以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構造について説明する。
第1実施形態による部品実装装置100は、図1に示すように、基台1と、基台1上に配置されX方向に基板(回路基板)CBを搬送する基板搬送部2と、基板搬送部2の両側(Y1側およびY2側)に配置されたフィーダ装着部3と、基板搬送部2の上方(紙面手前側)をX−Y平面に沿って移動可能なヘッドユニット4とを備えている。ヘッドユニット4には、電子部品(以下、部品)10を吸着するための複数(10本)の実装ヘッド41がX方向に配列されている。また、図2に示すように、部品実装装置100は、装置の動作制御を行うための制御装置9を備えている。なお、部品10は、本発明の「電子部品」の一例である。
基台1上に配置された基板搬送部2は、図1に示すように、基板CBの搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア2aを有している。一対のコンベア2aは、一方側(X1側)から基板CBを受け入れて所定の作業位置まで搬送するとともに、作業位置において基板CBを保持する機能を有している。また、一対のコンベア2aは、部品10の実装完了後に、実装済みの基板CBを他方側(X2側)に搬出する機能をさらに有している。
フィーダ装着部3には、複数のテープフィーダ3aが横方向(X方向)に沿って並べて配置されている。テープフィーダ3aには、IC、トランジスタおよびコンデンサ等の部品10が収納された部品テープ3bが装着されている。部品テープ3bはリール3c(図示せず)に巻回された状態でテープフィーダ3aに装着される。テープフィーダ3aは、部品テープ3bの巻き取り機構を内蔵し、間欠的に部品テープ3bを繰り出しながら部品10を基板搬送部2近傍の所定の部品供給位置に供給するように構成されている。図1に示すようにテープフィーダ3aは、部品供給位置において図示しないカバーテープが剥がされ、部品10が露出する。テープフィーダ3aは、フィーダ装着部3に着脱可能に構成されており、部品切れが発生した場合には、フィーダ装着部3から取り外して部品補給作業を行うことができる。部品補給作業は、ここでは、部品切れテープフィーダ3aを、同じ部品10を保持する部品テープ3bを装着した予備のテープフィーダ3aと交換する作業、または、部品切れテープフィーダ3aから部品テープ3b(リール3c)を取り外して、新しい部品テープ3b(リール3c)に交換する作業とする。なお、テープフィーダ3aは、本発明の「部品供給部」の一例である。
なお、部品テープ3bが巻回されたリール3cには、部品テープ3bが保持する部品10の種類、部品番号(型番)や保持部品数の情報がバーコードなどによって付与されており、図示しないバーコードリーダなどによってこれらの情報を制御装置9に入力することが可能である。また、制御装置9に接続されたキーボードなどの入力装置(図示せず)を用いて部品10の種類や保持部品数の情報を手動で入力することも可能である。
ヘッドユニット4は、XY方向に移動可能に構成され、テープフィーダ3aから供給される部品10を吸着して基板CB上の所定位置(実装位置)まで移送し、部品10を基板CBに実装(搭載)する機能を有している。ヘッドユニット4の各実装ヘッド41は、複数の部品10を保持するテープフィーダ3aの部品供給位置において露出する部品10を吸着して、吸着した部品10を基板CBに搭載するように構成されている。実装ヘッド41の先端(下端)には部品吸着用の吸着ノズルが装着されており、実装ヘッド41は吸着ノズルの先端部(下端部)に負圧および正圧を発生させることが可能である。これにより、部品実装動作時には、実装ヘッド41は、吸着ノズルの先端(下端)に発生させた負圧によって部品10を吸着し、実装位置で吸着ノズルに正圧を供給することにより、基板CBに部品10を搭載するように構成されている。
また、ヘッドユニット4は、基台1上をX方向に延びる支持部5を介して移動可能に支持されている。ボールねじ軸6bに嵌合する図示しないナットが固定されたヘッドユニット4は、支持部5に設けられたX軸モータ(サーボモータ)6aによりボールねじ軸6bが回動されることによってX方向に移動される。また、基台1の上面には、一対のコンベア2aを跨いでY方向に延びる一対の高架フレーム1aが配置されており、高架フレーム1aには、Y軸モータ(サーボモータ)7aとボールねじ軸7bとが設けられている。ここで、支持部5は、一対の高架フレーム1aに架け渡されている。そして、ボールねじ軸7bに嵌合する図示しないナットが固定された支持部5は、Y軸モータ7aによりボールねじ軸7bが回動されることによって、高架フレーム1a上を固定レール1bに沿ってY方向に移動される。このように、ヘッドユニット4は、ボールねじ軸6bおよび7bがそれぞれ回転されて、基台1上方のX−Y平面内を任意の位置に移動することが可能に構成されている。
また、各々の実装ヘッド41は、Z軸モータ42(図2参照)および図示しない昇降機構によって、吸着ノズルを上下方向(図1の紙面と垂直な方向)に昇降可能に構成されている。実装ヘッド41は、吸着ノズルを昇降させることにより、上方から部品10の吸着を行うとともに、基板CBへの部品10の実装を行う。また、各々の実装ヘッド41は、R軸モータ43(図2参照)および図示しない回転機構によって、中心を通る鉛直軸線を回動中心として吸着ノズルを回動させることが可能なように構成されている。これにより、実装ヘッド41に保持された部品10の姿勢(X−Y平面での向き)がその部品の実装角度に一致するように調整される。
また、ヘッドユニット4には、基板CBに付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を認識するための基板撮像部44が取り付けられている。制御装置9は、基板撮像部44により基板CBのフィデューシャルマーク(図示せず)を上方から撮像して基板CBの位置および姿勢を認識するように構成されている。これにより、基板CBの任意の実装位置の上方に実装ヘッド41の吸着ノズルを位置付け、部品実装を行うことが可能である。
