心体軸受(40aL)と同一であったため、当該偏心体軸受(40aH)自体の強度が、小高減速機12aHにおいて偏心体軸受(40aH)に掛かるトルクに対して相対的に小さくなり、小高減速機(12aH)が本来発揮できるはずの許容出力トルクが制限されているという問題があった。
また、この問題は、全ての枠番、例えば、大枠番の大低減速機(12bL)および大高減速機(12bH)の間においても、共通の偏心体軸受(40)を使用していたため、同様に発生していた。
これに対し、本実施形態に係る図1のシリーズでは、各枠番において、低減速比の減速機と高減速比の減速機とで径の異なる偏心体軸受が使用される。つまり、小低減速機12aLの偏心体軸受40aLは、小高減速機12aHのピン部材22aHと異なっている。
具体的には、小低減速機12aLの偏心体軸受40aLの外径d1aLより小高減速機12aHの偏心体軸受40aHの外径d1aHが大きい(d1aL<d1aH)。
また、小低減速機12aLの偏心体軸受40aLの軸方向長さS1aLより小高減速機12aHの偏心体軸受40aHの軸方向長さS1aHが大きい(S1aL<S1aH)。
この大小関係は、大枠番bの大低減速機12bL、大高減速機12bHでも、全く同様であり、大低減速機12bLの偏心体軸受40bLは、大高減速機12bHの偏心体軸受40bHとは異なっている。すなわち、偏心体軸受40bLよりも偏心体軸受40bHの方が大きい(偏心体軸受40bL<偏心体軸受40bH)。
この点が、同一の枠番では、同一の偏心体軸受(40)を使用していた従来のシリーズと、先ず、大きく異なる点である。
そして、本実施形態では、特定の枠番における高減速比用の減速機の偏心体軸受が、当該特定の枠番よりも大きい枠番における低減速比用の減速機の偏心体軸受として使用される。つまり、本実施形態では、上記小高減速機12aHの偏心体軸受40aHは、大低減速機12bLの偏心体軸受40bLと同一である。
具体的には、小高減速機12aHの偏心体軸受40aHの外径d1aHは、大低減速機12bLの偏心体軸受40bLの外径d1bLと同一である(d1aH=d1bL)。
また、小高減速機12aHの偏心体軸受40aHの軸方向長さS1aHは、大低減速機12bLの偏心体軸受40bLの軸方向長さS1bLと同一である(S1aH=S1bL)。
すなわち、小高減速機12aHの偏心体軸受40aHは、大低減速機12bLの偏心体軸受40bLと完全に同一であり(40aH=40bL)、小枠番aにおける高減速比用の小高減速機12aHの偏心体軸受40aHが、当該小枠番aよりも大きい大枠番bの低減速比用の大低減速機12bLの偏心体軸受40bLとして使用されている(共用化されている)。
これにより、本減速機12のシリーズでは、各枠番a、bの低減速比Lの減速機12aL、12bLにおいて、貫通孔20aL、20bLの径が大きいにも拘わらず、偏心体軸受40aL、40bLの外径を比較的小さく設定することができるようになることから、低減速比側の外歯歯車16aL、16bLの強度を十分に高く維持することができる。
一方、本減速機12のシリーズでは、各枠番a、bの高減速比Hの減速機12aH、12bHにおいて、偏心体軸受40aH、40bHの外径が、低減速比Lの減速機12aL、12bLの偏心体軸受40aL、40bLの外径と比べてより大きく設定されている。このため、高減速比Hの減速機12aH、12bHにおいて許容トルクを増大させ、動力伝達性能を向上できる。すなわち、低減速比L側の減速機12aL、12bLの強度を考慮して設計しつつ、高減速比H側の減速機12aH、12bHにおいても、本来発揮できるはずの動力伝達性能を十分に発揮させることができる。
そして、このように各枠番a、bにおいて低減速比Lの減速機12aL、12bLと高減速比Hの減速機12aH、12bHとで偏心体軸受40を異ならせているにも拘わらず、小高減速機12aHおよび大低減速機12bLの間で同一の偏心体軸受40aH(=40bL)が使用されているため、部品点数の増大やコストの増大を抑制することができる。これにより、結果として、シリーズ全体の構築コストを抑制しつつ、シリーズに属する各減速機12aL、12aH、12bL、12bHの動力伝達性能をより向上させることができる。
なお、本実施形態の上記作用効果は、従来のシリーズに対して、同一の大きさで、より強度的に余裕のあるシリーズとして構築することに適用したり、あるいは、同一の強度で従来よりも小型、あるいはより低コストの減速機のシリーズとして構築することに適用したりすることが可能である。
なお、本実施形態では、シリーズの構築に関し、さらにいくつかの工夫をしている。