また、基台1上には、前方側(Y2方向側)および後方側(Y1方向側)に部品撮像部8がそれぞれ設けられている。部品撮像部8は、ヘッドユニット4の実装ヘッド41により吸着された実装直前の部品10の下面を、下方から撮像する機能を有している。これにより、実装直前の部品10の吸着ノズルに対する保持(吸着)状態が制御装置9に認識され、認識結果に基づいて適切な実装位置および実装角度で部品を搭載することが可能である。
制御装置9は、図2に示すように、部品実装装置100の部品実装動作に関する全体的な動作を制御するように構成されている。具体的には、制御装置9は、CPUからなる演算処理部91と、記憶部92と、モータ制御部93と、外部入出力部94と、画像処理部95と含んでいる。ここで、記憶部92には、基板CBに対して部品10の実装動作を実行するための実装プログラム92aと、部品実装装置100に装着された各テープフィーダ3aに保持された部品10の残数情報である部品残数データ92bとが格納されている。また、記憶部92には、その他、演算処理部91が実行可能な各種の制御プログラムや、実装動作時に必要となるデータ類が格納されている。また、部品実装装置100には表示ユニット(モニタ)96が設置されており、制御装置9により表示ユニット96の表示が行われるように構成されている。なお、演算処理部91は、本発明の「制御部」の一例である。
演算処理部91は、記憶部92に記憶されている実装プログラム92aに従って実装ヘッド41の搭載動作を制御するように構成されている。また、演算処理部91は、モータ制御部93を介して部品実装装置100の各駆動機構(基板搬送部2およびヘッドユニット4)を制御する機能を有している。また、実装プログラム92aは、1枚の基板CBに実装される部品10の種類、部品番号、部品の寸法や、搭載される部品数など部品情報を個々の部品毎に含んでいる。実装プログラム92aから、基板CBを1枚生産するために使用する部品数が部品毎に取得可能である。
また、演算処理部91は、記憶部92に記憶される部品残数データ92bを用いて個々のテープフィーダ3aに保持された部品10の残数管理を行う機能を有する。上記の通り、個々のテープフィーダ3aに保持された部品10の種類、部品番号や保持部品数は、バーコードの読み取りによって、テープフィーダ3aが部品実装装置100に装着される際に取得され、記憶部92に格納される。そして、実装作業中には、演算処理部91は、テープフィーダ3aからの部品10の取得数をカウントする。テープフィーダ3aの保持部品数から取得数を減算すれば、そのテープフィーダ3aに保持された部品残数が得られる。この部品残数を記憶部92に格納することにより、演算処理部91は、個々のテープフィーダ3aの部品残数を管理する。
モータ制御部93は、演算処理部91から出力される制御信号に基づいて、部品実装装置100の各サーボモータ(X軸モータ6a、Y軸モータ7a、吸着ノズルを上下方向に移動させるZ軸モータ42、および、吸着ノズルを回動させるR軸モータ43など)を制御するように構成されている。また、モータ制御部93は、基板搬送部2に設けられた基板搬送軸(図示せず)のサーボモータを制御するように構成されている。また、モータ制御部93は、各サーボモータが有するエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいてヘッドユニット4のX−Y平面内の位置、実装ヘッド41の高さ位置および回転位置などが認識可能に構成されている。
また、外部入出力部94は、各種センサ類およびストッパ等からの入出力や、各実装ヘッド41への負圧や正圧の圧力供給のためのバルブ類の開閉などを制御する機能を有している。画像処理部95は、基板撮像部44および部品撮像部8が撮像した画像データに所定の画像処理を施す機能を有している。そして、演算処理部91は、画像処理部95による画像処理結果(撮像結果)に基づいて、実装ヘッド41により吸着された部品10の保持状態や、基板CBの位置および姿勢を認識する。
次に、制御装置9の演算処理部91による実装動作制御について説明する。
演算処理部91は、記憶部92の実装プログラム92aに従って、複数(10本)の実装ヘッド41による実装動作をシーケンス制御によって制御する。すなわち、演算処理部91は、10本の実装ヘッド41の各々による部品吸着動作と、ヘッドユニット4を移動させることによる吸着部品10の運搬動作と、10本の実装ヘッド41の各々に吸着された部品10の基板CBへの搭載動作とを単位とするシーケンスを繰り返すことによって、部品搭載を行う。各シーケンスにおいて、それぞれの実装ヘッド41がどの種類の部品10を搭載するかは、予め実装プログラム92aに設定されており、演算処理部91は、実装プログラム92aに予め設定された初期搭載順序81(図3参照)で部品搭載を行うように実装ヘッド41の動作を制御する。なお、各シーケンスには、10本の実装ヘッド41の各々に吸着された部品10の全ての搭載後、基板CB上方からテープフィーダ3aの部品供給位置上方へヘッドユニット4を移動させる移動動作が含まれる。
実装プログラムの初期搭載順序81は、基板CB上の各部品の実装位置や、各部品10の部品供給位置などに応じたヘッドユニット4の移動距離などに基づき、基板1枚あたりの実装作業時間が最も短くなる条件に基づいて最適化されている。図3には、最適化された実装プログラム92aの初期搭載順序81の例を仮想的に示している。図3において、Mは、実装ヘッド(ノズル)数であり、各列の1番〜10番は、ヘッドユニット4の10本の実装ヘッド41に対応させたヘッド番号(1番ヘッド〜10番ヘッド)を表す。また、A〜Dは、部品10の種類を示しており、ここでは、基板CBに全部で4種類の部品A〜Dが実装されると仮定している。各シーケンスq1〜q10は、1番〜10番の各実装ヘッド41がそれぞれ実装する部品の種類(A〜D)を規定している。基板CBに全部品(N個)を実装するのに必要なシーケンス数Lは、N/Mの小数点以下を切り上げた整数で表される。この例では、全部品数N=100として、シーケンス数L=N/M=100/10=10となる。1行目〜10行目は、各シーケンスq1〜q10の実行順(搭載順序)を示し、ターン(ターン1〜ターン10)という。この初期搭載順序81に従って、10ターンの各シーケンスq1〜q10を実行する場合に、基板1枚あたりの実装作業時間が最も短くて済むことになる。