例えば、本実施形態に係るシリーズにおいては、ピン部材22(具体的には内ピン24および摺動促進部材26)も、高減速比Hの減速機12aH、12bHにおいて、低減速比Lの減速機12aL、12bLとは異なるピン部材22aH、22bHを用いるようにしている。一般に、偏心体軸受40と同様な理由により、ピン部材22についても、低減速比L側における外歯歯車16、および高減速比H側におけるピン部材22自体に強度上の問題を有しているが、本実施形態においては、低減速比L側の外歯歯車16、および高減速比H側のピン部材22についても、より余裕のある設計を行うことができる。そして、それにも拘わらず、このピン部材22についても、特定の枠番(小枠番a)における高減速比Hの小高減速機12aHと、当該特定の枠番aよりも大きい枠番(大枠番b)における低減速比Lの大低減速機12bLにおいて同一としている。すなわち、小高減速機12aHのピン部材22aHと大低減速機12bLのピン部材22bLも共用化している。その結果、ピン部材22を低減速比Lの小低減速機12aLと高減速比Hの小高減速機12aHとで使い分けるようにしていながら、ここでも部品点数の増大を抑制できている。
さらに、本実施形態に係るシリーズの減速機12では、外歯歯車16の軸方向側部にピン部材22(具体的にはこのうちの内ピン24)が連結されるキャリヤ体(フランジ部材)60を有し、このキャリヤ体60に、内ピン24が圧入されている。この内ピン24のピッチ円径、すなわち、内ピン24が圧入されるキャリヤ体60の圧入孔62のピッチ円径が、特定の枠番である小枠番aの高減速比Hの小高減速機12aHと当該特定の大枠番bの低減速比Lの大低減速機12bLとで共通(共にd5)とされている。
そのため、本実施形態に係るシリーズでは、小高減速機12aHと大低減速機12bLとでキャリヤ体60も共通化されている。なお、内ピン24のピッチ円半径(d5)をこのように小高減速機12aHと大低減速機12bLとで共通としておくことにより、内ピン(24)がキャリヤ体(60)に圧入されるのではなく、内ピン(24)とキャリヤ体(60)が一体形成されている構成であっても、当該内ピン(24)の一体形成されたキャリヤ体(60)そのものを共通化することができる。
また、本実施形態に係るシリーズでは、各減速機12の出力軸66が、キャリヤ体60と別体で形成された上で該キャリヤ体60とスプライン係合部68を介して連結される構成とし、この出力軸66が負荷側出力軸受76によって支持される構成としている。このため、例えば特定の枠番における高減速比用の減速機のキャリヤ体(60)が、当該特定の枠番よりも大きい枠番における低減速比用の減速機のキャリヤ体(60)と共通化されていたとしても、該共通とされたキャリヤ体(60)に、それぞれの枠番に対応する本来の大きさの出力軸(66)を連結することができる。
また、本実施形態に係るシリーズでは、各減速機12の入力軸18は、キャリヤ体60に支持された入力軸軸受94、および入力側カバー体82に支持された入力軸軸受95によって支持されているが、このうち、キャリヤ体60に支持された入力軸軸受94については、キャリヤ体60がこのように共用化されていることを利用して、当該入力軸軸受94も、同一の枠番において低減速比の減速機と高減速比の減速機とで径を異ならせると共に、特定の枠番(小枠番a)における高減速比Hの小高減速機12aHおよび当該特定の枠番(小枠番a)よりも大きい枠番(大枠番b)における低減速比Lの大低減速機12bLにおいて同一としている。すなわち、小高減速機12aHの(キャリヤ体60aHに支持された)入力軸軸受94aHと大低減速機12bLの(キャリヤ体60bLに支持された)入力軸軸受94bLも、共用化している。その結果、(入力軸軸受94を低減速比の減速機と高減速比の減速機とで使い分けるようにしていながら)一層部品点数の増大を抑制できている。
また、本実施形態に係るシリーズおいては、小枠番a(あるいは大枠番b)における低減速比Lの小低減速機12aL(大低減速機12bL)のケーシング50aL(ケーシング50bL)と外歯歯車16aL(外歯歯車16bL)との間に、スペーサ96aL(スペーサ96bL)を介在させるようにしている。これにより、枠番ごとに軸方向の幅が異なるケーシング50や外歯歯車16を使用していながら、偏心体軸受40やピン部材22(内ピン24および摺動促進部材26)を2つの枠番に跨って共通化したことによって生じる各枠番の低減速比の減速機と高減速比の減速機との軸方向の寸法差を、簡単かつ低コストに吸収することができている。換言するならば、このスペーサ96aL(96bL)によって、低減速比L側と高減速比H側とで同一の軸方向長さのケーシング50や外歯歯車16を使用していながら、偏心体軸受40やピン部材22の軸方向長さが低減速比L側と高減速比H側とで異なることによって生じる軸方向の寸法差を、簡単かつ低コストに吸収することができる。