ここで、第1実施形態では、演算処理部91は、残数管理に基づき、実装作業中にいずれかのテープフィーダ3aにおいて部品切れとなる不足部品(たとえば、部品C)について、不足部品の部品切れが発生する時点(シーケンス)と、部品切れ発生後に不足部品の搭載を行う時点(シーケンス)との間で、不足部品以外の部品(部品A、BおよびD)の搭載を行う回数(シーケンス数)を増加させるように、部品10の搭載順序を変更するように構成されている。第1実施形態では、演算処理部91は、実装プログラム92aの初期搭載順序81をシーケンス単位で入れ替えることにより、不足部品の搭載順序を初期搭載順序81から変更するように構成されている。以下では、不足部品が部品Cである場合を仮定して、具体的に説明する。
図3において、ターン9の9番ヘッドで部品Cの部品切れが発生すると仮定する。この場合、ターン9のシーケンスq9に従って1番〜10番目の実装ヘッド41の部品吸着動作をヘッド番号順に実施し、基板CBへの実装前に部品撮像部8による各吸着部品10(CおよびD)の画像認識を行った結果、部品Cが吸着されていない場合、あるいは実装ヘッド41の部品吸着動作前に基板撮像部44によりテープフィーダ3aの部品供給位置における部品Cを上方から撮像して部品Cが認識できなかった場合に、部品切れが確認される。部品切れが発生すると、実装ヘッド41の部品吸着動作がヘッド番号順に実施される場合には、シーケンスq9の部品C(9、10番ヘッド)については実装動作がスキップされ、他の部品D(1〜8番ヘッド)の実装のみが行われる。その後、ターン10のシーケンスq10が実施された後、ターン9でスキップされた不足部品Cの実装動作がリトライ(ターンR)されることになる。このため、初期搭載順序81のままでは、ターン9での部品切れ発生後、ターンRでリトライを行うまでに1ターンしか存在しないため、オペレータによる不足部品Cの補給作業が完了せず、完了するまで部品実装装置100の実装動作を停止する必要がある。
そこで、第1実施形態では、演算処理部91は、各部品10(部品A〜部品D)の残数管理によって、今回実装を行う基板CBの実装中に部品切れが発生すると判断される場合に、その基板CBに対する実装作業の開始前に予め部品10の搭載順序を変更する。部品切れが発生するか否かは、その基板CBの部品使用数(図3の部品Cならば、12個)が、テープフィーダ3aに保持された部品10(部品A〜部品D)の残数を上回るか否かによって判断することができる。演算処理部91は、図4に示すように、部品切れが発生すると判断される場合に不足部品Cの搭載が優先的に実施されるように搭載順序を変更する第1制御を行うように構成されている。
図4に示すように、演算処理部91は、第1制御によって、不足部品Cを搭載する複数のシーケンスを、搭載順序の最初順のターン(最初のターンから連続する複数のターン)に集約させる。これにより、図4の搭載順序82では、不足部品Cの搭載を行うシーケンスq4、q6、q8およびq9が、最初の1ターン目〜4ターン目に集約するように、初期搭載順序81から搭載順序が変更されている。これに伴い、他のシーケンスq1、q2、q3、q5、q7およびq10が、それぞれターン5、6、7、8、9および10に移動している。この結果、変更された搭載順序82では、ターン4のシーケンスq9で部品切れが発生した後、リトライターンRで再度不足部品Cの実装動作を行うまでの間で不足部品C以外の部品搭載を継続可能なシーケンス数(ターン数)が、図3の1ターン分から6ターン分に増加する。この増加したシーケンス数(ターン数)の分だけ、部品実装装置100の実装動作を継続しながら部品補給作業を行うことが可能な部品補給作業時間Tを確保することが可能である。一方、ターン4のシーケンスq9でスキップされた9、10番ヘッドの不足部品Cは、部品実装装置100が停止することなくリトライターンRとして、ターン10に続き連続して実装される。
また、演算処理部91は、各部品10(部品A〜部品D)の残数管理によって、部品切れが発生すると判断される場合に、部品切れ発生後の不足部品Cの搭載を、不足部品C以外の他の部品(A、BおよびD)の搭載の後に実施するように搭載順序を変更する第2制御を行うように構成されている。
具体的には、図3の初期搭載順序81において、ターン6(シーケンスq6)の6番および7番ヘッドで部品切れが発生するケースを仮定する。この場合、各部品10の残数管理に基づく第1制御によって図4の搭載順序82に変更されると、ターン2のシーケンスq6の6番および7番ヘッドで部品切れが発生することになる。そこで、演算処理部91は、図5に示すように、部品切れ発生時点(ターン2の実行時点)で、第2制御によって、部品切れ発生後に不足部品Cを搭載するシーケンスを、搭載順序の最後順のターン(最後のターンまで連続する1または複数のターン)に集約させる。
これにより、図5の搭載順序83では、ターン2の部品切れ発生後に不足部品Cの搭載を行うシーケンスq8およびq9が、最後順のターン9および10に集約されるように、図4(搭載順序82)から搭載順序が変更されている。これに伴い、他のシーケンスq1、q2、q3、q5、q7およびq10が、それぞれターン3、4、5、6、7および8に移動している。この結果、ターン2のシーケンスq6(6番、7番ヘッド)で部品切れが発生した後、ターン9のシーケンスq8で再度不足部品Cの実装動作を行うまでの間で、部品補給作業時間Tを、図4と同様に6ターン(シーケンス)分確保することができる。ターン2のシーケンスq6(6番、7番ヘッド)でスキップされた不足部品Cは、ターン10(シーケンス9)の後、リトライターンRとして連続して実装される。