また、本実施形態においては、キャリヤ体60は、反負荷側出力軸受78を介してケーシング50に支持されているが、この反負荷側出力軸受78とキャリヤ体60との間に、各枠番a、bの低減速比L側の小低減速機12aL、大低減速機12bLにおいて、ブッシュ97aL、97bLが圧入されている。これにより、各枠番a、bごとに、すなわち、異なる枠番間において、異なるケーシング50を使用していながら、キャリヤ体60を2つの枠番a、bに跨がって共通化したことによって生じる径方向の寸法差を、簡単かつ低コストに吸収することができる。換言するならば、このブッシュ97aL、97bLによって、同一の枠番において、低減速比L側と高減速比H側とで同一のケーシング50を使用していながら、偏心体軸受40、ピン部材22、キャリヤ体60の径が低減速比L側と高減速比H側とで異なることによって生じる径方向の寸法差も、簡単かつ低コストに吸収することができる。
尤も、これらのシリーズ構築のための更なる工夫は、本発明において、必ずしも必須の要件ではなく、これらの工夫無しでも、すなわち、偏心体軸受を低減速比L側と高減速比H側で径を異ならせ、かつ特定の枠番における高減速比用の偏心体軸受が、当該特定の枠番よりも大きい枠番における低減速比用の偏心体軸受として使用される共用化をするだけでも、十分、本発明本来の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態においては、センタクランクタイプの偏心揺動型の減速機のシリーズの偏心体軸受に本発明を適用していたが、偏心揺動型の減速機には、内歯歯車の軸心からオフセットした位置に複数の偏心体軸を備え、それぞれの偏心体軸に形成された偏心体が同期して回転することによって外歯歯車を揺動させる振り分けタイプと称される偏心揺動型の減速機も公知である。このような振り分けタイプの偏心揺動型の減速機も、「内歯歯車、該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車、該外歯歯車を偏心揺動させる偏心体、および該偏心体と前記外歯歯車との間に設けられた偏心体軸受を備える偏心揺動型の減速機」という点で共通している。本発明は振り分けタイプの偏心揺動型の減速機のシリーズの偏心体軸受に対しても、適用することができ、上述した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態においては、枠番として大小2つ、減速比として高低2つのバリエーションを有するシリーズが示されていたが、本発明は、双方とも3つ以上のバリエーションを有するシリーズにも当然適用可能である。3つ以上のバリエーションを有するシリーズの場合、「特定の枠番で、かつ特定の減速比を有する減速機」と、「当該特定の枠番より大きい枠番で、かつ当該特定の減速比より低い減速比を有する減速機」との間で、共用化がなされていればよい。
a…小枠番の末符号
b…大枠番の末尾符号
L…低減速比の末尾符号
H…高減速比の末尾符号
δ…偏心量
O1…入力軸、内歯歯車、出力軸の軸心
12…減速機
14…内歯歯車
16…外歯歯車
18…入力軸(偏心体軸)
20…貫通孔
22…ピン部材
24…内ピン
26…摺動促進部材
34…偏心体
40…偏心体軸受
41…ころ
42…リテーナ
50…ケーシング
60…キャリヤ体(フランジ部材)
66…出力軸
96…スペーサ

Claims (2)

  1. 伝達トルクの大小により規定される複数の枠番を有し、各枠番に減速比の異なる複数の減速機を有する減速機のシリーズにおける減速機群の製造方法であって、
    前記減速機は、内歯歯車、該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車、該外歯歯車を偏心揺動させる偏心体、および該偏心体と前記外歯歯車との間に設けられた偏心体軸受を備える偏心揺動型の減速機とされ、
    前記複数の枠番として、第1枠番と、該第1枠番よりも伝達トルクの大きい減速機が含まれる第2枠番と、を有し、
    前記第1枠番に属する減速機として、第1減速機と、該第1減速機よりも高減速比の第2減速機と、を製造し
    前記第2枠番に属する減速機として、第3減速機と、該第3減速機よりも高減速比の第4減速機と、を製造し
    前記第1減速機の前記偏心体軸受よりも径が大きい前記偏心体軸受を使用して前記第2減速機を製造し
    前記第3減速機の前記偏心体軸受よりも径が大きい前記偏心体軸受を使用して前記第4減速機を製造し
    共通の前記偏心体軸受を使用して前記第2減速機および前記第3減速機を製造する
    ことを特徴とする減速機群の製造方法
  2. 請求項1において、
    共通のケーシングを使用して前記第3減速機および前記第4減速機を製造し
    前記第3減速機の前記偏心体軸受よりも軸方向長さが大きい前記偏心体軸受を使用して前記第4減速機を製造し
    前記第3減速機の前記外歯歯車と前記ケーシングとの間にスペーサを介在させて前記第3減速機を製造する
    ことを特徴とする減速機群の製造方法
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