なお、第1制御のみが実施された場合には、集約後の2ターン目(シーケンスq6)の6番以降、7番、および3ターン目(シーケンスq8)、4ターン目(シーケンスq9)において不足部品Cはスキップされるので、リトライターンRにおいて、スキップされた分不足部品Cがヘッド番号1〜6を使って実装するようにしなければならず、実装時間が長くなってしまう。特に、スキップされる不足部品Cの数が多い場合には、リトライターンR、リトライターンR+1とリトライのターン数を増やすようにしなければならず、より実装時間が長くなってしまうが、第2制御が付加されたものでは、スキップされる不足部品は2ターン目(シーケンスq6)の6番以降、7番だけとなり、リトライターンRでの実装時間が長くなることはない。
部品補給作業時間T(図4および図5では6シーケンス分の時間)の間に部品補給作業が完了すれば、部品実装装置100の実装動作を停止することなく、部品補給作業時間T経過後の部品Cの実装動作(図4では、部品補給作業時間T経過後すぐのリトライターンR、図5ではターン10(シーケンス9)の実装動作後におけるリトライターンR)を継続して実施することが可能となる。また、部品補給作業時間Tの間に部品補給が完了しない場合でも、確保した6シーケンス分の実装作業(部品補給作業時間T)の間に補給作業を続けることができるので、部品実装装置100の停止時間を極力短くすることが可能となる。
なおまた、ターン2のシーケンスq6の7番ヘッドの実装が終了した時点で部品Cが欠品となる場合には、第2制御により、図5の搭載順序83に示すように、ターン2の部品切れ発生後に不足部品Cの搭載を行うシーケンスq8およびq9が、最後順のターン9および10に集約されるように、図4(搭載順序82)から搭載順序が変更される。この場合は、ターン2で部品Cがスキップされていないので、図5でのターン10の実装動作後におけるリトライターンRは不要となる。
なお、演算処理部91は、原則として初期搭載順序81に従って、順次供給される基板CBに対する部品搭載を行う。そして、残数管理によって部品切れが発生するか否かを判断し、部品切れとなる不足部品Cが発生するときの基板CBに対しては、上記の第1制御、または第1制御および第2制御の両方によって不足部品Cの搭載順序を変更して部品搭載を行う。搭載順序の変更後、演算処理部91は、次の基板CBに対する部品搭載の際には、再び初期搭載順序81に戻して部品搭載を行うように構成されている。これにより、変更された搭載順序で部品搭載を行うのは、部品切れが発生する時の基板CBに限定され、その他の基板CBに対しては、最適化された初期搭載順序81に戻される。
次に、図1〜図6を参照して、部品実装装置100において部品10の実装動作が行われる際の制御装置9(演算処理部91)の制御処理フローについて説明する。
図6に示すように、基板CBの搬入に先立って、演算処理部91は、ステップS1において、今回実装する1枚の基板CBの実装中に不足部品が発生するか否かを判断する。演算処理部91は、記憶部92に格納された部品残数データ92bと、実装プログラム92aに含まれる各部品10(部品A〜D)の部品使用数とに基づき、部品使用数が部品残数を上回るか否かを部品種類毎に判断する。なお、以下では説明のため、不足部品が部品Cである場合を説明する。
不足部品が発生すると判断された場合、処理がステップS2に進み、演算処理部91は、実装プログラム92aの初期搭載順序81を変更する第1制御を実行する。これにより、不足部品Cを含むシーケンス(q4、q6、q8およびq9)が搭載順序の最初順に集約されるようにシーケンスが入れ替えられることによって、搭載順序が初期搭載順序81から搭載順序82(図4参照)に変更される。ステップS2の搭載順序82へ変更した場合、および、ステップS1で不足部品が発生しないと判断された場合には、処理がステップS3に進み、実装対象の基板CBが基板搬送部2(図1参照)に搬入される。
図1に示すように、搬入された基板CBは、所定の作業位置まで搬送され、図示しないクランプ機構によって固定的に保持される。また、ヘッドユニット4が基板CBの上方に移動して、基板撮像部44が基板CBのフィデューシャルマーク(図示せず)の撮像を行う。撮像画像の画像認識により、演算処理部91は基板CBの位置および姿勢を認識する。
次に、図6に示すように、ステップS4において、基板CBに対するシーケンス実装動作が開始される。すなわち、実装プログラム92a(図2参照)に従って、複数(10本)の実装ヘッド41による1シーケンス分のシーケンス実装動作(部品吸着動作、運搬動作および部品搭載動作)が、開始される。基板搬入直後には、まず、ターン1のシーケンスが実施される。
具体的には、図1に示すように、まず、ヘッドユニット4が水平移動して、実装を行う部品10(A〜Dのいずれか)を保持するテープフィーダ3aの部品供給位置の上方に、その部品10(A〜D)の実装を行う実装ヘッド41を位置付け、吸着ノズルを下降させることにより、部品10(A〜D)が吸着される。そして、吸着ノズルが上昇される。これを各実装ヘッド41について行うことにより、それぞれの実装ヘッド41による部品吸着動作が実行される。各実装ヘッド41に対応する部品10(A〜D)が吸着されると、ヘッドユニット4が部品撮像部8の上方を通過することにより、吸着部品10(A〜D)の画像認識が実施される。これにより、演算処理部91は、吸着された各部品10(A〜D)の保持(吸着)状態として吸着位置ずれや部品の向き(回転角度)などを認識し、実装時に補正する。また、この部品認識によって、実装ヘッド41に吸着された部品10(A〜D)の有無も認識される。
ステップS4においてシーケンス実装動作が開始された後、図6のステップS5において、演算処理部91は、不足部品が発生したか否かを判断する。すなわち、部品撮像部8による吸着部品の画像認識において、実装ヘッド41に部品10(A〜D)が吸着されていない場合に、その部品10(A〜D)について部品切れにより不足部品が発生したことが確認される。
不足部品が発生していない場合には、図1に示すように、実装ヘッド41に吸着された部品10の搭載点(実装位置)の上方にヘッドユニット4が移動するとともに、吸着ノズルが下降されて部品10が基板CBに搭載された後、吸着ノズルが上昇される。これを実装ヘッド41毎に順次行うことにより、運搬動作および部品実装動作が完了される。シーケンス実装動作の完了後、図6のステップS9に進む。
一方、ステップS5で不足部品(部品C)が発生したと判断された場合には、ステップS6において、まず不足部品Cの実装点がスキップされる。すなわち、不足部品Cに対応する実装ヘッド41(部品吸着できなかった実装ヘッド41)についての実装位置への運搬動作および実装動作がスキップされる。不足部品C以外の部品10(A、BおよびC)を吸着した実装ヘッド41については、運搬動作および部品実装動作が実施される。
次に、ステップS7において、演算処理部91は、部品切れ発生後に不足部品Cを搭載するシーケンスを、搭載順序の最後順のターンに集約させる第2制御を実行する。なお、不足部品が発生する場合には、ステップS2の第1制御によって、図4のように不足部品Cの搭載シーケンスが搭載順序の最初順(ターン1〜4)に集約されるように、搭載順序が変更されている。このため、第2制御では、図4の搭載順序82から、図5に示す搭載順序83になるように各シーケンスの順番が再度入れ替えられる。
その後、図6のステップS8において、演算処理部91は、不足部品Cについての部品補給要請をオペレータに報知する。たとえば、表示ユニット96へのメッセージ表示やランプ点灯(図示せず)、ブザー報知音発生(図示せず)などにより、部品補給要請が報知される。この部品補給要請に基づいてオペレータが不足部品Cの部品補給作業を行う。その後、処理がステップS9に進む。
ステップS9では、演算処理部91は、基板CBのすべての搭載点への部品実装が完了したか否かを判断する。実装プログラム92a(図2参照)において未実装の搭載点(未実行のシーケンス)が残存している場合には、処理がステップS10に進む。
ステップS10では、演算処理部91は、搭載可能な搭載点(シーケンス)が存在するか否かを判断する。ここでは、搭載可能とは、そのシーケンスに、不足部品(部品C)が搭載される搭載点が含まれていないことを意味する。搭載可能なシーケンスが存在する場合には、処理がステップS4に戻り、次のターン(またはリトライターン)のシーケンスが開始される。
なお、部品切れが発生し、図5に示す第2制御によって不足部品Cが搭載されるシーケンスq8およびq9が最終のターン9およびターン10に集約された場合(搭載順序83)でも、ターン8の実装シーケンス終了までに部品補給が完了している場合には、シーケンスq8およびq9は搭載可能なシーケンスとなる。その場合、ターン8の終了後のステップS10の処理では、シーケンスq8(ターン9)およびシーケンスq9(ターン10)が搭載可能なシーケンスと判断され、そのままステップS4に戻る。また、部品切れが発生した場合には、最終ターン10の終了後、ステップS6でスキップされた不足部品Cの搭載点の実装を行うリトライターンRが残存する。このため、再度ステップS4に戻り、リトライによるシーケンス実装動作が実施される。
一方、ステップS10において搭載可能な搭載点(シーケンス)がないと判断される場合には、処理がステップS11に進み、演算処理部91は、部品切れエラーとして部品実装装置100を待機状態にする。すなわち、図5の搭載順序83に示すように、ターン8の実装シーケンス終了までに部品補給が完了していない場合には、不足部品Cを含む実装シーケンスq8(ターン9)が実施されることなく、ステップS11で部品実装装置100が待機状態となる。この場合、図示は省略するが、オペレータにより不足部品の部品補給が行われた後、復帰処理がなされると、ステップ10の判断が行われ、ステップS4に戻ることになる。
このように、図6のステップS4でシーケンス実装動作が行われ、ステップS5、S9およびS10を経て処理がステップS4にループすることによって、シーケンスがターン1から順次実行される。実装プログラム92aに設定されたターン数(図3では、10ターン)分だけ処理がループすることにより、搭載順序(81、82または83)に従ったシーケンス実装動作が全搭載点(全シーケンスおよびリトライシーケンス)について実施される。全搭載点(全シーケンス)について実装動作が完了すると、ステップS9から、処理がステップS12に進み、基板搬送部2により実装済み基板CBが搬出される。
その後、ステップS13において、演算処理部91は、生産予定の全基板枚数分の実装が完了したか否かを判断する。予定枚数に達していない場合には、処理がステップS14に進み、演算処理部91は、搭載順序を元の初期搭載順序81に戻し、その後、処理がステップS1に戻されることにより、次の基板CBの実装作業が開始される。これにより、搭載順序の変更は、部品切れが発生するときに実装対象となっている基板CBに限定される。
なお、直前の基板実装時に不足部品が発生しなかった場合には、ステップS2の第1制御およびステップS7の第2制御が実行されないため、初期搭載順序81のまま実装が行われる。そのため、ステップS14では、搭載順序が初期搭載順序81のまま維持される。ステップS13において、生産予定の全基板枚数分の実装が完了した場合には、実装作業が終了する。
以上のようにして、実装動作の制御処理が行われる。なお、部品C以外の部品A、BおよびDについて部品切れが発生する場合にも、同様の制御処理が行われる。
第1実施形態では、上記のように、演算処理部91を、実装作業中にテープフィーダ3aにおいて部品切れとなる不足部品Cについて、不足部品Cの部品切れが発生する時点(ターン)と、部品切れ発生後に不足部品Cの搭載を行う時点(ターン)との間で、不足部品C以外の部品10の搭載を行う回数(ターン数)を増加させるように、部品10の搭載順序を変更するように構成する。これにより、部品切れの発生時点から、部品切れ発生後、次に同じ部品(不足部品C)を搭載するまでの間で、不足部品C以外の他の部品10(部品A、BおよびD)の搭載時間を長くすることができるので、その分だけ、他の部品10(部品A、BおよびD)の実装継続中の部品補給作業時間Tを確保することができる。そのため、部品切れ発生後、次に不足部品Cを搭載するまでの部品補給作業時間Tに部品補給作業を完了させやすくすることができるので、実装動作を停止させずに部品補給作業を行いやすくすることができる。また、部品補給作業が間に合わずに実装動作を停止させる場合でも、搭載順序の変更によって確保した部品補給作業時間Tの分だけ実装動作の停止時間を短縮させることができるので、部品補給作業に伴う生産効率の低下を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部91を、テープフィーダ3aが供給可能な部品10の残数を管理するように構成し、不足部品Cの部品切れが発生するシーケンスと、部品切れ発生後に不足部品Cの搭載を行うシーケンスとの間で、不足部品C以外の部品10の搭載を行うシーケンス数を増加させるように、不足部品Cの搭載順序を変更する制御を行うように演算処理部91を構成する。これにより、複数の実装ヘッド41によって複数の部品10の実装動作をまとめて行う場合にも、部品切れ発生後、次に不足部品Cの搭載を行うシーケンスまでのシーケンス数を増加させることによって、容易に、部品補給作業時間Tを確保することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部91を、不足部品Cの搭載が優先的に実施されるように搭載順序を変更する第1制御を行うように構成する。これにより、不足部品Cが他の部品10(部品A、BおよびD)に優先して搭載されることにより、他の未搭載の部品10(部品A、BおよびD)が多数残存している状態で、不足部品Cについては部品切れを前倒しで発生させることができる。この結果、部品切れ発生後、次に不足部品Cの搭載を行うまでに実装作業を継続可能な部品補給作業時間Tをより長くすることができる。その結果、部品補給作業に起因する部品実装装置100の停止をより抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、実装作業中に不足部品Cの部品切れが発生した場合には、部品切れ発生後の不足部品Cの搭載を、不足部品C以外の他の部品10の搭載の後に実施するように搭載順序を変更する第2制御を行うように演算処理部91を構成する。これにより、実際に部品切れが発生した後は、不足部品Cの搭載を他の部品10(部品A、BおよびD)の搭載よりも後回しにすることができるので、部品切れ発生後、次に不足部品Cの搭載を行うまで間で、不足部品C以外の他の部品10の搭載時間(部品補給作業時間T)をより長く確保することができるので、部品補給作業に起因する部品実装装置100の停止を、より効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、演算処理部91を、実装プログラムの初期搭載順序81をシーケンス単位で入れ替えることにより、不足部品Cの搭載順序を初期搭載順序81から変更するように構成する。これにより、複数の実装ヘッド41によって複数の部品10の実装動作をまとめて行う場合にも、シーケンスq1〜q10を入れ替えるだけで、容易に搭載順序を変更することができる。これにより、搭載順序の変更に伴う演算処理部91の処理負荷の増大を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、部品切れとなる不足部品Cが発生するときの基板CBに対しては、不足部品Cの搭載順序を初期搭載順序81から変更して部品搭載を行い、次の基板CBに対する部品搭載の際には、初期搭載順序81に戻して部品搭載を行うように演算処理部91を構成する。これにより、部品切れとなる不足部品Cが発生するときの基板CBに対してのみ搭載順序を変更して、補給後の次の基板CBに対しては元の最適化された搭載順序で実装動作を行うことができる。その結果、部品補給に伴う生産効率の低下を抑制することができる。
なお、第1実施形態では搭載順序をシーケンス単位で入れ替えるので、搭載順序を個々の部品単位で任意に変更する場合と比較して、生産効率の低下(実装作業時間の長期化)はごく僅かである。つまり、初期搭載順序81は、シーケンス処理を前提に最適化されているため、個々のシーケンス内での動作時間は、シーケンスを入れ替えたとしても最適化された最小時間を維持する。ただし、シーケンスの入れ替えによって、それぞれのターン開始時(実装シーケンス開始時)のヘッドユニット4(実装ヘッド41)の位置が変化する場合があるため、変更された搭載順序82および83と初期搭載順序81とを比較すると、その分の移動距離の変化が僅かにロスとなる可能性がある。
(第2実施形態)
次に、図1、図2および図6〜図9を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装装置について説明する。この第2実施形態では、第1制御において搭載順序をシーケンス単位で変更するように構成した上記第1実施形態と異なり、第1制御を行う際に、改めて搭載順序の最適化を行うように構成した例について説明する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態の部品実装装置100と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態による部品実装装置200(図1参照)の演算処理部191(図2参照)は、第1制御を行う際に、不足部品を優先的に搭載する条件を最適化の条件に加味して初期搭載順序81を最適化し直すことにより、不足部品の搭載順序を個々の部品単位で変更するように構成されている。なお、演算処理部191は、本発明の「制御部」の一例である。
具体的には、図7に示すように、演算処理部191は、各部品10(部品A〜部品D)の残数管理によって、今回の基板CBの実装時に部品切れが発生すると判断される場合に、実装作業の開始前に初期搭載順序81を最適化し直すように構成されている。この最適化の際、演算処理部191は、基板1枚あたりの実装作業時間が最も短くなるという条件に、不足部品Cを優先的に搭載する条件を加味して最適化を行う。これにより、演算処理部191は、図7の搭載順序182に示すように、不足部品Cの搭載が優先的に実施されるように(シーケンス単位ではなく)部品単位で搭載順序を変更する。
その結果、第1制御による変更後の搭載順序182では、12個の不足部品Cの搭載が最初順のターン1(10個)およびターン2(2個)に集約されている。そして、その他の部品A、BおよびDの搭載については、基板1枚あたりの実装作業時間が最も短くなるという条件に従って各シーケンスが再構成される。
この結果、搭載順序182では、ターン2のシーケンスq12(1番および2番ヘッド)で部品切れが発生した後、リトライターンRで再度不足部品Cの実装動作を行うまでの間で、不足部品C以外の部品搭載を継続可能なシーケンス数(ターン数)が、図3の1ターン分から8ターン分に増加する。この増加したシーケンス数(ターン数)の分だけ、長い部品補給作業時間Tを確保することが可能である。
なお、実装作業中に不足部品(部品C)の部品切れが発生した場合の第2制御については、上記第1実施形態と同様である。たとえば搭載順序182において、ターン1のシーケンスq11(7番〜10番ヘッド)で部品切れが発生したとする。この場合、図8の搭載順序183に示すように、演算処理部191は、部品切れ発生時点(ターン1実行時点)で、第2制御によって、部品切れ発生後に不足部品Cを搭載するシーケンスq12を、搭載順序の最後順のターン10に集約(移動)させる。このため、搭載順序183では、他のシーケンスq13〜q20が、それぞれターン2〜9に移動している。この結果、ターン1のシーケンスq11(7番〜10番ヘッド)で部品切れが発生した後、ターン10のシーケンスq12で再度不足部品Cの実装動作を行うまでの間で、部品補給作業時間Tを、図7と同様に8ターン(シーケンス)分確保することができる。
第2実施形態によるその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
次に、図6、図7および図9を参照して、第2実施形態による部品実装装置200における実装動作の制御処理フローについて説明する。
図9の制御処理フローは、図6のステップS2が図9のステップS22に変更された点を除き、同様であるので、同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、ステップS1において、今回実装する1枚の基板CBの実装中に不足部品が発生すると判断された場合、処理がステップS22に進む。
ステップS22では、演算処理部91は、搭載順序を最適化し直すことにより、実装プログラム92aの初期搭載順序81を部品単位で変更する第1制御を実行する。これにより、初期搭載順序81において搭載予定の不足部品Cの搭載が、最初のターン1およびターン2に部品単位で集約されるとともに、残りの部品A、BおよびDについて、基板1枚あたりの実装作業時間が最も短くなるという条件に従って初期搭載順序81が再構成される。その結果、搭載順序が初期搭載順序81から搭載順序182(図7参照)に変更される。
そして、不足部品が発生すると判断された基板CBについては、第1制御による変更後の搭載順序182に従って、以降のステップS3〜S14の処理が実施される。
第2実施形態では、上記のように、演算処理部191を、不足部品Cを優先的に搭載する条件を最適化の条件に加味して搭載順序を最適化し直すことにより、不足部品Cの搭載順序を個々の部品10単位で変更するように構成する。これにより、最適化によって不足部品Cの搭載順序を個々の部品単位で変更することができるので、部品切れ発生後、次に不足部品Cを搭載するまでの間で不足部品C以外の他の部品(部品A、BおよびD)を搭載可能な時間を最大限確保することができるようになる。その結果、他の部品(部品A、BおよびD)の実装を継続しながら部品補給作業時間Tをより長く確保することができる。また、改めて最適化をし直すことにより、搭載順序の変更に起因する生産効率の低下を最小限に抑えることができる。
なお、第2実施形態では、搭載順序の変更を実装作業開始前に予め行う第1制御についてのみ最適化を行い、部品切れ発生時点で行う第2制御(図9のステップS7)については最適化を実行せずにシーケンスの入れ替えを行うように構成している。しかしながら、実装作業中にリアルタイムで最適化を行うことが可能である場合には、演算処理部191が第2制御(図9のステップS7)の実行時にも最適化を行うように構成してもよい。すなわち、不足部品Cを優先的に搭載する条件を加味して最適化を行う。具体的には、最初順且つ部品Cを優先的に搭載するよう部品Cを集約した結果のターン数が3以上になる場合には、部品切れ発生後に不足部品Cを搭載するシーケンスを、第2制御によって搭載順序の最後順のターンに集約(移動)させる場合においても、不足部品Cを優先的に搭載する条件を加味することで、最後順のターン数を少なくできる場合があり、より長い部品補給作業時間Tを確保可能となる。
第2実施形態によるその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、10本の実装ヘッドを備えた部品実装装置の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッドは1本のみ設けられてもよいし、10本以外の複数本だけ設けられてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、残数管理によって次の基板CBの実装時に部品Cの部品切れの発生が予定されている場合、基板CBの実装前に予め第1制御を行い、実装作業中に不足部品Cの部品切れが発生した場合に第2制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2制御も、基板CBの実装前に予め実行してもよい。すなわち、残数管理によって何ターン目の何番ヘッドで部品切れが発生するかが分かる場合、図6のステップS2の時点で第1および第2制御を実施して、図5に示した搭載順序83となるように搭載順序を変更してもよい。すなわち、図6に示すステップS2相当において、不足部品を搭載するシーケンスを最初順に集約するだけでなく、不足部品を搭載する残りのシーケンスを最後順に集約することも実装前に行なわれるので、その場合ステップS7は必要がなくなる。これにより、スキップする不足部品Cを減らしつつ、他の部品(部品A、BおよびD)の実装を継続しながら部品補給作業時間Tをより長く確保することができ、さらに実装中でのシーケンス順序の変更はしなくても済み、制御を効率化することができる。
なお、実際の実装においては、部品10の吸着不良が発生し、実装ヘッド41から部品が脱落したり、実装不良を防ぐため吸着不良の部品10を廃棄箱に捨てることが行われる。このため、予測した不足部品が発生するシーケンスより前のシーケンスにおいて不足部品が発生する場合があるので、ステップS6の後にステップS8相当の部品補給要請の報知を行い、続いて、実際の不足部品発生のシーケンスが予測したものより前のシーケンスであるかを判断するようにする。予測したものと同じシーケンスであればステップS9に進み、予測したものより前のシーケンスであればステップS7相当を実施し、その後ステップS9に進む。ステップS7相当では、最初順に集約した不足部品を搭載する複数のシーケンスの中で、実際の不足部品発生のシーケンスの残りのものを、最後順に追加的に集約する。こうすることで、吸着不良の発生頻度は少ないのではあるが、吸着不良に起因する部品不足が予測より早く発生する場合でも、そのタイミングに合わせて部品補給作業が可能となり、且つ、スキップする不足部品Cが増加することがないようにできる。
また、上記第1および第2実施形態では、第1制御と第2制御との両方を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1制御を行わずに第2制御のみを行うようにしてもよい。すなわち、図10に示す第2制御の変形例のように、部品切れが発生するまでは初期搭載順序81(図3参照)で実装を行い、部品切れが発生した時点(ここではターン4、6番および7番ヘッド)で、部品切れ発生後の不足部品Cの搭載(シーケンスq6、q8、q9)を、不足部品C以外の他の部品10の搭載の後に実施するように搭載順序を変更するようにしてもよい。この変形例では、部品切れが発生するターン4までは、初期搭載順序81で実装が行われ、部品切れが発生すると、第2制御によって搭載順序が搭載順序283に変更される。この結果、ターン4で部品切れが発生した場合に初期搭載順序81のままだと、ターン5の1シーケンス分しか部品補給作業時間を確保することができないのに対して、図10の変形例による搭載順序283では、ターン5〜7の3シーケンス分の部品補給作業時間Tを確保することができる。
また、上記第1実施形態では、第1制御および第2制御の実行時に、シーケンス単位で搭載順序を入れ替え、上記第2実施形態では第1制御の際に最適化をし直して部品単位で搭載順序を入れ替えた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、不足部品のみをシーケンス間で入れ替えてもよい。つまり、図3の初期搭載順序81において第1制御を行う場合、シーケンスq4の4番〜7番ヘッド(不足部品C)の搭載を、シーケンスq1の4番〜7番ヘッド(部品Aおよび部品B)と入れ替え、シーケンスq5の4番〜7番ヘッド(不足部品C)の搭載を、シーケンスq2の4番〜7番ヘッド(部品Aおよび部品B)と入れ替える。同様に、シーケンスq8およびq9の各々の9番および10番ヘッド(不足部品C)の搭載を、シーケンスq1およびq2の9番および10番ヘッド(部品B)と入れ替える。この結果、すべての不足部品Cの搭載が、ターン1および2に集約される。このように第1制御および第2制御による搭載順序の変更は、シーケンス単位での変更や、最適化の実施による部品単位での入れ替え以外の方法により実施してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、部品切れが発生する基板CBの実装時にのみ第1制御および第2制御による搭載順序の変更を行い、その基板CBの実装終了後、次の基板CBの実装時には搭載順序を初期搭載順序81に戻すように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品切れが発生する基板CBの実装終了後も搭載順序を初期搭載順序に戻すことなく、変更後の搭載順序のままとしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1制御による搭載順序の変更で、不足部品Cの搭載を最初順のターンに集約させた例を示したが。本発明はこれに限られない。本発明では、不足部品の搭載を最初順のターンに集約させなくともよい。不足部品の搭載を初期搭載順序よりも1ターンでも早くすればよい。不足部品の搭載が早められれば、その分部品切れが前倒しされ、部品補給作業時間Tを確保することが可能となる。
また、上記第1および第2実施形態では、第2制御による搭載順序の変更で、不足部品Cの搭載を最後順のターンに集約させた例を示したが。本発明はこれに限られない。本発明では、不足部品の搭載を最後順のターンに集約させなくともよい。不足部品の搭載を初期搭載順序よりも1ターンでも遅くすればよい。不足部品の搭載が遅らせられれば、その分不足部品以外の他の部品の実装動作(シーケンス)が実施されるため、部品補給作業時間Tを確保することが可能となる。
また、上記第1および第2実施形態では、残数管理に基づき、実装作業中に部品切れが発生する部品Cおよびシーケンスを予測し、第1制御に従い予めシーケンスを入れ替える搭載順序変更を行なうようにしているが、第1制御は実施しないようにしてもよい。この場合は、実装中に部品欠品が検出された時に第2制御を行なうようにする。すなわち、図6において、ステップS1とステップ2は実施しないようにしたものである。これによっても、部品不足が発生した後において、不足部品搭載のシーケンスが遅らせられ、その分不足部品以外の他の部品の実装動作(シーケンス)が実施されるため、部品補給作業時間Tを確保することが可能となる。